JP4165082B2 - 排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばディーゼルエンジンの排気パティキュレートを処理する排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出される排気パティキュレートを処理するために、排気系にパティキュレートフィルタを配置し、パティキュレートの捕集量が一定値に達するとメイン噴射に続く2度目の噴射であるポスト噴射を行うことによりフィルタ温度を上昇させてパティキュレートを燃焼処理し、フィルタの再生を行うことが特開2000−161044号公報によって提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フィルタ昇温のためのポスト噴射量が小量であれば、ポスト噴射燃料の殆どは排気温度の上昇のための熱に変化してトルクを生ずるまでに到らないのであるが、ポスト噴射量が大きくなると燃焼熱の一部がトルクに変化し、ポスト噴射の前後でトルク段差が生じて運転性が悪くなる。
【0004】
このため、上記従来装置では、吸気絞り装置(または排気絞り装置)を設け、排気温度が目標温度(パティキュレートの燃焼に最適な温度)と一致するようにポスト噴射量の補正を行い、ポスト噴射に伴うトルクの増加を吸気絞り装置を働かせることにより相殺し、これによりポスト噴射によるフィルタの再生を行いつつポスト噴射の前後でトルク変動が生じないようにしている。
【0005】
しかしながら、燃料を消費するポスト噴射はそもそも燃費の悪化に直結しがちな要素であり、ポスト噴射により生じたトルクの増加を相殺するため吸気絞り装置を働かせることも燃費を悪くするので、これらポスト噴射と吸気絞り装置の作動とが同時に行われる上記の従来装置によれば、フィルタ再生処理中の燃費の悪化が著しい。
【0006】
また、従来装置では、排気温度の目標温度への制御はポスト噴射量で行い、トルク変動の解消は吸気絞り装置の作動で行うという具合に制御対象(ポスト噴射を行う燃料供給装置と吸気絞り装置)と制御パラメータ(排気温度とエンジントルク)を独立させているが、いずれか一の制御パラメータとも残りの制御パラメータに影響を及ぼすので、排気温度とエンジントルクが目標に収束するまでに時間がかかるという問題もある。
【0007】
そこで本発明は、制御対象を燃料供給装置の一つのみとし、この燃料供給装置のみを用いて排気温度とエンジントルクの2つの制御パラメータを同時に制御することにより、フィルタ再生処理中の燃費の悪化を防ぎ、かつ排気温度とエンジントルクが目標に収束するまでの時間を短縮することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、排気通路にパティキュレートを捕集するフィルタを備えたエンジンの排気浄化装置において、エンジンの回転速度と負荷に応じてポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を設定するポスト噴射量・時期設定手段と、フィルタの再生時期になると、前記ポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を用いたポスト噴射により排気温度を上昇させてフィルタの再生処理を行う再生処理手段と、フィルタの再生処理中にエンジントルクの変動があるかどうかを判定するトルク変動判定手段と、この判定結果よりエンジントルクの変動があるときさらに排気温度が目標温度から外れているかどうかを判定する判定手段と、この判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合と、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合とにエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射量基本値のみを、同じく判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合にエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射時期基本値のみを補正するポスト噴射補正手段と、このポスト噴射補正手段により補正されたポスト噴射を行う燃料供給装置とを備える。
【0009】
請求項11記載の発明は、排気通路にパティキュレートを捕集するフィルタを備えたエンジンの排気浄化装置において、エンジンの回転速度と負荷に応じてポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を設定するポスト噴射量・時期設定手段と、フィルタの再生時期になると、前記ポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を用いたポスト噴射により排気温度を上昇させてフィルタの再生処理を行う再生処理手段と、フィルタの再生処理中にエンジントルクの変動があるかどうかを判定するトルク変動判定手段と、この判定結果よりエンジントルクの変動があるときさらに排気温度が目標温度から外れているかどうかを判定する判定手段と、この判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合と、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合とにエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射量基本値のみを、同じく判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合にエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射時期基本値のみを補正し、同じく判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合にエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射量基本値とメイン噴射を補正するポスト・メイン噴射補正手段と、このポスト・メイン噴射補正手段により補正されたポスト噴射とメイン噴射を行う燃料供給装置とを備える。
【0010】
【発明の効果】
フィルタの再生処理の開始後にエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合と、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合とにエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように、請求項1、11に記載の発明によればポスト噴射量基本値のみを、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合にエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように、請求項1、11に記載の発明によればポスト噴射時期基本値のみを補正するので、再生処理のためのポスト噴射を行った場合にエンジン本体や燃料噴射装置に製作バラツキや経時劣化に伴うエンジントルクの変動と排気温度の目標温度からの外れとが共に生じることがあっても、速やかにトルク変動を抑制しつつ排気温度を目標温度へと収束させることができ、運転性を阻害することなくフィルタの再生処理を的確に行うことができる。
