JP4173066B2 - 防振装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動を発生する部材からの振動の伝達を防止する防振装置に係り、特に、自動車のエンジンマウントやブッシュ等に適用可能な流体封入式の防振装置に採用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、車両の振動発生部となるエンジンと振動受け部となる車体との間には、エンジンマウントとしての防振装置が配設されていて、エンジンが発生する振動をこの防振装置が吸収し、車体側に伝達されるのを阻止するような構造となっている。そして近年、この防振装置の一種として防振効果の高い液体封入式の防振装置が提案されており、この液体封入式の防振装置を一例として以下に従来技術を説明する。
【0003】
例えば、主液室と二つの副液室との間を繋ぐそれぞれ二つのオリフィスを有し、二つの副液室の隔壁をそれぞれ形成する二つのダイヤフラムの剛性を適宜な大きさに設定すると共に、一のダイヤフラムを負圧で吸引して固定する機構を有した防振装置が考えられている。また、ダブルオリフィス或いはシングルオリフィスの構成でアイドルオリフィスの開口部を負圧アクチュエータで開閉し得る構造の防振装置が考えられている。
【0004】
しかし、これらの防振装置では、走行状態における高周波領域のバネ特性が高くなる欠点があった。そして、その性能を改善する為に、振動板から成るガタ機構を付加した図7及び図8に示すような防振装置が考えられた。
つまり、この図7及び図8に示す防振装置では、主液室112と副液室114との間を区画する仕切部材116、118に組み込まれたオリフィス部材120に、主液室112と副液室114との間を連通するアイドルオリフィス122が形成されている。さらに、このアイドルオリフィス122の開口端を封止弁であるバルブ124で開閉するようになっている。
【0005】
この為、図7に示すようにバネ部材130がバルブ124を上側に付勢することで、アイドルオリフィス122の開口端を封止し、また、図8に示すように空気室128を負圧にすることで、アイドルオリフィス122の開口端を開放するようになる。
【0006】
但し、この従来の防振装置では、仕切部材116、118の主液室112側の部分と振動板132との間に、オリフィス部材120のフランジ部120Aが配置されると共に、ツメ金具126でオリフィス部材120をバルブ124に連結する構造になっている。従って、アイドルオリフィス122の開口端の開閉動に伴ってツメ金具126が上下動し、このツメ金具126を介してバルブ124と連結されたオリフィス部材120のフランジ部120Aが、振動板132を振動可能状態と固定状態との間で切り替えるようになる。
【0007】
つまり、従来の構造によれば、アイドル振動が発生するアイドル状態において負圧で空気室128内を吸引し、バルブ124を下げる事で、アイドルオリフィス122を開くと共に、バルブ124に連結されたツメ金具126が、オリフィス部材120を引き下げることになる。これに伴って、オリフィス部材120のフランジ部120Aと仕切部材116、118とで、振動板132を挟み込む事により、アイドル状態ではガタ機構の作用を停止して、アイドル共振を大きく得ていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
図7及び図8に示す防振装置では、アイドルオリフィス122の開口端の開閉とガタ機構の押さえ付けを連動させる為、オリフィス部材120をバルブ124に機械的に締結させる必要がある。しかし、オリフィス部材120は液室内にあるものの、バネ部材130は液室外にある為、構造が複雑で組み立てが難しくなっていた。また、ツメ金具126によってオリフィス部材120をバルブ124側に引っ張る構造となっている為、ツメ金具126とオリフィス部材120との間の締結部分の耐久性の確保も難しかった。
【0009】
つまり、ガタ機構は性能上優位性を有するが、オリフィスを切替える構造のエンジンマウント等の防振装置に採用する場合、現状では構造が複雑化して組み立てが難しくなると共に締結部分の耐久性の確保も難しいという欠点があった。
