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JP4194292B2 - 3鎖型親水性カルボジイミド化合物及び水性塗料組成物 - Google Patents
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JP4194292B2 - 3鎖型親水性カルボジイミド化合物及び水性塗料組成物 - Google Patents

3鎖型親水性カルボジイミド化合物及び水性塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボジイミド化合物及び水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体や部品等には、通常、防錆性の高い電着塗料を用いて形成される電着塗膜、電着塗膜の上に形成される中塗り塗膜及び中塗り塗膜の上に形成される上塗り塗膜からなる複層塗膜が形成されている。
【0003】
このようにして形成された自動車塗膜に事故等による欠陥が生じた場合には、その欠陥部分に補修塗装が施される。補修対象となる自動車塗膜は、通常、自動車の内装等のプラスチック部分や制御装置等を伴って存在し、塗膜の基材自体がプラスチック製品である場合もあること、更に、通常使用されている自動車補修ブースでは高温で乾燥できないことから、補修塗装は、通常、約60℃で行う必要があった。このため、補修塗装に用いられるベース塗料としては、溶剤系の2液型ウレタンアクリル塗料が一般的である。
しかし、最近の環境に対する配慮から、自動車補修塗装においても溶剤系から水系への転換が計られるようになってきた。しかし、水系では貯蔵安定性に優れ、かつこのような条件で硬化剤として適用できる材料が見出されていないため、高分子量の熱可塑性樹脂をバインダーとする塗料組成物が一般的に使用されてきた。
【0004】
しかし、このような熱可塑性樹脂を被膜形成樹脂とする水性塗料組成物によって形成した塗膜は、耐水性、二液型クリヤー塗膜との密着性、再補修性等が悪いという問題があった。
【0005】
特開平09−279098号公報には、ポリオキサゾリン化合物及びカルボキシル基含有水性樹脂組成物を含む水性の自動車補修用塗料組成物が記載されている。しかしこのようなポリオキサゾリン化合物は、低温での硬化反応性に劣り、60℃では反応がほとんど進行せず、耐水性が悪いという問題があった。
【0006】
特開2001−11151号公報には、親水化変性カルボジイミド化合物及びカルボキシル基含有水性樹脂組成物を含む水性塗料組成物が記載されている。これを自動車補修用として用いた場合には、十分な性能を有する硬化塗膜を得ることができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、比較的低温での硬化が可能であり、耐水性等の特性が優れた水性塗料組成物の硬化剤として使用することができる3鎖型親水性カルボジイミド化合物及びこれからなる水性塗料組成物を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1);
【0009】
【化3】
Figure 0004194292
【0010】
(式中、Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能の有機基を表わす。Yは、親水性基を表わす。Rは、炭素数4以下のアルキレン基を表わす。nは0又は1を表わす。mは0〜10の数を表わす。)
で表わされることを特徴とする3鎖型親水性カルボジイミド化合物である。
【0011】
上記Yは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造を有することが好ましい。上記Xは、カルボジイミド基とジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた炭化水素基とが交互に存在し、その両末端は上記炭化水素基である構造を有することが好ましい。上記ジイソシアネート化合物は、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートであることが好ましい。
【0012】
上記Xは、下記一般式(2);
【0013】
【化4】
Figure 0004194292
【0014】
(式中、Rは、炭素数6〜15の炭化水素基を表わす。pは1〜10の数を表わす。)
で表わされることが好ましい。上記Rは、ジシクロヘキシレンメチル基であることが好ましい。
【0015】
上記Rは、プロピレン基であり、nは0であり、mは1であることが好ましい。
【0016】
本発明は、分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を用意する工程(A)、上記ジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させる工程(B)及び上記ジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応物と3官能ポリオールとを反応させる工程(C)からなる製造方法によって得られることを特徴とする3鎖型親水性カルボジイミド化合物でもある。上記3官能ポリオールは、トリメチロールプロパン、グリセリン、又はそれらのアルキレンオキサイド付加物であることが好ましい。
【0017】
