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JP4172165B2 - t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法 - Google Patents
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JP4172165B2 - t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法 - Google Patents

t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法に関し、更に詳しくは、着色の要因となり得る副生成物の生成と触媒の使用量を抑えると共に、工業的に高純度で収率よく製造することができるt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
官能性クロロシラン化合物等の有機ハロゲン化シラン化合物は、シランカップリング剤や変性シリコーンの原料等として広く工業的に利用されるケイ素含有化合物である。特にフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物は、アルカリに可溶な性質を有することから、アルカリ可溶性ケイ素樹脂を調製するために用いることができるので、工業的に重要な化合物である。
【0003】
従来より、有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法としては、例えば、白金触媒の存在下、ジメチルクロロシランとスチレンとを用いるヒドロシリレーション反応が知られている。そして、かかる反応を応用して、フェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を製造する方法として、下記一般式(3)に示すように、スチレンの代わりにt−ブトキシ基を有するスチレンを用いて、t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を得る方法が検討されている。
【0004】
【化3】
Figure 0004172165
【0005】
しかし、上記反応過程において、反応系内に微量の水分が存在すると、下記式(4)に示すように、水分とジメチルクロロシランが反応してSi−Cl結合が外れることにより、ジメチルクロロシランが分解し、しかも、この反応により生じるHClが、t−ブトキシ基を有するスチレンと反応することにより連鎖的にt−ブチル基を脱離させる。その結果、t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の収率及び純度低下を招くという問題がある。
【0006】
【化4】
Figure 0004172165
【0007】
また、反応系内に水分がほとんど無くても、ヒドロシリレーション反応を促進させたり、あるいは蒸留による精製を行うために反応系内の温度を高温にすると、上記と同様に連鎖的にt−ブチル基が脱離し、モノマーのオリゴメリゼーションが以下の式(5)のように促進させる結果、副生成物が生成し、やはりt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の収率及び生成物中における純度の低下を招くという問題がある。このような問題があることから、工業的に高純度のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を得ることが困難であるという問題がある。
【0008】
【化5】
Figure 0004172165
【0009】
更に、上記反応により得られるt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物は、通常、沸点が非常に高いことから、純度を高めるために蒸留により精製しようとしてもかなり高温にしないと蒸留による精製が困難である。しかも、反応系内をあまり高温にすると、連鎖的にt−ブチル基が脱離し、モノマーのオリゴメリゼーションが進行して副生成物が生成する結果、収率及び純度が低下するという問題が生じる。また、有機ハロゲン化シラン化合物を製造する際には、ヒドロシリレーション反応を促進するために白金等を触媒として用いるが、かかる触媒自身が、得られる生成物を茶褐色に着色させることもあるという問題もある。
【0010】
そこで従来より、工業的に重要なt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を製造する方法として、着色の要因となり得る副生成物の生成と触媒の使用量を抑えると共に、工業的に高純度で収率よく製造することができる方法が求められていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、着色の要因となり得る副生成物の生成と触媒の使用量を抑えると共に、工業的に高純度で収率よく製造することができるt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法に関する。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者らは、t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法について鋭意検討した結果、所定構造のt−ブトキシベンゼン化合物とハロゲン化シラン化合物とを120℃以下の反応温度でヒドロシリレーション反応させ、反応終了後、反応系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を除去することにより、上記課題を解決できることを見出して本発明を完成した。
