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JP4189601B2 - トナー、トナーの製造方法、画像形成方法 - Google Patents
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JP4189601B2 - トナー、トナーの製造方法、画像形成方法 - Google Patents

トナー、トナーの製造方法、画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、トナー、該トナーの製造方法及び該トナーを用いた画像形成方法に関する。
複写機やプリンタ等の電子写真方式による画像形成技術の分野は、デジタル化技術の進展に伴って急激に普及しており、使用台数を大幅に伸ばしてきている。
総じて、近年の電子写真技術開発は、以下の4つのポイントに集約され、精力的な研究開発が進められている。
(1)画像形成装置をコンパクト化すること
(2)画像形成装置を高速化すること
(3)高品質のカラー画像形成を実現すること
(4)稼働時の消費電力を低減化すること(省電力化)
ここで、上記の課題(1)〜(3)を解決させるには、小径の現像ローラーを高速回転させて画像形成を行っても、トナー飛散による画像汚染や、トナー融着による現像ローラーの劣化といった問題を発生させない様にしなければならないという難しさがある。これらの課題に対し、帯電性の揃ったトナー粒子を設計することにより、トナーの帯電速度を速め、電荷保持能を高める技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、(4)の省電力化にあっては、ネット環境の進展によるオフィスでのプリンタ使用の高頻度化やプリンタやファクシミリ等のデジタル機器のホームユース化といった時代の趨勢によるオフィスや家庭内での使用拡大にともない、定額電力や電力コストを削減することは不可避の課題となっている。
また、電子写真方式の画像形成技術の新たな分野への拡大には、電子写真方式では印刷の様に版をおこす手間がなく、必要な時に必要な部数だけの文書作成を高速で行えるというプリントオン・デマンド(POD)、ブックオン・デマンド(BOD)領域への展開が期待されている。
しかしながら、現状の画像形成技術では、スピードでは優れるものの使用可能な紙種が限られ、あらゆる紙に画像形成を行えるものではなかった。例えば、薄紙の場合はしわが発生し易く、一般塗工光沢紙では水蒸気噴出による画像欠陥(ブリスタ)発生の問題があった。また、製本時の丁合精度や紙種の影響を受けずに美しいカラー画像形成を行える様な色再現性を発現させることが困難だった。
これらの課題を達成させるために、前述の特許文献1の様に重合トナーに代表されるケミカルトナーが注目され、トナー粒子構造をダイナミックに制御してこれらの課題を解消するトナーを設計することが試みられてきた。例えば、樹脂と着色剤を含有する樹脂粒子表面に別の樹脂粒子を融着させて樹脂層を形成してトナー粒子の表面を改質することにより、着色剤のトナー粒子表面への露出を抑え高湿環境下での安定した画像形成が可能なトナーの技術や、トナー含有成分の分散状態や占有状態を製造工程で制御して粒子を形成し、温湿度等の環境因子からの影響を受けにくくしたトナーの技術が挙げられるものの未だ充分ではなかった(例えば、特許文献2、3及び4参照。)。
殊に、トナー粒子表面を樹脂で被覆してトナーの性能向上を図る技術は、以前より提案されていたが、保管時及び輸送時の耐凝集性の改良が十分ではなかった。また、安定した帯電速度や電荷保持性を長期にわたり維持することも不十分であった。
特開2004−54240号公報 特開2002−116574号公報 特開2002−351142号公報 特開平10−26842号公報
本発明は、上記課題を鑑みなされたもので、小型、高速出力の複写機やプリンタ、ファクシミリといった電子写真方式の画像形成装置として使用されるトナーに関し、以下の課題を解消することを目的とするものである。
即ち、本発明は、帯電速度、電荷保持能を格段に向上させ、現像装置を小型化しても良好で安定したトナー画像を出力し、低い温度でトナー画像を転写材に定着が行えるようにするとともに、トナーを保管或いは輸送する時に保冷や断熱梱包しなくてもトナー粒子同士が凝集することのない優れた耐凝集性を有するトナーを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、低い定着温度でトナー画像の定着を行っても、十分な定着強度を有し、むらのない均一な光沢性を有する美しい仕上がりの画像を形成することが可能なトナーを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、光沢塗工紙や厚紙等、従来技術ではトナー画像形成がとても難しかった紙種に対して安定した画像形成を行うことが可能なトナーを提供することを目的とするものである。即ち、トナー画像を形成することが可能な紙種の選択幅を拡大することにより、わざわざ版を起こす手間もいらず、必要な部数だけのプリントが行えるプリント・オン・デマンド方式の画像形成技術を展開させることが可能なトナーを提供することを目的とする。
本発明の課題は、下記構成を採ることにより達成される。
(1)
樹脂と着色剤を含有するトナー粒子からなり、
該トナー粒子を100nmの切片とし、80kVの加速電圧による透過型電子顕微鏡で観察したときに、
該トナー粒子は、着色剤を含有する領域Aと、該トナー粒子の表面から1μm以内の領域に該領域Aよりも電子を透過する炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を有するビニル重合体を含有する領域Bとが観察されることを特徴とするトナー。
(2)
前記領域Aと前記領域Bに含有される樹脂の溶解度パラメータ値は、領域Bが領域Aよりも低く、その差が0.20〜0.70であることを特徴とする前記(1)に記載のトナー。

前記領域Bは、ガラス転移温度が50〜65℃の樹脂からなり、前記領域Aは、定着助剤を含有し、ガラス転移温度が−20〜39℃の樹脂からなることを特徴とする前記(1)項に記載のトナー。

着色剤を含有する領域Aの周囲に、別の領域Bを形成する工程を経てトナー粒子を作製するトナーの製造方法であって、
該領域Aと該領域Bに含有される樹脂の溶解度パラメータ値は、領域Bが領域Aよりも低く、その差が0.20〜0.70であり、
且つ、該領域Bを形成する樹脂は、炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を有する重合性単量体を用いて形成されることを特徴とするトナーの製造方法。

前記(1)または(2)項に記載のトナーを用いる画像形成方法であって、転写材の表面温度を80〜105℃に加熱して転写材上にトナー画像を定着することを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、帯電速度、電荷保持能を格段に向上させ、現像装置を小型化しても良好で安定したトナー画像を出力し、低い温度でトナー画像を転写材に定着が行えると共に、トナーを保管或いは輸送する時に保冷や断熱梱包しなくてもトナー粒子同士が凝集することのない優れた耐凝集性を有するトナーを提供することを可能にした。
即ち、本発明で得られたトナーは、現像ローラー径が10mm以下の小型の現像器で行われる様な高速の現像処理に対応可能な帯電速度を有し、しかも、定着時の低温定着性と保管時の耐凝集性とを両立することを可能にした。
また、熱定着時の溶融が進み、色再現領域が広がり、感光体表面、現像ローラー表面、溶融したトナーが接触する部材の表面へのフィルミング(融着)の発生が抑えられる。
さらに、薄紙に画像形成を行っても定着しわを発生させず、コート紙や厚紙に画像形成を行った時に均一な光沢性を有するむらのない美しい仕上がりのプリントが得られる様に、画像形成に使用可能な紙種の幅を拡大することを可能にした。
本発明に係るトナーは、トナー粒子を100nmの切片とし、透過型電子顕微鏡で80kVの加速電圧にて観察すると、トナー粒子外縁部に相対的に電子を透過し易い領域を有していることが観察されるものである。
本発明者等は、トナー粒子の外縁部、即ち、トナー粒子表面近くの領域に電子を透過し易い性質の樹脂を存在させた構造とすることにより、トナーの帯電速度と帯電保持性能を向上させるとともに、低温での良好な定着性能と保管時の耐凝集性の向上を両立させることが可能なトナーが得られることを見出したのである。
本発明では、トナー粒子の表面に近い領域に電子を透過し易い領域を有するものであるが、これは着色剤を含有する樹脂粒子の周りに電子を透過し易い性質の樹脂微粒子を凝集させることにより、この領域を形成するものである。
以下、本発明に係るトナー粒子について詳細に説明する。
〔本発明に係るトナー粒子の構造〕
最初に、本発明に係るトナー粒子の構造について具体的に説明する。
図1は、本発明に係るトナー粒子の構造を示す模式図である。
図1において、Tはトナー粒子、Aは着色剤を含有する領域、Bは領域Aと比較して相対的に電子を透過し易い領域、1は着色剤、2は離型剤である。
本発明に係るトナーは、トナー粒子Tの製造工程で、領域Aを形成する樹脂粒子の表面に、領域Aと組成の異なる樹脂粒子を凝集させて被覆することにより、領域Bを形成するものである。
本発明に係るトナー粒子は、トナー粒子表面から1μm以内の領域に領域Bが存在する。図1−(a)のごとく、領域Bの厚さは1μm以下が好ましく、0.08〜1.00μmがより好ましく、0.12〜0.40μmがさらに好ましい。但し、図1−(b)のように領域Bの一部が領域Aの内部に入り込んでも本願の効果は発現する。
