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JP4195570B2 - 移動体速度センサ - Google Patents
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JP4195570B2 - 移動体速度センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気センサは、特定位置における磁束密度を検出するセンサであり、ホール素子、磁気抵抗素子、ループコイル、光干渉計等が用いられる。これらの磁気センサを用いて磁性体を有する移動体のある区間を通過する速度を検出する移動体磁気センサが開発されている。
【0003】
移動体磁気センサの応用としては、例えば道路を走行する自動車の通過速度検出が挙げられる。すなわち、走行する自動車の速度を一台毎に検出したり、一定時間内の多数の通過車両の平均速度を算出して交通の流れを観測したりすることに移動体磁気センサが用いられるのである。
【0004】
本明細書では移動体速度センサは後者のように交通の流れを観測するためのセンサとする。
【0005】
図3は従来の移動体速度センサの概念図である。
【0006】
同図において、7は検出対象である磁性体を有する移動体、例えば自動車である。1、2は移動体7の通過に伴う磁束密度変化を検出し、検出した磁束密度に応じた信号V1、V2を出力する磁気センサであり、両磁気センサ1、2は移動体の移動経路(道路)に所定の距離Lだけ離して配置されている。
【0007】
ここで、移動体7の進行方向をX軸にとり、一方の磁気センサ1の座標をX=0とし、他方の磁気センサ2の座標をX=Lとする。両磁気センサ1、2からの信号は信号処理部3にて信号処理される。
【0008】
信号処理部3は、両磁気センサ1、2からの信号を入力すると、移動体7の移動速度vを算出し、その移動速度vに応じた信号V3を出力する。
【0009】
図4は図3に示した移動体速度センサの信号処理部内で行われる処理の流れ図である。図5(a)、(b)は図3に示した磁気センサの信号V1、V2の時間変化を示す図であり、横軸が時間軸を示し、縦軸がそれぞれ信号V1、V2の電圧軸である。
【0010】
磁気センサ1、2がそれぞれの位置の磁束密度B1、B2に比例した電圧の信号V1、V2を出力するセンサである場合、両磁気センサ1、2からの信号V1、V2は、数9式及び数10式で表される。
【0011】
【数9】
V1(t)=α11(t)+ΔV1
【0012】
【数10】
V2(t)=α22(t)+ΔV2
但し、α1、α2は比例係数であり、理想的には磁気センサ1、2の比例係数α1、α2は等しい(=α)と仮定する。ΔV1、ΔV2は両磁気センサ1、2のノイズ幅を表し、ノイズ幅ΔV1、ΔV2も磁気センサ1、2で等しい(=ΔV)と仮定する。
【0013】
ここで、説明を簡単にするため、移動体7が両磁気センサ1、2から十分に離れているときの磁気センサ1、2の位置での磁束密度を「0」とする。
【0014】
移動体7が磁気センサ1、2から十分遠方にある場合の磁気センサ1、2の信号V1、V2は「0」である。移動体7が磁気センサ1、2に接近してくると、移動体7に近い方に配置された磁気センサ1の磁束密度B1が変化する。この磁束密度B1の変化に伴い、磁気センサ1からの信号V1が変化し始める。さらに移動体7が磁気センサ1に接近してくると、移動体7から遠い方に配置された磁気センサ2の位置の磁束密度B2が変化する。この磁束密度B2の変化に伴い磁気センサ2からの信号V2が変化し始める。これら信号V1、V2の信号変化の時間差tは両磁気センサ1、2間の距離L及び移動体の速度vに依存し、数11式で表される。
【0015】
【数11】
t=L/v
よって、磁気センサ1、2間の距離Lを予め測定しておき、かつ時間差tを測定することができれば、移動体7の速度vを数12式で算出することができる。
【0016】
【数12】
v=L/t
図3に示した従来の移動体速度センサは、信号処理部3において、時間差tの測定を図4のように行っている。
【0017】
磁気センサ1、2からの信号V1、V2に対し、信号処理部3には閾値Vthが設定されている。閾値Vthの設定レベルは、磁気センサ1、2の信号V1、V2のノイズ幅ΔVよりも大きいレベルに設定されている。
