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JP4183366B2 - フェーズドアレイ式超音波探傷装置 - Google Patents
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JP4183366B2 - フェーズドアレイ式超音波探傷装置 - Google Patents

フェーズドアレイ式超音波探傷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種プラント等の容器や配管の非破壊検査に用いられるフェーズドアレイ式超音波探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフェーズドアレイ方式超音波探触子の各振動子は探触子枠体に対して固定されており、被検体中のターゲットに超音波ビームを集束することができず、傷の検出性能が低かった。これを改善するために、各振動子が探触子枠体に固定されたフェーズドアレイ超音波探傷探触子を用いる超音波探傷装置で、夫々の振動子から発せられる超音波ビームを被検体のターゲットに集束させる方式のものが特開平10−318989及び特開平10−318990に開示されている。これらは電磁超音波探触子を用いるもので、原理及び構成を図10乃至図14に示す。
【0003】
図10は電磁超音波探触子の原理を示す図、図11、12は斜角電磁超音波探触子の原理を示す図、図13はアレイ式電磁超音波探触子の各エレメント(振動子)の配置の例を示す図、図14はアレイ式電磁超音波探傷装置の例を示す図である。電磁超音波探触子は導電性検体の非破壊検査に用いられる超音波探触子の一種で、その原理は、図10に示す如く、永久磁石もしくは電磁石からなる磁石106から発生する磁束Bと、導電性の被検体112の表面に生じた渦電流Jとの相互作用により生じるローレンツ力Fを振動源として超音波Uを発生し、受信についてはその逆の過程で受信した超音波を電気信号に変換する。
【0004】
電磁超音波探触子において、導電性被検体の表面に渦電流を生じさせる手段としては、磁石106と被検体112の表面に近接して置かれたコイル107にパルス状の高周波電流Iを流し渦電流Jを誘発する方法がよく知られている。そして、電磁超音波探触子は、磁石の磁極やコイルの構成によりSH波と呼ばれる振動モードの超音波を発生することができる。図12に示される如く、磁石セグメント106を多数組合せ、夫々の磁石セグメント106と被検体112の間にコイル107を配設し、該コイル107にパルス状高周波電流を流すことにより、一定の周期で磁界方向が変化する周期磁界が発生する。
【0005】
前記磁石セグメント106は磁極が交互に逆にして並べられているので、隣合うセグメントに対応する被検体表面からは位相が180°ずれた超音波が発信される。該各磁石セグメント106に対応する被検体表面から発信される超音波の屈折角θは下に示す式1から求められる。
W・sinθ=λ/2=Sv/f/2 …(1)
ここに、Wは磁石の幅、λは超音波の波長、Svは被検体中での超音波の音速、fは周波数である。
したがって、W及び/或はfを変えることによりθを変えることができる。
【0006】
前記特開平10−318989ではWを変えることにより、特開平10−318990ではfを変えることによりθを変えて前記各点から発信される超音波を被検体中のターゲットに集束させている。そして、図13には、4エレメントのアレイ式電磁超音波探触子における各エレメントの配置の例が示され、送信側と受信側の各エレメントはその中心が被検体上面からみて角度αで交叉する直線上にあるように配設されている。
【0007】
図14はアレイ式電磁超音波探傷装置の回路構成の例をしめす。各エレメント(振動子)a、b、c、dにより発生される超音波ビームの周波数を変えて各超音波ビームを被検体中のターゲットに集束させるとともに、各超音波ビームが同時にターゲットに到着するように、超音波発信点からターゲットまでの距離に応じて発信時期を変えるディレイ回路が備えられている。各エレメント(振動子)の位置は固定されており、各エレメント(振動子)の周波数と遅延時間はそれぞれ組としてターゲットの位置に応じて変えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術では、超音波探触子は被検体の探傷面が平面の場合は有効であるが、探傷面が局面をなす場合は各振動子によって発信される超音波の発信点が平面上ではなくなるので、発信点が平面からずれた分だけ各超音波ビームをターゲットに集束させるための各振動子に対する所要遅延時間や所要周波数の設定に誤差が生じ、各超音波ビームがターゲットに集束しない問題がある。