JP4194083B2 - バッフルプレート及びトランスミッション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝動機構を収容すると共に、内部に油を貯留可能とされたハウジングを有するトランスミッション、及び該トランスミッションに適用されるバッフルプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
駆動源に作動的に連結された走行系伝動機構等の伝動機構を収容するハウジングに、種々の油圧機構に使用される作動油を貯留させることは、従来から公知である。
このように、ハウジングを作動油の貯留空間として兼用することにより、貯留タンクの不要化又は最小化によるコスト低廉化及びトランスミッション自体の小型化を図ることができる。
【0003】
しかしながら、従来のトランスミッションは、下記点において不十分であった。
即ち、ハウジング内に貯留される油は、車輌に備えられる種々の油圧機構の作動油として利用される。従って、ハウジングを貯留タンクとして兼用する場合には、該ハウジング内に十分な量の油を貯留して、前記油圧機構に対して油切れを生じさせないようする必要がある。
その一方、前記ハウジング内に貯留される油は、該ハウジング内に収容される伝動機構にとっては負荷となる。従って、ハウジング内に大量の油を貯留することは、伝動機構の伝動効率の観点からは好ましくない。
【0004】
このように、前記油圧機構への作動油供給の観点からは前記ハウジング内に大量の油を貯留するのが好ましく、他方、前記伝動機構の駆動効率の観点からは前記ハウジング内の貯留油量を最小化するのが好ましいという相反する要望が存在する。
この点に関し、前記従来のトランスミッションは十分な考慮がなされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、駆動源に作動的に連結された駆動軸に相対回転自在に支持された一対のギヤと前記駆動軸の軸線方向に関し前記一対のギヤの間に位置し前記駆動軸の回転を前記一対のギヤの一方に選択的に伝達する油圧クラッチとを有する回転体を含む伝動機構を収容すると共に、内部に作動油を貯留可能とされたハウジングを備えたトランスミッションにおいて、前記ハウジング内に十分な量の作動油を貯留しつつ、且つ、前記伝動機構の伝動効率の悪化を有効に防止することを、一の目的とする。
又、駆動源に作動的に連結された駆動軸に相対回転自在に支持された一対のギヤと前記駆動軸の軸線方向に関し前記一対のギヤの間に位置し前記駆動軸の回転を前記一対のギヤの一方に選択的に伝達する油圧クラッチとを有する回転体を含む伝動機構を収容すると共に、内部に作動油を貯留可能とされたハウジングを備えたトランスミッションに適用可能なバッフルプレートであって、前記ハウジング内に十分な量の作動油を貯留しつつ、且つ、前記伝動機構の伝動効率の悪化を有効に防止し得るバッフルプレートの提供を、他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、駆動源に作動的に連結された駆動軸に相対回転自在に支持された一対のギヤと前記駆動軸の軸線方向に関し前記一対のギヤの間に位置し前記駆動軸の回転を前記一対のギヤの一方に選択的に伝達する油圧クラッチとを有する回転体を含む伝動機構と、前記伝動機構を収容し且つ油を貯留可能な貯留空間を有するハウジングとを備えたトランスミッションに適用されるバッフルプレートを提供する。
該バッフルプレートは、前記ハウジングの貯留空間を、前記回転体の少なくとも最下端部を囲繞する囲繞空間と、該囲繞空間以外のメイン空間とに液密に分離するように、前記ハウジング内に装着され、前記回転体の回転運動に伴うポンプ効果によって前記囲繞空間内の油を前記メイン空間へ移送し得るように、前記回転体における外周面の最下端部を含む少なくとも一部を囲繞するように該回転体の外周面に沿った周面部を備える。前記周面部は、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際に、該回転体の回転軸と略同心上の中心軸を有する円弧状とされており、前記油圧クラッチに対応した第1周面部と前記一対のギヤにそれぞれ対応した第2周面部及び第3周面部とを含む。
【0007】
好ましくは、前記バッフルプレートは前記周面部の周方向両端部から上方へ延びる側面部を有し、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際にU字状をなし得る。
