JP4174972B2 - 位置決め制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステップモータやサーボモータなどの制御対象の位置を制御する制御装置における位置決め制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
位置決め制御方法に関する第1の従来技術として、例えば、特開平4−172506号公報に記載された技術がある。
この技術では、制御対象を指令位置まで移動させる場合、制御対象を目標速度まで加速し、目標速度で移動後、減速、停止させることにより位置決めを行っている。
なお、その際の加速時間は、時間枠(目標移動量を目標速度で除したもの)毎に設定するようになっている。
【0003】
この制御方法について、制御対象の移動量(指令された移動量)が400〔パルス〕、目標速度が単位時間当たり50〔パルス/秒〕である移動の場合を例にとり説明する。
まず、移動量400〔パルス〕を目標速度50〔パルス/秒〕で除し、各50〔パルス〕の移動量を持つ8個の単位時間枠A〜Hに分割する。
つぎに各単位時間枠の加速時間を指定する。
ここでは、いずれの時間枠についても同一の加速時間5秒とすると、単位時間枠Aの移動量50〔パルス〕が加速時間5秒に均一に分割され、単位時間枠Aを先頭に連続する5単位時間枠A、B、C、D、Eに10〔パルス〕づつ再配分される。
以下同様に、再配分する時間枠を1ずつ後ろにずらして各単位時間枠(B〜F、C〜G、…)の移動量50〔パルス〕について順次再配分を行う。
ここで、再配分する時間枠が5単位時間にならない場合、新たに移動量0〔パルス〕である単位時間枠を追加し、再配分を行う。
再配分が終了すると、単位時間枠ごとに、再配分された移動量が集計され、最初に指定した移動が実現されている。
【0004】
また、第2の従来技術としては、特開平11−220364号公報に記載された技術がある。
この技術では、任意の設定値に比例した任意の周波数の出力パルスを発生させることにより、制御対象の速度制御を実現している。
【0005】
この制御方法では、まず設定された加速度に応じて加速時間内に加速する回数を求め、その期待値と制御対象が加速した回数が一致すると、定速に切換え、その後加速と同じ勾配で減速される。
【0006】
さらに、第3の従来技術としては、制御対象の移動量を加速域、定速(目標速度)域、減速域に割付け、制御周期ごとに現在値(制御対象が移動した移動量)と指令された移動量を比較することにより速度切換えを行う位置決め制御方法がある。
【0007】
この制御方法では、所定の制御周期ごとに加速し、目標速度(又は加速域の移動量)に達すると、目標速度で定速移動を行う。
その間、制御周期ごとに現在値と減速開始移動量(指令された移動量から減速域に割付けられた移動量を減算したもの)の比較を行い、現在値が減速開始移動量に達したところで目標位置までの減速を開始し、制御周期ごとに減速している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の第1、第2の従来技術では、減速時間が加速時間に依存してしまい、減速時間だけを変化させることができないので、ユーザの希望により、減速時間だけを長くして、ゆっくりと機械の位置決め制御を行うなどの要望に対処することができないという問題があった。
また、第2の従来技術では、移動量について考慮されておらず、減速開始移動量を決定する方法が記されていないため、正確な位置決めができないという問題があった。
【0009】
第3の従来技術では、加速域、目標速度域、減速域それぞれに対する移動量の演算を、制御周期ごとに速度指令を出力する演算器(又はCPU)側で行わなければならず、演算器(又はCPU)の負荷が大きくなるという問題があった。
また、第3の従来技術では、制御周期ごとに移動量の比較を行うため、制御周期の切れ目に現在値が減速開始移動量と一致することは極めて稀で、大抵の場合は制御周期中に現在値が減速開始移動量に達してしまうことから、最適なタイミングで減速を開始するためには制御周期の最適化を行わなければならないという問題があった。