本発明は上記事実を考慮し、構造を簡素化すると共に耐久性を高め得る防振装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1による防振装置は、振動発生部及び振動受部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受部の他方に連結される第2の取付部材と、
これら一対の取付部材の間に配置される弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
主液室の隔壁の他の一部を振動可能に形成する振動板と、
液体が封入されると共に拡縮可能な副液室と、
主液室と副液室との間を連通する通路を有し且つ往復動可能に配置されるオリフィス部材と、
通路に対応して配置され且つこの通路を開閉するバルブ機構と、
通路を閉鎖する方向に向かってバルブ機構を付勢する第1バネ部材と、
第1バネ部材より小さい力で通路を開放する方向に向かってオリフィス部材を付勢し且つ、通路の開放時にオリフィス部材を当接して振動板の動きを抑える第2バネ部材と、
を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1に係る防振装置の作用を以下に説明する。
いずれかの取付部材に連結された振動発生部側から振動が伝達されると、弾性体が変形して弾性体により振動が減衰される。この弾性体の変形に伴って、主液室の内容積が変化し、オリフィス部材が有している通路により、副液室とこの主液室との間が連通されているので、この通路内の液体に圧力変化が生じ、最終的に副液室が拡縮される。この結果として、振動発生部側からの振動が伝達されると、弾性体の変形により減衰されるだけでなく、主液室と副液室との間の通路内の液体の液柱共振等により振動が減衰されて、振動受部側に振動が伝達され難くなる。
【0012】
但し、主液室の隔壁の他の一部を振動可能に振動板が形成しており、また、通路を開閉するバルブ機構がこの通路に対応して配置されていて、第1バネ部材が、通路を閉鎖する方向に向かってこのバルブ機構を付勢している。これに対して、第2バネ部材が、第1バネ部材より小さい力で通路を開放する方向に向かって、往復動可能なオリフィス部材を付勢している。
【0013】
従って、第1バネ部材の付勢力で移動したバルブ機構によりこの通路が閉鎖されることで、常時開放されている他の通路により例えばシェイク振動が低減される。このシェイク振動に伴ってさらに、シェイク振動よりも振幅が小さい振動が同状態で入力された場合には、第2バネ部材より力の大きい第1バネ部材でオリフィス部材が移動することで、振動板が自由に振動して主液室内の液圧の上昇を防止する。さらに、振動発生部側からの振動の周波数が変わり、常時開放されている他の通路では振動を低減できないようなシェイク振動より高周波域の振動である例えばアイドル振動が伝達された場合、これに合わせて例えば負圧により第1バネ部材の力に抗してバルブ機構が通路を開放して、このアイドル振動を低減する。
【0014】
この際、バルブ機構による通路の開閉の切替えに同調して、通路の開放時に第2バネ部材がオリフィス部材を振動板に当接して振動板の振動を抑えるので、振動板の存在により邪魔されることなく、開放された通路内に液体が十分に流れて確実に通路内の液体が液柱共振等する。
【0015】
以上より、本請求項は、アイドルオリフィス等の通路の開閉に伴って、振動板の振動の可否を第2バネ部材が切り替えることになるので、ツメ金具等でオリフィス部材をバルブに機械的に締結させる必要がなくなり、これに伴って、防振装置の構造を簡素化すると共に耐久性を高めることができる。
【0016】
請求項2に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様の構成を有し同様の作用を奏するが、さらに本請求項は、第2バネ部材がコイルスプリングとされるという構成を有している。つまり、コイルスプリングを採用することで、耐久性を高めつつ十分なバネ力を得ることができ、振動板の動きをより確実に抑えられるようになる。
【0017】
請求項3に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様の構成を有し同様の作用を奏するが、さらに本請求項は、第2バネ部材が皿バネとされるという構成を有している。つまり、薄い皿バネを採用することによりコンパクトな構造になり、防振装置の小型化も図れるようになる。
