JP4174902B2 - プラズマディスプレイパネル用前面板、プラズマディスプレイパネルおよびプラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルに係り、特にAC方式プラズマディスプレイパネルの異常放電を防止し、パネルの信頼性向上を高めたプラズマディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
薄型・大型テレビに使用できるディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す)が注目されている。特に、AC方式PDPは、構造が簡便で製造コストが安価にできる可能性があり、輝度や表示品位を高くできるメリットがある。AC方式PDPは、異なるスキャン電極間で放電することにより誘電体層の表面に発生する壁電荷を利用して、表示するディスプレイである。アドレス電極もスキャン電極の放電位置を決めるために放電に関与する。
【0003】
しかし、スキャン時やアドレス時の電圧印加のために発生した壁電荷の一部は表示後も誘電体層の表面に残存壁電荷として残り、この残存壁電荷により局部的に集中して放電する異常放電(偶発放電とも言う)が生じる。この異常放電を防止するために、特開平10−64434号公報では、背面板、すなわち、ディスプレイを表示するのと反対側の基の板誘電体層の表面抵抗率を、特に導電性微粒子を添加することにより低くし異常放電を抑制する方法が開示されている。
【0004】
背面板への電荷たまりはこの方法により解消し得るが、前面板、すなわち、ディスプレイを表示する側の基板への電荷たまりの解消も求められている。特に、前面板において異常放電により誘電体層が破損された場合、パネルの表示欠陥が生じるため、異常放電を抑制するためにも電荷のたまりの程度(抜けやすさ)を制御する必要がある。前面板への電荷たまりを制御するためには、前面板の誘電体層についても導電性を付与することが考えられる。また、誘電体層に導電性を付与することにより、静電容量が大きくなり、耐電圧を確保するために厚くした場合も表示する際の電流制御が容易になることも期待できる。
【0005】
しかし、PDPの前面板に形成される誘電体層は、放電により生じた発光光をより高い透過率で透過する必要がある。透過率が低下すると輝度低下に結びつく。前述の従来技術を前面板に用いると、導電性微粒子が光を吸収、あるいは、乱反射することにより透過率が低減し、ディスプレイの輝度が低下するという課題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこの異常放電がなく、かつ、輝度低下しないPDPを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、基板上に電極と該電極を被覆する誘電体層1を形成したPDP用前面板であって、誘電体層1がガラス成分および導電性微粒子を含み、誘電体層1に含まれるガラス成分の平均屈折率Ngと導電性微粒子の平均屈折率Ncが、以下の式(1)を満たすことを特徴とするPDP用前面板である。
−0.1≦Nc−Ng≦0.1 …(1)
また、本発明は、PDPであって、上記のPDP用前面板と、基板表面上にアドレス電極と該アドレス電極を被覆する誘電体層2が形成され、その上に放電セルを仕切るための隔壁が形成された背面板とが対向配置され、該前面板が実質的な画像表示面として使用されることを特徴とするPDPである。
【0008】
また、本発明は、ガラス粉末と有機バインダーから主として構成されるプラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペーストであって、さらに導電性微粒子を含有し、導電性微粒子の平均屈折率Ncとペースト中に含まれるガラス粉末の平均屈折率Ngが、上記の関係(1)を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペーストである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のPDP用部材は、異常放電がなく、かつ輝度低下しないPDPを提供するという目的を達成するため、実質的な画像表示面を形成する前面板として用いる。
【0010】
本発明のPDP用前面板の作製手順を以下に示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
基板には、ソーダガラスやプラズマディスプレイ用ガラス基板(旭硝子社製PD200など)を使うことができる。基板上に、ITO等によりスキャン電極を形成し、スキャン電極の抵抗値を低減させるために銀を用いてバス電極を形成しする。
【0012】
次いでバス電極を被覆する形で誘電体層を形成する。本発明のPDP用部材においては、誘電体層に含まれるガラス成分の平均屈折率Ngと導電性微粒子の平均屈折率Ncが、以下の式(1)を満たすことが必要である。式(1)を満たすことにより、誘電体層内の導電性粒子による光の吸収や乱反射を抑えることが可能となり、光線透過率を維持しつつ、異常放電を抑制できる。
−0.1≦Nc−Ng≦0.1 …(1)
ガラス成分としては、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化リンを合計で10〜80重量%含有するガラスを用いることができる。10重量%以上とすることで、熱軟化温度が350〜580℃となり600℃以下での焼成が容易になり、80重量%以下とすることで、結晶化を防ぎ透過率の低下を防止する。これらのガラス成分の屈折率としては、1.70〜1.85が好ましい。この範囲内とすることで、導電性微粒子との屈折率を近づけることが容易になる。
