JP4177939B2 - 電気転てつ機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道における分岐器を転換・鎖錠する交流モータによって駆動される電気転てつ機に係り、特に、転換終了時の転換歯車の反転を効果的に防止できるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、交流モータMを駆動源とする従来の電気転てつ機1が鉄道の分岐器Pに設備されている状態の平面図、図4(a)はその転てつ機1の内部に組込まれている歯車機構等の機械的構成を示す側面図、同図(b)は、同図(a)の平面図、図5は、電気的構成部分の詳細図である。
【0003】
以下、上記図3〜図5を参照しながら、従来の電気転てつ機について説明すると、電気転てつ機1は、交流モータMを駆動源として摩擦クラッチ2、減速歯車3、転換歯車4、転換ローラ5、動作かん6の順に伝動して、転換ローラ5が動作かん6のカム面及びカムバー7のカム面7aに作用して動作かん6を直線運動(図4(b)の矢印参照)させるように構成されている。そして、図3に示すように、その動作かん6に接続するロッド8と転てつ棒9を介して分岐器PのトングレールTを転換し、転換したトングレールTの先端位置が正常な位置にあるか否かを照査し、正常位置にあれば鎖錠して転換動作を完了するように動作する。
【0004】
この照査は、分岐器Pの先端の位置をフロントロッド10と接続かん11を介して電気転てつ機1の鎖錠かん12に伝え、鎖錠かん12の切欠12a(図4 ( a )( b ) )にロックピース13を挿入することで行われる。そして、そのロックピース13の挿入ができれば、分岐器Pの先端の位置が正常と判断される。この正常と判断される位置において、転換が終了した段階の接着側トングレール(図3では左側のトングレールT)の先端は、基本レールRに接着するとともに、その位置で鎖錠かん12の切欠12aにロックピース13が挿入できるように予め調整されている。
【0005】
図4は、電気転てつ機1の転換の完了により、鎖錠かん12の切欠12aにロックピース13が挿入されている状態を示す。このとき、電気転てつ機1のモータMが駆動を開始すると、鎖錠かん12の切欠12aからロックピース13が抜かれて動作かん6の鎖錠が解かれる。次に、動作かん6が移動するとそれに接続されたロッド8と転てつ棒9とを介して分岐器PのトングレールTが転換される。そして、その転換が終了すると、鎖錠かん12のもう一方の切欠にロックピース(図示せず)を挿入して動作かんが鎖錠される。ロックピースを挿入できたことを回路制御器(図5参照)が検知して転換鎖錠が完了となる。
【0006】
転換鎖錠が完了すると、回路制御器が連動装置に転換完了を知らせ、連動装置が信号器に進行信号を現示させて列車が通過できる状態となる。この回路制御器は、転換終了時にモータ電源を遮断するが、ロックピースを挿入できなければ交流モータMの電源を遮断しない状態のまま電源供給を継続する仕組になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電気転てつ機の出力である転換力は、交流モータMの駆動トルクとクラッチ2の伝達トルクとの関係によって決まるが、交流モータの駆動トルクは、クラッチの伝達トルクより余裕をもって大きいので、電気転てつ機の最大転換力は、クラッチの伝達トルクによって決まることになる。その設定値は、負荷に対して小さ過ぎると転換中にクラッチが滑ってしまって負荷を転換できない状態、すなわち、転換不能を起こすこととなる。
【0008】
電気転てつ機の転換速度は、交流モータの電源電圧の変動や負荷変動によって影響を受け、例えば、電源電圧が高く、負荷が軽い場合は転換速度が早くなる。このように、電気転てつ機の転換速度が早くなると、転換終了時に交流モータの電源が遮断された後、交流モータや歯車等の慣性によって転換歯車はさらに回転を継続し、転換歯車上の転換ローラが動作かんカムの終端に衝突し、その勢いで転換歯車が反対方向に回転する反転が生じる。そして、その反転量が大きいと転換終了の状態が崩れて、鎖錠かん切欠からロックピースが抜け、それを回路制御器が検知して再び交流モータに電源を供給して再び転換を開始し、それが繰返されて転換がなかなか完了しないという不都合が生じることがある。
【0009】
このため、電気転てつ機は、定期的な保守の際に、クラッチの伝達トルクが転換不能を起こさないように、かつ、反転による支障が起こらないように適度な大きさとなるように定期的に調整されている。
【0010】
