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JP4164563B2 - 酸化物半導体pn接合デバイス及びその製造方法 - Google Patents
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JP4164563B2 - 酸化物半導体pn接合デバイス及びその製造方法 - Google Patents

酸化物半導体pn接合デバイス及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PN接合デバイス、特に特定波長の紫外線に感度を有する紫外光センサー、太陽電池などに使用できる酸化物半導体化合物薄膜から構成されるPN接合デバイスとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
Si、Geなどの単体元素半導体、GaAs、InP、GaNなどの化合物半導体を用いたPN接合は、固体電子デバイス及び固体光電子デバイスとして広く実用化されている。電子デバイスとしては、バイポーラトランジスタ、整流ダイオードデバイスなどに使われている。一方、光電子デバイスとしては、半導体レーザー、発光ダイオード、光検出素子、太陽電池などに使われている。これらのデバイスでは、同種の化合物から構成されるホモPN接合が使われことが多いが、半導体レーザー、発光ダイオードなどでは、異種の化合物から構成されるヘテロPN接合が使われている。
【0003】
光電子デバイスに関しては、広い波長域で機能するデバイスが要求されているが、一つの材料でその要求に応えるのは原理的に不可能で、波長に応じて、異なる材料が使われている。しかし、特に、紫外波長域に対しては、充分に機能するデバイスが開発されていない。また、これらのPN接合を形成する材料、特に化合物半導体材料は、化学的、熱的に不安定なものが多く、また、環境的に有害であったり、資源的に枯渇の恐れのあるものが多い。こうした、半導体材料を用いたPN接合デバイスの有する課題のいくつかは、酸化物半導体材料を用いることにより解決することができる。
【0004】
1997年に、CuAlOを用いて、最初のp型電気伝導性を有する酸化物が開発されて以来(非特許文献1)、酸化物を用いたPN接合の開発が行なわれ、本発明者らは、n−ZnO/p−SrCuのヘテロPN接合を開発して紫外発光ダイオードを実現した(非特許文献2、特許文献1)。また、n−ZnO/p−NiOのヘテロPN接合を用いた発光ダイオードを開発し、特許出願している(太田ら 特願2002−70165)さらに、CuInOを用いたホモ接合を開発している(非特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−210864号公報(WO0156088号公報)
【0006】
【非特許文献1】
川副 他、Nature、389、939、1997
【非特許文献2】
太田ら Appl.Phys.Lett. 76, 2740 (2000)
【非特許文献3】
柳 他 Solid State Communication 121,15 (2002)
【0007】
これまでに開発されてきた酸化物半導体を用いたPN接合デバイスは、整流ダイオード、発光素子、太陽電池として機能するものの、化合物半導体材料を用いたPN接合デバイスに比較して、現状では、発光効率が低いなど、デバイス特性が悪いので、デバイス特性の向上を図る必要がある。しかし、化合物半導体化合物に比べた酸化物半導体のもつ材料特性に基づき、酸化物半導体を用いたPN接合デバイスは、化学的に安定で、耐高温度性に優れ、環境負荷が少ないなど、本来的な長所を有している。さらに、短波長光領域で機能する光電子デバイスに限って見れば、酸化物半導体を用いたPN接合デバイスは、化合物半導体PN接合デバイスの特性を凌駕する大きな可能性をもっていると見なすことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特定波長の紫外線、特に、UV−Bと呼ばれる波長320nm〜280nmの紫外線が、皮膚ガンや白内障の原因となるなど、人体に有害であることが指摘されて以来、その波長に感度をもつ紫外光検出器が実用化され始めた。現在は、そうした紫外光検出用デバイス材料として、GaNが用いられている。GaNは、可視光及び紫外波長域に光感度を有するために、該デバイスでは、光フィルターを用いて不要光を取り除き、特定波長を有する紫外光のみをGaN検出器に入射する必要がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、p型伝導性酸化物半導体化合物とn型電気伝導性を示し紫外光感度を有する酸化物半導体化合物から構成するPN接合デバイス及びその製造方法を提供する。
【0010】
すなわち、本発明は以下のものである。
