JP4186463B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムをドープ脱ドープ可能な負極及び正極と、ゲル状電解質等の非水電解質とからなる非水電解質二次電池に関し、詳しくはサイクル特性に優れた二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラ一体型VTR、携帯電話、ラップトップコンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そしてこれらの電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発が活発に進められている。中でも、リチウムイオン二次電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、期待が大きい。
【0003】
ところで、リチウムイオン二次電池には、非水電解液が用いられており、この液漏れを防止するため、外装として金属製容器が用いられている。しかしながら、外装にこのような金属製容器を用いた場合に、例えば薄型大面積のシート型電池、薄型小面積のカード型電池、或いは柔軟でより自由度の高い形状を有する電池を作製することが大変困難となっていた。
【0004】
この問題の有効な解決手段として、無機・有機の完全固体電解質や、高分子ゲルからなる半固体電解質を用いて電池を作製することが検討されている。具体的には、高分子と電解質とからなる高分子固体電解質や、マトリックス高分子に非水電解液を可塑剤として加えてなるゲル状の電解質を用いた、いわゆる固体電解質電池が提案されている。
【0005】
固体電解質電池は、電解質が固体又はゲル状であるために、液漏れの心配がなく電解質が固定化され、電解質の厚みを固定することができる。また、電解質と電極との接着性もよく、電解質と電極との接触を保持することができる。このため、固体電解質電池は、金属製容器により電解液を閉じ込めたり、電池素子に圧力をかける必要がないことから、フィルム状の外装を使用することができ、電池をより薄くすることができる。
【0006】
特に、固体電解質電池は、熱融着が可能な高分子フィルムと金属箔とからなる防湿性ラミネートフィルムを用いることで、ホットシール等により容易に密閉構造が実現できる。また、防湿性ラミネートフィルムは、フィルム自体の強度が強く、気密性に優れており、金属容器に比べて軽量で薄く、安価である等の利点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、高性能CPUを搭載したノートパソコンは、CPUの発熱による温度上昇が電池に悪影響を及ぼしている。このためにCPU近辺に熱を逃すファンが設置されているが、十分とはいえない。また、夏場なると車のダッシュボードの温度は100℃近くまで上昇することがある。よって、車のダッシュボード上に携帯電話、ノートパソコン、PDA(携帯情報端末機)が長期間放置されると電池に悪影響を及ぼす。そこで、最近は高温で保存された電池の更なるサイクル特性向上が求められている。
【0008】
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、保存性、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムを電気化学的にドープ脱ドープ可能な正極と、リチウムを電気化学的にドープ脱ドープ可能な負極と、上記正極と上記負極との間に介在され、電解質が非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなるゲル状電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、非水溶媒には、不飽和カーボネート、γ−バレロラクトンが添加され、γ−バレロラクトンの添加量は、非水溶媒の0.5重量%以上、10重量%以下の範囲である。
【0010】
上述したような本発明に係る非水電解質二次電池では、電解質が不飽和カーボネート、γ−バレロラクトンを含有する非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなるゲル状電解質であるので、高温保存後のサイクル特性が優れたものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質二次電池の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
〈第1の実施の形態〉
本実施の形態に係るゲル状電解質電池1の一構成例を図1及び図2に示す。このゲル状電解質電池1は、帯状の正極2と、正極と対向して配された帯状の負極3と、正極2及び負極3上に形成されたゲル状電解質層4と、ゲル状電解質層4が形成された正極2とゲル状電解質層4が形成された負極3との間に配されたセパレータ5とを備える。
【0014】
そして、このゲル状電解質電池1は、ゲル状電解質層4が形成された正極2とゲル状電解質層4が形成された負極3とが、セパレータ5を介して積層されるとともに長手方向に巻回された、電極巻回体6が、絶縁材料からなる外装フィルム7により覆われて密閉されている。そして、正極2には正極リード8が、負極3には負極リード9がそれぞれ接続されており、これらの正極リード8と負極リード9とは、外装フィルム7の周縁部である封口部に挟み込まれている。また、正極リード8及び負極リード9が外装フィルム7と接する部分には、樹脂フィルム10が配されている。
【0015】
正極2は、図3に示すように、正極活物質を含有する正極活物質層2aが、正極集電体2bの両面上に形成されている。この正極集電体2bとしては、例えばアルミニウム箔等の金属箔が用いられる。
【0016】
正極活物質は特に限定されないが、十分な量のLiを含んでいることが好ましく、例えば一般式LiMxOy(ただしMはCo,Ni,Mn,Fe,Al,V,Tiの少なくとも1種を表す。)で表されるリチウムと遷移金属からなる複合金属酸化物やLiを含んだ層間化合物等が好適である。
【0017】
また、負極3は、図4に示すように、負極活物質を含有する負極活物質層3aが、負極集電体3bの両面上に形成されている。この負極集電体3bとしては、例えば銅箔等の金属箔が用いられる。
【0018】
負極活物質としては、対リチウム金属2.0V以下の電位で電気化学的にリチウムをドープ脱ドープする材料であればいずれも使用することができる。例示するならば難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、天然黒鉛、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭、カーボンブラック類等の炭素質材料を使用することができる。またリチウムと合金を形成可能な金属およびその合金も利用可能である。酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化スズ等の比較的電位が卑な電位でリチウムをドープ脱ドープする酸化物やその他窒化物なども同様に使用可能である。
