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JP4190971B2 - ゴルフボールのディンプル効果の評価方法およびゴルフボール - Google Patents
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ゴルフボールのディンプル効果の評価方法およびゴルフボール Download PDF

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本発明は、ゴルフボールのディンプル効果の評価方法およびゴルフボールに関し、詳しくは、表面にディンプルを有するゴルフボールが空間を飛行した場合における空気抵抗を簡便に評価するものである。
従来よりゴルフボールや野球ボール等の物体の空力特性を知得するために種々の解析方法が提案されており、特に、ゴルフボールでは、表面に多数設けられるディンプル(凹部)がボールの空力特性に大きな影響を及ぼすことから、ディンプルの形状等の決定が重要事項となる。
ゴルフボールのディンプル形状の良否は、そのディンプルを配したゴルフボールまたはその模型を試作し、飛行試験や風洞実験等によりボール全体として空気抵抗等の評価を行っているが、試作や評価に膨大な時間と費用を費やしてしまうため、近年は、コンピュータを用いた流体シミュレーションによりゴルフボールの空力特性を評価している。
例えば、特開2002−250739号公報や特開2002−358473号公報では、評価したいディンプルが配置されたゴルフボールをコンピュータ上に形成し、ボール周りの空気流れをシミュレーションした結果から球体全体としての抵抗係数や揚力係数を算出して、ボールの空力特性を評価している。
また、特開2002−340735号公報では、溝部を有する円柱モデルをコンピュータ上に形成し、ゴルフボールのディンプルを溝部に見立てて、円柱モデルの切断面と同一の断面形状を有する球体等の物体周囲の気体流れの解析に応用している。
しかしながら、上記各特許文献によると、複数個のディンプルを配したボール全体としてボールの空力特性をマクロに評価しており、ディンプル単独では評価されていなかった。これらの方法では、ボール全体をコンピュータ上で再現するため多大な計算コストが必要となり、ゴルフボールの商品開発上の大きな問題となっている。
また、この問題を回避するためディンプルを単独で評価しようにも、ディンプル単体での評価指標が確立されておらず、ディンプルの何を評価すればボール全体としての空力特性の評価に繋がるのかも分かっていないという状況である。
特開2002−250739号公報 特開2002−358473号公報 特開2002−340735号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、表面にディンプルを有するゴルフボールの空力特性をディンプル単体で評価するための手法を提案することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明は、 ゴルフボール表面のディンプルにより発生する渦流のうち、空気流れ方向と同一方向に渦流主軸を有する縦渦流の強さを、ゴルフボールに対する空気抵抗を小として飛行特性を高める基準とし
上記縦渦流の強さは、上記ディンプル上を流れる気体の流れ方向をY方向、上記ディンプル位置の法線方向に垂直で且つ気体の流れ方向に対して垂直な方向をX方向とし、上記Y方向の流速のX方向分布をサンプリングし、該サンプリングした各Y方向速度のうち最大速度と最小速度との速度差により評価し、該速度差が大きい程、縦渦流の強さが大となり上記空気抵抗が小さくなるとしているゴルフボールのディンプル効果の評価方法を提供している。
本発明者は、後述するように、ゴルフボールのディンプル(凹部)周辺の渦構造を詳細に観察することで、空気流れ方向と同方向に主軸を有するスパイラル状の縦渦が発生していることを見い出した。そこで、ディンプルの効果で流れのせん断方向に旋回する縦渦流をより強く発生させた方が気体流のエネルギーが高くなり、境界層流れの剥離点が後流側に後退し、ゴルフボールの抵抗係数が小さくなると判断することができる。
