(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を具体化した第1の実施形態について、図1〜図6を併せ参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる排気浄化装置を備えるディーゼル機関の制御装置、これが適用されるエンジン1、並びにそれらの周辺構成を示す概略構成図である。
エンジン1には複数の気筒#1〜#4が設けられている。シリンダヘッド2には複数の燃料噴射弁4a〜4dが取り付けられている。これら燃料噴射弁4a〜4dは各気筒#1〜#4の燃焼室に燃料を噴射する。また、シリンダヘッド2には外気を気筒内に導入するための吸気ポートと、燃焼ガスを気筒外へ排出するための排気ポート6a〜6dとが各気筒#1〜#4に対応して設けられている。
燃料噴射弁4a〜4dは、高圧燃料を蓄圧するコモンレール9に接続されている。コモンレール9はサプライポンプ10に接続されている。サプライポンプ10は燃料タンク内の燃料を吸入するとともにコモンレール9に高圧燃料を供給する。コモンレール9に供給された高圧燃料は、各燃料噴射弁4a〜4dの開弁時に同燃料噴射弁4a〜4dから気筒内に噴射される。
吸気ポートにはインテークマニホールド7が接続されている。インテークマニホールド7は吸気通路3に接続されている。この吸気通路3内には吸入空気量を調整するためのスロットル弁16が設けられている。
排気ポート6a〜6dにはエキゾーストマニホールド8が接続されている。エキゾーストマニホールド8は排気通路26に接続されている。
排気通路26の途中には、排気圧を利用して気筒に導入される吸入空気を過給するターボチャージャ11が設けられている。同ターボチャージャ11の吸気側コンプレッサとスロットル弁16との間の吸気通路3にはインタークーラ18が設けられている。このインタークーラ18によって、ターボチャージャ11の過給により温度上昇した吸入空気の冷却が図られる。
また、排気通路26の途中にあって、ターボチャージャ11の排気側タービンの下流側には、排気浄化装置を構成する部材であり、排気成分を浄化する排気浄化部材30が設けられている。この排気浄化部材30の内部には直列に2つの触媒が配設されている。
これら2つの触媒のうち、排気上流側に設けられた1つ目の触媒は、排気中のNOxを浄化するNOx吸蔵還元型触媒(以下、NSR(NOx storage-reduction)触媒という)が担持されたNSR触媒31である。
また、そのNSR触媒31の排気下流側に設けられた2つ目の触媒は、排気中のPM(粒子状物質)を捕集するフィルタ機能付きのNOx浄化触媒、いわゆるDPNR(Diesel Particulate-NOx Reduction system)触媒32である。このDPNR触媒32は多孔質セラミック構造体にNSR触媒を担持させたものであり、排気中のPMは多孔質の壁を通過する際に捕集される。また、排気の空燃比がリーンの場合、排気中のNOxはNSR触媒に吸蔵され、同空燃比がリッチになると該NSR触媒に吸蔵されたNOxは、HCやCO等によって還元・放出される。
この他、エンジン1にはEGR装置が備えられている。このEGR装置は、排気の一部を吸入空気に導入することで気筒内の燃焼温度を低下させ、NOxの発生量を低減させる装置である。この装置は吸気通路3と排気通路(エキゾーストマニホールド8)とを連通するEGR通路13、同EGR通路13に設けられたEGR弁15、EGRクーラ14等により構成されている。EGR弁15はその開度を調整することにより排気通路26から吸気通路3に導入される排気還流量、すなわちEGR量を調整する。EGRクーラ14はEGR通路13内を流れる排気の温度を低下させる。またEGR弁15にはEGR弁開度センサ22が配設されており、このEGR弁開度センサ22によりEGR弁15の開度(EGR弁開度EA)が検出される。
エンジン1には、機関運転状態を検出するための各種センサが取り付けられている。例えば、エアフロメータ19は吸気通路3内の吸入空気量GAを検出する。スロットル開度センサ20はスロットル弁16の開度(スロットル開度TA)を検出する。NSR触媒31の排気下流側に設けられた第1排気温度センサ33は、同NSR触媒31を通過した直後の排気の温度である第1排気温度Taを測定する。DPNR触媒32の排気下流側に設けられた第2排気温度センサ34は、DPNR触媒32を通過した直後の排気の温度である第2排気温度Tbを検出する。機関回転速度センサ23はクランクシャフトの回転速度、すなわち機関回転速度NEを検出する。アクセルセンサ24はアクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル操作量ACCPを検出する。空燃比センサ21は排気の空燃比λを検出する。
これら各種センサの出力は制御装置25に入力される。この制御装置25は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。上記RAM内では、数値が2進法で処理される。また、同RAMにおいて数値は16ビットで処理される。従って、このRAMで処理することのできる数値の容量、すなわち前記数値処理容量は「2^16=63535」となっている。
そして、この制御装置25により、例えば、燃料噴射弁4a〜4dの燃料噴射量制御や燃料噴射時期制御、サプライポンプ10の吐出圧力制御、スロットル弁16を開閉するアクチュエータ17の駆動量制御、EGR弁15の開度制御等、エンジン1の各種制御が行われる。また、上記排気浄化部材30に配設された触媒の熱劣化推定や、後述する噴射ノズル5からの燃料添加制御などといった各種の排気浄化制御も同制御装置25によって行われる。
上記噴射ノズル5はシリンダヘッド2に設けられており、排気浄化部材30、すなわちNSR触媒31やDPNR触媒32に添加剤としての燃料を供給する。噴射ノズル5と前記サプライポンプ10とは燃料供給管27によって接続されており、同噴射ノズル5からは第4気筒#4の排気ポート6d内に向けて燃料が噴射される。この噴射された燃料は、排気とともにNSR触媒31やDPNR触媒32に到達する。なお、噴射ノズル5は燃料噴射弁4a〜4dと同様な構造を有しており、制御装置25によってその噴射量及び噴射時期は制御される。また、噴射ノズル5の配設位置は、排気通路にあって排気浄化部材30の排気上流側であれば適宜変更することができる。そして本実施形態においては、噴射ノズル5等も排気浄化装置を構成する部材となっている。
さて、本実施形態では、NSR触媒31やDPNR触媒32に対して上述した燃料添加が行われる。以下、その理由を説明する。
