JP4178735B2 - ワイヤーハーネスの布線台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はワイヤーハーネスの布線台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等における電装品の配線に用いられるワイヤーハーネスは、所定の寸法に切断された複数の電線を結束して構成されており、柔軟性があって形態的には細長く、複雑に枝分かれした構造を有しているのが特徴である。かかるワイヤーハーネスの組立作業は、ワイヤーハーネス布線台を製造ライン沿いに搬送し、当該製造ラインに設定された布線ステーションにて作業者が電線を布線する作業が含まれている。
【0003】
上記布線台は、電線を布線するための図板と、この図板を受ける受台とを有している。図板は、製造されるワイヤーハーネスの最終形態を示す図面が貼着された横長の板状の作業台であり、その適所には、ワイヤーハーネスを構成する電線を配索するために、通常、U治具と呼称される保持具が多数立設されている。また作業者が作業を行いやすくするために、図板はその下側が作業者に近接するように所定の角度傾斜した状態で上記受台上にリジッドに固定されている。作業者は、この図板の保持具上に、例えば芯線の断面積が0.3mm2 以上の被覆電線に張力を加えて、布線された電線の配索寸法(最終形態となるワイヤーハーネスの仕上り寸法)を維持しながら布線作業を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような図板上で布線される電線として、近年、芯線の断面積が0.3mm2 を下回る被覆電線を布線する必要が生じてきた。
【0005】
ところが、そのような極細線を布線する場合には、僅かな衝撃が電線に作用しだけでも断線するおそれがある。特に上記布線作業においては、作業者が単線を把持して保持具(U治具)に掛け渡す必要があるから、僅かな引っかかりが生じた場合や、電線に張力を加え過ぎただけで電線単体に衝撃が加わりやすくなる。このような衝撃が電線に加わると、上記保持具がリジッドであることや、図板自身も受台にリジッドに固定されていることから、その衝撃エネルギーを電線自身によって吸収することになる結果、電線が衝撃時のエネルギーによって断線しやすくなる。他方、電線の配索寸法を精緻に維持するためには、図板に設けられた保持具はリジッドなものである必要があり、しかも、作業者は、要請される配索寸法を維持するために、各保持具に掛け渡した電線にしばしば張力を加える必要がある。このため、電線に上述のような衝撃が生じやすくなり、しかも電線に作用する張力や衝撃を作業者が手作業で制御することもままならない。
【0006】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、極細線の布線作業を容易に行うことのできるワイヤーハーネスの布線台を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、ワイヤーハーネスを構成する電線を布線するための図板と、この図板を担持する受台とを備えたワイヤーハーネスの布線台において、上記図板と受台との間に設けられ、図板上に電線を布線する際に該電線に作用した衝撃エネルギーを図板から吸収可能なエネルギー吸収手段を備え、上記エネルギー吸収手段は、上記受台に対して上記図板が接離する方向および横ずれする方向の図板の変位を許容して、上記電線を布線する際に上記電線に加わった力の方向に上記図板を変位させることにより上記衝撃エネルギーを吸収するように構成されていることを特徴とするワイヤーハーネスの布線台である。
【0008】
この発明によれば、作業者が単線を把持して布線する場合に、誤って図板上のどこかに引っ掛けたり、無理な張力を作用させることにより、電線に衝撃が加わった場合にも、その衝撃エネルギーをエネルギー吸収手段によって吸収し、電線を保護することが可能になる。したがって、作業者が極細線(主として導線の断面積が0.3mm2 未満のもの)を布線する場合にも、該極細線を衝撃エネルギーから保護しながら作業を行うことが可能になる。
【0009】
上記エネルギー吸収手段は、図板を着脱可能な図板取り付け部材を介して図板と連結されるものであることが好ましい。
【0010】
このようにすると、受台に装着される図板を変更する場合にも、エネルギー吸収手段をそのまま流用することができるので、エネルギー吸収手段に汎用性を持たせることができ、図板変更時の段取り変えが容易になるという利点がある。
【0011】
上記エネルギー吸収手段は、弾性体を含んでいることが好ましい。
【0012】
このようにすると、至って簡素な構造でエネルギー吸収手段を構成することが可能になる。
【0013】