したがって、上記方法によると、ゴルフボールのディンプル単体での縦渦の強弱を単独で評価するだけで、ゴルフボールの空気抵抗を簡易に評価することが可能となる。これにより、空気抵抗の少ないゴルフボールのディンプル設計を短時間で容易に行うことが可能となる。
上記縦渦流の強さは、上記ディンプル上を流れる気体の流れ方向をY方向、上記ディンプル位置の法線方向に垂直で且つ気体の流れ方向に対して垂直な方向をX方向とし、上記Y方向の流速のX方向分布をサンプリングし、該サンプリングした各Y方向速度のうち最大速度と最小速度との速度差により評価し、該速度差が大きい程、縦渦流の強さが大となり上記空気抵抗が小さくなると評価している。
ゴルフボールのディンプル上を流れる気体のY方向速度のX方向分布において、この中の最大速度と最小速度との速度差が大きくなれば、流れのせん断力が大きくなるため、Y方向に軸を有する縦渦流が強く発生すると言える。縦渦が強く発生すれば、ゴルフボール表面の境界層流れの剥離点が後流側に遷移し、ゴルフボールの気体に対する抵抗係数が小さくなると判断することができる。
よって、ゴルフボールのディンプル単体上での気体速度を単独で評価するだけで、ゴルフボールの空気抵抗を簡易に評価することが可能となる。
なお、上記評価方法は、コンピュータシミュレーションに適用してもよいし、実験による評価で行ってもよい。
上記ディンプルはY方向の中心軸線に対して対称形状とし、該中心軸線で分割される上記ディンプルの片半分領域において、上記気体のY方向速度のX方向分布をサンプリングしている。
即ち、ディンプル形状が気体の流れ方向に対して対称である場合には、片半分領域でのみ気体のX方向に分布した各Y方向速度の最大速度と最小速度との速度差を判断すればよい。
コンピュータ上で1つのディンプルを表面に有するゴルフボールを形成し、上記ゴルフボールのディンプルの周囲に有限空間を形成すると共に、該有限空間を区画分割してセルを多数形成し、
上記有限空間の一側から気体を上記ゴルフボールのディンプル表面に沿って流入させると共に、上記有限空間内を通過させて他側より流出させ、上記有限空間内の上記セル毎に気体の速度を演算し、上記ディンプルの周囲の気体の速度分布をシミューレションして、上記縦渦流の強さを評価している。
このように、コンピュータ上でシミュレーションによりゴルフボールのディンプル周囲の流れの速度分布を演算することで、X方向に分布した各Y方向速度の最大速度と最小速度との速度差を簡単に算出することができ、解析にかかる時間を大幅に短縮することができる
上記ゴルフボールのディンプルの形状、面積、深さ、断面形状あるいは/および体積の条件を変化させてコンピュータ上で上記シミュレーションを行い、上記ディンプルの形状、面積、深さ、断面形状あるいは/および体積と縦渦流の強さとの相関関係を評価している。
上記のようにすると、上記ゴルフボールのディンプルを決定する因子である形状、面積、深さ、断面形状、体積の各条件を変更してシミュレーションし、その計算結果の速度を夫々評価することで、縦渦流と上記各因子との相関関係を容易に知得することができる。
また、本発明は、上記ゴルフボールのディンプル効果の評価方法に基づき、上記縦渦流を強めるようにディンプルの形状、面積、深さ、断面形状あるいは/および体積を設定としていることを特徴とするゴルフボールを提供している。
即ち、上記評価方法により決定した、強い縦渦流を発生させるディンプルの形状、面積、深さ、断面形状あるいは/および体積をゴルフボールに採用することで、空気抵抗の少ないゴルフボールを提供することができる。
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ゴルフボールのディンプルで流れのせん断方向に旋回する縦渦流をより強く発生させた方が気体流のエネルギーが高くなり、境界層流れの剥離点が後流側に後退し、ゴルフボールに対する空気抵抗が小さくなると評価することができる。