さらに、第3の従来技術では、加速、定速、減速の切換えをする場合、現在速度(制御対象が動いている速度)と目標速度を比較するため、比較する速度の値が大きくなると比較回路やゲート数が多くなるとともに,加速域、定速域、減速域に割付けられた移動量を記憶させておくための多くのメモリ空間が必要になるという問題があった。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、加速時間とは独立した減速時間の設定を可能とし、また、正確な位置決めを行うことができる位置決め制御方法を提供することを目的としている。
また、他の目的として、演算器の負荷を抑え、回路やゲート数、メモリ空間を少なくすることが可能な位置決め制御方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る位置決め制御方法においては、指令速度Vpに応じた周波数の出力パルスを制御対象に与えることで、当該制御対象を目標速度VSまで加速した後に、減速を開始させ、制御対象を所定の移動量YSだけ移動した位置に位置決めする位置決め制御方法において、制御周波数をfc、出力パルスの最小速度を1/nとし、前記制御対象を減速時間 td 中に時間間隔Δ td( = td /α d ,α d は分割数 ) 〔 1 / fc 秒〕毎に、速度変位Δ Vd 〔パルス/秒〕ずつ減速させる場合、前記制御対象の移動開始から減速開始までの移動量である減速開始移動量YSdの整数部値YSdq〔パルス〕、及び小数部値YSdrを単位変換して整数化した値 YSdR 〔 1 / (fc × n) パルス〕を、それぞれ、
YSdq = (YS × 2 × n × fc-(VS × 2 × n- Δ Vd × n × ( α d + 1)) ×Δ td ×α d) / (fc × 2 × n) の商≧ 0
YSdR = ((YS × 2 × n × fc-(VS × 2 × n- Δ Vd × n × ( α d + 1)) ×Δ td ×α d) / (fc × 2 × n) の余り ) /2の商≧0
で求める減速開始移動量演算ステップを含むものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の位置決め制御方法を実施するためのフローを示したフローチャートである。
図2は、本発明による位置決め制御方法を使用した位置決め装置のブロック図である。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。
本実施の形態では、1パルスに満たないパルスを小数点以下のパルスと定義し、減速開始をするまでの移動量である減速開始移動量YSdのパルスにおいて、1パルス単位のものを減速開始移動量YSdの整数部YSdq、小数点以下のパルスを減速開始移動量YSdの小数部YSdrとする。
また、図2における可変周波数パルス発生回路9からの加算結果θ1(整数)と減速開始移動量YSdの小数部YSdr(小数)を比較可能とするため、減速開始移動量YSdの小数部YSdrを整数化したものをYSdRと表現する。
【0017】
図2において、8は制御対象の速度を制御するための減速開始移動量YSdの計算を行い、制御対象の速度指令を可変周波数パルス発生回路9に与える演算器またはCPUからなる演算回路、9は演算回路8からの速度指令に基づきパルスを出力する可変周波数パルス発生回路、10は減速開始移動量YSdの整数部を決定するYSdqと可変周波数パルス発生回路9の出力パルスをカウントした値を比較する手段、及び、減速開始移動量YSdの小数部を決定するYSdrを整数化したYSdRと可変周波数パルス発生回路9からの加算結果θ1を比較する手段、及び、それらの比較結果をもとに、制御対象の速度を制御するための減速信号を可変周波数パルス発生回路9に与える手段、並びに、可変周波数パルス発生回路9の出力パルスをカウントした値と制御対象を停止させるまでの移動量YSが一致したら、可変周波数パルス発生回路9の出力パルスを止める停止信号を可変周波数パルス発生回路9に与える手段を有した位置制御回路である。
【0018】
ここで、可変周波数パルス発生回路9のパルス生成方法について説明する。
図3は、可変周波数パルス発生回路9の出力パルス波形と加算結果θ1の関係を示したものである。
可変周波数パルス発生回路9は、加算器、比較器、及び減算器(又は演算プログラム)等からなり、図3のように加算器の加算結果θ1と2つの基準値D1、D2の比較により、出力パルスの値(0又は1)を決定し、パルスを生成する。
加算器が加算器の初期値(0とはかぎらない)に速度設定値Vp×nを1/fc(fc:制御周波数〔Hz〕)時間ごとに加算して、その加算結果をθ1とする。