【0008】
好ましい一態様においては、前記回転体の回転軸方向両端面のうち最下端部を含む少なくとも一部を覆うように、前記周面部における前記中心軸方向両端部から径方向に延びる一対の端面部をさらに備え得る。
斯かる好ましい一態様においては、前記周面部及び前記一対の端面部によって、前記囲繞空間と前記メイン空間とが液密に分離される。
【0009】
好ましい他態様においては、前記ハウジング内に装着されるベアリング支持プレートに取り付けられる取付部をさらに備え得る。
斯かる他態様においては、該バッフルプレートは、前記ベアリング支持プレートとの共働下によって、前記囲繞空間と前記メイン空間とを液密に分離する。
【0010】
本発明は、前記目的を達成する為に、さらに、駆動源に作動的に連結された駆動軸に相対回転自在に支持された一対のギヤと前記駆動軸の軸線方向に関し前記一対のギヤの間に位置し前記駆動軸の回転を前記一対のギヤの一方に選択的に伝達する油圧クラッチとを有する回転体を含む伝動機構と、前記伝動機構を収容すると共に油を貯留し得る貯留空間を有するハウジングと、前記回転体の最下端部を覆うように前記ハウジング内に配設されるバッフルプレートとを備えたトランスミッションを提供する。
前記バッフルプレートは、前記ハウジングの内部空間を前記回転体の少なくとも最下端部が囲まれる囲繞空間と該囲繞空間以外のメイン空間とに液密に分離するように構成され、且つ、前記回転体の回転運動に伴うポンプ効果によって前記囲繞空間内の油が前記メイン空間へ移送されるように前記回転体における外周面の最下端部を含む少なくとも一部を囲繞するように該回転体の外周面に沿った周面部を備える。
前記周面部は、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際に、該回転体の回転軸と略同心上の中心軸を有する円弧状とされており、前記油圧クラッチに対応した第1周面部と前記一対のギヤにそれぞれ対応した第2周面部及び第3周面部とを含む。
【0011】
好ましくは、前記バッフルプレートは、前記周面部の周方向両端部から上方へ延びる側面部を有し、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際にU字状をなしている。
【0012】
好ましくは、前記伝動機構を構成する伝動軸を支持し得るように、前記ハウジング内に着脱自在に装着されるベアリング支持プレートをさらに備える。
前記バッフルプレートは、前記ベアリング支持プレートに着脱自在に支持されるようになっており、前記バッフルプレートの周面部と前記ベアリング支持プレートとの共働によって、前記囲繞空間が画される。
【0013】
他の好ましい態様においては、前記バッフルプレートは、前記回転体の回転軸方向両端面のうち最下端部を含む少なくとも一部を覆うように、前記周面部における前記中心軸方向両端部から径方向に延びる一対の端面部をさらに備える。
斯かる態様においては、前記周面部及び前記一対の端面部によって、前記囲繞空間が画される。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に、本発明に係るトランスミッションの好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係るトランスミッション1の伝動模式図である。
【0015】
図1に示すように、前記トランスミッション1は、駆動源に作動的に連結された回転体を含む伝動機構と、内部に前記伝動機構を収容すると共に油を貯留可能とされたハウジング10とを備えている。
【0016】
詳しくは、該トランスミッション1は、前記伝動機構として、駆動源からの駆動力を駆動車軸100へ伝達する走行系伝動機構と、駆動源からの駆動力を外部へ出力するPTO系伝動機構とを備えている。
【0017】
前記走行系伝動機構は、前後進切換油圧機構110と、HI/LO等の変速油圧機構120と、機械式の主変速機構130と、機械式の副変速機構140と、ディファレンシャルギヤ機構150とを備えている。
本実施の形態においては、前記走行系伝動機構は、さらに、4輪駆動力取出油圧機構160を備えている。
該4輪駆動力取出油圧機構160は、常時駆動される駆動輪100(図示の形態では後輪)に加えて、他の車輪(図示せず)を駆動する際に用いられるものであり、好ましくは、前記ハウジング10に選択的に付設可能とされる。