【0018】
移動体7の両磁気センサ1、2への接近が無い場合、信号V1、V2の値はそれぞれこの閾値Vth以下となっているが、移動体7が磁気センサ1、2に接近して磁束密度の変化が起こると、両磁気センサ1、2の信号V1、V2の値が閾値Vthを超える瞬間が訪れる。
【0019】
信号処理部3は、信号V1が閾値Vthを超えるか否かを判定し(ステップS1a)、信号V1が閾値Vthを超えたときの時刻をt1として記憶し(ステップS2a)、信号V2が閾値Vthを超えるか否かを判定し(ステップS3a)、信号V2が閾値Vthを超えたときの時刻をt2として記憶する(ステップS4a)。
【0020】
信号処理部3は、時刻t1と時刻t2との間の時間差t=t−tを算出し、得られた結果を数12式に代入して移動体7の速度vを算出し、得られた値に応じた信号V3を外部に出力する(ステップS5a)。
【0021】
信号処理部3は、t、t1、t2に「0」を代入してリセットし(ステップS6a)、信号V1が閾値Vth以下であり、かつ信号V2が閾値Vth以下であるか否かを判定し(ステップS7a)、信号V1、V2がいずれも閾値VthのときにはステップS1aに戻って上記ステップS1a〜S5aを繰り返し、信号V1、V2の少なくとも一方が閾値Vthを超えるときはステップS6aに戻る。
【0022】
信号処理部3からの信号V3は信号処理部4に入力される。
【0023】
信号処理部4では信号V3の一定時間の平均値を算出し、得られた値に応じた信号V4を出力する。
【0024】
図6は図3に示した移動体速度センサの信号処理部4内で行われる処理の流れ図である。
【0025】
処理が開始されると、信号処理部4は、平均時間に達したか否かを判定し(ステップS1b)、平均時間に達していると判定したときは信号V4を外部に出力し(ステップS2b)、信号V3の値をリセットするため数値データV3 bufに「0」を代入し、数値データNに「0」を代入し、信号V4の数値データに「0」を代入する(ステップS3b)。
【0026】
信号処理部4は、平均時間に達していないと判定したときは、信号V3を入力したか否かを判定し(ステップS4b)、信号V3を入力したと判定したときは、数値データV3 bufに数値データV3 buf+V3を代入し(ステップS5b)、数値データNに数値データN+1を代入し(ステップS6b)、V4=V3 buf/Nを算出し、再度平均時間に達したか否かを判定する(ステップS7b)。
【0027】
信号処理部4は、ステップS4bで信号V3を入力していないと判定したときは再度平均時間に達したか否かを判定する。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来例の場合、センサノイズ幅ΔVに対し、移動体7の磁気センサ1、2への接近時のセンサ出力の変動幅Vpが十分大きい場合、精度よく移動体7の速度vを算出できるが、センサ出力変動幅Vpに対しノイズ幅ΔVが無視できなくなった場合、速度算出誤差が大きくなることを以下に示す。
【0029】
説明を簡単にするため、1つの移動体7が磁気センサ1、2を通過した時の磁束密度変動の波形を三角波で近似する。移動体通過時の磁束密度変動を三角波で近似した場合の磁気センサ1の信号V1の時間変化の様子は図7に表される。
【0030】
図7は移動体通過時の磁束密度変化を三角波で近似した場合の磁気センサ1からの信号V1を示す図であり、横軸が時間を示し、縦軸が磁気センサの出力を示す。
【0031】
同図には3本の波形La、Lb、Lcが示されている。波形Lbは仮にノイズ幅「0」の磁気センサで移動体通過による磁束密度変化を観測した場合の信号V1の真値を示す。これに対し、波形La、Lcは有限のノイズ幅ΔVを有する磁気センサで波形Lbの磁束密度変化を測定した場合の上限と下限とを表す。
【0032】
移動体7の通過によって信号V1は三角波状に変化し、立ち上がりから時間T後に、最大値Vpに達すると仮定する。この信号V1に対し、信号処理部3で閾値Vthを設定し、この閾値Vthを信号V1(の真値)が超える時刻をt1とする。磁気センサ1からの信号V1には有限なノイズ幅ΔVのノイズが含まれる。
【0033】
ここで、ノイズ幅ΔVが測定時間内で一定であると仮定する。
【0034】