【0019】
ゲル状電解質層4は、電解質が非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなる。
【0020】
電解質塩は、この種の電池に用いられるものであればいずれも使用可能である。例示するならば、LiClO4、LiAsF6,LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr、LiN(CF3SO2)2等が挙げられる。
【0021】
非水溶媒はこの種の電池に用いられるものであればいずれも使用可能である。例示するならば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等である。
【0022】
マトリックスポリマとしては上記非水電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子が利用できる。たとえばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)などのフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、またポリ(アクリロニトリル)などを使用できる。特に酸化還元安定性から、フッ素系高分子を用いることが望ましい。電解質塩を含有させることによりイオン導電性を賦与する。
【0023】
そして、本実施の形態に係るゲル状電解質電池1では、ゲル状電解質中にγ−バレロラクトンが添加されている。ゲル状電解質中にγ−バレロラクトンを添加することで、ゲル状電解質電池1の高温保存後のサイクル特性を向上させることができる。
【0024】
上記γ−バレロラクトンの添加量は、ゲル状電解質の0.5重量%以上、10重量%以下の範囲であることが好ましい。γ−バレロラクトンの添加量が0.5重量%よりも少ない場合には、高温保存後のサイクル特性を向上させる効果が十分に得られない。また、γ−バレロラクトンの添加量が10重量%よりも多い場合には初期容量が低下してしまう。従って、γ−バレロラクトンの添加量をゲル状電解質の0.5重量%以上、10重量%以下の範囲とすることで、初期容量を低下させることなく、高温保存後のサイクル特性を向上させることができる。
【0025】
さらに、このゲル状電解質電池1において、ゲル状電解質中にγ−バレロラクトンに併せてビニレンカーボネートが添加されていることが好ましい。ゲル状電解質中にビニレンカーボネートを添加することで、ゲル状電解質電池1の高温保存後のサイクル特性をより向上させることができる。
【0026】
上記ビニレンカーボネートの添加量は、ゲル状電解質の0.1重量%以上、4重量%以下の範囲が好ましい。ビニレンカーボネートの添加量が4重量%よりも多い場合には、高温保存後のサイクル特性が却って劣化してしまう。従って、ビニレンカーボネートの添加量を、ゲル状電解質の0.1重量%以上、4重量%以下の範囲とすることで、サイクル特性、特に高温保存後のサイクル特性を向上させることができる。
【0027】
上述したような構成のゲル状電解質電池では、ゲル状電解質中にγ−バレロラクトン、或いはさらにビニレンカーボネートが添加されているので、高温保存後のサイクル特性が特に優れたものとなる。
【0028】
本発明の効果をより発揮させるためには、正極側のゲル状電解質と負極側のゲル状電解質とで添加する化合物を変えることも有効である。具体的には、正極側のゲル状電解質にγ−ブチロラクトンを添加し、負極側のゲル状電解質にビニレンカーボネートとγ−バレロラクトンとを添加する。また、正極側のゲル状電解質にγ−バレロラクトンを添加し、負極側のゲル状電解質にビニレンカーボネートを添加する。
【0029】
このようなゲル状電解質電池1の作製に関し、負極、正極の電極の作製方法は特に問わない。材料に公知の結着剤等を添加し溶剤を加えてなる合剤を集電体上に塗布する方法、材料に公知の結着剤等を添加し加熱して塗布する方法、材料を単独であるいは導電性材料さらには結着材と混合して成型等の処理を施して成型体電極を作製する方法がとられるが、それらに限定されるものではない。より具体的には、結着材、有機溶剤等と混合されてスラリー状の合剤を調製し、この合剤を集電体上に塗布、乾燥して作製することができる。あるいは、結着材の有無にかかわらず、活物質に熱を加えたまま加圧成型することにより強度を有した電極を作製することも可能である。
【0030】
なお、上述した実施の形態では、非水電解質としてゲル状電解質を用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電解質塩を含有させた固体電解質、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液のいずれも用いることができる。また、固体電解質やゲル状電解質では、正極・負極それぞれに成分が異なる電解質を使用することができるが、1種類の電解質を使用する場合は、非水溶媒に電解質を調製した非水電解液も使用可能である。
【0031】
固体電解質としては、リチウムイオン導電性を有する材料であれば無機固体電解質、高分子固体電解質いずれも用いることができる。無機固体電解質として、窒化リチウム、よう化リチウムが挙げられる。高分子固体電解質は電解質塩とそれを溶解する高分子化合物からなり、その高分子化合物はポリ(エチレンオキサイド)や同架橋体などのエーテル系高分子、ポリ(メタクリレート)エステル系、アクリレート系などを単独あるいは分子中に共重合、または混合して用いることができる。
【0032】
また、上述した実施の形態では、帯状の正極と帯状の負極とをセパレータを介して積層し、さらに長手方向に巻回して電極巻回体とした場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、矩形状の正極と矩形状の負極とを積層して電極積層体とした場合や、電極積層体を交互に折り畳んだ場合にも適用可能である。
【0033】
上述したような本実施の形態に係るゲル状電解質電池1は、円筒型、角型、コイン型、ボタン型、ラミネートシール型等、その形状については特に限定されることはなく、また、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。また、本発明は、一次電池についても二次電池についても適用可能である。
【0034】
〈第2の実施の形態〉
本実施の形態に係るゲル状電解質電池は、第1の実施の形態で説明したゲル状電解質電池1と同様に、帯状の正極と、正極と対向して配された帯状の負極と、正極及び負極上に形成されたゲル状電解質層と、ゲル状電解質層が形成された正極とゲル状電解質層が形成された負極との間に配されたセパレータとを備えてなる電極巻回体が、絶縁材料からなる外装フィルムにより覆われて密閉されている。このゲル状電解質電池の正極、負極を始めとした電池の構成は、第1の実施の形態で上述したゲル状電解質電池1の正極2、負極3等とほぼ同様の構成とされているので、ここではそれらの説明は省略する。
【0035】