(1)酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスであって、n型透明電極として使用されるITO単結晶膜上にエピタキシャル成長したn型電気伝導性を示し紫外光感度を有するZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜、該ZnMg1−xO単結晶薄膜上に多結晶又はアモルファス膜として堆積されアニールによる拡散処理によりエピタキシャル成長したp型電気伝導を示すLiイオンを10〜30at%含むNiO単結晶薄膜、該NiO単結晶薄膜上に成膜したp型電極として使用される金属膜又はITO薄膜とからなり、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該Liイオンを含むNiO単結晶薄膜とがヘテロエピタキシャル界面を形成していることを特徴とするPN接合デバイス。
【0011】
(2)酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスであって、n型透明電極として使用されるITO単結晶膜上にエピタキシャル成長したn型電気伝導性を示し紫外光感度を有するZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜、該ZnMg1−xO単結晶薄膜上に多結晶又はアモルファス膜として堆積されアニールによる拡散処理によりエピタキシャル成長したp型電気伝導を示すZnRh単結晶薄膜、該ZnRh単結晶薄膜上に成膜したp型電極として使用される金属膜又はITO薄膜とからなり、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該ZnRh単結晶膜とがヘテロエピタキシャル界面を形成していることを特徴とするPN接合デバイス。
【0012】
(3)酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスであって、n型透明電極として使用されるITO膜上に堆積されたn型電気伝導性を示し紫外光感度を有するアモルファスInGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)薄膜、該InGaO(ZnO)上に堆積されたp型電気伝導を示すアモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜、該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜上に成膜したp型電極として使用される金属膜又はITO薄膜とからなり、該アモルファスInGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)薄膜と該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜とがヘテロ界面を形成していることを特徴とするPN接合デバイス。
【0013】
(4)酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスの製造方法であって、ITO単結晶膜上にZnMg1−xO単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、該ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜上にLiイオンを10〜30at%含む多結晶又はアモルファスNiO薄膜を堆積させ、600℃〜1500℃の温度でアニールによる拡散処理をしてエピタキシャル成長させることにより該多結晶又はアモルファスNiO薄膜をNiO単結晶薄膜とするとともに、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該NiO単結晶薄膜とのヘテロエピタキシャル界面を形成し、該NiO単結晶薄膜上に金属膜又はITO薄膜を成膜することを特徴とする上記(1)のPN接合デバイスの製造方法。
【0014】
(5)酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスの製造方法であって、ITO単結晶膜上にZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、該ZnMg1−xO単結晶薄膜上に多結晶又はアモルファスZnRh膜を堆積させ、600℃〜1500℃の温度でアニールによる拡散処理をしてエピタキシャル成長させることにより該多結晶又はアモルファスZnRh 膜をZnRh 単結晶薄膜とするとともに、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該ZnRh 単結晶薄膜とのヘテロエピタキシャル界面を形成し、該ZnRh 単結晶薄膜上に金属膜又はITO薄膜を成膜することを特徴とする上記(2)のPN接合デバイスの製造方法。
【0015】
(6)酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスの製造方法であって、ITO膜上にアモルファスInGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)薄膜を堆積させ、該InGaO(ZnO)薄膜上にアモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜を基板温度100℃以下で堆積させ、該アモルファスInGaO(ZnO)薄膜と該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜とのヘテロ界面を形成し、該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh 薄膜上に金属膜又はITO薄膜を成膜することを特徴とする上記(3)のPN接合デバイスの製造方法。