【0013】
本発明のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法は、下記一般式(1)で示されるハロゲン化シラン化合物及び下記一般式(2)で示されるt−ブトキシベンゼン化合物で構成される反応基質を、該反応基質に対して0.01〜100ppmの触媒の存在下、反応系内の温度を120℃以下としてヒドロシリレーション反応させ、該ヒドロシリレーション反応終了後、反応系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を除去することを特徴とする。
【0014】
【化6】
Figure 0004172165
【0015】
【化7】
Figure 0004172165
【0016】
上記「一般式(1)で示されるハロゲン化シラン化合物」(以下、単に「ハロゲン化シラン化合物」という。)において、XはCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原子を示す。また、R1及びR2はそれぞれ独立にアルキル基又はCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原子を示す。ここで、上記R1及びR2同士は同じアルキル基又はハロゲン原子でも、異なるアルキル基又はハロゲン原子でもよい。上記X、R1、R2のハロゲン原子としては、通常はClが用いられる。また、上記R1及び/又はR2を構成するアルキル基としては、C1〜C3のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等)が用いられる。また、このアルキル基は、炭化水素基中にハロゲン原子(F、Cl、Br、I)等、炭素原子及び水素原子以外の原子を含むものでもよい。上記R1及び/又はR2を構成するアルキル基としては、通常はメチル基が用いられる。
【0017】
上記「ハロゲン化シラン化合物」として具体的には、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、エチルジクロロシラン、n−プロピルジクロロシラン、イソプロピルジクロロシラン、(トリフルオロプロピル)ジクロロシラン、(クロロメチル)ジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラン、n−プロピルメチルクロロシラン、イソプロピルメチルクロロシラン、トリフルオロプロピルメチルクロロシラン、(クロロメチル)メチルクロロシラン、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、n−プロピルクロロシラン、イソプロピルクロロシラン、トリフルオロプロピルクロロシラン、(クロロメチル)クロロシラン、(トリメチルシリルメチル)クロロシラン等が挙げられる。
【0018】
上記「一般式(2)で示されるt−ブトキシベンゼン化合物」(以下、単に「t−ブトキシベンゼン化合物」という。)において、R3はビニル基又はアリル基を示す。この中で、通常はビニル基が用いられる。また、tBuはt−ブチル基を示す。また、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」において、t−ブトキシ基の数(m)は1〜3個、特に好ましくは1個である。更に、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」において、t−ブトキシ基の位置はいずれであっても構わないが、保護基を外してフェノール性水酸基とした場合のアルカリ可溶性が良好となるので、パラ位が好ましい。
【0019】
本発明の上記「触媒」の種類としては、上記「ハロゲン化シラン化合物」と上記「t−ブトキシベンゼン化合物」とのヒドロシリレーション反応を促進させるために通常用いられる種類のものであれば特に限定はない。このような触媒としては通常、第8族金属触媒が用いられる。該第8族金属触媒としては、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム及び白金等の第8族金属の単体、有機金属錯体、金属塩及び金属酸化物等が挙げられる。これらの中で、触媒活性の高さや取り扱いの容易さ等の理由から、白金の金属単体、有機金属錯体、金属塩及び金属酸化物が好ましく、有機白金錯体を用いることが特に好ましい。そして、本発明において、上記「触媒」の量は、反応基質、即ち、上記「ハロゲン化シラン化合物」及び上記「t−ブトキシベンゼン化合物」の合計重量に対して、第8族金属の重量として0.01〜100重量ppm、好ましくは0.05〜100重量ppm、更に好ましくは0.1〜50重量ppm、より好ましくは0.5〜40重量ppm、特に好ましくは1〜20重量ppm、最も好ましくは2〜10重量ppmである。上記「触媒」の濃度が0.01ppm未満であると、ヒドロシリレーション反応が促進されず、収率が低下するので好ましくなく、一方、100ppmを越えると、得られる生成物が着色するおそれがあるので好ましくない。
【0020】
本発明では、次いで、反応系内の温度を120℃以下として、上記「ハロゲン化シラン化合物」と上記「t−ブトキシベンゼン化合物」とをヒドロシリレーション反応させる。この場合、上記「ハロゲン化シラン化合物」と上記「t−ブトキシベンゼン化合物」に直接上記「触媒」を添加して反応を行ってもよいが、反応系の温度制御及び触媒成分の添加を容易にするため、適当な溶媒に上記「ハロゲン化シラン化合物」、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」、及び上記「触媒」を添加して反応させてもよい。このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