A.ディーゼルエンジンの場合、排気の空燃比は通常リーンであるため、NSR触媒31やDPNR触媒32のNOx吸蔵量が限界に達する前に、排気の空燃比をリッチにしてNSR触媒31やDPNR触媒32に吸蔵されたNOxを還元・放出させる必要がある。そこで、制御装置25は機関運転状態等に基づいて推定されるNOx吸蔵量が所定の限界値に達したときに、上記噴射ノズル5による燃料添加を通じたNOx還元処理を実行する。このときに噴射される燃料はNSR触媒31やDPNR触媒32に到達すると、NOx還元剤として作用する。また、同燃料がNSR触媒31やDPNR触媒32で燃焼することにより酸素が消費され、排気の空燃比はリッチになる。このようなNOx還元処理により、NSR触媒31やDPNR触媒32のNOx浄化機能は維持される。
B.DPNR触媒32に捕集されたPMの堆積量が多くなると同DPNR触媒32での圧力損失が増大する。そのため、機関運転状態等に悪影響を与えるほど圧力損失が増大する前に堆積したPMを減少させる、いわゆるDPNR触媒の再生処理を行う必要がある。そこで、制御装置25は機関運転状態やDPNR触媒32の上流側排気圧及び下流側排気圧の差等に基づいて推定されるPM堆積量が所定の限界値に達したときに、上記噴射ノズル5による燃料添加を通じたDPNR触媒再生処理を実行する。このとき噴射される燃料はDPNR触媒32に到達すると燃焼され、これによりPMは着火されて最終的には焼失される。すなわちこの噴射燃料は、PMの燃焼促進剤として作用する。このようなDPNR触媒の再生処理により、DPNR触媒32に堆積したPMの量が減少される。
C.NOx吸蔵還元型触媒は、燃料や潤滑油に由来する硫黄分から生成されるSOx(硫黄酸化物)も吸収してしまう性質がある。ここで、NOx吸蔵還元型触媒の吸蔵量には限界があるため、このSOx吸収量が増大すると吸蔵可能なNOx量が減少してしまうといった、いわゆるSOx被毒によるNOx浄化機能の低下現象が生じる。一方、NOx吸蔵還元型触媒に吸収されたSOxは、600℃近い高温の還元雰囲気下において、同触媒から還元された状態で放出されることが知られており、このような条件下ではNOx吸蔵還元型触媒に吸収されたSOx量を減少させることができる。そこで制御装置25は機関運転状態等に基づいて推定されるSOx吸収量が所定の限界値に達したときに、上記噴射ノズル5による燃料添加を通じたSOx被毒回復処理を実行する。このとき噴射される燃料はNSR触媒31やDPNR触媒32において燃焼され、その熱より各触媒の温度は高められる。しかも燃料の燃焼によって各触媒の周りの酸素が消費され、NSR触媒31やDPNR触媒32の周りの酸素濃度も低くなり、高温及び還元雰囲気といった条件が満たされて、各触媒に堆積したSOxは還元・放出される。またこの燃料はSOxの還元剤としても機能する。
上記A〜Cのような理由により、NSR触媒31やDPNR触媒32には燃料添加が行われる。
なお、NSR触媒31やDPNR触媒32は、その温度が過剰に高くなると破損してしまうおそれがある。特に、DPNR触媒32にはNSR触媒31で昇温された排気が流入するため、DPNR触媒32の温度はNSR触媒31よりも高くなる傾向がある。そこで、DPNR触媒32の温度が所定の目標温度になるように、前記噴射ノズル5からの燃料供給量は調整される。
他方、添加供給される燃料の成分であるHC(炭化水素)は、NOxの還元やPMの燃焼に際して浄化される。しかし、上記各触媒の熱劣化が進行するとHCの浄化率(触媒で浄化されたHCの量/触媒に流入したHCの量)は低下するようになり、これに伴ってNOxの浄化率(触媒で浄化されたNOxの量/触媒に流入したNOxの量)も低下するようになる。このような各触媒での熱劣化の進行により、排気浄化部材30全体としての排気浄化機能は徐々に低下していくようになる。
排気浄化部材30の排気浄化機能に影響を与える上記熱劣化は、触媒が受熱した温度履歴、換言すれば触媒の温度である床温の積算値と相関関係にあり、同積算値が大きくなるほど熱劣化は進行していると判断することができる。そこで本実施形態では、制御装置25を用いて、次のような態様で触媒の熱劣化を推定するようにしている。
まず、NSR触媒31及びDPNR触媒32を1つの触媒とみなした場合、いわば排気浄化部材30を1つの触媒とみなした場合の床温Tが推定される。より詳細にはNSR触媒31及びDPNR触媒32について複数箇所の床温が推定され、それら各推定床温の平均値が上記床温Tとされる。なお、床温Tの推定は適宜行えばよいが、例えば以下のような態様で推定可能である。
すなわち、図2に示すように、NSR触媒31内にあって排気上流部から排気下流部にかけて、順に第1床温T1、第2床温T2、及び第3床温T3といった3箇所の床温を推定する。これら各床温T1〜T3は、噴射ノズル5からの燃料添加量Qhc、吸入空気量GA、NSR触媒31内の温度勾配、及び第1排気温度センサ33にて実測される第1排気温度Taに基づいて推定することができる。より詳細には、燃料添加量Qhcや吸入空気量GAが多いほど、各床温T1〜T3の値が高くなるように、各床温T1〜T3を推定する。また、その推定に際しては、NSR触媒31内の温度勾配を考慮し、基本的に各床温T1〜T3の大小関係が「T1<T2<T3」となるようにそれぞれ推定する。さらに、第1排気温度Taに基づいて各床温T1〜T3を補正することにより、各床温の推定精度はさらに高められる。例えば、NSR触媒31を通過した直後の排気の温度を第3床温T3等に基づいて推定し、その推定された温度が第1排気温度Taよりも低い場合には、その温度差に応じて各床温T1〜T3をそれぞれ高温側に補正する。このように各床温T1〜T3の推定に際して、排気温度センサの検出値、即ち排気温度の実測値を用いて各床温T1〜T3をフィードバック補正することにより、各床温の推定精度をさらに高められることが可能となる。
また、同図2に示すように、DPNR触媒32内にあって排気上流部から排気下流部にかけて、順に第4床温T4、第5床温T5、第6床温T6、及び第7床温T7といった4箇所の床温を推定する。これら各床温T4〜T7も、噴射ノズル5からの燃料添加量Qhc、吸入空気量GA、DPNR触媒32内の温度勾配、及び第2排気温度センサ34にて実測される第2排気温度Tbに基づいて推定することができる。すなわち、各床温T4〜T7も、上述した各床温T1〜T3の推定と同様な態様で推定することができる。
そして、上記推定される各床温T1〜T7の平均値を算出することで、その算出値は上記床温Tとなる。