【0018】
請求項4に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項3と同様の構成を有し同様の作用を奏するが、さらに本請求項は、主液室と副液室との間を仕切部材で区画すると共に、オリフィス部材にフランジ部を形成し、この仕切部材内に主液室側から、皿バネ、オリフィス部材のフランジ部、振動板が順に配置されるという構成を有している。従って、本請求項によれば、主液室と副液室との間を区画する仕切部材内に薄い皿バネが入っているので、コンパクトな構造で確実に振動板の振動の可否の切り替えが可能となる。
【0019】
請求項5に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様の構成を有し同様の作用を奏するが、さらに本請求項は、振動板がゴム製とされるという構成を有している。つまり、振動板がゴム製とされることで、この振動板が振動する際に、仕切部材やオリフィス部材に接触しても振動音を発生し難くなる。
【0020】
請求項6に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様の構成を有し同様の作用を奏するが、さらに本請求項は、空気室に繋がれて空気室内の気圧を負圧と大気圧との間で切り換える切換弁と、切換弁の動作を制御する制御手段と、を有するという構成を有している。つまり、これら切換弁及び制御手段を有することで、必要時に確実に空気室を負圧吸引と大気開放との間で切り替え可能となり、これに伴って請求項1の作用効果がより確実に達成できるようになる。
【0021】
請求項7に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項6と同様の構成を有し同様の作用を奏するが、さらに本請求項は、切換弁が電磁弁とされ、この電磁弁への通電及び通電の停止の制御が制御手段によりされることで、空気室内の気圧を負圧と大気圧との間で切り換え可能としたという構成を有している。つまり、切換弁を電磁弁としたことで、切換弁の切り換えが必要時に一層確実にできるようになり、これに伴って請求項1の作用効果がより確実に達成できるようになった。
【0022】
請求項8に係る防振装置の作用を以下に説明する。
本請求項も請求項1と同様の構成を有し同様の作用を奏するが、さらに本請求項は、仕切部材が、主液室側に位置する上部仕切部材及び副液室側に位置する下部仕切部材を有し、これらの上部仕切部材と下部仕切部材との間に振動板が振動可能に配置されるという構成を有している。
【0023】
つまり、上部仕切部材と下部仕切部材とからなる一対の部材により、仕切部材を構成するようにしたことで、振動板を仕切部材内に振動可能としつつ容易に組み込み可能となり、これに伴って組立性が向上して防振装置の製造コストが低減されるようになった。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る防振装置の第1の実施の形態を図1及び図2に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
本実施の形態を表す図1及び図2に示すように、防振装置10の下部側を第1の取付部材である底板金具12が底部を有した円筒状に形成されている。この底板金具12の底部中央には、外部への開口となる管状の下部ポート16が取り付けられている。また、この底板金具12の外周側には、図示しない車体にこの防振装置10を連結して固着する為のブラケットが、図示しないものの底板金具12の円周方向に複数個設置されている。
【0025】
さらに、この底板金具12には円筒状に形成された筒部12Aが設けられており、この筒部12Aの上端部がかしめられることで、この筒部12Aの内周側に、円筒状に形成された外筒金具14が底板金具12に連結されつつ配置されている。この外筒金具14の上部側はテーパ状に拡がるように形成されており、この外筒金具14の上部側の内周面には、円筒形状をしたゴム製の弾性体18の下部側が加硫接着されている。
【0026】
