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JP4175099B2 - 光書き込み型表示媒体、及び表示装置 - Google Patents
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JP4175099B2 - 光書き込み型表示媒体、及び表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、書き込み型表示媒体、及び表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光導電性スイッチング素子と表示素子を組み合わせた光書き込み型空間変調デバイスが開発され、ライトバルブとしてプロジェクター等に実用化されているほか、「"液晶空間変調機と情報処理"液晶,Vol.2,No.1,'98,pp3−18」にあるように、光情報処理の分野にも可能性が検討されている。
【0003】
光書き込み型空間変調デバイスは、所定の電圧を素子に印加しつつ、受光した光量により光導電性スイッチング素子のインピーダンスを変化させ、表示素子に印加される電圧を制御することにより、表示素子を駆動し、画像を表示するものである。
【0004】
特に、メモリ性のある表示素子と光導電性スイッチング素子を積層し、これに、電圧を印加すると共に、光画像を入射し、書き込みを行う媒体は、書き込み装置から媒体を切り離して持ち歩くことが可能な電子ペーパー媒体として注目されている。
【0005】
光書き込み型媒体の表示素子としては、例えば、コレステリック液晶、強誘電液晶のような液晶表示素子、あるいは電気泳動素子や電界回転素子、トナー電界移動型素子や、これらをカプセル化した素子等が検討されている。
【0006】
これら、受光した光量により電圧あるいは電流を制御できるような光スイッチング素子としては、例えば、電子写真の分野で用いられるアモルファスシリコン素子、有機光導電体を用いた機能分離型二層構造のOPC素子、さらに、本発明者らにより、電荷輸送層(CTL)の上下に電荷発生層(CGL)、を形成した構造(以下、デュアルCGL構造(dual CGL structure)と称する)のOPC素子が検討されている。特に、OPC素子は、高温の熱処理を必要としないため、PETフィルムなどのフレキシブル基板への適用も可能であり、かつ、真空プロセスも無いために安価に作製できるという利点を有する。なかでも、Dual CGL構造は、交流駆動が可能であり、表示素子に液晶素子を用いた場合においても、印加電圧に含まれるバイアス成分によりイオンの移動に起因した画像の焼付き現象も生じにくいため、特に有効な構造である。駆動に用いられるキャリアは正負どちらのキャリアでも良い。
【0007】
ここで、この光スイッチング素子を電子ペーパーに適用した光書き込み型電子ペーパ−(光書き込み型表示媒体)の概念図を図15に示す。
【0008】
この表示媒体100は、表面に電極101が形成された一対の基板102間に、表示層104(表示素子)及び光スイチング層106(光スイチング素子)がそれぞれ電極に接続されると共に積層・挟持して構成されている。この表示媒体100に対し、書き込みパルス印加手段110によりパルス電圧を印可しつつ、光書き込み装置108から画像情報に基づいた光を照射して、表示媒体100に画像を表示させる。
【0009】
このような光書き込み型電子ペーパ−(光書き込み型表示媒体)のカラー化を行うために、コレステリック液晶を用いた光書き込み方式が提案されている。本方式はカラー化が可能な電子ペーパー技術の中でも、表示面を例えばRGB等2次元的に色フィルタを用いてカラーを表示するのではなく、RGBを積層して加法混色として表現できるため、特に有望な技術として注目されている。このようなカラー表示方式を実現するカラー表示媒体として、コレステリック液晶を表示素子として用いたカラー表示媒体が、例えば特開平2000−111942号公報などに提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平2000−111942号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平2000−111942号公報に提案されている如き、コレステリック液晶表示素子を適用したカラー表示媒体の場合、従来の光スイッチング素子では、図16の抵抗成分のAC電圧依存性で示されるように、電界10V/μm以下の電界ではONOFFスイッチング特性が著しく劣化しており、低電界でのスイッチング特性が不十分という問題があった。
【0012】
通常、コレステリックカプセル液晶用いた光書き込み型電子ペーパーでは、SID INTERNATIONAL SYMPOSIUM DIGEST ofTECHNICAL PAPAERS June 2001 "A Novel Photoaddressable Electronic Paper Utilizing Cholesteric LC Microcapsules and Organic Photoconductor"にあるように、通常、光照射時に250V0p程度の電圧を媒体に印加すると共に光画像を照射することにより画像を表示する。この論文にあるように、表示層の閾値は200V程度、一体の媒体の閾値は250V程度であり、50Vほどがスイッチング素子に印加されていると考えられる。媒体の光スイッチング層の膜厚は3μm程度であるため、光スイッチング素子に印加される電界は13V/μm程度である。光スイッチング素子は印加電界が10V/μmかそれ以上での電界においての明暗の抵抗比は50程度有り、すなわちスイッチングON/OFFマージンは十分であった。
【0013】
しかしながら、前述したカラー表示方式、たとえば特開平2000−111942にあるような、コレステリック液晶表示素子を適用したカラー表示媒体の場合、Vfh10あるいはVfh90を得るために媒体に電圧印加した場合、光スイッチング層(光導電層)に印加される電界は、通常10V/μm以上であるが、Vpf10あるいはVpf90を得るために媒体に電圧印加する場合、光スイッチング層(光導電層)に印加される電圧は10V/μm以下の低電界、おおむね3V/μm程度である。カラー表示の場合、このVpf10あるいはVpf90での光スイッチング層(光導電層)の明暗スイッチングが求められる(特開平2000−111942の図16参照)。一方、SIDで適用されている一般的な光スイッチング特性は図16のように、10V/μm以下でのスイッチング特性は低く、抵抗成分の明暗ON/OFF比が小さくなっていることがわかる。このため、カラースイッチングが十分に行えないのが現状である。
【0014】
これは、暗時においては、高電界と同様の高抵抗が得られるが、明時において、低電界印加時に、光導電性が確保できない、すなわち、抵抗が下がらないという問題である。このとき、駆動するためには、低抵抗化すること、例えば概ね単位膜厚あたりの抵抗値が2MΩ以下であることが必要である。
【0018】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、低電界での光スイッチング性を改善し、高電界から低電界まで良好にON/OFF駆動できる光スイッチング素子を用い、暗時において高電界と同様の高抵抗が得られると共に、明時において低電界印加時にも、光導電性が確保され、良好なカラー表示が行える光書き込み型表示媒体、及び表示装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1) 少なくとも一方が光透過性を有する一対の電極間に、
少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含んで構成される複層型光スイッチング層又は電荷発生能及び電荷輸送能を持つ単層型光スイッチング層を有する光スイッチング素子であって、前記電荷輸送層又は単層型光スイッチング層に下記一般式(1)で示される電荷輸送材料が含まれる光スイッチング素子と、
メモリ性を持つ表示層を有する表示素子と、
が積層されてなり、
前記表示素子が一つの光スイッチング素子に対して複数の表示層を有するカラー表示素子であり、且つ前記複数の表示層が、それぞれ可視光中の互いに異なる色光を選択反射するコレステリック液晶表示層であることを特徴とする光書き込み型表示媒体。
【0020】
【化3】
【0021】