このような態様等で上記床温Tを所定時間毎に算出し、その算出間隔時間内における熱劣化進行度dKを床温Tに基づいて算出する。この熱劣化進行度dKの算出に際しては、床温Tが高いほど、より大きい値が算出されるようにしておく。そして、所定時間毎に求められる熱劣化進行度dKを順次積算して、その積算値を熱劣化カウンタKとし、同積算値を制御装置25内の記憶装置であるRAMに記憶しておく。このように所定の時間間隔内における熱劣化進行度dKを算出し、同熱劣化進行度dKを順次積算していけば、RAMに記憶されている最新の熱劣化カウンタKの値は現状の熱劣化度を示す指標値となり、その値に基づいて排気浄化部材30の熱劣化を推定することが可能となる。
ちなみに、熱劣化による触媒の排気浄化機能低下は、同熱劣化の進行につれて鈍化する傾向にある、逆にいえば、熱劣化による触媒の排気浄化機能低下は、熱劣化の進行初期において大きく低下する。そこで、床温Tの算出時における熱劣化カウンタKの値が小さいときほど、床温Tに基づいて算出される熱劣化進行度dKの値が大きくなるように、同熱劣化進行度dKを設定するようにすれば、より正確に熱劣化度合を推定することができる。
ところで、熱劣化進行度dKの算出や熱劣化進行度dKの積算(熱劣化カウンタKの更新)を所定の時間間隔にて行う場合には、その時間間隔の設定に関して上述したような種々の制約が存在する。
すなわち、上記RAMの数値処理容量は、熱劣化進行度dKの積算値(熱劣化カウンタK)の増大により消費されるのであるが、上記時間間隔が固定値であってその間隔を長く設定する場合には、同時間間隔を短く設定する場合と比較して、熱劣化進行度dKの積算回数が少なくなる。従って、この場合には数値処理容量の消費度合が低くなり、これにより熱劣化の推定限界量は大きくなる。すなわち、時間間隔を長く設定すると、熱劣化の推定限界量を適切に確保することができるといった長所がある。しかし、熱劣化進行度の算出時に参照される床温には排気浄化部材30の過昇温が反映されにくくなり、同排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することが困難になるといった短所がある。
他方、時間間隔が固定値であってその間隔を短く設定する場合には、熱劣化進行度の算出時に参照される床温に排気浄化部材30の過昇温が反映されやすくなり、同排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができるようになるといった長所がある一方、熱劣化の推定限界量が小さくなるといった短所がある。
このように時間間隔が固定値とされる場合には、その設定時間に応じた長所が得られるものの、同設定時間に応じた短所による悪影響も生じてしまう。そのため、場合によっては、過昇温に起因する排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができなくなったり、熱劣化の推定限界量が小さくなったりする等、排気浄化部材30の熱劣化推定を適切に行うことができなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、NSR触媒31及びDPNR触媒32の熱劣化、いわば排気浄化部材30の熱劣化を推定するに際して、熱劣化進行度dKの算出及び熱劣化カウンタKの積算が行われる上記時間間隔(以下、インターバルという)、いわばその算出及び積算が行われる周期時間を以下のような態様で可変設定するようにしている。さらに、その可変設定されるインターバルに応じて熱劣化進行度算出用の床温を切り替えるようにしている。そして、このように推定態様の設定に関する自由度を高めることで、排気浄化部材30の熱劣化推定を適切に行うことができるようにしている。
まず、上記インターバルの可変設定について、図3及び図4を併せ参照して説明する。
図3は、制御装置25によって実行されるインターバルの設定処理についてその手順を示している。なおこの処理は、前記設定手段を構成している。
本処理が開始されると、上記床温T(排気浄化部材30の各部床温の平均値)の変化率Rが算出される(S100)。この変化率Rとは、単位時間当たりの床温Tの変化量である。
次に、算出された変化率Rに基づいて上記インターバルINTcが設定される(S110)。ここでは、図4に示すように、変化率Rが大きくなるほど、インターバルINTcは長くなるように、逆にいえば変化率Rが小さくなるほど、インターバルINTcは短くなるように、同変化率Rに基づいてインターバルINTcは可変設定される。
このような態様でインターバルINTcを可変設定する理由は以下による。
すなわち、床温Tの変化率Rが小さい場合には、排気浄化部材30の過昇温が生じにくく、熱劣化進行度dKの算出時に参照される床温には、インターバル内における排気浄化部材30の受熱状態が適切に反映される。従って、このような状況ではインターバルINTcを長くしても排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができる。さらに、インターバルINTcを長くすると、同インターバルINTcが短い場合と比較して、熱劣化進行度dKの積算回数が少なくなる。従って、熱劣化カウンタKの増大によって消費される上記RAMの数値処理容量についてその消費度合は低くなり、熱劣化の推定限界量は大きくなる。
一方、前記熱劣化進行度dKは床温Tに基づいて算出されるのであるが、同床温Tの変化率Rが大きく、排気浄化部材30の過昇温が生じやすい状況では、インターバルINTcを短くすれば、過度に高温となった排気浄化部材30の温度が低下する前に同床温Tを参照することができる。従って、熱劣化進行度dKの算出時に参照される床温には、そのような過昇温が反映されやすくなり、排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、同排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができる。
このようにインターバルINTcが設定されると、本処理は終了される。
そして、同インターバルINTcが設定されると、床温Tに基づく熱劣化進行度dKの算出が行われ、熱劣化カウンタKの更新がなされる。ここで、本実施形態では、熱劣化進行度dKの算出タイミングにおける前記床温Tをそのまま参照するのではなく、インターバルINTc内の床温Tの最大値、または平均値に基づいて上記熱劣化進行度dKを算出するようにしている。
図4に、制御装置25によって実行される熱劣化カウンタ算出処理についてその手順を示す。なお、この処理は所定周期毎に、例えば1秒毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、平均床温Tav及び最大床温Tmaxが算出される(S200)。この平均床温Tavは、インターバルINTc内の床温Tの平均値であり、次式(1)から算出される。また、その初期値は「0」である。
Tav(i)=Tav(i−1)+T/INTc …(1)
Tav(i):今回の実行周期における平均床温Tav