これを1/fc時間ごとに繰り返していき、加算結果θ1と2つの基準値D1、D2を比較器により比較する。
そして、加算結果θ1がD2=(fc×n)/2(n:任意の数)になると出力パルスの論理値=1になり、D1=fc×nになると出力パルスの論理値=0になり、出力パルスを生成する。
加算結果θ1はD1に達すると、加算器のオーバーフローを防止するため、減算器により加算結果θ1からD1を減算する。
これを繰り返すことにより、パルスを生成し出力する。
そのため、加算器に設定する速度設定値Vp×nの値を変えることにより、速度(パルスの周波数)を変化させることができる。
【0019】
次に、図2のように構成された位置決め制御装置の動作について、図1のフローチャートにしたがって説明する。
まずステップS1では、図4の14に示すような、制御対象を停止させるまでの移動量YS(太線内の面積)、制御対象の目標速度VS、制御対象のバイアス速度(初速や終速などの一定速度分を底上げしたもの)VB、制御対象を加速するための加速時間ta、制御対象を減速するための減速時間td、加速時間での速度変位ΔVa(時間間隔Δtaごとに変化させる速度)、減速時間での速度変位ΔVd(時間間隔Δtdごとに変化させる速度)をS/W等の手段を使用して、図2の演算回路8のレジスタに設定する。
ここで、加速時間での速度変位ΔVa、減速時間での速度変位ΔVdは任意の値で、制御対象が滑らかに加減速するように演算プログラム等を用いて与える。
また、VB=0でもよく、初速と終速が異なる場合は、バイアス速度VBに終速の値をいれればよい。
【0020】
ステップS2では、図2の演算回路8がステップ1で指定されたデータをもとに減速開始移動量YSdを算出する。
ここで、減速開始移動量YSdの算出方法について、図4及び図5を参照して説明する。
図4は、制御対象の速度と時間の関係を示したものであり、速度と時間の積が制御対象の移動量となる。
図4で示した加減速勾配は、実際は図5のように階段状になっている。
図5においてαdは減速時間の分割数、Aは速度差|VS−VB|の分割数(速度の階段数)である。
速度の階段数Aは、図5に示すように制御対象の現在速度をバイアス速度VB下に減速するまで、制御対象を時間間隔Δtdごとに減速時間での速度変位ΔVdずつ減速する回数である。
したがって、制御対象は減速開始移動量に達した時点で1回減速し、後はΔtd時間ごとにαd回減速するため、速度の階段数AはA=αd+1の関係を保つこととなる。
【0021】
減速開始移動量の制御、計算方法は、等差級数(算術級数とも言う)の計算式を利用する。(図5斜線部分の移動量を算出するときに使用)
ここでは加減速勾配を公差=1、初項=1となるようにしている。
特に、公差=1、初項=1の場合をピタゴラスの三角数とも言う。
減速開始移動量YSdの整数部はYSdqであり、減速開始移動量YSdの小数部はYSdrであるので、
減速開始移動量YSdは、YSd=YSdq+YSdrと表される。
つまり、減速開始移動量YSdを100.5パルスとすると、減速開始移動量YSdの整数部YSdqは100パルスとなり、減速開始移動量YSdの小数部YSdrは0.5パルスとなる。
【0022】
減速開始移動量YSdの小数部YSdrが0.5パルスであるので、図3より減速開始移動量YSdの小数部YSdrを整数化したYSdRはD2となる。
減速開始移動量YSdの整数部YSdqは、制御対象を停止させるまでの移動量YSを超えることはないため0≦YSdq≦YSとなり、減速開始移動量YSdの小数部YSdrを整数化したYSdRは、加算器の値θ1≧D1になると加算結果θ1からD1を減算するため0≦YSdR≦(D1―1)となる。
また、減速開始移動量YSdの整数部YSdqは、1パルス単位であり、加算結果θ1はVp/D1パルスずつ増えるため、減速開始移動量YSdの小数部YSdrを整数化したYSdRは、最小単位をとって1/D1パルス単位とする。
減速開始移動量とは、制御対象が減速を開始するまでの移動量であるので、制御対象の現在値が減速開始移動量に達すると減速開始する。
すなわち制御対象は現在値(出力パルス数の整数部)が1パルス単位(整数部)の減速開始移動量YSdqに達し、かつ加算結果θ1(出力パルス数の小数部)が1/D1パルス単位(小数部)の減速開始移動量YSdの小数部YSdrを整数化したYSdR以上になったら、減速開始する。
【0023】