(一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立にCH3、又はC25を表す。R2及びR4は、それぞれ独立にH、CH3、又はC25を表す。)
【0022】
(2) 前記一般式(1)で示される電荷輸送材料が、下記一般式(2)で示される電荷輸送材料であることを特徴とする前記(1)に記載の光書き込み型表示媒体
【0023】
【化4】
【0024】
(一般式(2)中、R1及びR3は、それぞれ独立にCH3、又はC25を表す。R2及びR4は、それぞれ独立にH、CH3、又はC25を表す。)
【0025】
(3) 前記一般式(2)で示される電荷輸送材料において、R1及びR3がCH3を表し、かつR2及びR4がC25を表すことを特徴とする前記(2)に記載の光書き込み型表示媒体
【0029】
(4) 前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光書き込み型表示媒体と、前記表示媒体を駆動するための表示媒体駆動手段と、前記表示媒体に光書き込みを行う書き込み手段と、を備えることを特徴とする表示装置。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光スイッチング素子は、少なくとも、電荷発生層と電荷輸送層とを含んで構成される複層型光スイッチング層、又は電荷発生能及び電荷輸送能を持つ単層型光スイッチング層を有してなり、この該電荷輸送層又は単層型光スイッチング層に、下記一般式(1)で示される電荷輸送材料を含ませることで、電界での光スイッチング性を改善し、高電界から低電界まで良好にON/OFF駆動可能とするものである。
【0031】
この一般式(1)で示される電荷輸送材料を、上記電荷輸送層又は上記単層型光スイッチング層に含ませることで、光スイッチング素子が低電界においても良好な特性を示す理由としては、必ずしも明らかではないが、一般式(1)で示される電荷輸送材料が、浅いイオン化ポテンシャルを有するため、例えば、電荷発生層から電荷輸送層へ低電界での電荷注入(単層型の場合、その層内での電荷注入)が容易になるほか、電荷輸送材料の分子レベルでの配列などが影響してその移動度及びその電界依存性が改善されるためだと推察される。
【0032】
特に、一般式(1)で示される電荷輸送材料において、外側4つのベンゼン環に置換されるR1〜R4が、それぞれパラ位置に置換されると、より高いイオン化ポテンシャルを付与されるため、その移動度及びその電界依存性がより効果的に改善される。このため、一般式(1)で示される電荷輸送材料は、下記一般式(2)で示される電荷輸送材料であることが特に好適である。
【0033】
加えて、一般式(1)〜(2)で示される電荷輸送材料において、外側4つのベンゼン環に置換されるR1〜R4として、C25以上の分子量のアルキル基が置換されると移動度が劣化してしまう。恐らく、これは、C25より長いアルキル基が側鎖として結合すると、アルキル基の振動の自由度が増し、これが自由体積を増加させ,その結果として分子間距離をのばすため、結果としてあるCTM分子上にあるホールが隣のCTMにポッヒングする確率が下がり,結果として移動度が下がってしまうと考えられる。また、自由体積が増えることにより、熱が与えられたときの振動も大きくなるため、Tgガラス転移温度が低温化することも懸念される。ガラス転移温度が低い場合、例えば加熱乾燥プロセス時に変形しやすくなってしまい、結果として膜厚バラツキが大きくなってしまったり、カールなどが発生しやすくなり、最悪、媒体として使用できなくなる。
【0034】
また、本発明の光スイッチング素子は、低電界で良好にON/OFF駆動可能なので、消費電力を低減させるといった効果も奏する。
【0035】
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
一般式(1)〜(2)中、R1及びR3は、それぞれ独立にCH3、又はC25を表す。R2及びR4は、それぞれ独立にH、CH3、又はC25を表す。
【0038】
一般式(1)〜(2)中、特に好ましくは、R1及びR3がCH3を表し、かつR2及びR4がC25を表すことが特に好ましい。
【0039】
一般式(1)〜(2)中、外側4つのベンゼン環には、例えば、溶剤に対する溶解度を改善する目的で、さらに付加的に例えば、アルキル基等の任意の置換基を置換させてもよい。但し、これら任意の置換基を置換させる場合、イオン化ポテンシャルの変動なども伴うことがあり、低電圧駆動性を損なわない範囲で実施することができる。
【0040】
以下、一般式(1)で示される電荷輸送化合物(一般式(2)で示される電荷輸送材料)の具体例(例示化合物1〜18)を示すが、これに限定されるわけではない。
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
以下、本発明を図面を参照しつつ、さらに詳細に説明する。
(光スイッチング素子)
まず、図1を用いて、本発明の光スイッチング素子を説明する。図1示す光スイッチング素子30(デュアルCGL構造の光スイッチング素子)は、電極22(導電膜)が形成された基板31上に、光スイッチング層(光導電層)として、下部電荷発生層33、電荷輸送層34、上部電荷発生層35を順次積層したものである。以下で説明するデバイスあるいは光書き込み型表示媒体においては、上部電荷発生層35が機能層たとえば表示層側に位置することになる。
【0047】
電荷輸送層34は、上述のように一般式(1)で示される電荷輸送材料を含んで構成されるが、当該電荷輸送材料単独で用いてもよいし、他の電荷輸送材料を併用してもよい。他の電荷輸送材料と併用する場合、一般式(1)で示される電荷輸送材料と他の電荷輸送材料との割合(全体の電荷輸材料を100wt%とする)は、一般式(1)で示される電荷輸送性材料(主成分)が60%以上であればよいが、より好ましくは80wt%以上であり、更に好ましくは90wt%から100wt%である。
【0048】
電荷輸送層34における電荷輸送材料の濃度としては、30wt%から90wt%までの適用が可能であるが、望ましくは45wt%から80wt%、更に望ましくは50wtから70wt%がよい。また、電荷輸送材料とバインダとを合わせたソリッドコンテンツは30%SC以下が望ましく、CTL中の含有率55wt%から75wt%では、25%SC以下が最適である。これ以外では、溶液中のCTM結晶化が生じ、これが塗布欠陥となる虞がある。
【0049】
電荷輸送層34に用いられるバインダとしては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスチレン、スチレンーアクリロニトリル共重合体、ポリスルホン、ポリメタクリル酸エステル、スチレン−メタクリル酸エステルなどが上げられる。バインダの濃度はCTL中に10wt%から70wt%程度が有効である。
【0050】
電荷輸送層34を形成するための塗布液としては溶媒として、ベンゼン、トルエン,キシレン、モノクロルベンゼン等芳香族系炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等環状又は直鎖上のエーテル類、アセトン、2−ブタノンなどケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン、などのハロゲン化脂肪族炭化水素類などが用いられる。溶媒の濃度は70%SC以上が望ましい。
【0051】
電荷輸送層34には、電荷輸送材料に加え、以下のような電荷発生材料を、補助的に加えることは差し支えない。これら補助的に添加する電荷発生材料としては、トリニトロフルオレン系、ポリビニルカルバゾール系、オキサジアゾール系、ベンジルアミノ系ヒドラゾンあるいはキノリン系ヒドラゾン等のヒドラゾン系、スチルベン系、トリフェニルアミン系、トリフェニルメタン系、ベンジジン系、などが適用可能である。
【0052】
上部及び下部電荷発生層33、35に用いられる電荷発生材料としては、金属又は無金属フタロシアニン、スクアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスやトリス等アゾ顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール色素、多環キノン顔料、ジブロモアントアントロンなど縮環芳香族系顔料、シアニン色素、キサンテン顔料、ポリビニルカルバゾールとニトロフルオレン等電荷移動錯体、ピリリウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共昌錯体等が適用可能であるが、フタロシアニン系電荷発生材料である、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、あるいはチタニルフタロシアニンの一種類かあるいは混合物を主成分とする電荷発生材料が好ましい。