この弾性体18の上部側中央部には、第2の取付部材となるブロック状に形成された上部取付金具20が位置しており、この上部取付金具20に弾性体18の上部側が加硫接着されている。そして、この上部取付金具20の中央部には、エンジンの連結用として用いられる植え込みボルト21がねじ込まれるねじ孔20Aが形成されており、このねじ孔20Aに植え込みボルト21がねじ込まれることで、図示しないエンジン側ブラケットが上部取付金具20に固定されつつ連結されることになる。
【0027】
一方、この外筒金具14の下部側の内周面には、リング状に形成された嵌合金具22が嵌合されて設置されている。この嵌合金具22の内側には、薄肉で弾性変形可能なゴム製の弾性膜であるダイヤフラム28が、その外周端を嵌合金具22の内周面に加硫接着されて配置されており、これら弾性体18及びダイヤフラム28により挟まれて区画された空間が、例えばエチレングリコール等の液体が封入される液室を構成している。
【0028】
さらに、この液室内には、それぞれ円板状に形成された仕切部材24、26が、底板金具12と外筒金具14との間のかしめ部分にその外周部分を挟まれて固定されつつ、配置されている。この内の下部仕切部材26の上面側の中央部には、周囲より一段低い凹部26Bが形成されており、この凹部26B内の中心位置に下部仕切部材26を貫通する孔部26Cが形成されている。そして、この下部仕切部材26の上部には、上部仕切部材24が配置されており、これら下部仕切部材26と上部仕切部材24との間には、ゴム製でリング状に形成されたメンブランである振動板46が、凹部26B内に入り込む形で、設置されている。
【0029】
この結果、液室を二分するように下部仕切部材26、上部仕切部材24及び振動板46が液室を区画し、これら仕切部材24、26等の上側の液室部分が主液室30とされ、仕切部材24、26等の下側の液室部分が副液室32とされている。従って、液体が封入された主液室30の隔壁の一部が弾性体18により構成され、主液室30の隔壁の他の一部が振動板46により振動可能に構成され、液体が封入された副液室32の隔壁の一部がダイヤフラム28により構成されることになる。
【0030】
他方、円管状に形成されて上端部が外周に拡がるフランジ部38Aを有したオリフィス部材38が、上部仕切部材24と振動板46との間にフランジ部38Aを配置すると共にその下部側を副液室32内に配置する形で、設けられている。但し、仕切部材24、26の振動板46と対向する部分にはそれぞれ貫通穴24A、26Aが設けられており、また、この貫通穴24Aに対応するフランジ部38Aの部分にも貫通穴38Bが設けられていて、振動板46が主液室30及び副液室32にそれぞれ面するようになっている。
【0031】
そして、このオリフィス部材38の内部の空間が、大径の通路であるアイドルオリフィス44とされている。つまり、このアイドルオリフィス44の一端は上方に伸びて主液室30に開放されており、このアイドルオリフィス44の他端側は下方に伸びて副液室32に開放されていて、このアイドルオリフィス44が、アイドル振動吸収用の通路となっている。
【0032】
また、この上部仕切部材24の中央部には、円筒状の円筒部24Bが上側に突出するように設けられていて、この円筒部24Bの頂面に連通穴24Cが形成されている。そして、この上部仕切部材24の円筒部24B内には、コイルスプリング54がオリフィス部材38のフランジ部38Aを下方に付勢するように、配置されている。従って、上記アイドルオリフィス44はコイルスプリング54の内周部分及び連通穴24Cを貫通して主液室30に繋がることになる。
【0033】
一方、この下部仕切部材26の外周寄りの部分には、その周方向に沿って延びるように溝部40が形成されることになり、この溝部40の開放端が上部仕切部材24の下面により塞がれてシェイク振動吸収用の通路であるシェイクオリフィス42が形成されている。このシェイクオリフィス42の一端側は上方に伸びて主液室30に開放されており、このシェイクオリフィス42の他端側は下方に伸びて副液室32に開放されている。
【0034】
以上より、シェイクオリフィス42及びアイドルオリフィス44を介して、主液室30と副液室32とがそれぞれ連通されることになる。また、一対のオリフィス42、44の内のアイドルオリフィス44は、その通路の長さが短く且つ大径であるので、シェイクオリフィス42と比較して液体の通過抵抗が小さくされている。
【0035】