また、新幹線で用いられるような比較的重い負荷を転換する電気転てつ機には、大きな転換力が必要となるため、クラッチの伝達トルクは高めに設定されている。このように、伝達トルクが高めに設定されると、転換ローラが動作かんカムの終端に衝突した際に滑りにくくなって、衝撃を吸収できずに反転量が多くなる傾向にある。このため、比較的重い負荷を転換する電気転てつ機には、反転防止器が取付けられている。この反転防止器は、ばねを撓ませて圧縮力の加えられたローラを転換歯車の上部側面に設けられた凹面にはまり込む構造を呈している。したがって、反転防止器のローラがその凹面にはまり込むことで、転換歯車の回転をくい止めることができる。
【0011】
しかしながら、転換速度が早い場合は、反転防止器のローラが、その凹面にはまり込んだ後、凹面から抜けてしまう場合があり、その場合は、転換ローラが動作かんカムの終端に強く衝突することが起こる。この対策としては、反転量が少なくなるようにばね圧を調整できる構造の反転防止器とすることも考えられるが、このようにすると、反転防止器が大きくなり、現用の電気転てつ機の筐体のスペースには納まらなくなってしまう。
【0012】
また、上述のローラは、常に、転換歯車の上部側面をばねで圧縮する状態に押さえ付けているので、転換中も転換歯車の回転を妨げる方向に働き、したがって、電気転てつ機の転換効率を低下させる要因となっている。
【0013】
本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、駆動源としての交流モータと、分岐器を定位側と反位側のいずれに移動させるかにより前記交流モータの回転方向が正転又は逆転となるように転換終了まで交流電源を前記交流モータに供給するモータ制御回路とを有し、前記交流モータの回転トルクを摩擦クラッチ、減速歯車、転換歯車、転換ローラ、カムバー、動作かんの順に伝動し、前記転換ローラと前記動作かんのカムによって前記動作かんを直線運動させるとともに、前記カムバーに結合されているロックピースが鎖錠かんの切欠に挿入することにより、前記動作かんにより転換された前記分岐器を定位に鎖錠し、前記ロックピースが前記鎖錠かんの切欠から抜かれることにより、前記分岐器の鎖錠が解かれるように構成されている電気転てつ機において、機械的な反転防止機構を用いずに効果的に反転を防止できるようにすることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、( a ) 駆動源としての交流モータと、分岐器を定位側と反位側のいずれに移動させるかにより前記交流モータの回転方向が正転又は逆転となるように転換終了まで交流電源を前記交流モータに供給するモータ制御回路とを有し、前記交流モータの回転トルクを摩擦クラッチ、減速歯車、転換歯車、転換ローラ、カムバー、動作かんの順に伝動し、前記転換ローラと前記動作かんのカムによって前記動作かんを直線運動させるとともに、前記カムバーに結合されているロックピースが鎖錠かんの切欠に挿入することにより、前記動作かんにより転換された前記分岐器を定位に鎖錠し、前記ロックピースが前記鎖錠かんの切欠から抜かれることにより、前記分岐器の鎖錠が解かれるように構成されている電気転てつ機において、( b )前記モータ制御回路と前記交流モータとの間に、 ( c )前記交流モータに対する交流電流の供給が遮断されたことを検知する検知手段と、( d )前記交流モータの交流電流の供給の遮断が検知されたときに、その交流モータの励磁コイルに一定の直流電流を所定時間供給して、前記交流モータに制動力を発生させる直流電流供給手段とを備えたことを特徴としている。
また、前記直流電流供給手段は、交流モータへの交流電流の供給が前記分岐器を定位側に転換するときの供給か、又は反位側に転換するときの供給かに応じて直流電流の電流値と供給時間を制御するものであることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電気転てつ機を図面に基づいて説明する。図1は、一実施の形態に係る電気転てつ機の交流モータへの駆動電源を供給する部分の構成を示したブロック図である。
【0016】
交流モータ(以下、「モータ」という。)Mは、周知の電気転てつ機に使用されていると同様の100Vの単相4極の誘導電動機からなる交流モータである。このモータMは、上記図5に回路制御器として示されるモータ制御回路(電動機動作回路)aにより駆動制御されるように構成されている。すなわち、モータ制御回路aは、分岐器の定位動作又は反位動作により、その回転方向が正転又は逆転となるように転換終了まで交流電流をモータMに供給できるように構成されている。なお、電気転てつ機の機械的構成は、図4(a)(b)と同様である。
【0017】
