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JP4170669B2 - 積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装材料やディスプレイ材料、半導体材料等の表面における酸素や水蒸気に対する保護層として主に用いられる積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスバリア性を有する膜は、主に、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気等の影響を防ぐために、食品や医薬品等の包装材料として用いられたり、液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを避けるための、電子デバイス等のパッケージ材料として用いられている。また、近年においては、従来ガラス等を用いていた部分にフレキシブル性や耐衝撃性を持たせる等の理由から、ガスバリア性を有する樹脂性のフィルムが用いられる場合もある。
【0003】
このようなガスバリア性を有するフィルムは、プラスチックフィルムを基材として、その片面または両面にガスバリア層を形成する構成をとるのが一般的である。ガスバリア性を有する膜を高分子樹脂基材上に乾式成膜する方法として、プラズマCVD法等の乾式成膜法を用いて酸化珪素膜(シリカ膜)や酸化アルミニウム膜(アルミナ膜)を形成する方法が知られている(例えば、特開平8−176326号公報、特開平11−309815号公報、特開2000−6301号公報等)。当該ガスバリアフィルムは、CVD法およびPVD法等の様々な方法で形成されているが、特に、プラズマCVD法は、高分子樹脂基材に熱的ダメージを与えることなく、ガスバリア性と屈曲性に優れた酸化珪素膜や酸化アルミニウム膜を形成できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、従来のガスバリアフィルムは、2cc/m/day程度の酸素透過率(OTR)や、2g/m/day程度の水蒸気透過率(WVTR)を有するにすぎず、より高いガスバリア性を必要とする用途に使用される場合には、未だ不十分なものであった。
【0005】
また、従来はガスバリア層を形成する前処理として、プラスチックフィルムの表面の洗浄は酸素プラズマにより行われていた。この酸素プラズマによる洗浄により、プラスチックフィルムの表面がエッチングされ、若干の凹凸を形成することにより、ガスバリア層を均一な層とすることができず、また密着性を向上させることが困難であり、高いガスバリア性を有する膜を形成することが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した問題から、基材との密着性が高く、ガスバリア性の高い、均一な層を形成することが可能な積層体の製造方法の提供が望まれている。
【0007】
【課題が解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載するように、基材上に、自己組織化単分子膜を形成する原料として、前記基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ前記基材表面に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を用いて、CVD法により自己組織化単分子膜を形成する自己組織化単分子膜形成工程と、形成された自己組織化単分子膜から前記配向基を除去する配向基除去工程と、前記配向基を除去した自己組織化単分子膜上に真空成膜法を用いて酸化珪素膜を形成する酸化珪素膜形成工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、基材上にCVD法によって自己組織化単分子膜を形成することにより、基材表面に均一かつ密に自己組織化単分子膜を形成することが可能である。また、上記自己組織化単分子膜を形成している配向基を除去する配向基除去工程により、上記自己組織化単分子膜の表面を酸化物とし、上記自己組織化単分子膜表面の酸化物上に酸化珪素膜形成工程を行うことにより、酸化珪素膜の密着性を向上させることが可能となる。また、均一かつ密に形成された上記自己組織化単分子膜上に上記酸化珪素膜が形成することにより、酸化珪素膜も均一かつ密に形成することが可能となり、ガスバリア性が向上した積層体を製造することが可能となる。
【0009】
上記請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように上記自己組織化単分子膜形成工程が、熱CVD法を用いた工程であることが好ましい。
【0010】
上記自己組織化単分子膜形成工程において、熱CVD法を用いることにより、基材上に、より均一に上記自己組織化単分子膜を形成することが可能となり、積層体をガスバリア性の高いものとすることが可能となるからである。
【0011】
上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、下記の一般式(1)で示される化合物が、前記自己組織化単分子膜形成工程における自己組織化単分子膜形成物質として用いられることが好ましい。
【0012】
αXR β (1)
(ここで、Rは、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や多重結合を有するものも含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。また、Rは、ハロゲン、または−OR(Rは、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。また、Xは、Si、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素である。ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
【0013】
ここで、Rは上述したような配向基であり、Rは上述したような吸着基である。本発明において、自己組織化単分子膜形成物質が上記のような物質であることにより、上記基材にCVD法により自己組織化単分子膜を形成し、上記基材との密着性を向上させることが可能となる。さらに、自己組織化単分子膜形成物質が上記のような物質であることにより、配向基除去工程および酸化珪素膜形成工程により形成された酸化珪素膜との密着性を向上させることが可能となり、ガスバリア性も向上させることが可能となる。
【0014】
さらに、上記請求項3に記載された発明においては、請求項4に記載するように、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、および3−クロロプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも一つの材料が、前記自己組織化単分子膜形成工程における自己組織化単分子膜形成物質として用いられることが好ましい。本発明においては、これらの材料を自己組織化単分子膜形成物質とすることにより、基材および酸化珪素膜との密着性をより向上させることが可能となるからである。
【0015】
上記請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項5に記載するように、上記配向基除去工程および上記酸化珪素膜形成工程が、プラズマCVD法を用いて同時に行われることが好ましい。上記配向基除去工程および上記酸化珪素膜形成工程をプラズマCVD法により行うことにより、プラズマによる上記自己組織化単分子膜の配向基の除去と、酸化珪素膜の形成とを同時に行うことが可能となり、製造効率やコストの面から好ましいからである。さらに、酸化珪素膜の形成をプラズマCVD法により行うことにより、基材等に熱的ダメージを与える可能性が少ないことから、例えば樹脂性のフィルムや半導体等を基材として用いることが可能となるからである。