【0011】
この場合、制御対象は基本的にポスト噴射やメイン噴射を行う燃料供給装置であり、この燃料供給装置を用いて排気温度とエンジントルクの2つの制御パラメータを同時に制御しているので、フィルタ再生処理中の燃費の悪化を防ぎ、かつ排気温度とエンジントルクを目標に収束するまでの時間を短縮することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
まず、図1において、1はディーゼルエンジンで、2は吸気通路、3は排気通路を示す。排気通路3には排気中のパティキュレートを捕集するフィルタ4が設置される。フィルタ4のパティキュレートの捕集量が所定値に達すると、排気温度を上昇させてパティキュレートを燃焼除去する。
【0014】
フィルタ4の圧力損失(フィルタ4の上流と下流の圧力差)を検出するために、フィルタ4をバイパスする差圧検出通路に差圧センサ12が設けられる。
【0015】
この差圧センサ12により検出されるフィルタ4の圧力損失は、クランク角センサ13からのエンジン回転速度、アクセルセンサ14からのアクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)、エアフローメータ15からの吸入空気流量と共にコントローラ11に送られ、主にマイクロプロセッサで構成されるコントローラ11では、これらに基づいて次のようにフィルタ4の再生処理を行う。
【0016】
すなわち、再生処理前には差圧センサ12により検出した圧力損失ΔPと再生開始判定値とを比較して再生開始時期になったかどうかを判定し、再生開始時期になったとき排気温度を上昇させてのフィルタ4の再生処理を開始し、その後に差圧センサ12により検出した圧力損失ΔPと再生終了判定値とを比較して再生終了時期になったかどうかを判定し、再生終了時期時期になったとき再生処理を終了する。
【0017】
フィルタ4の再生処理は基本的には排気温度を目標温度(パティキュレートが燃焼するに最適な温度のこと)にまで上昇させる処理である。この場合、排気温度はエンジンの負荷と回転速度により異なるので、図2に示したように全運転領域を大きく4つに区分けし、区分けした各運転領域での排気温度に応じて次のように再生処理を行う。
【0018】
領域R1:全負荷付近の領域であり、この領域では排気温度が目標温度となり、再生処理を行わせなくても自然にパティキュレートが燃焼して再生が行われるため、再生処理は行わない。
【0019】
領域R2:領域R1より低負荷側である領域R2〜R4では排気温度が目標温度とならないため強制的に再生処理を行う必要がある。このため領域R2ではまず燃料噴射装置(例えばサプライポンプ6、コモンレール7、インジェクタ8からなるコモンレール式噴射装置)から噴射される燃料の噴射時期(メイン噴射時期)を通常(再生処理前)よりも遅らせることによって再生処理を行う。メイン噴射時期の遅角によって排気温度は目標温度へと上昇する。
【0020】
領域R3:メイン噴射時期の遅角によっては排気温度を目標温度にできない領域であり、メイン噴射時期の遅角に代わってポスト噴射(メイン噴射後にさらに膨張行程で噴射すること)を行うことによって再生処理を行う。この膨張行程でのポスト噴射により排気温度は目標温度へと上昇する。
【0021】
領域R4:排気温度がもともと低い低負荷域であり、この領域では上記いずれの方法によっても排気温度を目標温度へと上昇させることができないので、再生処理は行わない。
【0022】
上記の領域R3におけるポスト噴射量が小量であれば、ポスト噴射燃料の殆どは排気温度の上昇のための熱に変化してトルクを生ずるまでに到らないのであるが、ポスト噴射量が大きくなると一部はトルクに変化するため、再生処理の前後でエンジントルクの変動が生じ運転性上好ましくない。このため、再生処理の前後でエンジントルクの変動が生じることがないように、領域R3におけるポスト噴射量、ポスト噴射時期およびメイン噴射量を調節している。例えば、ポスト噴射の有無でPV線図が図3に示したように異なるのであるが、この場合に、図示の面積AsとApとが等しくなるようにポスト噴射量、ポスト噴射時期およびメイン噴射量を調節することによって再生処理の前後でエンジントルクに差がないようにすることが可能である。
【0023】
このように領域R3においてポスト噴射を行うことにより再生処理を行い、その際に再生処理の前後でエンジントルクが同等となるようにポスト噴射量、ポスト噴射時期、メイン噴射量およびメイン噴射量を設定しているのであるが、エンジン本体や燃料噴射装置に個体差(圧縮比、インジェクタ8の噴射特性、コモンレール圧などがバラツク)があり、またこれらに経時劣化が生じるので、ポスト噴射を行っての再生開始直後にエンジントルクが低下したりこの逆に上昇するといったエンジントルクの変動が生じるだけでなく排気温度が目標温度を外れて高くなったり低くなったりする事態が生じ得るので、これを回避するため、本実施形態では、ポスト噴射を行っての再生処理の開始後にエンジントルクの変動が生じたかどうかみて、トルク変動が生じたときにはさらに排気温度が目標温度を外れているかどうかをみる。そしてこれらの結果により次に示す▲1▼〜▲4▼のの4つの場合には、原則的にポスト噴射を制御する(場合によってはメイン噴射をも制御する)ことによって再生処理前後のトルク変動を抑制しつつ排気温度が目標温度に収まるようにする。
【0024】
▲1▼エンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が高過ぎる場合、
▲2▼エンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が低過ぎる場合、
▲3▼エンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が高過ぎる場合、
▲4▼エンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が低すぎる場合、
次に、コントローラ11により行われるこれらの制御内容を以下のフローチャートに従って説明する。
【0025】
まず図4、図5は本発明で新たに導入した補正フラグを設定するためのもので、所定の時間毎(例えば10ms毎)に繰り返し実行する。
【0026】
ここで、補正フラグとは後述するポスト噴射量減量フラグ1、ポスト噴射量減量フラグ2、ポスト噴射量増量フラグ、ポスト噴射時期遅角フラグ、メイン噴射量増量フラグの5つのフラグの総称である。
【0027】
ステップ1ではクランク軸(エンジン出力軸)の角速度ωを演算する。角速度ωの演算は、例えばクランク角センサ13からの信号を用いて各気筒の爆発行程中に設けた所定のクランク角区間に要する時間Tintを計測し、
ω=所定のクランク角区間/Tint…(1)