弾性体の具体的な態様としては、ゴムやスポンジ等の弾性材料、或いは、板ばねやコイルばね等のばね部材が好適である。
【0014】
ゴムやスポンジ等の弾性材料を採用する場合には、図板の全面にわたって該弾性材料を貼着してもよい。
【0015】
他方、コイルばねや板ばねを採用する場合には、複数のばね部材を点在させて、偏荷重が生じないようにすることが好ましい。さらにばね部材を採用する場合には、スプリングシートを併用して確実なエネルギー吸収作用を奏するように配置することが好ましい。
【0016】
さらに、コイルばねを採用した場合には、その両端をスプリングシートで保持することが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について詳述する。
【0018】
図1は本発明の実施の一形態に係る布線台10を簡略化して示す斜視図である。
【0019】
同図を参照して、図示の布線台10は、受台としての搬送台車11とこの搬送台車11上に取り付けられる図板20とを有している。
【0020】
図示の例において、搬送台車11は、電線Wを布線してワイヤーハーネスWHを製造するために無端状に構成された製造ラインに沿って周回するものであり、キャスタ12と、このキャスタ12によって走行可能な架台14と、図略のコンベヤー連結機構とを備えており、該コンベヤー連結機構を介して製造ラインに設けられている台車搬送機構に駆動されることにより、上記製造ラインに沿って周回することができるようになっている。なお、上記電線Wには、断面積が0.3mm2 未満の極細線(具体的には0.22mm2 のもの或いは0.14mm2 のもの)が含まれている。
【0021】
搬送台車11の架台14は、金属製のパイプ材(図示の例では角パイプを利用している)によって略直方体形状の枠体に構成されたものであり、具体的には、上記キャスタ底部を形成する下枠部14a、天部を構成する上枠部14b、両者を接続する支柱14c、14dとを溶接により一体化したものである。各支柱14c、14dのうち、後部に配置されたものは、上枠部14bよりも上方に突出し、その上端部分に横架された横桟14eによって補強されているとともに、この横桟14eに上記コンベヤー連結機構を設けている。
【0022】
さらに上記上枠部14bの前部には、図板20を担持するための図板フレーム15が形成されており、上枠部14bに固定されている。図板フレーム15は、上枠部14bの長手方向に沿って形成された金属製の枠体であり、上部が後方に下がるように傾斜した状態に配置され、補強部材16によって堅固に上枠部14bと一体化されている。
【0023】
そして、図示の実施形態では、この図板フレーム15に対し、図板20が後述するエネルギー吸収手段としてのスプリングユニット30を介して取り付けられている。
【0024】
上記図板20は、板部21の表面に図面(図示せず)を貼着し、ワイヤーハーネスWHを構成する電線Wを布線するための保持具22が多数立設されたものである。図では簡略化されているが、保持具22は、当該ワイヤーハーネスWHの配索形態により、或いはワイヤーハーネスWHに設けられるコネクタCや外装部品に対応して種々のものが設けられている。そして、作業者は、予め定められた布線順序にしたがって、電線Wを布線することにより、この図板20上にワイヤーハーネスWHを配索することが可能になっている。
【0025】
以上のような構成において、上記スプリングユニット30は、作業者が図板20に電線を布線する際、当該電線が図板20から受けた衝撃によるエネルギーを吸収するために設けられたものである。図示のように、スプリングユニット30は、図板20の周囲に例えば8箇所設けられている。
【0026】
図2は図1の実施形態に係るスプリングユニット30を装着した部分の断面略図であり、図3は図1の実施形態に係るスプリングユニット30の分解斜視図である。
【0027】
これらの図を参照して、スプリングユニット30は、一対のスプリングシート31、32と、両スプリングシート31、32に端部が保持される弾性体としてのコイルばね33とを主要素としているものである。
【0028】
図3に示すように、各スプリングシート31、32は、何れもコイルばね33の端部を保持可能なスリーブ31a、32aと、スリーブ31a、32aと一体化されたフランジ31b、32bとを有しており、一方のフランジ31bを図板フレーム15に取り付け、他方のフランジ32bを図板20の裏面に取り付けることにより、図板20を弾性変位可能に図板フレーム15に取り付けている。図示の例では、図板フレーム15に取り付けられるスプリングシート31については、当該スリーブ31aの接線沿いにフランジ31bが設けられ、このフランジ31bを図板フレーム15の内側面に溶接している。他方、図板20に固定されるスプリングシート32は、スリーブ32aの端面にフランジ32bを有しており、このフランジ32bに設けた穿孔32cを挿通する図略のビスによって図板20の下面に固定されている。