【0053】
ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)がi)7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°、ii)7.7°、16.5°、25.1°及び26.6°、iii)7.9°、16.5°、24.4°及び27.6°、iv)7.0°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、17.3°、18.1°、24.5°、26.2°及び27.1°、v) 6.8°、12.8°、15.8°及び26.0°又はvi)7.4°、9.9°、25.0°、26.2°及び28.2°に強い回折ピークを有するような結晶構造は電荷発生効率が高く、特に好ましい。
【0054】
クロロガリウムフタロシアニンとしては、X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°、又は6.8°、17.3°、23.6°及び26.9°、又は8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°及び28.8°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶は電荷発生効率が高く、特に好ましい。これらのイオン化ポテンシャルは、5.4eV程度である。
また、チタニルフタロシアニンとしては、X線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が、9.5°,9.7°,11.7°,15.0°,23.5°,24.1°,27.3°に回折ピークをもつ結晶構造は電荷発生効率が高く、特に好ましい。
【0055】
基板31としては、ガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリイミド、PES(ポリエーテルスルホン)等の基板が用いられる。また、光スイッチング層(電荷発生層、電荷輸送層)に有機材料を用いる場合には高温で熱処理をする工程がないので、フレキシブル基板が得られること、成形が容易なこと、コストの点などから光透過性のプラスチック基板を用いることが有利である。
基板31の厚みとしては、一般的には100μmから500μm程度が好適である。
【0056】
電極32としては、ITO膜、Au、SnO2、Al、Cu等が用いられる。
【0057】
なお、基板31及び電極32は、必ずしも光透過性である必要はない。すなわち、例えば、特願平11−273663号に示すように、光書き込み型表示媒体の表示素子が、メモリ性を有し、かつ、表示に必要な波長を選択的に反射する選択反射性又は後方散乱性の表示素子である場合には、表示側から書き込むことが可能であるので、この場合には少なくとも表示素子側の基板31及び電極32が光透過性であればよい。したがって、表示素子側から光書き込みをする場合、光スイッチング素子30の基板31あるいは電極32は光透過性である必要はなく、電極32として例えばAl層を用いることができる。
【0058】
光スイッチング素子30においては、電荷輸送層34の上下に形成された電荷発生層33、35の光導電特性が同一でない場合、特開2000−180888号公報の[0022]ないし[0025]に記載のごとき、直流成分除去可能な容量成分をもつ機能膜、すなわち直流成分除去用機能膜を光スイッチング素子30に設けることが実効的な直流バイアスを除去するのに有効である。
【0059】
また、直流成分除去用機能膜の他に、他の機能層を設けることも可能である。たとえば、電極と電荷発生層の間にキャリアの突入を防ぐ層を形成することができる。また、反射膜や遮光膜を形成することも可能であるし、これらの複数の機能を兼ねた機能層でも良い。このような機能層は電流の流れを著しく妨げない範囲で適用可能である。
【0060】
光スイッチング素子30における光スイッチング層の構造としては、上記構成に限られず、電荷輸送層間に電荷発生層を作製し、電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層/電荷輸送層/電荷発生層等のような構成とすることも可能である。また、これら電荷発生層/電荷輸送層から構成される複数層型光スイッチング層に限られず、電荷発生能及び電荷輸送能を持つ単層型光スイッチング層でもよい。この単層型光スイッチング層を有する場合、上述のように当該層に一般式(1)で示される電荷輸送材料を含ませる。
【0061】
デバイス
続いて、本発明の光スイッチング素子を適用したデバイスについて説明する。
本発明の光スイッチング素子は、機能素子に電気的に接続し、デバイスとして用いることができる。光スイッチング素子と機能素子は直列接続であっても並列接続であっても構わないし、これらの組み合わせであっても構わない。更にほかの素子と接続されていてもよい。上述のように、本発明の光スイッチング素子は、高電界から低電界まで良好にON/OFF駆動可能であるため、様々な機能素子を適用するのみならず、消費電力の低減化を図ることが能となる。
【0062】
機能素子としては、画像表示のための液晶表示素子、エレクトロクロミック、電気泳動素子、電界回転素子等の表示素子、画像表示以外の空間変調素子や光演算素子、記憶装置に用いるメモリ素子、サーマルヘッド用画像記録素子等が挙げられる。特に、本発明の光スイッチング素子は、画像表示素子、特に液晶表示素子のスイッチングを行わせるのに効果的である。液晶表示素子を用いた場合は、光書き込み型液晶空間変調素子として使用することが可能である。特に、液晶表示デバイスは、交流駆動が基本であり、本発明の光スイッチング素子の適用が効果的である。使用できる液晶は、ネマチック液晶、スメクチック液晶、ディスコチック液晶、コレステリック液晶などであるであるが、上述したように、光スイッチング素子の高電界から低電界までのON/OFF駆動が必要な、コレステリック液晶を用いた表示素子が特に好適に適用される。
【0063】
機能素子としては、メモリ性のある機能素子も挙げることができる。メモリ性のある機能素子としては、上記液晶表示素子のうちメモリ性のある液晶表示素子を挙げることができる。メモリ性のある液晶表示素子とは、液晶を電圧印加により配向制御した後、電圧印加を解除した後も、一定時間、液晶の配向が保たれる特徴を持った液晶である。たとえば、ポリマー分散型液晶(PDLC)やカイラルスメクチックC相等の強誘電性液晶、あるいはコレステリック液晶等である。また、これらをカプセル化した液晶素子でも適用可能である。メモリ性を有する液晶はそのメモリ性ゆえに、画像表示保持のための電力を必要とせず、また、一体化したデバイスを作製し、本体から分離して使用することが可能である。また、そのデバイスの作製を安価に行うことができる。
【0064】
メモリ性のある表示素子としては、上記液晶表示素子の他、エレクトロクロミック素子、電気泳動素子、電界回転素子を挙げることができる。
【0065】
また、光スイッチング素子と前記のごとき機能素子とを接続する場合において、これらを一体化させてデバイスとすることが好ましい。一体化させることにより光スイッチング素子と機能素子の接続を安定化させることができる。特に、メモリ性を有する機能素子と光スイッチング素子とを一体化することが効果的である。これらを一体化したデバイスは、デバイスを駆動する本体から分離させることが可能となる。したがって、本体から分離させたデバイスを例えば、配布することが可能になる。また、使用者は自由な場所で自由な姿勢で閲覧することができる。もちろん、液晶部の画像表示のみ分離する事にも適用可能である。しかし、機能素子と光スイッチング素子を、再度改めて接続する場合の信頼性の確保が困難な場合があるため、機能素子と光スイッチング素子を一体化したものの方が効果的である。
【0066】
メモリ性を有する機能素子として、メモリ性を有する液晶素子と光スイッチング素子を一体化したデバイス(表示媒体)は、本発明のデバイスとして特に効果的である。さらに、メモリ性を有する液晶素子のなかでも、コレステリック液晶は、反射率が高く、表示性能が優れているため、コレステリック液晶表示素子と光スイッチング素子を一体化したデバイスが特に画像表示媒体として望ましい。
【0067】