本発明は、カルボキシル基含有水性樹脂及び硬化剤からなる水性塗料組成物であって、上記硬化剤は、上述した3鎖型親水性カルボジイミド化合物であることを特徴とする水性塗料組成物でもある。上記水性塗料組成物は、自動車補修用であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の3鎖型カルボジイミド化合物は、上記一般式(1)で表される化合物である。すなわち、カルボジイミド基を有するユニットを一分子中に3個有する化合物である。上記構造を有することによって、水性塗料組成物の硬化剤として好適に使用することができるカルボジイミド化合物となる。
【0019】
上記一般式におけるXは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能の有機基である。本発明のカルボジイミド化合物は、このXを1分子中に3個有している。このような3鎖型の構造を有していることで、低温での硬化が可能となる。
上記Xは、カルボジイミド基とジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた炭化水素基とが交互に存在し、その両末端は前記炭化水素基であることが好ましい。また、上記Xは、下記一般式(2)で表わすことができる。
【0020】
【化5】
Figure 0004194292
【0021】
上記一般式(2)において、Rは、炭素数6〜15の炭化水素基であることが好ましい。具体的なものとして、フェニレン基、ジフェニレンメチル基、ジフェニレン(ジメチル)メチル基、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基、テトラメチルキシリレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ジシクロヘキシレンメチル基等を挙げることができる。好ましいものは、ジシクロヘキシレンメチル基である。
一方、上記一般式(2)におけるpは、1〜10である。pが大きくなれば、鎖中に存在するカルボジイミド基の個数が増加するので硬化性の向上が期待できるため、pは2以上であることが好ましいが、その上限値は8以下であることが更に好ましい。
【0022】
本発明の3鎖型カルボジイミド化合物のYは、親水性基を表わす。このように3個の親水性基を末端に有することで、本発明のカルボジイミド化合物は親水性を有する。上記親水性基としては、特に限定されず、例えば、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造等を挙げることができる。
【0023】
上記一般式(1)において、Rは、炭素数4以下のアルキレン基を表わす。アルキレンとしてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。また、nは、0又は1を表わす。入手が容易なことから、Rがプロピレン基であり、nが0であることが好ましい。また、上記一般式(1)においては、OR基の個数はmで決定される。OR基が鎖中に存在することで鎖長が伸びて自由度が増すことにより、反応性向上が期待できる。好ましいmの値は0.8〜1.2である。なお、上記一般式(1)におけるmの値は、それぞれ鎖中のOR1基の個数の平均値を意味するもである。
【0024】
本発明の3鎖型カルボジイミド化合物は、例えば、分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を用意する工程(A)、上記ジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させる工程(B)及び上記ジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応物と3官能ポリオールとを反応させる工程(C)からなる製造方法によって得ることができる。
【0025】
上記工程(A)は、分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を用意するものである。この分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物は、ジイソシアネート化合物の縮合反応によって得ることができる他、日清紡績社からカルボジライトシリーズとして販売されている。カルボジライトシリーズの中で好ましいものは、V−01である。
【0026】
ジイソシアネート化合物の縮合反応により、分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を得る場合、用いるジイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート及びこれらの混合物等を挙げることができる。上記ジイソシアネート化合物は、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートであることがより好ましい。
【0027】
上記縮合反応は、カルボジイミド化触媒を用いて行うことができる。上記カルボジイミド化触媒としては特に限定されず、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等を挙げることができる。上記カルボジイミド化触媒としては、反応性の観点から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドがより好ましい。
【0028】
