JP4192346B2 - 放射光ミラー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射光ミラー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光速に近い速度で移動する電子がその進行方向を磁場や電場で曲げられると、電子の軌道の接線方向に放射光と呼ばれる電磁波(光)を放出する。
【0003】
図13は放射光発生手段の一例を示すもので、1は線形加速装置であり、該線形加速装置1は、電子(荷電粒子)eを出射する電子発生装置2と、一端が電子発生装置2に接続された直管状の加速ダクト3と、該加速ダクト3の内部を移動する電子eに高周波を付与して該電子eを加速する高周波加速装置4とを有している。
【0004】
加速ダクト3の他端には、湾曲管状の偏向ダクト5の一端が接続されており、偏向ダクト5には、その内部を移動する電子eの軌道を曲げるための偏向電磁石6が設けられている。
【0005】
7はシンクロトロン(電子蓄積リング)であり、該シンクロトロン7は、電子eに周回軌道を形成させるための無端状ダクト8を有しており、該無端状ダクト8の所要箇所には、前記の偏向ダクト5の他端が接続されている。
【0006】
この無端状ダクト8の湾曲部分には、その内部を移動する電子eの軌道を曲げるための偏向電磁石9が設けられ、無端状ダクト8の所要箇所には、該無端状ダクト8の内部を移動する電子eに高周波を付与して該電子eを加速する高周波加速装置10が設けられている。
【0007】
また、無端状ダクト8の所要箇所の湾曲部には、該湾曲部において光速に近い速度で移動する電子eの進行方向が曲げられることにより放出される放射光ビームSを、無端状ダクト8の外部へ導くためのビームライン11の一端が接続され、ビームライン11の他端には、放射光ビームSを照射光源とする実験を行なう実験装置12が設けられている。
【0008】
更に、ビームライン11の他端には、ビームライン11の内部を真空状態に保持するためのベリリウム窓(図示せず)が設けられている。
【0009】
図13に示す放射光発生手段によって放射光ビームSを放出させる際には、加速ダクト3、偏向ダクト5、無端状ダクト8、ビームライン11の内部を超高真空状態に減圧して、電子eが光速に近い速度で移動できる状態とした後、電子発生装置2から電子eを出射させる。
【0010】
電子発生装置2から出射される電子eは、高周波加速装置4によって加速され、更に、偏向電磁石6により軌道を曲げられることにより無端状ダクト8に入射する。
【0011】
無端状ダクト8に入射する電子eは、高周波加速装置10により加速されるとともに、偏向電磁石9により各湾曲部において軌道を曲げられ、これにより、電子eから該電子eの軌道の接線方向へ放射光ビームSが放出される。
【0012】
無端状ダクト8の所定箇所の湾曲部において放出される放射光ビームSは、ビームライン11を経て実験装置12に入射する。
【0013】
この放射光ビームSは、可視領域からX線領域にわたる波長の電磁波を含み、また、無端状ダクト8を周回する電子eの軌道上を発光点として進行方向に広がる発散光である。
【0014】
そこで、実験装置12において、X線領域の電磁波を利用する実験を行なう場合には、放射光ビームSに含まれているX線領域の電磁波を集光する放射光ミラー装置をビームライン11に組み込むようにしている。
【0015】
図8乃至図12は従来の放射光ミラー装置の一例を示すもので、この放射光ミラー装置は、長尺ミラー13と、該長尺ミラー13の両端部を保持する揺動ホルダ14と、該揺動ホルダ14を長尺ミラー13が湾曲し得るように枢支する支持ホルダ15と、前記の揺動ホルダ14を相互に連結する湾曲用弾性体16と、前記の長尺ミラー13、揺動ホルダ14、支持ホルダ15、湾曲用弾性体16を内装するミラーチェンバ17とを備えている。
【0016】
長尺ミラー13は、炭化珪素(SiC)、あるいは珪素(Si)の単結晶と炭化珪素を角棒状に形成したもので、上面がX線領域の電磁波を反射し得る反射面18になっている。
【0017】
