JP4190331B2 - 創外固定器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、整形外科領域に用いられる創外固定器に関する。
【0002】
【従来の技術】
創外固定方式の骨折治療器具として、棒状部材と、その両端に配設する一対の支持体と、一方の支持体に保持される2〜4本のピンと、他方の支持体に保持される2〜6本のピンとを有する創外固定器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−172119号公報(第3頁、図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の創外固定器は、2つの支持体およびこれらの支持体を連結する構造が大型になり、装着感が良くないとともに、小さな骨折部位には適用不可能である。また、各ピンの角度に自由度がなく、取扱いが容易でない。
【0005】
すなわち、この従来例を含め従来の創外固定器では、骨折線をまたいだ各骨片に対してピンを2〜6本刺入し、各骨片の整復を行うこととしているが、骨片が小さく粉砕ぎみの場合は、ピンを刺入してもピンにより各骨片の整復位を保持すること自体が非常に難しく適用不可能であった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小型でピンの角度も自由に設定でき、骨片が小さく粉砕ぎみの場合であっても、各骨片の整復位を保持することが可能な創外固定器を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、骨に刺入される複数のピンと、複数のピンにそれぞれ嵌着され相互に回動可能に結合された複数のボールジョイント手段と、複数のボールジョイント手段をそれぞれ固定することで複数のピン間を固定する固定手段とを具備し、さらに、ボールジョイント手段は、ピンが挿入されるピン孔を割溝の中に形成したボール部と、ボール部と一体形成され隣接する他方のボールジョイント手段のボール部に回動可能に嵌合される球面穴を有し球面穴の一部を割溝により切欠いた球面軸受部とを具備し、固定手段は、球面軸受部の割溝を締付けることにより球面軸受部とボール部とを固定するとともにボール部とピンとを固定する固定ねじとした創外固定器である。
【0008】
これにより、各ピンを骨に刺入するときは、固定手段を固定解除することで、各ボールジョイント手段を回動可能として、各ピンの角度を自由に設定でき、各ピンの取扱いを容易にできるとともに、ピンを骨に刺入した後は、固定手段によりボールジョイント手段を固定することで、各ピン間を相互に固定できる創外固定器を提供できる。また、ボールジョイント手段によりピン間を直接結合することで、創外固定器の小型化を図れ、従来は小さくて適用不可能であった骨片の固定にも適用できる。そして、ピン刺入前に骨片間の整復位が一時的に得られる場合には、本創外固定器のボールジョイント手段を用いて、骨折線をまたいで3次元的にピンを刺入することが可能なため、一方の骨片が粉砕ぎみであっても、創外固定法を用いて各骨片の整復位を保持することが可能となる。さらに、固定ねじで球面軸受部の割溝を締付けることにより、球面軸受部の球面穴とこの球面穴に嵌合された隣接する他方のボールジョイント手段のボール部とを固定できるとともに、ボール部の割溝の中に形成されたピン孔とこのピン孔に挿入されたピンとを同時に固定でき、これらを別々に固定する場合と比較して操作性を向上できる。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の創外固定器におけるボールジョイント手段において、隣接する一方のボールジョイント手段の球面軸受部の割溝および固定ねじが、ボール部の中心軸と球面穴の中心軸とを含む面に対し、一側に位置するとともに、隣接する他方のボールジョイント手段の球面軸受部の割溝および固定ねじが、ボール部の中心軸と球面穴の中心軸とを含む面に対し、他側に位置するように形成されたものであり、このように、隣接するボールジョイント手段の固定ねじが、ピンの一側および他側に交互に位置するので、隣接する固定ねじの間に十分な固定ねじ回動操作用のスペースを確保でき、固定ねじの回動操作を容易にできる。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の創外固定器におけるボールジョイント手段において、隣接する一方のボールジョイント手段の球面軸受部が、隣接する他方のボールジョイント手段のボール部を抱きかかえるように、相互に隣接するボールジョイント手段が一部オーバーラップするものであり、このように、隣接する一方のボールジョイント手段の球面軸受部が他方のボールジョイント手段のボール部を抱きかかえるように、隣接するボールジョイント手段どうしを一部オーバーラップさせることにより、ピンとピンとの間隔を小さく設定でき、創外固定器の全体をコンパクトに構成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図6を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、橈骨11の遠位端12を骨折した場合の創外固定器13による治療例を示し、橈骨11に隣接する尺骨14に刺入することなく橈骨11に直接刺入された複数のピン21と、これらの複数のピン21にそれぞれ嵌着され相互に回動可能に結合された複数のボールジョイント手段22と、これらの複数のボールジョイント手段22をそれぞれ固定することで複数のピン21間を固定する固定手段としての固定ねじ23とを具備している。