【0029】
図4は図1の実施形態に係る布線台10の断面部分略図である。
【0030】
同図に示すように、以上の構成では、布線時の電線が何らかの衝撃を受けた場合に、図の仮想線で示すように、スプリングユニット30のコイルばね33が伸縮して図板20が全体に変位することにより、当該衝撃エネルギーを吸収し、もって電線Wを保護することが可能になる。したがって、極細線を布線する際にも、作業者が張力について大きな注意を払う必要なく、所期の布線作業を行うことが可能になる。
【0031】
上述した実施形態は、本発明の好ましい一態様を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0032】
図5は本発明の別の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【0033】
同図に示すように、図板フレーム15と図板20の間にスプリングユニット30を介在させるに当たり、スプリングユニット30と図板20の間に取付板25を介在させてもよい。図示の例では、取付板と図板20とをブラケット26とボルト27とで着脱可能に固定している。この場合には、図板フレーム15に装着される図板20を変更する場合にも、各スプリングシート31を変更する必要がないので、各スプリングシート31に汎用性を持たせることができるという利点がある。
【0034】
図6は本発明のさらに別の実施形態を示す断面略図である。
【0035】
エネルギー吸収手段としては、上述のようなスプリングユニット30に限らず、図6に示すように、弾性板40を図板フレーム15と図板20との間に設け、この弾性板40の弾性変形によって電線Wに作用する衝撃エネルギーを吸収するようにしてもよい。弾性板40の材質としては、ウレタンやゴムが好適である。また、ゴムを採用する場合には、表面に起伏を設けて衝撃エネルギーの吸収性能を高めるようにしてもよい。
【0036】
また、具体的には図示していないが、エネルギー吸収手段としては、エアシリンダで構成されたショックアブソーバを利用するものであってもよい。
【0037】
また、布線台10は、ワイヤーハーネスWHの組立図板を構成するものであるが、必要に応じてワイヤーハーネスの導通検査を行う導通検査図板に本発明を適用してもよい。
【0038】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更や仕様変更が可能であることはいうまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、作業者が極細線を布線する場合にも、該極細線を衝撃エネルギーから保護しながら作業を行うことが可能になるので、極細線の布線作業を容易に行うことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態に係る布線台を簡略化して示す斜視図である。
【図2】 図1の実施形態に係るスプリングユニットを装着した部分の断面略図である。
【図3】 図1の実施形態に係るスプリングユニットの分解斜視図である。
【図4】 図1の実施形態に係る布線台の断面部分略図である。
【図5】 本発明の別の実施形態を示す一部破断斜視図である。
【図6】 本発明のさらに別実施形態を示す断面略図である。
【符号の説明】
10 布線台
11 搬送台車(受台)
15 図板フレーム(受台の要部)
20 図板
25 取付板(取り付け部材)
30 スプリングユニット(エネルギー吸収手段の一例)
40 弾性板(エネルギー吸収手段を構成する弾性体の一例)
WH ワイヤーハーネス
Claims (3)
- ワイヤーハーネスを構成する電線を布線するための図板と、この図板を担持する受台とを備えたワイヤーハーネスの布線台において、
上記図板と受台との間に設けられ、図板上に電線を布線する際に該電線に作用した衝撃エネルギーを図板から吸収可能なエネルギー吸収手段を備え、
上記エネルギー吸収手段は、上記受台に対して上記図板が接離する方向および横ずれする方向の図板の変位を許容して、上記電線を布線する際に上記電線に加わった力の方向に上記図板を変位させることにより上記衝撃エネルギーを吸収するように構成されていることを特徴とするワイヤーハーネスの布線台。 - 請求項1記載のワイヤーハーネスの布線台において、
上記エネルギー吸収手段は、図板を着脱可能な図板取り付け部材を介して図板と連結されるものであることを特徴とするワイヤーハーネスの布線台。 - 請求項1記載のワイヤーハーネスの布線台において、
上記エネルギー吸収手段は、弾性体を含んでいることを特徴とするワイヤーハーネスの布線台。
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