揺動ホルダ14は、長尺ミラー13の端部下面の左右縁部付近に下方から当接し且つ長尺ミラー13の幅方向中央部で該長尺ミラー13に対して間隙が形成される形状の下部構成部材19と、一面が長尺ミラー13の右側面あるいは左側面に当接し且つ下端部が下部構成部材19の左右縁部付近にボルト締結された左右の側部構成部材20と、下面が長尺ミラー13の上面に対峙し且つ左右縁部付近が側部構成部材20の上端部にボルト締結された上部構成部材21と、該上部構成部材21と長尺ミラー13の上面との間に介在する押え部材22と、上部構成部材21に螺合され且つ押え部材22を長尺ミラー13へ押圧する押えボルト23とによって構成されている。
【0018】
この揺動ホルダ14に長尺ミラー13の端部を装着する際、あるいは、揺動ホルダ14から長尺ミラー13の端部を離脱させる際には、側部構成部材20に対する上部構成部材21のボルト締結を解除し、上部構成部材21を取り外すことになる。
【0019】
また、側部構成部材20のそれぞれには、長尺ミラー13の幅方向に延びる枢支軸24が互いに同軸に且つ長尺ミラー13の厚さ方向中心部に位置するように嵌入されている。
【0020】
更に、下部構成部材19には、下方へ突出する弾性体受け部25が設けられている。
【0021】
支持ホルダ15は、揺動ホルダ14の直下に配置された下部構成部材26と、一面が揺動ホルダ14の右側面あるいは左側面に対峙し且つ下端部が下部構成部材26の左右縁部付近にボルト締結された左右の側部構成部材27と、揺動ホルダ14の直上に配置され且つ左右縁部付近が側部構成部材27の上端部にボルト締結された上部構成部材28とによって構成されている。
【0022】
先に述べたように、揺動ホルダ14に長尺ミラー13の端部を装着する際、あるいは、揺動ホルダ14から長尺ミラー13の端部を離脱させる際には、側部構成部材27に対する上部構成部材28のボルト締結を解除し、上部構成部材28を取り外すことになる。
【0023】
また、側部構成部材27には、ベアリング29を介して前記の枢支軸24が支持されている。
【0024】
湾曲用弾性体16には、それぞれ同形状に形成された2本の金属性丸棒が適用されている。
【0025】
この湾曲用弾性体16は、長尺ミラー13の下方において反射面18に対して略平行となるように且つ長尺ミラー幅方向に並行配置されており、各湾曲用弾性体16の一端近傍部分は、一方の揺動ホルダ14の弾性体受け部25に装着したスラストブッシュ30に軸線方向への微小移動が許容されるように嵌入され、各湾曲用弾性体16の他端近傍部分は、他方の揺動ホルダ14の弾性体受け部25に装着したスラストブッシュ30に軸線方向への微小移動が許容されるように嵌入されている。
【0026】
更に、それぞれの湾曲用弾性体16の端部には、スラストブッシュ30から湾曲用弾性体16が抜け出すことを防止するためのスナップリング(抜け出し防止部材)50が装着されている。
【0027】
これらの長尺ミラー13、揺動ホルダ14、支持ホルダ15、湾曲用弾性体16を内装するミラーチェンバ17は、図12に示すように、一側部が開放され得るように形成され、また、ミラーチェンバ17の一端部と他端部とには、略水平に延びる短管31,32が設けられており、一方の短管31には、無端状ダクト8(図13参照)に連なるビームライン11の放射光進行方向上流側部分がフランジ接続され、他方の短管32には、実験装置12に連なるビームライン11の放射光進行方向下流側部分がフランジ接続されている。
【0028】
また、ミラーチェンバ17の一端外側部分及び他端外側部分には、該ミラーチェンバ17を後述する架台33に支持するためのブラケット34が固着されている。
【0029】
架台33は、図12に示すように、建屋床面に設置された台盤35と、該台盤35の両端部に立設された柱部材36と、前後の柱部材36の間に配置され且つ両柱部材36の上下方向中間部分に略水平に支持された梁部材37とから構成されており、前記のミラーチェンバ17は、ブラケット34に螺合した略垂直に延びる高さ調整用ボルト38の下端部が両柱部材36の上端部の受け座39に当接するように、架台33に搭載されている。
【0030】
梁部材37の一端近傍部分と他端近傍部分とには、上方に向かって略垂直に突出しステッピングモータ及び歯車減速機構によって昇降し得るロッド40を具備した位置調整用アクチュエータ41がそれぞれ取付けられている。