また、領域Bは、必ずしもトナー粒子表面を完全に被覆していなくともトナー粒子表面から1μm以内の領域に領域Bが存在すれば本発明の課題を解消することが確認されており、トナー粒子表面の40〜100%、好ましくは50〜95%を被覆することで、低温での定着性と保管時の耐凝集性を両立することができる。
本発明に係るトナーは安定した電荷保持性能を有することが確認されている。この様に、安定した電荷保持性能を発現する理由も明らかではないが、おそらく、本発明に係るトナーは、トナー粒子表面における電荷密度が一定レベルに到達した後、領域Aと領域Bの間で電荷が移動可能なことにより、トナー粒子表面に常に一定レベルの電荷を保持させることができるためと推測される。即ち、本発明に係るトナーは、電荷が発生しトナー粒子表面における電荷密度が一定のレベルに到達すると、領域Aにも電荷が移動してトナー粒子全体で電荷が保持されるものと推測される。そして、領域Aに移動した電荷は領域Bに移動可能なので、トナー粒子表面の電荷密度が低下してもすぐに領域Bに電荷が移動してきてトナー粒子表面の電荷密度を維持するものと推測される。
一方、従来のトナーでは、電荷はトナー粒子の最表面にのみ蓄積されるだけで、粒子内部への電荷の移動は起きない。そして、トナー粒子表面の電荷密度が低下してもそれを補うだけの電荷を有していないので電荷保持性能が低減するものと推測される。
本発明に係るトナーが低温での定着性と保管時の耐凝集性の2つの作用を両立できる様になった理由は明らかではないが、おそらく、領域Aと領域Bは、分子レベルで非相溶であるため、トナー粒子内部の領域Aが低軟化温度、低ガラス転移温度の樹脂で構成されていても、領域Bを構成する樹脂は領域Aを構成する樹脂の影響でガラス転移温度の低下や可塑化といった現象を発生させないものと推測される。その結果、本発明に係るトナーは、低温での定着性と耐凝集性の2つの作用を両立できる様になったものと推測される。
〔トナー構造の検知手段〕
本発明では、トナー粒子を100nmの切片とし、加速電圧を80kVとした透過型の電子顕微鏡でトナー粒子を観察することによりトナー粒子中にコントラストがつくことを見出し、さらに、このコントラストがトナー粒子を構成する樹脂組成を反映したものであることを見出した。即ち、本発明では、トナー粒子を100nmの切片とし、80kVの加速電圧による透過型電子顕微鏡で観察を行った時に、トナー粒子の樹脂組成(単量体組成)を定量できることを見出した。
従来の透過型電子顕微鏡観察、即ち、加速電圧を200kV前後に設定した時には、トナー粒子中での着色剤や離型剤の状態を観察することは可能だったが、トナー粒子を構成する樹脂組成を観察することはできなかった。この様に、本発明は透過型の電子顕微鏡でトナー粒子の樹脂組成を観察することが可能な条件を見出している。
本発明に係るトナー粒子は、前述してきた様に領域Aの表面に相対的に電子線を透過し易い性質を有する樹脂を含有する領域Bを有する構造である。本発明に係るトナー粒子が、領域Aのまわりに領域Bを有する構造であることは、四酸化ルテニウム等で染色したトナー粒子切片を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察される。
トナー粒子の構造は、当業者の間でよく知られた透過型電子顕微鏡装置(TEM)で十分観察され、例えば「H−9000NAR」(日立製作所社製)、「JEM−200FX」(日本電子社製)等が挙げられる。本発明では、10,000倍の倍率で10個以上のトナー粒子の投影面からトナー粒子内における領域Aと領域Bの大きさを透過型電子顕微鏡写真の結果より算出することができる。尚、観察の倍率は、トナー粒子1個の断面構造が判る範囲で調整可能である。
透過型電子顕微鏡による観察方法は、トナー粒子を測定する際に行われる通常の方法で行われる。例えば、以下の様な手順で行われる。先ず、観察用の試料を作製する。常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、包埋し硬化させてブロックを作製する。作製したブロックを、必要によっては四酸化ルテニウム、または四三酸化オスミウムを併用して染色処理を施す。そして、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い、厚さ100nmに設定し薄片状に切り出して測定用試料を作製する。
次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー粒子の断面形態の写真撮影をする。当該写真からトナー粒子中における樹脂組成を目視で確認する。必要に応じて画像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ社製)で撮影された画像情報を演算処理して、トナー粒子内における層厚を側長することも可能である。
〔本発明に係るトナーの実現手段〕
次に、本発明に係るトナーを実現させる手段について説明する。
透過型電子顕微鏡で80kVの加速電圧にて観察した時に、トナー粒子外縁部に相対的に電子を透過し易い領域を有する本発明に係るトナーは、以下の条件を満足することで実現するものである。即ち、
(a)領域Aと領域Bに含有される樹脂の溶解度パラメータ値(SP値)は、領域Bが領域Aよりも低く、その差が0.20〜0.70であること。
(b)領域Bに含有される樹脂は、炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を有するビニル重合体を有するものであること。
(c)領域Bは、ガラス転移温度(Tg)が50〜65℃の樹脂からなり、領域Aは定着助剤を含有し、ガラス転移温度が−20〜39℃の樹脂からなる。
以下、これらについて説明する。
〔溶解度パラメータ値〕
本発明では、トナー粒子中の領域Bを形成する樹脂は、領域Aの樹脂と相溶せず、しかも、領域Bを形成する樹脂は領域Aと十分な接着性を有している。
領域Bを形成する樹脂が領域Aとの間で非相溶性を発現させるには、領域Bを形成する樹脂の溶解度パラメータ値(以下、SP値ともいう。)と領域Aを形成する樹脂の溶解度パラメータ値の差を適切な範囲にすることで実現される。
溶解度パラメータ値(SP値)は、物質の凝集エネルギーの大きさを表す数値で、Feorsによって提案された方法「Polym.Eng.Sci.,vol14,p147(1974)」に従って、原子または原子団の蒸発エネルギー及びモル体積をそれぞれΔeI、Δviとすると、結着樹脂の溶解度パラメータ値σは、下記式(1)により算出される。
式(1)
σ=(ΣΔei/ΣΔvi1/2
また、各ビニル系共重合体の溶解度パラメータ値は、各成分の溶解度パラメータ値とモル比の積より算出されるものである。例えば、共重合体樹脂をX、Yの2種類の単量体より構成されるものと仮定した時、各単量体の質量組成比をx、y(質量%)、分子量をMx、My、溶解度パラメータ値をSPx、SPyとすると、各単量体比はx/Mx、y/Myとなる。ここで、共重合体樹脂のモル比をCとすると、C=x/Mx+y/Myと表され、この共重合体樹脂の溶解度パラメータ値SPは下記式(2)のようになる。
式(2)
SP={(x×SPx/Mx)+(y×SPy/My)}×1/C
尚、各単量体の溶解度パラメータSPx、SPyは、前述の式(1)により算出されるもので、具体的な値としてはポリマーハンドブック(ワイリー社刊)第4版等の文献に記載されているものを利用すると良い。
尚、溶解度パラメータ値は、ビニル系共重合体を構成する単量体の組成比を変えることにより制御することが可能であり、例えば、スチレンとメタクリル酸メチルを用いて形成された共重合体樹脂では、スチレンの組成比を減少させ、メタクリル酸メチルの組成比を増大させることにより溶解度パラメータの値が低下する傾向を有していることが確認されている。
また、高分子材料の溶解度パラメータの概要につては、独立行政法人「物質・材料研究機構」提供のデータベース PolyInfo(http://polymer.nims.go.jp)に記載の溶解度パラメータの項目(http://polymer.nims.go.jp/guide/guide/p5110.html)を参照するとよい。
単量体の溶解度パラメータ値(SP値)は、以下のようにして求める。
ある単量体Aの溶解度パラメータ値(SP値)を計算する場合、その単量体の分子構造中の原子または原子団に対して、Fedorsによって提案された「Polym.Eng.Sci.Voll14.p114(1974)」から蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)を求め、前記式(1)より算出する。
但し、重合時開裂する2重結合については、開裂した状態をその分子構造とする。
下記の各単量体の溶解度パラメータ値は、上記計算法により求めた値を用いる。
スチレン 10.55
ブチルアクリレート 9.77
2−エチルヘキシルメタクリレート 9.04
メチルメタクリレート 9.93
メタクリル酸 12.54
アクリル酸 14.04
この値を用い、前記式(2)に従い、共重合体の溶解度パラメータ値を求める。
また、領域Aを構成する樹脂が多段重合の場合は、最終段の共重合体樹脂の溶解度パラメータを領域Aの溶解度パラメータ値とする。
本発明では、前述した様に領域Aと前記領域Bに含有される樹脂の溶解度パラメータ値は、領域Bが領域Aよりも低く、その差が0.20〜0.70である時に安定した非相溶性が発現され好ましく、0.30〜0.60がより好ましい。
また、本発明に係るトナーでは、領域Aを形成する共重合体樹脂のSP値は10.10〜11.00が好ましく、10.20〜10.70がより好ましい。共重合体樹脂のSP値は、共重合体を形成する重合性単量体の種類とその比率を適宜選択することによりコントロールすることが可能である。
この様に、本発明に係るトナーでは、領域Bと領域Aを形成する樹脂は双方の溶解度パラメータ値(SP値)が有る程度の差を有することにより、領域Aと領域Bの間で非相溶性を発現するものである。