さらに、底板金具12の内周面には支持金具55が嵌合されており、この支持金具55の下部に円板状に形成されたゴム膜56の外周端が固定されており、底板金具12とダイヤフラム28との間には、このゴム膜56の中央部を塞ぐように円筒状に形成された金属製の弁体であるバルブ機構50が、アイドルオリフィス44の開口部にダイヤフラム28を介して対向する形で、配置されている。
【0036】
この為、アイドルオリフィス44の閉鎖時において、バルブ機構50がダイヤフラム28をオリフィス部材38の下側の開口端に当接することで、バルブ機構50がアイドルオリフィス44を確実に封止することになる。そして、ゴム膜56及びバルブ機構50を上面とすると共に底板金具12の底面を下面として第1空気室34となる空間が区画され、また、このゴム膜56とダイヤフラム28との間の空間が第2空気室36とされていて、この第2空気室36に対応する底板金具12の部分には、貫通孔12Bが形成されている。
【0037】
つまり、副液室32に面するダイヤフラム28の部分とゴム膜56との間の空間が第2空気室36とされて、ダイヤフラム28の変位を容易にしており、また、前述の下部ポート16により第1空気室34内の空気が吸排可能とされている。さらに、第1空気室34内の底板金具12の底面とバルブ機構50との間には、バルブ機構50を上方に付勢する為の第1バネ部材であるコイルスプリング48が配置されている。これに伴ってゴム膜56と繋がって上下動可能とされるバルブ機構50が、コイルスプリング48により上方に常時付勢されていることになる。
【0038】
また、上部仕切部材24とオリフィス部材38との間に配置された第2バネ部材であるコイルスプリング54は、このコイルスプリング48より小さい力で、アイドルオリフィス44を開放する方向であるオリフィス部材38を常時下側方向に向かって付勢している。従って、図2に示すように、バルブ機構50が下降してアイドルオリフィス44が開放された時には、コイルスプリング54に付勢されてオリフィス部材38も下降し、そのフランジ部38Aで振動板46に当接して、振動板46の動きを抑えることになる。
【0039】
さらに、前述の下部ポート16には配管62の一端が連結され、この配管62の他端が切換弁64に連結されている。つまり、ダイヤフラム28の背面側の第1空気室34に切換弁64が連結されている。この切換弁64は、電磁的に作動する電磁弁である3ポート2位置切換弁を構成し、図1に示すように、エンジンの吸気部分であるインテークマニホールド76と繋がる接続パイプ66に連結されると共に、大気側にも開放可能とされている。
【0040】
以上より、切換弁64は、第1空気室34がインテークマニホールド76側に連通される状態と第1空気室34が大気側に連通される状態との間で、これらの間を繋ぐ通路を切り換え可能としている。他方、切換弁64は、車両の運転状況を判断して印加電圧をオン・オフする制御手段である制御回路70に連結されている。制御回路70は車両電源によって駆動され、少なくとも車両の運転状況を判断する車速センサ72及びエンジン回転数センサ74からの検出信号を受け、車速及びエンジン回転数を検出できる。
【0041】
これにより制御回路70は、シェイク振動発生時かアイドル振動発生時かの判断、すなわち車両の停止時か走行時かの判断ができるようになっている。従って、制御回路70により、切換弁64への通電及び通電の停止が制御されて、第1空気室34内の気圧が大気圧と負圧との間で切り換えられることになる。
【0042】
次に、本実施の形態に係る防振装置10の作用を説明する。
上部取付金具20に搭載されるエンジンが作動すると、エンジンの振動が上部取付金具20を介して弾性体18に伝達される。弾性体18は吸振主体として作用し、弾性体18の内部摩擦に基づく制振機能によって振動を吸収することができる。さらに、この弾性体18の変形に伴って、主液室30の内容積が変化し、隔壁の一部がダイヤフラム28により変形可能に形成される副液室32とこの主液室30との間をそれぞれ連通するオリフィス42、44内の液体に圧力変化が生じ、また、ダイヤフラム28が変形することで、主液室30と連通する副液室32が拡縮される。
【0043】
この結果、エンジン側からの振動が伝達されると、弾性体18の変形により減衰されるだけでなく、主液室30と副液室32との間のオリフィス42、44内の液体の流動の液柱共振等に基づく減衰作用により振動が減衰されて、車体側に振動が伝達され難くなる。