さらに、本発明においては、光スイッチング素子、直流成分除去用機能膜、及び機能素子を順次積層し一体化したデバイスとすることが有利である。また、光スイッチング素子と機能素子を直列に接続したデバイスにおいて、光スイッチング素子の上部電荷発生層と機能素子の間に機能膜を設けることもできる。たとえば光スイッチング素子と機能素子を隔離するための隔離層や直流成分除去用機能膜等が挙げられる。
【0068】
(光書き込み型表示媒体、表示装置)
以下、光スイチング素子と機能素子とを一体化した例として、コレステリック液晶を用いた4色表示可能なカラー方式の光書き込み型表示媒体、及び画像書き込み装置の一形態(表示装置)を図2に示す。なお、この形態では、画像書き込み装置に、表示媒体を駆動するための表示媒体駆動手段と、前記表示媒体に光書き込みを行う書き込み手段と、を備えるものである。
【0069】
表示媒体1は、それぞれバイアス電極10,11が内面に形成された基板2,3間に、表示面側から、それぞれ可視光中の互いに異なる色光を選択反射するコレステリック液晶からなる2つの表示層8A,8B、光吸収層6、光スイッチング層(光導電層)7を、表示層8A,8Bには、それぞれスペーサー9A,9Bを挿入し、表示層8A,8B間には分離基板4を介し積層したものである。
【0070】
基板2,3は、ガラスやシリコン、又はポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどの高分子フィルムを用いることができ、絶縁性、光透過性を有する材料により形成する。
【0071】
バイアス電極10,11は、ITOやSnO2などの導電性、光透過性を有する材料によって、基板2,3上に蒸着法やスパッタ法などにより形成する。また、必要に応じて、その表面に、液晶配向膜などの公知の機能性膜を形成してもよい。
【0072】
分離基板4は、基板2,3と同様の高分子フィルムを用いることができ、光透過性を有する材料により形成する。その厚みは、数μm〜数10μmで、表示層8A,8Bへの分圧比を大きくするため、できるだけ誘電率の大きいことが好ましい。また、必要に応じて、その表面に、液晶配向膜などの公知の機能性膜を形成してもよい。
【0073】
スペーサー9A,9Bは、ガラスやプラスチックなどからなるボール型又はシリンダー型のものを用いることができ、それぞれ表示層8A,8Bの厚みを数μm〜数10μmに制御する。特に、基板2,3に可とう性を有する材料を用いる場合には、基板2,3の変形によって表示層8A,8Bの厚みが大きく変化しないように、周囲に接着成分が塗布されたスペーサー9A,9Bを用いて、各基板間を接着することが好ましい。
【0074】
また、スペーサー9A,9Bの代わりに、バイアス電極10,11又は分離基板4の表面に、表示層8A,8Bの厚みを制御しうる突起物などを形成してもよい。
【0075】
光吸収層6は、表示層8A,8Bを透過した入射光を吸収するものであれば、特に限定されるものではなく、CdTeなどの無機物や、ブラック色素が含有された高分子などの絶縁性を有する材料を用いることができ、表示層8A,8Bへの分圧比を大きくするため、できるだけ誘電率の大きいことが好ましい。
【0076】
表示層8A,8Bを構成するコレステリック液晶は、ステロイド系コレステロール誘導体、あるいはシッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系などのネマチック液晶の一部に光学活性基を導入したカイラルネマチック液晶、又はこれらを、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、エタン系、ビフェニル系、
ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、ヘェニルシクロヘキサン系、安息香酸エステル系、ピリミジン系、ジオキサン系、トラン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、アルケニル系などの正の誘電率異方性を有するネマチック液晶、又はこれらの混合液晶に、カイラル剤として添加した材料を用いることができる。
【0077】
表示層8A,8Bは、それぞれ可視光中の互いに異なる色光を選択反射するように、互いに異なる閾値電圧及び互いに異なる選択波長を持つコレステリック液晶が用いられる。
【0078】
このような液晶分子が螺旋構造を持つコレステリック液晶は、螺旋軸に入射した光を右円偏光と左円偏光に分け、螺旋の捩じれ方向に一致する円偏光成分をブラッグ反射し、残りの光を透過させる選択反射現象を起こす。反射光の中心波長λ、及び反射波長幅Δλは、螺旋ピッチをp、螺旋軸に直交する平面内の平均屈折率をn、複屈折率をΔnとすると、それぞれλ=n・p、Δλ=Δn・pで表され、コレステリック液晶層による反射光は螺旋ピッチに依存した鮮やかな色を呈する。
【0079】
コレステリック液晶は、図3(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナー、同図(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック、及び同図(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック、の3つの状態を示す。
【0080】
上記の3つの状態のうち、プレーナーとフォーカルコニックは、無電圧で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の配向状態は、液晶層に印加される電圧に対して一義的に決まらず、プレーナーが初期状態の場合には、印加電圧の増加に伴って、プレーナー、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化し、フォーカルコニックが初期状態の場合には、印加電圧の増加に伴って、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化する。
【0081】
一方、液晶層に印加した電圧を急激にゼロにした場合には、プレーナーとフォーカルコニックはそのままの状態を維持し、ホメオトロピックはプレーナーに変化する。
【0082】
したがって、パルス信号を印加した直後のコレステリック液晶層は、図4に示すような電気光学応答を示し、印加されたパルス信号の電圧が、Vfh,90以上のときにはホメオトロピックからプレーナーに変化した選択反射状態となり、Vpf,10とVfh,10の間のときには、フォーカルコニックによる透過状態となり、Vpf,90以下のときには、パルス信号印加前の状態を継続した状態、すなわちプレーナーによる選択反射状態又はフォーカルコニックによる透過状態となる。
【0083】
光スイッチング層(光導電層)7は、例えば、上述した図1で示した2つの上部及び下部電荷発生層33、35と、当該電荷発生層33、35に挟持された電荷輸送層34から構成される層構成が適用される。なお、これに限られるものではない。
【0084】
画像書き込み装置12は、表示媒体1とは別体に形成し、この本形態では、表示媒体1のバイアス電極10,11と接触して電気的に接続される接触子16と、この接触子16を介して表示媒体1のバイアス電極10,11間にバイアス電圧を印加する電圧印加部13と、表示媒体1の非表示面側に書き込み光17を照射する光照射部14と、入力された画像データに基づいて、電圧印加部13が表示媒体1のバイアス電極10,11間に印加するバイアス電圧と、光照射部14が表示媒体1の非表示面側に照射する書き込み光17の光量を制御する制御部15とによって構成している。
【0085】
光照射部14は、任意の光量の書き込み光17を表示媒体1 に照射できるものであればよく、レーザービームスキャン装置、LEDアレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイなどの自発光素子や、液晶シャッターなどの調光素子と蛍光管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプなどの光源との組み合わせなど、特に限定されるものではない。
【0086】
このような、コレステリック液晶を用いたカラー方式の表示媒体1における表示原理を以下に説明する。
【0087】