【0016】
上記請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項6に記載するように、上記自己組織化単分子膜形成工程を行う前に、上記基材を表面処理する基材処理工程を有してもよい。上記基材を表面処理することにより、上記基材上に形成する自己組織化単分子膜との密着性を向上させることが可能となるからである。
【0017】
上記請求項6に記載された発明においては、請求項7に記載するように、上記基材処理工程がUV処理を用いた工程であることが好ましい。上記基材処理工程をUV処理により行うことにより、例えばプラズマ処理等で行った場合に上記基材の表面に形成される凹凸等を形成することがなく処理することが可能となり、上記基材上に形成した自己組織化単分子膜の密着性をより向上させることが可能となる。
【0018】
本発明は、請求項8に記載するように、基材と、前記基材の片面または両面に形成された密着性向上層と、前記密着性向上層上に形成された酸化珪素膜からなるガスバリア層とを有し、前記密着性向上層は前記基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ前記基材上に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を原料として用いて形成された、自己組織化単分子膜における前記配向基が除去された層であることを特徴とする積層体を提供する。
【0019】
本発明によれば、基材上に密着性向上層を形成することにより、上記基材と酸化珪素膜の密着性を向上させた層とすることが可能となる。また、密着性向上層が、上記のような層であり、均一かつ密な層であることから、その上に形成された酸化珪素膜を均一かつ密な膜とすることが可能となり、ガスバリア性の高い積層体とすることが可能である。
【0020】
上記請求項8に記載された発明においては、請求項9に記載するように、上記基材が、有機材料であることが好ましい。上記基材が有機材料であることにより、柔軟性が必要とされる目的にも使用することが可能となることから、例えば包装材料や有機EL素子等の電子デバイスにも使用することが可能となるからである。
【0021】
上記請求項8または請求項9に記載された発明においては、請求項10に記載するように、上記ガスバリア層の厚さが5nm〜500nmであることが好ましい。上記ガスバリア層の厚さが上記範囲より薄い場合には、均一な層を形成することが困難であることから、必要とされるガスバリア性を付与することが困難となり、上記ガスバリア層の厚さが上記範囲より厚い場合には、クラックが入りやすくなり、またフィルムのカールが増大すること等から、好ましくない。
【0022】
上記請求項8から請求項10までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項11に記載するように、酸素透過率が0.5cc/m/day以下で、水蒸気透過率が0.5g/m/day以下であることが好ましい。酸素透過率および水蒸気透過率を上記範囲内とすることにより、高いガスバリア性を有する積層体とすることが可能となるからである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、ガスバリア性を有する積層体およびその製造方法に関するものである。以下、これらについてわけて説明する。
【0024】
A.積層体の製造方法
本発明の積層体の製造方法は、基材上に、自己組織化単分子膜を形成する原料として、前記基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ前記基材表面に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を用いて、CVD法により自己組織化単分子膜を形成する自己組織化単分子膜形成工程と、形成された自己組織化単分子膜から前記配向基を除去する配向基除去工程と、前記配向基を除去した自己組織化単分子膜上に真空成膜法を用いて酸化珪素膜を形成する酸化珪素膜形成工程とを有することを特徴とするものである。
【0025】
本発明においては、自己組織化単分子膜形成工程によって、基材上に自己組織化単分子膜を形成することにより、基材表面に自己組織化単分子膜を均一かつ密に形成することが可能であり、この均一かつ密な自己組織化単分子膜上に酸化珪素膜を形成することにより、形成した酸化珪素膜を均一かつ密な酸化珪素膜とすることが可能となる。また、自己組織化単分子膜上に酸化珪素膜を形成する酸化珪素膜形成工程の前に、自己組織化単分子膜の配向基を除去する配向基除去工程を行うことにより、自己組織化単分子膜と酸化珪素膜の密着性を向上させることが可能となるのである。以下、これらの製造方法について詳しく説明する。
【0026】
1.自己組織化単分子膜形成工程
本発明の自己組織化単分子膜形成工程は、基材上に、自己組織化単分子膜を形成する原料として、上記基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ上記基材表面に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向する配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を用いて、CVD法により自己組織化単分子膜を形成する工程である。これらについてわけて説明する。
【0027】
a.自己組織化単分子膜形成物質
本発明の自己組織化単分子膜形成物質とは、自己組織化単分子膜を形成する物質であり、後述する基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ後述する基材表面に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する物質であれば、特に限定されるものではない。
【0028】
ここで、自己組織化単分子膜とは、固体/液体もしくは固体/気体界面で、有機分子同士が自発的に集合し会合体を形成しながら自発的に単分子膜を形作っていく有機薄膜である。例として、ある特定の材料でできた基板を、その基板材料と化学的親和性の高い有機分子の溶液または蒸気にさらすと、有機分子は基板表面で化学反応し吸着する。その有機分子が、化学的親和性の高い官能基と、基板との化学反応を全く起こさないアルキル基との2つのパートからなり、親和性の高い官能基がその末端にある場合、分子は反応性末端が基板側を向き、アルキル基が外側を向いて吸着する。アルキル基同士が集合すると、全体として安定になるため、化学吸着の過程で有機分子同士は自発的に集合する。分子の吸着には、基板と末端官能基との間で化学反応が起こることが必要であることから、いったん基板表面が有機分子でおおわれ単分子膜ができあがると、それ以降は分子の吸着は起こらない。その結果、分子が密に集合し、配向性のそろった有機単分子膜ができる。このような膜を本発明においては、自己組織化単分子膜とするのである。上記の自己組織化単分子膜形成物質についてそれぞれの構成にわけて説明する。
【0029】
(1)配向基
本発明における配向基とは、自己組織化単分子膜形成物質を基材上に、単分子状態で配向させるための基のことをいう。この配向基が基材と化学反応をおこさない基であることから、後述する吸着基によって自己組織化単分子膜形成物質が基板上に固定された場合、配向基は基材の表面に配置される。この配向基が多数基材表面に集合すると、配向基同士が自発的に配向するため、分子が密に集合し配向性のそろった有機単分子膜を形成することが可能となる。また、この配向基が反応性の低い基であるために、配向基上には他の分子の吸着等が起こらないことから、自己組織化単分子膜は単分子状態の膜を形成することとなる。