【0018】
前記ハウジング10は、内部空間の少なくとも一部に油を貯留可能とされている。
本実施の形態においては、該ハウジング10は、車輌長手方向に沿って直列に連結されたフロントハウジング20、ミドルハウジング30及びリアハウジング40を備えている。
前記フロントハウジング20、ミドルハウジング30及びリアハウジング40は、互いに油流通自在に連結されている。即ち、これらの各ハウジングは、互いの対向端部に開口が設けられており、該開口を介して油が流通自在となっている。
【0019】
より詳しくは、前記フロントハウジング20は、駆動源に作動的に連結されたフライホイール200を収容する乾室21と、該乾室21の伝動方向下流側に位置し、前記前後進切換油圧機構110及び変速油圧機構120を収容する第1油室22とを有している。
【0020】
前記ミドルハウジング30は、前記主変速機構を収容する第2油室31と、前記副変速機構を収容する第3油室32とを有している。
なお、前記4輪駆動力取出油圧機構160は、該ミドルハウジング30に着脱可能に付設される。
【0021】
前記リアハウジング40は、前記ディファレンシャルギヤ機構150を収容する第4油室41と、後述するPTO系伝動機構のPTO伝動ユニット330を収容するPTO系室42とを備えている。
【0022】
本実施の形態においては、前記ハウジング10の内部空間のうち,前記第1油室22、第2油室31、第3油室32、第4油室41及びPTO系室42によって形成される空間が、作動油を貯留可能な貯留空間とされている。
【0023】
前記PTO系伝動機構は、駆動源に作動的に連結されたPTO伝動軸310と、外部に動力を出力するPTO出力軸320と、前記PTO伝動軸310及びPTO出力軸320の間に配設されたPTO伝動ユニット330とを備えている。
【0024】
前記PTO伝動軸310は、一端部が前記フロントハウジング20内において前記駆動源に作動的に連結され、且つ、他端部が前記フロントハウジング20及び前記ミドルハウジング30を貫通して、前記リアハウジング40の前記PTO系室42に達している。
なお、本実施の形態においては、前記走行系伝動機構における伝動軸の一部を中空軸とし、前記PTO伝動軸310を該中空軸に挿通してトランスミッション自体の小型化を図っている。
【0025】
前記PTO出力軸320は、一端部が前記PTO系室42内に延び、且つ、他端部が前記ハウジング10から外方へ延びるように、該ハウジング10に支持されている。
【0026】
前記PTO伝動ユニット330は、前記PTO系室42内において、前記PTO伝動軸310と前記PTO出力軸320とを作動的に連結している。
好ましくは、該PTO伝動ユニット330は、前記PTO伝動軸310から前記PTO出力軸320への動力伝達をON/OFFするPTOクラッチ335を備え得る。
さらに好ましくは、該PTO伝動ユニット330は、前記PTOクラッチ335のOFF動作に連動して前記PTO出力軸320へ作動的に制動力を付加するPTOブレーキ(図示せず)を備え得る。
【0027】
本実施の形態に係るトランスミッション1は斯かる構成に加えて、さらに、前記伝動機構における回転体のうち前記貯留空間の油面レベルO.L.よりも下方に位置する回転体の少なくとも最下端部を覆うように配設されたバッフルプレート50を備えている。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態においては、前記変速油圧機構120、機械式の主変速機構130、機械式の副変速機構140、及び、4輪駆動力取出油圧機構160が、前記ハウジング10の下方に配設されている。
そして、前記バッフルプレート50は、前記変速油圧機構120の最下端部を含む領域を覆うように構成されている。
【0029】
図2に、図1におけるII部の拡大模式図を示す。又、図3に、該バッフルプレート50の斜視図を示す。
図3に示すように、該バッフルプレート50は、対応する回転体(図示の形態においては、油圧変速機構120)の回転軸方向に沿って視た際に、該回転体の最下端部を覆い且つ上方に開放されたU字状をなしており、該回転体を貯留油から隔離し得るように構成されている。
【0030】