このノイズ幅ΔVのために信号V1が閾値Vthに達する時刻t1にも誤差Δt1が生じる。この誤差Δt1は数1式で表される。
【0035】
磁気センサ2のリニアリティーとノイズ幅ΔVとが磁気センサ1のリニアリティーとノイズ幅ΔVとが等しい場合、磁気センサ2の信号V2が閾値Vthを超える時刻t2の検出誤差Δt2は数2式で与えられる。
【0036】
数1式及び数2式から時間差t(=t2−t1)の検出誤差は数3式で与えられる。
【0037】
ここで、信号V1の最大到達時刻Tを具体的に与えるため、1つの移動体通過時の信号V1の変化が図7に示したように周期4Tの三角波であると仮定する。この場合、時刻Tは移動体の長さLmagで数13式のように与えられ、数3式は数14式で表される。
【0038】
【数13】
T=(1/v)・(Lmag/4)
【0039】
【数14】
Δt=(1/v)・(LmagΔV/2Vp)
移動体7の速度vは時間差tから数12式に従って算出されるが、時間差tに検出誤差Δtが含まれるため、算出速度vにも誤差Δvが含まれる。すなわち、算出速度vと誤差Δvとの関係は数15式で表される。
【0040】
【数15】
v+Δv=L/(t+Δt)
数12式及び数15式から算出速度誤差|Δv|は数16式で表される。
【0041】
【数16】
|Δv|=LΔt/{t(t+Δt)}
さらに数12式の関係を用いると、数15式は速度誤差|Δv|/vを表す数17式で表すことができる。
【0042】
【数17】
|Δv|/v=(Δt/t)/(1+Δt/t)
数17式に数12式及び数14式を代入し、整理すると数18式及び数19式が得られる。
【0043】
【数18】
|Δv|/v=x/(1+x)
但し、
【0044】
【数19】
x=LmagΔV/(2LVp)
図8は数18式の速度誤差のパラメータx依存性をグラフ化した図であり、横軸がxを示し、縦軸が相対速度誤差|v|/vを示す。
【0045】
同図から相対速度誤差はxに対して単調に増加する関数であることが分かる。従って、相対速度誤差を小さくするにはxが十分に小さいことが必要となる。
【0046】
ここで、2つの光式磁気センサにて道路を走行する車両を検知した場合を例にとって具体的な数値を代入し、xの値を求めてみる。
【0047】
2つの磁気センサの間隔Lを5mとし、車両の全長を4mとし、磁気センサノイズ幅ΔVを1μTとすると、数19式は数20式で表される。
【0048】
【数20】
x=0.4[μT]/Vp[μT]
例えば、相対速度誤差<10%での測定を達成するためには、図8よりx<0.12が必要となる。この条件に数20式を代入し、磁気センサ出力変化幅Vpの必要条件に直すと、数21式で表される。
【0049】
【数21】
Vp>3.3[μT]
しかしながら、車両による磁束密度変化幅Vpは、車両の形状、積載物の種類や大きさ、車両通過位置等によって異なり、数21式を満足しない場合もあり得る。この場合、車両1台分の速度算出誤差は目標の10%以上となり、一定時間の通過車両の平均速度検出に望ましくない誤差が混入するという問題があった。
【0050】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、移動体の平均速度算出誤差の少ない移動体速度センサを提供することにある。
【0051】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、磁性体を有する移動体の移動経路上に所定の距離だけ離して配置された2つの磁気センサ1、2と、前記磁気センサ1、2のリニアリティーとノイズ幅が等しく、出力が三角波形状に変化し、前記ノイズ幅が測定時間内で一定であると仮定して、前記磁気センサ1の信号V1が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V1が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt1として記憶し、信号V1の波形を数値データV1 _ bufとして記憶し、前記磁気センサ2の信号V2が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V2が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt2として記憶し、信号V2の波形を数値データV2 _ bufとして記憶し、 一方の磁気センサからの波形データから立ち上がりから波形ピークに至るまでの時間Tを求め、ノイズ幅をΔV、三角波の波形ピーク値Vpとし、磁気センサ1からの信号V1の閾値Vthを超える瞬間の時刻t1における予想測定誤差Δt1を数1式より求め、