の式でクランク軸の角速度ωを計算すればよい。
【0028】
ステップ2、3、4は再生処理の開始タイミングとなったときポスト噴射を行う領域(以下単に「ポスト噴射域」という。)にあるのかどうか、またその後の再生処理中にもポスト噴射域にあるのかどうかを判定する部分である。すなわちステップ2で今回の再生処理フラグの値を、ステップ4で前回の再生フラグの値を、ステップ3でエンジン回転速度Neと燃料噴射量基本値Qf1とから定まる運転条件が図2に示した領域R3(つまりポスト噴射域)にあるかどうかをみる。
【0029】
ここで、再生処理フラグは、フィルタ4の圧力損失ΔPが大きくなり、この圧力損失ΔPが再生開始時圧力損失である再生開始判定値より大きくなったときに1となり、その後に圧力損失ΔPが再生終了時圧力損失である再生終了判定値より小さくなったときにゼロに戻るフラグであり、圧力損失ΔPが再生開始判定値以下であるときにはゼロとなっている(図16の最上段参照)。
【0030】
今回の再生処理フラグ=1で前回の再生フラグ=0のとき(今回初めて再生処理フラグが1となったとき)かつポスト噴射域であればステップ5に進み、そのときの角速度ωをメモリω0に移す。これによりメモリω0の値には再生処理開始時のクランク軸の角速度が取り込まれる。
【0031】
今回の再生処理フラグ=1で前回の再生フラグ=1のとき(再生処理中)かつポスト噴射域であればステップ6で再生処理開始タイミングからの角速度の変化量Δωを、
Δω=ω−ω0…(2)
の式により計算する。
【0032】
再生処理の開始によりポスト噴射が行われるが、この場合にエンジン本体や燃料噴射装置の個体差や経時劣化により、ポスト噴射量が多過ぎるときにはエンジントルクが増加して角速度ωが上昇するため角速度変化量Δωが正の値で大きくなり、この逆にポスト噴射量が少なすぎるときにはエンジントルクが減少して角速度ωが下降するため角速度変化量Δωが負の値で大きくなる。
【0033】
このため、ステップ7で角速度変化量Δωと許容値α(αは正の一定値)、−αを比較し、Δωが許容範囲に収まっている(−α≦Δω≦α)ときにはエンジントルクの変動を抑制するための制御を行うまでもないのでそのまま今回の処理を終了する。
【0034】
これに対してΔω>αである(角速度変化量が許容値を外れて大きい)ときまたはΔω<−αである(角速度変化量が許容値を外れて下回る)ときには角速度変化量が許容範囲に収まっていない(つまりエンジントルクの変動量が許容範囲を外れている)と判断して図5に進む。
【0035】
図5のステップ8では補正フラグ設定済フラグをみる。補正フラグ設定済フラグは、後述するようにポスト噴射量、ポスト噴射時期あるいはメイン噴射量の補正が必要かそれとも不要であるかを調べた後に1となるフラグである(ステップ20参照)。このため、再生処理フラグ=1となりかつポスト噴射域で角速度変化量Δωが許容範囲を外れているとしてステップ8に進んできた当初は補正フラグ設定済フラグ=0であるのでステップ9以降に進む。
【0036】
ステップ9では温度センサ16により検出されるフィルタ上流温度T1(排気温度)を読み込む。
【0037】
ステップ10、11、12、13、14、15では角速度変化量Δωと許容値α、−αとを、またフィルタ上流温度T1と目標温度とを比較することにより次の▲1▼〜▲5▼の5つの場合を判定し、そのうち▲1▼〜▲4▼の場合に対してはステップ16、17、18、19においてその判定結果に応じて次のようにフラグを設定する。ただし、ここでの目標温度は基準温度Tm(例えば550℃程度)を中心にして許容範囲を有するもので、Tm+β(βは正の一定値)を目標温度上限、Tm−βを目標温度下限としてその間はすべて目標温度であり、フィルタ上流温度がこの目標温度にある限りパティキュレートの燃焼が最適に行われる。
【0038】
▲1▼Δωがαより大きくかつT1がTm+βを超えている場合:
これはエンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が高過ぎる場合である。このときにはステップ10、11よりステップ16に進んでポスト噴射量減量フラグ1=1とする。
【0039】
ここで、ポスト噴射量減量フラグ1はポスト噴射量減量フラグ1=1のときポスト噴射量の減量を指示する。この指示により図6(a)に示したように破線から実線へとポスト噴射量が減量されると、排気温度が低下しかつエンジントルクも低下する。
【0040】
▲2▼Δωがαより大きくかつT1がTm−βを下回っている場合:
これはエンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が低過ぎる場合である。このときにはステップ10、11、12よりステップ17に進んでポスト噴射時期遅角フラグ=1とする。
【0041】
このポスト噴射時期遅角フラグはポスト噴射時期遅角フラグ=1のときポスト噴射時期の遅角を指示する。この指示により図6(b)に示したように破線から実線へとポスト噴射時期が遅角されると、膨張行程でのポスト噴射による燃焼熱のうちエンジントルクへと変換される割合が減り排気通路3へと放出される熱が増加するため、エンジントルクが低下しつつ排気温度が上昇する。
【0042】
▲3▼Δωが−αより小さくかつT1がTm+βを超えている場合:
これはエンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が高すぎる場合である。このときにはステップ10、13、14よりステップ18に進んでメイン噴射量増量フラグ=1かつポスト噴射量減量フラグ2=1とする。
【0043】
メイン噴射量増量フラグとポスト噴射量減量フラグ2とはこれらのフラグがともに1のときメイン噴射量の増量とポスト噴射量の減量とを指示する。この指示により図6(c)に示したように破線から実線へとメイン噴射量が増量されかつポスト噴射量が減量されると、メイン噴射量の増量でエンジントルクが増加し、ポスト噴射量の減量で排気温度が低下する。
【0044】
▲4▼Δωが−αより小さくかつT1がTm−βを下回っている場合:
これはエンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が低すぎる場合である。このときにはステップ10、13、14、15よりステップ19に進んでポスト噴射量増量フラグ=1とする。
【0045】
ポスト噴射量増量フラグはポスト噴射量増量フラグ=1のときポスト噴射量の増量を指示する。この指示により図6(d)に示したようにポスト噴射量が増量されると、膨張行程でのポスト噴射による燃焼熱がエンジントルクへと変換される割合が増すため、エンジントルクが増加しかつ排気温度も上昇する。
【0046】
▲5▼それ以外、つまり次の場合には何もしない。
【0047】
1.Δωが許容値上限であるαを外れて大きいがT1が目標温度に収まって
いる場合、
2.Δωが許容値下限である−αを外れて小さいがT1が目標温度に収まっ
ている場合、
これで補正フラグの設定を終了するので、ステップ20では補正フラグ設定済みフラグ=1とする。この補正フラグ設定済みフラグ=1より次回からはステップ9以降に進むことができない。つまり、補正フラグは再生処理の開始後にトルク変動が生じたときに一度だけ1に設定される。