具体的には、ディンプル上を流れる気体のX方向に分布した各Y方向速度のうち最大速度と最小速度との速度差を評価するだけで、ディンプルを有するゴルフボールの空気抵抗を評価することができる。つまり、該速度差が大きくなれば流れのせん断力が大きくなるため、Y方向に軸を有する縦渦が強く発生し、ゴルフボールの抵抗係数が小さくなると判断することができる。また、この評価手法をコンピューターシミュレーションに用いれば、例えばゴルフボール設計等において、ボールを試作しなくても、ディンプル上での気体速度を単独で評価するだけで、ゴルフボールの空気抵抗を簡単に評価することができ、設計効率を向上させることが可能となる。
先ず、本発明の実施形態の説明に入る前に、本発明者が見い出したゴルフボールのディンプルで発生する縦渦構造について説明する。
図1に示すように、ディンプルDを有するゴルフボールGの表面を流れる気体は、表面から離れたところを流れる気体はディンプルDの影響を受けずに速い流速のまま流れる一方で、ゴルフボールGの表面近傍を流れる境界層ではディンプルD部分で流路が急拡大する現象が発生するため流速が遅くなる。これは、一般に知られている急拡大管における流れの減速現象と同様の原理である。
上記現象をディンプルDの上方から考察してみると、図2(A)に示すように、一様流で流入してくる気体は、ディンプルDが円形であることよりA点→B点→C点の順番で速度低下が始まる。つまり、C点でのせん断方向の速度分布を見ると、中心側の速度が小さく、両側の速度が大きくなるような速度差が発生する。
このように流れに対してせん断方向の速度差が生じると、気体流にせん断力が発生して気体が捻られ、図2(B)(C)に示すように、気体の流れ方向と同方向に主軸を有するスパイラル状の縦渦Vが発生する。
一般に、物体周りの気体流では、強い渦を多く発生させた方が境界層のエネルギーが増大し、境界層の物体からの剥離点を後流側に後退させることができ、抵抗係数が低減されることが分かっている。よって、上記した縦渦Vを強く発生させるディンプルを形成すれば、ゴルフボールの抵抗係数を小さくすることができると言い換えることができ、つまり、せん断方向に分布した気体流速の速度差が大きいディンプルを有するゴルフボールほど、空気抵抗が少なく飛行特性が良いといえる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図3は、本発明のディンプル効果の評価方法を適用したプログラムを用いたシミュレーション方法のフローチャートを示す。
先ず、シミュレーションの準備段階として、プログラムに含まれる作図ソフトでシミュレーションにかかる対象のゴルフボールとして、図4(B)に示すような断面円弧状のディンプル10aを頂点に1つ備えた半球体10をコンピュータの仮想空間上で三次元的に作成している。次いで、気体流のシミュレーション対象となる空間をモデル化するために、図4(A)に示すように、半球体10の球面側周囲の空間において、ブロック状に区切って有限空間20を形成している。この際、図4(C)に示すように、半球体10のディンプル10aは流れ方向であるY方向に対して90°の位置に配置している。
ここで、対象物体を球体とせず半球体とし、有限空間20についても半球体10の球面側だけに形成しているのは、球体を流れ空間の中心ライン上に設定して全体を計算せずとも、球体は対称形状であり、流れ方向に対して半分側だけを計算することで現象を把握できるため、半分側だけを計算対象として計算時間の短縮を図っていることによる。
この際、演算効率を考慮した上で半球体10表面のディンプル10aによる気体流の速度変化の状態を充分に評価できるように、有限空間20の長さL1はディンプル10a深さの15倍以上で1000倍以下、あるいは、半球体10の直径の3倍以上で200倍以下としている。幅L2はディンプル10a深さの10倍以上で500倍以下、あるいは、半球体10の直径の2倍以上で100倍以下としている。高さL3はディンプル10a深さの10倍以上で500倍以下、あるいは、半球体10の直径の2倍以上で100倍以下に設定している。