【0013】
図2および図3に示されるように、前記ボールジョイント手段22は、ピン21が挿入されるピン孔24を割溝25の中に形成したボール部26と、このボール部26に首部27を介し一体形成された球面軸受部28とを具備している。これらのボール部26および球面軸受部28は、例えばアルミニューム合金などを切削加工して一体に成形する。
【0014】
ピン孔24は、ボール部26、首部27および球面軸受部28を貫通して設けられ、また、割溝25は、ボール部26から首部27にわたって設けられ、この割溝25により確保された首部27の可撓性によりボール部26の縮径が可能となっている。
【0015】
球面軸受部28は、隣接する他のボール部26に回動可能に嵌合される球面穴31を有し、球面穴31の一部を割溝32により切欠いたものである。さらに、この球面軸受部28は、割溝32が設けられた部分に対し球面穴31の反対側に突出部33が設けられ、この突出部33に対しボール部26の首部27が直角に形成されている。
【0016】
球面軸受部28には、球面穴31の周囲に設けられた薄肉円弧状部34の接線方向に形成されたねじ挿入部35と、このねじ挿入部35に対し肉厚に形成されたねじ孔形成部36とが、割溝32を介し対向して設けられ、ねじ挿入部35に穿設されたねじ挿入孔37(図3)より、ねじ孔形成部36に形成されたねじ孔38に、固定ねじ23が螺入されている。
【0017】
この固定ねじ23は、球面軸受部28の割溝32を締付けることにより、球面穴31を縮径させて、この球面穴31の内面とボール部26とを固定するとともに、割溝25により縮径可能なボール部26を縮径させて、そのピン孔24の内面とピン21とを固定するものである。
【0018】
ピン21は、図3に示されるように、先端に穿孔刃41およびねじ溝42が形成されている。
【0019】
図3に示されるように、一端のボールジョイント手段22aは、球面軸受部28のみが設けられ、ボール部26が設けられていない。また、他端のボールジョイント手段22bは、ボール部26のみが設けられ、球面軸受部28が設けられていない。
【0020】
図4に示されるように、一連のボールジョイント手段22は、隣接する一方のボールジョイント手段22の球面軸受部28の割溝32および固定ねじ23が、ボール部26の中心軸と球面穴31の中心軸とを含む面に対し、一側に位置するとともに、隣接する他方のボールジョイント手段22の球面軸受部28の割溝32および固定ねじ23が、ボール部26の中心軸と球面穴31の中心軸とを含む面に対し、他側に位置するように形成されている。
【0021】
これにより、図5に示されるように、隣接するボールジョイント手段22のねじ孔38および固定ねじ23が、ピン21の一側および他側に交互に位置するので、隣接する固定ねじ23の間に十分な固定ねじ回動操作用のスペースを確保でき、固定ねじ23の回動操作を容易にできる。
【0022】
さらに、図6に示されるように、隣接する相対的に上方のボールジョイント手段22の球面軸受部28が、隣接する相対的に下方のボールジョイント手段22のボール部26を抱きかかえるように、相互に隣接するボールジョイント手段22が一部オーバーラップするように構成されている。
【0023】
このように、隣接する一方のボールジョイント手段22の球面軸受部28が他方のボールジョイント手段22のボール部26を抱きかかえるように、隣接するボールジョイント手段22どうしを一部オーバーラップさせることにより、ピン21とピン21との間隔を小さく設定でき、創外固定器13の全体をコンパクトに構成できる。
【0024】
次に、この図示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0025】
図1に示されるように、各ピン21を骨折部位に刺入するときは、各固定ねじ23を弛めることにより、各ボールジョイント手段22,22aの球面軸受部28の薄肉円弧状部34が持つ復元力により球面穴31が拡径するので、各ボールジョイント手段22,22aの球面軸受部28に対しボール部26が回動可能となるとともに、球面穴31の締付力から解放されたボール部26が首部27の復元力で拡径して、ピン孔24が拡大するので、各ボール部26のピン孔24に対しピン21の脱着が可能となる。
【0026】
したがって、各ピン21を骨折部位に刺入するときは、球面軸受部28に対し回動可能のボール部26などに挿入された各ピン21の角度を自由に設定でき、各ピン21の取扱いを容易にできる。
【0027】
また、ピン21を骨折部位に刺入した後は、固定ねじ23によりボールジョイント手段22を締付固定することで、各ピン21間を相互に固定できる。
【0028】
すなわち、固定ねじ23で球面軸受部28の割溝32を締付けることにより、球面軸受部28の球面穴31と、この球面穴31に嵌合されたボール部26とを固定できるとともに、ボール部26の割溝25の中に形成されたピン孔24と、このピン孔24に挿入されたピン21とを同時に固定でき、これらを別々に固定する場合と比較して操作性を向上できる。
【0029】
また、隣接するボールジョイント手段22の固定ねじ23が、図5に示されるようにピン21の一側および他側に交互に位置するので、隣接する固定ねじ23の間に十分な固定ねじ回動操作用のスペースを確保でき、固定ねじ23の回動操作を容易にできる。
【0030】
さらに、ボールジョイント手段22により創外固定器13の小型化を図れ、従来は小さくて適用不可能であった骨折部位にも、この創外固定器13を適用できる。