また、本発明に係るトナーでは、領域AのSP値と領域BのSP値との差が0.20〜0.70である時に両者の間で良好な接着性が発現され好ましい。領域A表面と良好な接着性を確保する方法は、例えば、領域Bを構成する樹脂と領域Aを構成する樹脂の重合性単量体の種類を後述する例示化合物から選定し、両者のSP値差を上記範囲にすることで可能になる。但し、例示化合物は、達成手段を明らかにするために示すものであって、これらに限定されるものではない。
〔領域Bを形成する樹脂〕
本発明では、トナー粒子外縁部の領域Bが相対的に電子を透過し易い様にするには、炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を有するビニル重合体を用いて領域Bを形成することが好ましい。当該樹脂は炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を含む単量体を重合して作製される。
炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を含む重合性単量体の例としては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘキサメチレングリコールのジアクリル酸エステル、ベへニルグリコールのジアクリル酸エステルが挙げられ、その中でも、特に、2−エチルヘキシルメタクリレートが好ましい。
領域Bを形成する共重合体樹脂における上記重合性単量体の共重合体比は、8〜40質量%が好ましい。
また、領域Bを形成する樹脂を作製する単量体には、メチルメタクリレート、スチレン、メタクリル酸等の樹脂のガラス転移温度(Tg)を引き上げる重合性単量体を共重合することも好ましい。
また、これらの重合性単量体は、上記の他に、酸無水物、或いはビニルカルボン酸金属塩の形態を有するものであってもよい。
また、本発明では、スチレン系単量体を併用して領域Bを形成する共重合体樹脂を形成してもよい。
〔ガラス転移温度〕
本発明に係るトナーを作製するためには、領域Bに含有される樹脂のガラス転移温度が50〜65℃であり、領域Aに含有される樹脂のガラス転移温度は−20〜39℃であることが好ましい。
ガラス転移温度は、示差熱量分析装置(DSC)による測定が代表的であり、具体的な測定装置としてパーキンエルマー社製のDSC−7等が挙げられる。
ガラス転移温度の具体的な測定方法は、例えば、昇温・冷却条件として、−30℃で1分間放置後、10℃/minの条件で100℃まで昇温し(第1の昇温過程)、次いで100℃で1分間放置後、10℃/minの条件で0℃まで冷却する(第1の冷却過程)。この操作により前履歴を消去する。次いで、0℃で1分間放置後、10℃/minの条件で100℃まで昇温する(第2の昇温過程)。そして、セカンドヒート(第2の昇温)の吸熱ピーク温度を求め、Tgとする方法が挙げられる。
尚、ガラス転移温度Tgは、測定時、ガラス転移領域におけるDSCサーモグラムのガラス転移点以下のベースラインの延長線と、ピークの立上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度と定める。
また、ガラス転移温度は、原子間力顕微鏡を用いて測定することも可能である。即ち、原子間力顕微鏡のステージを0〜60℃まで加熱し、トナー切片やブロックの硬さが変化する温度をガラス転移温度Tgとしてもよい。
さらに、ガラス転移温度の算出方法として、本発明では以下の様な理論ガラス転移温度を算出してもよい。ここで、理論ガラス転移温度とは、共重合体樹脂を構成するそれぞれの成分が、ホモポリマーを形成した場合のガラス転移温度にそれぞれの組成質量分率を乗じ、即ち加重平均して算出したものである。
即ち、理論ガラス転移温度Tg(絶対温度Tg′とする)は、共重合体樹脂を構成する成分のホモポリマーのガラス転移温度の用いて下記式(3)から算出される。
式(3)
1/Tg′=W1/T1+W2/T2+・・・+Wn/Tn
(式中、W1、W2、・・・Wnは共重合体樹脂の製造に使用された全重合性単量体に対する各重合性単量体の質量分率、T1、T2・・・Tnは各重合性単量体を用いて形成されるホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)を示す。)
尚、本発明に係るトナーでは、理論ガラス転移温度の値や示差熱量分析装置で得られる測定結果、或いは原子間力顕微鏡での結果に多少の差異が生ずることもあるが、この件については本発明の技術思想を否定したり結果に影響を与えるものではない。
尚、共重合体樹脂のガラス転移温度は、共重合体を形成する重合性単量体の種類とその比率でコントロールすることが可能である。
また、本発明に係るトナーは、前述した因子の他に、領域Bと領域Aを形成する樹脂の分子量と軟化点温度を以下に記載の様に設定することがより好ましい。
〔分子量〕
本発明に係るトナーを作製する上で、トナー粒子中の領域Bと領域Aを形成する樹脂の分子量をそれぞれ特定範囲に設定することが好ましい。具体的には、領域Aを構成する樹脂の分子量を15,000〜25,000、領域Bを構成する樹脂の分子量を10,000〜35,000の範囲にそれぞれピーク分子量を有する様に分子量を設定することが好ましい。
領域A及び領域Bを構成する樹脂は、複数種類のビニル系共重合体樹脂より形成されるものであるが、領域Bを構成する樹脂は、トナー粒子の強度を保持するために上記範囲にピーク分子量を有することが好ましい。
上記ピーク分子量は、テトラハイドロフラン(THF)をカラム溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することが可能である。
具体的には、測定試料を1mgに対してTHFを1ml加え、室温下にてマグネチックスターラーを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組み合わせなどを挙げることができる。
検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、或いはUV検出器が好ましく用いられる。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いることが好ましい。
〔軟化温度〕
本発明に係るトナーの軟化点(Tsp)は、75〜98℃であることが好ましく、転写材表面の温度が100℃以下でも定着することが可能である。これは、本発明に係るトナーでは、領域Bの比率をトナー粒子に対して質量ベースで5〜30%としているので、軟化点に影響を与えることなくトナー保存性を向上させることが可能になっている。従って、本発明に係るトナーでは、水蒸気の発生による画像欠陥や転写材の変形(カール)の発生のない温度での定着を可能にしている。
また、トナー粒子の軟化点の制御は、例えば、樹脂粒子形成に用いる樹脂を構成する単量体の種類や共重合体の単量体組成比をコントロールする方法や、連鎖移動剤の量をコントロールして重合度を制御する方法、或いはトナーに添加する離型剤等、定着助剤の種類や量を調整する方法等が挙げられ、これらを組み合わせることにより目標の軟化点を有するトナーが得られる。一例を示すと、特定の樹脂において分子量と軟化点の関係をプロットして軟化点を制御する方法等が挙げられる。
トナーの軟化点の測定方法は、例えば、フローテスターCFT−500((株)島津製作所社製)を用い、試料を予め9.2メッシュパス(目開き2.0mm)、32メッシュオン(目開き0.5mm)の粒度に揃えた後、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより20kg/cm2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、降下量5mmに対応する温度を軟化点とするものが挙げられる。
〔領域Aに用いられる樹脂〕
次に、領域Aに好ましく用いられる樹脂(即ち、重合体)について説明する。
領域Aを構成する樹脂の重合性単量体としては、スチレン系単量体またはスチレン系単量体と他の共重合性単量体とを混合した単量体混合物用いて形成した樹脂が好ましく、スチレン系単量体の量が単量体全量に対して50質量%以上であることが好ましい。
スチレン系単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。また、スチレン系単量体とともに使用される他の共重合性単量体としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル系単量体;メチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系単量体;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のN−アルキル置換アクリルアミド;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル系単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体等を挙げることができる。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
この様に、架橋性単量体を使用することにより、結着樹脂を構成する高分子鎖の構造に規則性や同期性を付与しにくくなるので無定形構造の樹脂が得られ易くなるとともに、高分子鎖間の結合エネルギーを大幅に上げることなく、樹脂の強度を向上させることが可能になる。その結果、低温での定着が可能であるとともに、例えば、現像器内での撹拌を繰り返してもナーが破壊することなく、トナーの耐久性を向上させることが可能になる。