まず、表示媒体1の等価回路を図5に示す。図中、CE及びREは表示層と光スイッチング層(光導電層)以外の構成要素の等価静電容量及び等価抵抗値で、本実施形態では、分離基板4、光吸収層6及びバイアス電極10,11の、静電容量及び抵抗値の直列和を示し、VEは、外部の画像書き込み装置12から表示媒体1のバイアス電極10,11間にバイアス電圧Vが印加された場合に、これら表示層と光導電層以外の構成要素で発生する電圧降下を示す。通常、表示層と光導電層以外の構成要素の等価抵抗REは十分に大きく、絶縁体とみなすことができる。
【0088】
また、図中、CA,CB及びRA,RBは、それぞれ表示層8A,8Bの静電容量及び抵抗値を示し、VA,VBは、表示媒体1のバイアス電極10,11間に画像書き込み装置12から電圧Vが印加された場合に、表示層8A,8Bのそれぞれに実際に印加される電圧を示す。通常、表示層8A,8Bの抵抗値RA,RBは十分に大きく、また、静電容量CA,CBは、液晶が誘電率異方性を有することから、液晶の配向状態に依存して変化する。
なお、CDは、表示層全体の等価静電容量で、表示層8A,8Bの静電容量の直列和を示し、VDは、外部の画像書き込み装置12から表示媒体1のバイアス電極10,11間に電圧Vが印加された場合に、表示層全体に実際に印加される電圧を示す。
【0089】
また、図中、CO及びROは、光スイッチング層(光導電層)7の静電容量及び抵抗値を示し、VOは、外部の画像書き込み装置12から表示媒体1のバイアス電極10,11間に電圧Vが印加された場合に、光スイッチング層(光導電層)7で発生する電圧降下を示す。
【0090】
光スイッチング層(光導電層)7の抵抗値ROは、画像書き込み装置12の光照射部14から、表示媒体1に照射される書き込み光17の光量に応じて変化する。書き込み光17の光量が小さい場合には、光スイッチング層(光導電層)7の抵抗値ROは十分に大きく、表示層全体に実際に印加される電圧VDは、CE,CD,COの静電容量分圧によって、以下のようになる。
D=(C/CD)V‥‥(1)
ここで、
C=CE・CD・CO/(CE・CD+CE・CO+CD・CO)‥(2)である。
【0091】
書き込み光17の光量が増加すると、内部光電効果によって光スイッチング層(光導電層)7の抵抗値ROが減少し、表示層全体に実際に印加される電圧VDは増加する。すなわち、表示媒体1及び画像書き込み装置12においては、画像書き込み装置12の光照射部14から表示媒体1に照射される書き込み光17の光量を制御することによって、画像書き込み装置12から表示媒体1のバイアス電極10,11間に電圧Vが印加された場合に、表示層全体に実際に印加される電圧VDを制御することができる。
【0092】
一方、表示層全体に電圧VDが印加された場合、各表示層8A,8Bに実際に印加される電圧VA,VBは、以下のようになる。
A=(CD/CA)VD‥‥(3)
B=(CD/CB)VD‥‥(4)
ここで、
D=CA・CB/(CA+CB)‥(5)である。
【0093】
このように、表示媒体1に対して、外部の画像書き込み装置12からバイアス電圧Vを印加し、任意の光量の書き込み光17を照射して、表示層全体に任意の電圧VDを印加した場合、各表示層8A,8Bには、それぞれ上記のような静電容量分圧による電圧が印加され、それぞれ、その電圧に応じて、各表示層8A,8Bのコレステリック液晶の配向状態が変化する。
【0094】
したがって、表示媒体1においては、表示層全体に印加される電圧VDの、各表示層8A,8Bへの分配比と、実際に印加される電圧に対する各表示層8A,8Bの電気光学応答との、2つを制御することによって、表示層全体に印加される電圧VDに対する各表示層8A,8Bの電気光学応答を、所望の構成にすることができる。
【0095】
具体的には、前者の、各表示層8A,8Bへの分配比は、上記のように各表示層8A,8Bの静電容量比によって、後者の、各表示層8A,8Bの電気光学応答は、各表示層8A,8Bを構成するコレステリック液晶の誘電率異方性、弾性率及び螺旋ピッチ、さらに高分子を添加した場合には、高分子の構造や相分離プロセスなどに影響を受ける高分子と液晶の界面におけるアンカリング効果の程度などによって、制御することができる。
【0096】
ここで、図6に、表示媒体1の、表示層全体に印加されるパルス電圧VDに対する、各表示層8A,8Bの電気光学応答を示す。
【0097】
この表示媒体1は、2つの表示層8A,8Bの、プレーナーとフォーカルコニックの状態間の遷移領域、及びフォーカルコニックとホメオトロピックの状態間の遷移領域が、同じ電圧で存在しないように構成する。2つの表示層8A,8Bのうちの、しきい値電圧が大きい表示層をH層、小さい表示層をL層とした場合、電圧Va,Vb,Vd,Veを、Va:L層のVpf,90以下の電圧、Vb:L層のVpf,10とH層のVpf,90との間の電圧、Vd:L層のVfh,90とH層のVfh,10との間の電圧、Ve:H層のVfh,90以上の電圧、とする。
【0098】
そして、外部の書き込み装置12によって、表示媒体1のバイアス電極10,11間に、図7(A)に示すような、少なくとも、それぞれ交流パルスのリフレッシュ期間Tr及びセレクト期間Tsと、その後の無電圧の表示期間Tdとによって構成され、そのリフレッシュ期間Tr及びセレクト期間Tsでの電圧Vr及びVsが、Vr>Vsの関係をもつバイアス電圧を印加し、少なくともリフレッシュ期間Trの終わりを含むように、光照射部14から第1の書き込み光を、少なくともセレクト期間Tsの終わりを含むように、光照射部14から第2の書き込み光を、それぞれ照射する。
【0099】
あるいは、少なくとも表示媒体1の光スイッチング層(光導電層)7が単極性の場合には、表示媒体1のバイアス電極10,11間に、図7(B)に示すような、直流パルスのリフレッシュ期間Tr及びセレクト期間Tsと、その後の無電圧の表示期間Tdとによって構成され、そのリフレッシュ期間Tr及びセレクト期間Tsでの電圧Vr及びVsが、Vr>Vsの関係をもつバイアス電圧を印加し、少なくともリフレッシュ期間Trの終わりを含むように、光照射部14から第1の書き込み光を、少なくともセレクト期間Tsの終わりを含むように、光照射部14から第2の書き込み光を、それぞれ照射する。
【0100】
また、図8に、光照射部14として、調光素子と光源を組み合わせた場合の、リフレッシュ期間Trにおける調光素子の透過率Trtに対する、H層及びL層の反射率変化を示す。同図(a)は、調光素子の透過率Trtと第1の書き込み光の対数光量との関係、同図(b)は、第1の書き込み光の対数光量と表示層全体に印加されるパルス電圧VDとの関係、同図(c)は、図6に示して上述した、この例の表示媒体1における、表示層全体に印加されるパルス電圧VDに対する、H層及びL層の反射率を、それぞれ示し、同図(d)が、光照射部14の調光素子の透過率Trtに対する、H層及びL層の反射率変化を示している。なお、図6では、グラフX軸の左から右に電圧が増えている。図8(C)では右から左に電圧が増えている。つまり、VrのグラフはY軸を中心として線対象となっている。
【0101】
さらに、図9に、光照射部14として、調光素子と光源を組み合わせた場合の、セレクト期間Tsにおける調光素子の透過率Tstに対する、H層及びL層の反射率変化を示す。同図(a)は、調光素子の透過率Tstと第2の書き込み光の対数光量との関係、同図(b)は、第2の書き込み光の対数光量と表示層全体に印加されるパルス電圧VDとの関係、同図(c)は、図6に示して上述した、この例の表示媒体における、表示層全体に印加されるパルス電圧VDに対する、H層及びL層の反射率を、それぞれ示し、同図(d)が、光照射部14の調光素子の透過率Tstに対する、H層及びL層の反射率変化を示している。
【0102】
また、図10に、リフレッシュ期間Trにおいて、表示層全体に印加されるパルス電圧VDが、それぞれ図6のVd,Veになるように、バイアス電圧VrをV1、第1の書き込み光の光量、すなわち上記の例では調光素子の透過率TrtをTd,Teに選定し、セレクト期間Tsにおいて、表示層全体に印加されるパルス電圧VDが、それぞれ図6のVa,Vbになるように、バイアス電圧VsをV2、第2の書き込み光の光量、すなわち上記の例では調光素子の透過率TstをTa,Tbに選定した場合の、それぞれの組み合わせにおける、H層及びL層の配向状態を示したもので、「p」はプレーナーによる選択反射状態、「f」はフォーカルコニックによる透過状態、をそれぞれ表し、L層及びH層の順に示している。
【0103】
これから明らかなように、上記の表示媒体及び画像書き込み方法によれば、(1)H層及びL層がプレーナーの状態、(2)H層及びL層がフォーカルコニックの状態、(3)H層がプレーナーで、L層がフォーカルコニックの状態、(4)L層がプレーナーで、H層がフォーカルコニックの状態、の4種類の配向状態が得られる。