【数1】
Δt1=TΔV/2Vp
磁気センサ2からの信号V2が閾値Vthを超える時刻t2の検出誤差Δt2を数2式
【数2】
Δt2=TΔV/2Vp
より求め、時刻t1と時刻t2との時間差tの検出誤差Δtを数3式
【数3】
Δt=Δt1 + Δt2
=TΔV/Vp
より求め、移動体の速度をv、その誤差をΔvとし、この検出誤差Δtを数4式
【数4】
|Δv|/v=(Δt/t)/(1+Δt/t)
に代入して予想速度誤差を求めることにより、要求速度精度が得られるか否かを判定し、要求速度精度が得られると判定された場合のみ、両磁気センサからの信号の時間差から上記移動体の速度を算出する第1の信号処理部と、信号処理部から出力される移動体速度信号を一定時間平均化し、その演算結果を外部に出力する第2の信号処理部とを備えたものである。
【0052】
請求項2に記載の発明は、磁性体を有する移動体の移動経路上に所定の距離だけ離して配置された2つの磁気センサ1、2と、前記磁気センサ1、2のリニアリティーとノイズ幅が等しく、出力が三角波形状に変化し、前記ノイズ幅が測定時間内で一定であると仮定して、前記磁気センサ1の信号V1が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V1が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt1として記憶し、信号V1の波形を数値データV1 _ bufとして記憶し、前記磁気センサ2の信号V2が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V2が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt2として記憶し、信号V2の波形を数値データV2 _ bufとして記憶し、 一方の磁気センサからの波形データから立ち上がりから波形ピークに至るまでの時間Tを求め、ノイズ幅をΔV、三角波の波形ピーク値Vpとし、磁気センサ1からの信号V1の閾値Vthを超える瞬間の時刻t1における予想測定誤差Δt1を、磁気センサ1からの信号V1の時刻t1における時間微分dV1/dt| t=t1 を求め、数5式
【数5】
Δt1=ΔV/2(dV1/dt| t=t1
に代入して求め、磁気センサ2からの信号V2が閾値Vthを超える時刻t2の検出誤差Δt2を、磁気センサ2からの信号V2の時刻t2における時間微分dV2/dt| t=t2 を求め、数6式
【数6】
Δt2=ΔV/2(dV2/dt| t=t2
に代入して求め、時刻t1と時刻t2との間の時間差tの検出誤差Δtを数7式
【数7】
Δt=Δt1 + Δt2
=TΔV/Vp
より求め、移動体の速度をv、その誤差をΔvとし、この検出誤差Δtを数8式
【数8】
|Δv|/v=(Δt/t)/(1+Δt/t)
に代入して予想速度誤差を求めることにより、要求速度精度が得られるか否かを判定し、要求速度精度が得られると判定された場合のみ、両磁気センサからの信号の時間差から上記移動体の速度を算出する第1の信号処理部と、該信号処理部から出力される移動体速度信号を一定時間平均化し、その演算結果を外部に出力する第2の信号処理部とを備えたものである。
【0054】
本発明によれば、第1の信号処理部で所望の速度精度が得られたと判定した場合には算出速度の信号を第2の信号処理部に出力し、所望の予想速度精度が得られないと判定した場合には、算出速度の信号を第2の信号処理部に出力しないで計測しなおすので、所望精度での移動体通過速度平均値を得ることができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0056】
図1は本発明の移動体速度センサの一実施の形態を示す概念図である。なお、従来例に示した部材と同様の部材には共通の符号を用いた。
【0057】
7は検出対象である磁性体を有する移動体であり、1、2は移動体7の通過に伴う磁束密度変化を検出し、検出した磁束密度に応じた信号V1、V2を出力する磁気センサである。両磁気センサ1、2は移動体7の移動経路に所定の距離Lだけ離して配置されている。