減速開始移動量YSdは、図4で示すように制御対象を停止させるまでの移動量YSから減速部分Ydを減じることにより算出できる。
減速部分Ydは、図5において制御対象が速度VSで減速時間(Δtd〔s〕×αd〔個〕)≒td分移動したときの面積(移動量)から斜線部分の面積を除くことにより求められる。−式▲1▼
斜線部分にある(ΔVd×Δtd)の個数は、左から1、2、3、4というように公差=1、初項=1の等差級数になっているので、
公式から(4×(4+1))/2=10〔個〕である。
ゆえに一般化すると、斜線部分の面積は、
(ΔVd×Δtd)×(αd×(αd+1))/2となる。―式▲2▼
この方法では、等差級数を利用して(ΔVd×Δtd)というパルスのかたまりの個数を計算する。
一般的に等差級数の公式は、小数を含む値の計算には利用することができないが、等差級数の公式を利用するのは(ΔVd×Δtd)というパルスのかたまりの個数を計算するときであるため、(ΔVd×Δtd)の値が小数点以下の値を含んでいても、等差級数を利用することができ、小数点以下のパルス数を考慮することができる。
【0024】
以上のことから減速開始移動量YSdの算出式を示す。
ここで、fc=制御周波数〔Hz〕、VS=目標速度〔パルス/秒〕、Δtd=速度変化させる時間〔s〕、αd=(時間の分割数または(速度の分割数―1))〔個〕とする。
また、減速時間での速度変位ΔVdは、速度差|VS−VB|を(αd+1)で除したものであるので、(αd+1)の値によっては小数になることがある。
そこで、減速開始移動量の計算式中に小数の値を出さないようにするため、減速時間での速度変位ΔVdを最小速度を用いてあらわす。
【0025】
可変周波数パルス発生回路9は、1/fc秒で1/D1=1/(fc×n)パルスを生成するため、最小速度はfc/D1=1/n〔パルス/秒〕となる。
減速時間での速度変位ΔVdは、最小速度fc/D1=1/n〔パルス/秒〕をΔV(整数)倍したものとあらわせるので、D1=fc×nより、
ΔVd=ΔV×(fc/D1)=ΔV/n
となる。
ここで、ΔVはΔVd=ΔV/n〔パルス/秒〕より、ΔV=速度変化量〔パルス・n/秒〕を表す。
【0026】
αdはA=αd+1=(VS−VB)/ΔVdから次のように算出される。
αd=((VS−VB)/ΔVdの小数点以下切り上げ)−1=(((VS−VB)×n/ΔV)の小数点以下切り上げ)−1
Vd=0の場合、減速時間での速度変化がないことになり、これは制御対象が減速しないということである。すなわち、減速時間はないためαd=0となる。
前記式では、分母のΔVdに0を代入すると0で割るので、αdが無限大になってしまうため、ΔVd=0ならαd=0とする。
【0027】
Δtdはtd=αd×Δtdより次のように算出される。
可変周波数パルス発生回路9は出力パルスを1/fc時間ごとに生成しているため、td〔ms〕をtd×fc/103〔1/fc秒単位〕に単位変換すると、
Δtd=((td×(fc/103))/αd)の商〔1/fc秒単位〕
αd=0の場合、減速時間はないためΔtd=0となる。
ところで、Δtdの値は((td×(fc/103))/αd)の余りを切り捨てるため、上記計算式から得られたΔtdは、かならずしもΔtd×αd=tdを満たさず、Δtd×αdの値は減速時間td付近の値をとり、
(td−Δtdの最小値×αd)<(Δtd×αd)≦tdとなる。
ここで、誤差を小さくするには、Δtdの最小値を小さくすればよく、1/fcを小さくすることであり、fcを大きくすることである。
したがって、減速部分の移動量Ydは上述した式▲1▼及び▲2▼より、次のように算出される。
Yd=(制御対象が速度VSで(Δtd×αd)時間移動したときの面積)−(図5の斜線部分の面積)
=(VS×(Δtd×αd))−(ΔVd×Δtd)×((αd×(αd+1))/2)
【0028】
ここでΔVd=ΔV/n〔パルス/秒〕とし、Δtd〔秒〕を1/fc〔秒〕をもとに整数倍して作るとすれば、Δtd〔秒〕=Δtd×fc〔1/fc秒〕で表されるため、
Δtd〔秒〕=(Δtd〔1/fc秒〕/fc)〔秒〕と単位変換すれば、
ゆえに、1パルス単位(整数部)の減速開始移動量YSdqは、つぎのように算出される。
YSdq=(YS−Yd)の整数部〔1パルス単位〕
=(YS×2×n×fc-(VS×2×n-ΔV×(αd+1))×Δtd×αd)/(fc×2×n)の商≧0
YSdqの計算結果<0の場合、YSdqは制御対象の減速開始移動量のため負になることはないのでYSdq=0。