〔本発明に係るトナー粒子の製造方法〕
次に、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。
本発明に係るトナーの好ましい製造方法としては、領域Aを被覆する領域Bの膜厚に適度な厚みむらをもたせることが容易な乳化重合法である。領域Bが適度な膜厚むらを有することにより、低温での定着性を発現し、且つ、保管時の耐凝集特性を確保する上で好ましいものである。
以下、領域Aを形成する樹脂粒子(a)、領域A粒子、領域Aの粒子分散液、領域Bを形成する樹脂粒子(b)、領域Bを形成する樹脂粒子の分散液、トナー粒子の製造工程について説明する。
(領域Aを形成する樹脂粒子(a))
領域Aを形成する樹脂粒子(a)は、前述した様に、SP値が10.10〜11.00、Tgが−20〜39℃になるよう重合性単量体の種類とその配合比を選択し、分子量が15,000〜25,000になるよう共重合して得られるものである。また、樹脂粒子(a)の数平均一次粒子径は10〜1000nmが好ましい。
尚、領域AのSP値及びTgは、領域Aを形成する樹脂粒子(a)のSP値及びTgに一致するものである。
領域A粒子は、少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるものであるが、この製造方法は、重合性単量体を懸濁重合法により重合して樹脂粒子(a)を調製し、或いは、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、或いはミニエマルジョン重合を行って微粒の樹脂粒子(a)を調製し、必要に応じて荷電制御性樹脂粒子を添加した後、有機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造することが好ましい。
〈懸濁重合法〉
領域A粒子を製造する方法の一例としては、重合性単量体中に荷電制御性樹脂を溶解させ、着色剤や必要に応じて定着助剤、離型剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解或いは分散させる。この各種構成材料が溶解或いは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用し領域A粒子としての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構が後述の撹拌翼である反応装置(撹拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させて領域A粒子を形成することができる。
〈乳化重合法〉
また、領域A粒子を製造する方法として樹脂粒子(a)を水系媒体中で塩析/融着させて調製する方法も挙げることができる。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。即ち、樹脂粒子と着色剤、必要に応じて定着助剤、離型剤等の構成材料の分散粒子、或いは樹脂及び着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御して領域A粒子を形成することができる。尚、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
領域A粒子の製造方法においては、少なくとも重合性単量体を溶かした後、重合性単量体を重合せしめる工程を経て形成した樹脂粒子(a)と着色剤粒子とを塩析/融着させて得られるものである。
また、領域A粒子の製造方法は、多段重合法によって得られる樹脂粒子(a)と着色剤粒子とを塩析/融着させるものであるが、多段重合法について以下に説明する。
《多段重合法により得られる樹脂粒子(a)の製造方法》
領域A粒子の製造方法は、以下に示す工程より構成されるものである。
1:多段重合工程
2:樹脂粒子(a)と着色剤粒子とを塩析/融着させて領域A粒子を得る塩析/融着工程
以下、各工程について、詳細に説明する。
〔多段重合工程〕
多段重合工程とは、オフセット発生防止した領域A粒子を得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。即ち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに重合性単量体と連鎖移動剤を加えることによってて低分子量の表層を形成する方法が採られている。
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法及び三段重合法について説明する。
〈二段重合法〉
二段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される樹脂粒子(a)を製造する方法である。
この方法を具体的に説明すると、先ず、単量体の単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第一段重合)することにより、高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第二段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される樹脂粒子(a)を製造する方法である。領域A粒子では上記の様な樹脂粒子(a)として存在するものである。
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第一段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、単量体の単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第二段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第三段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成する。
領域A粒子の製造方法においては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが1つの特徴である。即ち、被覆層(中間層)を形成する際に、単量体溶液を水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法である。
樹脂粒子または被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができる。尚、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、或いは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するロータを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
尚、樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。
この重合工程で得られる樹脂粒子(a)の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
また、樹脂粒子(a)のガラス転移温度(Tg)は−20〜39℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは10〜37℃である。
領域A粒子は、塩析/融着法によって樹脂粒子(a)を融着させてなる樹脂層を形成させて得られるものであるが、このことについて以下に説明する。
〔塩析/融着工程〕
この塩析/融着工程は、前記多段重合工程によって得られた樹脂粒子(a)と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、領域A粒子を得る工程である。
本発明でいう塩析/融着とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、樹脂粒子(a)を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(樹脂粒子(a)、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
この塩析/融着工程では、樹脂粒子(a)及び着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
《着色剤粒子分散液の調製方法》
着色剤は界面活性剤を含んだ水系媒体に直接投入し、剪断力を付与することにより分散する。例えば特開2000−292973に記載されている。
即ち、撹拌室を区画形成するスクリーンと、前記撹拌室内において高速回転するロータとによって生じる剪断力の作用(さらに、衝突力・圧力変動・キャビテーション・ポテンシャルコアの作用)により、界面活性剤を含有する水系媒体中に着色剤を分散して着色剤粒子の分散液を調製する。
着色剤粒子の質量平均粒子径(分散粒子径)は30〜500nmとされ、好ましくは50〜300nmとされる。この質量平均粒子径が30nm未満である場合には、水系中での浮遊が激しくなり、領域A粒子中に取り込むことが困難になる。一方、この質量平均粒子径が500nmを超える場合には、着色剤粒子が水系中に適度に分散されず、沈降し易くなるため、領域A粒子内に導入することが困難となり、遊離状態の着色剤が発生し易くなる。着色剤粒子の質量平均粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定された値である。
また、着色剤粒子の粒子径分布は、標準偏差で30以下であることが好ましく、更に好ましくは20以下とされる。着色剤粒子の粒子径分布が標準偏差で30以下であることにより、分布をシャープにすることができ、領域A粒子中に着色剤粒子を確実に取り込むことができ、着色剤粒子の遊離が発生しにくくなる。尚、「着色剤粒子の粒子径分布」とは、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)で測定された標準偏差を示す。