【0031】
位置調整用アクチュエータ41のロッド40は、それぞれミラーチェンバ17の底部を昇降可能に貫通し、両ロッド40の先端部には、先に述べた支持ホルダ15の下部構成部材26が連結されており、一方の短管31からミラーチェンバ17の内部へ向かって進行する放射光ビームS等の光波が、長尺ミラー13の一端部と一方の揺動ホルダ14の上部構成部材21との間隙を通過するように、また、ミラーチェンバ17の内部から他方の短管32へ向かって進行する上記の光波が、長尺ミラー13の他端部と他方の揺動ホルダ14の上部構成部材21との間隙を通過するようになっている。
【0032】
更に、両位置調整用アクチュエータ41のケーシングは、梁部材37の上方に該梁部材37に対して平行に位置するように配置された他の梁部材42の両端部をそれぞれ支持している。
【0033】
梁部材42の中間部分には、上方へ向かって略垂直に突出しステッピングモータ及び歯車機構によって昇降し得るロッド43を具備した湾曲量調整用アクチュエータ44が取付けられている。
【0034】
湾曲量調整用アクチュエータ44のロッド43は、ミラーチェンバ17の底部を昇降可能に貫通し、ロッド43の先端部には、変位ホルダ47が取付けられている。
【0035】
この変位ホルダ47は、先に述べた湾曲用弾性体16に対して直交する方向へ略水平に延びる短円柱状の上側変位伝達部材45及び下側変位伝達部材46を有しており、上側変位伝達部材45は、湾曲用弾性体16の軸線方向中間部分に上方から当接し得るように、また、下側変位伝達部材46は、湾曲用弾性体16の軸線方向中間部分に下方から当接し得るようになっている。
【0036】
更に、各位置調整用アクチュエータ41のロッド40において、梁部材42とミラーチェンバ17との間に位置する部分には、ベローズ48が遊嵌し、また、湾曲量調整用アクチュエータ44のロッド43において、梁部材42とミラーチェンバ17との間に位置する部分には、ベローズ49が遊嵌している。
【0037】
上記のベローズ48,49の上端部は、ミラーチェンバ17の底部に密接するように固着され、ベローズ48,49の下端部は、梁部材42の上面に密着するように固着されており、これらのベローズ48,49によって、ミラーチェンバ17の内部への外気の侵入が阻止され、ミラーチェンバ17の内部の真空が保持されるようになっている。
【0038】
図8乃至図12に示す放射光ミラー装置により、放射光ビームSに含まれているX線領域の電磁波を集光する際には、各位置調整用アクチュエータ41を適宜作動させ、一方の短管31からミラーチェンバ17の内部へ向かって進行する放射光ビームSが長尺ミラー13の反射面18に対して斜入射し得るように、長尺ミラー13の角度を調整する。
【0039】
次いで、湾曲量調整用アクチュエータ44を作動させて、変位ホルダ47を下降させると、上側変位伝達部材45が湾曲用弾性体16の軸線方向中央部分に当接して当該部分を押し下げ、両揺動ホルダ14がそれぞれの枢支軸24を中心に回動して、反射面18が凹曲面状となるように長尺ミラー13が湾曲する。
【0040】
これにより、一方の短管31からミラーチェンバ17の内部へ向かって進行する放射光ビームSは、長尺ミラー13の一端部と一方の揺動ホルダ14の上部構成部材21との間隙を通過して凹曲面状になっている長尺ミラー13の反射面18に入射し、放射光ビームSに含まれているX線領域の電磁波が反射面18により略平行光に集光され、反射面18から他方の短管32へ向かってX線ビームXが出射され、該X線ビームXは、長尺ミラー13の他端部と他方の揺動ホルダ14の上部構成部材21との間隙を通過する。
【0041】
また、湾曲量調整用アクチュエータ44によって、変位ホルダ47を先に下降させた位置から上昇させると、湾曲用弾性体16に対する押し下げ量が減少し、この押し下げ量の減少に伴い、両揺動ホルダ14がそれぞれの枢支軸24を中心に回動し、長尺ミラー13の反射面18が平板に近い形状に復帰する。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】