YS=0ならYSdq≧0。
【0029】
つぎに、1/D1パルス単位(小数部)の減速開始移動量YSdrを整数化したYSdRの算出式を示す。
ここで加算結果θ1は整数のため、(YS−Yd)の小数部を、整数にする必要がある。
そこで、(YS−Yd)の小数部YSdrを(fc×2×n)倍し、
(YS×2×n×fc−(VS×2×n−ΔV×(αd+1))×Δtd×αd)/(fc×2×n)の余りを求める。
しかし、減速開始移動量YSdrは1/D1パルス単位であり、
D1=(fc×n)であるので、
1/(fc×n)パルス単位にするため、
(YS×2×n×fc−(VS×2×n−ΔV×(αd+1))×Δtd×αd)/(fc×2×n)の余りを2で除す。
ゆえに、
YSdrの計算結果<0の場合、YSdrは制御対象の減速開始移動量のため負になることはないのでYSdR=0。
YS=0ならYSdR≧0。
【0030】
以上の式を用いることにより、減速開始移動量YSd(=YSdq+YSdr)を速度指令を可変周波数パルス発生回路9に指令する前に算出することができ、加速域、目標速度域、減速域それぞれに対する移動量の演算を演算回路8が速度指令を出力するたびに行う必要が無くなる。
【0031】
図2の演算回路8は、減速開始移動量YSd(=YSdq+YSdr)を算出した後、可変周波数パルス発生回路9に速度指令を与える。
速度指令を受けた可変周波数パルス発生回路9は、加算器の加算結果θ1と2つの基準値D1、D2の比較により、パルスを生成し出力する。
この際、位置制御回路10は可変周波数パルス発生回路9の出力パルスをカウントし、そのカウント結果が制御対象の現在値(出力パルスの整数部)となる。
【0032】
その後、ステップS3では、可変周波数パルス発生回路9は、演算回路8から定められた時間間隔Δtaごとに、出力パルスの周波数を変化させ、制御対象の速度を初速から随時加速する。
【0033】
ステップS4では、演算回路8は、制御対象の速度が目標速度に達したかどうか判断するため、制御対象の速度が目標速度に達するまでに加速する回数(速度の階段数A=αd+1)と制御対象が実際に加速した回数、すなわち可変周波数パルス発生回路9に与えた速度指令の回数を比較し、その比較結果が一致すると、ステップS5に移る。
【0034】
ステップS5では、演算回路8は、可変周波数パルス発生回路9に速度指令を行い、現在の速度を目標速度に切換える。
【0035】
ステップS6では、位置制御回路10は、制御対象の減速を開始する移動量を判断するため、現在値(出力パルス数)と減速開始移動量の整数部YSdq、加算器の結果であるθ1(小数点以下の出力パルス数)と、減速開始移動量の小数部YSdrを整数化したYSdRを随時比較し、現在値が減速開始移動量に達する(現在値≧YSdq、かつ、θ1≧YSdRになる)と、ステップS7に移行する。
【0036】
ステップS7では、可変周波数パルス発生回路9に位置決制御回路10が減速信号を与え、減速が開始される。
可変周波数パルス発生回路9は、演算回路8から指令された減速勾配に従い、定められた時間間隔Δtd(加速時の時間に依存しない)ごとに目標速度から随時減速し、αd回減速した後、速度を維持する。
位置決制御回路10は、現在値と制御対象を停止させるまでの移動量YSを随時比較し、図4の14に示すように、現在値が制御対象を停止させるまでの移動量YSに達すると、可変周波数パルス発生回路9に停止信号を与える。
そして、可変周波数パルス発生回路9は、パルス出力を停止する。
【0037】
本実施の形態では、可変周波数パルス発生回路を用いる場合について述べたが、固定周波数パルス発生回路を使用できることはいうまでもない。
また、速度の階段数と加速した回数を比較するかわりに、現在速度と目標速度を比較してもよい。
さらに、ここでは公差=1、初項=1の等差級数の場合について説明したが、それ以外の場合についても級数を利用して減速開始移動量YSdを算出することができる。
また、これらの位置決め制御装置は演算プログラムを用いても同様の機能を得ることができる。
【0038】
本実施の形態によれば、減速開始移動量を算出するときに加速時間の値を使用することなく、YSdを求めるため、加速時間とは独立した減速時間、速度変位(減速勾配)の設定をすることができ、初速と終速が異なる場合でも対応することができる。