領域A粒子を得るために使用する着色剤粒子は、界面活性剤を含有する水系媒体中に着色剤を投入し、プロペラ攪拌機などにより予備分散(粗分散)して得られる予備分散液(着色剤の凝集粒子の分散液)を、撹拌室を区画形成するスクリーンと、前記撹拌室内で高速回転するロータとを備えた撹拌装置に供給し、当該撹拌装置により分散処理(微分散処理)することにより調製される。
着色剤粒子を得るための分散処理に使用することのできる撹拌装置としては、「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)を挙げることができる。この「クレアミックス」は、被処理液を高速で回転させるロータ(撹拌羽根)と、このロータを取り囲む固定されたスクリーン(固定環)とにより、剪断力、衝突力、圧力変動、キャビテーション及びポテンシャルコアの作用を生じさせる構造を有し、これらの作用の相乗効果により乳化・分散を行うものである。即ち、この「クレアミックス」は、エマルジョンの生成(液体粒子の分散)のために使用されているが、本発明者らは、この装置を、着色剤粒子(固体)を水系媒体中に分散させるための分散装置として使用することにより、好適な平均粒子径及びシャープな粒子径分布を有する着色剤粒子の分散液が得るられる。
(領域A粒子)
領域A粒子は、領域Aを形成する樹脂粒子(a)、着色剤、必要に応じ定着助剤、離型剤を含有する。
(領域A粒子分散液の調製)
領域A粒子分散液の調製方法は、領域A粒子が前述した条件を満足するものであれば、特に限定されないが、領域A粒子の表面に領域Bを形成する樹脂粒子(b)を固着させる観点から乳化会合法で製造することが好ましい。
具体的には、領域Aを形成する樹脂粒子(a)、着色剤、必要に応じ定着助剤、離型剤を混合し、これらを凝集させて所定の大きさ(2.5〜9.0μm)になった時に塩を添加して凝集を停止させ、融着させて領域A粒子分散液を調製する。
領域A粒子の粒径は、体積平均粒径で2.5〜9.0μmの範囲のものが用いられるが、好ましくは3.5〜7.0μmである。ここで、体積平均粒径は、「コールターマルチサイザ」(コールター・ベックマン社製)や「SD−2000」(シスメックス社製)といった電気抵抗式の粒径分布測定装置により測定することができる。
領域A粒子分散液中の領域A粒子濃度は、4〜35質量%の範囲が好ましく、より好ましくは7〜20質量%である。この範囲の時に領域Bの形成が促進される。
次に、本発明に係る領域A粒子の製造に用いられる定着助剤、離型剤、着色剤、界面活性剤等の要素について説明する。尚、重合性単量体については、前述したとおりであり、ここでは説明を省略する。
定着助剤
本発明に係るトナーの領域Aには、軟化点を制御するために定着助剤を含有させることも可能である。具体的には、数平均分子量が1,500〜3,500のビニル重合体或いはポリ−1−ブテン等のα−オレフィンの重合体が挙げられる。
前述した定着助剤の具体例としては、ポリ−1−ブテン(数平均分子量2000)、が挙げられる。
離型剤
本発明に係るトナーに使用される離型剤は、公知のものを用いることができる。好ましい離型剤としては、下記一般式で表されるものが挙げられる。
一般式
1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数を表し、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
1、R2は置換基を有してもよい炭化水素基を示す。
1:炭素数=1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは16〜26
2:炭素数=1〜40、好ましくは14〜30、更に好ましくは16〜26
上記一般式で表されるエステル化合物の中で、ベヘン酸ベへニル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル等が好ましい。他には、極性基で変性したパラフィンワックス、高級アルコール等が好ましく用いられる。
離型剤の含有割合は、トナー粒子全量の1〜30質量%が好ましい。
着色剤
着色剤としては、公知の有機顔料、及び染料も従来公知のものを用いることができ、具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
また、黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉が挙げられる。
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%である。
界面活性剤
本発明に係るトナー粒子の製造工程では、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、下記一般式(1)、(2)の界面活性剤を併用することが好ましい。
一般式(1) R1(OR2nOSO3
一般式(2) R1(OR2nSO3
一般式(1)、(2)において、R1は炭素数6〜22のアルキル基またはアリールアルキル基を表すが、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基またはアリールアルキル基であり、更に好ましくは炭素数9〜16のアルキル基またはアリールアルキル基である。
一般式(1)、(2)において、R2は炭素数2〜6のアルキレン基を表すが、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。R2で表される炭素数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基等が挙げられる。
一般式(1)、(2)において、nは1〜11の整数であるが、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2〜3である。
一般式(1)、(2)において、Mで表される1価の金属元素としてはナトリウム、リチウムが挙げられる。中でも、ナトリウムが好ましく用いられる。
以下に、一般式(1)、(2)で表される界面活性剤の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物(101):C1021(OCH2CH22OSO3Na
化合物(102):C1021(OCH2CH23OSO3Na
化合物(103):C1021(OCH2CH22SO3Na
化合物(104):C1021(OCH2CH23SO3Na
化合物(105):C817(OCH2CH(CH3))2OSO3Na
化合物(106):C1837(OCH2CH22OSO3Na
本発明に係るトナー粒子の製造工程では、水系媒体中で調製した樹脂粒子の分散液から樹脂粒子を凝集させる工程があり、凝集剤として金属塩が好ましく用られることは前述したとおりである。具体的な凝集剤としては、2価または3価の金属塩を凝集剤として用いることが好ましく、1価の金属塩よりも2価、3価の金属塩の方が臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さいので好ましい。
本発明でいう臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こるときの凝集剤の添加濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることができる。
また、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
(領域Bを形成する樹脂粒子(b))
領域Bを形成する樹脂粒子(b)は、Tgが50〜65℃になるように重合性単量体の種類とその配合比を選択し、分子量が10,000〜35,000になるよう共重合体させて得られた樹脂粒子が好ましい。
尚、領域BのTgは、領域Bを形成する樹脂粒子(b)のTgに一致するものである。
領域Bを形成する樹脂粒子(b)の体積平均一次粒子径は、50〜240nmが好ましい。領域Bを形成する樹脂粒子(b)の体積平均粒径、粒径分布は、レーザドップラー方式の測定装置「UPA150」(マイクロトラック社製)で測定された数値から求められるものである。具体的には、分散液にレーザ光を照射して、ラテックスミセル状態で液中を移動する樹脂粒子からの反射光で発生する干渉じまの間隔を測定、算出して粒径分布を得る。
(領域Bを形成する樹脂粒子(b)の分散液の調製)
領域B粒子の分散液は、重合性単量体を重合して得た樹脂粒子(b)をミセル化して分散させた水系分散液が好ましく用いられる。領域Bを形成する樹脂粒子の分散液の製造方法は、樹脂粒子(b)のミセル化が可能であれば特に限定されず、好ましい方法としては、乳化重合法、ミニエマルジョン重合法、シード重合法が挙げられる。
領域B粒子の分散液中の樹脂粒子(b)濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、20〜40質量%の範囲である。
(領域A粒子分散液へ領域Bを形成する樹脂粒子(b)の分散液を添加する方法)
本発明では、領域A粒子分散液に、領域Bを形成する樹脂粒子(b)の分散液を領域Aの粒子100質量部に対して樹脂粒子(b)5〜15質量部(樹脂粒子換算)を加えて、領域Aの粒子の表面に樹脂粒子(b)を1μm以下の厚さに固着させて領域Bを形成する工程を経てトナー粒子を製造する。ここで、固着とは、領域A粒子と領域Bを形成する樹脂粒子(b)との接着、吸着、静電気的な結合等、粒子間相互の結びつける力が作用してトナー粒子を形成することをいうものである。