【0013】
導電性微粒子としては、透明性が高く、抵抗値の低い金属、もしくは、金属酸化物を用いることができるが、具体的には、酸化錫、ITO、アンチモン酸亜鉛が好ましい。誘電体層中の導電性微粒子の含有量は0.1〜10重量%程度であることが好ましい。0.1重量%以上とすることで異常放電の抑制の実効を得ることができる。また、10重量%以下とすることで、電極間の絶縁性を維持できる。
【0014】
異常放電を抑制するには、誘電体層の体積抵抗率が1×105〜1×1010Ω・mであることが好ましい。体積抵抗率を1×1013Ω・m以下とすることで、異常放電の抑制の実効を得ることができる。1×105Ω・m以上とすることで、隣り合う電極の絶縁性を維持できる。
【0015】
また、十分な輝度を得るためには、誘電体層の可視光線透過率が70%以上であることが好ましい。
【0016】
本発明のPDP用部材の誘電体層の形成は、基板上に、ガラス粉末と有機バインダーから主として構成されるガラスペーストを塗布した後に400〜600℃で焼成する事により形成できる。
【0017】
本発明におけるガラスペーストは、導電性微粒子を含有し、導電性微粒子の平均屈折率Ncとガラス粉末の平均屈折率Ngが前述の式(1)を満たすことが重要である。このようなガラスペーストを採用することで、前述の誘電体層を得ることができる。
【0018】
ガラスペースト中の導電性微粒子の平均粒子径は、1〜10μm、さらには2〜5μmであることが好ましい。1μm以上とすることでペースト中での粉末の分散が容易となり、10μm以下とすることで、突起状の欠陥を防ぐことができる。
【0019】
上記のガラス成分の粉末と導電性微粒子および有機バインダーを混合し、混練する事によりガラスペーストを作製できる。用いる有機バインダーとしては、エチルセルロース、メチルセルロース等に代表されるセルロース系化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルアクリレート等のアクリル系化合物等を用いることができる。また、ガラスペースト中に、溶媒、可塑剤等の添加剤を加えても良い。溶媒としては、テルピネオール、ブチロラクトン、トルエン、メチルセルソルブ等の汎用溶媒を用いることができる。また、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジエチルフタレート等を用いることができる。
【0020】
ガラスペーストを基板上に塗布する厚みは10〜100μmが好ましく、焼成後の厚みが5〜80μm程度が好ましい。焼成後の厚みを5μm以上とすることでピンホールなどの欠陥が生じにくく、80μm以下とすることで駆動電圧が上昇する問題がない。
【0021】
次に、酸化マグネシウム層を形成して前面基板を作製できる。
【0022】
本発明の前面板と組み合わせる背面板は、基板上に、アドレス電極、誘電体層、隔壁、蛍光体層を常法により形成して作製できる。その際、背面板の誘電体層にも導電性微粒子を含有させることが好ましい。
【0023】
本発明のPDPは、前面板として上述のPDP用部材を用いることが重要である。前面板とた背面板とを封着して、Xeを含有するHeやNeガスを封入して、駆動回路を実装することにより、PDPを作製できる。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。なお、実施例、比較例中の濃度(%)は重量%である。
【0025】
(実施例1)
酸化鉛を70重量%含有するBa硼珪酸ガラスの粉末(屈折率1.81)を70%、酸化スズ(屈折率1.83)を5%、エチルセルロース15%、テルピネオール10%を混練してガラスペーストを得た。
【0026】
旭硝子社製ガラス基板PD200上に、70mm角のクロム/銅/クロムの3層の電極膜をスパッタリングにより形成した。
電極膜状に、上記のガラスペーストをスクリーン印刷により、50μmの厚みになるように塗布し、570℃15分間の焼成を行って誘電体層を形成した。焼成後の厚みは28μmであった。
誘電体層上にドータイトを塗布して直径40mmの円形電極膜を形成した。
誘電体層の上下の電極間に1ボルトの電圧をかけ、高抵抗計で抵抗値を測定したところ7×108Ωであった。この抵抗値を次式(2)に代入し、形成した誘電体層の体積抵抗率が3×1010Ω・mであることを確認した。
体積抵抗率(Ω・m)=抵抗値(Ω)×πd2/4t …(2)
ただし、d(m)は電極の直径、t(m)は誘電体の厚さである。
【0027】
(実施例2)
旭硝子社製ガラス基板PD200上に、ITOを用いて、ピッチ220μm、線幅100μmのスキャン電極を形成した。また、その基板上に感光性銀ペーストを塗布した後に、フォトマスクを介したマスク露光、0.3%炭酸ナトリウム水溶液を用いた現像、580℃15分間の焼成工程を経て、バス電極を形成した。
【0028】
次に、実施例1で得たガラスペーストをスクリーン印刷により、表示部分のバス電極が覆われるように50μmの厚みとなるように塗布し、570℃15分間の焼成を行って前面誘電体を形成した。焼成後の厚みは28μmであった。誘電体を形成した基板上に電子ビーム蒸着により保護膜として、厚み0.5μmの酸化マグネシウム層を形成して前面板を作製した。
【0029】