【0104】
したがって、例えば、表示層8Aをグリーンの色光を選択反射するH層、表示層8Bをレッドの色光を選択反射するL層となるように構成した場合には、図11に示すように(同図中の「T」は、対応する層がフォーカルコニックによる透過状態であることを示す)、(1)Vr=V1,Tr=Te,Vs=V2,Ts=Taの書き込み信号によって、イエロー(Y)が表示される状態、(2)Vr=V1,Tr=Td,Vs=V2,Ts=Tbの書き込み信号によって、ブラック(Bk)が表示される状態、(3)Vr=V1,Tr=Te,Vs=V2,Ts=Tbの書き込み信号によって、グリーン(G)が表示される状態、(4)Vr=V1,Tr=Td,Vs=V2,Ts=Taの書き込み信号によって、レッド(R)が表示される状態、の4つの表示状態を取りうるようになり、一画素内で、イエロー、ブラック、グリーン及びレッドの4色を表示することができる。もちろん、以上は、2層の表示層で4色表示の例であり、3層8色等同様に表示できることは言うまでもない。
【0105】
以上、説明したようなコレステリック液晶表示素子を適用したカラー表示媒体の場合、上述したように、Vfh10あるいはVfh90を得るために媒体に電圧印加した場合、光スイッチング層(光導電層)7に印加される電界は、通常10V/μm以上であるが、Vpf10あるいはVpf90を得るために媒体に電圧印加する場合、光スイッチング層(光導電層)7に印加される電圧は10V/μm以下の低電界、おおむね3V/μm程度である(図4参照)。カラー表示の場合、このVpf10あるいはVpf90での光スイッチング層(光導電層)の明暗スイッチングが求められることなる。このため、このようなカラー表示媒体に、高電界から低電界まで良好にON/OFF駆動できる本発明の光スイチング素子を適用させることで、暗時において高電界と同様の高抵抗が得られると共に、明時において低電界印加時にも、光導電性が確保され、すなわち、抵抗が下がらないため、良好なカラー表示が可能となる。
【0106】
次に、以下、光スイチング素子と機能素子とを一体化した例として、コレステリック液晶を用いた表示素子を適用した単色表示の光書き込み型表示媒体、及び画像書き込み装置の一形態(表示装置)を図12に示す。
【0107】
図12で示される表示装置は、表示媒体駆動装置、書き込み装置及びこれらを制御する制御装置から構成される。これらの装置は一つにまとめられていてもよいし、分離していてもよい。
【0108】
表示媒体駆動装置は、波形発生手段62、入力信号検知手段64、制御手段66及びコネクター65からなる。コネクタ65は、光スイッチング素子側基板の透明電極と、表示素子側基板の電極に接続するためのコネクタで、それぞれの側に接点を有し、表示媒体駆動装置と光書き込み型表示媒体50を自在に分離することが可能である。
【0109】
表示媒体50は、光スイッチング素子30、表示素子40及び光スイッチング素子と表示素子の間に挟まれた機能膜52より構成され、図13に示すように、光スイッチング素子30は基板31、電極32、下部電荷発生層33、電荷輸送層34及び上部電荷発生層35より構成され、表示素子40は、基板41、電極42及び表示層43から構成される。図から明らかなように、上部電荷発生層35を表示素子側に位置させる。表示媒体50において、光書き込みが光スイッチング素子側あるいは表示素子側から行なわれるかにより、光入射側の素子の基板及び電極を光透過性にすることが必要である。電極32と42の間に交流電界が印加される。
【0110】
表示媒体50における光スイッチング素子30は、例えば、上述した図1で示した2つの上部及び下部電荷発生層33、35と、当該電荷発生層33、35に挟持された電荷輸送層34から構成される複層型スイッチング層の層構成が適用される。一方、表示素子40の表示層43は、上述した図2で示した表示層の一つが適用される。
【0111】
書き込み装置は、制御手段82、光パターン生成手段(たとえば透過型TFT液晶ディスプレイ)84及び光照射手段(たとえばハロゲン光源)86よりなり、制御手段82はPCにつながっている。
【0112】
制御装置は、表示媒体駆動装置及び書き込み装置を制御するためのものであり、制御手段70、駆動波発生信号出力手段72及び光書き込みデータ出力手段74からなる。
【0113】
なお、前記光書き込み型表示媒体50は、この場合、光スイッチング素子30と表示素子40の間に直流成分除去用機能膜52を備えている。
【0114】
光書き込み手段による光書き込みと同期して、表示のための駆動パルスを印加する電圧印加手段(図示せず)は、印加パルスの生成手段、出力するためのトリガ入力を検知する手段を有する。パルス生成手段には例えば、ROMのような波形記憶手段とDA変換手段と制御手段とを有し、電圧印加時にROMから読み出した波形をDA変換して空間変調デバイスに印加する手段が適用可能であるし、また、ROMではなくパルス発生回路のような電気回路的な方式でパルスを発生させる手段が適用可能であるが、このほかにも駆動パルスを印加する手段であれば特に制限なく使用することができる。
【0115】
書き込み装置としては、空間変調デバイスの光入射側に照射する光のパターンを生成する手段と、そのパターンを空間変調デバイスに照射する光照射手段とを有する。パターンの生成には、例えば、TFTを用いた液晶ディスプレイ、単純マトリックス型液晶ディスプレイ等透過型のディスプレイが適用可能である。光照射手段としては、蛍光ライト、ハロゲンランプ、エレクトロルミネッセンス(EL)ライト等、空間変調デバイスに照射できるものであれば適用可能である。また、パターン生成手段と光照射手段を兼ね備えたELディスプレイやCRT、フィールドエミッションディスプレイ(FED)など発光型ディスプレイも適用可能であることはいうまでもない。前記のほかにも、空間変調デバイスに照射する光量、波長、照射パターンを制御できる手段であれば、それ以外であっても構わない。
【0116】
本発明における機能素子を駆動する駆動方法としては、特に制限されないが、交流電圧、周波数、照射光量及び波長制御が適用可能である。印加する印加電圧は交流電圧であるが、波形としてはサイン波、矩形波、三角波などが使用可能である。もちろんこれらを組み合わせたものでも、まったく任意の波形であっても適用可能である。また、表示性能等改善のため、単独では表示の切り替えのできないようなサブパルスを駆動パルスに付加してもよい。なお、表示素子によっては、若干のバイアス成分印加が有効な場合があるが、本発明のデバイスにおいて、それを採用しても良いことはもちろんである。
【0117】
以上、説明したようなコレステリック液晶を用いた表示素子を適用した単色表示媒体の場合でも、一旦、高電界を印加して、前面を高反射率のプレーナ領域とした後、プレーナ領域を選択的に低反射率のフォーカルコニックにする方式では、プレーナ相からフォーカルコニック相への相変化の電界を用いるため、低電界での光スイッチング素子の駆動が必要となり、本発明の光スイッチング素子が好適にされる。
【0118】
本発明の光スイチング素子は、低電界での書き込みが必須であるコレステリック液晶を用いたカラー表示媒体に効果的であると共に、モノクロ表示であっても、液晶等の表示媒体のON/OFF閾値の低電界化に対応して、書き込み電圧を下げることが容易に可能であるため、省エネルギの面からも効果的である。
【0119】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、はじめに、電荷輸送材料(CTM)の効果を示すために、参考例1から参考例8において、光スイッチング素子を作製し、電界に対する光照射/非照射でのインピーダンス特性を測定し、従来のCTMを用いたセルである比較例1と比較した。次に、それらCTMを用いて、実施例9及び実施例16において媒体を作製し、同様に比較例2なる媒体と比較した。
【0120】
参考例1)
まず、電荷輸送層作製のため、溶媒にモノクロロベンゼンを用い、バインダに三菱瓦斯化学製ポリカーボネート樹脂を用いた。下記構造で示される電荷輸送材料(例示化合物18)を用い、固形分中の電荷輸送材の割合であるローディングは60wt%とした。溶液濃度を15%として溶液を作製した。
【0121】
【化12】
【0122】