本発明は、上記問題点に鑑み、被検体の探傷面が複雑な曲面をなす場合でも超音波ビームを被検体中のターゲットに集束させることが可能なフェーズドアレイ式超音波探傷装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、複数個の振動子を列状に並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷プローブを用いるフェーズドアレイ式超音波探傷装置において、
前記夫々の振動子を前記プローブに弾性体を介して前記夫々の振動子が曲面をなす探傷面に接触できるように1軸方向に移動可能に支持するとともに、
前記夫々の振動子の基準位置からの移動量を検出して該移動量に応じた出力信号を発信する検出器を備えたことを特徴とする。
【0010】
かかる発明は、被検体の探傷面がx方向に対してz座標が変るが、y方向に対してはz座標が一定な曲面である場合に適用できるもので、プローブ内でx方向に1列に並べられた各振動子が夫々弾性体によってz方向に移動可能に支持されているので、前記各振動子は探傷面に追随してz方向に移動し、各振動子のz方向基準位置からのz方向移動量は前記プローブ内の検出手段によって検出して前記移動量に応じた信号に変換して出力される。
【0011】
請求項2記載の発明は、複数個の振動子を行列状に並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷プローブを用いるフェーズドアレイ式超音波探傷装置において、
前記各振動子を前記プローブに弾性体を介して前記各振動子が曲面をなす探傷面に接触できるように1軸方向に移動可能に支持するとともに、
前記各振動子の基準位置からの移動量を検出して該移動量に応じた出力信号を発信する検出器を備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる発明は、被検体の探傷面が、たとえば円筒面のように、探傷面上のz座標がx方向に対しては変らずy方向に対して変る曲面や、或は球面のように、探傷面上のz座標がx方向とy方向に対して変化する曲面である場合に適用できるもので、振動子が探傷プローブ内にマトリックス状に、即ち行と列をなして配置され、夫々の振動子は弾性体を介してz方向に移動可能に支持されているので、前記各振動子は探傷面に追随してz方向に移動し、各振動子のz方向基準位置からのz方向移動量は前記プローブ内の検出手段によって検出して前記移動量に応じた信号に変換して出力される。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記各振動子が曲面をなす探傷面に接して前記各振動子の基準位置からの移動量が異なる場合でも、前記各振動子から被検体内のターゲットまでの距離を計算し、前記各振動子によって発せられる超音波ビームを同時に前記ターゲットに到達させるための前記各振動子に対する所要遅延時間を求める演算回路を備えたことを特徴とする。
【0014】
かかる発明によれば、前記夫々の振動子のz方向基準位置からのz方向移動量と被検体内のターゲットの位置を入力して前記各振動子から被検体中のターゲットまでの距離が計算され、前記各振動子により発信された超音波ビームが同時に前記ターゲットに到着するように前記距離に応じた発信時期、即ち遅延時間が演算される演算回路を有するので、前記夫々の振動子による夫々の超音波ビームの発信時期を前記遅延時間だけずらして発信することにより、該夫々の超音波ビームを同時に前記ターゲットに到達させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、前記各振動子が曲面をなす探傷面に接して前記各振動子の基準位置からの移動量が異なる場合でも、前記各振動子から被検体中のターゲットに至る超音波ビームの所要屈折角を計算して前記各振動子によって発せられる超音波ビームを被検体のターゲットに集束させるための前記各振動子駆動周波数を計算するとともに、前記各振動子から前記ターゲットまでの距離を計算して前記各振動子によって発せられる超音波ビームを同時に前記ターゲットに到達させるための前記各振動子に対する所要遅延時間を計算する演算回路を備えたことを特徴とする。
【0016】