詳しくは、図1及び図2に示すように、前記変速油圧機構120は、前記駆動源に作動的に連結された駆動軸121と、該駆動軸121に相対回転自在に支持された高速用駆動側ギヤ122H及び低速用駆動側ギヤ122Lと、前記駆動軸121を該両ギヤ122H,122Lの何れか一方に選択的に連動連結するHI/LOクラッチ123と、前記駆動軸121に平行に配設された従動軸124と、前記高速用駆動側ギヤ122H及び低速用駆動側ギヤ122Lのそれぞれと噛合するように前記従動軸124に相対回転不能に支持された高速用従動側ギヤ125H及び低速用従動側ギヤ125Lとを備えている。
前記変速油圧機構120の各構成部材は、それぞれの回転軸周りに回転する回転体をなしている。
【0031】
前記バッフルプレート50は、前記変速油圧機構120における種々の回転体のうち下方に位置する回転体(図示の形態においては、高速用駆動側ギヤ122H,HI/LOクラッチ123及び従動側ギヤ122L)の最下端部を覆う周面部51を備えている。
【0032】
本実施の形態においては、前記周面部51は、前記高速用駆動側ギヤ122H,前記HI/LOクラッチ123及び前記低速用駆動側ギヤ122Lにそれぞれ対応した第1〜第3周面部51a,51b,51cを一体的に備えている。
【0033】
図4に、図2におけるIV-IV線に沿った模式断面図を示す。
図3及び図4に示すように、前記第1周面部51aは、前記高速用駆動側ギヤ122Hにおける外周面のうち少なくとも最下端部を含む部位を囲繞し、且つ、該高速用駆動側ギヤ122Hの回転軸方向に沿って視た際に、該高速用駆動側ギヤ122Hの回転軸と略同心上の中心軸を有する円弧状とされている。
同様に、前記第2周面部51b及び第3周面部51cは、それぞれ、前記HI/LOクラッチ123及び前記低速用駆動側ギヤ122Lに対応した円弧状とされている。
【0034】
即ち、前記第1周面部51aは、前記高速用駆動側ギヤ122Hの外周面との間の第1径方向間隙S1が該第1周面部51aの周方向全域に亘って略同一とされている(図4参照)。
同様に、前記第2周面部51b及び第3周面部51cは、対応する前記HI/LOクラッチ123及び前記低速用駆動側ギヤ122Lの外周面との間の第2及び第3径方向間隙が、それぞれの周方向全域に亘って略同一とされている。
【0035】
斯かる構成の前記周面部51を備えることにより、該周面部51と対応する回転体の外周面との間に存在する油は、該回転体の回転運動に伴うポンプ作用を受ける。
前記第1〜第3径方向間隙は、囲繞する回転体によるポンプ効果が奏される限り、適宜設定できるが、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下とされる。
【0036】
図5及び図6に、それぞれ、図2におけるV-V線及びVI-VI線に沿った模式断面図を示す。
図2及び図3〜図5に示すように、前記バッフルプレート50は、前記周面部50の前記中心軸方向両端部からそれぞれ径方向内方へ延びる一対の第1及び第2端面部53,54を備えている。
該一対の第1及び第2端面部53,54は、該バッフルプレート50の取付部として作用する。
【0037】
ここで、該バッフルプレート50の取付方法について説明する。
前記トランスミッション1は、前記伝動機構における伝動軸を支持する前記第1及び第2ベアリング支持プレート210,220を有している。
前記第1ベアリング支持プレート210は、前記フロントハウジング20に設けられた第1フランジ部20aであって、該フロントハウジング20の内周面から径方向内方へ延在する第1フランジ部20aに、着脱自在に装着される。
他方、前記第2ベアリング支持プレート220は、前記フロントハウジング20に設けられた第2フランジ部20bであって、該フロントハウジング20における伝動方向下流側端部の内周面から径方向内方に延びる第2フランジ部20bに、着脱自在に装着されている。
【0038】
前記バッフルプレート50の第1端面部53及び第2端面部54は、それぞれ、前記第1及び第2ベアリング支持プレート210,220に液密に連結されるようになっている。
即ち、該バッフルプレート50の前記中心軸方向両端面は、それぞれ、前記第1及び第2ベアリング支持プレート210,220によって液密に閉塞されるようになっている。
【0039】
好ましくは、前記第1端面部53に径方向外方へ延在した延在部53aを設け、該延在部53aに形成した取付孔を介して該第1端面部53,第1ベアリング支持プレート210及び前記第1フランジ部20aを共締めすることができる。