上記工程(B)は、先の工程(A)で得られた分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させるものである。上記反応で得られる化合物は、更に次の工程(C)で3官能ポリオールと反応させる必要があるため、イソシアネート基が残存している必要がある。このため、上記反応においては、イソシアネート基の当量が水酸基の当量を上回っている必要があり、好ましくは、イソシアネート基と水酸基との当量比が2/1になる量であることが好ましい。反応は通常、当業者によく知られた条件で行うことができ、必要に応じてスズ系の触媒を使用することができる。
【0029】
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、繰り返し単位が4〜数十のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリブチレングリコールモノアルキルエーテル、又は、例えば、ポリ(オキシエチレン)(オキシプロピレン)グリコールモノアルキルエーテルのような2種以上のポリアルキレンオキサイドユニットを含有するもので、アルキル基の炭素数が1〜6のものを挙げることができる。
【0030】
上記工程(C)は、上記工程(B)で得られた反応物と3官能ポリオールとを反応させるものである。上記3官能ポリオールは、反応物のイソシアネート当量以上の水酸基当量になる量を通常用いる。イソシアネート当量と水酸基当量とが等しいことが好ましい。なお、反応物のイソシアネート当量は、直接測定する以外に、先の工程におけるジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの配合比から計算によって求めることも可能である。反応は先の工程(B)と同様に行うことができる。このようにして、本発明の3鎖型親水性カルボジイミド化合物を得ることができる。
【0031】
上記3官能ポリオールは、トリメチロールプロパン、グリセリン、又はそれらのアルキレンオキサイド付加物であることが、入手が容易な点から好ましい。上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。グリセリンのアルキレンオキサイド付加物は三洋化成社からGPシリーズとして市販されている。得られる3鎖型親水性カルボジイミド化合物の硬化反応性を考慮すると、1つの水酸基に対して平均約1モルのアルキレンオキサイドがそれぞれ付加した構造を持つものが特に好ましい。先のGPシリーズの中で、このような構造を持つものはGP−250である。
【0032】
本発明の水性塗料組成物は、カルボキシル基含有水性樹脂及び上記鎖型親水性カルボジイミド化合物からなるものである。上記水性塗料組成物の状態は特に限定されるものではなく、例えば、水溶液、エマルション、ディスパージョン等の形態を挙げることができる。
【0033】
上記カルボキシル基含有水性樹脂は、酸価が、下限20mgKOH/g、上限200mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。酸価が20mgKOH/g以下の場合は、充分な塗膜物性が得られないおそれがあり、200mgKOH/g以上の場合は、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがあるという問題がある。上記カルボキシル基含有水性樹脂は、有機溶剤中で合成し、カルボキシル基を塩基性化合物で中和することによって水性化するものであっても、水性媒体中で乳化重合してエマルションとして得られたものであってもよい。上記カルボキシル基含有水性樹脂としては、カルボキシル基含有水性アクリル樹脂、カルボキシル基含有水性ポリエステル樹脂、カルボキシル基含有水性ウレタン樹脂等を挙げることができる。
【0034】
上記カルボキシル基含有水性アクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和単量体及びその他のエチレン性不飽和単量体をからなる単量体組成物を共重合することによって得られるアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0035】
上記カルボキシル基を有するラジカル重合性単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フタル酸等を挙げることができる。上記その他のエチレン性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート及びそれらとラクトンとの反応物等の水酸基含有エチレン性不飽和単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド又はヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド及びブトキシメチルアクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有エチレン性不飽和単量体、その他、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシル)及びメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル及びメタクリル酸ラウリル)等の非官能性エチレン性不飽和単量体等を挙げることができる。上記その他のエチレン性不飽和単量体は、2種類以上を併用して使用してもよい。