Tav(i−1):前回の実行周期における平均床温Tav
T:ステップS200実行時の床温T
INTc:現在設定されているインターバルINTc
また、最大床温Tmaxは、インターバルINTc内の床温Tの最大値であり、次式(2)から算出される。また、その初期値は「0」である。
Tmax(i)=MAX(Tmax(i−1)、T) …(2)
Tmax(i):今回の実行周期における最大床温Tmax
Tmax(i−1):前回の実行周期における最大床温Tmax
T:ステップS200実行時の床温T
上記式(2)の右辺「MAX(Tmax(i−1)、T)」によって、前回の実行周期における最大床温Tmax及びステップS200実行時の床温Tのうち、より大きい方の値が今回の実行周期における最大床温Tmaxとして設定される。
次に、時間カウンタCNTが上記設定されるインターバルINTc以上であるか否かが判定される(S210)。この時間カウンタCNTは、別の処理において繰り返し算出される値であり、その値は1秒ごとに「1」づつインクリメントされる。そして、順次インクリメントされた値が上記インターバルINTcに達すると、この時間カウンタCNTはクリアされ、その値は「0」にされる。
このステップS210にて、時間カウンタCNTがインターバルINTc未満である、すなわち時間カウンタCNTがインターバルINTcに達していないと判定される場合には(S210:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、時間カウンタCNTがインターバルINTc以上である、即ち時間カウンタCNTがインターバルINTcに達したと判定される場合には(S210:YES)、上記ステップS200にて平均床温Tav及び最大床温Tmaxを算出していたときに設定されていたインターバルINTcが選択判定値A以上であるか否かが判定される(S220)。なお、時間カウンタCNTがインターバルINTcに達したと判定されたときの平均床温Tav及び最大床温Tmaxの値は、同インターバルINT内における最終的な値となっている。
そして、インターバルINTcが選択判定値A以上である場合には(S220:YES)、インターバルINTc内における熱劣化進行度dKが最大床温Tmaxに基づいて算出される(S230)。このように、インターバルINTcが選択判定値A以上である場合、すなわち、インターバルINTcが長くされている場合には、最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKが算出されることにより、インターバルINTc内で排気浄化部材30の過昇温が生じた場合には、その過昇温時の床温に基づいて熱劣化進行度dKが算出される。従って、本実施形態では、変化率Rが小さい場合には過昇温が生じにくいとして、インターバルINTcを長くするようにしているが、そのような変化率Rでは捉えきれない急激な温度上昇が排気浄化部材30に生じたとしても、該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することが可能となる。
一方、インターバルINTcが選択判定値A未満である場合には(S220:NO)、インターバルINTc内における熱劣化進行度dKが平均床温Tavに基づいて算出される(S240)。このように、インターバルINTcが選択判定値A未満である場合、即ちインターバルINTcが短くされている場合には、平均床温Tavに基づいて熱劣化進行度dKが算出されることにより、インターバルINTc内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができるようになる。そしてこれにより排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することが可能となる。ちなみに、このようにインターバルINTcが短くされている場合に、上述したように排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化は適切に推定される。
このようにステップS230またはステップS240にて、熱劣化進行度dKが算出されると、熱劣化カウンタKの更新が行われる(S250)。ここでは、次式(3)に基づいて熱劣化進行度dKの積算が行われることにより、熱劣化カウンタKの更新がなされる。
K(i)=K(i−1)+dK …(3)
K(i):更新後の熱劣化カウンタK
K(i−1):更新前の熱劣化カウンタK
dK:ステップS230またはステップS240にて算出された熱劣化進行度
なお、この熱劣化カウンタKの更新は、時間カウンタCNTがインターバルINTcに達した場合に行われる。従って、同熱劣化カウンタKは、インターバルINTcが経過する毎に更新されることとなる。
そして、平均床温Tavが「0」にクリアされるとともに、最大床温Tmaxも「0」にクリアされて(S260)、本処理は一旦終了される。
図6に、上記インターバル設定処理の実行を通じて変更されるインターバルINTcの変化、及び上記熱劣化カウンタ算出処理の実行を通じて行われる熱劣化進行度算出用の床温の選択についてその一例を示す。なお、同図6に示す一点鎖線は、各区間毎に算出される平均床温Tavについてその算出途中の値の変化を示している。
同図6に示すように、床温Tの変化率Rが小さい区間(区間A、B、J、P)では、インターバルINTcが長くされることにより、熱劣化カウンタKの更新回数は少なくなる。従って、熱劣化カウンタKの増大によって消費される上記RAMの数値処理容量についてその消費度合は低くなり、その分、熱劣化の推定限界量は大きくなる。
また、このようにインターバルINTcが長くされる場合には、インターバルINTc内の最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKは算出される。従って、変化率Rでは捉えきれない急激な温度上昇が排気浄化部材30に生じたとしても、該排気浄化部材30の熱劣化は精度よく推定される。
他方、床温Tの変化率Rが大きい区間(区間C〜区間H、区間K〜区間N)では、インターバルINTcが短くされることにより、排気浄化部材30に過昇温が生じた場合でも、同排気浄化部材30の熱劣化は適切に推定される。
また、このようにインターバルINTcが短くされる場合には、インターバルINTc内の平均床温Tavに基づいて熱劣化進行度dKは算出される。従って、インターバルINTc内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができ、排気浄化部材30の熱劣化は精度よく推定される。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