本実施の形態に係るゲル状電解質電池において、ゲル状電解質層は、上述したゲル状電解質層4と同様に、電解質が非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなる。そして、このゲル状電解質電池においては、ゲル状電解質層に一般構造式Aで表されるフッ化アルキルラクトンが添加されている。ゲル状電解質中にフッ化アルキルラクトンを添加することで、ゲル状電解質電池の高温保存後のサイクル特性を向上させることができる。
【0036】
【化2】
【0037】
上記フッ化アルキルラクトンの添加量は、ゲル状電解質の0.5重量%以上、50重量%以下の範囲であることが好ましい。フッ化アルキルラクトンの添加量が0.5重量%よりも少ない場合には、高温保存後のサイクル特性を向上させる効果が十分に得られない。また、フッ化アルキルラクトンの添加量が50重量%よりも多い場合には、高温保存後のサイクル特性が低下してしまう。従って、フッ化アルキルラクトンの添加量をゲル状電解質の0.5重量%以上、50重量%以下の範囲とすることで、初期容量を低下させることなく、高温保存後のサイクル特性を向上させることができる。
【0038】
このように、本実施の形態に係るゲル状電解質電池では、ゲル状電解質中にフッ化アルキルラクトンが添加されているので、高温保存後のサイクル特性が特に優れたものとなる。
【0039】
本実施の形態に係るゲル状電解質電池も、上述したゲル状電解質電池1と同様に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0040】
〈第3の実施の形態〉
本実施の形態に係るゲル状電解質電池は、第1の実施の形態で説明したゲル状電解質電池1と同様に、帯状の正極と、正極と対向して配された帯状の負極と、正極及び負極上に形成されたゲル状電解質層と、ゲル状電解質層が形成された正極とゲル状電解質層が形成された負極との間に配されたセパレータとを備えてなる電極巻回体が、絶縁材料からなる外装フィルムにより覆われて密閉されている。このゲル状電解質電池の正極、負極を始めとした電池の構成は、第1の実施の形態で上述したゲル状電解質電池1の正極2、負極3等とほぼ同様の構成とされているので、ここではそれらの説明は省略する。
【0041】
本実施の形態に係るゲル状電解質電池において、ゲル状電解質層は、上述したゲル状電解質層4と同様に、電解質が非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなる。そして、このゲル状電解質電池では、ゲル状電解質層33にβ−プロピルラクトンが添加されている。ゲル状電解質中にβ−プロピルラクトンを添加することで、ゲル状電解質電池30の低温サイクル特性を向上させることができる。
【0042】
上記β−プロピルラクトンの添加量は、ゲル状電解質の0.05重量%以上、5重量%以下の範囲であることが好ましい。β−プロピルラクトンの添加量が0.05重量%よりも少ない場合には、初回充放電効率が低下してしまう。また、β−プロピルラクトンの添加量が5重量%よりも多い場合には低温サイクル特性が低下してしまう。従って、β−プロピルラクトンの添加量をゲル状電解質の0.05重量%以上、5重量%以下の範囲とすることで、初回充放電効率を低下させることなく、低温サイクル特性を向上させることができる。
【0043】
このように、本実施の形態に係るゲル状電解質電池では、ゲル状電解質中にッβ−プロピルラクトンが添加されているので、低温サイクル特性に優れたものとなる。
【0044】
本実施の形態に係るゲル状電解質電池も、上述したゲル状電解質電池1と同様に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0045】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認すべく行った実験例について説明する。なお、以下の例では具体的な化合物名や数値等を挙げて説明しているが、本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0046】
・実験1
本実験では、ゲル状電解質にγ−バレロラクトン(及びビニレンカーボネート)を添加した場合の効果について調べた。
【0047】
〈サンプル1〉
つぎのようにして負極を作製した。まず、フィラーとなる石炭系コークスを100重量部に、バインダーとなるコールタール系ピッチを30重量部加え、約100℃で混合した後、プレスにて圧縮成型し、炭素成型体の前駆体を得た。この前駆体を1000℃以下で熱処理して得た炭素材料成型体に、さらに200℃以下で溶融させたバインダーピッチを含浸し、1000℃以下で熱処理するという、ピッチ含浸/焼成工程を数回繰り返した。その後、この炭素成型体を不活性雰囲気で2800℃にて熱処理し、黒鉛化成型体を得た後、粉砕分級し試料粉末を作製した。
【0048】
なお、このとき得られた黒鉛材料についてX線回折測定を行った結果、(002)面の面間隔は0.337nmであり、(002)面のC軸結晶子厚みは50.0nmであり、ピクノメータ法による真密度は2.23であり、BET法による比表面積が1.6m2/gであり、レーザ回折法による粒度分布は平均粒径が33.0μm、累積10%粒径が13.3μm、累積50%粒径が30.6μm、累積90%粒径が55.7μmであり、黒鉛粒子の破壊強度の平均値が7.1kgf/mm2で、嵩密度が0.98g/cm3であった。
【0049】
そして、上記混合試料粉末を90重量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を10重量部とを混合して負極合剤を調製し、溶剤となるN−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。
【0050】
負極集電体として厚さ10μmの帯状の銅箔を用い、負極合剤スラリーをこの集電体の両面に塗布、乾燥させた後、一定圧力で圧縮成型して800mm×120mmの大きさに切り出して帯状負極を作製した。
【0051】
負極リードは、直径50μmの銅線又はニッケル線を75μm間隔で編んだ金属網を裁断して作製した。この負極リード線を負極集電体未塗布部にスポット溶接することにより、外部接続用の端子とした。
【0052】
また、つぎのようにして正極を作製した。まず、正極活物質を作製した。炭酸リチウムを0.5モルと、炭酸コバルトを1モルとを混合し、この混合物を、空気中、温度880℃で5時間焼成した。得られた材料についてX線回折測定を行った結果、JCPDSファイルに登録されたLiCoO2のピークと良く一致していた。
【0053】
このLiCoO2を粉砕し、平均粒径が8μmの粉末とした。そして、このLiCoO2粉末を95重量部と、炭酸リチウム粉末を5重量部とを混合し、この混合物を91重量部と、導電剤として鱗片状黒鉛を6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを3重量部とを混合して正極合剤を調製し、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。
【0054】
