JP4193960B2 - 太陽電池用基板および薄膜太陽電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安定かつ高い光電変換効率を有する太陽電池を、安価に製造することを可能にする太陽電池用基板および薄膜太陽電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石油等の化石燃料は、将来の需給が懸念されており、かつ地球温暖化現象の原因となり、二酸化炭素排出の問題がある。近年、石油等の化石燃料の代替エネルギー源として、太陽電池が注目されている。
【0003】
この太陽電池は、光エネルギーを電力に変換する光電変換層にpn接合を有する半導体を備えている。このpn接合を有する半導体として、一般的にはシリコンが最もよく用いられている。光電変換効率の観点からいうと、この半導体には、単結晶シリコンを用いることが好ましい。しかし、単結晶シリコンを用いた半導体は、原料供給や大面積化、低コスト化の問題を有している。
【0004】
一方、大面積化および低コスト化を実現するのに有利な材料として、非晶質のアモルファスシリコンを光電変換層として用いた薄膜太陽電池が実用化されている。さらには、単結晶シリコン太陽電池レベルの高くて安定した光電変換効率と、アモルファスシリコン太陽電池レベルの大面積化、低コスト化とを兼ね備えた太陽電池を実現するために、結晶質シリコンの光電変換層への使用が検討されている。特にアモルファスシリコンの場合と同様の化学的気相成長法(以下、CVD法とする)による薄膜形成技術を用いて、結晶質シリコン薄膜を形成した薄膜太陽電池(以下、結晶質シリコン薄膜太陽電池とする)が注目されている。
【0005】
なお、以下の記載において、特に注意することがない限り、「結晶質」という用語の意味する状態として、「単結晶」および「多結晶」といった実質的に結晶のみからなる状態だけでなく、「微結晶」あるいは「マイクロクリスタル」と呼ばれる結晶成分と非晶質成分が混在した状態のものも含んでいる。
【0006】
高い光電変換効率を有する薄膜太陽電池を実現する上で、重要な要素となる技術の1つに光閉込がある。光閉込とは、光電変換層に接する透明導電膜あるいは金属層の表面を凹凸化して、その界面で光を散乱させることで光路長を延長させ、光電変換層での光吸収量を増大させるものである。
【0007】
例えば、特許公報である特許第1681183号公報または特許第2862174号公報には、ガラス基板上に形成した透明導電膜の粒径や凹凸の大きさを規定した太陽電池用基板の例が開示されている。
【0008】
この光閉込による光電変換効率の向上は、光電変換層の膜厚を薄くする効果をもたらす。これにより、アモルファスシリコン太陽電池の場合には、Staebler−Wronski効果に起因する光劣化を抑制することになる。
【0009】
さらに、結晶質シリコン太陽電池は、光吸収特性のために、アモルファスシリコンと比較して数倍から十数倍の数μmオーダーもの厚さが必要とされていた。しかし、光閉込効果を利用して、光電変換効率を上げた場合には、結晶質シリコン太陽電池であっても、大幅な製膜時間の減少をもたらすことになる。
【0010】
すなわち、光閉込は薄膜太陽電池の実用化への大きな課題である高効率化、安定化、低コスト化の全てを解決する手段として必須の技術である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来の結晶質シリコン薄膜太陽電池の光電変換効率は、現在までのところ、精力的な研究開発が行われているにも関わらず、アモルファスシリコン太陽電池の光電変換効率と比較して、同等レベルまでしか達していない。
【0012】
H.Yamamoto et al,PVSEC−11,Sapporo,Japan,1999において、以下のような報告がなされている。
【0013】
ガラス表面上に微視的な凹凸を有する酸化錫を積層したAsahi−U基板上に、プラズマCVD法により微結晶シリコンを形成した場合、酸化錫の表面に垂直な方向にシリコンの結晶粒が優先的に成長する。そして、異なる凹凸表面から成長した互いに結晶方位の異なる結晶粒同士がぶつかることで、多量の欠陥が発生してしまう。このような欠陥は、キャリア(電子および正孔)の再結合の中心となり、光電変換効率を著しく劣化させるので、極力排除しなければならない。
【0014】
H.Yamamotoらは、同時に以下のような報告も行っている。
【0015】
表面に凹凸を有する酸化錫の上に、さらに酸化亜鉛を厚く積層することで凹凸の大きさを小さくした場合、酸化錫のみの場合と同様に、酸化亜鉛の表面に垂直な方向にシリコン結晶粒が成長し、異なる凹凸表面から成長した結晶粒同士はぶつかる。しかし、それらの方位差が小さいため、発生する欠陥が少なくなる。
【0016】
しかるに、結晶質シリコン薄膜中の欠陥を低減するためには、基板表面の凹凸をできるだけ小さくすればよいのは明らかである。しかしながら、上述したように光閉込は薄膜太陽電池に必須の技術であり、実用化を考えた場合、表面の凹凸をなくす、あるいは小さくすることは回避すべきである。
【0017】
一方、特許第1681183号公報または特許第2862174号公報に開示されているような、表面に凹凸形状を有する透明導電膜が形成された太陽電池用基板は、低コスト化が十分でなく、薄膜太陽電池の普及を妨げる要因の一つとなっている。その解決策として、透明導電膜に酸化亜鉛を使用することが注目されている。酸化亜鉛は、透明導電膜として広く用いられている酸化錫あるいはITOといった材料と比較して安価である。さらには耐プラズマ性が高いという利点を有しており、薄膜太陽電池に用いられる透明導電膜材料として好適である。
【0018】