【0036】
上記カルボキシル基含有水性ポリエステル樹脂は、アルコールと酸のエステル結合形成反応によって得られるものである。上記カルボキシル基含有水性ポリエステル樹脂は、多価アルコール、多価カルボン酸、ラクトン、ヒドロキシカルボン酸等を原料として得られるものである。本明細書において、ポリエステル樹脂とは、いわゆるアルキド樹脂も含む。
【0037】
上記多価アルコールは、1分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物である。上記多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパン及びヘキサントリオール等のトリオール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、カプロラクトンジオール及びビスヒドロキシエチルタウリン等のジオールを挙げることができる。上記アルコール成分は、2種類以上を併用して使用するものであってもよい。
【0038】
上記多価カルボン酸は、1分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物である。上記多価カルボン酸としては特に限定されず、例えば、フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸及びテトラヒドロフタル酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリメリット酸等のトリカルボン酸;ステアリン酸及びラウリル酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸及びミリスチン酸等の不飽和脂肪酸、ひまし油、パーム油及び大豆油等の天然油脂及びそれらの変性物の長鎖脂肪酸等を挙げることができる。上記多価カルボン酸成分は、2種類以上を同時に使用するものであってもよい。
【0039】
上記ラクトンは、環状エステル結合を有する化合物である。上記ラクトンとしては特に限定されず、例えば、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。上記ラクトンは、2種類以上を同時に使用するものであってもよい。上記多価アルコール及び多価カルボン酸と併用して使用するものであってもよい。
【0040】
上記ヒドロキシカルボン酸は、1分子中に水酸基とカルボキシル基とを有する化合物である。上記ヒドロキシカルボン酸としては特に限定されず、例えば、ジメチロールプロピオン酸等のヒドロキシカルボン酸等を挙げることができる。上記ヒドロキシカルボン酸は、2種類以上を同時に使用するものであっても、上記多価アルコール、上記多価カルボン酸及び上記ラクトンとを併用して使用するものであってもよい。
【0041】
上記カルボキシル基含有水性ポリエステル樹脂は、上記原料によって得られたポリエステル樹脂が水酸基を有する場合、上記水酸基の一部又は全部を無水フタル酸、無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の酸無水物によってカルボキシル基に変性したものであってもよい。
【0042】
上記カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とジオールとの反応により得られる樹脂であり、カルボキシル基を有するジオールをアルコール成分として使用したものである。上記カルボキシル基を有するジオールとしては特に限定されず、例えば、ジメチロールプロピオン酸等を挙げることができる。
【0043】
上記カルボキシル基含有樹脂を水に分散又は溶解するために使用する上記塩基性化合物としては特に限定されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン等の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等の無機塩基類等を挙げることができる。上記塩基性化合物による中和率は特に限定されず、上記水性樹脂を水性化することができれば特に限定されない。上記中和率は通常、樹脂が有するカルボキシル基当量の40〜120%である。
【0044】
上記塗料組成物を自動車補修用に使用する場合、上記カルボキシル基含有水性樹脂は、上記カルボキシル基含有水性アクリル樹脂のエマルション及びカルボキシル基含有水性ウレタン樹脂のディスパージョンを併用することが好ましい。上記成分を併用する場合は、上記カルボキシル基含有水性アクリル樹脂と上記カルボキシル基含有水性ウレタン樹脂との配合比は、樹脂固形分質量比で、80/20〜20/80であることが好ましく、上限が70/30、下限が50/50/50であることが更に好ましい。
【0045】
本発明の水性塗料組成物は、上記カルボキシル基含有水性樹脂が有するカルボキシル基に対してカルボジイミド基が当量以下となるように、上記3鎖型カルボジイミド化合物を配合されていることが好ましい。上記3鎖型カルボジイミド化合物が、当量を超える場合は、塗膜性能が低下する場合があるため、好ましくない。
【0046】