【0021】
本発明において、上記「ハロゲン化シラン化合物」及び「t−ブトキシベンゼン化合物」の割合については特に限定はなく、同量でも、あるいは上記「t−ブトキシベンゼン化合物」を過剰量用いてもよく、あるいは、上記「ハロゲン化シラン化合物」を上記「t−ブトキシベンゼン化合物」の必要理論量より過剰に用いることができる。上記「ハロゲン化シラン化合物」は通常、低沸点であることから、反応終了後、反応系から容易に除去できるのに対し、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」は通常、沸点が高く、高温にすると生成物が熱分解するために、蒸留により反応系から除去することが困難である。そこで、上記「ハロゲン化シラン化合物」を上記「t−ブトキシベンゼン化合物」の必要理論量より過剰に用いることにより、反応系からの除去が困難な上記「t−ブトキシベンゼン化合物」を理論上ほぼ完全に反応させ、反応系における残留を極めて低減することができるので好ましい。上記「ハロゲン化シラン化合物」を過剰に用いる場合、その割合は通常、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」に対して、1〜50%過剰、より好ましくは2〜20%過剰、最も好ましくは5〜10%過剰な割合である。上記割合が50%過剰を超える場合には、過剰な上記「ハロゲン化シラン化合物」が無駄となってコスト高となる。
【0022】
本発明における上記反応系内の温度は、120℃以下、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜100℃、更に好ましくは30〜100℃、特に好ましくは50〜90℃である。上記反応系内の温度が120℃を超えると、上記のように、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」のt−ブチル基が連鎖的に脱離し、モノマーのオリゴメリゼーションが促進される結果、収率及び純度低下、副生成物の生成による着色等を引き起こすおそれがあるので好ましくない。一方、上記反応系内の温度を20℃以上とすると、収率向上の観点から、ヒドロシリレーション反応の反応速度を適切な範囲とすることができるので好ましい。
【0023】
また、本発明のヒドロシリレーション反応は、通常、大気圧下に行われるが、加圧下で行うこともできる。また、反応雰囲気中に酸素が存在すると、白金等の触媒の存在下、酸素が上記「ハロゲン化シラン化合物」と反応してSi−H結合がSi−OHとなり、これがSi−Cl結合と反応して上記「ハロゲン化シラン化合物」を分解し、しかも、この反応により生じるHClが、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」と反応することにより連鎖的にt−ブチル基を脱離させてt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の収率及び純度低下を招くことから、通常は窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で、上記ヒドロシリレーション反応を開始する前の上記反応系内の酸素濃度を0.5%以下、好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.1%以下とすることができる。
【0024】
更に、本発明において反応系内の水分濃度は、通常は1%以下、好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下、特に好ましくは0.005%以下である。反応系内の水分濃度を1%以下とすると、水分と上記「ハロゲン化シラン化合物」が反応・分解し、それによって発生するHClガスが上記「t−ブトキシベンゼン化合物」のt−ブチル基を脱離させることを抑え、その結果、収率及び純度低下を防止できるので好ましい。水分濃度を低くする手段については特に限定はなく、通常、反応系を乾燥ガス(乾燥窒素又は乾燥アルゴン等の乾燥不活性ガス等)雰囲気下にすることにより達成できる。
【0025】
本発明において、上記「ハロゲン化シラン化合物」及び上記「t−ブトキシベンゼン化合物」がヒドロシリレーション反応をすることにより、下記一般式(6)に示すように、t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を得ることができる。尚、式中、R4はC24又はC36を示す。本発明の製造方法により得られる化合物は、R3がビニル基にあっては、下記一般式(7)で示されるようなα付加体であっても、下記一般式(8)で示されるようなβ付加体であってもよく、R3がアリル基にあっては、下記一般式(9)で示されるようなα付加体であっても、下記一般式(10)で示されるようなβ付加体であってもよい。
【0026】
【化8】
Figure 0004172165
【0027】
【化9】
Figure 0004172165
【0028】
本発明において、上記ヒドロシリレーション反応後、反応系に残留する不純物、特に、上記のように反応基質である上記「ハロゲン化シラン化合物」や上記「t−ブトキシベンゼン化合物」を過剰に用いた場合、残留している未反応の反応基質を除去するため、反応終了後に、反応系内を100℃以下に保ちながら減圧状態とする。
【0029】