【0048】
次に、ポスト噴射量、ポスト噴射時期、メイン噴射量の各演算方法を具体的に説明する。
【0049】
まず図7、図8、図9はポスト噴射量QPを演算するためのもので、クランク角の基準位置信号(図ではRef.で略記)の入力毎に実行する。
【0050】
図7のステップ31、32で再生処理フラグと運転域をみる。再生処理フラグ=0であるとき、あるいは再生処理フラグ=1であってもポスト噴射量域にないときにはポスト噴射を行う必要がないので、ステップ66に進んでポスト噴射量QP=0とする。
【0051】
再生処理フラグ=1かつポスト噴射域にあるときにはポスト噴射を行う必要があるため、ステップ33以降に進んでポスト噴射量を演算する。
【0052】
ステップ33ではエンジン回転速度Ne、メイン噴射量基本値Qf1、フィルタ上流温度T1を読み込む。ここで、メイン噴射量基本値Qf1は後述するようにアクセル開度とエンジン回転速度に応じて定まる基本燃料噴射量Mqdrvに各種の補正を施して得た燃料噴射量である(図13のステップ93参照)。
【0053】
ステップ34ではエンジン回転速度Neとメイン噴射量基本値Qf1とから図10を内容とするマップを検索することによりポスト噴射量基本値QP0を演算する。ポスト噴射量基本値は、運転条件(Ne、Qf1)に応じて変化する排気温度に対応させており、排気温度が低くなる低負荷ほど大きくなる。これは、排気温度が低くなる低負荷ほど目標温度との差が大きくなるので、その分ポスト噴射量を大きくする必要があるからである。最適値は最終的にはマッチングにより定める。
【0054】
図7のステップ35、図8のステップ36、37ではポスト噴射量減量フラグ1、ポスト噴射量減量フラグ2、ポスト噴射量増量フラグをみる。
(1)ポスト噴射量減量フラグ1=1のとき
図7のステップ38に進み、フィルタ上流温度T1が目標温度の外(図では「許容範囲外」で示す。図8、図11、図13において同じ。)であるかどうかをみる。フィルタ再生処理の開始後にポスト噴射量減量フラグ1が1となった当初はT1が目標温度上限であるTm+βより高いので、ステップ39に進みポスト噴射量補正値(減量側補正値)QPHOS1(初期値はゼロ)を、
QPHOS1=QPHOS1z+ΔQP1…(3)
ただし、QPHOS1z:QPHOS1の前回値、
ΔQP1:増分、
の式により演算する。ポスト噴射量補正値QPHOS1は演算周期毎にΔQP1づつ大きくなる値である。
【0055】
ステップ40ではポスト噴射量基本値QP0からこのポスト噴射量補正値QPHOS1を差し引いて、つまり、
QP=QP0−QPHOS1…(4)
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。(4)式はポスト噴射量を減量補正する式である。
【0056】
ポスト噴射量減量フラグ1=1のとき(エンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が高すぎる場合)にポスト噴射量QPを減量すると、フィルタ上流温度T1が低下し、これに伴いエンジントルクも低下するので、ポスト噴射量QPの減量を継続するとやがてフィルタ上流温度T1が目標温度に収まる。
【0057】
このときには角速度変化量Δωも許容値αに収まったものとみなしてポスト噴射量の減量を終了するため図7のステップ38よりステップ41に進みポスト噴射量減量フラグ1=0とした後、ステップ42でポスト噴射量補正値QPHOS1の値をメモリQPL1に移し、次回の再生処理に備えてQPHOS1=0とする。QPL1はフィルタ上流温度T1が目標温度に収まったときのポスト噴射量の減量側補正値である。
【0058】
そして、ステップ43ではポスト噴射量基本値QP0とこのメモリ値とを用いて、
QP=QP0−QPL1…(5)
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。
【0059】
最後にステップ44ではポスト噴射量減量済フラグ1=1とする。
(2)ポスト噴射量減量フラグ2=1のとき
上記(1)のポスト噴射量減量フラグ1=1のときと同様である。
【0060】
図8のステップ45に進み、フィルタ上流温度T1が目標温度の外であるかどうかをみる。フィルタ再生処理の開始後にポスト噴射量減量フラグ2が1となった当初はT1が目標温度上限であるTm+βより高いので、ステップ46に進みポスト噴射量補正値(減量側補正値)QPHOS2(初期値はゼロ)を、
QPHOS2=QPHOS2z+ΔQP2…(6)
ただし、QPHOS2z:QPHOS2の前回値、
ΔQP2:増分、
の式により演算する。ポスト噴射量補正値QPHOS2は演算周期毎にΔQP2づつ大きくなる値である。
【0061】
ステップ47ではポスト噴射量基本値QP0からこのポスト噴射量補正値QPHOS2を差し引いた値、つまり、
QP=QP0−QPHOS2…(7)
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。(7)式はポスト噴射量を減量補正する式である。
【0062】
ポスト噴射量減量フラグ2=1かつメイン噴射量増量フラグ=1のとき(エンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が高すぎる場合)に(7)式によりポスト噴射量を減量し、後述する(15)式によりメイン噴射量を増量すると、フィルタ上流温度T1が低下しつつエンジントルクが増加するので、ポスト噴射量の減量とメイン噴射量の増量を継続するとやがてフィルタ上流温度T1が目標温度に収まる。
【0063】
このときには角速度変化量Δωも許容値に収まったものとみなしてポスト噴射量の減量を終了するためステップ45よりステップ48に進みポスト噴射量減量フラグ2=0とした後、ステップ49でポスト噴射量補正値QPHOS2の値をメモリQPL2に移すと共に次回の再生処理に備えてQPHOS2=0とする。QPL2はフィルタ上流温度T1が目標温度に収まったときのポスト噴射量の減量側補正値である。
【0064】
そして、ステップ50ではポスト噴射量基本値QP0とこのメモリ値とを用いて、
QP=QP0−QPL2…(8)
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。
【0065】
最後にステップ51ではポスト噴射量減量済フラグ2=1とする。
(3)ポスト噴射量増量フラグ=1のとき
図8のステップ52に進み、フィルタ上流温度T1が目標温度の外であるかどうかをみる。フィルタ再生処理の開始後にポスト噴射量増量フラグ1が1となった当初はT1が目標温度下限であるTm−βより低いので、ステップ53に進みポスト噴射量補正値(増量側補正値)QPHOS3(初期値はゼロ)を、
QPHOS3=QPHOS3z+ΔQP3…(9)
ただし、QPHOS3z:QPHOS3の前回値、
ΔQP3:増分、
の式により演算する。ポスト噴射量補正値QPHOS3は演算周期毎にΔQP3ずつ大きくなる値である。
【0066】
ステップ54ではポスト噴射量基本値QP0にこのポスト噴射量補正値QPHOS3を加算し、つまり、