領域Bを形成する樹脂粒子(b)が、分散液中で遊離粒子とならず、領域A粒子の表面に確実に固着させるため、領域A粒子と樹脂粒子(b)の重合性単量体構成において、相分離はするが、確実に固着させる工夫が必要で、少なくとも同じような構造を有する単量体を含ませるとよい。
(トナーの製造工程)
《領域A粒子表面に領域Bを形成する製造工程》
本発明に係るトナー粒子は、領域A粒子の表面に樹脂粒子(b)を固着させ、領域Bを形成して製造する。具体的には、加熱撹拌している領域A粒子分散液中に樹脂粒子(b)の分散液を数回に分けて添加し、領域A粒子表面に樹脂粒子(b)を融着させる。
その後、塩化ナトリウムをイオン交換水500gに溶解した水溶液を加え、粒子の凝集力を更に弱めた上、加熱撹拌を継続し、樹脂粒子(b)の領域A粒子への融着を完全に行う。その後、冷却し、塩酸を添加してpHを調整した後撹拌を停止してトナー粒子分散液を作製する。
《固液分離・洗浄工程》
この固液分離・洗浄工程では、上記で得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離してトナーケーキを得、このトナーケーキから界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、固液分離方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧固液分離法、フィルタープレス等を使用して行う固液分離法などが挙げられるが特に限定されるものではない。洗浄方法もトナーケーキから界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去することができればよく特に限定されるものではない。
《乾燥工程》
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理する工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、エジェクター等の機械式の解砕装置を使用することができる。
《外添剤の添加工程》
本発明のトナーは、上記で作製されたトナー粒子をそのままで使用してもよいが、流動性の改良やクリーニング性の向上等の目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することが好ましい。具体的には、トナーに流動性を付与するために一次粒径が10〜20nmの粒子を、転写性を高めるとともにトナーに接触する像担持体を清浄に保つために20〜300nmの粒子を併用することが好ましい。本発明に使用可能な外添剤としては、シリカや比較的抵抗の低いチタニア、アルミナ、酸化亜鉛などの無機微粒子や、有機微粒子及び滑剤を使用することが可能である。
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げられ、かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは、感光体や中間転写ベルトなどの像担持体を保護する上で有効である。
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩等が挙げられる。脂肪酸ユニットには、二重結合を有さない、いわゆる飽和脂肪酸が好ましい。
外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%程度であることが好ましい。また、外添剤をトナーに添加混合する装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機等の混合装置が挙げられる。
(現像剤の調製)
本発明のトナーは、1成分現像剤用或いは2成分現像剤用として用いることができる。1成分現像剤として用いる場合は、非磁性1成分現像剤、或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させた磁性1成分現像剤が挙げられいずれも使用できる。
しかし、本発明のトナーは磁性粒子と混合して2成分現像剤用として用いることがより好ましい。磁性粒子として用いるキャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができる。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
次に、本発明のトナーを用いて行われる画像形成方法について説明する。
本発明のトナーを用いた画像形成方法は特に限定されない。本発明のトナーの定着手段としては、転写材を圧着ローラーと加熱ローラーとの間を、ベルトと加熱ローラーとの間を、或いはソフトローラーと加熱ローラーとの間を通過させてトナー画像を定着する定着手段が好ましい。
本発明のトナーは、上記定着手段を用いることにより高速、低熱量で定着処理ができ、且つ、薄紙やコート紙或いは厚紙等の記録媒体に良好なトナー画像を形成することが可能である。
加熱ローラーの設定温度は、転写材表面の温度が80〜98℃となる条件に設定することが好ましく、例えば、100〜150℃に設定する。転写材の表面温度は非接触温度計や示温材を塗布したラベルを貼り付けて測定する。また、加熱ローラーのニップ幅は8〜40mm、好ましくは11〜30mmに設定する。
尚、加熱ローラーは、シリコンオイルを1プリンント当たり0.3mg以下塗布して用いても良いが、オイルレスで用いても良い。
〔熱ローラー定着〕
図2は、本発明に係る画像形成方法に用いる画像形成装置(熱定着ローラー定着)の一例を示す概略図である。
図2において、50は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。52はスコロトロンの帯電器(帯電手段)で、感光体ドラム50周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器52による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた帯電前露光部51による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
感光体への一様帯電の後、像露光手段としての像露光器53により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器53は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
帯電器52により感光体表面を一様に帯電し、像露光が行われた領域、即ち感光体の露光部電位(露光部領域)を現像工程(手段)により顕像化する。一方、未露光部電位は現像スリーブ541に印加される現像バイアス電位により現像されない。
次に、静電潜像は現像手段としての現像器54で現像される。感光体ドラム50周縁にはトナーとキャリアとからなる現像剤を内蔵した現像器54が設けられ、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ541により現像が行われる。現像器54内部は現像剤撹拌搬送部材544、543、搬送量規制部材542等から構成され、現像剤は撹拌、搬送されて現像スリーブに供給されるが、その供給量は該搬送量規制部材により制御される。該現像剤の搬送量は適用される有機電子写真感光体の線速及び現像剤比重によっても異なるが、一般的には20〜200mg/cm2の範囲である。
本発明に係るトナーは、二成分系現像剤或いは一成分系現像剤のいずれの現像剤として使用可能である。現像スリーブ(現像ローラー)径は20〜5mm、好ましくは18〜7mmがよく、現像スリーブの線速は200〜1800mm/secが好ましい。
尚、図中の70は感光体、帯電器、転写器、分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジである。本発明に係るトナーは、前述した範囲の径を有する小型の現像器で高速現像を行うことが可能なので、プロセスカートリッジ仕様の画像形成装置には特に好ましく使用される。
〔ベルト定着〕
図3は、ニップ幅を確保するためにベルトと加熱ローラーを用いた定着装置の一例を示す概略図である。
図3において、定着ローラー601とシームレスベルト11、及びシームレスベルト11を介して定着ローラー601に押圧される圧力パッド(圧力部材)12a、圧力パッド(圧力部材)12b、前記潤滑剤供給部材40とで主要部が構成されている。
定着ローラー601は、金属製のコア(円筒状芯金)10aの周囲に耐熱性弾性体層10b、及び離型層(耐熱性樹脂層)10cを形成したものであり、コア10aの内部には、加熱源としてのハロゲンランプ14が配置されている。定着ローラー601の表面の温度は温度センサー15によって計測され、その計測信号により、図示しない温度コントローラーによってハロゲンランプ14がフィードバック制御されて、定着ローラー601の表面が一定温度になるように調整される。シームレスベルト11は、定着ローラー601に対し所定の角度巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。
シームレスベルト11の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド12がシームレスベルト11を介して定着ローラー601に押圧される状態で配置されている。圧力パッド12は、強いニップ圧がかかる圧力パッド12aと、弱いニップ圧がかかる圧力パッド12bとが設けられ、金属製等のホルダー12cに保持されている。
さらにホルダー12cには、シームレスベルト11がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト11内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、且つ、シームレスベルト11から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材がよい。
