JP4172206B2 - 有機膜形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空チャンバー内でガス化した有機原料を基板に吸着させて有機膜を形成する有機膜形成装置に関する。詳しくは、基板へ向かう原料ガスの流れに対して、側方からガスを吹き付けることで原料ガスの流れる向きを制御し、基板の全面に原料ガスを供給するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機EL(エレクトロルミネンス)素子は発光層に有機物を利用した発光材料である。この有機EL素子は、コンピュータやテレビジョン受信機に使用されるフラットパネルディスプレイや、携帯電話のディスプレイや、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯端末のディスプレイ等のさまざまなサイズの表示装置を構成する発光材料として、また、発光ダイオード等の発光素子として用いられる。
【0003】
図8は有機EL素子の構造の一例を示す説明図である。有機EL素子101は、ガラス等の透明基板102の上に陽極であるITO(Indium−Tin Oxide)透明電極103、有機膜104、陰極である背面電極105を順に積層したものである。有機膜104は、ITO透明電極103側から、正孔注入層104a、正孔輸送層104b、発光層104c、電子輸送層104d、そして電子注入層104eを順に積層したものである。
【0004】
ITO透明電極103−背面電極105間に電圧が印加されると、ITO透明電極103からプラス電荷(正孔)が注入され、背面電極105からマイナス電荷(電子)が注入され、それぞれ有機膜104を移動する。そして、発光層104c内で電子−正孔がある確率で再結合し、この再結合の際に所定の波長を持った光が発生するものである。
【0005】
なお、有機膜104の構成としては、正孔注入層104aと正孔輸送層104bを1層で構成したもの、電子輸送層104dと電子注入層104eを1層で構成したもの、発光層104cと電子輸送層104dと電子注入層104eを1層で構成したもの等がある。
【0006】
図9はこのような有機EL素子を用いて構成した有機ELカラーディスプレイの概要を示す平面図、図10は有機ELカラーディスプレイの要部斜視図である。有機カラーディスプレイ106は、透明基板102の上にITO透明電極103がストライプ状に形成される。また、有機膜104がITO透明電極103と直交するようにストライプ状に形成され、有機膜104上に背面電極105が形成されて、ITO透明電極103と有機膜104および背面電極105をマトリクス状に配置する。これにより、電圧が印加されたITO透明電極103と背面電極105の交点の有機膜104が発光する。
【0007】
そして、有機膜104として、赤(R)に発光する有機膜104Rと緑(G)に発光する有機膜104Gと青(B)に発光する有機膜104Bを順に並べることで、RGBによる画素が形成され、カラーの表示が可能となる。
【0008】
さて、低分子の有機物を用いた有機膜の形成は、従来は真空蒸着法を用いていた。真空蒸着法とは、原材料を高真空中で加熱蒸発させ、蒸発源と対向する基板上に原材料を吸着させることで薄膜を形成する方法である。
【0009】
図11は真空蒸着法を用いた従来の有機膜形成装置の全体構成図で、図11(a)は有機膜形成装置の側断面図、図11(b)は有機膜形成装置の内部を上面から見た平面図である。
【0010】
真空チャンバー107は図示しない真空ポンプと接続され、排気を行うことで内部を高真空とできる。ここで、真空蒸着法における真空チャンバー107内の真空度は10-3〜10-4Pa(パスカル)程度である。
【0011】
蒸発源108は原材料、ここでは有機原料を蒸発させるための加熱源で、抵抗加熱、電子ビーム加熱、赤外線加熱、高周波誘導加熱等があるが、有機膜では抵抗加熱が一般に用いられている。抵抗加熱としては、開口容器109に粉末状の有機原料を入れ、開口容器109に通電することによる該開口容器109の抵抗発熱により、有機原料を間接加熱して有機原料を気化または昇華させるものである。
【0012】
有機膜を形成する基板110(図8等に示すITO透明電極103が形成された透明基板102に相当)は、基板支持台111に取り付けられ、蒸発源108と対向配置される。基板支持台111は、図示しない駆動機構により、回転軸112を中心に回転する。そして、基板支持台111の回転軸112上からずらした位置に蒸発源108が配置される。
【0013】
さて、チャンバー107内を高真空として蒸発源108で有機材料を気化または昇華させると、ガス化した有機原料はビーム状に基板110に到達する。このとき、基板支持台111を回転させることで、基板110の全面に有機原料が吸着するようにしている。