正極集電体として厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔を用い、上記正極合剤スラリーをこの集電体の両面に均一に塗布、乾燥させた後、一定圧力で圧縮成型して640mm×118mmの大きさに切り出して帯状正極を作製した。
【0055】
正極リードは、直径50μmのアルミニウム線を75μm間隔で編んだ金属網を裁断して作製した。この正極リード線を負極集電体未塗布部にスポット溶接することにより、外部接続用の端子とした。
【0056】
電解質には、PVdF系ゲル状電解質を用いた。先ず、フッ化ビニリデンに、ヘキサフルオロプロピレンが7重量%の割合で共重合された、分子量が重量平均分子量で70万であるポリマ(A)と31万であるポリマ(B)とを、A:B=9:1の重量比で混合したマトリクスポリマと、非水電解液とポリマの溶剤であるジメチルカーボネート(DMC)とをそれぞれ重量比1:4:8の割合で混合したものを、70℃にて攪拌し溶解させ、ゾル状の電解質とした。
【0057】
電解液には、非水溶媒として、EC(エチレンカーボネート):PC(プロピレンカーボネート):VC(ビニレンカーボネート):GVL(γ−バレロラクトン)とを重量比で57.6:38.4:1:3となるように混合し、電解質塩として六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)を用い、0.8mol/kgとなるように調製した。
【0058】
次に、このゾル状の電解質を正極及び負極の面上に、バーコーターを用いて塗布し、70℃の恒温槽で溶剤を揮発させてゲル状電解質を形成させた。そして、この正極と負極とを積層し、平たく巻回して電池素子を作製し、これをラミネートフィルムに減圧封入することによりゲル状電解質電池を作製した。
【0059】
〈サンプル2〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で56.4:37.6:1:5で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0060】
〈サンプル3〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で53.4:35.6:1:10で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0061】
〈サンプル4〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で58.8:39.2:1:1で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0062】
〈サンプル5〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で59.1:39.4:1:0.5で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0063】
〈サンプル6〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で50.4:33.6:1:15で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0064】
〈サンプル7〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で59.3:39.5:1:0.2で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0065】
〈サンプル8〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で58.2:38.8:0:3で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0066】
〈サンプル9〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で59.4:39.6:1:0で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0067】
〈サンプル10〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で60:40:0:0で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0068】
(評価)
以上のようにして作製されたサンプル電池について、初回充放電効率、高温保存後のサイクル特性を評価した。
【0069】
初回充放電効率については、まず各電池に対して、23℃雰囲気中で、上限電圧4.2V、電流0.2C、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った。次に、23℃恒温槽中で、0.2Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った。初回充放電効率は、得られた初回放電容量と初回充電容量との比を次式により求めることで評価した。
【0070】
初回充放電効率(%)=(初回放電容量)/(初回充電容量)×100
この値が低すぎる場合には、投入された活物質の無駄が大きいことになる。
【0071】
高温保存後のサイクル特性については、各電池に対して、23℃雰囲気中で、上限電圧4.2V、電流0.2C、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った。次に、23℃恒温槽中で、0.5Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った後、上限電圧4.2V、電流0.5C、5時間の条件で定電流定電圧充電を行なった。その後、電池を60℃恒温槽中で1ヶ月保存した。
【0072】
そして各電池に対して、23℃恒温槽中で、1Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った後、上限電圧4.2V、電流1C、3時間の条件で定電流定電圧充電を行ない、それを多数繰り返した。このサイクル毎に得られた放電容量の経時変化を測定し、3サイクル目の放電容量と250サイクル目の放電容量の比率を次式により求めることで評価した。
【0073】
サイクル特性(%)=
(200サイクル目の放電容量)/(3サイクル目の放電容量)×100なお、1Cとは、電池の定格容量を1時間で放電させる電流値のことであり、0.2C,0.5Cとはそれぞれ電池の定格容量を5時間、2時間で放電させる電流値である。
【0074】
サンプル1〜サンプル10のゲル状電解質電池について、サイクル特性、初回充放電効率の評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1から明らかなように、ゲル状電解質にVCとGVLを用いていないサンプル9やゲル状電解質にVCを添加しGBLを用いていないサンプル8、GVLを用いてVCを添加していないサンプル10と比較して、ゲル状電解質にVCとGBLの両方を用いているサンプル1〜サンプル5は、初回充放電効率と高温保存後のサイクル特性が良好であることがわかる。