このような有限空間20を、半球体10表面を含むようにして格子状に区画分割し、多数のセル20aを形成している。分割するセル20aの大きさは、気体流の変動スケールに比べて十分に小さく設定すべく、半球体10の周囲、特に、後流域にかけて小さいセルで分割して計算精度を高めていると共に、半球体10から離れた部位はセルの寸法を大きくして計算時間を短縮させる工夫を行っている。
また、各セル20aの形状は六面体である直方体に形成し、セル節点20bの位置座標を規定するため、有限空間20において気体流れ方向をY方向、半球体10のディンプル10aに対する法線方向をZ方向、Y・Z方向に対して垂直方向をX方向としている。なお、セル20aの形状は、六面体である直方体以外にも、三角錐、四角錐、三角柱等の形状に形成することが可能であり、これら種々の形状を組み合わせて有限空間を区画分割しても構わない。
上記のようなモデル化を行った後、シミュレーション用プログラムは、図4(A)に示すように、一様流である気体(空気)を有限空間20の一面側から流入させ、有限空間20の内部を通過させて他面側より流出させている。このような気体の流れに関する支配方程式には、下記の3次元圧縮性Navier-Stokes方程式を使用している。
Figure 0004190971
ここで、Qは変数ベクトル、F(Q)およびG(Q)はそれぞれ非粘性および粘性流束ベクトルを表している。nは検査体積Ωの境界面∂Ω上における外向き単位法線ベクトルである。この支配方程式は、セル節点有限体積法により次式のように離散化して、有限空間20の各セル20a毎に空気の流れを演算解析している。
Figure 0004190971
ここで、ΔSijは格子点iとjからなる辺に関する検査体積境界面の面積であり、Vは検査体積Ωの体積を表し、hは検査体積境界面に垂直な非粘性数値流束ベクトルであり、Qij およびQij はそれぞれ検査体積境界面の両側の値である。
なお、シミュレーションの方法はシミュレーションの条件等を考慮して有限体積法の他、有限差分法、有限要素法、境界要素法等を適宜選択して行うとよい。また、上記シミュレーション方法に乱流モデルを用いても構わない。
上記離散化された式による演算は、有限体積法を用いる場合であれば、セル20aの境界の物理量の出入の釣り合いを近似して行い、特定時間における気体の流れに関する運動要素である気体速度、流れ方向、半球体表面への気体圧力をそれぞれ求め、これら各セル20aの演算結果を組み合わせることで有限空間20全体の気体の流れにかかる運動を数値化する。これを、微小時間dt経過毎に演算して各時間帯における気体流の運動を数値化している。
次に、これら演算結果を用いて半球体10のディンプル10aにおける縦渦の発生の強弱を評価する。
ディンプル10aの上流端からY方向に直径の0%〜50%の距離だけ離れた位置において、X方向はディンプル10aの幅と同一で、かつ、Z方向にディンプル深さの100倍の高さを有する長方形状の領域内にあるサンプリング用断面内の気体のY方向速度のX方向分布を抽出する。この際、ディンプル10aはY方向に対して対称であるため、ディンプル10aのY方向に対する片半分領域においてのみサンプリングすることとする。なお、サンプリング点数は精度面を考慮して5個以上であることが好ましく、計算時間を考慮すると1000個以下が好ましい。
上記サンプリング用断面内の中に分布する各Y方向速度の中で、最大速度と最小速度の最小速度との速度差を計算する。この速度差が大きいほどY方向に軸を有する縦渦が強く発生し、半球体10の空気抵抗が小さくなると判断する。
そして、ディンプル10aの形状、面積、深さ、断面形状、体積の条件を変化させて様々な条件で上記シミュレーションを行うことで、空気抵抗の少ない最適なディンプルの形状、面積、深さ、断面形状、体積を見い出す。