〔ソフトローラー定着〕
図4は、定着ニップを確保するとともに、転写材の巻き付きを防止し、画質に優れるソフトローラーと加熱ローラーを用いた定着装置の一例を示す概略図である。
本発明に係る定着装置60は、図4に示す構成となっていて、加熱ローラー部材として加熱ローラー601と、ソフトローラー部材としてのソフトローラー17bを用い、加熱ローラー601の内部に加熱部材としてのハロゲンランプ14を備えたものである。
加熱ローラー601とソフトローラー17bとの間にニップ部Nを形成し、ニップ部Nを通して熱と圧力とを加えることにより、転写材P上のトナー像を定着するものである。上記において、ソフトローラー17bの内部にも加熱部材としてのハロゲンランプ14(不図示)を配設するようにしてもよい。
本発明で用いられる転写材とは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材或いは転写紙と通常よばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明を説明するが本発明はこれらに限定されない。
1.樹脂領域Bを形成する樹脂粒子(b)の作製工程
〈樹脂粒子(b1)の作製〉
下記の重合性単量体を用いて重合性単量体溶液(b1−1)を作製した。
2−エチルヘキシルメタクリレート 29.5部
スチレン 66.0部
メタクリル酸 4.5部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(C1225OSO3Na)(1)7.08gをイオン交換水3010gに溶解させ、窒素気流下、撹拌しながら、内温を80℃に昇温させて、界面活性剤溶液を調製した。
前記界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、前記重合性単量体溶液(b1−1)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂領域Bの原材料となるを形成する樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子(b1)」とする。尚、樹脂粒子(b1)のSP値は10.41、ガラス転移温度は62.5℃であった。
〈樹脂粒子(b2)の作製〉
使用する重合性単量体を
2−エチルヘキシルメタクリレート 30.0部
スチレン 65.0部
メチルメタクリレート 2.5部
メタクリル酸 2.5部
に変更した以外は「樹脂粒子(b1)」と同様の手順で「樹脂粒子(b2)」を作製した。尚、樹脂粒子(b2)のSP値は10.33、ガラス転移温度は60.4℃であった。
〈樹脂粒子(b3)の作製〉
使用する重合性単量体を
2−エチルヘキシルメタクリレート 30.0部
スチレン 17.5部
メチルメタクリレート 50.0部
メタクリル酸 2.5部
に変更した以外は「樹脂粒子(b1)」と同様の手順で「樹脂粒子(b3)」を作製した。尚、樹脂粒子(b3)のSP値は9.98、ガラス転移温度は61.5℃であった。
〈樹脂粒子(b4)の作製〉
使用する重合性単量体を
2−エチルヘキシルメタクリレート 32.0部
メチルメタクリレート 66.0部
メタクリル酸 2.0部
に変更した以外は「樹脂粒子(b1)」と同様の手順で「樹脂粒子(b4)」を作製した。尚、樹脂粒子(b4)のSP値は9.83、ガラス転移温度は59.0℃であった。
〈樹脂粒子(b5)の作製〉
使用する重合性単量体を
2−エチルヘキシルメタクリレート 36.0部
メチルメタクリレート 64.0部
に変更した以外は「樹脂粒子(b1)」と同様の手順で「樹脂粒子(b5)」を作製した。尚、樹脂粒子(b5)のSP値は9.73、ガラス転移温度は52.6℃であった。
2.樹脂領域Aを形成する樹脂粒子(a)の作製工程
2−1)樹脂粒子(a1)の作製
以下、二段重合により、母体用樹脂粒子樹脂領域Aを形成する樹脂粒子(a1)を作製した。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、以下の重合性単量体の混合液に離型剤(ペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル)を70.0部添加し、80℃に加温し、溶解した。これを「重合性単量体溶液(2−1−1)」とする。
〈重合性単量体溶液(2−1−1)〉
スチレン 57.0部
n−ブチルアクリレート 36.0部
メタクリル酸 7.0部
一方、撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けたセパラブルフラスコに、下記のアニオン性界面活性剤(2)2.5部をイオン交換水1340部に溶解させ界面活性剤溶液を調製した。
(2)アニオン性界面活性剤:C1225(OCH2CH22OSO3Na
前記界面活性剤溶液を80℃に加熱した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、重合性単量体溶液(2−1−1)を2時間混合分散させ、分散粒子径(482nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む乳化液(分散液)を調製した。
次いで、イオン交換水1460部を添加した後、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)7.5部をイオン交換水142部に溶解させた開始剤溶液と、n−オクタンチオール6.74部とを添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第一段重合)を行い、樹脂粒子(高分子量樹脂粒子の分散液)を得た。これを「樹脂領域Aを形成する樹脂粒子(a1−1)」とする。
これに、重合開始剤(KPS)11.6部をイオン交換水220部に溶解させた開始剤溶液を添加し、次いで、80℃の温度条件下に、以下の重合性単量体溶液(2−1−2)を1時間かけて滴下した。
〈重合性単量体溶液(2−1−2)〉
スチレン 55.5部
n−ブチルアクリレート 36.0部
メタクリル酸 8.5部
ポリ−1−ブテン(数平均分子量2000) 4.0部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第二段重合)を行った後、28℃まで冷却し、樹脂粒子(a1−1)を原料とした樹脂粒子(a1)の分散液を得た。尚、樹脂粒子(a1)のSP値は10.53、Tgは29.9℃であった。
2−2)樹脂領域Aを形成する工程(凝集工程)
以下に示す着色剤分散液と上記の樹脂粒子(a1)分散液を用いて、着色剤粒子と樹脂粒子(a1)との凝集を行った。
〈着色剤分散液の調製〉
前述のアニオン系界面活性剤(2)59.0部をイオン交換水1600gに撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330)420.0部を徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。この着色剤分散液の粒子径は93nmであった。
〈凝集工程〉
樹脂粒子(a1)分散液300.0部(固形分換算)と、イオン交換水1120部と、上記の着色剤分散液の237部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた四つ口フラスコに入れ撹拌した。容器内の温度を30℃に調製した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物55.3部をイオン交換水55.3gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、樹脂粒子(a1)と着色剤粒子との凝集を行った。
撹拌と加熱を続けながら、「コールターカウンターTA−II」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準メディアン径が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム15.3部をイオン交換水100gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を抑制させた。
3.樹脂領域Aに樹脂粒子bを固着させる工程
3−1)トナー粒子1の分散液
樹脂粒子分散液(b1)の60g(固形分換算)を5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8に調製した。
一方、樹脂領域A分散液の加熱撹拌を約1時間以上継続し、円形度が0.936になったところで、上記の表面用樹脂粒子分散液(b1)の4分の1量ずつ4回に分割して添加し、樹脂領域A表面に樹脂粒子bを融着させ、樹脂領域Bを形成した。
その後、塩化ナトリウム123.9部をイオン交換水500部に溶解した水溶液を加え、粒子の凝集力をさらに弱めた上、95℃にて更に2時間加熱撹拌を継続し、樹脂粒子b1の樹脂領域Aへの融着を完全にし、加熱撹拌を続けた。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpH2に調整し、撹拌を停止した。これを「トナー粒子1の分散液」とする。
3−2)トナー粒子2の分散液
樹脂粒子分散液(b1)を樹脂粒子分散液(b2)に変更した以外はトナー粒子1の分散液の調整と同様にして「トナー粒子2の分散液」を得た。
3−3)トナー粒子3の分散液
樹脂粒子分散液(b1)を樹脂粒子分散液(b3)に変更した以外はトナー粒子1の分散液の調整と同様にして「トナー粒子3の分散液」を得た。