反射面18から出射されるX線ビームXを長尺ミラー13よりもビーム進行方向下流側で集光する場合には、反射面18を楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面に設定することが望ましく、また、X線ビームXを平行光とする場合には、反射面18を放物線形状の凹湾曲面に設定する必要がある。
【0043】
しかしながら、上述した放射光ミラー装置では、全長にわたって均一な状態の2本の湾曲用弾性体16の軸線方向中央部分に変位ホルダ47が嵌着しているので、該変位ホルダ47の昇降により揺動ホルダ14を介して長尺ミラー13の各端部に付与される曲げモーメントが略等しくなり、よって、長尺ミラー13の反射面18が略円形曲面に設定されることになる。
【0044】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、反射面を略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面にできる放射光ミラー装置を提供することを目的とするものである。
【0045】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の放射光ミラー装置では、反射面に入射する放射光ビームに含まれているX線領域の電磁波をX線ビームとして反射する長尺ミラーと、該長尺ミラーの各端部をそれぞれ保持する揺動ホルダと、長尺ミラーが湾曲し得るように各揺動ホルダを枢支する支持ホルダと、長尺ミラーの反射面側あるいは反射面の裏面側に沿って配置され且つ両端近傍部分がそれぞれ揺動ホルダに軸線方向への微小移動が許容され得るように挿通された主湾曲用弾性体と、該主湾曲用弾性体に沿って配置され且つ一端近傍部分が一方の揺動ホルダに軸線方向への微小移動が許容されるように挿通された副湾曲用弾性体と、主湾曲用弾性体の軸線方向中間部分及び副湾曲用弾性体の他端部分に嵌着し且つ長尺ミラーに対して近接離反可能な変位ホルダとを備えている。
【0046】
また、本発明の請求項2に記載の放射光ミラー装置では、反射面に入射する放射光ビームに含まれているX線領域の電磁波をX線ビームとして反射する長尺ミラーと、該長尺ミラーの各端部をそれぞれ保持する揺動ホルダと、長尺ミラーが湾曲し得るように各揺動ホルダを枢支する支持ホルダと、長尺ミラーの反射面側あるいは反射面の裏面側に沿って配置され且つ両端近傍部分がそれぞれ揺動ホルダに軸線方向への微小移動が許容され得るように挿通された湾曲用弾性体と、湾曲用弾性体の軸線方向中間部分に嵌着し且つ長尺ミラーに対して近接離反可能な変位ホルダとを備え、湾曲用弾性体の断面形状を一端から他端へ向かって徐々に縮小するように設定している。
【0047】
本発明の請求項1に記載の放射光ミラー装置においては、両端近傍部分がそれぞれ揺動ホルダに挿通された主湾曲用弾性体の軸線方向中間部分、及び一端近傍部分が一方の揺動ホルダに挿通された副湾曲用弾性体の他端部分を、変位ホルダにより長尺ミラーに対して近接離反させ、揺動ホルダを介して長尺ミラーの各端部に大きさが異なる曲げモーメントを付与し、長尺ミラーの反射面を略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面に設定する。
【0048】
また、本発明の請求項2に記載の放射光ミラー装置においては、一端から他端へ向かって徐々に断面形状が縮小するように設定された湾曲用弾性体の軸線方向中間部分を、変位ホルダにより長尺ミラーに対して近接離反させ、揺動ホルダを介して長尺ミラーの各端部に大きさが異なる曲げモーメントを付与し、長尺ミラーの反射面を略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面に設定する。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
【0050】
図1乃至図6は本発明の放射光ミラー装置の実施の形態の一例を示すもので、図中、図8乃至図12と同一の符号を付したものは同一物を表している。
【0051】
この放射光ミラー装置は、長尺ミラー13と、該長尺ミラー13の各端部をそれぞれ保持する揺動ホルダ14,55と、各揺動ホルダ14,55を枢支する支持ホルダ15と、長尺ミラー13の反射面18の裏面側に沿って配置した2本の主湾曲用弾性体51と、該主湾曲用弾性体51の間に配置した副湾曲用弾性体52と、長尺ミラー13に対して近接離反可能な変位ホルダ56とを備えている。