また、減速開始移動量を固定された制御周期(数ms)の切れ目で判断するのではなく、小数点以下のパルス数で管理するため、最適なタイミングfc(数十ns)で減速開始することができる。
【0039】
さらに、減速開始移動量は級数の公式を利用した一つの計算式で算出することができるため、加速域、目標速度域、減速域それぞれに対する移動量の演算をしなくすみ、演算回路の負荷を抑えることができ、少ない演算回路で多くの制御対象の位置制御をすることができる。
さらにまた、加速、定速、減速の切換えをする場合、速度の階段数と制御対象が加速した回数の比較を行っているため、現在速度と目標速度を比較する場合に比べ、回路やゲート数を少なくすることができる。
そして、加減速中に速度変更をする場合等、複雑な制御を要する場合は速度の比較をすればよい。
【0040】
また、算出された減速開始移動量の移動量のみを記憶させておけばよいので、加速域、定速域、減速域に割付けられた移動量を記憶させておくためのメモリ空間を必要としない。
また、パルス制御から速度の切換え方法まで、比較、演算などの簡単な制御しか行っていないので、演算プログラムにより容易に実現することができる。
さらに、(ΔVd×Δtd)という実数パルスのかたまりを単位とし、(ΔVd×Δtd)の個数を級数の公式を利用して計算することにより、減速開始移動量に小数点以下のパルス数が含まれていても減速開始移動量を計算することができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0042】
減速開始移動量の整数部値 YSdq と小数部値 YSdr とはそれぞれ別の単位で扱われ、最小単位に合うように処理されるため、最適なタイミングで減速を開始し、正確な位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による位置決め制御方法の実施例を示す流れ図である。
【図2】 本発明による位置決め制御方法を使用した位置決め装置のブロック図である。
【図3】 パルス発生器の出力波形と加算結果θ1の関係を示したものである。
【図4】 制御対象の速度と時間の関係を示したものである。
【図5】 図4の減速部分の詳細を示したものである。
【符号の説明】
8 演算手段、9 可変周波数パルス発生回路、10 位置制御回路、11 制御対象が初速から動き出す点、12 制御対象の速度を目標速度に切換える点、13 制御対象の速度を減速開始する点、14 制御対象の現在値が設定した移動量に達し、位置決め完了となり停止する点。
Claims (2)
- 指令速度Vpに応じた周波数の出力パルスを制御対象に与えることで、当該制御対象を目標速度VSまで加速した後に、減速を開始させ、制御対象を所定の移動量YSだけ移動した位置に位置決めする位置決め制御方法において、
制御周波数をfc、出力パルスの最小速度を1/nとし、前記制御対象を減速時間 td 中に時間間隔Δ td( = td /α d ,α d は分割数 ) 〔 1 / fc 秒〕毎に、速度変位Δ Vd 〔パルス/秒〕ずつ減速させる場合、
前記制御対象の移動開始から減速開始までの移動量である減速開始移動量YSdの整数部値YSdq〔パルス〕、及び小数部値YSdrを単位変換して整数化した値 YSdR 〔 1 / (fc × n) パルス〕を、それぞれ、
YSdq = (YS × 2 × n × fc-(VS × 2 × n- Δ Vd × n × ( α d + 1)) ×Δ td ×α d) / (fc × 2 × n) の商≧ 0
YSdR = ((YS × 2 × n × fc-(VS × 2 × n- Δ Vd × n × ( α d + 1)) ×Δ td ×α d) / (fc × 2 × n) の余り ) /2の商≧0
で求める減速開始移動量演算ステップ
を含む位置決め制御方法。 - 出力パルスをカウントした値が前記減速開始移動量演算ステップにて求められた整数部値YSdq以上となり、かつ、速度設定値(Vp×n)を1/fc時間ごとに加算した加算結果が前記減速開始移動量演算ステップにて求められた小数部値YSdrを1/(fc×n)パルス単位に単位変換して整数化した値YSdR以上となった時点を減速開始時点と判断し、減速を開始する減速開始ステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の位置決め制御方法。
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