次に、PD200上にアドレス電極を形成し、酸化鉛を70重量%含有するガラス粉末を主成分とするガラスペーストを用いて背面誘電体を形成した後、隔壁、RGBの蛍光体層を形成し、背面板を作製した。
【0030】
前記の前面板と背面板とを封着ガラスを用いて封着して、Xe5%含有のNeガスを内部ガス圧66500Paになるように封入した。さらに、駆動回路を実装してPDPを作製した。PDPのスキャン電極に電圧を印加して発光させた。その輝度計を用いて輝度を測定したところ、250cd/m2であった。また、24時間連続して表示を行ったが、異常放電は生じなかった。
【0031】
(実施例3)
前面板の誘電体層形成用ペーストのガラス粉末として、酸化ビスマス65重量%、酸化亜鉛10重量%を含有するBa硼珪酸ガラスを用いた以外は実施例1、2と同様にして前面板を作製した。次に、酸化鉛を70重量%含有するBa硼珪酸ガラス粉末を主成分とするペースト中にニッケル粉末を2重量%添加した以外は実施例2と同様に背面基板を作製した。これらの前面基板と背面基板を封着してPDPを作製し、4時間連続して表示を行ったが、異常放電は生じなかった。
【0032】
(比較例1)
前面板の誘電体層形成用ペーストとして、ガラス粉末75%、エチルセルロース15%、テルピネオール10%を混練して得られたガラスペーストを用いた以外は、実施例1、2と同様にして、前面板、背面板を作製し、PDPを作製して表示を行った。PDPの輝度は228cd/m2であった。しかし表示1時間の間に平均4回の異常放電が生じた。また実施例1と同様に誘電体層の体積抵抗率を測定したところ、1×1015Ω・mであった。
【0033】
(比較例2)
前面板の誘電体層形成用ペーストのガラス粉末として、酸化鉛を60重量%含有するBa硼珪酸ガラス(屈折率1.69)を用いた以外は、実施例1、2と同様にして、前面板、背面板を作製し、PDPを作製して表示を行った。また、24時間連続して表示を行っても、異常放電は生じなかった。しかし輝度は195cd/m2であり、実施例2に比べ劣るものであった。また実施例1と同様に誘電体層の体積抵抗率を測定したところ、4×1010Ω・mであった。
【0034】
【発明の効果】
本発明のプラズマパネル用部材、プラズマディスプレイパネルおよびガラスペーストにより、高輝度でかつ異常放電の生じにくく、信頼性に優れたプラズマディスプレイパネルを提供できる。
Claims (9)
- 基板上に電極と該電極を被覆する誘電体層1を形成したプラズマディスプレイパネル用前面板であって、誘電体層1がガラス成分および導電性微粒子を含み、誘電体層1に含まれるガラス成分の平均屈折率Ngと導電性微粒子の平均屈折率Ncが、以下の式(1)を満たすことを特徴とするプラズマディスプレイパネル用前面板。
−0.1≦Nc−Ng≦0.1 …(1) - 誘電体層1の体積抵抗率が1×105〜1×1013Ω・mであることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル用前面板。
- 誘電体層1における導電性微粒子の含有比率が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル用前面板。
- 誘電体層1の可視光線透過率が、70%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のプラズマディスプレイパネル用前面板。
- プラズマディスプレイパネルであって、請求項1〜4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル用前面板と、基板表面上にアドレス電極と該アドレス電極を被覆する誘電体層2が形成され、その上に放電セルを仕切るための隔壁が形成されたプラズマディスプレイパネル用背面板とが対向配置され、該プラズマディスプレイパネル用前面板を実質的な画像表示面として使用することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
- 前記プラズマディスプレイパネル用背面板に形成した誘電体層2に導電性微粒子を含むことを特徴とする請求項5記載のプラズマディスプレイパネル。
- ガラス粉末と有機バインダーから主として構成されるプラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペーストであって、さらに導電性微粒子を含有し、導電性微粒子の平均屈折率Ncとガラス粉末の平均屈折率Ngが、以下の関係(1)を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペースト。
−0.1≦Nc−Ng≦0.1 …(1) - 導電性微粒子として、酸化錫、ITO、アンチモン酸亜鉛の内の少なくとも1種類以上を用いることを特徴とする請求項7記載のプラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペースト。
- 導線性微粒子の含有量が、プラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペーストに対して0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項7または8記載のプラズマディスプレイパネル用前面板の誘電体層形成用ガラスペースト。
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