本発明の水性塗料組成物は、上記3鎖型親水性カルボジイミド化合物及び上記カルボキシル基含有樹脂成分の他に、着色顔料、光輝性顔料等の顔料を有するものであってもよい。上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、有機系、無機系の各種着色顔料及び体質顔料等を挙げることができる。上記有機系着色顔料としては,例えば、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、上記無機系着色顔料としては、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等を挙げることができ、上記体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等を挙げることができる。上記光輝性顔料としては、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、アルミニウム等の金属若しくは合金等の無着色若しくは着色された金属製光輝剤及びその混合物、並びに/又は、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料その他の有色偏平顔料等を挙げることができる。上記顔料を配合する場合、顔料は顔料/樹脂固形分との比が1/1〜1/100の割合で配合されていることが好ましい。
【0047】
本発明の水性塗料組成物は、必要に応じて、その他の硬化剤を併用するものであってもよい。上記その他の硬化剤としては特に限定されず、例えば、2官能タイプのカルボジイミド化合物、イソシアネート、メラミン等を挙げることができる。上記その他の硬化剤を併用する場合、使用量は硬化剤全体のとして50質量%未満であることが好ましい。
【0048】
本発明の水性塗料組成物は、上記成分の他、顔料分散剤、表面調整剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤等の塗料において通常使用される各種の添加剤を使用することができる。
【0049】
上記水性塗料組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、まず、上記カルボキシル基含有水性樹脂と各種添加剤とを混合した後に顔料を加え、最後に上記3鎖型カルボジイミド化合物を加える方法等を挙げることができる。なお、上記3鎖型カルボジイミド化合物以外のその他の硬化剤を併用するときには、最初に上記カルボキシル基含有水性樹脂と混合しておく方法を採り得る。
【0050】
上記水性塗料組成物は、このような一液型とする以外に、上記カルボキシル基含有水性樹脂及び顔料成分を加えたものと、上記3鎖型カルボジイミド化合物からなる硬化剤成分とを別々に保存しておき、使用時にこれらを混合する、いわゆる二液型水性塗料組成物としてもよい。長期の貯蔵安定性を確保したい場合には、上記二液型として用いることが好ましい。
【0051】
補修対象となる塗膜は、通常、金属、プラスチック、発泡体等の基材上に形成されている。上記金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属単体及びこれらの金属単体を含む合金が挙げられる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車の車体及び部品の形態を取りうる。
上記プラスチック基材としては、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂の製品等を挙げることができ、例えば、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車部品等を挙げることができる。
上記基材には、必要に応じ、化成皮膜、電着塗膜やプライマー塗膜が施された上に、通常、中塗り塗膜及び上塗り塗膜がこの順に形成されている。
【0052】
補修に際しては、上記塗膜の補修対象部分を、通常、サンドペーパー等の研磨材を用いて、いわゆる水研ぎ又は空研ぎにより、緩やかに勾配をつけて研磨する。上記研磨は、補修対象部分の中塗り塗膜又は電着塗膜等の下塗り塗膜が露出する程度にまで行ってもよい。
【0053】
上記研磨によって得られる研磨部位には、通常、ヘラ等でパテを塗布した後、10分間程度放置することにより硬化させ、次いで、パテ表面を研磨して平滑にする面出し処理を施す。この上に、補修対象部位の肌調整や下地色の隠蔽を目的として、いわゆるプライマ・サーフェーサーと呼ばれる塗料を用いて下地を調整する。上記プライマ・サーフェーサーは、固形分合有量が30〜70質量%であり、一般に灰色である。
【0054】
このような方法によって得られる塗膜の上に、本発明の水性塗料組成物をベース塗料として、硬化膜厚で10〜30μmになるよう塗布し、その後、乾燥を行う。乾燥は基材が金属のような耐熱性の高いものである場合には、120℃以上で行うことも可能であるが、その上にクリヤー塗料が塗布できるように、通常、40〜70℃で30〜60分間程度加熱されるのが一般的である。
【0055】
上記ベース塗膜上にクリヤー塗料を塗布することにより、ベース塗膜上にクリヤー塗膜が形成される。上記クリヤー塗料としては、通常、アクリルポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン二液型クリヤー塗料が用いられる。一般的には、ベース塗膜とクリヤー塗膜とは同時に乾燥させることが多く、更にプライマ・サーフェーサーが未硬化の状態で、同様にしてベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成してから乾燥を行うことも可能である。