かかる発明によれば、前記夫々の振動子のz方向基準位置からのz方向移動量と被検体中のターゲットの位置座標を入力し、前記各振動子により発信される超音波ビームが被検体中のターゲットに至る経路の傾斜角を計算して前記各振動子により発信される超音波ビームが前記ターゲットに集束するための前記各振動子駆動周波数が計算され、前記各振動子から前記ターゲットまでの距離を計算して前記各振動子から発信される超音波ビームが同時に前記ターゲットに到達するための前記各振動子による超音波発信時期、即ち遅延時間が計算される演算回路を有するので、前記ターゲットの位置に応じて前記演算回路で求められた前記夫々の振動子に対する周波数及び遅延時間で該夫々の振動子を駆動することにより、超音波ビームをターゲットに集束させ、同時に到達させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、探傷面形状、屈折、反射、モード変換等の伝播特性、及び音源位置を入力してコンピュータ上でシュミレーションを行ない、前記音源からの音波の各振動子への到達時間を計算して前記各振動子に対する所要遅延時間を求め、該遅延時間で探傷プローブの各振動子を駆動することを特徴とする。
通常のレイトレースシュミレーションは、振動子からの音波の伝播をレイトレース線として解析するが、本請求項の発明は、逆に音源を被検体中の任意の位置に置いて、該音源から放射された音波がプローブの各振動子に到着するまでの路程と到達時間を解析して各振動子に必要な遅延時間を計算し、該計算遅延時間で各振動子を駆動するものであり、各振動子に対する遅延時間の精度が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される寸法、材質、形状、その相対位置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例にすぎない。
【0019】
図1は、本発明の第1実施例に係わるフェーズドアレイ式超音波探傷装置の探傷プローブ(探触子)の構成を示す図で(A)は縦断面図,(B)は(A)におけるX矢視図であり、図2はプローブが探傷面上に置かれた状態を示す図で、(A)は探傷面が平面の場合を、(B)は探傷面が紙面に平行方向に対してのみ変化する曲面上に置かれた状態を示す。
【0020】
図1において、探傷プローブ10の枠体1内に複数個の振動子2が1列に配置され、該振動子は夫々弾性体3によって下方に押されて上下方向に移動できるように支持されている。該弾性体は例えばコイルスプリング、或はその他の形状のばね、或は前記各振動子の必要な移動量を過大な抵抗なく確保できるゴム等であってもよい。前記各弾性体3の上側に配置された振動子移動量検出器4は前記各振動子2の基準位置からの移動量を検出し、該移動量に応じた信号を発信する。前記各振動子2は前記弾性体3を介して前記枠体1に支持されているので、図2(B)に示すように、探傷面5が平面ではない場合にも、前記各振動子は、前記弾性体の弾発力に押されて、その下端側が探傷面に常に当接する。前記各振動子の移動量はエンコーダ或は超音波等により測定される。なお、6は超音波を効率良く被検体中へ伝播させるために探傷面に塗布されるグリセリン等の接触媒質である。
【0021】
図3は、本発明の第2実施例に係わるフェーズドアレイ式超音波探傷装置のプローブ(探触子)を示す図で、探傷プローブ10aの枠体1a内には複数個の振動子2がマトリックス状、即ち行列状に配置され、各振動子は図1に示されたものと同様に夫々弾性体を介してz方向に移動可能に支持されている。これら振動子の基準位置からのz方向移動量は前記プローブに装着された振動子移動量検出器によって検出され、移動量に応じた信号に変換されて出力される。各振動子2は前述したように弾性体を介して前記プローブ10aの枠体1aに支持されているので、前記各振動子2の下端部は、探傷面5が三次元曲面の場合でも該探傷面5に常に当接する。
【0022】
図4は、本発明の第3実施例に係わるフェーズドアレイ式超音波探傷装置の構成を概略的に示す図で、2は複数個の振動子、4は前記各振動子2の基準位置からの移動量を検出し、該移動量に応じた信号を発信する振動子移動量検出器である。20は探傷面が平面である場合の前記各振動子から被検体中のターゲットまでの超音波ビームの路程距離を計算して、前記各振動子により発信される超音波ビームを同時に前記ターゲットに到達させるための前記各振動子に対する発信遅延時間を算定する平面探傷時遅延時間設定回路である。30は遅延時間演算回路で、探傷面が平面でない場合に、前記振動子移動量検出器4から入力される前記各振動子2の移動量から前記平面探傷面の場合について求められた遅延時間に対して加減すべき時間を算定して前記平面探傷面について求められた遅延時間に加減し、該加減された遅延時間を振動子駆動回路11に送って前記核振動子2を駆動する。