(1)所定の時間間隔内における排気浄化部材30(NSR触媒31及びDPNR触媒32)の熱劣化進行度dKをその床温に基づいて算出するとともに、その熱劣化進行度dKの積算値(熱劣化カウンタK)に基づいて排気浄化部材30の熱劣化を推定する際に、前記時間間隔(インターバルINTc)を可変設定するようにしている。そのため、その設定時間に応じた長所を得つつ、同設定時間に応じた短所による悪影響を抑えることができるようになる。このように、触媒の熱劣化を推定するに際して上記時間間隔を可変設定することにより、熱劣化の推定態様における同時間間隔の設定に関してその自由度を高めるようにしており、これにより熱劣化の推定を好適に行うことができるようになる。
(2)床温Tの変化率Rが小さい場合には、そうでない場合と比較してインターバルINTc(時間間隔)が長くなるように該インターバルINTcを設定するようにしている。従って、排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができるとともに、熱劣化の推定限界量を適切に確保することもできるようになる。
(3)インターバルINTcが長くされた場合には、インターバルINTc内での床温Tの最大値(最大床温Tmax)に基づいて熱劣化進行度dKを算出するようにしている。従って、上記変化率Rでは捉えきれない急激な温度上昇が排気浄化部材30に生じたとしても、該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができるようになる。
(4)床温Tの変化率Rが大きい場合には、そうでない場合と比較してインターバルINTc(時間間隔)が短くなるように該インターバルINTcを設定するようにしている。従って、排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができるようになる。
(5)インターバルINTcが短くされた場合には、インターバルINTc内での床温Tの平均値(平均床温Tav)に基づいて熱劣化進行度dKを算出するようにしている。従って、インターバルINTc内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができるようになり、もって排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができるようになる。
(第2の実施形態)
次に、この発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を具体化した第2の実施形態について、図7及び図8を併せ参照して説明する。
本実施形態では、インターバルが適宜設定された固定値とされている。そして、熱劣化進行度dK算出用の床温について、インターバル内における平均値または最大値のいずれかを選択するようにしている。すなわち、排気浄化部材30の熱劣化を推定するに際して、その推定態様における熱劣化進行度算出用の床温の設定に関する自由度を高めることにより、熱劣化推定を好適に行うようにしており、インターバル設定処理が省略されている点、及び熱劣化カウンタ算出処理の一部が異なる点以外は基本的に第1の実施形態と同様である。そこで、以下ではこれら相違点を中心に、本実施形態にかかる内燃機関の排気浄化装置を説明する。
図7に、本実施形態において実行される熱劣化カウンタ算出処理の手順を示す。なお、この処理も制御装置25によって所定周期毎に、例えば1秒毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、平均床温Tav及び最大床温Tmaxが算出される(S300)。ここでの平均床温Tav及び最大床温Tmaxの算出態様は、第1の実施形態におけるステップS200での算出態様と同様である。
次に、時間カウンタCNTが、適宜設定された固定値であるインターバルINT以上であるか否かが判定される(S310)。この時間カウンタCNTは、第1の実施形態における時間カウンタCNTと同一であり、その値が上記インターバルINTに達すると、この時間カウンタCNTはクリアされる。
このステップS310にて、時間カウンタCNTがインターバルINT未満である、すなわち時間カウンタCNTがインターバルINTに達していないと判定される場合には(S310:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、時間カウンタCNTがインターバルINT以上である、すなわち時間カウンタCNTがインターバルINTに達したと判定される場合には(S310:YES)、前記床温T(排気浄化部材30の各部床温の平均値)の単位時間当たりの変化量である変化率Rが判定値B以上であるか否かが判定される(S320)。なお、時間カウンタCNTがインターバルINTに達したと判定されたときの平均床温Tav及び最大床温Tmaxの値は、同インターバルINT内における最終的な値となっている。
そして、変化率Rが判定値B以上である、すなわち床温Tの変化が大きい場合には(S320:YES)、インターバルINT内における熱劣化進行度dKが最大床温Tmaxに基づいて算出される(S330)。
このように変化率Rが大きく、排気浄化部材30の過昇温が生じやすい状況では、インターバルINT内での床温Tの最大値に基づいて上記熱劣化進行度dKを算出することにより、インターバルINT内で排気浄化部材30に過昇温が生じた場合には、その過昇温時の床温Tに基づいて熱劣化進行度dKは算出される。従って、排気浄化部材30に過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することが可能となる。
一方、変化率Rが判定値B未満である、すなわち床温Tの変化が小さい場合には(S320:NO)、インターバルINT内における熱劣化進行度dKが平均床温Tavに基づいて算出される(S340)。
このように変化率Rが小さく、排気浄化部材30に過昇温が生じにくい状況では、インターバルINT内での床温Tの平均値に基づいて上記熱劣化進行度dKを算出することにより、同インターバルINT内における床温Tの変動が上記熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができるようになる。そしてこれにより排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することが可能となる。
このようにステップS330またはステップS340にて、熱劣化進行度dKが算出されると、熱劣化カウンタKの更新が行われる(S350)。ここでの熱劣化カウンタKの更新態様は、第1の実施形態におけるステップS250での更新態様と同様である。