【0056】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0057】
(実施例1)
3鎖型親水性カルボジイミド化合物の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3930部をカルボジイミド化触媒である3−メチル−1―フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド79部と共に180℃で16時間反応させ、1分子にカルボジイミド基を4個有し両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得た。ここにエチレンオキサイドの繰り返し単位が平均15個であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル2079部及びジブチル錫ジラウレート2部を加え、90℃で2時間加熱して、末端がイソシアネート基及び親水性基であるカルボジイミド化合物を得た。
次に、グリセリンの3つの水酸基に、プロピレンオキサイドを平均で0.9モルずつ付加した構造を有するGP−250(三洋化成社製)250部を加え、90℃で、6時間反応させた。反応物は、IRによってイソシアネート基が消失していることが確認された。ここにイオン交換水11237部を加えて撹拌し、樹脂固形分51質量%の3鎖型親水性カルボジイミド化合物の水分散体を得た。
【0058】
水性塗料組成物の製造
アクリルエマルション(酸価:46、Tg:20℃、樹脂固形分:44質量%)とウレタンディスパージョン(酸価:19、樹脂固形分:33質量%)とを樹脂固形分比で6/4となる量で混合した。この混合物の酸価に相当する当量の実施例1で製造した3鎖型親水性カルボジイミド化合物の水分散体をここに加えてスパチュラで撹拌したところ、問題なく均一化できた。ここに顔料/樹脂固形分が1/3となる量のアルミペースト(アルミ金属含有率65質量%)を更に加えて、ディスパーで撹拌して水性塗料組成物を得た。
【0059】
塗膜の耐水性試験
磨き鋼板上に形成されたカチオン電着塗膜を、スコッチブライトで軽く研磨した後、スプレーでnaxプラサフハイシール(日本ペイント社製プライマーサーフェーサー)を塗装して、乾燥膜厚70μmの塗膜を形成した。これを60℃で40分間乾燥した後、#800のサンドペーパーで水研ぎしてプラサフ板を得た。上記水性塗料組成物を上記プラサフ板にスプレー塗装して、乾燥膜厚20μmの塗膜を形成した。60℃で15分乾燥して表面を乾燥させてから、naxマルチ2100HGクリヤー(日本ペイント社製2液型ウレタンクリヤー)を用いて膜厚60μmのクリヤー塗膜をスプレーを用いて形成した。これを60℃で3時間乾燥し、耐水性試験板を作製した。上記耐水性試験板は、下記の密着試験を行うとともに、40℃の恒温水槽に10日間浸漬した後の塗装外観及び密着性の評価を以下の方法で行った。結果を表1に示す
【0060】
<塗膜外観>
試験板を30Wの長さ30cmの蛍光灯で塗装面上約2mの距離から照射し、塗装面に映った蛍光灯の像の状態を目視にて観察することにより、ちぢみ発生の有無を評価した。
○:ちぢみ発生なし
△:わずかにちぢみ発生
×:全面にちぢみ発生
【0061】
<密着性>
試験板にカッターナイフによって2mmの幅で縦横それぞれ11本の切れ目をゴバン目状に入れた後、セロハンテープで剥離したときのゴバン目の剥離数を評価した。なお、浸漬前を一次密着性、浸漬後を二次密着性として評価した。
○:剥離なし
△:剥離数1〜5
×:剥離数6〜
【0062】
塗膜の再補修性試験
クリヤー塗膜をスプレーを用いて形成するところまでは上記耐水性試験板作成における塗膜形成と同様の手順によって行った。得られた塗膜を60℃で80分乾燥させた後、240番のダブルアクションサンダーを用いてプライマーサーフェーサー部分まで研ぎ出しを行った。次に全面を#1500のサンドペーパーで水研ぎを行った。上記水性塗料組成物を用いて、上記耐水性試験板作成における塗膜形成と同様の手順で再度ベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成し、これを60℃で40分乾燥して得られた塗膜を目視で評価した。評価基準は上記塗膜外観と同一とした。結果を表1に示す。
【0063】
(実施例2、3)
3鎖型親水性カルボジイミド化合物の製造
実施例1において、GP−250の代わりにGP−400(三洋化成工業社製、グリセリンの3つの水酸基へのプロピレンオキサイド平均付加モル数1.8)及びGP−600(三洋化成工業社製、グリセリンの3つの水酸基へのプロピレンオキサイド平均付加モル数2.9)をそれぞれ400部及び600部用いた以外は同様にして、樹脂固形分51質量%の3鎖型親水性カルボジイミド化合物の水分散体を得た。実施例2、3の3鎖型親水性カルボジイミド化合物も、実施例1の分散体と同様、樹脂成分と混合する際、スパチュラでの攪拌によって問題なく均一化できた。
【0064】
(比較例1)
実施例1で中間化合物として得られた1分子にカルボジイミド基を4個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物113.4部を、90℃加熱下でN−メチルピロリドン106.7部に溶解させた。次にエチレンオキサイドの繰り返し単位が平均8個であるポリエチレングリコール74.0部を100℃で48時間反応させた後、イオン交換水281.1部を50℃で加え、樹脂固形分40質量%の2官能タイプの親水化変性カルボジイミド化合物の水分散体を得た。