【0030】
本発明においては、自己組織化単分子膜形成物質が、上述した配向基を少なくとも一つ有することが好ましい。自己組織化単分子膜形成物質が、基材となる上記酸化珪素膜上に配向するための配向基を少なくとも一つ有することによって、基材の表面において配向基が単分子状態で配向し、自己組織化単分子膜を基材の全面に形成することが可能となるからである。
【0031】
本発明における配向基として、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や二重結合のような多重結合のあるもの等が含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。特に炭素数が3〜22までであることが好ましい。具体的には、オクタデシル基、ノニル基、オクテニル基、オクチル基、ペンタフルオロフェニルプロピル基、ペンチル基、フェネチル基、フェニル基、プロピル基、テトラデシル基、トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基、イソオクチル基、イロブチル基、ヘキシル基、ヘキセニル基、テキサデシル基、ヘプチル基、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシル基、エイコシル基、ドデシル基、ジメトキシメチル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、ペンタコンシル基、トリコンチル基、シクロヘキシル基、クロロプロピル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ブチル基、およびこれらの置換基の炭素に結合した水素が一部ハロゲンに置換した基が好ましく、中でもオクタデシル基、オクチル基、フェニル基、トリデカフルオロテトラヒドロオクチル基、イソブチル基、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシル基、ドデシル基、クロロプロピル基が好ましい。
【0032】
(2)吸着基
本発明における吸着基とは、自己組織化単分子膜形成物質が、基材上に吸着するための基のことをいう。この吸着基は、化学的親和性の高い官能基であるため、基材の表面に存在する物質と容易に化学結合をすることにより、自己組織化単分子膜形成物質が、基材上に固定されるのである。また、吸着基が複数ある場合においては、吸着基が基材の表面に存在する物質に吸着するだけでなく、隣り合う分子間同士においても結合が形成される場合もあることから、自己組織化単分子膜の強度が向上する。
【0033】
本発明においては、自己組織化単分子膜形成物質が、吸着基を少なくとも一つ有することが好ましい。自己組織化単分子膜を構成する分子に、このような吸着基を少なくとも一つ有することによって、後述する基材の表面分子に自己組織化単分子膜を構成する分子が吸着することが可能となり、基材表面全体に均一かつ密に自己組織化単分子膜を形成することが可能となるのである。
【0034】
本発明においては、中でも吸着基を二つ以上有することが好ましい。自己組織化単分子膜を構成する分子に、上述した吸着基を少なくとも二つ有することによって、反応性官能基が複数あるため、基材表面に存在する基と反応するだけでなく、隣り合う分子間同士でも結合が形成される可能性があるため、形成された自己組織化単分子膜をより強固なものとすることが可能となるからである。
【0035】
さらに本発明においては、この吸着基がハロゲン、または−OR(Rは、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基であることが好ましい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基およびフェノキシ基(その他上記の吸着基中の水素が1個以上ハロゲンで置換された基も含む)が好ましく、中でも塩素、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
【0036】
吸着基が上述したような基であることから、例えば熱CVDを用いて成膜した場合、成膜時に原料分子が反応器中で加水分解し、後述する基材と結合することが可能となるからである。この結合により、自己組織化単分子膜を、後述する基材の全面に均一かつ密に形成することが可能となるからである。
【0037】
(3)その他
本発明において、自己組織化単分子膜形成物質には、中心となる核が存在することが好ましい。この核は、上記の配向基と吸着基の中心に存在し、自己組織化単分子膜形成物質の配向基や吸着基の数等を決定する。
【0038】
本発明においては、この核としてSi、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素であることが好ましい。自己組織化単分子膜形成物質の核が上記物質であることにより、後述する配向基除去工程において、自己組織化単分子膜における上述した配向基が除去された場合、自己組織化単分子膜の表面に、上記の核の酸化物が形成される。これにより、自己組織化単分子膜上に酸化珪素膜を形成した際に、酸化珪素膜との密着性を向上させることが可能となり、ガスバリア性も向上させることが可能となるのである。
【0039】
これまで述べてきた理由から、本発明においては、自己形成単分子膜形成物質は、下記の一般式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【0040】
αXR β (1)
ここで、Rは上述の配向基、Rは上述の吸着基、Xは上述の核となる物質である。(ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
【0041】
また、上記に示した自己組織化単分子膜形成物質の具体的な例として、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、ノニルクロロシラン、オクテニルトリクロロシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルメチルジエトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェニルジクロロシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、デシルメチルジクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルメチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシランであることが好ましい。
【0042】
本発明においては、中でもオクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ノニルクロロシラン、オクテニルトリクロロシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、テトラデシルトリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルメチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシランが好ましく、特にオクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0043】