そして、平均床温Tavが「0」にクリアされるとともに、最大床温Tmaxも「0」にクリアされて(S360)、本処理は一旦終了される。
図8に、上記熱劣化カウンタ算出処理の実行を通じて行われる熱劣化進行度算出用の床温の選択についてその一例を示す。なお、同図8に示す一点鎖線は、各区間毎に算出される平均床温Tavについてその算出途中の値の変化を示している。
同図8に示すように、床温Tの変化率Rが小さい区間(区間A、B、F、J)では、インターバルINT内の平均床温Tavに基づいて熱劣化進行度dKは算出される。従って、インターバルINT内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができ、排気浄化部材30の熱劣化は精度よく推定される。
他方、床温Tの変化率Rが大きい区間(区間C〜区間E、区間G、区間H)では、インターバルINT内の最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKは算出される。従って、排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化は精度よく推定される。
なお、排気浄化部材30に過昇温が生じた場合の該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定するために、上記インターバルINTを短く設定するといった一態様も考えられる。しかし、このようにインターバルINTを短くすると、前述したように熱劣化の推定限界量の不足が生じやすくなる。そのため、その不足を補うべく前記RAMの数値処理容量を例えば32ビットに変更する等、同数値処理容量を大きくしなければならないといった不具合が生じる。この点、上記熱劣化カウンタ算出処理を実行すれば、排気浄化部材30に過昇温が生じやすい状況では、インターバルINT内の最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKが算出され、これにより過昇温発生時の排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができる。従って、上記数値処理容量を特に増量する必要はなく、仮に増量する場合であってもその増量幅は小さくすることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
(1)予め設定された時間間隔(インターバルINT)内における排気浄化部材30(NSR触媒31及びDPNR触媒32)の熱劣化進行度dKをその床温に基づいて算出し、その熱劣化進行度dKの積算値(熱劣化カウンタK)に基づいて排気浄化部材30の熱劣化を推定する際に、以下のような態様で熱劣化進行度dKを算出するようにしている。
すなわち、床温Tの変化率Rが小さい場合にはインターバルINT内での床温Tの平均値(平均床温Tav)に基づいて熱劣化進行度dKを算出するようにしている。このように変化率Rが小さく、排気浄化部材30の過昇温が生じにくい状況では、平均床温Tavに基づいて熱劣化進行度dKが算出されることにより、インターバルINT内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができるようになる。そしてこれにより排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができるようになる。
また、上記変化率Rが大きい場合にはインターバルINT内での床温Tの最大値(最大床温Tmax)に基づいて熱劣化進行度dKを算出するようにしている。このように変化率Rが大きく、排気浄化部材30の過昇温が生じやすい状況では、最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKが算出されることにより、インターバルINT内で排気浄化部材30の過昇温が生じた場合には、その過昇温時の床温Tに基づいて熱劣化進行度dKが算出されるようになる。そのため、排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができるようになる。
このように本実施形態では、熱劣化進行度dK算出用の床温について、インターバルINT内における平均値または最大値のいずれかを選択するようにしている。すなわち、排気浄化部材30の熱劣化を推定するに際して、その推定態様における熱劣化進行度算出用の床温の設定に関する自由度を高めるようにしており、これにより熱劣化の推定を好適に行うことができるようになる。
(2)また、インターバルINT内の最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKを算出することにより、過昇温発生時の排気浄化部材30の熱劣化は精度よく推定される。従って、上記RAMの数値処理容量を特に増量する必要はなく、仮に増量する場合であってもその増量幅は小さくすることができる。
(第3の実施形態)
次に、この発明にかかる排気浄化用の触媒の熱劣化推定方法を内燃機関の排気浄化装置に適用した第3の実施形態について、図9〜図12を併せ参照して説明する。
本実施形態では、上記RAMの数値処理容量が異なる機関毎に別々の熱劣化推定方法を適用するようにしている。より具体的には、RAMの数値処理容量が異なる機関毎に、別々の前記インターバルを設定するとともに、その設定されたインターバルに応じた別々の熱劣化カウンタ算出処理を実行するようにしている。
なお、それら各熱劣化カウンタ算出処理が実行される内燃機関及び排気浄化装置の構成は、上記RAMの数値処理容量が異なる点以外は基本的に第1の実施形態と同様である。そこで以下では、上記数値処理容量に応じて実行される各熱劣化カウンタ算出処理を中心に、本実施形態にかかる排気浄化用の触媒の熱劣化推定方法を説明する。
[RAMの数値処理容量が少ない場合の熱劣化カウンタ算出処理]
まずはじめに、制御装置25が備えるRAMの数値処理容量が少ない場合に実行される熱劣化カウンタ算出処理について、図9及び図10を併せ参照して説明する。
図9に、RAMの数値処理容量が少ない場合に実行される熱劣化カウンタ推定処理の手順を示す。なお、この処理は制御装置25によって所定周期毎に、例えば1秒毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、最大床温Tmaxが算出される(S400)。ここでの最大床温Tmaxの算出態様は、第1の実施形態におけるステップS200での算出態様と同様である。