【0058】
ここで、移動体7の進行方向をx軸にとり、一方の磁気センサ1の座標をx=0とし、他方の磁気センサ2の座標をx=Lとする。両磁気センサ1、2の信号V1、V2は信号処理部4、5にて処理される。
【0059】
第1の信号処理部5は両磁気センサ1、2からの信号V1、V2の波形から速度誤差を予想し、要求速度精度が得られるか否かを判定し、要求速度精度が得られると判定した場合、両磁気センサ1、2からの信号V1、V2の時間差から移動体速度vを算出し、演算結果V5を第2の信号処理部4に出力する。
【0060】
以下、図2及び図5(a)、(b)を参照して第1の信号処理部の動作について説明する。
【0061】
図2は図1に示した移動体速度センサに用いられる第1の信号処理部内で行われる処理の流れ図である。
【0062】
両磁気センサ1、2がそれぞれの位置における磁束密度B1、B2に比例した信号を出力するセンサである場合には両磁気センサの出力V1、V2は数9式及び数10式で表される。
【0063】
但し、α1、α2は比例係数であり、理想的には磁気センサ1、2の比例係数α1、α2は等しい(=α)と仮定する。ΔV1、ΔV2は両磁気センサ1、2のノイズ幅を表し、ノイズ幅ΔV1、ΔV2も磁気センサ1、2で等しい(=ΔV)と仮定する。
【0064】
ここで、説明を簡単にするため、移動体7が両磁気センサ1、2から十分に離れているときの磁気センサ1、2の位置での磁束密度を「0」とする。
【0065】
移動体7が磁気センサ1、2に接近してくると、移動体7に近い方に配置された磁気センサ1の磁束密度B1が変化し、信号V1が変化し始める。さらに移動体7が磁気センサ1、2に接近してくると、移動体7から遠い方に配置された磁気センサ2の位置の磁束密度B2が変化し、信号V2が変化し始める。これら信号V1、V2の変化の時間差tは両磁気センサ1、2の間の距離L及び移動体7の移動速度vに依存し、数11式で表される。
【0066】
よって、磁気センサ1、2間の距離Lを予め測定しておき、かつ時間差tを測定することができれば移動体7の速度vを数12式で算出することができる。
【0067】
信号処理部5において、時間差tの測定を次のようにして行う。
【0068】
両磁気センサ1、2からの信号V1、V2に対し、信号処理部5では閾値Vthを設定する。閾値Vthの設定レベルは、磁気センサ1、2からの信号V1、V2のノイズ幅ΔVよりも大きいレベルに設定される。移動体7の両磁気センサ1、2への接近が無い場合、信号V1、V2はそれぞれこの閾値Vth以下となっているが、移動体7が接近し、磁束密度の変化が起こると、両磁気センサ1、2からの信号V1、V2が閾値Vthを超える瞬間が訪れる。
【0069】
信号処理部5では、信号V1が閾値Vthより大きいか否かを比較し(ステップS1)、信号V1が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt1として記憶し(ステップS2)、信号V1の波形を数値データV1 buf[n]として記憶し(ステップS3)、信号V2が閾値Vthより大きいか否かを比較し(ステップS4)、信号V2が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt2として記憶し(ステップS5)、信号V2の波形を数値データV2 buf[n]として記憶(ステップS6)する。
【0070】
ここで、信号処理部5の図3に示した従来の信号処理部3と異なる点は、時刻t1、t2付近の信号V1、V2の波形を時系列の数値データV1 buf[n]、V2 buf[n]として同時に記憶する点である。
【0071】
信号処理部5では、これらの数値データV1 buf[n]、V2 buf[n]に記憶された波形データを用いて、速度精度の予測値(予想速度誤差)を算出する(ステップS7)。
【0072】
ここで、予想速度誤差の算出法としては例えば以下のような方法が挙げられる。
【0073】
まず、数値データV1 buf[n]の波形データからピーク値Vp及び立ち上がりから波形ピーク値に至る間での時間Tを求める。信号V1の立ち上がりが時間Tの間に0〜Vpに線形に上昇すると仮定し、センサノイズ幅をΔVとすると、信号V1の閾値Vthを超える瞬間の時刻t1における予想測定誤差Δt1は数1式で与えられる。