このように、本発明の評価方法を用いたシミュレーションを行えば、ゴルフボールを試作しなくても、ディンプルでの気体速度を単独で評価するだけで、ゴルフボールの抵抗係数を簡単に評価することができ、設計効率を飛躍的に向上させることを可能にしている。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、演算対象をディンプル一個のみを配する物体から複数のディンプルを配した物体まで適宜増減することが可能である。また、回転時の球体をシミュレーション対象にする場合は、球体表面の速度をゼロにするのではなく、球体の回転速度で球体表面の接線方向の成分を球体表面に速度として演算するようにしてもよい。さらに、有限空間への気体の流入および流出条件は一様流とする以外に、シミュレーションの条件に応じて、速度分布や気流の乱れ条件を流入速度に成分として付加してもよい。
以下、上記実施形態の具体例について説明する。
(実施例1)
ゴルフボールに設けたディンプルによる空気抵抗の変化をシミュレーションする場合として、実施例1では、半球体10の直径を42.7mmとすると共に、有限空間20の長さL1を2500mm、幅L2を500mm、高さL3を1000mmとしている。半球体10には略半球状の窪みであるディンプル10aを1つだけ設けており、上面視で円形のディンプル10aの直径は3.8mm、深さは0.15mm、断面形状はシングルラジアス、上面視での面積は11.34mm、ディンプル内の体積は0.852mmとしている。
本実施例では、ゴルフボールが50m/sの速度で空気中を飛行する場合を想定して、有限空間20の一側より気体を50m/sの一様流で流してシミュレーションした。また、半球体10表面を滑りなしの条件として半球体10表面における速度成分をゼロとした。
上記条件のもとシミュレーションを行い、ディンプル10aの上流端からY方向に直径の15%の距離だけ離れた位置おいてサンプリング用断面を設定している。サンプリング用断面は、X方向はその15%位置でのディンプル10aの幅と同一とし、かつ、Z方向にはその15%位置での深さをdとした場合においてディンプル10aの底から4dの高さを有する長方形状の領域としている。このサンプリング用断面内の気体のY方向速度のX方向分布を任意の時間において抽出した。サンプリング用断面内に分布する速度のうち、最大速度と最小速度との速度差を算出すると、約20m/sであった。
なお、上記速度分布を可視化すると図6(A)に示すようになる。気体の速度の可視化は、上記シミューレションによる演算値を市販の可視化ソフト(FIELD VIEW:米国Intelligent Light社製)に入力して行っている。図6(A)はベクトルが長い方が空気の速度が速いことを示している。また、ベクトルの色によっても速度を認識できるようにしており、青色は0〜7.5m/s、緑色は7.5〜15m/s、黄色は15〜22.5m/s、赤色は22.5〜30m/sとしている。
(実施例2)
実施例2は、半球体10には略半球状の窪みであるディンプル10aを1つだけ設けており、ディンプル10aの直径は3.9mm、深さは0.1mm、断面形状はシングルラジアス、上面視での面積は11.94mm、ディンプル内の体積は0.598mmとしている。他の条件は実施例1と同様である。
サンプリング断面内のX方向に分布する気体の各Y方向速度の速度分布を可視化すると図6(B)に示すようになる。サンプリング断面内に分布する速度のうち、最大速度と最小速度との速度差を算出すると、約13m/sであった。
(評価)
上記実施例1と実施例2とを比較すると、実施例1は実施例2に比べて流れのせん断方向の速度差が大きいため、実施例1の方がディンプル10a上の気体流に強いせん断力が生じ、縦渦が強く発生するといえる。つまり、実施例1の方が剥離点が後流側に後退して空気抵抗が少なくなり、飛翔特性に優れたディンプルであると評価することができる。
次に、上記実施例1と実施例2のシミュレーション結果の裏付けとして、実施例1と同様のディンプルを直径42.7mmのゴルフボールの表面に等間隔で198個配置したものと、実施例2と同様のディンプルを直径42.7mmのゴルフボールの表面に等間隔で198個配置したものとを試作し、それぞれ飛行実験を行った。該飛行実験の各条件は、打ち出し速度を50m/s、打ち出し角度を20°、ボールスピン2500rpmとした。
その結果、実施例1に対応するゴルフボールの飛距離は221yardで、実施例2に対応するゴルフボールの飛距離は213yardであった。