b.基材
本発明に用いられる基材は、樹脂等の有機物であっても、半導体等に使用されるガラス等の無機物であってもよく、また用いる用途に応じて透明なものであっても不透明なものであってもよい。しかしながら、例えば包装材、さらには有機EL素子等の画像表示装置の基板などの用途面を考慮すると、基材はプラスチック材料であり、かつ透明なフィルムであることが好ましい。
【0044】
具体的には、
・エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、
・環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、
・ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、
・ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、
・ポリイミド(PI)樹脂、
・ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、
・ポリサルホン(PS)樹脂、
・ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、
・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、
・ポリカーボネート(PC)樹脂、
・ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、
・ポリアリレート(PAR)樹脂、
・エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂、
等を用いることができる。
【0045】
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリル系化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリル系化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを基材フィルムとして用いることも可能である。
【0046】
上記に挙げた樹脂等を用いた本発明の基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
【0047】
本発明の基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0048】
さらに、本発明の基材の表面には、自己組織化単分子膜との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤層を形成してもよい。このアンカーコート剤層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
【0049】
基材は、ロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。基材の厚さは、得られる積層体の用途によって異なるので一概には規定できないが、一般的な包装材料やパッケージ材料用の基材として用いる場合には、3〜188μmが好ましい。
【0050】
さらに本発明においては、基材を表面処理する基材処理工程を有してもよい。基材を表面処理することにより、基材上に形成する自己組織化単分子膜との密着性を向上させることが可能となるからである。基材上に形成する自己組織化単分子膜の基材と吸着する吸着基は、上で述べたような化学親和性の高い官能基であることから、基材の表面も化学親和性を持つことが好ましい。そのため、自己組織化単分子膜形成工程前に基材の表面に化学親和性を導入する、UV処理、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の表面処理を行ってもよい。
【0051】
中でも上記基材処理工程がUV処理を用いた工程であることが好ましい。上記基材処理工程をUV処理により行うことにより、上記基材の表面に例えばプラズマ処理等で行った場合に形成される凹凸等を形成することがなく処理することが可能となり、上記基材上に形成した自己組織化単分子膜の密着性をより向上させることが可能となる。表面に微細な凹凸が形成されることにより、気相形成膜の特性が低下し、バリア性に影響するからである。
【0052】
c.CVD法
本発明における自己組織化単分子膜形成工程は、上述した基材上に自己組織化単分子膜形成物質を材料として、CVD法により自己組織化単分子膜を形成する工程である。本発明に用いられるCVD法は、一般的にCVD法と称される方法であれば特に限定されるものではないが、本発明の自己組織化単分子膜形成工程においては、熱CVD法を用いることが好ましい。熱CVD法においては、原料となる上述した自己組織化単分子膜形成物質を気化し、高温加熱した基材上に均一になるように材料を送り込み、酸化、還元、置換等の反応を行わせることから、上述した基材の全面に均一に自己組織化単分子膜を形成することが可能となる。
【0053】
本発明における熱CVD法の好ましい成膜条件としては、上述した基材の耐熱温度以下であれば、高ければ高いほどよいが、50℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。また、反応系中に水分、あるいは酸素が含まれることが、上記自己組織化単分子膜形成物質のアルコキシ基の加水分解反応がより促進され、基材との反応性が高くなることから好ましい。
【0054】
2.配向基除去工程
本発明における配向基除去工程とは、上述した自己組織化単分子膜形成工程により形成された自己組織化単分子膜の上記配向基を自己組織化単分子膜上から除去する工程である。本発明の配向基除去工程は、上記自己組織化単分子膜上から上記配向基を除去することが可能であれば、方法等は特に限定されるものではない。配向基を除去する例として、上記自己組織化単分子膜に真空紫外光を照射すると、上記配向基は上述したような有機物等により構成されており、上記配向基中のC−C結合やC−H結合が励起され、切断されることによりラジカルが生成する。このラジカルはさらに、雰囲気中の残留酸素が真空紫外光によって励起されて発生した原子状酸素と反応し、有機成分は分解し、水や二酸化炭素となって除去される。
【0055】
ここで、上記自己組織化単分子膜の骨格を形成する物質は上述したような珪素等であることから、光照射によって除去されずに酸化物となる。この酸化物上に、後述する酸化珪素膜形成工程により酸化珪素膜が形成されることから密着性が向上し、ガスバリア性の高い積層体を製造することが可能となるのである。
【0056】
本発明における配向基除去工程は、具体的には、UV照射、プラズマ照射、ラジカル照射、もしくはイオンボンバードメント(アルゴン等)による除去処理、さらには熱カルシネーション(加熱除去)による処理等により行うことが可能であり、特に後述する酸化珪素膜形成工程と同時に、プラズマCVD法により行うことが好ましい。プラズマCVD法においては、プラズマにより配向基を除去する工程と、後述する酸化珪素膜形成工程と同時に行うことが可能であることから、製造効率やコストの面からも好ましいからである。
【0057】
3.酸化珪素膜形成工程
本発明における酸化珪素膜形成工程は、上述した配向基除去工程により、上記自己組織化単分子膜における配向基を除去した自己組織化単分子膜上に真空成膜法により酸化珪素膜を形成する工程である。
【0058】