【0023】
図5に前記各振動子から被検体中のターゲットまでの超音波ビームの路程距離計算方法の概略を示す。図5において、基準位置を座標の原点にとり、ターゲットPの座標を(XT、)、各振動子の座標を(X、Y)、各振動子間距離をS、各振動子の基準位置からの移動量即ちY座標をL、基準位置からの路程距離をW、各路程距離をW、被検体中の音速をSv、各振動子の基準振動子に対する遅延時間をΔTとすると、
=√(X+Y2
=√((X+i*S)2 +(Y+L2
であり、探傷面が平面の場合の各振動子の遅延時間をΔPTとすると、平面の場合L=0であるから、
ΔPT=(√((X+i*S)2 +(Y+L2))/Sv
となる。探傷面が曲面の場合と平面の場合の各振動子の遅延時間の差をDとすると、
=(√((X+i*S)2 +(Y+L2)−√((X+i*S)2 +(Y+L2))/Sv
となる。基準位置はどの振動子にとってもよく、例えば図5において振動子E3を基準にとると、E1、E2、E3、E4、E5に対してそれぞれi=−2、i=−1、i=0、i=1、i=2となる。
【0024】
図6は上記の関係を図に表したものであり、(A)は探傷面が平面の場合の各振動子に対する遅延時間ΔPTの一例を示し、
(B)は前記平面に対する遅延時間ΔPTに、探傷面が曲面で各振動子がLだけそれぞれ移動した場合の前記Dを加えて曲面の場合の各振動子に対する遅延時間が得られることを示している。以上は二次元の場合について説明したが、振動子をマトリックス状に配置して探傷面のz座標がx、y座標に対して変化する曲面の場合についても同様にして各振動子に対する遅延時間を求めることができる。
【0025】
図7は、本発明を前記特開平10−318990のアレイ式電磁超音波探傷装置に適用した場合の効果を説明する図で、(A)は探傷面が平面で各振動子により発信される超音波ビームが被検体5中のターゲットPに集束する場合を、(B)は探傷面が平面ではなく超音波ビームがターゲットPに集束しない場合を、そして、(C)は探傷面が平面でない場合でも超音波ビームがターゲットに集束する場合を示している。
【0026】
図7(A)は、前記従来の探傷装置による場合で、ターゲットPの位置とプローブ10の位置が決まれば、各振動子により発信される超音波ビームが前記ターゲットに至る屈折角と距離が計算され、前記屈折角から各超音波ビームが前記ターゲットに集束するための各振動子駆動周波数が算出され、前記距離から各振動子から発信される超音波ビームが同時に前記ターゲットに到達するための各振動子に対する遅延時間が算出され、得られた周波数と遅延時間で各振動子を駆動することにより前記ターゲットに同時に集束する超音波ビームが得られる。本発明の装置を適用した場合も全く同様に作動する。
【0027】
図7(B)は、各振動子がz軸方向に移動可能なプローブを用いて探傷する場合でも、本発明による演算回路を有しない装置の場合は、各振動子の探傷曲面に倣った移動によって平面探傷時とは異なる各振動子位置からターゲットに至る超音波ビームの屈折角及び路程距離を算出することができないので、探傷面の平面部にある振動子2a、2bによる超音波ビームをターゲットPに集束させても、探傷面の曲面部にある振動子による超音波ビームは前記ターゲットに集束しないことを示す。
【0028】
図7(C)は、本発明による演算回路を有する装置で探傷する場合を示し、各振動子の探傷曲面に倣った移動によって平面探傷時とは異なる各振動子位置からターゲットに至る超音波ビームの屈折角及び路程距離を算出して、ターゲットPに同時に集束する各振動子に対する遅延時間と周波数算出して各振動子を駆動するので、各振動子による超音波ビームは同時にターゲットPに集束する。
【0029】
図8は本発明に係わる第4実施例の回路構成を示す図で,4個の探触子エレメント(振動子)がz方向に移動可能に支持されているアレイ式電磁超音波探触子を用いた場合を示す。基本的には、各電磁超音波探触子エレメント(振動子)の配置は図13に示すように、送受信間角度αで交わる直線上に送信側と受信側それぞれのエレメント(振動子)の中心線を合わせ、ターゲットとする位置に対し、被検体の上面から見てV字の対称に配置する。
【0030】