酸化亜鉛を薄膜太陽電池用透明導電膜材料として用いた例として、特許第2974485号公報、特許第3072832号公報、特開平11−233800号公報が挙げられる。これらの公報によれば、スパッタリング法により形成した酸化亜鉛層をエッチングして、凹凸形状を設けた薄膜太陽電池が示されている。しかしながら、これらの例は、全てアモルファスシリコン太陽電池用として最適化されたものであって、結晶質シリコン薄膜太陽電池へ適用するにはさらなる改良の余地が残されている。特に、光電変換層に欠陥を導入することなく高い光閉込効果を発現するような基板表面の凹凸の構造については、未だ明らかとはなっていない。
【0019】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、結晶質半導体層中の欠陥密度を増大させることなく十分な光閉込効果を有し、かつ安価に製造できる太陽電池用基板、および安定かつ高い光電変換効率を有する薄膜太陽電池を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の太陽電池用基板は、上記課題を解決するために、光電変換層に接する表面が凹凸化されており、光が該凹凸に向かって入射する太陽電池用基板であって、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が15nm〜600nmの範囲になるように設定されていると共に、上記凹凸の平均線に対する該凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘが0.10〜0.30の範囲に設定されていることを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、太陽電池用基板の表面の凹凸は、光電変換層と接するように設けられているので、上記凹凸に向かって入射された光は、その界面で散乱される。この光の散乱は、光路長を延長させ、その結果、光電変換層での光吸収量が増大する。このように、光が閉じ込められることによって、光電変換効率の向上が可能となる。光電変換効率の向上により、光電変換層の膜厚は薄くなる。これにより、光電変換層に要する製膜時間、及び製造コストを大幅に減少させることが可能となる。
【0022】
ところで、太陽電池用基板の表面の凹凸は、結晶方位が異なると、その高さによっては結晶同士がぶつかり、これにより欠陥が発生する。このような欠陥は、キャリアの再結合中心となり、光電変換効率を著しく低下させる。
【0023】
そこで、上記の発明によれば、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が15nm〜600nmの範囲になるように設定されていると共に、上記凹凸の平均線に対する該凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘが0.10〜0.30の範囲に設定されているので、結晶同士がぶつかることを確実に回避できる。それゆえ、欠陥により光電変換効率が劣化することを確実に防止できる。
【0024】
上記凹凸が透明導電性の材料からなるものであることが好ましい。この場合、上記凹凸の透明導電性の材料と光電変換層との界面において、入射光が散乱するため、光の光路長が長くなり、光閉込効果を高めることが可能となる。
【0025】
上記透明導電性の材料からなるものは、主として酸化亜鉛からなることが好ましい。この場合、酸化亜鉛で凹凸を構成することによって、全体として安価に構成できると共に、耐プラズマ性が高く変質しにくくなる。
【0026】
上記凹凸は、上記透明導電性の材料からなるものに対してエッチングが行われることにより形成されることが好ましい。この場合、エッチャントの種類、濃度、またはエッチング時間等を適宜変更することによって、透明導電性の材料の表面形状を容易に制御できるので、所望の凹凸が容易に得られる。
【0027】
本発明の他の太陽電池用基板は、上記課題を解決するために、光電変換層に接する表面が凹凸化されているものであって、上記凹凸の一部である穴は、直径が200nm〜2000nmの範囲である略半球状または円錐状の形状を有していることを特徴としている。上記穴の直径は、400nm〜1200nmの範囲であることがより好ましい。この場合、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が15nm〜600nmの範囲になると共に、上記凹凸の平均線に対する該凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘが0.10〜0.30の範囲になり、結晶同士がぶつかることを確実に回避できる。それゆえ、欠陥により光電変換効率が劣化することを確実に防止できる。
【0028】
本発明に係る薄膜太陽電池は、上記課題を解決するために、上記の太陽電池用基板を備え、該太陽電池用基板に少なくとも一つの光電変換素子からなる光電変換層が設けられていることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、光電変換層中の欠陥を増大させることなく、光閉込効果による光吸収量を増大させることが可能となり、安定かつ高い光電変換効率を有する太陽電池用基板を安価に提供できる。
【0030】
上記光電変換層に接する上記表面と反対側の表面は凹凸化されており、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が25nm〜600nmの範囲になるように設定されていると共に、上記凹凸の平均線に対する該凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘが0.07〜0.20の範囲に設定されていることが好ましい。
【0031】
これにより、光電変換層の両面側に好適な凹凸が設けられることになり、太陽光スペクトル中心の波長450〜650nm領域の中波長域、およびさらに長い波長域のいずれに対しても十分な光閉込効果を生じさせることができる。
【0032】
前記光電変換層のうち、少なくとも1つの光電変換素子における活性層は結晶質シリコンまたはシリコン合金からなることがより好ましい。