本発明における真空成膜法とは、PVD法であっても、CVD法であってもよく、真空状態において行う成膜法であれば、特に限定されるものではないが、特にプラズマCVD法により酸化珪素膜を形成することが好ましい。上述したようにプラズマCVD法においては、酸化珪素膜を形成するのと同時に、上述した配向基除去工程を同時に行うことが可能となり、製造効率やコスト面からも好ましいからである。また、プラズマCVD法は、高分子樹脂に熱的ダメージが加わらない程度の低温(およそ−10〜200℃程度の範囲)で所望の材料を成膜でき、さらに原料ガスの種類・流量、成膜圧力、投入電力によって、得られる膜の種類や物性を制御できるという利点があることから、上述した基材等に熱的ダメージを与える可能性が少なく、基材として例えば熱的耐性の弱い樹脂性の基材等を使用することが可能となり、種々の用途に使用できる積層体とすることが可能となるからである。
【0059】
本発明においては、プラズマCVD装置の反応室内に、有機珪素化合物ガスと酸素ガスとの混合ガスを所定の流量で供給すると共に、電極に直流電力または低周波からマイクロ波の範囲内での一定周波数を持つ電力を印加してプラズマを発生させ、そのプラズマ中で有機珪素化合物ガスと、酸素原子を有するガス、中でも酸素ガスとが反応することによって基材上に酸化珪素膜を形成することが好ましい。使用されるプラズマCVD装置のタイプは特に限定されず、種々のタイプのプラズマCVD装置を用いることができる。通常は、長尺の高分子樹脂フィルムを基材として用い、それを搬送させながら連続的に酸化珪素膜を形成することができる連続成膜可能な装置が好ましく用いられる。
【0060】
本発明におけるプラズマCVD法の好ましい成膜条件の一例を挙げると、温度条件としては、−20〜100℃の範囲内であり、基材の耐熱性に依存するが、成膜温度は高ければ高いほどよい。原料ガスである有機珪素化合物ガスと酸素原子を含むガスとの分圧比としては、有機珪素化合物ガスを1とした場合に、1〜50の範囲内、好ましくは1〜10の範囲内とすることである。
【0061】
そして、プラズマCVD装置のプラズマ発生手段における単位面積当たりの投入電力を大きく設定したり、マグネット等プラズマの閉じ込め空間を形成しその反応性を高めること等により、その効果がより高く得られる。
【0062】
また、本発明においては、上記原料ガスの内、有機珪素化合物ガスとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトライソプロピル−1,3−ジクロロジシロキサン、テトラエチルシラン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジメチルジシロキサン、テトラデシルトリクロロシラン、テトラ−n−ブチルシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、n−プロピルジメチルクロロシラン、フェニルトリメチルシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリフルオロシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、フェニルメチルシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルメチルクロロシラン、フェニルエチルジクロロシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルジクロロシラン、フェノキシトリメチルシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、フェノキシトリクロロシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、ペンタメチルジシロキサン、ペンタメチルクロロジシラン、ペンタフルオロフェニルトリメチルシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルプロピルジメチルクロロシシラン、ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジクロロシラン、n−オクチルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルシラン、n−オクタデシルメチルジエトキシシラン、n−オクタデシルメチルジクロロシラン、n−オクタデシルメトキシジクロロシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、n−オクタデシルジメチルメトキシシラン、n−オクタデシルジメチルクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−n−オクチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルペンチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリメチルシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリクロロシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロロシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジクロロシラン、イソブチルジメチルクロロシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメチルシラン、ヒドロキシメチルトリメチルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリフルオロシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルシラン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘキシルジクロロシラン、ヘキサフェニルジシロキサン、ヘキサフェニルジシラン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、n−ヘキサデシルトリクロロシラン、ヘキサクロロジシロキサン、ヘキサクロロジシラン、n−ヘプチルトリクロロシラン、n−ヘプチルメチルジクロロシラン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシラン、エチルトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルメチルジクロロシラン、2−エチルヘキシロキシトリメチルシラン、エチルジメチルシラン、エチルジメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、エチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリクロロシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジクロロシラン、ドデシルジメチルクロロシラン、ドデカメチルペンタシロキサン、ドコシルメチルジクロロシラン、1,3−ジシラブタン、1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン、ジフェニルシランジオール、ジフェニルシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルメチルシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルジフルオロシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、1,3−ジオクチルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジ−n−オクチルテトラエトキシジシロキサン、ジ−n−オクチルジクロロシラン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,3−ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,4−ジメチルジシリルエタン、ジメチルメトキシシクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、(3,3−ジメチルブチル)ジメチルクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、ジイロプロピルクロロシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジクロロシラン、ジエチルシラン、ジエチルメチルシラン、ジエチルジヘニルシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、1,3−ジクロロテトラフェニルジシロキサン、1,3−ジクロロテトラメチルジシロキサン、ジクロロテトラメチルジシラン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラジロキサン、(ジクロロメチル)トリメチルシラン、(ジクロロメチル)トリクロロシラン、(ジクロロメチル)メチルジクロロシラン、(ジクロロメチル)ジメチルクロロシラン、(ジクロロメチル)(クロロメチル)ジメチルシラン、1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサン、1,2−ジクロロエチルトリクロロシラン、1,1−ジクロロ−3,3−ジメチル−1,3−ジシラブタン、ジ−t−ブチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルクロロシラン、ジ−t−ブチルジクロロシラン、ジ−t−ブチルクロロシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジベンジロキシジクロロシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−デシルメチルジクロロシラン、n−デシルジメチルクロロシラン、デカメチルテトラシロキサン、シクロトリメチレンジメチルシラン、シクロトリメチレンジクロロシラン、シクロテトラメチレンジメチルシラン、シクロテトラメチレンジクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンタメチレンジメチルシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、3−クロロプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−クロロプロピルトリメチルシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルフェニルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルクロロシラン、3−クロロプロピルジブチルメチルシラン、p−クロロフェニルトリメチルシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、クロロフェニルメチルジクロロシラン、クロロメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、クロロメチルトリメチルシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリクロロシラン、クロロメチルペンタメチルジシロキサン、クロロメチルメチルジイソプロポキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジクロロシラン、クロロメチルジメチルシラン、クロロメチルジメチルフェニルシラン、クロロメチルジメチルイソプロポキシシラン、クロロメチルジメチルエトキシシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、クロロメチルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリクロロシラン、1−クロロエチルトリクロロシラン、2−クロロエチルシラン、2−クロロエチルメチルジクロロシラン、4−クロロブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、t−ブチルメチルジクロロシラン、n−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルジフェニルメトキシシラン、t−ブチルジフェニルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、t−ブチルジクロロシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)メタン、1,4−ビス(トリメチルシリル)ベンゼン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)エタン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)1,3−ジメチルジシロキサン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリス)ノナン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,3−ビス(トリクロロシリル)プロパン、ビス(トリクロロシリル)オクタン、1,9−ビス(トリクロロシリル)ノナン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジメチルシラン、ビス(メチルジクロロシリル)ブタン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(ジクロロメチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(クロロメチル)ジメチルシラン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)オクタン、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)ヘキサン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジロキシトリメチルシラン、ベンジルジメチルシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリス(トリメチルシリル)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)シロキシジクロロシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリメチルシロキシ)クロロシラン、トリス(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルシロキシクロロシラン、トリ−n−プロピルクロロシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリス(2−クロロエトキシ)シラン、トリフェニルシラン、トリフェニルフルオロシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリオクチルシラン、トリメチルシリルトリフルオロアセテート、トリメチルシリルパーフルオロ1ブタンスルフォネート、トリメチルクロロシラン、トリイソプロポキシシラン、トリイソプロピルクロロシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジクロロシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、トリフルオロメチルトリメチルシラン、トリフルオロメチルトリエチルシラン、トリエチルシラノール、トリメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を一種または二種以上用いることができる。