(7)上記(1)乃至3のいずれかのPN接合デバイスを用いた紫外波長域に選択的な感度を有する光検出器。
【0016】
既に実用化されているGaNのUV検出器は、GaNにショットキー金属を蒸着した、いわゆるショットキー接合が使われている。しかし、金属とZnMg1−xO(0.7<x≦1)の接合界面に、ZnMg1−xO(0.7<x≦1)の酸素欠陥などの界面エネルギー準位が形成されることにより、金属電極は、オーム性接触となること、さらに、AuやPtなどのショットキー金属の仕事関数とZnMg1−xO(0.7<x≦1)のフェルミエネルギーとの差異が小さい(〜0.3eV)ために、ZnMg1−xO(0.7<x≦1)では、金属ショットキー接合を形成することが困難である。したがって、ZnMg1−xO(0.7<x≦1)では、金属ショットキー接合に代わって、光検出機能を有するPN接合を作製する必要がある。
【0017】
本発明の紫外波長域に感度を有する光検出器では、ZnMg1−xO(0.7<x≦1)層で紫外光が吸収され、PN接合部に光誘起キャリア(電子ホール対)が形成される。生じた電子ホール対は、PN接合部に生じる内部電界により分離され、n電極とp電極間に光起電力が生じる。
【0018】
光起電力は照射される紫外線強度に比例するので、該PN接合デバイスを紫外線光検出器として用いることができる。また、光感度は、紫外線波長に対して鋭い選択性を有しているので、カラーフィルターなど余分の光を除く素子を使用しなくても、特定波長の紫外線のみを検出することができる。吸収される紫外線の波長、すなわち光感度スペクトルを、Zn Mg 1−x Oの組成パラメータx(0.7<x≦1)の値により制御することができる。ZnOとMgOは、お互いの結晶構造が異なるために、ZnMg1−xOにおけるxの値が0.7未満では、すなわち、Znに対するMgの量が30原子%を越えると、均一で良質な混晶を得る事ができない。
【0019】
また、エピタキシャル薄膜から構成されるPN接合の方が、アモルファス薄膜から構成されるPN接合に比べて、各波長における紫外線検出感度が高い。しかし、紫外線照射により発生する電流は、受光面の面積に比例するので、受光面が大きくても良い場合には、低コストで製造できるアモルファス膜から構成されるPN接合が適している。
【0020】
【発明の実施の形態】
まず、エピタキシャル薄膜から構成されるPN接合の形成の場合の実施の形態について以下に詳細に説明する。
(基板)
本発明のPN接合デバイスで用いる酸化物半導体薄膜によってエピタキシャルPN接合を形成するための基板には、耐熱性があり、透明な酸化物単結晶基板、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、サファイア、MgO、ZnOなどを用いる。中でも、ITOと格子定数が近く、該化合物と1400℃以下の温度では化学反応しないYSZが、最も好ましい。また、基板は検出する紫外線に対して透明であることが必要である。これらの基板の表面平均二乗粗さRmsは、1.0nm以下のものを用いることが好ましい。Rmsは原子間力顕微鏡で、例えば、1μm角を走査することによって算出できる。
【0021】
YSZなどの酸化物単結晶基板を、大気中又は真空中で1000℃以上に加熱することによって超平坦化した表面が得られる。超平坦化した酸化物単結晶基板の表面には結晶構造を反映した構造が現れる。すなわち、数100nm程度の幅を持つテラスとサブナノメータ(nm)程度の高さを持つステップからなる構造で、一般に原子状に平坦化された構造と呼ばれる。
【0022】
テラス部分は平面状に配列した原子からなり、若干存在する欠陥の存在を無視すれば、完全に平坦化された表面である。ステップの存在により、基板全体で完全平坦化された表面とはならない。この構造を平均二乗粗さ測定方法による粗さRmsで表現すれば、Rmsは1.0nm以下のものである。Rmsは、例えば、原子間力顕微鏡で、例えば、1μm角の範囲を走査することによって算出した値である。
【0023】
(ITO単結晶薄膜のエピタキシャル成長)
得られた原子平坦面を持つ耐熱性透明酸化物単結晶基板上に、MBE法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)などにより、原子平坦面を有するITO単結晶薄膜をエピタキシャル成長させる。ITO単結晶薄膜は、n型透明電極として使用される。
【0024】
(ZnMg1−xO化合物薄膜のエピタキシャル成長)
次に、該ITO単結晶薄膜上に、ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)化合物薄膜をエピタキシャル成長させる。成長は、MBE法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)、スパッタ法、CVD法などを用いることができる。この場合、ターゲットは、ZnMg1−yO(0.8<y≦1)を用いる。PLD法によりZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)を製造する場合、ターゲット材料の組成はMg濃度をやや減らしたものが好ましい。高温でZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜を製造する場合、ZnOとMgOの蒸気圧がZnO>MgOであるため、ITO単結晶薄膜上に堆積するZnO/MgO組成比がターゲットの組成比よりも小さくなるためである。