【0033】
これにより、非晶質であるアモルファスシリコンでは光電変換に利用できない波長700nm以上の波長の長い光まで、十分に光電変換に利用することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
[実施の形態]
本発明の薄膜太陽電池に関する実施の一形態について、図1に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0035】
本発明の薄膜太陽電池20は、図1に示すように、ガラス基板11a、裏面電極11b、凹凸表面層11c、n型結晶質シリコン層12、i型結晶質シリコン層13、p型シリコン層14、透明電極15、表面電極16が、この順番で積層されて構成されている。
【0036】
薄膜太陽電池20は、サブストレート型と呼ばれ、表面電極16側から光を入射する薄膜太陽電池である。
【0037】
また、太陽電池用基板11は、ガラス基板11aと裏面電極11bと凹凸表面層11cとから構成されている。
【0038】
ガラス基板11aは、太陽電池用基板11を構成する基板である。基板の厚さは、特に限定されるものではないが、構造を支持できる適当な強度や重量を有するように、例えば、0.1〜30mm程度であればよい。
【0039】
本実施形態では、この基板の材料としてガラスを用いたが、金属、あるいはポリイミドやポリビニルといった200℃程度の耐熱性を有する樹脂、さらにはそれらが積層されたもの等、種々のものが使用できる。さらには、それらの表面に金属膜、透明導電膜、あるいは絶縁膜等を被覆したものであってもよい。
【0040】
裏面電極11bは、電極としての機能の外に、可視光反射率の高い金属(例えば、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Pd(パラジウム)等)およびその合金を用いることで、光電変換層21に入射した光のうち、電気に変換されずに光電変換層21から洩れてきた光を反射して、再度光電変換層21に戻す機能を有することができる。この機能により、光電変換効率を上げることができる。なお、上述の金属を基板そのものに用いた場合には、基板そのものに裏面電極としての機能を有することができるので、裏面電極11bを省くことも可能である。
【0041】
凹凸表面層11cは、透明導電性の材料からなり、透明導電性の材料である酸化亜鉛をエッチングすることで形成される。
【0042】
エッチングによって凹凸を形成することで、太陽電池用基板11の表面に透明導電膜を形成している場合、エッチャントの種類、濃度あるいはエッチング時間等を適宜変更することにより、透明導電膜の表面形状を容易に制御することができ、凹凸の高さを示す二乗平均値およびtanΘが予め定めた前記範囲内の凹凸を形成することが容易になる。
【0043】
なお、エッチャントとして酸またはアルカリ溶液を用いることで、従来の製造方法に比べて、より安価に太陽電池用基板11を製造することができる。この際、使用できる酸溶液としては塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸、蟻酸、過塩素酸等の1種または2種以上の混合物が挙げられるが、この中でも、塩酸、酢酸を使用することが特に好ましい。これらの酸溶液は、例えば0.05〜5.0重量%程度の濃度で使用できるが、特に酢酸のような比較的弱い酸の場合には、0.1〜5.0重量%程度の濃度で使用するとよい。また、アルカリ溶液としては水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上の混合物が挙げられるが、この中でも水酸化ナトリウムを使用することが特に好ましい。また、これらのアルカリ溶液は1〜10重量%程度の濃度で使用するとよい。
【0044】
さらに、凹凸表面層11cに透明導電性の材料を用いることにより、光電変換層21との界面において、薄膜太陽電池20内に入射してきた光は散乱する。よって、光の光路長が長くなり、光閉込効果を高めることが可能になる。この結果、光電変換効率が高くなり、光電変換層21の膜厚を低減することができる。
【0045】
これにより、結晶質シリコンからなる薄膜太陽電池20の薄膜化が可能になり、製膜時間を大幅に減少させることができる。さらには、光電変換層21を形成する際に、太陽電池用基板11に含まれている不純物が光電変換層21へ取り込まれることを防止することができる。
【0046】
また、凹凸表面層11cを形成する透明導電性の材料である酸化亜鉛は、安価であり、耐プラズマ性が高く変質しにくいという特徴を有している。これにより、透明導電膜に広く用いられている酸化錫、酸化インジウムあるいはITOといった材料を用いるよりも、安価で耐プラズマ性の高い太陽電池用基板11を得ることができる。
【0047】
なお、前記透明導電性の材料中に微量の不純物が添加されていてもよい。例えば、酸化亜鉛が主成分である場合には、5×1020〜5×1021cm-3程度のガリウムやアルミニウムといった第IIIB族元素、あるいは銅のような第IB族元素が含有されることにより抵抗率が低減するため、電極として使用するのに適している。
【0048】
透明導電膜の厚さは薄すぎると、太陽電池としての特性が、均一でなくなる恐れがある。これに対して、透明導電膜が厚すぎると透過率の減少による光電変換効率の低下や、製膜時間の増大によるコストの上昇を引き起こすため、0.1〜2.0μm程度の厚さであることが好ましい。
【0049】
透明導電膜は、例えば、スパッタリング法、常圧CVD法、減圧CVD法、電子ビーム蒸着法、ゾルゲル法、電析法等の公知の方法により作製できる。その中でも特に、スパッタリング法により作製することにより、凹凸表面層11cの光の透過率や抵抗率を、薄膜太陽電池20に適したものに制御することが容易になる。
【0050】