3−4)トナー粒子4の分散液
樹脂粒子分散液(b1)を樹脂粒子分散液(b4)に変更した以外はトナー粒子1の分散液の調整と同様にして「トナー粒子4の分散液」を得た。
3−5)トナー粒子5の分散液
樹脂粒子分散液(b1)を樹脂粒子分散液(b5)に変更した以外はトナー粒子1の分散液の調整と同様にして「トナー粒子5の分散液」を得た。
3−6)トナー粒子6の分散液
トナー粒子3の分散液の製造において、樹脂粒子分散液(b3)の60g(固形分換算)添加したところを、15gとした以外は同様にして、トナー粒子6の分散液を得た。
3−7)トナー粒子7の分散液
トナー粒子1の分散液の製造において、樹脂粒子分散液(b3)の60g(固形分換算)添加したところを、120gとした以外は同様にして、トナー粒子7の分散液を得た。
3−8)比較用トナー粒子1の分散液
前述した樹脂粒子(a1)と着色剤粒子とを凝集して得られたものを比較用トナー粒子1の分散液とした。
4.固液分離・洗浄工程
上記で作製したトナー粒子分散液を遠心脱水機にかけ固液分離しトナーケーキを調製した。このトナーケーキを40℃のイオン交換水をふりかけながら洗浄した。
5.乾燥工程
洗浄が完了したトナーケーキをスプレードライヤーを用い、40℃の温風でトナー中の水分量が2質量%以下になるまで乾燥して「トナー粒子1〜7」及び「比較用トナー粒子1」を作製した。
表1に、上記で作製したトナー粒子の各特性を示す。
Figure 0004189601
6.外添剤処理工程
次いで、上記で作製した「トナー粒子1〜7」及び「比較用トナー粒子1」の各々に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を1質量%添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工社製)により混合後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去し「トナー1〜7」及び「比較用トナー1」を調製した。
7.現像剤の調製
上記で作製した「トナー1〜7」及び「比較用トナー1」の各々に、シリコン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記トナーの濃度が6質量%になるよう混合し「現像剤1〜7」及び「比較用現像剤1」を調製した。
8.評価実験
表1に示すように「トナー1〜7(現像剤1〜7)」を「実施例1〜7」、「比較用トナー1(比較用現像剤1)」を「比較例1」として、以下の評価を行った。
電子写真方式を採用する市販の複合機「Sitios7035」(コニカミノルタ社製)を用い、線速を280mm(約50枚/分)に、現像ローラーをφ9mmに、定着器を図3の構成をとる定着装置(定着加圧部材にポリイミド製シームレスベルトを採用)に変更し、プリントを行いプリント画像を作成した。複合機の機内の状態とプリント画像を以下の評価項目につて評価を行った。
〈帯電速度〉
画素率75%とし、トナー消費量、補給量が著しく多いプリントモードで1000枚プリントを行い、機内のトナーこぼれとプリント画像の画像かすれを目視で評価した。
評価基準
◎:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ全くなし
○:帯電不良によるトナーこぼれはないが、プリントの後端に軽微なかすれ発生したが実用上問題なし
×:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ発生し実用上問題。
〈電荷保持性〉
高温高湿(30℃、90%RH)に72時間放置後、放置前と同じ現像条件でプリントを行い、そのプリント画像を目視で評価した。
評価基準
◎:階調性変動が目視で確認されない
○:淡色(ハーフトーン)、写真画像が暗く感じるが実用上問題なし
×:3ポイントの文字「e」の判別ができなく実用上問題。
〈耐熱保管性〉
各トナー100gを55℃、90%RHの条件下で24時間放置した後、目開き45μmのフルイで篩い、フルイ上に残った凝集物の量(割合)で耐熱保管性(トナー保管安定性)を評価した。
評価基準
◎:フルイ上の量が、5%未満で凝集非常に少なく優良(断熱梱包材全く無しで夏場に輸送を行っても凝集物の発生なし)
○:フルイ上の量が、5〜30%で凝集量少なく良好(ダンボール梱包のみで夏場に輸送を行っても凝集物の発生なし)
×:フルイ上の量が、30%より多く、凝集量が多く実用上問題(保冷輸送の必要有り)。
〈最低定着温度〉
上記評価機の定着器の加熱ローラー表面温度を、紙表面温度が80〜150℃の範囲で10℃刻みで変化するように変更し、各変更温度でトナー画像を定着して定着画像を作製した。尚、プリント画像の作製に当たっては、A4版サイズの上質紙(80g/m2)を使用した。
定着して得られたプリント画像の定着強度を、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法を用いて定着率により評価した。
具体的には、トナー付着量が0.6mg/cm2である2.54cm角のベタ黒プリント画像を作製した後、「スコッチメンディングテープ」(住友3M社製)で剥離する前後の画像濃度を測定し、画像濃度の残存率を定着率として求めた。
定着率が95%以上得られた「転写材(紙)表面温度」を最低定着温度とする。尚、転写材(紙)表面温度は非接触温度計で測定した。また、画像濃度は反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)で測定した。
評価基準
◎:最低定着温度95℃未満での定着が可能
○:最低定着温度95℃以上、105℃未満での定着が可能
△:最低定着温度105℃以上、120℃未満での定着が可能
×:最低定着温度120℃以上での定着が可能。
〈薄紙のしわ〉
転写材として40g/m2の薄手の紙を用い、ソリッド画像を20枚(A4版)プリントアウトした。得られたプリント20枚を目視で、しわを下記評価基準で評価した。
評価基準
◎:しわの発生が、無かった
○:しわの発生が、平均2枚未満であった
×:しわの発生が、平均2枚以上あった。
〈光沢塗工紙の画像不良〉
転写材として光沢塗工紙(三菱製紙(株)製、特菱アート、75g/m2)を用い、20枚(A4版)ソリッド画像(ベタ黒画像)をプリントアウトした。ソリッド画像中の径1mm以上の白点ぬけを目視でカウントし、その白点ぬけの数で光沢塗工紙の画像不良を評価した。
評価基準
◎:ソリッド画像に、白点ぬけが全く無い
○:ソリッド画像に、1mm以上の白点ぬけが平均1〜3個有った
×:ソリッド画像に、1mm以上の白点ぬけが平均3個より多く有った。
評価結果を表2に示す。
Figure 0004189601
表2から明らかなように、「実施例1〜7」はいずれの評価項目も良好な結果が得られたが、「比較例1」では良好な結果を見出すことができなかた。尚、最低定着温度の評価において、「◎」となったものは紙表面温度が80℃のときも良好な定着画像が得られることを確認した。
本発明に係るトナー粒子の構造を示す模式図である。 本発明に係る画像形成方法に用いる画像形成装置(熱定着ローラー定着)の一例を示す概略図である。 ニップ幅を確保するためにベルトと加熱ローラーを用いた定着装置の一例を示す概略図である。 定着ニップを確保するとともに、転写材の巻き付きを防止し、画質に優れるソフトローラーと加熱ローラーを用いた定着装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 半導体レーザ光源
2 ポリゴンミラー
3 fθレンズ
4 感光体ドラム
5 帯電器
6 現像器
7 転写器
8 転写紙
9 分離器
10 定着器
11 クリーニング器
12 帯電前露光
13 クリーニングブレード
71 加熱ローラー
72 加圧ローラー
75 加熱部材
81 加熱ローラーの芯金
82 加熱ローラーの被覆層
83 加圧ローラーの芯金
84 加圧ローラーの被覆層

Claims (5)

  1. 樹脂と着色剤を含有するトナー粒子からなり、
    該トナー粒子を100nmの切片とし、80kVの加速電圧による透過型電子顕微鏡で観察したときに、
    該トナー粒子は、着色剤を含有する領域Aと、該トナー粒子の表面から1μm以内の領域に該領域Aよりも電子を透過する炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を有するビニル重合体を含有する領域Bとが観察されることを特徴とするトナー。
  2. 前記領域Aと前記領域Bに含有される樹脂の溶解度パラメータ値は、領域Bが領域Aよりも低く、その差が0.20〜0.70であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記領域Bは、ガラス転移温度が50〜65℃の樹脂からなり、前記領域Aは、定着助剤を含有し、ガラス転移温度が−20〜39℃の樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  4. 着色剤を含有する領域Aの周囲に、別の領域Bを形成する工程を経てトナー粒子を作製するトナーの製造方法であって、
    該領域Aと該領域Bに含有される樹脂の溶解度パラメータ値は、領域Bが領域Aよりも低く、その差が0.20〜0.70であり、
    且つ、該領域Bを形成する樹脂は、炭素数6〜20の分岐してもよいアルキル基またはアルキレン基を有する重合性単量体を用いて形成されることを特徴とするトナーの製造方法。
  5. 請求項1または2に記載のトナーを用いる画像形成方法であって、転写材の表面温度を80〜105℃に加熱して転写材上にトナー画像を定着することを特徴とする画像形成方法。
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