又、前記第2端面部54は、前記第2ベアリング支持プレート220にネジ連結することができる。
【0040】
このように、本実施の形態に係るトランスミッション1においては、前記バッフルプレート50,前記第1ベアリング支持プレート210及び前記第2ベアリング支持プレート220によって、前記変速油圧機構における対応する回転体が貯留空間内における他の空間から液密に分離されるようになっている。
即ち、前記バッフルプレート50は、前記第1及び第2ベアリング支持プレート210,220との共働下に、ハウジング10内の貯留空間を、対応する回転体を囲む囲繞空間11と該囲繞空間11以外のメイン空間12とに分離している。
【0041】
斯かるトランスミッション1は、以下の効果を得ることができる。
即ち、対応する回転体(本実施の形態においては、高速用駆動側ギヤ122H,前記HI/LOクラッチ123及び前記低速用駆動側ギヤ122L)がメイン空間12から液密に分離されている。従って、メイン空間12に貯留される油が該回転体に対する回転抵抗となることはない。
さらに、前記回転体の回転運動に伴うポンプ効果によって前記囲繞空間11内の貯留油が前記メイン空間12へ掻き出されることになる。
従って、油圧機構に対する油切れを防止すべくメイン空間12に十分な量の油を貯留しつつ、貯留油による回転体の伝動効率の悪化を有効に防止できる。
【0042】
さらに、本実施の形態においては、前記バッフルプレート50を、前記第1及び第2ベアリング支持プレート210,220に支持させている為、該第1及び第2ベアリング支持プレート210,220と前記変速油圧機構120と該バッフルプレート50とをハウジングの外方で組み立ててから、該組立体をハウジング10内に設置することができる。
従って、バッフルプレートの組み付け作業の容易化を図ることができる。
【0043】
好ましくは、前記バッフルプレート50は、前記周面部51の両上端部から上方へ延びる側面部52を備えることができる(図3及び図4参照)。該側面部52は、上端位置が囲繞する回転体の上端位置と略同一とされる。
斯かる側面部52を備えることにより、回転体のポンプ効果による囲繞空間11からメイン空間12への油の掻き出しを阻害することなく、メイン空間12から囲繞空間11への貯留油の流入を有効に防止できる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、該側面部52は、前記高速用駆動側ギヤ122H,前記HI/LOクラッチ123及び前記低速用駆動側ギヤ122Lにそれぞれ対応した第1〜第3側面部52a〜52cを一体的に備えている。
前記第1側面部52aの上端部は、前記高速用駆動側ギヤ122Hの上端位置と略同一とされている。
同様に、前記第2及び第3側面部52b,52cの上端部は、それぞれ、前記HI/LOクラッチ123及び前記低速用駆動側ギヤ122Lの上端位置と略同一とされている。
【0045】
又、本実施の形態においては、前記バッフルプレート50と前記第1及び第2ベアリング支持プレート210,220との共働によって前記囲繞空間11を画するように構成したが、これに代えて、バッフルプレート50のみによって前記囲繞空間11を画することも可能である。
即ち、前記第1端面部53及び第2端面部53が、それぞれ、前記周面部51の中心軸方向一端側開口及び他端側開口を閉塞するように構成することも可能である。
【0046】
さらに、本実施の形態においては、前記側面部52を上端位置が囲繞する回転体の上端位置と略同一となるように構成したが、これに代えて、該側面部52を囲繞する回転体の上端位置よりも上方へ延在させることができる(図7参照)。
斯かる態様においては、前記周面部51の最下端位置を基準にして、該周面部51又は側面部52の回転体回転方向下流側に連通孔55を設け、該連通孔55を介して囲繞空間11からメイン空間12へ油を移送させることができる。
【0047】
又、本実施の形態においては、前記端面部53,54を介して前記バッフルプレート50を第1及び第2ベアリング支持プレート50に連結させたが、当然ながら、種々の方法によって該バッフルプレート50を第1及び第2ベアリング支持プレート210,220に連結させることができる。
例えば、前記周面部51に取付部を設け、該取付部を介してベアリング支持プレートに取り付けることもできる。
【0048】
実施の形態2.