上記反応系の圧力は減圧下であることが必要であるが、通常は70Pa以下、好ましくは50Pa以下、更に好ましくは30Pa以下である。かかる範囲とすることにより、生成物の分解を防止しつつ、反応系の不純物、例えば未反応の上記「ハロゲン化シラン化合物」等を容易に除去することができる結果、収率及び純度をより向上させることができるので好ましい。そして、上記反応系内の温度は100℃以下、好ましくは上記反応系の圧力が70Pa以下の場合に70〜100℃、更に好ましくは上記反応系の圧力が70Pa以下の場合に80〜100℃、より好ましくは上記反応系の圧力が50Pa以下の場合に80〜100℃、特に好ましくは上記反応系の圧力が30Pa以下の場合に80〜100℃である。上記反応系の温度が100℃を超えると、以下の式(11)に示すように、反応生成物が分解し、イソブテンとフェノール系化合物が生成する結果、収率と生成物の純度低下を引き起こす場合があるので好ましくない。また、上記反応系の温度を上記範囲とすると、蒸留による低沸点物の除去効果の低減を防止することができるので好ましい。
【0030】
【化10】
Figure 0004172165
【0031】
以上のような反応条件に従って反応を行うことにより本発明における目的化合物をほぼ化学量論的に得ることができ、このようにして得られたt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物は、高温で蒸留せずとも副反応が少なく、純度が高い。このため、釜残をそのまま高純度の製品として用いることができる。純度は、反応生成物中、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%、より好ましくは98%以上のものとすることができる。また、得られた生成物は着色も少なく、製品に色の問題がほとんどない。このため、ケイ素系モノマーとして工業的に有用である。更に、本発明の製造方法により得られるt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物は、t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有するため、酸処理又は熱処理により、t−ブチル基を外してフェノール性水酸基とすることができ、アルカリ可溶性ケイ素樹脂の調製等に用いることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳しく説明する。
(1)t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物の製造方法
原料として、t−ブトキシスチレン(F.W.=176.26、d=0.936、以下「BOST」という。)を370.2g(2.1モル)及びジメチルクロロシラン(F.W.=94.62、d=0.852、以下「DMCS」という。)を210.0g(2.2モル)使用した。そして、磁気スターラー、冷却管、滴下ロート、温度計を備えた1Lの反応装置の系内を十分な乾燥窒素雰囲気下(水分濃度:10ppm以下)とした(工程▲1▼)。続いて、上記BOSTを全量、上記DMCSを約50g及び白金触媒(Pt−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体/キシレン)0.05〜0.1ml(反応基質に対して2〜4ppm)を仕込み、系内を撹拌させながら、オイルバスで徐々に60〜80℃に加熱した(工程▲2▼)。発熱により反応の進行を確認したら、系内の温度が85〜100℃になるように、上記DMCSの残量を滴下量を調節しながら反応系に添加して反応を進行させた(工程▲3▼)。反応終了後、100℃未満の釜温度で70Paの減圧蒸留により、主に未反応のDMCS等の低沸点物を留去し(工程▲4▼)、実施例のt−ブトキシフェニルクロロシラン化合物を製造した。また、比較例として、上記工程▲4▼において、釜温度を100℃を超える温度とした他は、上記実施例と同じ方法でt−ブトキシフェニルクロロシラン化合物を製造した。
【0033】
(2)t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物の分析
実施例の上記工程▲3▼終了直後の生成物並びに上記工程▲4▼終了直後の実施例及び比較例の生成物について、ガスクロマトグラフィーによる分析を行った。分析は、カラム:パックドカラムSE30 2mカラム、キャリアーガス:Heガス(圧力:1kg/cm2)、初期温度:100℃(上記工程▲3▼終了直後及び比較例)、50℃(上記工程▲4▼終了直後の実施例)、昇温速度:10℃/minの条件下で行った。その結果を図1〜図3に示す。また、t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物が生成していることを確認するため、生成物について、GC−MSによる分析を行った。その結果を図4に示す。
【0034】
(3)実施例及び比較例の効果
図1に示すように、合成直後の生成物では、ガスクロマトグラフィーによる分析においてリテンションタイム11.36と12.35の強いピークが認められた。これは、原料であるDMCSとBOSTが反応して、下記構造式(12)及び(13)のα付加体とβ付加体が得られていることを示している。一方、BOSTのピーク位置は図1において矢印にて示しているが、ピークが認められていないことから、生成物中にBOSTの残留が認められないことが判る。更に、図1において、リテンションタイム0.75のピークは、BOSTよりも5%過剰に用いたDMCSを示し、若干未反応のDMCSが残留していることが判る。
このように、本発明の方法によれば、反応系に仕込んだ原料化合物を化学量論的に反応させることができ、実施例においてはBOSTに対してほぼ100%の収率である。
【0035】
【化11】
Figure 0004172165
【0036】