【0074】
磁気センサ2のリニアリティーとノイズ幅ΔVとが磁気センサ1のリニアリティーとノイズ幅ΔVと等しい場合、同様に考えて磁気センサ2からの信号V2が閾値Vthを超える瞬間の時刻t2の検出誤差は数2式で与えられる。
【0075】
数1式及び数2式より、時間差t(=t2−t1)の検出誤差は数3式で与えられる。
【0076】
この時間差Δtを数17式に代入すると、予想速度誤差|Δv|/vが得られる。
【0077】
また、予想速度誤差の算出方法としては次のような方法も挙げられる。
【0078】
信号V1の時刻t1における時間微分dV1/dt|t=t1を求める機構を準備しておき、時刻t1における信号V1の微分値を数1式におけるVp/Tに置き換え、数5式を得る。
【0079】
同様に時刻t2における信号V2の微分値を数1式におけるVp/Tに置き換え、数6式を得る。
【0080】
これらΔt1、Δt2を数3式に代入してΔtを求め、このΔtを数4式に代入して予想速度誤差(予想速度精度)|Δv|/vを求めてもよい。
【0081】
次に、信号処理部5では以上のようにして求めた予想速度誤差|Δv|/vが要求精度を満たすか否かを判定し(ステップS8)、予想速度精度が要求速度精度を満たすと判定した場合、時間差t2−t1を時刻t1とし、L/tをVとし、予想速度誤差が信頼できるデータであるとして算出速度をV5として出力する(ステップS9)。
【0082】
信号処理部5は「0」を時刻t、t1、t2としてリセットし(ステップS10)、信号V1が閾値Vth以下であり、かつ信号V2が閾値Vth以下であるか否かを判定し、信号V1、V2が共に閾値Vth以下であると判定したときはステップS1に戻る。
【0083】
信号処理部5は予想速度精度|Δv|/vが要求精度を満たさないと判定した場合(ステップS8)、算出速度の値は信頼できないものとして外部には出力しない。このようにすることで算出速度の時間平均を求める第2の信号処理部4には誤差の大きい測定結果は混入せず、計測システムに要求される速度精度を達成することができる。
【0084】
信号処理部4では算出速度の信号V5の一定時間の平均値を算出し、それに応じた信号V4を出力する。信号処理部5において誤差の大きな測定結果が信号処理部4には入力されないので、信号処理部4からの信号V4は移動体速度センサに要求される速度精度を満足する。
【0085】
信号処理部4内での信号の処理については既に説明したので省略する。
【0086】
以上において、第1の信号処理部にて所望の速度精度が得られないと判定された移動体通過信号を除いて移動体通過速度平均値を算出するため、所望精度での移動体通過速度平均値を得ることができる。
【0087】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、移動体の平均速度算出誤差の少ない移動体速度センサの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移動体速度センサの一実施の形態を示す概念図である。
【図2】図1に示した移動体速度センサに用いられる第1の信号処理部内で行われる処理の流れ図である。
【図3】従来の移動体速度センサの概念図である。
【図4】図3に示した移動体速度センサの信号処理部内で行われる処理の流れ図である。
【図5】(a)、(b)は図3に示した磁気センサの信号V1、V2の時間変化を示す図である。
【図6】図3に示した移動体速度センサの信号処理部4内で行われる処理の流れ図である。
【図7】移動体通過時の磁束密度変化を三角波で近似した場合の磁気センサ1からの信号V1を示す図である。
【図8】数18式の速度誤差のパラメータx依存性をグラフ化した図である。
【符号の説明】
1、2 磁気センサ
4 第2の信号処理部
5 第1の信号処理部
7 移動体

Claims (2)