以下、本発明に係るトランスミッションの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
前記実施の形態1においては、トランスミッション1が変速油圧機構120を囲繞するように構成されたバッフルプレート50を備える場合を例に説明したが、当然ながら、前記バッフルプレート50に代えて、又は、加えて、前記伝動機構における他の回転体を囲繞するように構成されたバッフルプレートを備えることができる。
【0049】
図8に、バッフルプレート50’の斜視図を示す。
該バッフルプレート50’は、前記主変速機構130の全体を囲繞するように構成されている点を除き、前記実施の形態1におけるバッフルプレート50と実質的に同一である。なお、該バッフルプレート50’は、前記第2ベアリング支持プレート220と前記ミドルハウジング30の内壁30aとに連結される。
斯かる構成においては、前記主変速機構130,前記バッフルプレート50’及び第2ベアリング支持プレート220をハウジングの外方で組み立ててから、該組立体を前記ミドルハウジング30内に設置することできる。
【0050】
図9(a)及び(b)に、バッフルプレート50''の模式縦断側面図及び模式縦断正面図を示す。
該バッフルプレート50''は、前記主変速機構130におけるスライディングギヤを囲繞するように構成されている。
詳しくは、前記主変速機構130は、従動軸131と、駆動源に作動的に連結された複数の従動固定ギヤであって、前記従動軸に相対回転自在に支持された複数の従動固定ギヤ(図1に示す形態においては、従動固定ギヤ132a〜132d)と、該複数の従動固定ギヤの何れかと噛合するように前記従動軸131に摺動自在且つ相対回転不能に支持されたスライディングギヤ(図1に示す形態においては、スライディングギヤ133a〜133b)と、該スライディングギヤを操作するシフトフォーク134(図9参照)とを備えている。
【0051】
前記バッフルプレート50''は、対応するスライディングギヤ133を囲繞するように前記シフトフォーク134に連結されている。
このように、スライディングギヤ133を操作するシフトフォーク134にバッフルプレート50''を連結することにより、バッフルプレート50''と摺動するスライディングギヤ133との間の間隙を可及的に近接させることができ、該スライディングギヤ133によるポンプ効果を効率的に得ることができる。
【0052】
さらに、図10に、バッフルプレート50'''の縦断模式図を示す。
該バッフルプレート50'''は、前記変速油圧機構120における前記高速用駆動側ギヤ122H及び低速用駆動側ギヤ122Lを個別に囲繞するように構成されている。
該バッフルプレート50'''は、例えば、前記第1ベアリング支持プレート210又は第2ベアリング支持プレート220に連結させることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るバッフルプレート及びトランスミッションによれば、ハウジング内に十分な量の油を貯留しつつ、該貯留油に起因して、駆動源に作動的に連結された駆動軸に相対回転自在に支持された一対のギヤと前記駆動軸の軸線方向に関し前記一対のギヤの間に位置し前記駆動軸の回転を前記一対のギヤの一方に選択的に伝達する油圧クラッチとを有する回転体を含む伝動機構の伝動効率が悪化することを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施の形態に係るトランスミッションの伝動模式図である。
【図2】 図2は、図1におけるII部の拡大模式図である。
【図3】 図3は、図1に示すトランスミッションに用いられたバッフルプレートの斜視図である。
【図4】 図4は、図2におけるIV-IV線に沿った模式断面図である。
【図5】 図5は、図2におけるV-V線に沿った模式断面図である。
【図6】 図6は、図2におけるVI-VI線に沿った模式断面図である。
【図7】 図7は、図1〜図6に示すバッフルプレートの変形例を示す模式断面図であり、図4に対応した模式断面図である。
【図8】 図8は、他の形態に係るバッフルプレートの斜視図である。
【図9】 図9(a)及び(b)は、それぞれ、さらに他の形態に係るバッフルプレートの模式縦断側面図及び模式縦断正面図である。
【図10】 図10は、さらに他の形態に係るバッフルプレートの縦断模式図である。
【符号の説明】
1 トランスミッション
10 ハウジング
11 貯留空間
12 メイン空間
50 バッフルプレート
51 周面部
52 側面部
53,54 端面部
55 連通孔
210,220 ベアリング支持プレート
Claims (8)
