JP4192364B2 - 光増幅器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多波長の信号光を一括光増幅する光増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光増幅器は、光通信システムにおいて光伝送路を伝搬する信号光を光増幅するものであり、多波長の信号光を用いる波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)通信システムにおいても、その多波長の信号光を一括して光増幅することができる。このような光増幅器として、エルビウム(Er)元素が添加された光ファイバ(EDF: Erbium-Doped Fiber)を光増幅媒体として用いた光ファイバ増幅器(EDFA: Erbium-Doped Fiber Amplifier)が知られている。
【0003】
例えば、文献「S. Kinoshita, et al., "Low-Noise and Wide-Dynamic-Range Erbium-Doped Fiber Amplifiers with Automatic Level Control for WDM Transmission Systems." OAA'96, SaA5-1, pp.211-214 (1996)」に記載された光増幅器は、前段増幅部、可変光減衰器および後段増幅部が順に接続されたものである。前段増幅部および後段増幅部それぞれは、Er添加光ファイバを光増幅媒体として用いている。前段増幅部は、この前段増幅部の入力信号光レベルおよび出力信号光レベルから求められる利得が一定になるようにAGC制御(Automatic Gain Control)で信号光を光増幅する。後段増幅部は、この後段増幅部から出力される全ての信号光のパワーが一定になるようにAPC制御(Automatic Power Control)で信号光を光増幅する。また、可変光減衰器は、この可変光減衰器から出力される各波の信号光のレベルが一定になるようにALC制御(Automatic Level Control)で減衰率を設定し、この設定された減衰率で信号光を減衰させる。このようにすることで、この光増幅器は、入力端に接続された光伝送路の損失(スパンロス)の変動に因り入力信号光レベルが変動しても、出力信号光レベルを一定にするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献に記載された構成の光増幅器は、スパンロス変動に対して出力信号光レベルを一定にすることができるものの、ALC制御のダイナミックレンジが広いほど雑音特性が劣化するという問題点を有する。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、スパンロス変動があっても出力信号光レベルを一定にすることができ雑音特性が良好な光増幅器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光増幅器は、入力端に入力した多波長の信号光を一括光増幅して出力端に出力する多段構成の光増幅器であって、(1) 入力端に入力した信号光を励起パワー一定制御または出力一定制御で光増幅して出力する前段増幅部と、(2) 信号光に対する減衰率が可変であって、入力端に入力する信号光のレベルの波長依存性に基づいて減衰率を調整し、前段増幅部から出力された信号光を減衰させて出力する第1の可変光減衰器と、(3) 第1の可変光減衰器から出力された信号光を出力一定制御で光増幅して出力する後段増幅部とを備えることを特徴とする。
【0007】
この光増幅器によれば、入力端に入力した多波長の信号光は、前段増幅部により励起パワー一定制御または出力一定制御で光増幅され、第1の可変光減衰器により減衰され、後段増幅部により出力一定制御で光増幅されて、出力端に出力される。スパンロス変動に因り各波の入力信号光レベルが変動しても、前段増幅部は、励起パワー一定制御または出力一定制御を行うことにより、最大の利得が得られる。したがって、この光増幅器は、広ダイナミックレンジに亘って良好な雑音特性が得られる。
【0009】
また、本発明に係る光増幅器では、第1の可変光減衰器は、入力端に入力する信号光のレベルの波長依存性に基づいて減衰率を調整することを特徴とする。この場合には、入力端に入力する各波の信号光のレベルがラマン散乱に因り不均一であっても、この光増幅器は、出力端から出力される各波の信号光の出力レベルの偏差を小さくすることができる。
【0010】