【0077】
GVLを添加してVCを添加していないサンプル8は高温保存後のサイクル特性は良好であるが、初回充放電効率が低下している。GVLは還元電位安定性が低いことがサンプル8の初回充放電効率を低下させているためと考えられる。また、高温保存後のサイクル特性が向上したのは、正極上にGVLが分解することで酸化皮膜が生成されて高温サイクル特性が向上したと考えられる。
【0078】
しかしながら、サンプル1〜サンプル5のようにGVLを用いてもVCを添加すると電池特性が向上するのは、初充電時にVCが負極上で皮膜を生成してGVLの負極上での安定性を向上させているためと考えられる。サンプル6ではGVLが多すぎることで、初回充放電効率が低下し、サンプル7では、GVLが少量であるために高温保存後のサイクル特性が改善されていない。つまり、GVLの添加量には最適比が存在し、表1からわかるように、0.5重量%以上10重量%以下が好ましいが、より好ましくは1重量%以上5重量%以下であることがわかる。
【0079】
つぎに示すサンプル11〜サンプル17では、VCの添加量について調べた。
【0080】
〈サンプル11〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で57:38:2:3で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0081】
〈サンプル12〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で56.4:37.6:3:3で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0082】
〈サンプル13〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で55.8:37.6:4:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0083】
〈サンプル14〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で57.9:38.6:0.5:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0084】
〈サンプル15〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で58.1:38.7:0.2:3で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0085】
〈サンプル16〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で54:36:7:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0086】
〈サンプル17〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で58.1:38.8:0.1:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0087】
サンプル11〜サンプル17のゲル状電解質電池について、同様にして行ったサイクル特性、初回充放電効率の評価結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
表2から明らかなように、ビニレンカーボネートの添加量が少ないサンプル17でも、同等のサイクル特性が得られる。また、ビニレンカーボネートの添加量が多いサンプル16では、高温保存後のサイクル特性が却って劣化してしまっている。一方、ビニレンカーボネートの添加量は、ゲル状電解質の0.1重量%以上、4重量%以下の範囲内のサンプル11〜サンプル15では良好なサイクル特性が得られている。このように、VCの添加量には最適比が存在し、0.1重量%以上、4重量%以下の範囲が好ましく、0.5重量%以上、3重量%以下の範囲がより好ましいことがわかる。
【0090】
つぎに示すサンプル18〜サンプル23では、ゲル状電解質に添加される化合物を正極側と負極側とで変えた場合の効果について調べた。
【0091】
〈サンプル18〉
正極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で57.6:38.4:1:3の割合で混合されてなる溶媒を用い、負極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で59.4:39.6:1:0の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0092】
〈サンプル19〉
正極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で58.2:38.8:0:3の割合で混合されてなる溶媒を用い、負極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で59.4:39.6:1:0の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0093】
〈サンプル20〉
正極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で58.2:38.8:0:3で混合されてなる溶媒を用い、負極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で57.6:38.4:1:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0094】
〈サンプル21〉
正極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で60:40:0:0で混合されてなる溶媒を用い、負極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で57.6:38.4:1:3で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0095】
〈サンプル22〉
正極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で60:40:0:0で混合されてなる溶媒を用い、負極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で58.2:38.8:0:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0096】
〈サンプル23〉