ここで、この凹凸表面層11cの表面の凹凸を表す指標として、凹凸の高さを示す二乗平均値および凹凸の平均線に対する凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘを使用すると、本実施形態の凹凸表面層11cの二乗平均値は、15〜600nmの範囲に設定されており、かつtanΘが、0.10〜0.30の範囲に設定されている。
【0051】
上記のような範囲に設定された凹凸表面層11cを形成することにより、太陽電池用基板11の表面の凹凸は、光電変換層21と接するように設けられているので、その界面で光が散乱される。この光の散乱は、光路長を延長させ、その結果、光電変換層21での光吸収量が増大する。このように、光が閉じ込められることによって、光電変換効率の向上が可能となる。光電変換効率の向上により、光電変換層21の膜厚は薄くなる。これにより、光電変換層21に要する製膜時間、及び製造コストを大幅に減少させることが可能となる。
【0052】
さらに、上記の構成によれば、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が15nm〜600nmの範囲になるように設定されていると共に、tanΘが0.10〜0.30の範囲に設定されている。これにより、光電変換層21を形成する結晶同士がぶつかることを確実に回避できる。それゆえ、欠陥により光電変換効率が劣化することを確実に防止できる。
【0053】
言い換えれば、太陽電池用基板11に少なくとも1層の凹凸表面層11cが形成されており、該凹凸の高さを示す二乗平均値が、15nm以上に、かつtanΘは、0.10以上に設定されることにより、十分な光閉込効果が得られる凹凸表面層11cを形成できる。さらに、前記二乗平均値が600nm以下であり、かつtanΘが0.30以下とすることで、凹凸表面層11c上に形成されるシリコン結晶粒がぶつかっても、凹凸の高さおよび方位差が適切であるために、発生する凹凸の欠陥数の増大を抑制できる。
【0054】
なお、本発明の効果をさらに効果的に得るためには、凹凸の高さを示す二乗平均値は、20〜400nmの範囲であり、かつ、tanΘは0.15〜0.25の範囲であればなお良い。この二乗平均値およびtanΘの条件に当てはまる凹凸を形成することにより、さらに確実に、欠陥数が少なく、光閉込効果の大きい凹凸表面層11cを得ることができる。
【0055】
また、太陽電池用基板11表面の凹凸の一部は、上記凹凸よりも緩やかな凹凸である穴となっており、その穴は、直径が200〜2000nmの範囲である略半球状あるいは円錐状の形状である。
【0056】
これにより、凹凸の高さの二乗平均値、およびtanΘについて、上述した好適な範囲の凹凸を有する凹凸表面層11cを再現性よく形成することができる。よって、良好な光閉込効果が得られることから、光電変換効率の高い太陽電池用基板11を得ることができる。
【0057】
なお、前記穴の直径が、400〜1200nmの範囲であれば、さらに良好な光閉込効果を得られ、さらに欠陥の少ない凹凸表面層11cを形成できるため、本発明をさらに効果的に実施できる。
【0058】
本実施形態では、前記凹凸表面層11cを形成する手段として、エッチングを用いた。しかし、エッチングに限定される訳ではなく、例えば、平滑な表面を有するガラス基板11a上に、堆積すると同時に、表面に凹凸が形成されるような膜を形成してもよい。凹凸表面層11cを形成する膜は、太陽電池用基板11と同じ材料であっても、または異なる材料であっても構わない。また、太陽電池用基板11の表面に対して、サンドブラストのような機械加工を行うことによっても形成可能である。
【0059】
さらに、入射してきた光を電気に変換する、いわゆる光電変換を行う光電変換層21は、n型結晶質シリコン層12、i型結晶質シリコン層13、p型シリコン層14によって形成されている。
【0060】
また、前記光電変換層21の表面は、凹凸形状になっており、i型結晶質シリコン層13からなる凹凸が以下の条件で形成され、この上にp型シリコン層14が積層されている。なお、p型シリコン層14は薄いために、i型結晶質シリコン層13の凹凸形状をそのまま投影していると考えてもよい。上記条件とは、凹凸の高さを示す二乗平均値が、25〜600nmの範囲に設定され、かつtanΘが、0.07〜0.20の範囲に設定されているというものである。
【0061】
これにより、光電変換層21の両面に好適な凹凸が設けられることになり、さらに、凹凸表面層11cとは異なる条件の凹凸が付加されることで、太陽光スペクトル中心の波長450〜650nm領域の中波長域、およびさらに長い波長域のいずれに対しても十分な光閉込効果を生じさせることができる。
【0062】
i型結晶質シリコン層13の表面に前記条件の凹凸を形成する手段としては、例えば、光電変換層21を構成する各半導体膜(n型結晶質シリコン層12、i型結晶質シリコン層13、p型シリコン層14)の堆積と同時に、表面に凹凸が形成されるように光電変換層21を形成してもよい。この際、光電変換層21表面の凹凸の形状は、太陽電池用基板11に設けられている凹凸表面層11cの形状の影響を受けることを考慮して、形成条件を決定すればよい。また、光電変換層21の表面に対して、サンドブラストのような機械加工、あるいはエッチングといった化学的加工処理であっても、i型結晶質シリコン層13に前記凹凸を形成することができる。
【0063】
透明電極15は、マグネトロンスパッタリング法により形成された、厚さ50nmのITOからなる薄膜電極である。
【0064】
表面電極16は、銀を電子ビーム蒸着法により、櫛形に形成したものであり、この表面電極16と裏面電極11bとから、電極17をそれぞれ引き出して、サブストレート型の薄膜太陽電池20が構成されている。
【0065】