- 駆動源に作動的に連結された駆動軸に相対回転自在に支持された一対のギヤと前記駆動軸の軸線方向に関し前記一対のギヤの間に位置し前記駆動軸の回転を前記一対のギヤの一方に選択的に伝達する油圧クラッチとを有する回転体を含む伝動機構と、前記伝動機構を収容し且つ油を貯留可能な貯留空間を有するハウジングとを備えたトランスミッションに適用されるバッフルプレートであって、
前記ハウジングの貯留空間を、前記回転体の少なくとも最下端部を囲む囲繞空間と、該囲繞空間以外のメイン空間とに液密に分離するように、前記ハウジング内に装着され、
前記回転体の回転運動に伴うポンプ効果によって前記囲繞空間内の油を前記メイン空間へ移送し得るように、前記回転体における外周面の最下端部を含む少なくとも一部を囲繞するように該回転体の外周面に沿った周面部を備え、
前記周面部は、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際に、該回転体の回転軸と略同心上の中心軸を有する円弧状とされており、前記油圧クラッチに対応した第1周面部と前記一対のギヤにそれぞれ対応した第2周面部及び第3周面部とを含むことを特徴とするバッフルプレート。 - 前記周面部の周方向両端部から上方へ延びる側面部を有し、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際にU字状をなしていることを特徴とする請求項1に記載のバッフルプレート。
- 前記ハウジング内に装着されるベアリング支持プレートに取り付けられる取付部をさらに備え、
前記ベアリング支持プレートとの共働下によって、前記囲繞空間と前記メイン空間とが液密に分離されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバッフルプレート。 - 前記回転体の回転軸方向両端面のうち最下端部を含む少なくとも一部を覆うように、前記周面部における前記中心軸方向両端部から径方向に延びる一対の端面部を、さらに備え、
前記周面部及び前記一対の端面部によって、前記囲繞空間と前記メイン空間とが液密に分離されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のバッフルプレート。 - 駆動源に作動的に連結された駆動軸に相対回転自在に支持された一対のギヤと前記駆動軸の軸線方向に関し前記一対のギヤの間に位置し前記駆動軸の回転を前記一対のギヤの一方に選択的に伝達する油圧クラッチとを有する回転体を含む伝動機構と、
前記伝動機構を収容すると共に油を貯留し得る貯留空間を有するハウジングと、
前記回転体の最下端部を覆うように前記ハウジング内に配設されるバッフルプレートとを備え、
前記バッフルプレートは、前記ハウジングの貯留空間を前記回転体の少なくとも最下端部が囲まれる囲繞空間と該囲繞空間以外のメイン空間とに液密に分離するように構成され、且つ、前記回転体の回転運動に伴うポンプ効果によって前記囲繞空間内の油が前記メイン空間へ移送されるように前記回転体における外周面の最下端部を含む少なくとも一部を囲繞するように該回転体の外周面に沿った周面部を備え、
前記周面部は、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際に、該回転体の回転軸と略同心上の中心軸を有する円弧状とされており、前記油圧クラッチに対応した第1周面部と前記一対のギヤにそれぞれ対応した第2周面部及び第3周面部とを含むことを特徴とするトランスミッション。 - 前記バッフルプレートは、前記周面部の周方向両端部から上方へ延びる側面部を有し、前記回転体の回転軸方向に沿って視た際にU字状をなしていることを特徴とする請求項5に記載のトランスミッション。
- 前記伝動機構を構成する伝動軸を支持し得るように、前記ハウジング内に着脱自在に装着されるベアリング支持プレートをさらに備え、
前記バッフルプレートは、前記ベアリング支持プレートに着脱自在に支持されるようになっており、
前記バッフルプレートの周面部と前記ベアリング支持プレートとの共働によって、前記囲繞空間が画されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のトランスミッション。 - 前記バッフルプレートは、前記回転体の回転軸方向両端面のうち最下端部を含む少なくとも一部を覆うように、前記周面部における前記中心軸方向両端部から径方向に延びる一対の端面部をさらに備え、
前記周面部及び前記一対の端面部によって、前記囲繞空間が画されていることを特徴とする請求項5から7の何れかに記載のトランスミッション。
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