QP=QP0+QPHOS3…(10)
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。(10)式はポスト噴射量を増量補正する式である。
【0067】
ポスト噴射量増量フラグ=1のとき(エンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が低すぎる場合)に(10)式によりポスト噴射量を増量すると、フィルタ上流温度T1が上昇し、これに伴いエンジントルクも上昇するので、ポスト噴射量の増量を継続するとやがて上流温度T1が目標温度に収まる。
【0068】
このときには角速度変化量Δωも許容値に収まったものとみなしてポスト噴射量の増量を終了するためステップ52よりステップ55に進みポスト噴射量増量フラグ=0とした後、ステップ56でポスト噴射量補正値QPHOS3の値をメモリQPL3に移すと共に次回の再生処理に備えてQPHOS3=0とする。QPL3はフィルタ上流温度T1が目標温度に収まったときのポスト噴射量の増量側補正値である。
【0069】
そしてステップ57では、ポスト噴射量基本値QP0とこのメモリ値とを用いて、
QP=QP0+QPL3…(11)
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。
【0070】
最後にステップ58ではポスト噴射量増量済フラグ1=1とする。
【0071】
図7のステップ41でのポスト噴射量減量フラグ1=0、図8のステップ48、55でのポスト噴射量減量フラグ2=0、ポスト噴射量増量フラグ=0より、次回には図9に進む。
【0072】
図9のステップ59〜64は補正によりフィルタ上流温度T1が目標温度に収まった時点の補正値(つまりQPL1、QPL2、QPL3)を保持する部分である。
【0073】
ステップ59、60、61ではポスト噴射量減量済フラグ1、ポスト噴射量減量済フラグ2、ポスト噴射量増量済フラグをみる。ポスト噴射量減量済フラグ1=1のときにはステップ59よりステップ62に進み、T1が目標温度に収まった時点の補正値(QPL1)を保持するため、
QP=QP0−QPL1
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。
【0074】
同様にして、ポスト噴射量減量済フラグ2=1のときにはステップ59、60よりステップ63に進み、T1が目標温度に収まった時点の補正値(QPL2)を保持するため、
QP=QP0−QPL2
の式により、ポスト噴射量増量済フラグ=1のときにはステップ59、60、61よりステップ64に進み、T1が目標温度に収まった時点の補正値(QPL3)を保持するため、
QP=QP0+QPL3
の式により最終のポスト噴射量QPを算出する。
【0075】
一方、それ以外のとき(再生処理の開始後に角速度変化量Δωが許容値を外れることがなかったとき)には補正を行う必要がないので、図7のステップ35、図8のステップ36、37、図9のステップ59、60、61よりステップ65に進み、ポスト噴射量基本値QP0をそのまま最終のポスト噴射量QPとする。
【0076】
図11はポスト噴射時期ITPを演算するためのもので、クランク角の基準位置信号(図ではRef.で略記)の入力毎に実行する。
【0077】
ステップ71、72で再生処理フラグ=1かつポスト噴射域にあるときだけステップ73に進み、エンジン回転速度Ne、メイン噴射量基本値Qf1、フィルタ上流温度T1を読み込む。
【0078】
ステップ74ではエンジン回転速度Neとメイン噴射量基本値Qf1とから図12を内容とするマップを検索することによりポスト噴射時期基本値ITP0を演算する。ポスト噴射時期基本値は、運転条件(Ne、Qf1)に応じて変化する排気温度に対応させており、排気温度が低くなる低負荷ほど遅角側になる。
これは、排気温度が低くなる低負荷ほど目標温度との差が大きくなるので、その分ポスト噴射時期を遅角側にする必要があるからである。最適値はマッチングにより定める。
【0079】
ステップ75ではポスト噴射時期遅角フラグをみる。ポスト噴射時期遅角フラグ=1のときにはステップ76に進み、フィルタ上流温度T1が目標温度の外であるかどうかをみる。フィルタ再生処理の開始後にポスト噴射時期遅角フラグが1となった当初はT1が目標温度下限であるTm−βより低いので、ステップ77に進みポスト噴射時期補正値(遅角側補正値)ITPHOS(初期値はゼロ)を、
ITPHOS=ITPHOSz+ΔITP…(12)
ただし、ITPHOSz:ITPHOSの前回値、
ΔITP:増分、
の式により演算する。ポスト噴射時期補正値ITPHOSは演算周期毎にΔITPずつ大きくなる値である。
【0080】
ステップ78ではポスト噴射時期基本値ITP0にこのポスト噴射時期補正値ITPHOSを加算し、つまり、
ITP=ITP0+ITPHOS…(13)
の式により最終のポスト噴射時期ITPを算出する。
【0081】
ここで、ポスト噴射時期基本値ITP0は例えば吸気下死点から進角側に測ったクランク角であり、これに補正値ITPHOSを加えると、ポスト噴射時期は遅角側に移動する。つまり(13)式はポスト噴射時期を遅角補正する式である。
【0082】
ポスト噴射時期遅角フラグ=1のとき(エンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が低すぎる場合)にポスト噴射時期ITPを遅角すると、フィルタ上流温度T1が上昇しつつエンジントルクが低下するので、ポスト噴射時期ITPの遅角を継続するとやがて上流温度T1が目標温度に収まる。
【0083】
このときには角速度変化量Δωも許容値α以下になったものとみなしてポスト噴射時期の遅角を終了するためステップ76よりステップ79に進みポスト噴射時期遅角フラグ=0とした後、ステップ80でポスト噴射時期補正値ITPHOSの値をメモリITPLに移すと共に次回の再生処理に備えてITPHOS=0とする。ITPLはフィルタ上流温度T1が目標温度に収まったときのポスト噴射時期の遅角側補正値である。
【0084】
そして、ステップ81ではポスト噴射時期基本値ITP0とこのメモリ値とを用いて、
ITP=ITP0+ITPL…(14)
の式により最終のポスト噴射時期ITPを算出する。
【0085】
最後にステップ82ではポスト噴射時期遅角済フラグ=1とする。
【0086】
このポスト噴射時期遅角フラグ=0より、次回にはステップ75よりステップ83に進みポスト噴射時期遅角済フラグをみる。ポスト噴射時期遅角済フラグ=1のときにはステップ84に進み、T1が目標温度に収まった時点の補正値(ITPL)を保持するため、
ITP=ITP0+ITPL
の式により最終のポスト噴射時期ITPを算出する。
【0087】
一方、それ以外のとき(再生処理の開始後に角速度変化量Δωが許容値の外になることがなかったとき)には補正を行う必要がないので、ステップ83よりステップ85に進みポスト噴射時期基本値ITP0をそのまま最終のポスト噴射時期ITPとする。
【0088】
図13はメイン噴射量Qfを演算するためのもので、クランク角の基準位置信号(図ではRef.で略記)の入力毎に実行する。
【0089】