以上の構成により、光閉込効果を利用して光電変換率が高く、光電変換率を高めるために設けられた凹凸表面層11cの凹凸に欠陥の少ない光電変換層21を形成できる太陽電池用基板11を得ることができる。さらに、この太陽電池用基板11を用いることで、安価で、光電変換率の高い薄膜太陽電池20を得ることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、光電変換層21は、1つの光電変換素子からなる例について説明した。しかし、光電変換層21は、複数の光電変換素子から形成されていてもよく、そのうち、、少なくとも1つの光電変換素子における活性層(I型層)が、結晶質シリコンまたはシリコン合金で形成されていればよい。そうすれば、アモルファスシリコンでは光電変換に利用できない波長700nm以上の長波長光を十分に利用することができる。
【0067】
なお、上記シリコン合金とは、例えば、シリコンに錫が添加されたSix Sn1-x 、およびゲルマニウムが添加されたSix Ge1-x 等の材料である。
【0068】
さらに、本発明の効果を具体的にするために、実施例1〜3、比較例、従来例を以下に記す。
【0069】
(実施例1)
図1を用いて、太陽電池用基板11および薄膜太陽電池20の作製手順を説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0070】
表面が平滑なガラス基板11aの表面上に、電子ビーム蒸着法により、ガラス基板11aの温度を150℃とし、銀からなる裏面電極11bを厚さ500nmで形成した。さらに、裏面電極11b上に、マグネトロンスパッタリング法により、ガラス基板11aの温度を150℃として、酸化亜鉛を厚さ500nmとなるように形成した。この酸化亜鉛には1×1021cm-3程度のガリウムが添加されている。
【0071】
この結果、得られた酸化亜鉛のシート抵抗は10Ω/□であり、波長800nmの光に対する透過率は80%であった。
【0072】
続いて、酸化亜鉛のエッチングを行った。前記酸化亜鉛が被覆されたガラス基板11aを液温25℃の0.5重量%塩酸水溶液に30秒浸した後、表面を純水で十分に洗浄し、凹凸表面層11cを得た。この凹凸表面層11cの表面形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面での直径が200〜1400nm程度の略半球形の穴が多数形成されていることが分かった。
【0073】
この凹凸表面層11cの表面形状を詳細に調べるため、原子間力顕微鏡により表面形状を測定した。前記穴の深さの方向形状から、前記穴の形状は略半球状あるいは円錐状であることが分かった。そして、表面形状の特徴を数値で表現するために、凹凸高さの二乗平均値(RMS)を凹凸高さの指標とした。さらに、表面形状波形曲線をフーリエ変換した際に得られる正弦型曲線の最頻出波長Wを凹凸ピッチの指標とし、表面凹凸の平均線に対する凹凸表面の傾きをΘとすると、tanΘ=2RMS/(W/2)=4RMS/Wであり、二乗平均値およびtanΘの値を凹凸形状の指標とした。この時の二乗平均値は23nmであり、tanΘは0.13であった。
【0074】
こうして得た太陽電池用基板11上に、13.56MHzの高周波を用いたプラズマCVD法によりn型結晶質シリコン層12、i型結晶質シリコン層13、p型シリコン層14を順に積層した。
【0075】
n型結晶質シリコン層12は、SiH4 ガス1SCCM、H2 ガスにより1000ppmに調整されたPH3 ガス100SCCM、製膜室圧力27Pa、放電電力30W、基板温度180℃の条件で製膜し、30nmの厚さとした。
【0076】
i型結晶質シリコン層13は、SiH4 ガス11SCCM、H2 ガス350SCCM、製膜室圧力200Pa、放電電力20W、基板温度140℃の条件で製膜し、2500nmの厚さとした。
【0077】
p型シリコン層14は、SiH4 ガス3SCCM、H2 ガス600SCCM、H2 ガスにより5000ppmに調整されたB2 H6 ガス1SCCM、製膜室圧力200Pa、放電電力25W、基板温度140℃の条件で製膜し、30nmの厚さとした。
【0078】
プラズマCVD装置(図示せず)から取り出した後、p型シリコン層14の表面形状を原子間力顕微鏡により測定したところ、凹凸の二乗平均値は18nmであり、tanΘは0.06であった。
【0079】
さらに、p型シリコン層14の表面に対してX線回折法を行ったところ、(220)X線回折ピークの積分強度I220と(111)X線回折ピークの積分強度I111の比I220/I111は3.0であった。ここで実際に得られたX線回折ピークはi型結晶質シリコン層13単体の情報ではないが、i型結晶質シリコン層13に比べて、p型シリコン層14およびn型結晶質シリコン層12の膜厚は非常に薄いので、X線回折法の結果は、i型結晶質シリコン層13の結晶配向性を反映しているものとして問題ない。
【0080】
その後、マグネトロンスパッタリング法により、透明電極15としてITOを厚さ50nmで形成した。さらに、電子ビーム蒸着法によりマスクを用いて櫛形に形成した表面電極16として銀を厚さ500nmで形成し、表面電極16側から光を入射するサブストレート型の薄膜太陽電池20とした。
【0081】
この薄膜太陽電池20のAM1.5(100mW/cm2 )照射条件下における電流−電圧特性を測定したところ、短絡電流は22.5mA/cm2 、開放電圧は0.498V、形状因子は0.700、光電変換効率は7.84%であった。
【0082】
この結果から、凹凸表面層11cの凹凸の二乗平均値=23nm、かつtanΘ=0.13という凹凸の形状は、良好な光電変換率を得るための条件に合致していることが分かった。また、上記と同様に、本実施例のように、凹凸表面層11cの表面の穴の直径が200〜1400nmであれば、良好な光電変換率を得るための条件に合致していることが分かった。
【0083】
また、p型シリコン層14表面の凹凸の二乗平均値=18nm、かつtanΘ=0.06という形状が、適切な凹凸であるか否かは、以下に示すシリコン層表面の凹凸の形成条件を変えた実施例3の結果から判断する。
【0084】