【0025】
(NiO薄膜又はZnRh薄膜の堆積)
Zn1−xMgOエピタキシャル膜上に、NiO薄膜又はZnRh薄膜を堆積する。薄膜堆積には、MBE法、パルスレーザー蒸着法(PLD法)、スパッタ法、CVD法などを用いることができる。NiO薄膜を堆積する場合、ターゲットは、LiドープNiO焼結体(Li濃度0〜30原子%)を用いる。また、ZnRh薄膜を堆積する場合、ターゲットは、ZnRh焼結体を用いる。得られた薄膜は、単結晶膜である必要はなく、多結晶膜でも、アモルファス膜でも良い。膜堆積上、最も重要なパラメーターは基板温度である。基板温度は100℃以下でなければならない。100℃を超える場合には、p型酸化物半導体NiO薄膜又はZnRh薄膜の組成ずれや粒成長が起こりやすくなり平坦化が阻害される。
【0026】
(アニール)
最後に、薄膜全体をカバーできるように高融点化合物、例えば、YSZやAlを被せ、高温、大気圧中でアニールによる拡散処理を行なう。アニールによる拡散処理温度は600℃〜1500℃が好ましい。600℃未満では原子が十分に薄膜表面でマイグレーションすることができず、p型酸化物半導体NiO又はZnRh単結晶薄膜は得られない。また、1500℃を超える高温ではほとんどの基板材料及び薄膜間の化学反応が起こるために好ましくない。高融点化合物を被せる理由は、該薄膜表面の汚染を避けるためである。アニールによる拡散処理により該NiO薄膜又はZnRh 薄膜は単結晶薄膜となるとともに該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該NiO単結晶薄膜又はZnRh 単結晶薄膜のとのヘテロエピタキシャル界面が形成される。
【0027】
ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜は、特に意図的に不純物を添加しなくても、n型伝導性を示す。これは、ZnOの非化学量論性のためであり、酸素が欠損することによって生じる電気中性条件からのずれを、酸素欠損1個につき電子2個を生成することによって電気中性条件を保とうとするためである。また、意図的な不純物ドーピングも効果的であり、3価のイオンである、Al、Ga、Inを(数at%程度)置換ドーピングすることにより、低抵抗n型ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜を作製することができる。また、ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜のバンドギャップとxの関係は比例関係にあり、例えば、x=1の場合には3.3eVであり、x=0.8の場合には3.8eVである。
【0028】
NiO単結晶薄膜のp型伝導率はアクセプターとして作用するLiイオン濃度を変化させることにより制御することができる。例えば、Liイオンを全く加えない場合には10−4S/cmの導電率を示すが、Liイオンを10at%ドーピングすることにより、導電率は0.3S/cmになる。ドーピングは、焼結体ターゲット中のLi濃度を変化させることにより制御できる。アクセプターとしてのLi濃度は30at%以下でなくてはならない。30at%を越えるLiイオンをドーピングするとNiOではない化合物LiNiOに変化してしまうからである。
【0029】
また、600℃以上でアニールする場合、NiO単結晶薄膜中に添加したLiイオンなどが蒸発しやすい。こうしたLiイオンの蒸発を防ぐためは、NiO単結晶薄膜表面を、YSZ単結晶基板などでキャップすることが好ましい。
ZnRh 単結晶薄膜は、特に意図的に不純物を添加しなくても、p型伝導性を示す。
【0030】
最後に、p型電極として用いる金属膜又はITO薄膜をNiO単結晶薄膜又はZnRh 単結晶薄膜上に成膜する。こうして得られたPN接合多層膜から、通常の光露光、エッチング技術を用いて、光検出ダイオードを作製する。n型電極は、基板上に作製したITO薄膜を使用する。
【0031】
次に、アモルファス薄膜から構成されるPN接合の形成の場合の実施の形態について以下に詳細に説明する。
(基板)
アモルファス薄膜から形成されるPN接合の形成には、基板は耐熱性を有する必要がなく、紫外波長域に透明なSiOを主成分としたガラス基板を用いることができる。平坦度も、アモルファスシリコン電界効果型トランジスタ用に用いられるガラス基板程度でよい。
【0032】
(ITO薄膜の堆積)
こうしたガラス基板上にITO薄膜を堆積する。ITO薄膜は、表面平坦性の観点から、アモルファス膜が好ましいが、アモルファス膜に限られず、多結晶膜でも良い。
【0033】
(InGaO(ZnO)薄膜の堆積)
ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)薄膜は、アモルファス膜を得るのは困難で、通常は多結晶膜である。n型伝導層をアモルファス薄膜にするときには、ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)薄膜に代わって、InGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)アモルファス薄膜を堆積すれば良い。InGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)薄膜を室温で成膜すれば、容易にアモルファス状態を得ることができる。
【0034】
(アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜の堆積)
次に、InGaO(ZnO)薄膜上に、アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜を、前述と同様に堆積させてアモルファスInGaO(ZnO)薄膜と該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜とのヘテロ界面を形成する。膜堆積上、最も重要なパラメーターは基板温度である。基板温度は100℃以下でなければ、アモルファス膜を得ることができない。また、100℃を超える場合には、p型酸化物半導体NiO又はZnRh薄膜の組成ずれや粒成長が起こりやすくなり、多結晶化して平坦化が阻害される。アモルファス薄膜から構成されるPN接合の形成の場合は堆積した膜のアニールは必要ない。
【0035】
最後に、p型電極として用いる金属膜又はアモルファスITO薄膜をアモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜上に成膜する。こうして得られたPN接合多層膜から、通常の光露光、エッチング技術を用いて、光検出ダイオードを作製する。n型電極は、基板上に作製したITO薄膜を使用する。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
実施例1
NiO紫外線光検出器の作製
YSZ(111)単結晶基板上にPLD法によりn型透明電極として使用されるITO単結晶薄膜をエピタキシャル成長させた。作製したITO単結晶薄膜は可視光領域全域で無色透明であり、導電率は10,000S/cmであった。
こうして作製したITO単結晶膜上に基板温度700℃でZn0.8Mg0.2単結晶薄膜をPLD法により積層した。Zn0.8Mg0.2単結晶薄膜はエピタキシャル成長しており、表面には六角形のスパイラルグレインが緻密に配列した構造が見られた。
【0037】
次に、基板温度を室温にして、PLD法により、10at%Liを含有するNiO焼結体ターゲットにレーザービームを照射してNiO:Li薄膜を堆積させた。膜厚は300nmとした。次に、作製したNiO:Li薄膜を真空容器から取り出し、アニール中のLi成分の蒸発を防ぐため当該薄膜上にYSZ単結晶板を被せて薄膜表面をカバーし、大気中、1300℃で30分間アニールした後、室温まで冷却しNiO:Li薄膜を単結晶薄膜とした。作製した二層薄膜のXRD測定を行ったところ、NiO:Li単結晶薄膜がZn0.8Mg0.2単結晶薄膜上にヘテロエピタキシャル成長していることが分かった。
【0038】
さらに、NiO:Li単結晶薄膜上にp型電極を成膜し、作製した積層膜をフォトリソグラフィーとドライエッチングプロセスによりメサ型デバイスに加工した。図1に光電変換スペクトルを示す。励起光としては分光したキセノンランプ光を用いた。3.8eV付近に光電変換ピークが見られた。これは、Zn0.8Mg0.2O及びNiOのバンドギャップに相当する。つまり、Zn0.8Mg0.2O及びNiOのバンドギャップの光を吸収して効率良く起電力を発生しており、紫外線光検出器として機能することが示された。特に、有害紫外線であるUV−B領域に急峻な感度を示すことから、有害紫外線センサーとして応用することができる。
【0039】
実施例2
アモルファスp−ZnRh薄膜の作製方法
まず、シリカガラス基板上に堆積させたZnRh薄膜がアモルファス状態であることを確認するために、RFスパッタリング法によりZnRh多結晶体をターゲットとして用いて、シリカガラス基板上にZnRh薄膜を作製した。スパッタリング時の条件は、高周波出力=180W、ガス雰囲気Ar/O=9:1であり、基板温度は室温である。成長速度は10nm/分であった。
【0040】
作製した薄膜試料についてX線回折測定、断面TEM観察、光透過率測定、直流四端子法による電気伝導度測定、及び熱起電力の測定を行った。薄膜試料のX線回折パターン(図2)はハロー状のブロードなピークのみから構成されており、試料はX線回折から評価する限り、アモルファス状態であった。光吸収スペクトル(図3)から求めた光学ギャップは〜2eVであった。ゼーベック係数は+80μVK−1であり、キャリアは正孔であった。室温での電気伝導度は〜1Scm−1であり、電気伝導は活性化エネルギー〜30meVのアレニウス型であった。TEM観察(図4)から、試料は2〜3nmの微結晶から構成されていることが明らかとなった。すなわち、X線アモルファス薄膜であると言える。
【0041】
n−ZnO/p−ZnRh 単結晶薄膜PN接合からなる紫外線光検出器の作製