【0044】
また、主液室30の隔壁の他の一部を振動可能に振動板46が形成し、バルブ機構50がアイドルオリフィス44に対応して配置され、コイルスプリング48が、アイドルオリフィス44を閉鎖する方向に向かってこのバルブ機構50を付勢している。これに対して、コイルスプリング54が、コイルスプリング48より小さい力でアイドルオリフィス44を開放する方向に向かって、往復動可能なオリフィス部材38を付勢している。そしてこのような構造から、本実施の形態では以下のように動作することになる。
【0045】
以下に、本実施の形態に係る防振装置10の具体的な動作を説明する。
例えば車両が走行すると、シェイク振動が生じる。制御回路70は、車速センサ72及びエンジン回転数センサ74によりシェイク振動発生時であると判断し、切換弁64により第1空気室34内を大気側と連通させる。
【0046】
これによって、第1空気室34内の空気圧が大気圧となり、図1に示す走行状態のように、バルブ機構50がコイルスプリング48の付勢力により押し上げられ、バルブ機構50がダイヤフラム28を介してオリフィス部材38の下端に当接することによって、アイドルオリフィス44を閉鎖する閉鎖状態となり、シェイクオリフィス42のみで、主液室30と副液室32との間が連通される。この結果、シェイクオリフィス42内を液体が積極的に行き来して通過抵抗を受け、または液柱共振することによって、シェイク振動が吸収される。
【0047】
以上より、バルブ機構50が開口端に対向して配置されているアイドルオリフィス44が閉鎖されることで、オリフィス42、44の内の通過抵抗が大きく常時開放されているシェイクオリフィス42により例えばシェイク振動が低減される。このシェイク振動に伴ってさらに、こもり音等の高周波数の振動が同状態で入力された場合には、コイルスプリング54より力の大きいコイルスプリング48でオリフィス部材38が上方に移動されているので、振動板46が自由に振動して、主液室30内の液圧の上昇を防止することができる。
【0048】
一方、例えば車両が停止すると、エンジンがアイドリング運転となって振動の周波数がシェイク振動よりも高いアイドル振動が生じる。この場合、シェイクオリフィス42が目詰まり状態となるが、この際、制御回路70は、車速センサ72及びエンジン回転数センサ74によりアイドル振動発生時であると判断し、切換弁64により第1空気室34内をインテークマニホールド76側と連通させる。
【0049】
これによって、第1空気室34内が負圧となり、図2に示すアイドル状態のように、オリフィス部材38の下端からバルブ機構50が離れてコイルスプリング48に抗しつつ下方に移動され、アイドルオリフィス44を開放する開放状態となる。この為、アイドルオリフィス44を介して主液室30と副液室32とが連通され、液体がアイドルオリフィス44を行き来することができるようになる。この結果、アイドルオリフィス44内で液体が液柱共振して防振装置10の動ばね定数が低減され、アイドル振動が吸収される。
【0050】
この際、バルブ機構50によるアイドルオリフィス44の開閉の切替えに同調して、アイドルオリフィス44の開放時にコイルスプリング54がオリフィス部材38を振動板46に当接して振動板46の振動を抑えるので、振動板46の存在により邪魔されることなく、開放されたアイドルオリフィス44内に液体が十分に流れて確実にアイドルオリフィス44内の液体が液柱共振等する。つまり、振動板46の振動による主液室30内の圧抜きが生じなくなり、液柱共振が大きくなって動ばね定数も大きく低減されるようになる。
【0051】
以上より、本実施の形態は、アイドルオリフィス44の開閉に伴って、振動板46の振動の可否をコイルスプリング54が切り替えることになるので、ツメ金具等でオリフィス部材38をバルブ機構50に機械的に締結させる必要がなくなり、これに伴って、防振装置10の構造を簡素化すると共に耐久性を高めることができる。
【0052】
この一方、シェイクオリフィス42の蓋金具となる上部仕切部材24を本実施の形態では、コイルスプリング54の受け金具にしたので、これに伴ってコイルスプリング54の周りの部分での部品点数の増加はなく、トータルでも部品点数が減る利点を有している。
【0053】