電荷発生層の作製のための溶液としては、電荷発生材としてクロロガリウムフタロシアニンを用いた。この結着材としては、ポリビニルブチラールを用い、これを1−ブタノール溶液でペイントシェークを行うことにより、分散処理を行った。固形分はクロロガリウムフタロシアニン60wt%とし、ポリビニルブチラールは40wt%とした。溶媒濃度は4%SCとした。
【0123】
これら溶液を用いて、以下のようにして光スイッチング素子を作製した。
PET上にITO電極を作製した基板上に、スピンコーティングにより電荷発生層のための溶液を塗布した。このあと、100℃1時間乾燥し0.2μm厚の電荷発生層CGLを得た。つぎに、15%SCの濃度の電荷輸送用溶液を用い、アプリータ法により塗布した。これも、膜形成後、100℃で1時間乾燥し、3μm膜厚の電荷輸送層を得た。次に、この膜上に前述した電荷発生層用の溶液を用いて、0.2μm厚の電荷発生層をスピンコート法により膜を形成し、100℃で1時間乾燥した。
【0124】
この上にポリビニルアルコール3%SCの水溶液を用いて、スピンコート法で0.2μm厚の膜を作製した。この膜は100℃で30分乾燥した。この膜の上に、100nm厚のAu薄膜をスパッタリング法を用いて作製した。
【0125】
参考例2)
下記構造で示される電荷輸送材料(例示化合物6)を用い、電荷発生材料としてガリウムフタロシアニンを用いた他は、参考例1と同様な光スイッチング素子を作製した。
【0126】
【化13】
【0127】
参考例3)
前記構造で示される電荷輸送材料(例示化合物6)を用い、電荷発生材料としてヒドロキシフタロシアニンを用いた他は、参考例1と同様な光スイッチング素子を作製した。
【0128】
参考例4)
前記構造で示される電荷輸送材料(例示化合物6)を用い、電荷発生材料としてジブロモアントアントロンを用い、固形分中の電荷発生材の割合、すなわちローディングを90%とした他は、参考例1と同様な光スイッチング素子を作製した。
【0129】
参考例5)
電荷発生材料のローディングを40%にした他は、参考例2と同様にして作製した。
【0130】
参考例6)
電荷発生材料のローディングを50%にした他は、参考例2と同様にして作製した。
【0131】
参考例7)
電荷発生材料のローディングを70%にした他は、参考例2と同様にして作製した。
【0132】
参考例8)
電荷発生材料のローディングを80%にした他は、参考例2と同様にして作製した。
【0133】
(比較例1)
下記構造で示される電荷輸送材を用い、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニンを用いた他は、参考例1と同様な光スイッチング素子を作製した。
【0134】
【化14】
【0135】
参考例1から参考例2と比較例1との評価]
作製した評価用セルと比較評価用セルのインピーダンス特性を評価した。測定はsolartron製インピーダンス測定器1260を用いてAC電圧依存性を測定した。光源として660nmのLEDを用い、光量は暗時0μw/cm2、明時500μw/cm2のスイッチング特性を評価した。AC周波数は50Hzとした。結果を図14にグラフで示す。この結果から明らかなように、暗時は参考例、比較例とも100MΩ/μm以上の高抵抗であり、光スイッチングセルとして適用可能であった。
【0136】
これに対し、明時500μwにおいては、参考例の電荷輸送材料を用いて作製した光スイッチング素子が良好な特性、すなわち低抵抗をしめしており、3V/μmにおいては著しい差が観察され、特に参考例2のように、電荷輸送材料(例示化合物6)を用いた場合は、低電界において光照射/非照射でON/OFFを行う光スイッチングに適用できることが明らかである。
【0137】
さらに、参考例3から参考例7についても同様の評価を行い、この結果、下記表1に示すように、広い範囲にわたって有効であることを確認した。
【0138】
【表1】
【0139】
(実施例9)
以下のようにしてカラー表示の表示媒体を作製した。
まず、レッドの色光を選択反射する表示層のコレステリック液晶として、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶ZLI4520(メルク社製)68.6wt%、右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)15.7wt%、及び右旋性のカイラル剤CE2(メルク社製)15.7wt%を混合した溶液に、チオール系UV重合高分子前駆体NOA65(ノーランド社製)を15wt%添加した。
【0140】
グリーンの色光を選択反射する表示層のコレステリック液晶として、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶E186(メルク社製)72.2wt%、右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)13.9wt%、及び右旋性のカイラル剤CE2(メルク社製)13.9wt%を混合した溶液に、チオール系UV重合高分子前駆体NOA65(ノーランド社製)を15wt%添加した。
【0141】
ITO透明電極がスパッタ蒸着された、1インチ角の125μm厚のPETフィルムハイビーム(東レ社製)の上に、電荷発生層、電荷輸送層、電荷発生層を参考例2と同様の材料及び方法で形成した。
【0142】
さらに、この上に、光吸収層として、ブラック樹脂BKR−105(日本化薬社製)をスピンコート塗布し、100℃で2分間乾燥させた。
【0143】
得られた光吸収層の上に、接着剤付の5μm径の球状スペーサーハヤビーズL−21S(早川ゴム社製)を湿式散布し、70℃に加熱した上記のレッドの混合溶液を滴下して、片面に接着剤付の5μm径の球状スペーサーハヤビーズL−21S(早川ゴム社製)を湿式散布した4.5μm厚のPETフィルムルミラー(東レ社製)を、スペーサーの非散布面が接触するように密着させた。
【0144】
さらに、この上に、70℃に加熱した上記のグリーンの混合溶液を滴下して、片面に接着剤付の5μm径の球状スペーサーハヤビーズL−21S(早川ゴム社製)を湿式散布した。さらに、この上に、ITO透明電極がスパッタ蒸着された、1インチ角の125μm厚のPETフィルムハイビーム(東レ社製)を、ITO透明電極面が液晶と接するように密着させた。
【0145】
ラミネーターで熱と圧力を加えた後、70℃のホットプレート上で、50mW/cm2(365nm)のUV光を、外光入射面側から60秒照射し、外光入射側から、それぞれPNLC構造のブルー表示層、グリーン表示層、レッド表示層が積層されたカラー表示の表示媒体を得た。
【0146】
(実施例10)
電荷輸送材料を参考例1で用いたものと同様とした他は実施例9と同様にして表示媒体を作製した。
【0147】
(実施例11)
電荷発生材料/電荷輸送材料及びそれらのバインダ樹脂及びローディングを参考例3で用いたものと同様とした他は実施例9と同様にして表示媒体を作製した。
【0148】
(実施例12)
電荷発生材料/電荷輸送材料及びそれらのバインダ樹脂及びローディングを参考例4で用いたものと同様とした他は実施例9と同様にして表示媒体を作製した。
【0149】
(実施例13)
電荷輸送材料のローディングを参考例5と同様にした他は実施例9と同様にして表示媒体を作製した。
【0150】
(実施例14)
電荷輸送材料のローディングを参考例6と同様にした他は実施例9と同様にして表示媒体を測定した。
【0151】
(実施例15)
電荷輸送材料のローディングを参考例7と同様にした他は実施例9と同様にして表示媒体を測定した。
【0152】
(実施例16)
電荷輸送材料のローディングを参考例8と同様にした他は実施例9と同様にして表示媒体を測定した。
【0153】
(比較例2)
電荷輸送材料を比較例1で用いたものと同様とした他は実施例9と同様に表示媒体を作製した。
【0154】
[実施例9〜実施例16と比較例2の評価]
実施例9の表示媒体のバイアス電極を、パルス発生器及び高圧電源装置に接続された一対のアルミ電極に接触させ、交流リフレッシュパルスとなる400V、50Hz、250msの矩形波を印加し、非表示面側の基板にマスクを密着させて、660nmの波長のLEDバックライトと液晶パネルを用いて書き込み光を照射して、表示色の観察を行った。書き込み光の光量が1mW/cm2において、書き込み光の照射部にイエロー表示、書き込み光の非照射部にレッド表示が得られた。この表示を確認した後、交流セレクトパルスとなる18V/μm(印加電圧と膜厚から算出)、50Hz、250msの矩形波を印加すると同時に、イエロー表示領域及びグリーン表示領域にそれぞれ光照射部、光非照射部を設けるとともに3V/μm(印加電圧と膜厚から換算)を印加した。その結果、イエロー表示領域について非照射部はイエロー表示が保存され、照射部はグリーン表示となった。また、レッド表示領域について、照射部はブラック表示となり、非照射部はレッド表示が保存された。