【0014】
図12は真空蒸着法を用いた他の従来の有機膜形成装置の全体構成図で、図12(a)は有機膜形成装置の側断面図、図12(b)は有機膜形成装置の内部を上面から見た平面図である。
【0015】
この例は、主に基板が大型の場合に用いられるもので、複数の蒸発源108を一列に並べて設けて、基板110の幅全体にガス化した有機原料を吸着できるようにする。そして、基板支持台113を左右にスライドする機構として、基板110の全面に有機原料が吸着するようにしている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、真空系で基板支持台の回転機構やスライド機構等を設けるのは複雑な機構が必要であり、結果として、装置のコストが上がるという問題がある。また、一般に、有機原料は高温で分解しやすいという性質を持つが、蒸着源からの熱輻射で基板温度が上昇するので、有機膜の品質に悪影響を与える。しかしながら、真空中で移動する基板支持台に、基板を冷却する機構を組み込むのは難しく、良質な有機膜を作る上で必要な基板の冷却ができないという問題がある。
【0017】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、機構的な可動部を設けることなく、基板全面に有機原料を吸着させることができる有機膜形成装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明に係る有機膜形成装置は、基板上に有機物の薄膜を形成する有機膜形成装置において、基板が収納される真空チャンバーと、真空チャンバー内で基板に対向して設けられ、ガス化した有機原料を放出する原料ガス放出手段と、原料ガス放出手段から放出されて基板へ向かう原料ガスの流れに向けて側方からガスを供給する方向制御ガス放出手段とを備えたものである。
【0019】
本発明に係る有機膜形成装置では、原料ガス放出手段から放出される原料ガスが基板へ向けて流れ、基板上に堆積して有機膜を形成する。この原料ガス放出手段から放出される原料ガスの流れに対して、側方からガスを吹き付けることで、原料ガスの流れる方向を制御する。これにより、基板側を移動させることなく、基板の全面に原料ガスを供給して均一に有機物を堆積させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の有機膜形成装置の実施の形態を説明する。図1は第1の実施の形態の有機膜形成装置1の側断面図、図2は第1の実施の形態の有機膜形成装置1の内部を上面から見た平面図である。この第1の実施の形態の有機膜形成装置1は、真空チャンバー2を用いて真空蒸着法で基板3上に有機物の薄膜を形成する装置であって、基板3に供給されるガス化した有機原料の流れに向けて、側方から不活性ガス等を放出することで、原料ガスの流れる方向を基板3に合わせて制御するものである。ここで、基板3とは、図8等で説明した透明ガラス基板102にITO透明電極を形成したもの、あるいは図示しないTFT(Thin Film Transistor)基板等である。
【0021】
有機膜形成装置1は、真空チャンバー2内に基板支持台4、蒸発源5、第1のガス導入管6a、第2のガス導入管6bを備える。真空チャンバー2には排気管7が接続され、この排気管7が図示しない真空ポンプと接続されて、真空チャンバー7内の排気が行われる。基板支持台4は真空チャンバー2内の天井部に設けられる。基板3は、この基板支持台4によって有機膜形成面を下向きに支持される。なお、排気管7の吸入口も基板支持台4に合わせて天井部に設けられる。
【0022】
基板支持台4には、図示しないが水冷管8により冷却水を循環させ、基板3を冷却する冷却手段が備えられている。ここで、基板支持台4は真空チャンバー2内に固定されており、例えば基板支持台4に水冷による冷却手段を設けた場合の水冷管8の引き出し等は、簡単な構造で行える。
【0023】
原料ガス放出手段を構成する蒸発源5は、抵抗加熱法により有機原料を気化または昇華させるもので、基板3と対向して真空チャンバー2内の底面部に設けられる。この蒸発源5は、有機原料を入れる坩堝のような開口容器5aとこの開口容器5aに通電する図示しない通電機構を備える。
【0024】
開口容器5aは、高融点でかつ各種有機原料と反応しないMo(モリブデン)やTa(タンタル)等の材質で作られる。この開口容器5aに通電すると、該開口容器5aが抵抗となって発熱する。これにより開口容器5aに粉末状の有機原料を入れて通電すると、開口容器5aが発熱することにより有機原料が間接的に加熱され、気化または昇華してガスが発生する。この有機原料のガスを原料ガスと称す。
【0025】