【0063】
しかしながら、本発明においては、SiOライクな膜を形成する目的から、特に分子内に炭素−珪素結合が少ないか、もしくは有さない有機珪素化合物が好適に用いられる。具体的には、テトラメトキシシラン(TMOS)、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン等を挙げることができ、中でも分子内に炭素−珪素結合が存在しないテトラメトキシシラン(TMOS)およびテトラエトキシシラン(TEOS)を用いることが好ましい。
【0064】
また、酸素原子を含むガスとしては、NO、酸素、CO、CO等を挙げることができるが、中でも酸素ガスが好適に用いられる。
【0065】
このように、原料ガスのうち有機珪素化合物ガスとして炭素−珪素結合を有さない有機化合物を用い、さらに上述したような開始時の基材の温度、原料ガスの流量比、さらにはプラズマ発生手段における投入電力を上述した範囲内とすることにより、よりガスバリア性の良好な積層体が得られるのは、有機珪素化合物ガスの分解性が高くなり、膜の中に酸素原子が取り込まれやすくなり結果としてSiOライクな膜が形成されるためと考えられる。
【0066】
B.積層体
次に本発明における積層体について説明する。本発明の積層体は、基材と、前記基材の片面または両面に形成された密着性向上層と、前記密着性向上層上に形成された酸化珪素膜からなるガスバリア層とを有し、前記密着性向上層は前記基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ前記基材上に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を原料として用いて形成された自己組織化単分子膜における、前記配向基が除去された層であることを特徴とするものである。
【0067】
本発明においては、基材上に、密着性向上層を設け、その密着性向上層上にガスバリア層を積層するという構成により、ガスバリア層と基材との密着性が向上することから、ガスバリア性の高い積層体とすることが可能である。また、密着性向上層が上記のような物質であることから、密着性向上層を均一かつ密なものとすることが可能となり、その密着性向上層上に積層したガスバリア層も均一かつ密な層とすることが可能となることから、積層体に高いガスバリア性を付与することが可能となるのである。以下、これらについてそれぞれ説明する。また、本発明に使用される基材は、上記積層体の製造方法の自己組織化単分子膜形成工程において述べた基材と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0068】
(密着性向上層)
本発明における密着性向上層は、上記基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ上記基材上に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を原料として用いて形成された、自己組織化単分子膜における上記配向基が除去された層であることを特徴とするものである。
【0069】
本発明の密着性向上層は、上記積層体の製造方法の自己組織化単分子膜形成工程において述べた自己組織化単分子膜形成物質を原料として形成された自己組織化単分子膜の配向基が除去された層であり、積層体の製造方法で述べたものと同様であることから、ここでの説明は省略する。
【0070】
(ガスバリア層)
本発明におけるガスバリア層は、上記密着性向上層上に形成された酸化珪素膜であり、その製造方法や原料等は、上記積層体の製造方法の酸化珪素膜形成工程において述べたものと同様であるので、ここでの製造方法や原料等の説明は省略する。
【0071】
本発明における酸化珪素膜は、5〜500nmの厚さの範囲内であることが好ましい。酸化珪素膜の厚さが5nm未満の場合は、酸化珪素膜が基材の全面を覆うことができないことがあり、ガスバリア性を向上させることができない可能性があるため好ましくない。一方、酸化珪素膜の厚さが500nmを超えると、クラックが入り易くなること、フィルムのカールが増大すること、さらに、量産し難く生産性が低下してコストが増大すること等の不具合が起こり易くなるため好ましくない。
【0072】
また、本発明の積層体を包装材料等、フレキシブル性が要求される用途として用いる場合には、形成される酸化珪素膜の機械的特性や用途を勘案し、その厚さを5〜30nmとすることがより好ましい。酸化珪素膜の厚さを5〜30nmとすることによって、軟包装材料としてのフレキシブル性を持たせることができ、フィルムを曲げた際のクラックの発生を防ぐことができる。また、本発明の積層体が比較的薄さを要求されない用途、例えば、フィルム液晶ディスプレイ用ガスバリア膜、フィルム有機ELディスプレイ用ガスバリア膜またはフィルム太陽電池用ガスバリア膜等の用途、に用いられる場合には、ガスバリア性が優先して要求されるので、前述の5〜30nmの範囲よりも厚めにすることが好ましく、その厚さを30〜200nmとすることが生産性等も考慮した場合により好ましい。
【0073】
(積層体)
本発明の積層体は、上記の基材上に上述した密着性向上層と、その密着性向上層上に上述したガスバリア層とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、透明であっても非透明であってもよい。
【0074】
なお、本発明において、積層体は透明であることが好ましいが、各種の用途に供するために、基材やその他積層材料のうち、透明性が劣る層を任意に積層させることは自由であり、最終製品として求められる積層体の透明性およびその程度は、各種の用途によって異なる。例えば、本発明のガスバリア層を用いた積層体を包装材料として用いる場合には、内容物を光線から保護するために、有色インキ等で印刷して遮光性を出してもかまわない。その他帯電防止剤やフィラー等、積層体全体の透明性を悪くする要因がある添加物を練り混んだ層を積層したり、透明性がない金属箔等を積層したりすることができる。ただし、フィルム液晶ディスプレイ用ガスバリア膜、フィルム有機ELディスプレイ用ガスバリア膜またはフィルム太陽電池用ガスバリア膜等の用途に用いられる場合には、積層体全体が透明であることが好ましい。
【0075】
また本発明においては、積層体の酸素透過率が0.5cc/m/day以下で、水蒸気透過率が0.5g/m/day以下であることが好ましい。酸素透過率および水蒸気透過率を上記の範囲内とすることにより、内容物の品質を変化させる原因となる酸素と水蒸気を殆ど透過させないので、高いガスバリア性が要求される用途、例えば食品や医薬品等の包装材料や、電子デバイス等のパッケージ材料用に好ましく用いることができる。また、高度なバリア性から、ディスプレイ材料や、半導体材料の保護用積層体としても、好ましく用いることが可能となる。
【0076】