図8において、タイミングをとるためトリガ装置51からタイミング信号が発信回路52と受信装置60に出される。前記発信回路52は電磁超音波探触子(プローブ)55の各振動子(a〜d)に対する発信器を有し、夫々の振動子(a〜d)に対する周波数(fa〜fd)の送信パルス信号を送信ディレイ回路53に送る。一方周波数及び遅延時間演算回路64は、平面探傷時条件設定回路61から平面探傷時の夫々のエレメントに対する周波数と遅延時間の入力を受けるとともに、振動子移動量検出回路63から各振動子(a〜d)の移動量の入力を受けて、夫々の振動子(a〜d)に対する周波数と遅延時間を計算し、発信回路52と送信ディレイ回路53及び受信ディレイ回路58に出力する。送信ディレイ回路53からはターゲットに応じて前記演算回路64で設定された周波数と遅延時間を有するパルス信号がパルサ・レシーバ回路54に出力され、該パルサ・レシーバ回路54は送信ディレイ回路53から受けたパルス信号を駆動信号に変えて電磁超音波探触子55の各振動子(a〜d)を駆動する。
【0031】
各振動子(a〜d)は前記駆動信号を受けて被検体62に超音波ビームを発生させる。各振動子(a〜d)により発生させた超音波ビームは、前記演算回路64によりターゲットとする位置に同時に集束するように設定された周波数と遅延時間を有する超音波ビームであるから、ターゲットとする位置に傷等の反射源が存在すると、図13に示されるように、反射源と対称に配置された受信側の振動子(a'〜d')で反射信号を夫々受信する。この反射源の有無で傷の有無等が判別される。受信側の各振動子(a'〜d')で受信された反射波は、電気信号に変換されて前記パルサ・レシーバ回路54に出力され、増幅やフィルタ処理が行なわれて受信ディレイ回路58に出力される。該受信ディレイ回路58では前記受信信号を送信ディレイ回路53で遅らせた分だけ夫々進めて加算回路59に出力し、該加算回路59でこれらを加算して一つの受信信号として受信装置60に出力する。受信装置60では、トリガ装置51からのタイミング信号を基準にして、加算回路59からの信号を表示する。
【0032】
この受信信号の波形から反射信号の有無を調べることにより、傷の有無等の検査、評価を行なう。図8に示すように、周波数及び遅延時間演算回路64に、探傷面が曲面の場合でも探傷プローブにz方向に移動可能に支持された各振動子が探傷面の曲面に倣って移動した移動量を入力して、各振動子による超音波ビームが同時にターゲットとされる位置に集束するように制御するので、超音波ビームのパワーを集中でき、小さな傷からの反射信号でも高い精度で検出できる。ターゲット位置は各振動子の列中心線を含む探傷面に直角な平面上に、或は図13のように送信側と受信側の振動子がV字をなす直線上にそれぞれ配置されている場合はV字の中心線を含む探傷面に直角な平面上に任意に選定することができる。また、主な超音波の伝播方向が集まるので、ターゲットとする位置以外にある反射源からの反射信号を誤って検出することが少なく、信頼性の高い検出が可能となる。
【0033】
図9は、本発明に係わる第5実施例の逆レイトレースシュミレーションの状況を示す図で、被検体の平面でない探傷面5上に置かれた探傷プローブ10の各振動子2は前記探傷面5に倣って基準位置から夫々異なった量の移動をしている。前記探傷面5の形状と屈折、反射、モード変化等の伝播特性を与え、被検体中の音源Pの位置を変えて音波に相当する波動を発信させ、前記各振動子2に到達する路程と時間を解析し、その結果から各振動子2の所要遅延時間を逆算し、この逆算した遅延時間で各振動子2を駆動する。
【0034】
各振動子により発信される超音波ビームの路程は前述したような幾何学的関係のみで正確に算定することはできないので、探傷面の形状が既知の場合は本シュミレーション回路を装着することにより、探傷面が複雑な曲面の場合でも、超音波ビームを正確にターゲットに同時に集束させることができる。なお、本シュミレーション回路で前記伝播特性を種種変えてシュミレーションを行なうことにより、適切な伝播特性を見出すことができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、探傷面が曲面の場合でも、フェーズドアレイ式超音波探傷プローブにより発信される超音波ビームをターゲットに同時に集束させることができるので、複雑な曲面の探傷面の場合においても、被検体中の傷等の反射源からの反射波のレベルを高くでき、ターゲットとする位置以外の反射源からの信号を受けにくくなって誤検出の可能性が低くなり、傷の検出性が向上し、信頼性の高い探傷検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係わるフェーズドアレイ式超音波探傷装置の探傷プローブの構成図である。