【0052】
揺動ホルダ55は、揺動ホルダ14と同様に、下部構成部材19、側部構成部材20、上部構成部材21、押え部材22、及び押えボルト23とによって構成され、枢支軸24を介して支持ホルダ15に支持されている。
【0053】
揺動ホルダ55の下部構成部材19から下方へ突出する弾性体受け部53には、主湾曲用弾性体51の一端部が嵌入する2つのスラストブッシュ30と、左右のスラストブッシュ30の間に位置し且つ副湾曲用弾性体52の一端部が嵌入するスラストブッシュ54とが装着されている。
【0054】
また、主湾曲用弾性体51の他端部は、揺動ホルダ14に付帯するスラストブッシュ30に嵌入しており、主湾曲用弾性体51の両端と、副湾曲用弾性体52の一端には、スナップリング50,65が装着されている。
【0055】
副湾曲用弾性体52は、主湾曲用弾性体51よりも短く形成されており、その他端は、主湾曲用弾性体51の長手方向中間部分に並んでいる。
【0056】
変位ホルダ56は、各主湾曲用弾性体51に下方から嵌合する曲面溝57、及び副湾曲用弾性体52の他端部近傍に下方から当接し得る丸溝58を有する下側嵌合部材59と、各主湾曲用弾性体51に上方から嵌合する曲面溝60、及び副湾曲用弾性体52の他端部近傍に上方から当接し得る丸溝61を有し且つ前記の下側嵌合部材59にボルト締結された上側嵌合部材62と、下側嵌合部材59にピン63によって連結された変位伝達部材64とで構成されている。
【0057】
両嵌合部材59,62の曲面溝57,60は、軸線方向中央で主湾曲用弾性体51の外周面に線状に接触する形状に形成され、両丸溝58,61は、副湾曲用弾性体52の他端部近傍に強固に嵌着する形状に形成されている。
【0058】
また、変位伝達部材64は、湾曲量調整用アクチュエータ44(図12参照)のロッド43の上端部に螺着され、該ロッド43とともに変位ホルダ56が長尺ミラー13に対して近接離反するようになっている。
【0059】
図1乃至図6に示す放射光ミラー装置により、放射光ビームSに含まれているX線領域の電磁波を、X線ビームXとして集光する際には、湾曲量調整用アクチュエータ44(図12参照)で変位ホルダ56を下降させると、該変位ホルダ56の下降に伴い、主湾曲用弾性体51の軸線方向中間部分、及び副湾曲用弾性体52の他方端部が押し下げられ、両揺動ホルダ14,55がそれぞれの枢支軸24を中心として、反射面18が凹曲面状になるように長尺ミラー13が湾曲する。
【0060】
このとき、主湾曲用弾性体51及び副湾曲用弾性体52のそれぞれの一側の端部が嵌入されている一方の揺動ホルダ55を介して長尺ミラー13の端部に付与される曲げモーメントの大きさと、主湾曲用弾性体51の他側の端部が嵌入されている他方の揺動ホルダ14を介して長尺ミラー13の端部に付与される曲げモーメントの大きさとが異なるため、長尺ミラー13の反射面18が略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面に設定される。
【0061】
これにより、放射光ビームSが、長尺ミラー13の一端部と一方の揺動ホルダ55の上部構成部材21との間を通過して、長尺ミラー13の反射面18に入射し、放射光ビームSに含まれているX線領域の電磁波が反射面18により略平行光に集光され、反射面18から出射されるX線ビームXが、長尺ミラー13の他端部と他方の揺動ホルダ14の上部構成部材21との間隙を通過する。
【0062】
また、湾曲量調整用アクチュエータ44で変位ホルダ56を先に下降させた位置から上昇させると、該変位ホルダ56の上昇に伴い、主湾曲用弾性体51の軸線方向中間部分、及び副湾曲用弾性体52の他方端部の押し下げ量が減少し、両揺動ホルダ14,55がそれぞれの枢支軸24を中心に回動し、長尺ミラー13の反射面18が平板に近い形状に復帰する。
【0063】
このように、図1乃至図6に示す放射光ミラー装置では、変位ホルダ56により主湾曲用弾性体51の軸線方向中間部分、及び副湾曲用弾性体52の他端部分を押し下げると、揺動ホルダ14,55を介して長尺ミラー13の各端部に大きさが異なる曲げモーメントが付与されるので、長尺ミラー13の反射面18を略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面に設定することができ、よって、X線領域の電磁波を効率よく集光することが可能になる。