ステップ91でエンジン回転速度Ne、アクセル開度CL、フィルタ上流温度T1を読み込み、ステップ92でNeとCLから図14を内容とするマップを検索することにより基本燃料噴射量Mqdrvを演算する。ステップ93ではこの基本燃料噴射量Mqdrvに対してエンジン冷却水温等に基づいて各種の補正を行い、この補正後の値をメイン噴射量基本値Qf1とする。
【0090】
ステップ94、95で再生処理フラグと運転域をみる。再生処理フラグ=1かつポスト噴射域にあるときだけステップ96に進み、メイン噴射量増量フラグをみる。メイン噴射量増量フラグ=1のときにはステップ97に進み、フィルタ上流温度T1が目標温度の外であるかどうかをみる。フィルタ再生処理の開始後にメイン噴射量増量フラグが1となった当初はエンジントルクが不足しかつT1が目標温度上限であるTm+βより高いので、ステップ98に進みメイン噴射量補正値(増量側補正値)QMHOS(初期値はゼロ)を、
QMHOS=QMHOSz+ΔQM…(15)
ただし、QMHOSz:QMHOSの前回値、
ΔQM:増分、
の式により演算する。メイン噴射量補正値QMHOSは演算周期毎にΔQMずつ大きくなる値である。
【0091】
ステップ99ではメイン噴射量基本値Qf1にこのメイン噴射量補正値QMHOSを加算し、つまり、
QM1=Qf1+QMHOS…(16)
の式によりメイン噴射量QM1を算出する。(16)式はメイン噴射量を増量補正する式である。
【0092】
メイン噴射量増量フラグ=1のとき(エンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が高すぎる場合)にメイン噴射量を増量しかつ前述のようにポスト噴射量を減量すると、エンジントルクが増加しつつ排気温度が低下するので、メイン噴射量の増量とポスト噴射量の減量とを継続するとやがてフィルタ上流温度T1が目標温度に収まる。
【0093】
このときには角速度変化量Δωも許容値に収まったものとみなしてメイン噴射量の増量を終了するためステップ97よりステップ100に進みメイン噴射量増量フラグ=0とした後、ステップ101でメイン噴射量補正値QMHOSの値をメモリQMLに移すと共に次回の再生処理に備えてQMHOS=0とする。QMLはフィルタ上流温度T1が目標温度に収まったときのメイン噴射量の増量側補正値である。
【0094】
そして、ステップ102ではメイン噴射量基本値Qf1とこのメモリ値とを用いて、
QM1=Qf1+QML…(17)
の式によりメイン噴射量QM1を算出する。
【0095】
最後にステップ103ではメイン噴射量増量済フラグ=1とする。
【0096】
このメイン噴射量増量フラグ=0より、次回にはステップ96よりステップ104に進みメイン噴射量増量済フラグをみる。メイン噴射量増量済フラグ=1のときにはステップ105に進み、T1が目標温度に収まった時点の補正値(QML)を保持するため、
QM1=Qf1+QML
の式によりメイン噴射量QM1を算出する。
【0097】
一方、再生処理フラグ=1かつポスト噴射域にあるときでもメイン噴射量増量フラグ=0であるとき(再生処理の開始後に角速度変化量Δωが許容値の外になることがなかったとき)には補正を行う必要がないのでステップ94、95、96、104よりステップ106に進んで、また再生処理フラグ=0であるとき、あるいは再生処理フラグ=1であってもポスト噴射域にないときにはステップ94、95よりステップ106に進んで、メイン噴射量基本値Qf1をそのままメイン噴射量QM1とする。
【0098】
最後にステップ107ではこのようにして演算したメイン噴射量QM1と最大噴射量QM1maxを比較し、QM1がQM1maxを超えるときには最大噴射量QM1maxをメイン噴射量Qfとして設定する。これに対して、QM1がQM1max以下のときにはQM1をそのままメイン噴射量Qfとして設定する。なお、最大噴射量QM1maxは図15に示したようにエアフロメータ出力より演算されるシリンダ吸入空気量Qacとエンジン回転速度Neに応じて設定されている。
【0099】
なお、図示しないが、再生処理の終了タイミングで補正フラグ設定済フラグ=0、ポスト噴射量減量済フラグ1=0、ポスト噴射量減量済フラグ2=0、ポスト噴射量増量済フラグ=0、ポスト噴射時期遅角済フラグ=0、メイン噴射量増量済フラグ=0としている。また、再生処理の終了タイミングで補正量(QPHOS1、QPHOS2、QPHOS3、ITPHOS)とメモリ(QPL1、QPL2、QPL3、ITPL)にゼロを入れている。
【0100】
そして、上記のように演算されたポスト噴射量QP、ポスト噴射時期ITP、メイン噴射量Qf、図示しないフローにより演算されるメイン噴射時期に基づいて再生処理の開始前には圧縮行程から膨張行程にかけての所定の時期にインジェクタ8が開かれてメイン噴射のみが行われ、ポスト噴射域での再生処理中になると、膨張行程でもう一度インジェクタ8が開かれてポスト噴射が行われる。また、メイン噴射量基本値Qf1は図7、図11のフローにおいて用いられる。
【0101】
ここで、本実施形態の作用を上記▲3▼の場合について図16のモデル図を参照しながら説明する。
【0102】
エンジンの回転速度Neと燃料噴射量(メイン噴射量基本値)により定まる運転条件がポスト噴射域にあり、この場合にt1のタイミングで再生処理フラグ=1となったとすれば、t1のタイミングより再生処理のためメイン噴射に加えて膨張行程でのポスト噴射が実行される。このポスト噴射の実行によりポスト噴射分の燃料が燃焼して排気温度が上昇する。ただし、説明の便宜上、運転条件は一定であるものとする。
【0103】
なお、図ではt1でポスト噴射を加える際にメイン噴射量QM1を一定量だけ少なくしている。これは、インジェクタ8にその特性上より最低の噴射量があり、これ以下の噴射量を指令してもインジェクタ8が開くことができず、従ってポスト噴射を行うことができないので、ポスト噴射量がインジェクタ8の最低噴射量を常に超えているようにするためメイン噴射量を少なくし、その分ポスト噴射量を嵩上げするものである。また、ポスト噴射量の動きは拡大して示しており、従ってポスト噴射量の縦軸のスケールとメイン噴射量の縦軸のスケールは違っている。
【0104】
上記▲3▼の場合とは、エンジン本体や燃料噴射装置のバラツキによりエンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が高すぎる場合であり、図示のように角速度変化量Δωが許容値(−α)を外れて下回っている(第2段目の破線参照)。
これに対して本実施形態によれば、角速度変化量Δωが許容値(−α)を外れて下回りかつフィルタ上流温度T1が目標温度上限であるTm+βを超えるt2のタイミングでメイン噴射量増量フラグ=1かつポスト噴射量減量フラグ2=1となり、これら2つのフラグの指示によって、ポスト噴射量QPが補正値QPHOS2により一定の速度で減量されると共にメイン噴射量QM1が補正値QMHOSにより一定の速度で増量される。
【0105】
これらメイン噴射量とポスト噴射量の燃料補正を継続すると、エンジン出力軸の角速度ωは下降から上昇へと反転し、かつフィルタ上流温度T1も上昇から下降へと反転する。