【図2】 前記探傷プローブが探傷面上に置かれた状態を示す図である。
【図3】 本発明の第2実施例に係わるフェーズドアレイ式超音波探傷装置の探傷プローブが探傷面上に置かれた状態を示す図である。
【図4】 本発明の第3実施例に係わるフェーズドアレイ式超音波探傷装置の構成を示す概略図である。
【図5】 超音波ビームの路程距離と遅延時間の計算方法を説明するための図である。
【図6】 曲面探傷面の場合の遅延時間を求める方法を説明する図である。
【図7】 平面探傷面と曲面探傷面の場合の超音波ビームの集束状況を示す図である。
【図8】 本発明の第4実施例に係わるフェーズドアレイ式超音波探傷装置の回路構成図である。
【図9】 本発明の第5実施例に係わる逆レイトレースシュミレーションの状況を示す図である。
【図10】 電磁超音波探触子の原理を示す図である。
【図11】 斜角電磁超音波探触子の原理を示す図である。
【図12】 斜角電磁超音波探触子の原理を示す図である。
【図13】 アレイ式電磁超音波探触子の各エレメントの配置の一例を示す図である。
【図14】 従来のアレイ式電磁超音波探傷装置の回路構成図である。
【符号の説明】
1 枠体
2 振動子
3 弾性体
4 振動子移動量検出器
5 探傷面
6 接触媒質
10 探傷プローブ
11 振動子駆動回路
20 平面探傷時遅延時間設定回路
30 遅延時間演算回路
51 トリガ装置
52 発信回路
53 送信ディレイ回路
54 パルサ・レシーバ回路
55 電磁超音波探触子
56 磁石
57 コイル
58 受信ディレイ回路
59 加算回路
60 受信装置
61 平面探傷時条件設定回路
62 被検体
63 振動子移動量検出回路
64 周波数及び遅延時間演算回路

Claims (5)

  1. 複数個の振動子を列状に並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷プローブを用いるフェーズドアレイ式超音波探傷装置において、
    前記各振動子を前記プローブに弾性体を介して前記各振動子が曲面をなす探傷面に接触できるように1軸方向に移動可能に支持するとともに、
    前記各振動子の基準位置からの移動量を検出して該移動量に応じた出力信号を発信する検出器を備えたことを特徴とするフェーズドアレイ式超音波探傷装置。
  2. 複数個の振動子を行列状に並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷プローブを用いるフェーズドアレイ式超音波探傷装置において、
    前記各振動子を前記プローブに弾性体を介して前記各振動子が曲面をなす探傷面に接触できるように1軸方向に移動可能に支持するとともに、
    前記各振動子の基準位置からの移動量を検出して該移動量に応じた出力信号を発信する検出器を備えたことを特徴とするフェーズドアレイ式超音波探傷装置。
  3. 前記各振動子から被検体内のターゲットまでの距離を計算し、前記各振動子によって発せられる超音波ビームを同時に前記ターゲットに到達させるための前記各振動子に対する所要遅延時間を求める演算回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載のフェーズドアレイ式超音波探傷装置。
  4. 前記各振動子から被検体中のターゲットに至る超音波ビームの所要屈折角を計算して前記各振動子によって発せられる超音波ビームを被検体のターゲットに集束させるための前記各振動子駆動周波数を計算するとともに、前記各振動子から前記ターゲットまでの距離を計算して前記各振動子によって発せられる超音波ビームを同時に前記ターゲットに到達させるための前記各振動子に対する所要遅延時間を計算する演算回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至2項のいずれか1項に記載のフェーズドアレイ式超音波探傷装置。
  5. 探傷面形状、屈折、反射、モード変換等の伝播特性、及び音源位置を入力してコンピュータ上でシュミレーションを行ない、前記音源からの音波の各振動子への到達時間を計算して前記各振動子に対する所要遅延時間を求め、該遅延時間で探傷プローブの各振動子を駆動することを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載のフェーズドアレイ式超音波探傷装置。
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