このような構成を有する複数の蒸発源5を、図2に示すように直列に並べて設ける。この蒸発源5を並べる長さは、基板3の幅に合わせる。蒸発源5で発生した原料ガスは、真空チャンバー2内を所定の真空度(例えば102〜103Pa)にすることで、基板3に向かって上昇する。このため、複数の蒸発源5を基板3の幅に合わせて一列に並べて設けることで、基板3の幅全体に原料ガスを供給することができる。
【0026】
方向制御ガス放出手段を構成する第1のガス導入管6aと第2のガス導入管6bは、一列に並ぶ複数の蒸発源5を挟んで対向した位置に設けられる。第1のガス導入管6aは、蒸発源5で発生した原料ガスの上方へ向かっての流れに対して、側方からガスを吹き付ける位置に放出口9aを有する。また、第2のガス導入管6bは、この放出口9aに対向する位置に放出口9bを有する。これら放出口9a,9bは、蒸発源5で発生した原料ガスの上方へ向かう流れの近傍に位置するように設けられる。
【0027】
第1のガス導入管6aの放出口9aと第2のガス導入管6bの放出口9bは、図2に示すように、蒸発源5が並ぶ長さに合わせた幅でガスを放出できる構成を有する。そして、各放出口9a,9bは、平面状にガスを放出できるように、例えば、複数のパイプ状の管を一列に並べる構造を有する。また、蒸発源5が並ぶ長さに合わせた幅で開口した1組の管で構成してもよい。
【0028】
第1のガス導入管6aと第2のガス導入管6bはタンク10と接続される。このタンク10には、各種有機原料と反応しないN2(窒素)やAr(アルゴン)等のガス(不活性ガス)が入れられる。また、第1のガス導入管6aと第2のガス導入管6bのそれぞれには、コントロールバルブ11a,11bが設けられる。これらコントロールバルブ11a,11bは、タンク10から第1のガス導入管6aおよび第2のガス導入管6bへの不活性ガスの供給の有無の切り替え、および不活性ガスの流量の制御を行う。
【0029】
第1のガス導入管6aと第2のガス導入管6bのそれぞれには、加熱手段を構成するヒータ12が設けられる。このヒータ12は、第1のガス導入管6aおよび第2のガス導入管6bを流れる不活性ガスの温度を制御する。真空チャンバー2には圧力計13が設けられる。この圧力計13の出力がフィードバックされ、排気管7に設けた図示しないバルブ等を制御することで、真空チャンバー2内を所定の真空度に保つ制御が行われる。
【0030】
図3は第1の実施の形態の有機膜形成装置1の動作を示す説明図であり、以下に第1の実施の形態の有機膜形成装置1の動作を説明する。まず、真空チャンバー2内には、基板支持台4に基板3が取り付けられる。通常、真空チャンバー2は基板3の出し入れ等を行うため、開閉可能な構造となっており、まず、真空チャンバー2を開いて基板支持台4に基板3を取り付ける。また、各蒸発源5の開口容器5aには有機原料を入れる。ここで、各蒸発源5に入れられる有機原料は同一種類である。
【0031】
そして、真空チャンバー2を閉じて気密を保つ状態とした後、図示しない真空ポンプで排気を行い、真空チャンバー2内を所定の真空度に保つ。真空チャンバー2内の圧力は圧力計13でモニタされており、原料ガスの供給等で変化する真空チャンバー2内の圧力を一定に保つ制御を行う。
【0032】
次に、開口容器5aに通電して、該開口容器5aの抵抗発熱で有機原料を間接的に加熱して気化または昇華させる。このとき、開口容器5aの温度や開口容器5aへの通電電流値が監視され、有機原料が気化または昇華する温度が保たれるように通電値等が制御される。
【0033】
この有機原料を気化または昇華させて原料ガスを発生させる工程で、まず、タンク10から第1のガス導入管6aへ不活性ガスが供給され、第2のガス導入管6bへは不活性ガスが供給されないようにコントロールバルブ11a,11bを制御する。これにより、第1のガス導入管6aの放出口9aから不活性ガスが放出する。
【0034】
真空チャンバー2内を排気管7から排気して真空にすると、蒸発源5で発生した原料ガスは基板3へ向けて上昇する。このとき、真空チャンバー2内を所定の真空度(例えば10 2 〜10 3 Pa)にすると、第1のガス導入管6aの放出口9aから、原料ガスの流れに向かって側方から不活性ガスを放出することで、蒸発源5から基板3へと向かって上昇する原料ガスは、図3(a)に示すように、不活性ガスを放出している第1のガス導入管6aと反対方向の斜め上方に向かって移動し、基板3に到達する。
【0035】
このとき、原料ガスの流れが基板3の大きさに収まるように、第1のガス導入管6aの放出口9aから放出される不活性ガスの流量は調整される。なお、第1のガス導入管6aの放出口9aから放出される不活性ガスの流量を増減させる制御を行えば、原料ガスの到着位置を移動させることができる。
【0036】