次に、時間カウンタCNTが、数値処理容量に応じて設定された固定値であるインターバルINTa以上であるか否かが判定される(S410)。この時間カウンタCNTは、第1の実施形態における時間カウンタCNTと同一であり、その値が上記インターバルINTaに達すると、この時間カウンタCNTはクリアされる。また、このときのインターバルINTaは、数値処理容量が多いRAMを備える場合と比較して長くなるように、RAMの数値記憶容量に応じて予め設定されている。
このステップS410にて、時間カウンタCNTがインターバルINTa未満である、すなわち時間カウンタCNTがインターバルINTaに達していないと判定される場合には(S410:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、時間カウンタCNTがインターバルINTa以上である、即ち時間カウンタCNTがインターバルINTaに達したと判定される場合には(S410:YES)、最大床温Tmaxに基づいてインターバルINTa内における熱劣化進行度dKが算出される(S430)。なおこのときの最大床温Tmaxの値は、インターバルINTa内における最終的な値となっている。
そして、熱劣化進行度dKが算出されると、熱劣化カウンタKの更新が行われる(S430)。ここでの熱劣化カウンタKの更新態様は、第1の実施形態におけるステップS250での更新態様と同様である。
そして、最大床温Tmaxは「0」にクリアされて(S440)、本処理は一旦終了される。
図10に、上記熱劣化カウンタ算出処理が実行されるときの熱劣化進行度算出用の床温についてその一態様を示す。
RAMの数値処理容量が少ない場合には、インターバルINTaが長く設定されており、図10に示すように、各区間(区間A〜区間J)においては、インターバルINTa内の最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKは算出される。従って、そのようにインターバルINTaが長くされた場合にあって、同インターバルINTa内で排気浄化部材30の過昇温が生じた場合には、その過昇温時の床温Tに基づいて熱劣化進行度dKが算出される。そのため、同図10に一点鎖線にて示すように、各区間(区間A〜区間J)における床温Tの平均値(平均床温Tav)に基づいて熱劣化進行度dKを算出する場合よりも、より的確に排気浄化部材30の過昇温を把握することができ、もって排気浄化部材30に過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができる。
[RAMの数値処理容量が多い場合の熱劣化カウンタ算出処理]
次に、制御装置25が備えるRAMの数値処理容量が多い場合に実行される熱劣化カウンタ算出処理について、図11及び図12を併せ参照して説明する。
図11に、RAMの数値処理容量が多い場合に実行される熱劣化カウンタ推定処理の手順を示す。なお、この処理は制御装置25によって所定周期毎に、例えば1秒毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されるとまず、平均床温Tavが算出される(S500)。ここでの平均床温Tavの算出態様は、第1の実施形態におけるステップS200での算出態様と同様である。
次に、時間カウンタCNTが、数値処理容量に応じて設定された固定値であるインターバルINTb以上であるか否かが判定される(S510)。この時間カウンタCNTは、第1の実施形態における時間カウンタCNTと同一であり、その値が上記インターバルINTbに達すると、この時間カウンタCNTはクリアされる。また、このときのインターバルINTbは、数値処理容量が少ないRAMを備える場合と比較して短くなるように、RAMの数値記憶容量に応じて予め設定されており、その値は上記インターバルINTaよりも短くされている。
このステップS510にて、時間カウンタCNTがインターバルINTb未満である、すなわち時間カウンタCNTがインターバルINTbに達していないと判定される場合には(S510:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、時間カウンタCNTがインターバルINTb以上である、即ち時間カウンタCNTがインターバルINTbに達したと判定される場合には(S510:YES)、平均床温Tavに基づいてインターバルINTb内における熱劣化進行度dKが算出される(S530)。なお、このときの平均床温Tavの値は、インターバルINTb内における最終的な値となっている。
そして、熱劣化進行度dKが算出されると、熱劣化カウンタKの更新が行われる(S530)。ここでの熱劣化カウンタKの更新態様は、第1の実施形態におけるステップS250での更新態様と同様である。
そして、平均床温Tavは「0」にクリアされて(S540)、本処理は一旦終了される。
図12に、上記熱劣化カウンタ算出処理が実行されるときの熱劣化進行度算出用の床温についてその一態様を示す。なお、同図12に示す一点鎖線は、各区間毎に算出される平均床温Tavについてその算出途中の値の変化を示している。
RAMの数値処理容量が多い場合には、インターバルINTbが短く設定されており、図12に示すように、各区間(区間A〜区間T)においては、インターバルINTb内の平均床温Tavに基づいて熱劣化進行度dKは算出される。従って、インターバルINTb内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができるようになり、もって排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができる。
このように本実施形態では、熱劣化カウンタKを記憶するRAMの数値処理容量が少ない場合、インターバルが長くなるように設定される。そのため、第1の実施形態で説明したように熱劣化進行度dKの積算回数が少なくなり、もって熱劣化の推定限界量が大きくなる。さらに、このようにインターバルが長くされた場合には、インターバル内での床温Tの最大値(前記最大床温Tmax)に基づいて熱劣化進行度dKが算出される。従って、インターバルが長くされた場合にあって、同インターバル内で排気浄化部材30の過昇温が生じた場合には、その過昇温時の床温Tに基づいて熱劣化進行度dKが算出される。そのため、排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができる。