また、本発明に係る光増幅器は、信号光に対する減衰率が可変であって後段増幅部から出力された信号光を減衰させて出力する第2の可変光減衰器を更に備えることを特徴とする。この場合には、光増幅器から出力される信号光レベルを可変とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る光増幅器では、前段増幅部および後段増幅部それぞれは、入力端に入力する信号光の波数が変動したときには信号光を利得一定制御で光増幅することを特徴とする。この場合には、OADMやOXC等による伝送中の信号光の波数の変動があったとしても、各波の信号光の出力レベルが一定になるようにALC制御を実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
先ず、本発明を想到するに到った経緯について説明する。WDM通信システムに用いられる光増幅器は、入力信号光レベルが変動しても、出力される各波の信号光のレベルが一定となるようALC制御することが重要である。入力信号光レベル変動の要因は主に2つある。第1の要因は、OADM(Optical Add/Drop Multiplexer)やOXC(Optical Cross Connect)等による伝送中の信号光の波数の変動である。この第1の要因に対して、光増幅器はAGC制御で信号光を光増幅することで対応することができる。第2の要因は、スパンロスの変動や光学部品の損失の変動である。この第2の要因に対して、光増幅器はAGC制御の増幅部と可変光減衰器とを設けることが提案されている。スパンロスは、光伝送路毎に異なっており、また、経時変化する場合もある。このことから、光増幅器は、ALC制御が可能な入力信号光レベル変動幅の拡大、すなわち、広ダイナミックレンジ化が要求される。また、光増幅器は優れた雑音特性が要求される。
【0014】
図1に示すような3段構成の光増幅器1を考える。この光増幅器1は、入力端から出力端へ順に、第1増幅部11、第2増幅部12および第3増幅部13を備えている。また、この光増幅器1は、第1増幅部11と第2増幅部12との間に損失媒体14を備え、第2増幅部12と第3増幅部13との間に損失媒体15を備えている。ここで、第1増幅部11の利得をG1と表し、第1増幅部11の雑音指数(Noise Factor)をNF1と表す。第2増幅部12の利得をG2と表し、第2増幅部12の雑音指数をNF2と表す。第3増幅部13の利得をG3と表し、第3増幅部13の雑音指数をNF3と表す。また、損失媒体14の損失をα1と表し、損失媒体15の損失をα2と表す。このとき、光増幅器1の全体の雑音指数NFtは、
【0015】
【数1】
なる式で表される。
【0016】
例えば、第1増幅部11、第2増幅部12および第3増幅部13それぞれは、AGC制御を行うものとして、利得G1,G2およびG3が一定であるとする。損失媒体15は、損失α2が一定であるとする。また、損失媒体14は、損失α1が可変である可変光減衰器(VOA: Variable Optical Attenuator)であるとして、入力信号光レベル変動量と等しい量だけ損失α1を変化させる。すなわち、損失媒体14の損失α1は、入力信号光レベルに応じて調整されて、入力信号光レベルが最も小さい値(ダイナミックレンジ下限値)であるときには、挿入損失のみの最低値とされ、入力信号光レベルが最も大きい値(ダイナミックレンジ上限値)であるときには、挿入損失とダイナミックレンジ幅とを加えた値とされる。
【0017】
光増幅器1の雑音指数NFtに関して重要な事項は、入力信号光レベルがダイナミックレンジ下限値であるときにおける雑音指数NFtの値、および、入力信号光レベルの増加量に対する雑音指数NFtの劣化量である。入力信号光レベルがダイナミックレンジ下限値であるときにおける雑音指数NFtをよくする為には、上記(1)式から判るように、第1増幅部11の利得G1をできる限り大きくし、損失媒体14の損失α1をできる限り小さくするのが好ましい。
【0018】
しかし、第1増幅部11が固定値の利得G1で利得一定制御で信号光を光増幅する場合には、その利得G1は、入力信号光レベルがダイナミックレンジ下限値であるときよりも寧ろダイナミックレンジ上限値であるときの条件で決定される。そして、入力信号光レベルが小さいときには、利得G1は、第1増幅部11が有することができる本来の利得(励起パワーを最大にして得られる利得)より小さい値となる。それ故、光増幅器1は、第1増幅部11が利得一定制御で信号光を光増幅する場合には、雑音指数NFtに関して不利である。本発明は、以上のような考察に基づいてなされたものである。
【0019】