実施例1で製造した3鎖型親水性カルボジイミド化合物の水分散体の代わりに、この2官能タイプの親水化変性カルボジイミド化合物の水分散体を用いること以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物を得た。
実施例1では、カルボジイミド化合物とカルボキシル基含有水性樹脂との混合はスパチュラで容易に行うことができたのに対し、比較例1では、ディスパーを用いなければ均一化が困難であった。
【0065】
(比較例2)
実施例1で製造した3鎖型親水性カルボジイミド化合物の水分散体の代わりに、オキサゾリドン化合物を用いること以外は実施例4と同様にして、水性塗料組成物を得た。
【0066】
上記比較例1及び2によって得られた水性塗料組成物について、実施例1と同様の方法によって塗装を行い、耐水性試験及び再補修性試験を行った。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0004194292
【0068】
実施例1によって得られた塗膜は、外観、密着性、再補修性のいずれの物性においても、全く問題は無かったが、2官能タイプのカルボジイミド化合物を硬化剤として用いた比較例1によって得られた塗膜では、硬化が充分に進行していないため、耐水試験後の二次密着性に劣るとともに、自動車補修に必要な要件である塗膜の再補修性に劣っていた。また、オキサゾリジン化合物を硬化剤として用いた比較例2ではほとんど硬化が進行していなかったため、塗膜物性が悪かった。
【0069】
【発明の効果】
本発明の3鎖型親水性カルボジイミド化合物を硬化剤として使用することによって得られた水性塗料組成物は、比較的低温での硬化が可能であり、耐水性等の特性に優れており、特に自動車補修様塗料として有用である。

Claims (11)

  1. 下記一般式(1);
    Figure 0004194292
    (式中、Xは、少なくとも1個のカルボジイミド基を含有する2官能の有機基を表わす。Yは、親水性基を表わす。Rは、炭素数4以下のアルキレン基を表わす。nは0又は1を表わす。mは0〜10の数を表わす。)で表わされることを特徴とする3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  2. Yは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから水酸基を除いた構造を有する請求項1記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  3. Xは、カルボジイミド基とジイソシアネート化合物から2つのイソシアネート基を除いた炭化水素基とが交互に存在し、その両末端は前記炭化水素基である構造を有する請求項1又は2記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  4. ジイソシアネート化合物が4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである請求項3記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  5. 前記Xは、下記一般式(2);
    Figure 0004194292
    (式中、Rは、炭素数6〜15の炭化水素基を表わす。pは1〜10の数を表わす。)で表わされる請求項1、2又は3記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  6. 前記Rは、ジシクロヘキシレンメチル基である請求項5記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  7. は、プロピレン基であり、nは0であり、mは1である請求項1、2、3、4、5又は6記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  8. 分子内に少なくとも1個のカルボジイミド基を有するジイソシアネート化合物を用意する工程(A)、前記ジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させる工程(B)及び前記ジイソシアネート化合物とポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとの反応物と3官能ポリオールとを反応させる工程(C)からなる製造方法によって得られることを特徴とする3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  9. 前記3官能ポリオールが、トリメチロールプロパン、グリセリン、又はそれらのアルキレンオキサイド付加物である請求項8記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物。
  10. カルボキシル基含有水性樹脂及び硬化剤からなる水性塗料組成物であって、前記硬化剤は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の3鎖型親水性カルボジイミド化合物であることを特徴とする水性塗料組成物。
  11. 水性塗料組成物は、自動車補修用である請求項10記載の水性塗料組成物。
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