【0064】
図7は本発明の放射光ミラー装置の実施の形態の他の例を示すもので、図中、図1乃至図6、図8乃至図12と同一の符号を付したものは同一物を表している。
【0065】
この放射光ミラー装置は、長尺ミラー13と、該長尺ミラー13の各端部をそれぞれ支持する揺動ホルダ14と、各揺動ホルダ14を枢支する支持ホルダ15と、長尺ミラー13の反射面18の裏面側に沿って配置した2本の湾曲用弾性体66と、長尺ミラー13に対して近接離反可能な変位ホルダ67とを備えている。
【0066】
湾曲用弾性体66は、その断面形状(外径)が一端から他端へ向かって徐々に縮小するように設定されている。
【0067】
湾曲用弾性体66の一端部は、一方の揺動ホルダ14に付帯するスラストブッシュ30(図2参照)に嵌入され、また、湾曲用弾性体66の他端部は、他方の揺動ホルダ14に付帯するスラストブッシュ30に嵌入されており、湾曲用弾性体66の両端には、スナップリング50が装着されている。
【0068】
変位ホルダ67は、湾曲用弾性体66の長手方向中間部分に嵌着し、湾曲量調整用アクチュエータ44(図12参照)のロッド43に連結されている。
【0069】
図7に示す放射光ミラー装置により、放射光ビームSに含まれているX線領域の電磁波を、X線ビームXとして集光する際には、湾曲量調整用アクチュエータ44で変位ホルダ67を下降させると、該変位ホルダ67の下降に伴い、湾曲用弾性体66の軸線方向中間部分が押し下げられ、両揺動ホルダ14がそれぞれの枢支軸24を中心として、反射面18が凹曲面状になるように長尺ミラー13が湾曲する。
【0070】
このとき、断面形状が大きい湾曲用弾性体66一側の端部が嵌入されている一方の揺動ホルダ14を介して長尺ミラー13の端部に付与される曲げモーメントの大きさと、断面形状が小さい湾曲用弾性体66の他側の端部が嵌入されている他方の揺動ホルダ14を介して長尺ミラー13の端部に付与される曲げモーメントの大きさとが異なるため、長尺ミラー13の反射面18が略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面に設定される。
【0071】
また、湾曲量調整用アクチュエータ44で変位ホルダ67を先に下降させた位置から上昇させると、該変位ホルダ67の上昇に伴い、湾曲用弾性体66の軸線方向中間部分の押し下げ量が減少し、両揺動ホルダ14がそれぞれの枢支軸24を中心に回動し、長尺ミラー13の反射面18が平板に近い形状に復帰する。
【0072】
このように、図7に示す放射光ミラー装置では、変位ホルダ67により湾曲用弾性体66の軸線方向中間部分を押し下げると、揺動ホルダ14を介して長尺ミラー13の各端部に大きさが異なる曲げモーメントが付与されるので、長尺ミラー13の反射面18を略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面に設定することができ、よって、X線領域の電磁波を効率よく集光することが可能になる。
【0073】
なお、本発明の放射光ミラー装置は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0074】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の放射光ミラー装置によれば、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。
【0075】
(1)本発明の請求項1に記載の放射光ミラー装置においては、両端近傍部分がそれぞれ揺動ホルダに挿通された主湾曲用弾性体の軸線方向中間部分、及び一端近傍部分が一方の揺動ホルダに挿通された副湾曲用弾性体の他端部分を、変位ホルダにより長尺ミラーに対して近接離反させ、揺動ホルダを介して長尺ミラーの各端部に大きさが異なる曲げモーメントを付与するので、反射面が略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面になるように長尺ミラーを撓ませることができ、よって、放射光ビームに含まれるX線領域の電磁波を、X線ビームとして効率よく集光することが可能になる、という優れた効果を奏し得る。