  1. 磁性体を有する移動体の移動経路上に所定の距離だけ離して配置された2つの磁気センサ1、2と、前記磁気センサ1、2のリニアリティーとノイズ幅が等しく、出力が三角波形状に変化し、前記ノイズ幅が測定時間内で一定であると仮定して、前記磁気センサ1の信号V1が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V1が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt1として記憶し、信号V1の波形を数値データV1_bufとして記憶し、前記磁気センサ2の信号V2が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V2が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt2として記憶し、信号V2の波形を数値データV2_bufとして記憶し、
    一方の磁気センサからの波形データから立ち上がりから波形ピークに至るまでの時間Tを求め、ノイズ幅をΔV、三角波の波形ピーク値Vpとし、磁気センサ1からの信号V1の閾値Vthを超える瞬間の時刻t1における予想測定誤差Δt1を数1式より求め、
    【数1】
    Δt1=TΔV/2Vp
    磁気センサ2からの信号V2が閾値Vthを超える時刻t2の検出誤差Δt2を数2式
    【数2】
    Δt2=TΔV/2Vp
    より求め、時刻t1と時刻t2との時間差tの検出誤差Δtを数3式
    【数3】
    Δt=Δt1 + Δt2
    =TΔV/Vp
    より求め、移動体の速度をv、その誤差をΔvとし、この検出誤差Δtを数4式
    【数4】
    |Δv|/v=(Δt/t)/(1+Δt/t)
    に代入して予想速度誤差を求めることにより、要求速度精度が得られるか否かを判定し、要求速度精度が得られると判定された場合のみ、両磁気センサからの信号の時間差から上記移動体の速度を算出する第1の信号処理部と、該信号処理部から出力される移動体速度信号を一定時間平均化し、その演算結果を外部に出力する第2の信号処理部とを備えたことを特徴とする移動体速度センサ。
  2. 磁性体を有する移動体の移動経路上に所定の距離だけ離して配置された2つの磁気センサ1、2と、前記磁気センサ1、2のリニアリティーとノイズ幅が等しく、出力が三角波形状に変化し、前記ノイズ幅が測定時間内で一定であると仮定して、前記磁気センサ1の信号V1が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V1が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt1として記憶し、信号V1の波形を数値データV1_bufとして記憶し、前記磁気センサ2の信号V2が閾値Vthより大きいか否かを比較し、信号V2が閾値Vthより大きいと判定したときは現時刻をt2として記憶し、信号V2の波形を数値データV2_bufとして記憶し、
    一方の磁気センサからの波形データから立ち上がりから波形ピークに至るまでの時間Tを求め、ノイズ幅をΔV、三角波の波形ピーク値Vpとし、磁気センサ1からの信号V1の閾値Vthを超える瞬間の時刻t1における予想測定誤差Δt1を、磁気センサ1からの信号V1の時刻t1における時間微分dV1/dt| t=t1 を求め、数5式
    【数5】
    Δt1=ΔV/2(dV1/dt| t=t1
    に代入して求め、磁気センサ2からの信号V2が閾値Vthを超える時刻t2の検出誤差Δt2を、磁気センサ2からの信号V2の時刻t2における時間微分dV2/dt| t=t2 を求め、数6式
    【数6】
    Δt2=ΔV/2(dV2/dt| t=t2
    に代入して求め、時刻t1と時刻t2との間の時間差tの検出誤差Δtを数7式
    【数7】
    Δt=Δt1 + Δt2
    =TΔV/Vp
    より求め、移動体の速度をv、その誤差をΔvとし、この検出誤差Δtを数8式
    【数8】
    |Δv|/v=(Δt/t)/(1+Δt/t)
    に代入して予想速度誤差を求めることにより、要求速度精度が得られるか否かを判定し、要求速度精度が得られると判定された場合のみ、両磁気センサからの信号の時間差から上記移動体の速度を算出する第1の信号処理部と、該信号処理部から出力される移動体速度信号を一定時間平均化し、その演算結果を外部に出力する第2の信号処理部とを備えたことを特徴とする移動体速度センサ。
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