(実施例2)
本発明の薄膜太陽電池の他の実施例について、説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0085】
本実施例では、太陽電池用基板11表面のエッチングの際に、太陽電池用基板11を塩酸水溶液に浸す時間を45秒とした以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池20を作製した。これにより、凹凸表面層11cの凹凸の高さが実施例1よりも大きくなることが予想される。
【0086】
光電変換層21の形成前に、凹凸表面層11cの形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面での直径が、400〜1000nm程度の略半球状の穴が多数形成されていることが分かった。
【0087】
また、この凹凸表面層11cの凹凸形状を詳細に調べるため、原子間力顕微鏡により表面形状を測定した。本実施例の凹凸表面層11cに形成された穴の形状は、実施例1の場合と同様に、略半球状あるいは円錐状であり、本実施例での凹凸の二乗平均値は47nmであり、tanΘは0.23であった。
【0088】
シリコン層からなる光電変換層21形成後に、p型シリコン層14表面の形状を原子間力顕微鏡により測定したところ、凹凸の二乗平均値は20nmであり、tanΘは0.06であった。
【0089】
さらに、光電変換層21形成後にX線回折法を行ったところ、(220)X線回折ピークの積分強度I220と(111)X線回折ピークの積分強度I111の比I220/I111は2.8であり、実施例1の場合とほぼ同値である。
【0090】
この薄膜太陽電池20のAM1.5(100mW/cm2 )照射条件下における電流−電圧特性を測定したところ、短絡電流は22.9mA/cm2 、開放電圧は0.501V、形状因子は0.701、光電変換効率は8.04%であった。
【0091】
以上より、凹凸表面層11cの凹凸形成条件を変えた本実施例において、凹凸の二乗平均値=47nm、かつtanΘ=0.23、および凹凸表面層11cの表面の穴の直径が400〜1000nmという結果により、実施例1よりも光電変換効率を高くすることができることが分かった。
【0092】
なお、二乗平均値=20nm、かつtanΘ=0.06というp型シリコン層14の凹凸形状が適切であるかどうかは、実施例1と同様に、シリコン層の形成条件を変えた以下の実施例3の結果から判断する。
【0093】
(実施例3)
本発明の薄膜太陽電池のさらに他の実施例について、説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施の形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0094】
本実施例では、i型結晶質シリコン層13形成の際に、SiH4 ガスを250SCCMとすること以外は、実施例2と同様にして薄膜太陽電池20を作製した。これにより、i型結晶質シリコン層13の表面の凹凸高さが大きくなることが予想される。
【0095】
シリコン層からなる光電変換層21形成後に、i型結晶質シリコン層13の表面の凹凸形状を投影するp型シリコン層14表面の形状を、原子間力顕微鏡により測定したところ、二乗平均値は36nmであり、tanΘは0.19であった。
【0096】
さらにX線回折法を行ったところ、(220)X線回折ピークの積分強度I220と(111)X線回折ピークの積分強度I111の比I220/I111は3.2であり、実施例1および2の場合とほぼ同値である。
【0097】
この薄膜太陽電池20のAM1.5(100mW/cm2 )照射条件下における電流−電圧特性を測定したところ、短絡電流は24.1mA/cm2 、開放電圧は0.500V、形状因子は0.702、光電変換効率は8.43%であった。
【0098】
この結果を、実施例1、2の場合と比較すると、開放電圧および形状因子にはほとんど差がないことが分かる。これに対して、短絡電流の増大により、光電変換効率が向上していることが分かる。これはp型シリコン層14表面の形状が、中波長光の光閉込に好適なものとなっているためであると考えられる。
【0099】
以上より、本実施例のp型シリコン層14表面の凹凸の二乗平均値=36nm、かつtanΘ=0.19という凹凸表面層11cの凹凸の形成条件により、光電変換率を高くできることが分かった。
【0100】
(比較例)
本発明の薄膜太陽電池の比較例について説明すれば、以下のとおりである。
【0101】
本比較例では、基板表面のエッチングの際に、基板を塩酸水溶液に浸す時間を15秒とした以外は実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作製した。これにより、上記各実施例よりも凹凸表面層の凹凸高さが小さくなることが予想される。
【0102】
シリコン層からなる光電変換層を形成する前に、凹凸表面層の表面形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面での直径が50〜200nm程度の略半球状の穴が形成されていることが分かった。しかしながら、形状が穴であると明瞭に判別できる穴の数は実施例1および2の場合より少なかった。
【0103】
この凹凸表面層の表面形状を詳細に調べるため、原子間力顕微鏡により表面形状を測定した。本実施例の凹凸表面層の表面に形成された穴の形状は、実施例1の場合と同様に略半球状あるいは円錐状であったが、本比較例での凹凸の二乗平均値は12nmであり、tanΘは0.05であった。
【0104】
さらに、凹凸表面層上にシリコン層を形成した後、X線回折法を行ったところ、(220)X線回折ピークの積分強度I220と(111)X線回折ピークの積分強度I111の比I220/I111は3.2であり、実施例1〜3の場合とほぼ同値である。
【0105】