図1中、鎖線イで囲まれる部分は、本発明の特徴的な構成部分であり、モータ制御回路aとモータMとの間に設けられている。このうちbは、電流検出回路であって、モータMの駆動電流を検出してモータMに交流電流を供給している状態を検出できるように構成されている。すなわち、この電流検出回路bは、周知の電流センサとローパスフィルタとから構成されていて、常時、モータMの駆動電流を計測できるように構成されている。そして、計測された駆動電流は、周知のシュミット回路やコンパレータ回路等からなる比較回路cにより所定のしきい値と比較されるように構成されている。
【0018】
比較回路cは、計測された駆動電流が所定のしきい値未満となったときにモータMの駆動電流が遮断されたと判定できるように構成されている。そして、比較回路cがモータMの駆動電流が遮断されたと判定したときに、モータMへの交流電源の供給に替えて直流定電流発生回路dで生成された直流電流をモータMの励磁コイルに供給(印加)する、供給電源を切替える供給電源切替回路eを制御できるように構成されている。
【0019】
直流定電流発生回路dは、モータMの交流電源(100V)を全波又は半波整流して直流電源を生成することができるように構成されている。したがって、この直流定電流発生回路dからの直流電流が供給電源切替回路eを介してモータMの励磁コイル(図5のモータのコイルの記号参照)に供給されると、モータMの回転子(ロータ)に制動力を発生させることができる。
【0020】
供給電源切替回路eは、例えば、電磁リレーからなるスイッチング回路で構成することができる。供給電源切替回路eを電磁リレーで構成したときは、ONする接点をモータ制御回路aに接続し、OFFする接点を直流定電流発生回路dに接続して、モータMの励磁コイルに供給する電源を交流電源又は直流電源とすることができる。なお、供給電源切替回路eは、上述の電磁リレーの代わりのパワートランジスタのような電子素子からなる電子式のスイッチング回路とすることもできる。
【0021】
図1中、fはタイマ回路であって、直流電流をモータMの励磁イルに供給する時間を計測できるように構成されている。また、gは、電流値・時間設定回路であって、電流値の設定のために可変抵抗器やデジタルスイッチの抵抗等の抵抗素子を有し、また、時間設定のためにこれらの抵抗素子とコンデンサとの組合せを有している。この電流値・時間設定回路gは、モータMの励磁コイルに供給する直流電流の値を任意に設定するとともに、その供給時間を任意に設定できるように構成されている。
【0022】
電流値・時間設定回路gにおける設定の一例としては、直流電流の値は2〜3アンペアで、また、その直流電流の供給時間は1〜2秒間である。この範囲の電流値及び供給時間は、励磁コイルに過度の負担を掛けることなく、反転を十分に防止できる制動力を得ることができる。
【0023】
上記構成の電気転てつ機において、モータ制御回路aにより分岐器の定位又は反位移動が行われると、モータMの励磁コイルに所定の交流電源が供給電源切替回路eを介して供給される。そして、その交流電源の供給状態は、電流検出回路b及び比較回路cにより監視される。
【0024】
分岐器の転換が終了し、交流電源の供給の停止が比較回路cにより検知されると、直流定電流発生回路dから電流値・時間設定回路gで設定された所定の直流電流が所定の時間、モータMの励磁コイルに供給される。したがって、モータMのロータに制動力が発生し、反転を効果的に防止することができる。
【0025】
上述のように、分岐器の転換終了時にモータMのロータに制動力を付加できるようにしたので、反転量を気にしてクラッチの伝達トルクを低めに設定する必要がなくなり、また、クラッチの伝達トルクを従来よりも高めに設定できるので、転換不能に陥るのを未然に防止することができる。
【0026】
図2は、本発明の他の実施の形態を示すものであって、ここでは、定位側の電流値・時間設定回路g1 と、反位側の電流値・時間設定回路g2 とが用意されている。
【0027】
すなわち、分岐器が定位側に移動したときの反転量と反位側に移動したときの反転量とは、通常、相違するので、ここでは、定位側の移動のときと、反位側の移動のときとでモータMの励磁コイルに供給する直流電流と時間とをそれぞれの反転量に応じて設定できるようにしている。したがって、定位側移動時及び反位側移動時に適切な制動力が得られるので、きめの細かな反転防止を行うことができる。
【0028】
上述のように、2つの電流値・時間設定回路g1 ,g2 が用意されたときは、モータMが転換のために駆動しているとき、その駆動が定位側の駆動か、又は反位側の駆動かをモータ制御回路aの制御条件を監視することにより容易に判定することができる。したがって、その判定に従って、電流値・時間設定回路g1 ,g2 のいずれか一方の設定に従ってモータMの励磁コイルに直流電流が供給される。
【0029】
なお、上述の例では、比較回路c及びタイマ回路fをアナログ回路で示したが、これをソフトウェアで実現することもできる。すなわち、電流検出回路bの検出出力をA/D変換した後、これをマイクロコンピュータにより処理することもできる。