正極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で59.4:39.6:1:0で混合されてなる溶媒に、負極側のゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:VC:GVLが重量比で57.6:38.4:1:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル1と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0097】
サンプル18〜サンプル23のゲル状電解質電池について、同様にして行ったサイクル特性、初回充放電効率の評価結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
表3から明らかなように、正極側のゲル状電解質だけにGVLを用いているサンプル18,19は初期充放電効率と高温保存後のサイクル特性は良好であった。しかしながら、負極側のゲル状電解質だけにGVLを用いたサンプル21〜サンプル23では、高温保存後のサイクル特性は向上できていない。これは、正極上にGVLが分解することで酸化皮膜が生成されて高温保存後のサイクル特性していると仮定すると、負極側のゲル状電解質だけにGVLを添加しただけでは、高温保存後のサイクル特性は向上できないためと考えられる。また、負極側のゲル状電解質にVCが添加されていないサンプル22では初回充放電効率も低下してしまっている。逆に、正極側のゲル状電解質にGLVを添加してVCを添加していないサンプル19では、高温保存後のサイクル特性が特に良好である。これは、VCがGBLと異なり、正極上で酸化皮膜以外の酸化分解が起こりやすく、正極にVCを添加したゲル状電解質を用いると、若干、サイクル特性が劣化する原因と考えられる。
【0100】
・実験2
本実験では、ゲル状電解質にフッ化アルキルラクトンを添加した場合の効果について調べた。
【0101】
〈サンプル24〉
負極及び正極は、上述したサンプル1と同様にして作製した。
【0102】
電解質には、PVdF系ゲル状電解質を用いた。先ず、フッ化ビニリデンに、ヘキサフルオロプロピレンが7重量%の割合で共重合された、その分子量が重量平均分子量で70万である高分子(A)と31万である高分子(B)とを、A:B=9:1の重量比で混合したマトリックス高分子と、非水電解液とポリマーの溶剤であるジメチルカーボネート(DMC)とをそれぞれ重量比1:4:8の割合で混合したものを、70℃にて攪拌し溶解させ、ゾル状の電解質とした。
【0103】
電解液には、フッ化アルキルラクトンとして後掲する化合物1を用い、非水溶媒として、EC(エチレンカーボネート):PC(プロピレンカーボネート):化合物1=57:38:5(重量比)となるように混合し、電解質塩として六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)を用い、0.8mol/kgとなるように調製した。
【0104】
次に、このゾル状の電解質を正極及び負極の面上に、バーコーターを用いて塗布し、70℃の恒温槽で溶剤を揮発させてゲル状電解質を形成させた。そして、この正極と負極とを積層し、平たく巻回して電池素子を作製し、これをラミネートフィルムに減圧封入することによりゲル状電解質電池を作製した。
【0105】
〈サンプル25〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物1が重量比で54:36:10の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0106】
〈サンプル26〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物1が重量比で36:24:40の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0107】
〈サンプル27〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物1が重量比で30:20:50の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0108】
〈サンプル28〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物1が重量比で59.4:39.6:1の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0109】
〈サンプル29〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物1が重量比で59.7:39.8:0.5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0110】
〈サンプル30〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:ビニレンカーボネート(VC):化合物1が重量比で56.4:37.6:3:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0111】
〈サンプル31〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物2が重量比で57:38:5を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0112】
〈サンプル32〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物3が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0113】
〈サンプル33〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物4が重量比で57:38:5を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0114】
〈サンプル34〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物5が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外はサンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0115】
〈サンプル35〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物6が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0116】
〈サンプル36〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物7が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0117】
〈サンプル37〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物8が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0118】