次に、本発明に係る光増幅器の実施形態について説明する。図2は、本実施形態に係る光増幅器2の概略構成図である。この光増幅器2は、入力端から出力端へ順に、第1増幅部21、第2増幅部22および第3増幅部23を備えており、多段構成とされている。また、この光増幅器2は、第1増幅部21と第2増幅部22との間に可変光減衰器24を備え、第2増幅部22と第3増幅部23との間に利得等化器25および分散補償器26を備えている。
【0020】
第1増幅部21は、入力端に入力した信号光を励起パワー一定制御(ACC制御)または出力一定制御(APC制御)で光増幅して出力する。可変光減衰器24は、信号光に対する減衰率が可変であり、入力信号光レベル変動量と等しい量だけ減衰量が変化するようフィードフォワード制御され、第1増幅部21から出力された信号光を該減衰量だけ減衰させて出力する。第2増幅部22は、可変光減衰器24から出力された信号光をAPC制御で光増幅して出力する。利得等化器25は、第2増幅部22から出力された多波長の信号光を入力し、出力端から出力される多波長の信号光それぞれのレベルを均一にする。分散補償器26は、利得等化器25から出力された信号光を入力し、この光増幅器2が挿入される光伝送路の分散を補償するものである。第3増幅部23は、分散補償器26から出力された信号光を利得一定制御(AGC制御)で光増幅して出力端へ出力する。
【0021】
より具体的な光増幅器2の構成は以下のとおりである。第1増幅部21、第2増幅部22および第3増幅部23それぞれは、Er元素添加光ファイバ(EDF)を光増幅媒体として用いるEDFAとした。第1増幅部21は、励起光の波長を0.98μmとし、EDFへの励起光供給方式を前方励起とした。第2増幅部22は、励起光の波長を1.48μmとし、励起光供給方式を双方向励起とした。第3増幅部23は、励起光の波長を1.48μmとし、励起光供給方式を双方向励起とした。分散補償器26は、損失10dBの分散補償光ファイバ(DCF)とした。
【0022】
このように構成される光増幅器2に対し、波長帯域1537.39nm〜1562.23nmにおいて100GHz間隔の32波の信号光が入力端に入力するものとして、出力端から出力される32波の信号光の出力レベルが+20.6dBm(各波の信号光の出力レベルが+5.6dBm)となるよう設計した。入力端に入力する各波の信号光の入力レベルは、互いに等しく、−25dBm〜−8dBmの範囲(ダイナミックレンジ幅17dB)で変化させた。また、第1増幅部21をACC制御とした。このような光増幅器2の利得および雑音指数それぞれの波長特性を評価した。
【0023】
図3は、各入力信号光レベルについて利得の波長特性を示すグラフである。このグラフから判るように、ダイナミックレンジ17dBでの動的利得傾斜(DGT: Dynamic Gain Tilt)は0.2dB以下に抑制された。すなわち、各波の信号光のレベルが一定になるようにALC制御を広ダイナミックレンジで高精度に実現することができた。図4は、各入力信号光レベルについて雑音指数の波長特性を示すグラフである。このグラフから判るように、各波の入力信号光レベルがダイナミックレンジ下限である−25dBmであるときに光増幅器2の雑音指数は4dB以下に抑制された。また、第1増幅部21をAPC制御とした場合も同様に良好な結果が得られる。
【0024】
以上のように、スパンロス変動に因り各波の入力信号光レベルが変動しても、第1増幅部21は、ACC制御またはAPC制御を行うことにより、最大の利得が得られる。したがって、この光増幅器2は、広ダイナミックレンジで、出力される各波の信号光のレベルが一定になるようにALC制御を高精度に実現することができ、また、広ダイナミックレンジに亘って良好な雑音特性が得られる。
【0025】
また、この光増幅器2において、可変光減衰器24は、入力端に入力する信号光のレベルの波長依存性に基づいて減衰率の波長依存性を調整して、出力端から出力される多波長の信号光それぞれのレベルの偏差が小さくなるようにするのも好適である。例えば、前段の送信器または中継器から出力された多波長の信号光それぞれのレベルが均一であったとしても、光増幅器2の入力端に入力する各波の信号光のレベルは、光伝送路を伝搬する際に生じるラマン散乱に因り不均一になる場合がある。このとき、光増幅器2に入力する各波の信号光のレベルの波長依存性は、図5に示すように略線形である。入力する各波の信号光のレベルの偏差が5dB程度であっても、可変光減衰器24の減衰率を調整することで、出力端から出力される各波の信号光のレベルの偏差が小さくなるようにすることができる。図6は、光増幅器2から出力する各波の信号光のレベルの波長特性を示すグラフである。このグラフに示すように、可変光減衰器24の減衰率を調整することで、出力端から出力される各波の信号光のレベルの偏差を1dB以下に抑制することができる。