【0031】
特に、図6に示されるように、隣接する一方のボールジョイント手段22の球面軸受部28が他方のボールジョイント手段22のボール部26を抱きかかえるように、隣接するボールジョイント手段22どうしを一部オーバーラップさせることにより、ピン21とピン21との間隔を小さく設定でき、細いピン21を小さな骨折部位に数多く刺入できるとともに、創外固定器13の全体をコンパクトに構成できる。
【0032】
図1に例示されるような橈骨11の骨折治療では、橈骨11の骨折部位をピン21のみで治療することも可能であり、その場合は、尺骨14を貫通させたピン21を橈骨11の骨折部位に刺入することで、ピン21を固定しているが、固定ねじ23により固定された一連のボールジョイント手段22が、尺骨14の代わりにピン21を固定するので、ピン21を尺骨14に通す必要がなくなり、尺骨14の損傷を防止できるとともに、橈骨11に対する尺骨14の運動が可能となる。
【0033】
なお、本創外固定器13は、図1に示された橈骨11の遠位端12を骨折した場合の治療例に用途を限定されるものではなく、他の骨折部位にも適用できることは言うまでもない。
【0034】
特に、ピン刺入前に骨片間の整復位が一時的に得られる場合には、本創外固定器13のボールジョイント手段22を用いて、骨折線をまたいで3次元的にピン21を刺入することが可能なため、一方の骨片が粉砕ぎみであっても、創外固定法を用いて、各骨片の整復位を保持することが可能となる。
【0035】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、各ピンを骨に刺入するときは、固定手段を固定解除することで、各ボールジョイント手段を回動可能として、各ピンの角度を自由に設定でき、各ピンの取扱いを容易にできるとともに、ピンを骨に刺入した後は、固定手段によりボールジョイント手段を固定することで、各ピン間を相互に固定できる創外固定器を提供できる。また、ボールジョイント手段によりピン間を直接結合することで創外固定器の小型化を図れ、従来は小さくて適用不可能であった骨片の固定にも適用できる。そして、ピン刺入前に骨片間の整復位が一時的に得られる場合には、本創外固定器のボールジョイント手段を用いて、骨折線をまたいで3次元的にピンを刺入することが可能なため、一方の骨片が粉砕ぎみであっても、創外固定法を用いて、各骨片の整復位を保持することが可能となる。さらに、固定ねじで球面軸受部の割溝を締付けることにより、球面軸受部の球面穴とこの球面穴に嵌合された隣接する他方のボールジョイント手段のボール部とを固定できるとともに、ボール部の割溝の中に形成されたピン孔とこのピン孔に挿入されたピンとを同時に固定でき、これらを別々に固定する場合と比較して操作性を向上できる。
【0036】
請求項2記載の発明によれば、隣接するボールジョイント手段の固定ねじが、ピンの一側および他側に交互に位置するので、隣接する固定ねじの間に十分な固定ねじ回動操作用のスペースを確保でき、固定ねじの回動操作を容易にできる。
【0037】
請求項3記載の発明によれば、隣接する一方のボールジョイント手段の球面軸受部が他方のボールジョイント手段のボール部を抱きかかえるように、隣接するボールジョイント手段どうしを一部オーバーラップさせることにより、ピンとピンとの間隔を小さく設定でき、創外固定器の全体をコンパクトに構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る創外固定器の一実施の形態を示す使用状態の斜視図である。
【図2】 同上創外固定器のピン以外の拡大斜視図である。
【図3】 同上創外固定器の分解斜視図である。
【図4】 同上創外固定器の平面図である。
【図5】 同上創外固定器の背面図である。
【図6】 同上創外固定器の側面図である。
【符号の説明】
21 ピン
22 ボールジョイント手段
23 固定手段としての固定ねじ
24 ピン孔
25 割溝
26 ボール部
28 球面軸受部
31 球面穴
32 割溝
Claims (3)
- 骨に刺入される複数のピンと、
複数のピンにそれぞれ嵌着され相互に回動可能に結合された複数のボールジョイント手段と、
複数のボールジョイント手段をそれぞれ固定することで複数のピン間を固定する固定手段とを具備し、
ボールジョイント手段は、
ピンが挿入されるピン孔を割溝の中に形成したボール部と、
ボール部と一体形成され隣接する他方のボールジョイント手段のボール部に回動可能に嵌合される球面穴を有し球面穴の一部を割溝により切欠いた球面軸受部とを具備し、
固定手段は、球面軸受部の割溝を締付けることにより球面軸受部とボール部とを固定するとともにボール部とピンとを固定する固定ねじである
ことを特徴とする創外固定器。 - ボールジョイント手段は、
隣接する一方のボールジョイント手段の球面軸受部の割溝および固定ねじが、ボール部の中心軸と球面穴の中心軸とを含む面に対し、一側に位置するとともに、隣接する他方のボールジョイント手段の球面軸受部の割溝および固定ねじが、ボール部の中心軸と球面穴の中心軸とを含む面に対し、他側に位置するように形成された
ことを特徴とする請求項1記載の創外固定器。 - ボールジョイント手段は、
隣接する一方のボールジョイント手段の球面軸受部が、隣接する他方のボールジョイント手段のボール部を抱きかかえるように、相互に隣接するボールジョイント手段が一部オーバーラップする
ことを特徴とする請求項1または2記載の創外固定器。
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