そして、振動板46がゴム製とされていることで、この振動板46が振動する際に、下部仕切部材26やオリフィス部材38のフランジ部38Aに振動板46が接触しても、振動音を発生し難くなるという利点も有しており、また、振動板46が薄いリング状に形成されたことで、振動板46がより振動し易くなって、上記の作用効果がより確実に達成できるようになる。
【0054】
さらに、本実施の形態では、主液室30側に位置する上部仕切部材24及び副液室32側に位置する下部仕切部材26からなる一対の部材により、仕切部材を構成するようにした。従って、これら上部仕切部材24と下部仕切部材26との間に配置される形で振動板46を振動可能としつつ容易に組み込み可能となり、これに伴って組立性が向上して防振装置10の製造コストが低減されるようになった。
【0055】
他方、本実施の形態は、空気室36内の気圧を負圧と大気圧との間で切り換える切換弁64及び、この切換弁64の動作を制御する制御回路70を有しているだけでなく、空気室36に繋がれるこの切換弁64が電磁弁とされた構造になっている。この為、この電磁弁とされる切換弁64への通電及び通電の停止の制御が、この制御回路70により上記のように具体的にされることで、必要時に確実に空気室36を負圧吸引と大気開放との間で切り替え可能となった。
【0056】
つまり、本実施の形態では、切換弁64及び制御回路70を有し、この切換弁64を電磁弁としたことで、必要時に切換弁64を一層確実に切り換えられるようになった。この結果として、本実施の形態は、上記の防振装置10の構造を簡素化すると共に耐久性を高めることが可能となるという作用効果を、より確実に達成できるようになった。
【0057】
次に、本発明に係る防振装置の第2の実施の形態を図3及び図4に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図3及び図4に示すように、本実施の形態も第1の実施の形態とほぼ同一の構造となっているが、本実施の形態では、第2バネ部材がコイルスプリング54の替わりに、皿バネ60とされている。
【0058】
つまり、上部仕切部材24の中央部に円筒部24Bが無く、皿バネ60が上部仕切部材24とオリフィス部材38のフランジ部38Aとの間の狭い空間に配置されていて、この皿バネ60がオリフィス部材38のフランジ部38Aを下方に付勢している。従って、本実施の形態も、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏するが、さらに本実施の形態では、薄い皿バネ60を採用したことでコンパクトな構造になり、防振装置10の小型化も図れるようになる。
【0059】
次に、これら第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る防振装置10の防振特性を図5及び図6に基づき、説明する。
先ず、車両の走行状態における防振特性を図5に示す通常走行モード特性として表す。この内の特性曲線Aで表す本実施の形態の防振装置10のtanδ及び、特性曲線Bで表す従来例の防振装置のtanδが、共に10ヘルツ程度の周波数でピークを有している形になっている。但し、特性曲線Bのピークより特性曲線Aのピークが低く、本実施の形態の防振装置10が従来例より優れていることが理解できる。
【0060】
また、図5における特性曲線Dで表す従来例の防振装置の動ばね定数K*は、20ヘルツ程度の周波数でピークを有するが、特性曲線Cで表す本実施の形態の防振装置10の動ばね定数K*は、ピークが無く、また全体として従来例の動ばね定数K*より明らかに低く、上記と同様に本実施の形態の防振装置10が従来例より優れていることが理解できる。
【0061】
一方、車両のアイドル状態における本実施の形態の防振装置10及び従来例の防振装置の防振特性をそれぞれ図6に示すアイドルモード特性の特性曲線として表す。そして、この図6のグラフによれば、共に30ヘルツ程度の周波数で、特に動ばね定数K*が低くなっていることが理解できる。
【0062】