【0026】
また、図7に示す光増幅器3のように、第3増幅部23の後段に更に可変光減衰器27を備えるのも好適である。この可変光減衰器27は、信号光に対する減衰率が可変であり、第3増幅部23から出力された信号光を減衰させて出力する。このように可変光減衰器27を備えることにより、光増幅器3から出力される信号光レベルを可変とすることができる。
【0027】
さらに、光増幅器2(図2)または光増幅器3(図7)において、第1増幅部21、第2増幅部22および第3増幅部23それぞれは、多波長の信号光の波数が変動したときには信号光を利得一定制御で光増幅するのが好適である。このようにすることにより、OADMやOXC等による伝送中の信号光の波数の変動があったとしても、このときに信号光を利得一定制御で光増幅することにより、各波の信号光のレベルが一定になるようにALC制御を実現することができる。
【0028】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、前段増幅部により励起パワー一定制御または出力一定制御で光増幅され、第1の可変光減衰器により減衰され、後段増幅部により出力一定制御で光増幅されて、出力端に出力される。スパンロス変動に因り各波の入力信号光レベルが変動しても、前段増幅部は、励起パワー一定制御または出力一定制御を行うことにより、最大の利得が得られる。したがって、この光増幅器は、広ダイナミックレンジに亘って良好な雑音特性が得られる。
【0029】
また、第1の可変光減衰器が入力端に入力する信号光のレベルに基づいて減衰率を調整する場合には、この光増幅器は、広ダイナミックレンジで、出力端から出力される各波の信号光のレベルが一定になるようにALC制御を実現することができる。
【0030】
また、第1の可変光減衰器が入力端に入力する信号光のレベルの波長依存性に基づいて減衰率の波長依存性を調整する場合には、入力端に入力する各波の信号光のレベルがラマン散乱に因り不均一であっても、この光増幅器は、出力端から出力される各波の信号光のレベルの偏差を小さくすることができる。
【0031】
また、信号光に対する減衰率が可変であって後段増幅部から出力された信号光を減衰させて出力する第2の可変光減衰器を更に備える場合には、光増幅器から出力される信号光レベルを可変とすることができる。
【0032】
また、前段増幅部および後段増幅部それぞれが入力端に入力する信号光の波数が変動したときには信号光を利得一定制御で光増幅する場合には、OADMやOXC等による伝送中の信号光の波数の変動があったとしても、各波の信号光のレベルが一定になるようにALC制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光増幅器の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る光増幅器の概略構成図である。
【図3】各入力信号光レベルについて利得の波長特性を示すグラフである。
【図4】各入力信号光レベルについて雑音指数の波長特性を示すグラフである。
【図5】光増幅器に入力する各波の信号光のレベルの波長特性を示すグラフである。
【図6】光増幅器から出力する各波の信号光のレベルの波長特性を示すグラフである。
【図7】本実施形態に係る光増幅器の概略構成図である。
【符号の説明】
2…光増幅器、21…第1増幅部、22…第2増幅部、23…第3増幅部、24…可変光減衰器、25…利得等化器、26…分散補償器、27…可変光減衰器。
Claims (3)
- 入力端に入力した多波長の信号光を一括光増幅して出力端に出力する多段構成の光増幅器であって、
前記入力端に入力した信号光を励起パワー一定制御または出力一定制御で光増幅して出力する前段増幅部と、
信号光に対する減衰率が可変であって、前記入力端に入力する信号光のレベルの波長依存性に基づいて減衰率を調整し、前記前段増幅部から出力された信号光を減衰させて出力する第1の可変光減衰器と、
前記第1の可変光減衰器から出力された信号光を出力一定制御で光増幅して出力する後段増幅部と
を備えることを特徴とする光増幅器。 - 信号光に対する減衰率が可変であって前記後段増幅部から出力された信号光を減衰させて出力する第2の可変光減衰器を更に備えることを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
- 前記前段増幅部および前記後段増幅部それぞれは、前記入力端に入力する信号光の波数が変動したときには信号光を利得一定制御で光増幅することを特徴とする請求項1記載の光増幅器。
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