本比較例の薄膜太陽電池のAM1.5(100mW/cm2 )照射条件下における電流−電圧特性を測定したところ、短絡電流は19.5mA/cm2 、開放電圧は0.494V、形状因子は0.699、光電変換効率は6.73%であった。実施例1〜3の場合と比較すると、開放電圧および形状因子の値はほとんど変化していないが、短絡電流の値が減少していることが分かる。すなわち、エッチング時間が不十分であるために、基板表面の凹凸構造が光閉込効果を発するには不十分なものであることを意味している。
【0106】
この結果から、凹凸表面層の凹凸の二乗平均値が12nmであり、かつtanΘが0.05という凹凸形状では、良好な光閉込効果を有する凹凸表面層を得られないことがわかった。また、凹凸表面層表面の穴の直径が50〜200nmでは、上記と同様に、良好な光閉込効果の得られる凹凸表面層を得られないことがわかった。
【0107】
(従来例)
本発明の薄膜太陽電池の効果を明確にするために、従来の薄膜太陽電池について説明すれば、以下の通りである。なお、下記の二点以外は、実施例1と同様にして薄膜太陽電池を作製した。
【0108】
表面が平滑なガラス基板上に常圧CVD法により表面凹凸を有する酸化錫を形成した基板(商品名Asahi−U)の上に、電子ビーム蒸着法により基板温度150℃で裏面電極として銀を厚さ500nmとなるように形成した。さらに、マグネトロンスパッタリング法により基板温度150℃で酸化亜鉛を厚さ50nmに形成することで、凹凸表面層を有する太陽電池用基板を作製した。
【0109】
なお、酸化亜鉛は結晶質シリコン層形成中に水素プラズマにより生じる酸化錫の還元反応を防止するために設けられている。
【0110】
この太陽電池用基板の凹凸表面層の形状を詳細に調べるため、原子間力顕微鏡により表面形状を測定した。本従来例の凹凸表面の形状は公知であるピラミッド型であり、二乗平均値は32nmであり、tanΘは0.35であった。
【0111】
シリコン層からなる光電変換層を形成後にX線回折法を行ったところ、(220)X線回折ピークの積分強度I220と(111)X線回折ピークの積分強度I111の比I220/I111は1.5であった。
【0112】
この薄膜太陽電池のAM1.5(100mW/cm2 )照射条件下における電流−電圧特性を測定したところ、短絡電流は21.0mA/cm2 、開放電圧は0.491V、形状因子は0.692、光電変換効率は7.14%であった。実施例1および2の場合と比較すると、短絡電流、開放電圧、形状因子のいずれも値が低下していることが分かる。
【0113】
X線回折法の結果と併せて考えると、従来の方法により形成した凹凸表面層の凹凸構造では結晶質シリコン層の形成中に多量の欠陥が導入されてしまう。これは、凹凸の高さおよび方位差が大き過ぎることを意味している。よって、本従来例の凹凸では、良好な光閉込効果を有する結晶質シリコン薄膜太陽電池は作製できないことが分かった。
【0114】
上記凹凸表面層の欠陥を少なくし、良好な光閉込効果を得るには、凹凸の高さあるいは方位差を小さくする必要があるため、従来の方法によって形成された凹凸形状では、良好な光電変換効率を有する薄膜太陽電池を得ることができないことがわかった。
【0115】
以上の実施例1〜3、比較例、従来例の各結果から、凹凸表面層11cの凹凸高さの二乗平均値が、15〜600nmの範囲であり、かつtanΘが、0.10〜0.30の範囲であれば、良好な光閉込効果を有する太陽電池用基板11を提供でき、さらに、光電変換効率の高い薄膜太陽電池20を提供できることが分かった。
【0116】
また、凹凸表面層11cの穴の直径は、200〜2000nmの範囲であれば、上記の凹凸形状の条件に適した凹凸を形成できることが分かった。
【0117】
さらに、p型シリコン層14表面の凹凸の高さを示す二乗平均値が、25〜600nmの範囲であり、かつtanΘが、0.07〜0.20の範囲であれば、さらに良好な光閉込効果の得られる薄膜太陽電池20を提供できることが分かった。
【0118】
よって、本発明の太陽電池用基板11表面の凹凸構造により、光電変換層21の形成中に多量の欠陥が導入されることなく、高い光電変換効率を有する薄膜太陽電池20を製造できることが明らかとなった。
【0119】
【発明の効果】
本発明の太陽電池用基板は、上記のように、光電変換層に接する表面が凹凸化されている太陽電池用基板であって、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が15nm〜600nmの範囲になるように設定されていると共に、上記凹凸の平均線に対する該凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘが0.10〜0.30の範囲に設定されている構成である。
【0120】
本発明によれば、光閉込効果が高くなり、光電変換効率の向上した太陽電池用基板が得られるという効果を奏する。光電変換効率の向上により、光電変換層の膜厚は薄くなる。これにより、光電変換層に要する製膜時間、及び製造コストを大幅に減少させることが可能となる。さらに、欠陥により光電変換効率が劣化することを確実に防止できる。
【0121】
また、上記凹凸が透明導電性の材料からなることにより、上記凹凸の透明導電性ゆえに、光閉込効果を高めることができるという効果を奏する。
【0122】
上記透明導電性の材料からなるものは、主として酸化亜鉛からなることにより、酸化亜鉛で凹凸を構成することによって、全体として安価に構成できると共に、耐プラズマ性が高く変質しにくくなるという効果を奏する。
【0123】
上記凹凸は、上記透明導電性の材料からなるものに対してエッチングが行われることにより形成されることにより、エッチャントの種類、濃度、またはエッチング時間等を適宜変更することによって、透明導電性の材料の表面形状を容易に制御できるので、所望の凹凸が容易に得られるという効果を奏する。
【0124】
