JP4182449B2 - 核酸導入時の細胞障害を低減する方法 - Google Patents
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Life Sciences 75, 2203−2216 (2004)
本発明者らは、また、フコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸C、アルギン酸、コンドロイチン硫酸Bなどの、低分子量化ヘパリン以外の化合物を用いることで細胞障害が低減することも見出した。
項1.
核酸導入(トランスフェクション)用試薬を用いて動物細胞に核酸を導入する際の細胞障害を低減するための方法であって、核酸導入後に培地に酸性多糖成分を添加することを特徴とする細胞障害の低減方法。
項2.
酸性多糖が硫酸基を有することを特徴とする、請求項1に記載の細胞障害の低減方法。
項3.
酸性多糖が2糖以上の繰り返し構造を有することを特徴とする、請求項2に記載の細胞障害の低減方法。
項4.
酸性多糖がヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、フコイダン、デキストラン硫酸、ケラタン硫酸からなる群より選択される1つ以上である、請求項3に記載の細胞障害の低減方法。
項5.
酸性多糖が、低分子量化されていることを特徴とする請求項4に記載の細胞障害の低減方法。
項6.
酸性多糖を、核酸導入後2時間以降(2時間は含まない)に培地に添加することを特徴とする請求項1に記載の細胞障害の低減方法。
項7.
酸性多糖成分の添加時に培地交換を行う請求項1に記載の細胞障害の低減方法。
項8.
細胞への核酸の導入に、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、脂質、リポソーム、ポリマーからなる群より選択される物質を用いる、請求項1に記載の細胞障害の低減方法。
項9.
請求項1〜8に記載の方法で使用する酸性多糖を成分として含む、細胞障害を低減させる試薬またはキット。
今回の検討では核酸導入用試薬として、ポリマーの1種のポリエチレンイミン、および、脂質を主成分とするLipofectamine2000を用いたが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではなく、核酸を導入するために、他の脂質、あるいは、他のポリマーを主成分とする試薬、あるいは、リン酸カルシウム、DEAE−デキストランを主成分とするいずれの試薬を用いても差し支えない。
具体的には、例えば、0.1〜10mg/mLのヘパリン溶液あるいは低分子量化ヘパリン溶液を供給する形態が考えられる。それを、市販あるいは別途調製したトランスフェクション試薬と組み合わせて使用する。例えば、トランスフェクション試薬を用いて核酸を導入し、その2時間後以降(2時間は含まない)に、ヘパリン溶液あるいは低分子量化ヘパリン溶液を培地に添加することにより、細胞の障害性を防止することができる。
あるいは、例えば、上記低分子量化ヘパリン溶液とトランスフェクション試薬とをセットにしたものも、本願発明の試薬またはキットに含まれる。更に、例えば、上記低分子量化ヘパリン溶液、トランスフェクション試薬に加えて、細胞に導入する核酸をセットにしたものもまた、本願発明の試薬またはキットに含まれる。
トランスフェクション前日に、12ウェルプレートに1.0×105cells/wellでCOS−7細胞を播種した。トランスフェクションは、ポリエチレンイミン(25kDa、Aldrich製)あるいはLipofectamine2000(Invitrogen製)を用いて行った。
ポリエチレンイミンを用いた場合は、以下の手順に従いトランスフェクションを実施した。pQBI25(Quantum Biotechnologies製)3.0μgとポリエチレンイミン3.0μgを無血清D−MEM中で混合し、室温で20分間静置した。予め、培地を無血清D−MEMに交換しておいた各ウェルに、作成したプラスミドDNAとポリエチレンイミンの複合体溶液を添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。インキュベート2、4、6、8、10時間後に、PBSに溶解した1.25mg/mL低分子量化ヘパリン(4,000−6,000Da、Sigma製)溶液10μLを添加した。低分子量化ヘパリン添加の1日後、血清含有D−MEM 1mL を添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で更に1日間インキュベートした。