次に、コントロールバルブ11a,11bを制御して、第1のガス導入管6aへの不活性ガスの供給は停止し、タンク10から第2のガス導入管6bに不活性ガスを供給し、放出口9bから不活性ガスを放出する。
【0037】
これにより、蒸発源5から基板3へと向かって上昇する原料ガスは、図3(b)に示すように、不活性ガスを放出している第2のガス導入管6bと反対方向の斜め上方に向かって移動し、基板3に到着する。
【0038】
このとき、原料ガスの流れが基板3の大きさに収まるように、第2のガス導入管6bの放出口9bから放出される不活性ガスの流量は調整される。なお、第2のガス導入管6bの放出口9bから放出される不活性ガスの流量を増減させる制御を行えば、原料ガスの到着位置を移動させることができる。
【0039】
このように、複数の蒸発源5を基板3の幅に合わせて一列に並べて設けることで、基板3の幅全体に原料ガスを供給することができる。さらに、第1のガス導入管6aの放出口9aからの不活性ガスの放出と第2のガス導入管6bの放出口9bからの不活性ガスの放出を交互に行うことで、原料ガスのビーム状の流れを基板3の長さ方向に左右に振ることができる。よって、基板3を移動させることなく、基板3の全面に原料ガスを到達させることができるので、基板3上に均一に有機原料を堆積させることができる。
【0040】
さて、基板3を移動させることなく均一に有機原料を堆積させることができるので、基板支持台4を真空チャンバー2に固定した構造とすることができる。よって、装置の構造を簡単なものとすることができる。そして、基板支持台4に例えば水冷管8を用いた冷却手段を備えることができる。一般に、有機原料は高温で分解しやすいという性質を持つため、膜堆積中の基板3を冷却することで、有機原料の分解を防ぎ、結果として良好な有機膜を形成することができることになる。
【0041】
また、上述したように不活性ガスを供給する際、ヒータ12により第1のガス導入管6aおよび第2のガス導入管6bを加熱して、不活性ガスの温度が有機原料の気化または昇華温度と近い温度となるように制御する。これにより、気化または昇華した原料ガスが固化することを防ぐ。
【0042】
図4は第2の実施の形態の有機膜形成装置14の全体構成図で、図4(a)は有機膜形成装置14の側断面図、図4(b)は有機膜形成装置14内部を上面から見た平面図である。
【0043】
有機膜形成装置14は、第1の実施の形態の有機膜形成装置1と同様に、真空チャンバー2内に基板支持台4を備える。基板支持台4は真空チャンバー2の天井部に固定され、例えば水冷管8が連結された冷却手段を有する。また、真空チャンバー2には排気管7が設けられ、この排気管7が図示しない真空ポンプに接続されている。
【0044】
蒸発源15は基板支持台4に支持される基板4に対向して真空チャンバー2の底面部に設けられる。そして、一個の蒸発源15が、基板3の中央と対向する位置に設けられる。なお、蒸発源15の構成は、第1の実施の形態と同様に抵抗加熱法により有機原料を気化または昇華させるもので、有機原料を入れる坩堝のような開口容器15aとこの開口容器15aに通電する図示しない通電機構を備える。
【0045】
真空チャンバー2には第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cおよび第4のガス導入管16dが設けられる。これら第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cおよび第4のガス導入管16dは、蒸発源15を中心にした円周上に配置される。そして、これら第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cおよび第4のガス導入管16dは、例えば45度間隔で配置され、第1のガス導入管16aと第3のガス導入管16cが対向し、第2のガス導入管16bと第4のガス導入管16dが対向する。
【0046】
第1のガス導入管16aは、蒸発源15で発生した原料ガスの上方へ向かっての流れに対して、側方からガスを吹き付ける位置に放出口17aを有する。また、第3のガス導入管16cは、この放出口17aに対向する位置に放出口17cを有する。第2のガス導入管16bは、蒸発源15で発生した原料ガスの上方へ向かっての流れに対して、側方からガスを吹き付ける位置に放出口17bを有する。また、第4のガス導入管16dは、この放出口17bに対向する位置に放出口17dを有する。そして、これら放出口17a,17b,17cおよび17dは、蒸発源15で発生した原料ガスの上方へ向かう流れの近傍に位置するように設けられる。
【0047】