〈サンプル38〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物9が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0119】
〈サンプル39〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物10が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0120】
〈サンプル40〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物11が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0121】
〈サンプル41〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物12が重量比で57:38:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0122】
〈サンプル42〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物1が重量比で51.0:34.0:15の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0123】
〈サンプル43〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化合物1が重量比で59.9:39.9:0.2の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0124】
〈サンプル44〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PCが重量比で60.0:40.0の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル24と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0125】
サンプル24〜サンプル44で用いたフッ化アルキルラクトン化合物1〜化合物12の構造式化1〜化12を以下に示す。
【0126】
【化3】
【0127】
(評価)
以上のようにして作製されたサンプル電池について、サイクル特性を評価した。まず各電池に対して、23℃雰囲気中で、上限電圧4.2V、電流0.2C、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った。次に23℃恒温槽中で、1Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った後、上限電圧4.2V、電流1C、3時間の条件で定電流定電圧充電を行ない、それを多数繰り返した。このサイクル毎に得られた放電容量の経時変化を測定し、2サイクル目の放電容量と500サイクル目の放電容量の比率を次式により求めることで評価した。
【0128】
サイクル特性(%)=
(500サイクル目の放電容量)/(3サイクル目の放電容量)×100
サンプル24〜サンプル44のゲル状電解質電池について、サイクル特性の評価結果を表4に示す。
【0129】
【表4】
【0130】
表4から明らかなように、ゲル状電解質に化合物1を用いていないサンプル44と比較して、ゲル状電解質に化合物1を用いているサンプル24〜サンプル30では、サイクル特性が良好であることがわかる。これは、酸化電位の高いフッ化アルキルラクトンを用いたことでサイクル特性を向上できたためと考えられる。しかしながら、サンプル42での化合物1が多すぎる場合や、サンプル43での、化合物1が少量である場合にはサイクル特性が改善されていない。つまり、フッ化アルキルラクトンの添加量には最適比が存在し、0.5重量%以上、50重量%以下の範囲が好ましく、1重量%以上、40重量%以下の範囲がより好ましいことがわかる。また、他のフッ化アルキルラクトン化合物2〜化合物12を用いたサンプル31〜サンプル41でも同様にサイクル特性を向上できることがわかった。
【0131】
・実験3
本実験では、ゲル状電解質にβ−プロピルラクトンを添加した場合の効果について調べた。
【0132】
〈サンプル45〉
負極及び正極は、上述したサンプル1と同様にして作製した。
【0133】
電解質には、PVdF系ゲル状電解質を用いた。先ず、フッ化ビニリデンに、ヘキサフルオロプロピレンが7重量%の割合で共重合された、その分子量が重量平均分子量で70万である高分子(A)と31万である高分子(B)とを、A:B=9:1の重量比で混合したマトリックス高分子と、非水電解液とポリマーの溶剤であるジメチルカーボネート(DMC)とをそれぞれ重量比1:4:8の割合で混合したものを、70℃にて攪拌し溶解させ、ゾル状の電解質とした。
【0134】
電解液には、非水溶媒として、EC(エチレンカーボネート):PC(プロピレンカーボネート):β−プロピルラクトン=59.4:39.6:1(重量比)となるように混合し、電解質塩として六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)を用い、0.8mol/kgとなるように調製した。
【0135】
次に、このゾル状の電解質を正極及び負極の面上に、バーコーターを用いて塗布し、70℃の恒温槽で溶剤を揮発させてゲル状電解質を形成させた。そして、この正極と負極とを積層し、平たく巻回して電池素子を作製し、これをラミネートフィルムに減圧封入することによりゲル状電解質電池を作製した。
【0136】
〈サンプル46〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:化1が重量比で58.2:38.8:3の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0137】
〈サンプル47〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:β−プロピルラクトンが重量比で57.0:38.0:5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0138】
〈サンプル48〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:β−プロピルラクトンが重量比で59.7:39.8:0.5の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0139】
〈サンプル49〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:β−プロピルラクトンが重量比で59.94:39.96:0.1の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0140】