YSZ(111)単結晶基板上にPLD法によりITO単結晶薄膜をエピタキシャル成長させた。作製したITO単結晶薄膜は可視光領域全域で無色透明であり、導電率は10,000S/cmであった。次に、基板温度700℃でZnO単結晶薄膜をPLD法により積層した。ZnO単結晶薄膜はエピタキシャル成長しており、表面には六角形のスパイラルグレインが緻密に配列した構造が見られた。さらに、ZnO単結晶薄膜上にZnRh薄膜を室温でPLD法により堆積させた。室温でZnO単結晶薄膜上に堆積させたZnRh薄膜はごく一部多結晶であり、XRD測定の結果、ZnRh薄膜からは非常に弱い回折ピークが見られアモルファス状態であった。
【0042】
こうして作製した積層膜を大気中で950℃、30分アニールし、室温まで冷却しZnRh 薄膜を単結晶薄膜とした。図5にアニール後に測定した積層薄膜のXRDパターンを示す。ZnRh 単結晶薄膜,ZnO単結晶薄膜、ITO単結晶薄膜はYSZ(111)基板上に強く配向しており、その配向関係はZnRh(111)[110]||ZnO(0001)[11−20] || ITO (111)[110] || YSZ (111)[110]であった。ZnRh 単結晶薄膜/ZnO単結晶薄膜接合界面を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ(図6)、ZnRh 単結晶薄膜及びZnO単結晶薄膜は綺麗にヘテロエピタキシャル成長していることが確認できた。ZnRh 単結晶薄膜/ZnO単結晶薄膜接合界面付近は原子レベルで接合しており、他の結晶の析出などは全く認められなかった。
【0043】
さらに、図7の内挿図に示すように、ZnRh 単結晶薄膜上にp型電極としてAuを成膜し、作製した積層膜をフォトリソグラフィーとドライエッチングプロセスにより、図7の内挿図に示すようなメサ型デバイスに加工した。図7に作製したメサ型デバイスの電流−電圧特性を示す。典型的なPN接合ダイオードに見られる整流特性が得られ、順バイアスの立ちあがりは約2Vであった。この値はZnRhのバンドギャップ(約2.1eV)と良く一致する。
【0044】
図8に光電変換スペクトルを示す。励起光としては分光したキセノンランプ光を用いた。3.2eV付近に光電変換ピークが見られた。これはZnOのバンドギャップに相当する。つまり、ZnOのバンドギャップの光を吸収して効率良く起電力を発生しており、紫外線光検出器として機能することが示された。
【0045】
実施例3
n−InGaZnO/p−ZnRhアモルファスPN接合の作製
n型電極として使用される市販のITO多結晶薄膜(SiOガラス基板上にITO薄膜をスパッタリング法により成膜したもの)上に室温でn型酸化物半導体InGaZnOをPLD法により成膜した。堆積した薄膜はアモルファスの状態であった。
【0046】
次に、上記実施例2のアモルファスp−ZnRh薄膜の作製方法でアモルファスZnRh薄膜を積層した。さらに、図9に示すように、アモルファスZnRh 薄膜上にp型電極としてAuを成膜し、作製した積層膜をフォトリソグラフィーとドライエッチングプロセスにより、図9のようなメサ型デバイスに加工した。図10に室温で測定しダイオードの電流−電圧特性を示す。急峻な整流特性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1におけるエピタキシャルp−NiO:Li/ n−Zn0.8Mg0.2O接合ダイオードの光電変換スペクトルである。
【図2】図2は、実施例2におけるX線アモルファスp−ZnRh薄膜のXRDパターンである。
【図3】図3は、実施例2におけるX線アモルファスp−ZnRh薄膜の光吸収スペクトルである。
【図4】図4は、実施例2におけるX線アモルファスp−ZnRh薄膜のTEM像を示す図面代用写真である。
【図5】図5は、実施例2におけるエピタキシャル成長したp−ZnRh/n−ZnO/ ITO薄膜のXRDパターンである。
【図6】図6は、実施例2におけるp−ZnRh/n−ZnO接合付近の高分解能電子顕微鏡像を示す図面代用写真である。
【図7】図7は、実施例2におけるエピタキシャルp−ZnRh/n−ZnO接合ダイオードの電流−電圧特性を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例2におけるエピタキシャルp−ZnRh/n−ZnO接合ダイオードの光電変換スペクトルである。
【図9】図9は、実施例3におけるX線アモルファスp−ZnRh/アモルファスn−InGaZnO接合ダイオードの素子構造を示す模式図である。
【図10】図10は、実施例3におけるX線アモルファスp−ZnRh/アモルファスn−InGaZnO接合ダイオードの電流−電圧特性を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスであって、n型透明電極として使用されるITO単結晶膜上にエピタキシャル成長したn型電気伝導性を示し紫外光感度を有するZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜、該ZnMg1−xO単結晶薄膜上に多結晶又はアモルファス膜として堆積されアニールによる拡散処理によりエピタキシャル成長したp型電気伝導を示すLiイオンを10〜30at%含むNiO単結晶薄膜、該NiO単結晶薄膜上に成膜したp型電極として使用される金属膜又はITO薄膜とからなり、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該Liイオンを含むNiO単結晶薄膜とがヘテロエピタキシャル界面を形成していることを特徴とするPN接合デバイス。