第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cおよび第4のガス導入管16dはタンク10と接続される。このタンク10には、不活性ガスが入れられる。また、第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cおよび第4のガス導入管16dのそれぞれには、コントロールバルブ18a,18b,18cおよび18dが設けられる。これらコントロールバルブ18a,18b,18cおよび18dは、タンク10からの不活性ガスの供給の有無の切り替え、および不活性ガスの流量の制御を行う。
【0048】
第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cおよび第4のガス導入管16dのそれぞれには、加熱手段を構成するヒータ12が設けられる。このヒータ12は、第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cおよび第4のガス導入管16dを流れる不活性ガスの温度を制御する。
【0049】
図5および図6は第2の実施の形態の有機膜形成装置14の動作を示す説明図であり、以下に第2の実施の形態の有機膜形成装置14の動作を説明する。まず、有機原料を気化または昇華させて原料ガスを発生させる工程までは第1の実施の形態と同じであるが、第2の実施の形態では蒸発源15は一個である。
【0050】
この有機原料を気化または昇華させて原料ガスを発生させる工程で、まず、タンク10から第1のガス導入管16aへ不活性ガスが供給され、それ以外のガス導入管へは不活性ガスが供給されないようにコントロールバルブ18a〜18dを制御する。これにより、図5(a)に示すように、第1のガス導入管16aの放出口17aから不活性ガスが放出する。
【0051】
以後、図5(b)〜(c)に示すように、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cそして第4のガス導入管16dの順にガスを供給して、それぞれの放出口17b〜17dから不活性ガスを放出する。
【0052】
真空チャンバー2内を排気管7から排気して真空にすると、蒸発源15で発生した原料ガスは基板3へ向けて上昇する。このとき、真空チャンバー2内を所定の真空度(例えば10 2 〜10 3 Pa)にすることで、第1のガス導入管16a、第2のガス導入管16b、第3のガス導入管16cそして第4のガス導入管16dの順で不活性ガスを放出すると、図6に示すように、原料ガスは円を描くようにして上昇する。よって、基板3を移動させることなく、基板3の全面に原料ガスを到達させることができるので、基板3上に均一に有機原料を堆積させることができる。
【0053】
なお、第2の実施の形態において、ガス導入管は4本としたが、3本以上のガス導入管を設ければ、順に不活性ガスを放出することで、円を描く原料ガスの流れを作ることができる。
【0054】
上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態において、有機原料が抵抗加熱法を用いて気化または昇華させることとしたが、原料ガス放出手段としては、真空チャンバー2の外で生成された有機原料のガスを放出するインジェクターを真空チャンバー2内に備える構成でもよい。
【0055】
また、原料ガスの方向制御を行うガスは不活性ガスを用いることとしたが、基板3に吸着した有機原料の分子間をつなぐような機能を持つガスがあれば、このようなガスを用いてもよい。
【0056】
なお、図9等に示すカラーディスプレイを作成する場合は、マスクを用いて有機膜の形成を行う。図7はマスクを使用した膜堆積工程の一例を示す断面図である。マスク20は、ストライプ状のパターン21を有する。このマスク20を基板3に密着させるため磁石を用いる。すなわち、マスク20を磁性体で構成し、基板3を保持する機構、例えば図1の有機膜形成装置1であれば基板支持台4に永久磁石や電磁石から構成される磁化部材22を設ける。そして、基板3をこの磁化部材22に載せ、この基板3にマスク20を載せることで、マスク20は磁化部材21の磁力で基板3に密着する。
【0057】
そして、R,G,Bの有機膜を形成するため、まず、マスク20を所定の位置に取り付けて図10に示す有機膜104Rを形成し、次にマスク20の取り付け位置を1/3ピッチずらして有機膜104Gを形成し、次にマスク20の取り付け位置を1/3ピッチずらして有機膜104Bを形成する。第1の実施の形態および第2の実施の形態の有機膜形成装置では、マスク20が下向きに取り付けられることになる。これにより、基板3へのダストの付着が防止されている。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、基板上に有機物の薄膜を形成する有機膜形成装置において、基板が収納される真空チャンバーと、真空チャンバー内で基板に対向して設けられ、ガス化した有機原料を放出する原料ガス放出手段と、原料ガス放出手段から放出されて基板へ向かう原料ガスの流れに向けて側方からガスを供給する方向制御ガス放出手段とを備えたものである。