さらに、上記実施の形態において、振動受部となる車体側に底板金具12を連結し、振動発生部となるエンジン側に上部取付金具20を連結するような構成としたが、この逆の構成としても良い。他方、実施の形態において、自動車に搭載されるエンジンの防振を目的としたが、本発明の防振装置は例えば自動車のボディマウント等、あるいは自動車以外の他の用途にも用いられることはいうまでもなく、また、形状等も実施の形態の構造のものに限定されるものではなく、他の構造の防振装置にも適用可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防振装置は上記構成としたので、構造を簡素化すると共に耐久性を高め得ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態の断面図であって、車両の走行状態における図を示す。
【図2】本発明に係る防振装置の第1の実施の形態の断面図であって、車両のアイドル状態における図を示す。
【図3】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態の断面図であって、車両の走行状態における図を示す。
【図4】本発明に係る防振装置の第2の実施の形態の断面図であって、車両のアイドル状態における図を示す。
【図5】本発明に係る防振装置の第1及び第2の実施の形態の車両の走行状態における防振特性を表すグラフを図示する。
【図6】本発明に係る防振装置の第1及び第2の実施の形態の車両のアイドル状態における防振特性を表すグラフを図示する。
【図7】従来技術に係る防振装置の断面図であって、車両の走行状態における図を示す。
【図8】従来技術に係る防振装置の断面図であって、車両のアイドル状態における図を示す。
【符号の説明】
10 防振装置
12 底板金具(第1の取付部材)
18 弾性体
20 上部取付金具(第2の取付部材)
24 上部仕切部材(仕切部材)
26 下部仕切部材(仕切部材)
30 主液室
32 副液室
38 オリフィス部材
38A フランジ部
46 振動板
48 コイルスプリング(第1バネ部材)
50 バルブ機構
54 コイルスプリング(第2バネ部材)
60 皿バネ(第2バネ部材)
64 切換弁(電磁弁)
70 制御回路(制御手段)
Claims (8)
- 振動発生部及び振動受部の一方に連結される第1の取付部材と、
振動発生部及び振動受部の他方に連結される第2の取付部材と、
これら一対の取付部材の間に配置される弾性体と、
弾性体を隔壁の一部として液体が封入され且つ弾性体の変形により内容積が変化する主液室と、
主液室の隔壁の他の一部を振動可能に形成する振動板と、
液体が封入されると共に拡縮可能な副液室と、
主液室と副液室との間を連通する通路を有し且つ往復動可能に配置されるオリフィス部材と、
通路に対応して配置され且つこの通路を開閉するバルブ機構と、
通路を閉鎖する方向に向かってバルブ機構を付勢する第1バネ部材と、
第1バネ部材より小さい力で通路を開放する方向に向かってオリフィス部材を付勢し且つ、通路の開放時にオリフィス部材を当接して振動板の動きを抑える第2バネ部材と、
を有することを特徴とする防振装置。 - 第2バネ部材がコイルスプリングとされることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- 第2バネ部材が皿バネとされることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- 主液室と副液室との間を仕切部材で区画すると共に、オリフィス部材にフランジ部を形成し、この仕切部材内に主液室側から、皿バネ、オリフィス部材のフランジ部、振動板が順に配置されることを特徴とする請求項3記載の防振装置。
- 振動板がゴム製とされることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
- 空気室に繋がれて空気室内の気圧を負圧と大気圧との間で切り換える切換弁と、
切換弁の動作を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の防振装置。 - 切換弁が電磁弁とされ、この電磁弁への通電及び通電の停止の制御が制御手段によりされることで、空気室内の気圧を負圧と大気圧との間で切り換え可能としたことを特徴とする請求項6記載の防振装置。
- 仕切部材が、主液室側に位置する上部仕切部材及び副液室側に位置する下部仕切部材を有し、
これらの上部仕切部材と下部仕切部材との間に振動板が振動可能に配置されることを特徴とする請求項4記載の防振装置。
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