【0155】
一方、比較例2の表示媒体を、パルス発生器及び高圧電源装置に接続された一対のアルミ電極間に挟持し、実施例9と同様に、書き込みを試みた。すると、交流リフレッシュパルスにおいて,イエロー表示とレッド表示は可能であったが、交流セレクトパルスにおいて、イエロー表示部を照射/非照射によりイエロー表示領域とレッド表示領域に分けることはできなかった。電界3V/μmでは書き込みが困難であるため、印加電圧を掃引させたが、照射/非照射どちらの領域も、イエローかレッドの同じ色になってしまった。
【0156】
参考例17)
以下のようにしてモノクロ表示の表示媒体を作製した。
グリーンの色光を選択反射する表示層のコレステリック液晶として、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶E186(メルク社製)72.2wt%、右旋性のカイラル剤CB15(メルク社製)13.9wt%、及び右旋性のカイラル剤CE2(メルク社製)13.9wt%を混合した溶液に、チオール系UV重合高分子前駆体NOA65(ノーランド社製)を15wt%添加した。
【0157】
ITO透明電極がスパッタ蒸着された、1インチ角の125μm厚のPETフィルムハイビーム(東レ社製)の上に、電荷発生層、電荷輸送層、電荷発生層を参考例2と同様の方法で形成した。
【0158】
さらに、この上に、光吸収層として、ブラック樹脂BKR−105(日本化薬社製)をスピンコート塗布し、100℃で2分間乾燥させた。
【0159】
得られた光吸収層の上に、接着剤付の5μm径の球状スペーサーハヤビーズL−21S(早川ゴム社製)を湿式散布し、70℃に加熱した上記のレッドの混合溶液を滴下して、片面に接着剤付の5μm径の球状スペーサーハヤビーズL−21S(早川ゴム社製)を湿式散布した。
【0160】
ITO透明電極がスパッタ蒸着された、1インチ角の125μm厚のPETフィルムハイビーム(東レ社製)を、ITO透明電極面が液晶と接するように密着させた。
【0161】
ラミネーターで熱と圧力を加えた後、70℃のホットプレート上で、50mW/cm2(365nm)のUV光を、外光入射面側から60秒照射し、外光入射側から、それぞれPNLC構造のグリーン表示層をもつモノクログリーン表示の表示媒体を得た。
【0162】
(比較例3)
電荷輸送材料を比較例1でたものと同様にした他は参考例17と同様に表示媒体を作製した。
【0163】
参考例17と比較例3の評価]
参考例17の表示媒体のバイアス電極を、パルス発生器及び高圧電源装置に接続された一対のアルミ電極に接触させ、交流リフレッシュパルスとなる400V、50Hz、250msの矩形波を印加し、非表示面側の基板にマスクを密着させて、660nmの波長のLEDバックライトと液晶パネルを用いて前面に書き込み光を照射して、全面にグリーン表示を得た。この表示を確認した後、交流セレクトパルスとなる18V/μm(印加電圧と膜厚から算出)、50Hz、250msの矩形波を印加すると同時に、それぞれ光照射部、光非照射部を設けるとともに3V/μm(印加電圧と膜厚から換算)を印加した。その結果、非照射部はグリーン表示が保存され、照射部はブラック表示となった。
【0164】
一方、比較例3の表示媒体を、パルス発生器及び高圧電源装置に接続された一対のアルミ電極間に挟持し、参考例17と同様に、書き込みを試みた。すると、交流リフレッシュパルスにおいて,グリーン表示は可能であったが、交流セレクトパルスにおいて、照射/非照射によりグリーン表示領域とブラック表示領域に分けることはできなかった。
【0165】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、低電界での光スイッチング性を改善し、高電界から低電界まで良好にON/OFF駆動できる光スイッチング素子を用い、暗時において高電界と同様の高抵抗が得られると共に、明時において低電界印加時にも、光導電性が確保され、良好なカラー表示が行える光書き込み型表示媒体、及び表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光スイチング素子の一形態を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の光書き込み媒体及び画像書き込み装置の一形態を示す概略構成図である。
【図3】 コレステリック液晶の配向変化を示す図である。
【図4】 コレステリック液晶のパルス信号に対する電気光学応答の例を示す図である。
【図5】 本発明の光書き込み型表示媒体の等価回路を示す回路図である。
【図6】 本発明の光書き込み型表示媒体の一例の電気光学応答を示す図である。
【図7】 本発明の光書き込み型表示媒体に対する画像書き込み方法の一形態における書き込み信号を示す図である。
【図8】 本発明の光書き込み型表示媒体のリフレッシュ期間における光照射部を構成する調光素子の透過率に対する各表示層の反射率変化を示す図である。
【図9】 本発明の光書き込み型表示媒体のセレクト期間における光照射部を構成する調光素子の透過率に対する各表示層の反射率変化を示す図である。
【図10】 図6の電気光学応答を示す表示媒体の各表示層の配向状態を示す図である。
【図11】 図6の電気光学応答を示す表示媒体の表示状態を示す図である。
【図12】 本発明の光書き込み型表示媒体及び画像書き込み装置の他の一形態を示す概略構成図である。
【図13】 本発明の光書き込み型表示媒体の他の一形態を示す概略構成図である。
【図14】 実施例1〜2、比較例1の評価結果を示すグラフである。
【図15】 従来の光書き込み型表示媒体及び画像書き込み装置の一形態を示す概略構成図である。
【図16】 従来の光スイッチング素子における抵抗の電圧依存性を示す図である。
【符号の説明】
1 表示媒体
2,3 基板
4 分離基板
6 光吸収層
7 光スイッチング層(光導電層)
8A、8B 表示層
9A,9B スペーサー
10、11 電極
12 書き込み装置
13 電圧印加部
14 光照射部
15 制御部
16 接触子
17 光
30 光スイッチング素子
31 基板
32 電極
33 下部電荷発生層
34 電荷輸送層
35 上部電荷発生層
40 表示素子
41 基板
42 電極
43 表示層
50 光書き込み型表示媒体

Claims (4)

  1. 少なくとも一方が光透過性を有する一対の電極間に、
    少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含んで構成される複層型光スイッチング層又は電荷発生能及び電荷輸送能を持つ単層型光スイッチング層を有する光スイッチング素子であって、前記電荷輸送層又は単層型光スイッチング層に下記一般式(1)で示される電荷輸送材料が含まれる光スイッチング素子と、
    メモリ性を持つ表示層を有する表示素子と、
    が積層されてなり、
    前記表示素子が一つの光スイッチング素子に対して複数の表示層を有するカラー表示素子であり、且つ前記複数の表示層が、それぞれ可視光中の互いに異なる色光を選択反射するコレステリック液晶表示層であることを特徴とする光書き込み型表示媒体。
    (一般式(1)中、R1及びR3は、それぞれ独立にCH3、又はC25を表す。R2及びR4は、それぞれ独立にH、CH3、又はC25を表す。)
  2. 前記一般式(1)で示される電荷輸送材料が、下記一般式(2)で示される電荷輸送材料であることを特徴とする請求項1に記載の光書き込み型表示媒体
    (一般式(2)中、R1及びR3は、それぞれ独立にCH3、又はC25を表す。R2及びR4は、それぞれ独立にH、CH3、又はC25を表す。)
  3. 前記一般式(2)で示される電荷輸送材料において、R1及びR3がCH3を表し、かつR2及びR4がC25を表すことを特徴とする請求項2に記載の光書き込み型表示媒体
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光書き込み型表示媒体と、前記表示媒体を駆動するための表示媒体駆動手段と、前記表示媒体に光書き込みを行う書き込み手段と、を備えることを特徴とする表示装置。
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