  2. 酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスであって、n型透明電極として使用されるITO単結晶膜上にエピタキシャル成長したn型電気伝導性を示し紫外光感度を有するZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜、該ZnMg1−xO単結晶薄膜上に多結晶又はアモルファス膜として堆積されアニールによる拡散処理によりエピタキシャル成長したp型電気伝導を示すZnRh単結晶薄膜、該ZnRh単結晶薄膜上に成膜したp型電極として使用される金属膜又はITO薄膜とからなり、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該ZnRh単結晶膜とがヘテロエピタキシャル界面を形成していることを特徴とするPN接合デバイス。
  3. 酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスであって、n型透明電極として使用されるITO膜上に堆積されたn型電気伝導性を示し紫外光感度を有するアモルファスInGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)薄膜、該InGaO(ZnO)上に堆積されたp型電気伝導を示すアモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜、該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜上に成膜したp型電極として使用される金属膜又はITO薄膜とからなり、該アモルファスInGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)薄膜と該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜とがヘテロ界面を形成していることを特徴とするPN接合デバイス。
  4. 酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスの製造方法であって、ITO単結晶膜上にZnMg1−xO単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、該ZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜上にLiイオンを10〜30at%含む多結晶又はアモルファスNiO薄膜を堆積させ、600℃〜1500℃の温度でアニールによる拡散処理をしてエピタキシャル成長させることにより該多結晶又はアモルファスNiO薄膜をNiO単結晶薄膜とするとともに、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該NiO単結晶薄膜とのヘテロエピタキシャル界面を形成し、該NiO単結晶薄膜上に金属膜又はITO薄膜を成膜することを特徴とする請求項1記載のPN接合デバイスの製造方法。
  5. 酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスの製造方法であって、ITO単結晶膜上にZnMg1−xO(ただし、0.7<x≦1)単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、該ZnMg1−xO単結晶薄膜上に多結晶又はアモルファスZnRh膜を堆積させ、600℃〜1500℃の温度でアニールによる拡散処理をしてエピタキシャル成長させることにより該多結晶又はアモルファスZnRh膜をZnRh単結晶薄膜とするとともに、該ZnMg1−xO単結晶薄膜と該ZnRh単結晶薄膜とのヘテロエピタキシャル界面を形成し、該ZnRh単結晶薄膜上に金属膜又はITO薄膜を成膜することを特徴とする請求項2記載のPN接合デバイスの製造方法。
  6. 酸化物半導体化合物薄膜から構成される紫外波長域の光検出機能を有するPN接合デバイスの製造方法であって、ITO膜上にアモルファスInGaO(ZnO)(mは1以上50未満の整数)薄膜を堆積させ、該InGaO(ZnO)薄膜上にアモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜を基板温度100℃以下で堆積させ、該アモルファスInGaO(ZnO)薄膜と該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜とのヘテロ界面を形成し、該アモルファスNiO薄膜又はアモルファスZnRh薄膜上に金属膜又はITO薄膜を成膜することを特徴とする請求項3記載のPN接合デバイスの製造方法。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載のPN接合デバイスを用いた紫外波長域に選択的な感度を有する光検出器。
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