【0030】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、( a ) 駆動源としての交流モータと、分岐器を定位側と反位側のいずれに移動させるかにより前記交流モータの回転方向が正転又は逆転となるように転換終了まで交流電源を前記交流モータに供給するモータ制御回路とを有し、前記交流モータの回転トルクを摩擦クラッチ、減速歯車、転換歯車、転換ローラ、カムバー、動作かんの順に伝動し、前記転換ローラと前記動作かんのカムによって前記動作かんを直線運動させるとともに、前記カムバーに結合されているロックピースが鎖錠かんの切欠に挿入することにより、前記動作かんにより転換された前記分岐器を定位に鎖錠し、前記ロックピースが前記鎖錠かんの切欠から抜かれることにより、前記分岐器の鎖錠が解かれるように構成されている電気転てつ機において、( b )前記モータ制御回路と前記交流モータとの間に、 ( c )前記交流モータに対する交流電流の供給が遮断されたことを検知する検知手段と、( d )前記交流モータの交流電流の供給の遮断が検知されたときに、その交流モータの励磁コイルに一定の直流電流を所定時間供給して、前記交流モータに制動力を発生させる直流電流供給手段とを備えたので、転換終了時にモータのロータに制動力が発生するため、反転を効果的に防止することができる。
【0031】
また、分岐器の転換終了時にモータMのロータに制動力が加わるので、反転量を気にしてクラッチの伝達トルクを低めに設定する必要がなくなり、また、クラッチの伝達トルクを従来よりも高めに設定できるので、転換不能に陥るのを未然に防止することができる。
【0032】
そして、直流電流供給手段は、一定の直流電流を所定時間供給するので、所定の制動力を効率よく得ることができる。
【0033】
請求項2の発明によれば、直流電流供給手段は、交流モータへの交流電流の供給が前記分岐器を定位側に転換するときの供給か、又は反位側に転換するときの供給かに応じて直流電流の電流値と供給時間を制御するので、定位側移動又は反位側移動に合わせてきめ細かな反転防止を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る電気転てつ機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の他の実施の形態に係る電気転てつ機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】 交流モータを駆動源とする従来の電気転てつ機を鉄道の分岐器に設備した状態の平面図である。
【図4】 (a)は、電気転てつ機の内部に組込まれている歯車機構等の機械的構成を示す側面図、(b)は、(a)の平面図である。
【図5】 電気転てつ機の制御系統の電気的構成部分の詳細図である。
【符号の説明】
a モータ制御回路
b 電流検出回路
c 比較回路
d 直流定電流発生回路
e 供給電源切替回路
f タイマ回路
g1 ,g2 電流値・時間設定回路
M 交流モータ(モータ)
Claims (2)
- 駆動源としての交流モータと、分岐器を定位側と反位側のいずれに移動させるかにより前記交流モータの回転方向が正転又は逆転となるように転換終了まで交流電源を前記交流モータに供給するモータ制御回路とを有し、前記交流モータの回転トルクを摩擦クラッチ、減速歯車、転換歯車、転換ローラ、カムバー、動作かんの順に伝動し、前記転換ローラと前記動作かんのカムによって前記動作かんを直線運動させるとともに、前記カムバーに結合されているロックピースが鎖錠かんの切欠に挿入することにより、前記動作かんにより転換された前記分岐器を定位に鎖錠し、前記ロックピースが前記鎖錠かんの切欠から抜かれることにより、前記分岐器の鎖錠が解かれるように構成されている電気転てつ機において、
前記モータ制御回路と前記交流モータとの間に、
前記交流モータに対する交流電流の供給が遮断されたことを検知する検知手段と、
前記交流モータの交流電流の供給の遮断が検知されたときに、その交流モータの励磁コイルに一定の直流電流を所定時間供給して、前記交流モータに制動力を発生させる直流電流供給手段と、
を備えたことを特徴とする電気転てつ機。 - 前記直流電流供給手段は、交流モータへの交流電流の供給が前記分岐器を定位側に転換するときの供給か、又は反位側に転換するときの供給かに応じて直流電流の電流値と供給時間を制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の電気転てつ機。
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