また、Lipofectamine2000を用いた場合は、以下の手順に従いトランスフェクションを実施した。pQBI25 1.0μgとLipofectamine2000 2.5μLをOpti−MEM I Reduced Serum Medium(Invitrogen製)中で混合し、室温で20分間静置した(Lipofectamine2000の取扱説明書参照)。各ウェルに、作成したプラスミドDNAとLipofectamine2000の複合体溶液を添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。インキュベート2、4、6、8、10時間後に、PBSに溶解した1.25mg/mL低分子量化ヘパリン溶液10μLを添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で更に2日間インキュベートした。
トランスフェクション後の細胞障害は、テトラゾリウム塩WST−8を含む市販のキットを用い、評価した。具体的には、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク社製)を各ウェルに100μL添加、37℃にて20分間インキュベート後、マイクロプレートリーダーを用い、650nmの吸光度を参照に、450nmの吸光度を測定した。得られた吸光度を基に、トランスフェクションしていない細胞の生存率を100%とし、トランスフェクション後の細胞生存率を算出した。次に、遺伝子導入率について、FACS(fluorescence activated cell sorting)解析により測定した。すなわち、トランスフェクション2日後の細胞をトリプシンで処理後、PBS中に浮遊させ、サンプルとし、FACSCalibur(ベクトンディッキンソン社製)を用い、GFPの発現の有無により遺伝子導入率を算出した。
その結果、図1、2に示す結果を得ることができた。図1、2は、それぞれポリエチレンイミン、Lipofectamine2000を用い、トランスフェクションを実施し、低分子量化ヘパリン添加のタイミングを検討した際の細胞生存率、遺伝子導入率を示す図である。どちらの核酸導入用試薬を用いた場合でも、トランスフェクションの2時間後に低分子量化ヘパリンを添加した場合、十分な細胞障害の低減効果が見られているものの、遺伝子導入率の低下も見られていた。一方、トランスフェクションの4時間後以降に低分子量化ヘパリンを添加した場合には、遺伝子導入率の低下はあまり見られておらず、本条件により細胞障害の低減と効率的な核酸の導入の両方を実現可能であることがわかった。
トランスフェクションの2時間後に低分子量化ヘパリンを添加した場合、十分な細胞障害の低減が見られたものの、低分子量化ヘパリン未添加と比較し遺伝子導入率の低下が見られていた。一方、トランスフェクションから低分子量化ヘパリンの添加までの時間を延長することにより、遺伝子導入率を低下させることなく、細胞障害の低減が可能であった。
Lipofectamine2000を用いた場合でも、トランスフェクションの2時間後に低分子量化ヘパリンを添加した場合は、十分な細胞障害の低減が見られたものの、低分子量化ヘパリン未添加と比較し遺伝子導入率の低下が見られていた。一方、トランスフェクションから低分子量化ヘパリンの添加までの時間を延長することにより、遺伝子導入率を低下させることなく、細胞障害の低減が可能であった。
トランスフェクション前日に、12ウェルプレートにCOS−7細胞の場合1.0×105cells/wellで、HeLa細胞の場合1.5×105cells/wellで播種した。トランスフェクションは、Lipofectamine2000(Invitrogen製)を用い、以下の手順で行った。pQBI25(Quantum Biotechnologies製)1.0μgとLipofectamine2000 2.5μLをOpti−MEM I Reduced Serum Medium(Invitrogen製)中で混合し、室温で20分間静置した(Lipofectamine2000の取扱説明書参照)。各ウェルに、作成したプラスミドDNAとLipofectamine2000の複合体溶液を添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。インキュベート6時間後、PBSに溶解した1.25mg/mL各種酸性多糖溶液10μLを添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で更に2日間インキュベートした。酸性多糖は、低分子量化ヘパリン、フコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸C、アルギン酸、コンドロイチン硫酸B、ヒアルロン酸の計8種類を用いた。