〈サンプル50〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:β−プロピルラクトンが重量比で59.97:39.98:0.05の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0141】
〈サンプル51〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:β−プロピルラクトンが重量比で60.0:40.0:0.1の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0142】
〈サンプル52〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:β−プロピルラクトンが重量比で54.0:36.0:10.0の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0143】
〈サンプル53〉
ゾル状の電解質の非水溶媒として、EC:PC:β−プロピルラクトンが重量比で59.994:39.996:0.01の割合で混合されてなる溶媒を用いたこと以外は、サンプル45と同様にしてゲル状電解質電池を作製した。
【0144】
(評価)
以上のようにして作製されたサンプル電池について、初回充放電効率、低温保存後のサイクル特性を評価した。
【0145】
初回充放電効率については、まず各電池に対して、23℃雰囲気中で、上限電圧4.2V、電流0.2C、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った。次に、23℃恒温槽中で、0.2Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った。初回充放電効率は、得られた初回放電容量と初回充電容量との比を次式により求めることで評価した。
【0146】
初回充放電効率(%)=(初回放電容量)/(初回充電容量)×100
低温サイクル特性については、まず各電池に対して、23℃雰囲気中で、上限電圧4.2V、電流0.2C、10時間の条件で定電流定電圧充電を行った。次に23℃恒温槽中で、0.5Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った後、上限電圧4.2V、電流0.5C、5時間の条件で定電流定電圧充電を行なった。その後、電池を−20℃恒温槽中で3時間保存した。そして各電池に対して、−20℃恒温槽中で、0.5Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った。この得られた−20℃の放電容量を測定し、3サイクル目の放電容量と250サイクル目の放電容量の比率を次式により求めることで評価した。
【0147】
低温特性(%)=(−20℃放電容量)/(23℃の放電容量)×100
サンプル45〜サンプル53のゲル状電解質電池について、初回充放電効率、サイクル特性の評価結果を表5に示す。
【0148】
【表5】
【0149】
表5から明らかなように、ゲル状電解質にβ−プロピルラクトンを用いていないサンプル51と比較して、ゲル状電解質にβ−プロピルラクトンを用いたサンプル45〜サンプル50では、初回充放電効率が良好であることがわかる。これは、β−プロピルラクトンが初充電時に負極上で分解し、その分解で皮膜を生成したことで、ECやPCの負極上での分解を抑え、初回充放電効率が向上したためと考えられる。しかしながら、β−プロピルラクトンが多すぎるサンプル52では、低温特性が低下してしまっている。これは、負極上での皮膜の厚みが厚くなりすぎたことで負極の抵抗が高くなったためではないかと考えられる。また、β−プロピルラクトンが少量であるサンプル53の場合には初回充放電効率が改善されていない。つまり、β−プロピルラクトンの添加量には最適比が存在し、0.05重量%以上、5重量%以下の範囲が好ましく、0.1重量%以上、3重量%以下の範囲がより好ましいことがわかる。
【0150】
【発明の効果】
本発明では、電解質が非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなるゲル状電解質であり、非水溶媒に、不飽和カーボネートの他に、γ−バレロラクトンやフッ化アルキルラクトン、β−プロピルラクトンが含有されていることによって、高温保存後のサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゲル状電解質電池の一構成例を示す図であって、外装フィルム中に電池素子が収容される状態を示す斜視図である。
【図2】図1中、A−B線における断面図である。
【図3】正極の構成を示す斜視図である。
【図4】負極の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ゲル状電解質電池、 2 正極、 3 負極、 4 ゲル状電解質層、 5 セパレータ、 6 電池素子、 7 外装フィルム、 8 正極リード、 9 負極リード、 10 樹脂フィルム
Claims (6)
- リチウムを電気化学的にドープ脱ドープ可能な正極と、
リチウムを電気化学的にドープ脱ドープ可能な負極と、
上記正極と上記負極との間に介在され、電解質が非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなるゲル状電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
上記非水溶媒には、不飽和カーボネート及びγ−バレロラクトンが添加され、
上記γ−バレロラクトンの添加量は、上記非水溶媒の0.5重量%以上、10重量%以下の範囲である非水電解質二次電池。 - 上記不飽和カーボネートが、ビニレンカーボネートであり、
該ビニレンカーボネートの添加量は、上記非水溶媒の0.2重量%以上、4重量%以下の範囲である請求項1記載の非水電解質二次電池。 - 上記不飽和カーボネートが、ビニレンカーボネートであり、
該ビニレンカーボネートの添加量は、上記非水溶媒の0.2重量%以上、4重量%以下の範囲であることを特徴とする請求項3記載の非水電解質二次電池。 - リチウムを電気化学的にドープ脱ドープ可能な正極と、
リチウムを電気化学的にドープ脱ドープ可能な負極と、
上記正極と上記負極との間に介在され、電解質が非水溶媒に溶解された非水電解液がマトリクスポリマにてゲル化されてなるゲル状電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
上記非水溶媒には、不飽和カーボネート及びβ−プロピルラクトンが添加されており、
上記β−プロピルラクトンの添加量が、上記非水溶媒の0.05重量%以上、5重量%以下の範囲である非水電解質二次電池。 - 上記不飽和カーボネートが、ビニレンカーボネートであり、
該ビニレンカーボネートの添加量は、上記非水溶媒の0.1重量%以上、4重量%以下の範囲である請求項5記載の非水電解質二次電池。
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