【0106】
そしてメイン噴射量とポスト噴射量の燃料補正をフィルタ上流温度T1が目標温度上限であるTm+βに達するまで続けると、角速度変化量Δωも許容値(−α)に収まるので、T1が目標温度上限に達したt3のタイミングからはt3のタイミングでのメイン噴射量、ポスト噴射量に対する各補正値QML、QPL2が、再生処理が終了するt4のタイミングまで維持される。
【0107】
このように、再生処理の開始後に角速度変化量Δωが許容値(−α)を外れて下回るトルク変動が生じかつそのときの排気温度であるT1が目標温度を外れて高すぎる場合にポスト噴射量を減量しかつメイン噴射量を増量するようにしたので、再生処理のためポスト噴射を行った場合にエンジン本体や燃料噴射装置に製作バラツキや経時劣化に伴いエンジントルクの低下と排気温度の高過ぎとが共に生じることがあっても、速やかにエンジントルクを回復させつつ排気温度を目標温度へと低下させることができる。
【0108】
また、エンジントルクを回復させつつ排気温度を目標温度へと低下させるためポスト噴射量を減量しメイン噴射量を増量するからといって、排気温度が十分に低下せず目標温度を外れて高いときにはフィルタ4の耐久性が悪くなり、この逆に排気温度の低下が大き過ぎ目標温度を外れて低くなったときにはパティキュレートが燃焼しないのであるが、本実施形態では排気温度が目標温度に収まるようにポスト噴射量とメイン噴射量をフィードバック制御するので、フィルタ4の耐久性を悪くしたりすることも、フィルタ4の再生が不十分になることもない。
【0109】
このように、本実施形態では、ポスト噴射域でポスト噴射による再生処理を開始した後にエンジン本体や燃料噴射装置に製作バラツキや経時劣化に伴うエンジントルクの変動が生じたとき、さらにそのときの排気温度をみて上記した▲1▼〜▲4▼の4つに場合分けし、それぞれの場合にエンジントルクの変動を解消しつつ排気温度を目標温度に収めるようにポスト噴射の量や時期を、必要に応じてメイン噴射量をも補正(制御)するようにしたので、再生処理のためのポスト噴射を行った場合にエンジン本体や燃料噴射装置に製作バラツキや経時劣化に伴いエンジントルクの変動と排気温度の目標温度からの外れとが生じることがあっても、速やかにトルク変動を抑制しつつ目標温度へと収束させることができ、これによって運転性を阻害することなくフィルタの再生を的確に行うことができる。
【0110】
この場合、制御対象は基本的にポスト噴射とメイン噴射を行う燃料噴射装置の一つだけであり、この一つだけの制御対象を用いて排気温度とエンジントルクの2つの制御パラメータを同時に制御しているので、従来装置と比較してフィルタ再生処理中の燃費の悪化を防ぎ、かつ排気温度とエンジントルクを目標に収束するまでの時間を短縮することができる。
【0111】
実施形態は、ポスト噴射域での再生処理のたびに補正値(QPHOS1、QPHOS2、ITPHOS、QPHOS3)を演算する構成であるため、例えば上記▲1▼の場合には、ポスト噴射域での再生処理の開始のたびにエンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が高過ぎるという事態が生じ、そこからの補正が始まる。これを避けるには学習制御を導入することであり、例えばメモリ(QPL1、QPL2、ITPL、QPL3)の値を再生処理の終了後もそのまま記憶させておき、次回の再生処理時にそのメモリの値を用いてポスト噴射量、ポスト噴射時期、メイン噴射量を演算し、その各演算値に基づいてポスト噴射やメイン噴射を行うことにすれば、ポスト噴射域での次回の再生処理時に補正を改めて行うまでもなく、エンジントルクが出過ぎてトルク変動が生じかつ排気温度が目標温度より高過ぎるという事態を避けることができる。
【0112】
再生処理の開始後にトルク変動を検出する手段としては前述したようにクランク角センサ13を用いて角速度を演算しその変化量から推定する方法が一般的であるが、スロットルセンサを備えるエンジンでは、スロットルセンサにより検出されるスロットル開度の変化量から推定することも可能である。
【0113】
実施形態では、上記▲3▼の場合(エンジントルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が高過ぎる場合)にメイン噴射量を増量しかつポスト噴射量を減量したが、これに代えて図17に示したようにポスト噴射時期を破線から実線へと進角するようにしてもかまわない(第2実施形態)。また、メイン噴射量を増量しかつポスト噴射量を減量する手段と、ポスト噴射時期を進角する手段の両方を併用してもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す概略構成図。
【図2】再生処理を行うための運転領域図。
【図3】ポスト噴射のある場合とない場合の違いを示すPV線図。
【図4】補正フラグの設定を説明するためのフローチャート。
【図5】補正フラグの設定を説明するためのフローチャート。
【図6】補正内容を説明するための噴射波形図。
【図7】ポスト噴射量の演算を説明するためのフローチャート。
【図8】ポスト噴射量の演算を説明するためのフローチャート。
【図9】ポスト噴射量の演算を説明するためのフローチャート。
【図10】ポスト噴射量基本値の特性図。
【図11】ポスト噴射時期の演算を説明するためのフローチャート。
【図12】ポスト噴射時期基本値の特性図。
【図13】メイン噴射量の演算を説明するためのフローチャート。
【図14】基本燃料噴射量の特性図。
【図15】最大噴射量の特性図。
【図16】トルクが不足してトルク変動が生じかつ排気温度が高すぎる場合の作用を説明するための波形図。
【図17】第2実施形態の補正内容を説明するための噴射波形図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 吸気通路
3 排気通路
4 フィルタ
8 インジェクタ
11 コントローラ
12 差圧センサ
13 クランク角センサ
Claims (19)
- 排気通路にパティキュレートを捕集するフィルタを備えたエンジンの排気浄化装置において、
エンジンの回転速度と負荷に応じてポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を設定するポスト噴射量・時期設定手段と、
フィルタの再生時期になると、前記ポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を用いたポスト噴射により排気温度を上昇させてフィルタの再生処理を行う再生処理手段と、
フィルタの再生処理中にエンジントルクの変動があるかどうかを判定するトルク変動判定手段と、
この判定結果よりエンジントルクの変動があるときさらに排気温度が目標温度から外れているかどうかを判定する判定手段と、
この判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合と、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合とにエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射量基本値のみを、同じく判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合にエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射時期基本値のみを補正するポスト噴射補正手段と、