一方、図2より、製造工程終了後、上記図1のガスクロマトグラフィーに認められていたDMCSのピークが消失していることから、低沸点のDMCSが蒸留により除去されていることが分かる。一方、リテンションタイム1.77のピークは、シリンダー注入時のガス又はイソブチレンと考えられる。そして、この図2のガスクロマトグラフィーによる分析の結果から、t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物は98.8%の高純度で得られていることが判る。しかも、得られたt−ブトキシフェニルクロロシラン化合物は、目視で観察した結果、ほとんど透明で極めて着色度が低いものであり、製品として問題はないことが判った。また、図4に示すように、生成物についてGC−MSによる分析を行った結果、t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物のピークである270のピークが認められ、また、イソブチレンが脱離したことを示す214のピークが認められた。
【0037】
一方、図3より、比較例では、低沸点のDMCSは蒸留により除去され、上記t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物のα付加体とβ付加体を示すリテンションタイム11.32と12.36の強いピークが認められたが、一方で実施例と異なり、リテンションタイム0.80と7.60にも強いピークが認められた。これは、蒸留温度が100℃を超えるため、式(14)に示すように、生成したt−ブトキシフェニルクロロシラン化合物が分解し、イソブチレン(リテンションタイム0.80)とフェノール性化合物(リテンションタイム7.60)が生成していることを示している。このため、得られたt−ブトキシフェニルクロロシラン化合物の純度が約72.8%と実施例よりも低いものであることが判る。
【0038】
【化12】
Figure 0004172165
【0039】
尚、本発明においては、上記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更した実施例とすることができる。例えば、本発明において、得られた生成物をさらに精製するために、吸着物質、例えば、活性炭やシリカゲル等を用いて処理することができる。この精製により、触媒残渣等の金属不純物を取り除いて、より純度を高めると共に、着色の要因となり得る触媒残渣等の金属不純物を取り除いて、生成物の着色度を低減させることができるので好ましい。
【0040】
【発明の効果】
本発明のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法によれば、所定構造のt−ブトキシベンゼン化合物とハロゲン化シラン化合物とを120℃以下の温度でヒドロシリレーション反応させ、反応終了後、反応系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を除去することにより、高温で蒸留せずにも副反応が少なく高純度で着色が少ないt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を得ることができる。また、反応系の水分濃度及び酸素濃度を適切な範囲とすることにより、t−ブトキシベンゼン化合物やハロゲン化シラン化合物の分解を抑制し、収率及び純度を向上させることができるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の工程▲3▼終了直後の生成物のガスクロマトグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図2】実施例の工程▲4▼終了直後の生成物のガスクロマトグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図3】比較例の生成物のガスクロマトグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図4】実施例の生成物のGC−MSによる分析結果を示す図である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示されるハロゲン化シラン化合物及び下記一般式(2)で示されるt−ブトキシベンゼン化合物で構成される反応基質を、該反応基質に対して0.01〜100ppmの触媒の存在下、反応系内の温度を120℃以下としてヒドロシリレーション反応させ、該ヒドロシリレーション反応終了後、反応系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を除去することを特徴とするt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法。
    Figure 0004172165
    (式中、XはCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立にC1〜C3アルキル基又はCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原子を示す)
    Figure 0004172165
    (式中、R3はビニル基又はアリル基を示す。tBuはt−ブチル基を示し、m=1〜3である)
  2. 上記一般式(1)で示されるハロゲン化シラン化合物を、上記一般式(2)で示されるt−ブトキシベンゼン化合物の必要理論量よりも過剰量用いる請求項1記載のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法。
  3. 上記反応系内の水分濃度が1%以下である請求項1又は2記載のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法。
  4. 上記ヒドロシリレーション反応を開始する前の上記反応系内の酸素濃度が0.5%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法。
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