【0059】
これにより、基板側を移動させることなく、基板の全面に原料ガスを供給して均一に有機物を堆積させることができる。したがって、真空チャンバーに基板を移動させる可動機構が不要となるので、装置構成を簡単にでき、装置のコストを下げることができる。また、基板を動かさないことで、基板を冷却する機構を組み込むことも容易であり、良質な有機膜形成に必要な基板の冷却が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の有機膜形成装置の側断面図である。
【図2】第1の実施の形態の有機膜形成装置の内部を上面から見た平面図である。
【図3】第1の実施の形態の有機膜形成装置の動作を示す説明図である。
【図4】第2の実施の形態の有機膜形成装置の全体構成図である。
【図5】第2の実施の形態の有機膜形成装置の動作を示す説明図である。
【図6】第2の実施の形態の有機膜形成装置の動作を示す説明図である。
【図7】マスクを使用した膜堆積工程の一例を示す断面図である。
【図8】有機EL素子の構造の一例を示す説明図である。
【図9】有機ELカラーディスプレイの概要を示す平面図である。
【図10】有機ELカラーディスプレイの要部斜視図である。
【図11】従来の有機膜形成装置の全体構成図である。
【図12】従来の他の有機膜形成装置の全体構成図である。
【符号の説明】
1・・・有機膜形成装置、2・・・真空チャンバー、3・・・基板、4・・・基板支持台、5・・・蒸発源、5a・・・開口容器、6a・・・第1のガス導入管、6b・・・第2のガス導入管、7・・・排気管、8・・・水冷管、9a,9b・・・放出口、10・・・タンク、11a,11b・・・コントロールバルブ、12・・・ヒータ、13・・・圧力計、14・・・有機膜形成装置、15・・・蒸発源、16a・・・第1のガス導入部、16b・・・第2のガス導入部、16c・・・第3のガス導入部、16d・・・第4のガス導入部、17a,17b,17c,17d・・・放出口、18a,18b,18c,18d・・・コントロールバルブ
Claims (9)
- 基板上に有機物の薄膜を形成する有機膜形成装置において、
前記基板が収納される真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内で前記基板に対向して設けられ、ガス化した有機原料を放出する原料ガス放出手段と、
前記原料ガス放出手段から放出されて前記基板へ向かう原料ガスの流れに向けて側方からガスを供給する方向制御ガス放出手段と
を備えたことを特徴とする有機膜形成装置。 - 複数の前記原料ガス放出手段を一列に並べて配置し、
前記方向制御ガス放出手段は、前記複数の原料ガス放出手段列の長さに合わせた幅でガスを放出する放出口を対向して備えた
ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。 - 前記方向制御ガス放出手段は、前記対向する放出口から交互にガスを放出する
ことを特徴とする請求項2記載の有機膜形成装置。 - 前記方向制御ガス放出手段は、点状の放出源を持つ前記原料ガス放出手段の周囲から、順に原料ガスに向けてガスを放出する複数の放出口を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。 - 前記原料ガス放出手段は、有機原料を加熱によりガス化させる蒸発源である
ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。 - 前記原料ガス放出手段は、ガス化した有機原料を放出するインジェクターである
ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。 - 前記方向制御ガス放出手段は、有機原料に対して不活性なガスを放出する
ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。 - 前記真空チャンバーに、基板を冷却する冷却手段を有する基板支持台を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。 - 前記方向制御ガス放出手段は、放出するガスの温度を制御する加熱手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の有機膜形成装置。
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