ここで、本発明における酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用い、23℃、90%Rhの条件で測定したものである。また、水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定したものである。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0078】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0079】
(熱CVD工程;自己組織化単分子膜成膜)
UV洗浄した12μm−PET基材と、ガラス容器に入れたオクタデシルトリメトキシシラン約0.2mlを、テフロン(登録商標)容器内に設置し、100℃のオーブン中に5時間放置し、熱CVDによる自己組織化単分子膜(以下、SAMと略称する場合がある。)形成を行った。
【0080】
SAM成膜後、水滴接触角および膜厚を測定したところ、水との接触角が約108°であり、膜厚は1.8nmであった。SAM成膜前の水滴接触角が5°以下であったので、熱CVDにより、SAMが形成されていることがわかった。
【0081】
なお、この水との接触角の測定方法は、協和界面化学社の接触角測定装置(型番CA−Z)を用い、被測定対象物の表面上に、純水を一滴(一定量)滴下させ、一定時間経過後、CCDカメラを用いて水滴形状を観察し、物理的に接触角を求める方法を用いた。
【0082】
(プラズマ処理工程;SAM配向基の除去)
SAMコーティングPET基材を,容量結合型高周波プラズマ装置の反応チャンバー(反応室)内に設置し,減圧手段により反応チャンバー内を1.0×10−4Pa以下まで真空にした。次いで、反応チャンバーの内圧が10Paとなるように酸素ガスを導入した。プラズマ生成、配向基除去には13.56MHzの高周波を用いた。処理時間3分間,200Wの電力でSAM配向基を除去した。
【0083】
(プラズマCVD工程;酸化珪素膜の成膜)
プラズマ処理工程に引き続き,SAMコーティングPET基材上に,酸化珪素膜を容量結合型高周波プラズマCVDにより成膜した。プラズマ処理工程の真空度を維持したまま,原料ガスを反応チャンバー内に導入した。原料ガスとしては、有機珪素化合物としてテトラメトキシシランを用い、酸素原子を含むガスとして酸素ガスを用いた。テトラメトキシシラン分圧と酸素分圧比を1:1とし、全圧が10Paとなるように反応チャンバー内に導入した。プラズマ生成、原料分解には13.56MHzの高周波を用いた。成膜時間10分間、200Wの電力でシリカ膜を成膜した。成膜中,基材表面温度は100℃以下であった。成膜後のシリカ膜厚は約200nmであった。
【0084】
シリカ成膜後,XPSおよびFTIRにより膜特性を評価したところ、膜中から炭素原子は検出されなかった(XPS検出限界以下)。FTIRにより、膜中にはシロキサンネットワーク以外に、OH基に起因する結合が若干含まれることが確認された。
【0085】
なお、XPSによる評価は、MgKα使用、15kV、20mA(300W)、Arイオンスパッタエッチング(深さ方向分析)という条件下で、XPS220iXL(ESCALAB社製)を用いて実施された。
【0086】
(酸素透過率および水蒸気透過率の測定)
酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用い、23℃、90%Rhの条件で測定したところ、実施例のサンプルの酸素透過率は約0.4cc/m/dayであった。また、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定したところ、実施例のサンプルの水蒸気透過率は約0.4g/m/dayであった。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、基材上にCVD法によって自己組織化単分子膜を形成することにより、基材表面に均一かつ密に自己組織化単分子膜を形成することが可能である。また、上記自己組織化単分子膜を形成している配向基を除去する配向基除去工程により、上記自己組織化単分子膜の表面を酸化物とし、上記自己組織化単分子膜表面の酸化物上に酸化珪素膜形成工程を行うことにより、酸化珪素膜の密着性を向上させることが可能となる。また、均一かつ密に形成された上記自己組織化単分子膜上に上記酸化珪素膜が形成することにより、酸化珪素膜も均一かつ密に形成することが可能となり、ガスバリア性が向上した積層体を製造することが可能となる。

Claims (7)

  1. 基材上に、自己組織化単分子膜を形成する原料として、前記基材に自己組織化単分子膜を吸着させるための吸着基を少なくとも一つ有し、かつ前記基材表面に自己組織化単分子膜を形成するように単分子で配向させる配向基を少なくとも一つ有する自己組織化単分子膜形成物質を用いて、CVD法により自己組織化単分子膜を形成する自己組織化単分子膜形成工程と、形成された自己組織化単分子膜から前記配向基を除去する配向基除去工程と、前記配向基を除去した自己組織化単分子膜上に真空成膜法を用いて酸化珪素膜を形成する酸化珪素膜形成工程とを有することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記自己組織化単分子膜形成工程が、熱CVD法を用いた工程であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 下記の一般式(1)で示される化合物が、前記自己組織化単分子膜形成工程における自己組織化単分子膜形成物質として用いられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体の製造方法。
    αXR β (1)
    (ここで、Rは、炭素数1〜30までのアルキル基あるいはアリール基(ベンゼン環)であり、炭素基は部分的に分岐鎖や多重結合を有するものも含まれる。また、炭素に結合する元素としてはフッ素や塩素等のハロゲン、水素あるいは窒素等も含まれる。また、Rは、ハロゲン、または−OR(Rは、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、またはアリル基である。ここで、炭素が酸素や水素だけでなく、ハロゲンや窒素と結合しているものも含まれる。)で示される置換基である。また、Xは、Si、Ti、Al、CおよびSからなる群から選択される一つの元素である。ここで、αおよびβは1以上であり、α+βは2から4である。)
  4. オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、および3−クロロプロピルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも一つの材料が、前記自己組織化単分子膜形成工程における自己組織化単分子膜形成物質として用いられることを特徴とする請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 前記配向基除去工程および前記酸化珪素膜形成工程が、プラズマCVD法を用いて同時に行われることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の積層体の製造方法。
  6. 前記自己組織化単分子膜形成工程を行う前に、前記基材を表面処理する基材処理工程を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記基材処理工程がUV処理を用いた工程であることを特徴とする請求項6に記載の積層体の製造方法。
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