トランスフェクション後の細胞障害は、テトラゾリウム塩WST−8を含む市販のキットを用い、評価した。具体的には、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク社製)を各ウェルに100μL添加、37℃にて20分間インキュベート後、マイクロプレートリーダーを用い、650nmの吸光度を参照に、450nmの吸光度を測定した。得られた吸光度を基に、トランスフェクションしていない細胞の生存率を100%とし、トランスフェクション後の細胞生存率を算出した。次に、遺伝子導入率について、FACS(fluorescence activated cell sorting)解析により測定した。すなわち、トランスフェクション2日後の細胞をトリプシンで処理後、PBS中に浮遊させ、サンプルとし、FACSCalibur(ベクトンディッキンソン社製)を用い、GFPの発現の有無により遺伝子導入率を算出した。
その結果、表1に示す結果を得ることができた。表1は、検討した酸性多糖の特徴と細胞障害の低減効果の強弱の関係を示す表である。表1には、COS−7細胞、HeLa細胞を対象に、Lipofectamine2000を用いトランスフェクションを実施し、その6時間後、各種化合物を添加して検討した結果を示す。
COS−7細胞、HeLa細胞のどちらを対象とした場合も、低分子量化ヘパリン、フコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸C、アルギン酸、コンドロイチン硫酸Bなどの酸性多糖で細胞障害の低減が確認できた。しかし、同じ酸性多糖でもヒアルロン酸では細胞障害の低減が確認できなかった。また、糖2分子当たりに硫酸基を複数(好ましくは1.5〜4分子)含む、低分子量化ヘパリン、フコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸の4種類では、大幅な細胞障害の低減が可能であった。更に、フコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸を用いた場合では、低分子量化ヘパリンを上回る細胞障害の低減効果を確認できた。このとき、どの酸性多糖を用いた場合も、遺伝子導入率の低下はほとんど認められなかった。
なお、低分子量化ヘパリンを遺伝子導入直後に添加した場合はほとんど遺伝子導入されなかった。また、遺伝子導入2時間後に添加した場合でも、遺伝子導入率は25−26%にとどまった。(比較例)
このように、本発明者らは、フコイダン、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸C、アルギン酸、コンドロイチン硫酸Bなどの、低分子量化ヘパリン以外の化合物を用いることで細胞障害が低減することを見出した。
実施例1で、プラスミドDNAのかわりに、siRNAを用い、低分子量化ヘパリンの効果を検討した。
Neuro 2a細胞、あるいは、HeLa細胞を対象に、Lipofectamine2000を用いてトランスフェクションを行う系で検討した。具体的には、Neg. control siRNA, Fluorescein(Qiagen製)60pmolとLipofectamine2000 3.0μLをOpti−MEM I Reduced Serum Medium中で混合し、室温で20分間静置した(Lipofectamine2000の取扱説明書参照)。各ウェルに、作成したsiRNAとLipofectamine2000の複合体溶液を添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内でインキュベートした。インキュベート6時間後に、PBSに溶解した1.25mg/mL低分子量化ヘパリン溶液10μLを添加し、37℃、5%CO2インキュベーター内で更に2日間インキュベートした。その後、実施例1での方法を用いて、トランスフェクション後の細胞生存率を算出した。その結果、プラスミドDNAのかわりに、siRNAを用いた場合でも、低分子量化ヘパリンによる細胞障害の低減が確認できた。
Claims (3)
- 核酸導入(トランスフェクション)用試薬を用いて動物細胞に核酸を導入する際の細胞障害を低減するための方法であって、Lipofectamine2000(商標)を形質導入用試薬とし、形質導入後「6時間」の時点でフコイダン又はデキストラン硫酸を添加することを特徴とする細胞障害の低減方法。
- フコイダン又はデキストラン硫酸の添加時に培地交換を行う請求項1に記載の細胞障害の低減方法。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の方法で使用するフコイダン又はデキストラン硫酸を成分として含む、細胞障害低減用試薬またはキット。
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