【0076】
(2)本発明の請求項2に記載の放射光ミラー装置においては、一端から他端へ向かって徐々に断面形状が縮小するように設定された湾曲用弾性体の軸線方向中間部分を、変位ホルダにより長尺ミラーに対して近接離反させ、揺動ホルダを介して長尺ミラーの各端部に大きさが異なる曲げモーメントを付与するので、反射面が略楕円もしくは放物線形状の凹湾曲面になるように長尺ミラーを撓ませることができ、よって、放射光ビームに含まれるX線領域の電磁波を、X線ビームとして効率よく集光することが可能になる、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射光ミラー装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に関連する放射光ミラー装置の概念を示す側面図である。
【図3】図2のIII−III矢視図である。
【図4】図2のIV−IV矢視図である。
【図5】図4のV−V矢視図である。
【図6】図4のVI−VI矢視図である。
【図7】本発明の放射光ミラー装置の実施の形態の他の例を示す斜視図である。
【図8】従来の放射光ミラー装置の一例を示す概念図である。
【図9】図8のIX−IX矢視図である。
【図10】図8のX−X矢視図である。
【図11】図8のXI−XI矢視図である。
【図12】図8に示す放射光ミラー装置が組み込まれたビームラインを示す概念図である。
【図13】放射光発生手段の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
13 長尺ミラー
14 揺動ホルダ
15 支持ホルダ
18 反射面
51 主湾曲用弾性体
52 副湾曲用弾性体
55 揺動ホルダ
56 変位ホルダ
66 湾曲用弾性体
67 変位ホルダ
Claims (2)
- 反射面に入射する放射光ビームに含まれているX線領域の電磁波をX線ビームとして反射する長尺ミラーと、該長尺ミラーの各端部をそれぞれ保持する揺動ホルダと、長尺ミラーが湾曲し得るように各揺動ホルダを枢支する支持ホルダと、長尺ミラーの反射面側あるいは反射面の裏面側に沿って配置され且つ両端近傍部分がそれぞれ揺動ホルダに軸線方向への微小移動が許容され得るように挿通された主湾曲用弾性体と、該主湾曲用弾性体に沿って配置され且つ一端近傍部分が一方の揺動ホルダに軸線方向への微小移動が許容されるように挿通された副湾曲用弾性体と、主湾曲用弾性体の軸線方向中間部分及び副湾曲用弾性体の他端部分に嵌着し且つ長尺ミラーに対して近接離反可能な変位ホルダとを備えたことを特徴とする放射光ミラー装置。
- 反射面に入射する放射光ビームに含まれているX線領域の電磁波をX線ビームとして反射する長尺ミラーと、該長尺ミラーの各端部をそれぞれ保持する揺動ホルダと、長尺ミラーが湾曲し得るように各揺動ホルダを枢支する支持ホルダと、長尺ミラーの反射面側あるいは反射面の裏面側に沿って配置され且つ両端近傍部分がそれぞれ揺動ホルダに軸線方向への微小移動が許容され得るように挿通された湾曲用弾性体と、湾曲用弾性体の軸線方向中間部分に嵌着し且つ長尺ミラーに対して近接離反可能な変位ホルダとを備え、湾曲用弾性体の断面形状を一端から他端へ向かって徐々に縮小するように設定したことを特徴とする放射光ミラー装置。
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| JP21068099A JP4192346B2 (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | 放射光ミラー装置 |
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- 1999-07-26 JP JP21068099A patent/JP4192346B2/ja not_active Expired - Fee Related
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