本発明の他の太陽電池用基板は、上記のように、光電変換層に接する表面が凹凸化されているものであって、上記凹凸の一部である穴は、直径が200nm〜2000nmの範囲である略半球状または円錐状の形状を有している構成である。これにより、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が15nm〜600nmの範囲になると共に、上記凹凸の平均線に対する該凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘが0.10〜0.30の範囲になり、結晶同士がぶつかることを確実に回避できるという効果を奏する。それゆえ、欠陥により光電変換効率が劣化することを確実に防止できる。
【0125】
また、上記穴の直径は、400nm〜1200nmの範囲であることにより、上記と同様の効果をさらに確実に得ることができるという効果を奏する。
【0126】
本発明に係る薄膜太陽電池は、上記の太陽電池用基板を備え、該太陽電池用基板に少なくとも一つの光電変換素子からなる光電変換層が設けられている構成である。
【0127】
本発明によれば、光電変換層中の欠陥を増大させることなく、光閉込効果による光吸収量を増大させることが可能となり、安定かつ高い光電変換効率を有する太陽電池用基板を安価に提供できるという効果を奏する。
【0128】
上記光電変換層に接する上記表面と反対側の表面は凹凸化されており、上記凹凸の高さは、その二乗平均値が25nm〜600nmの範囲になるように設定されていると共に、上記凹凸の平均線に対する該凹凸表面の傾斜角をΘとしたときのtanΘが0.07〜0.20の範囲に設定されていることがより好ましい。
【0129】
これにより、光電変換層の両面に好適な凹凸が設けられることになり、太陽光スペクトル中心の波長450〜650nm領域の中波長域、およびさらに長い波長域のいずれに対しても十分な光閉込効果を生じさせることができるという効果を奏する。
【0130】
前記光電変換層のうち、少なくとも1つの光電変換素子における活性層は結晶質シリコンまたはシリコン合金からなることにより、非晶質であるアモルファスシリコンでは光電変換に利用できない波長700nm以上の波長の長い光まで、十分に光電変換に利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜太陽電池の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
11 太陽電池用基板
11a ガラス基板
11b 裏面電極
11c 凹凸表面層
12 n型結晶質シリコン層
13 i型結晶質シリコン層
14 p型シリコン層
15 透明電極
16 表面電極
17 電極
20 薄膜太陽電池
21 光電変換層
Claims (8)
- 一つの表面が凹凸化されており、該凹凸面に向かって光が入射する太陽電池用基板であって、
原子間力顕微鏡により上記凹凸を測定することによって得られる凹凸の高さの二乗平均値RMS、原子間力顕微鏡により上記凹凸を測定することによって得られる凹凸面の表面形状波形曲線をフーリエ変換した際に得られる正弦型曲線の最頻出波長W、および原子間力顕微鏡により測定した凹凸の平均線と原子間力顕微鏡により測定した凹凸のうち平均的な凹凸の凹凸面とのなす角をΘとした場合のtanΘは、以下の式:
tanΘ=2RMS/(W/2)=4RMS/W
に表されるものであり、
上記RMSが23nm〜47nmの範囲になるように設定されていると共に、上記tanΘが0.13〜0.23の範囲に設定されており、
上記凹凸の一部である穴は、直径が200nm〜1400nmの範囲である略半球状または円錐状の形状を有していることを特徴とする太陽電池用基板。 - 上記穴の直径が400nm〜1000nmの範囲である略半球状または円錐状の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用基板。
- 上記凹凸が透明導電性の材料からなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用基板。
- 上記透明導電性の材料からなるものは、主として酸化亜鉛からなることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池用基板。
- 上記凹凸は、上記透明導電性の材料からなるものに対してエッチングが行われることにより形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の太陽電池用基板。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用基板を備え、該太陽電池用基板に少なくとも一つの光電変換素子からなる光電変換層が設けられていることを特徴とする薄膜太陽電池。
- 上記光電変換層の、太陽電池用基板と接する上記表面と反対側の表面は凹凸化されており、
原子間力顕微鏡により上記凹凸を測定することによって得られる凹凸の高さの二乗平均値RMS、原子間力顕微鏡により上記凹凸を測定することによって得られる凹凸面の表面形状波形曲線をフーリエ変換した際に得られる正弦型曲線の最頻出波長W、原子間力顕微鏡により測定した凹凸の平均線と原子間力顕微鏡により測定した凹凸のうち平均的な凹凸の凹凸面とのなす角をΘとした場合tanΘは以下の式:
tanΘ=2RMS/(W/2)=4RMS/W
に表されるものであり、
上記RMSが18nm〜36nmの範囲に設定されていると共に、上記tanΘが0.06〜0.19の範囲に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の薄膜太陽電池。 - 前記光電変換層のうち、少なくとも1つの光電変換素子における活性層は結晶質シリコンまたはシリコン合金からなることを特徴とする請求項6または7に記載の薄膜太陽電池。
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