即ち、上記シミュレーション結果と同様に、実施例1のディンプルを採用した方が、空気抵抗が少なく飛行特性に優れているという結果が得られ、本評価方法が正しいことが確認できた。
ディンプル周囲の気体流を表す概略図である。 (A)はディンプル上での速度分布を示す平面図、(B)は縦渦を発生を示す平面図、(C)は縦渦の発生を示す断面図である。 本発明のディンプル効果の評価方法を用いたシミュレーションのフローチャートである。 (A)有限空間の格子区画を表す概略斜視図、(B)は半球体の格子区画を表す概略斜視図、(C)は有限空間内での半球体の配置を示す説明図である。 有限体積法による演算対象となる格子区画の格子点を表す概略図である。 実施例1のディンプル上での速度および方向の可視図である。 実施例2のディンプル上での速度および方向の可視図である。
符号の説明
10 半球体
10a ディンプル
20 有限空間
20a セル

Claims (5)

  1. ゴルフボール表面のディンプルにより発生する渦流のうち、空気流れ方向と同一方向に渦流主軸を有する縦渦流の強さを、ゴルフボールに対する空気抵抗を小として飛行特性を高める基準とし、
    上記縦渦流の強さは、上記ディンプル上を流れる気体の流れ方向をY方向、上記ディンプル位置の法線方向に垂直で且つ気体の流れ方向に対して垂直な方向をX方向とし、上記Y方向の流速のX方向分布をサンプリングし、該サンプリングした各Y方向速度のうち最大速度と最小速度との速度差により評価し、該速度差が大きい程、縦渦流の強さが大となり上記空気抵抗が小さくなると評価しているゴルフボールのディンプル効果の評価方法。
  2. 上記ディンプルはY方向の中心軸線に対して対称形状とし、該中心軸線で分割される上記ディンプルの片半分領域において、上記気体のY方向速度のX方向分布をサンプリングしている請求項1に記載のゴルフボールのディンプル効果の評価方法。
  3. コンピュータ上で1つのディンプルを表面に有するゴルフボールを形成し、
    上記ゴルフボールのディンプルの周囲に有限空間を形成すると共に、該有限空間を区画分割してセルを多数形成し、
    上記有限空間の一側から気体を上記ゴルフボールのディンプルの表面に沿って流入させると共に、上記有限空間内を通過させて他側より流出させ、上記有限空間内の上記セル毎に気体の速度を演算し、上記ディンプルの周囲の気体の速度分布をシミュレーションし、
    上記ディンプルにより発生する渦流のうち、空気流れ方向と同一方向に渦流主軸を有する縦渦流の強さを、ゴルフボールに対する空気抵抗を小として飛行特性を高める基準として評価しているゴルフボールのディンプル効果の評価方法。
  4. コンピュータ上で1つのディンプルを表面に有するゴルフボールを形成し、
    上記ディンプルの形状、面積、深さ、断面形状、体積のいずれか1種以上の条件を変化させ、
    上記ゴルフボールのディンプルの周囲に有限空間を形成すると共に、該有限空間を区画分割してセルを多数形成し、
    上記有限空間の一側から気体を上記ゴルフボールのディンプルの表面に沿って流入させると共に、上記有限空間内を通過させて他側より流出させ、上記有限空間内の上記セル毎に気体の速度を演算し、上記ディンプルの周囲の気体の速度分布をシミュレーションし、
    上記ディンプルにより発生する渦流のうち、空気流れ方向と同一方向に渦流主軸を有する縦渦流の強さをゴルフボールに対する空気抵抗を小として飛行特性を高める基準とし、
    上記ディンプルの形状、面積、深さ、断面形状、体積と、ディンプルにより発生する縦渦流の強さとの相関関係を評価しているゴルフボールのディンプル効果の評価方法。
  5. 請求項1乃至請求項4に記載のゴルフボールのディンプル効果の評価方法に基づき、上記縦渦流を強めるようにディンプルの形状、面積、深さ、断面形状あるいは/および体積を設定としていることを特徴とするゴルフボール。
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