一方、RAMの数値処理容量が多い場合、インターバルが短くなるように設定される。このようにインターバルを短く設定すると、次のような作用効果が得られる。すなわち、熱劣化進行度dKは床温に基づいて算出されるのであるが、排気浄化部材30に過昇温が生じた場合には、過度に高温となった排気浄化部材30の温度が低下する前にその床温を参照することができる。従って、熱劣化進行度dKの算出時に参照される床温にはそのような過昇温が反映されやすくなり、もって排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができる。さらに、このようにインターバルが短くされる場合には、インターバル内での床温Tの平均値(前記平均床温Tav)に基づいて熱劣化進行度dKが算出される。従って、インターバル内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができ、もって排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができる。
このように本実施形態では、排気浄化部材30の熱劣化を推定するに際して、RAMの数値処理容量に応じてインターバルを設定するようにしている。すなわち、熱劣化の推定態様における同インターバルの設定に関してその自由度を高めるようにしており、これにより数値処理容量に応じた適切なインターバルを設定することができ、もって熱劣化の推定を適切に行うことができる。また、熱劣化進行度dK算出用の床温について、インターバル内における平均値または最大値のいずれかを前記設定されるインターバルに対応させて選択するようにしている。そのため、排気浄化部材30の熱劣化の推定に際し、その推定態様における熱劣化進行度dK算出用の床温が適切に選択され、もって熱劣化の推定を適切に行うことができる。
以上説明したように、本実施形態によれば次のような効果を得ることができる。
(1)所定の時間間隔(インターバルINT)内における排気浄化部材30(NSR触媒31及びDPNR触媒32)の熱劣化進行度dKをその床温に基づいて算出するとともに、その熱劣化進行度dKの積算値(熱劣化カウンタK)に基づいて排気浄化部材30の熱劣化を推定する際に、以下のような態様で熱劣化の推定を行うようにしている。
すなわち、熱劣化カウンタKを記憶するRAMの数値処理容量が少ない場合には、インターバルを長く設定するとともに、そのように設定されたインターバル内での最大床温Tmaxに基づいて熱劣化進行度dKを算出するようにしている。そのため、熱劣化の推定限界量を大きくすることができるとともに、排気浄化部材30に過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができる。
一方、熱劣化カウンタKを記憶するRAMの数値処理容量が多い場合には、インターバルを短く設定するとともに、そのように設定されたインターバル内での平均床温Tavに基づいて熱劣化進行度dKを算出するようにしている。そのため、排気浄化部材30の過昇温が生じた場合でも、該排気浄化部材30の熱劣化を適切に推定することができるとともに、インターバル内における床温Tの変動が熱劣化進行度dKの算出に与える影響を極力抑えることができるようになり、もって排気浄化部材30の熱劣化を精度よく推定することができるようになる。
このように本実施形態では、排気浄化部材30の熱劣化を推定するに際して、熱劣化の推定態様におけるインターバルの設定に関してその自由度を高めるようにしている。さらに、熱劣化進行度dK算出用の床温について、インターバル内における平均値または最大値のいずれかを前記設定されるインターバルに対応させて選択するようにしている。そのため、排気浄化部材30の熱劣化推定を好適に行うことができるようになる。
また、排気浄化部材30を備える内燃機関にあって、数値処理容量の多いRAMが配設される機関での触媒の劣化推定方法として、上述したような数値処理容量が多い場合の劣化推定方法を適用しているため、排気浄化部材30の熱劣化を精度よく、適切に推定することができる。また、数値処理容量の少ないRAMが配設される機関での触媒の劣化推定方法として、上述したような数値処理容量が少ない場合の劣化推定方法を適用しているため、そのように数値処理容量が少ない場合であっても、排気浄化部材30の熱劣化を精度よく、適切に推定することができる。すなわち、機関毎に異なるRAMの数値処理容量に応じて上記劣化推定方法を適宜選択するようにしており、これによりRAMの数値処理容量に応じた適切な熱劣化推定を行うことができるようになる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・第1の実施形態では、インターバルINTcを可変設定するとともに、熱劣化進行度dK算出用の床温を切り替えるようにした。この他、インターバルINTcの可変設定のみを実施し、熱劣化進行度dK算出用の床温については平均床温Tav及び最大床温Tmaxのいずれか一方に固定するようにしてもよい。この場合にも、インターバルINTcを可変設定することによる作用効果を得ることができる。
・NSR触媒31やDPNR触媒32の複数箇所の床温に関する推定態様は任意に変更することができる。
・上記添加剤はエンジン1の燃料であったが、これと同様な作用が得られる添加剤であればどのようなものでもよい。
・上記噴射ノズル5は、排気浄化部材の排気上流側であればその取り付け位置は任意である。
・各実施形態では、2つの触媒が配設された排気浄化部材30を備える排気浄化装置に本発明を適用した場合について説明した。この他、1つの触媒が配設された排気浄化部材、あるいは3つ以上の触媒が配設された排気浄化部材を備える排気浄化装置にも本発明は同様に適用することができる。
・NSR触媒31は上述したようなNOx吸蔵還元型触媒に限定されない。要はNOxを浄化することのできる触媒であればよい。また、各実施形態において、排気浄化部材に配設される触媒はNSR触媒31やDPNR触媒32であり、添加剤が供給される触媒であったが、排気浄化部材に配設される触媒はそのようなものに限定されるものではなく、熱劣化が生じる触媒が配設された排気浄化部材であれば、本発明は同様に適用することができる。
・本発明の適用対象となる内燃機関はディーゼル機関に限らない。例えば、熱劣化する触媒を備えるガソリン機関にも本発明は同様に適用することができる。
1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…吸気通路、4a〜4d…燃料噴射弁、5…噴射ノズル、6a〜6d…排気ポート、7…インテークマニホールド、8…エキゾーストマニホールド、9…コモンレール、10…サプライポンプ、11…ターボチャージャ、13…EGR通路、14…EGRクーラ、15…EGR弁、16…スロットル弁、17…アクチュエータ、18…インタークーラ、19…エアフロメータ、20…スロットル開度センサ、21…空燃比センサ、22…EGR弁開度センサ、23…機関回転速度センサ、24…アクセルセンサ、25…制御装置(推定手段)、26…排気通路、27…燃料供給管、30…排気浄化部材、31…NSR触媒、32…DPNR触媒、33…第1排気温度センサ、34…第2排気温度センサ。