このポスト噴射補正手段により補正されたポスト噴射を行う燃料供給装置と
を備えることを特徴とする排気浄化装置。 - エンジントルクの変動は、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れた場合であることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
- エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合に、前記ポスト噴射量基本値を減量側に補正することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
- エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合に、前記ポスト噴射時期基本値を遅角側に補正することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
- エンジンの回転速度と負荷に応じてメイン噴射量基本値を設定する手段を備え、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合に、前記ポスト噴射量基本値を減量側に補正しかつメイン噴射量基本値を増量側に補正することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
- エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合に、前記ポスト噴射量基本値を増量側に補正することを特徴とする請求項2に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まるまでポスト噴射量基本値を減量側に補正し続けることを特徴とする請求項3に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まるまでポスト噴射時期基本値を遅角側に補正し続けることを特徴とする請求項4に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まるまでポスト噴射量基本値を減量側に補正し続けることを特徴とする請求項5に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まるまでポスト噴射量基本値を増量側に補正し続けることを特徴とする請求項6に記載の排気浄化装置。
- 排気通路にパティキュレートを捕集するフィルタを備えたエンジンの排気浄化装置において、
エンジンの回転速度と負荷に応じてポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を設定するポスト噴射量・時期設定手段と、
フィルタの再生時期になると、前記ポスト噴射量基本値またはポスト噴射時期基本値を用いたポスト噴射により排気温度を上昇させてフィルタの再生処理を行う再生処理手段と、
フィルタの再生処理中にエンジントルクの変動があるかどうかを判定するトルク変動判定手段と、
この判定結果よりエンジントルクの変動があるときさらに排気温度が目標温度から外れているかどうかを判定する判定手段と、
この判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合と、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合とにエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射量基本値のみを、同じく判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて大きくかつ排気温度が目標温度から外れて低い場合にエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射時期基本値のみを補正し、同じく判定結果よりエンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合にエンジントルクの変動を抑制しつつ同時に排気温度が目標温度に収まるように前記ポスト噴射量基本値とメイン噴射を補正するポスト・メイン噴射補正手段と、
このポスト・メイン噴射補正手段により補正されたポスト噴射とメイン噴射を行う燃料供給装置と
を備えることを特徴とする排気浄化装置。 - トルク変動は、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れた場合であることを特徴とする請求項11に記載の排気浄化装置。
- エンジンの回転速度と負荷に応じてメイン噴射量基本値を設定する手段を備え、エンジン出力軸の角速度の変化量が許容値を外れて下回りかつ排気温度が目標温度から外れて高い場合に、ポスト噴射量基本値を減量側に補正しかつメイン噴射量基本値を増量側に補正することを特徴とする請求項11に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まるまでポスト噴射量基本値を減量側に補正し続けかつメイン噴射量基本値を増量側に補正し続けることを特徴とする請求項13に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まったときの減量側への補正値を記憶し、この記憶した減量側への補正値を次回の再生処理時のポスト噴射量の演算に用いることを特徴とする請求項7に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まったときの増量側への補正値を記憶し、この記憶した増量側への補正値を次回の再生処理時のポスト噴射量の演算に用いることを特徴とする請求項10に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まったときの遅角側への補正値を記憶し、この記憶した遅角側への補正値を次回の再生処理時のポスト噴射時期の演算に用いることを特徴とする請求項8に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まったときの進角側への補正値を記憶し、この記憶した進角側への補正値を次回の再生処理時のポスト噴射時期の演算に用いることを特徴とする請求項9に記載の排気浄化装置。
- 排気温度が目標温度に収まったときのポスト噴射量基本値に対する減量側への補正値とメイン噴射量基本値に対する増量側への補正値とを記憶し、これら記憶した各補正値を次回の再生処理時のポスト噴射量とメイン噴射量の演算に用いることを特徴とする請求項14に記載の排気浄化装置。
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