JP4196401B2 - 流体封入式筒形防振装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、例えば自動車のサスペンションブッシュやエンジンマウント,ボデーマウント,デフマウント,サブフレームマウント等として用いられる筒形の防振装置に係り、特に、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにすると共に、かかる非圧縮性流体の封入領域内にストッパゴムを設けた流体封入式の筒型防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、防振連結される部材間に装着される防振装置の一種として、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、インナ軸金具の外周側に離隔してアウタ筒金具を外挿配置せしめて本体ゴム弾性体で連結すると共に、それらインナ軸金具とアウタ筒金具の間に非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成して、振動入力時に流体封入領域で流動せしめられる非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにした流体封入式の筒形防振装置が知られている。
【0003】
また、このような筒形防振装置においては、過大な径方向外力が及ぼされた際の本体ゴム弾性体の弾性変形量を緩衝的に制限するために、インナ軸金具とアウタ筒金具の一方の側から他方の側に向かって突出するストッパゴムからなるストッパ機構が好適に採用される。そこにおいて、かかるストッパゴムは、防振装置の大型化を回避するために、上述の特許文献1,2にも示されているように、流体封入領域内に形成されることが多い。
【0004】
しかしながら、従来構造のストッパ機構では、過大な外力が及ぼされてストッパゴムの突出先端部分がインナ軸金具側またはアウタ筒金具側に打ち当たる際に、ストッパゴムの弾性変形に伴うスティックスリップが発生して打ち当たり面でストッパゴムが擦れ変位することにより異音が発生し易いという問題があった。特にストッパゴムを流体封入領域に設けた場合には、かかる異音が封入された非圧縮性流体を介して本体ゴム弾性体に伝達されて増幅されることにより大きな問題となるおそれもある。また、異音低減のためにストッパゴムの当接面にグリス等を塗布しても、非圧縮性流体中に拡散してしまって有効な異音低減効果が得難いという問題もあった。
【0005】
なお、このような問題に対処するために、例えば特許文献3や特許文献4に示されているように、ストッパゴムに代えて硬質のストッパブロックを採用し、該ストッパブロックの先端当接面だけに薄肉のストッパゴム層を被着形成したストッパ機構も提案されている。このようなストッパブロックを採用すると、ストッパゴム層が薄肉で当接時の弾性変形量が小さいことから当接面におけるスティックスリップを抑えて、異音の発生を低減することが出来るのである。
【0006】
ところが、かかるストッパブロックを用いたストッパ機構では、硬質のストッパブロックの当接に伴う打音や衝撃が薄肉のストッパゴム層だけでは抑えられずに、ストッパブロックの当接時に発生する打音や衝撃が問題となり易い。また、硬質のストッパブロックの当接によってばね特性が大幅に変化してしまうことから、なだらかな荷重−ばね特性が得難いという問題もある。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−9138号公報
【特許文献2】
特公平3−30736号公報
【特許文献3】
特開平4−160244号公報
【特許文献4】
実開平1−149044号公報
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、打音や衝撃の発生を抑えつつ大荷重の入力時における本体ゴム弾性体の変形量を緩衝的に制限することの出来る、新規な構造のストッパ機構を備えた流体封入式筒形防振装置を提供することにある。
【0009】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
(本発明の態様1)
本発明の態様1は、インナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の間に非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成して、振動入力時に該流体封入領域で流動せしめられる非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにした流体封入式筒形防振装置において、(i)前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の一方の側から他方の側に向かって突出するストッパゴムを前記流体封入領域内に設けて、該ストッパゴムの外周面を全周に亘って自由表面として残した状態で該ストッパゴムの突出先端部分だけに硬質の拘束板を固着すると共に、該ストッパゴムを該拘束板の表面側にまわりこませて該拘束板の外周縁部の全周において表面側に突出する当接ゴムを設け、且つ該拘束板の中央部分には該当接ゴムを設けないで該拘束板を直接に露出させ、(ii)該拘束板の面積をそれらインナ軸部材とアウタ筒部材のうちの他方の側の当接面の面積よりも小さくして、該当接ゴムを設けた外周縁部を含む該拘束板の全体が該インナ軸部材と該アウタ筒部材の他方の側に当接せしめられるようにすると共に、(iii)該拘束板の面積を該ストッパゴムにおける突出方向に対して直交する断面の最小面積よりも大きくすることにより、該ストッパゴムの全周に亘って該拘束板の外周縁部を外方に張り出させて、該ストッパゴムの突出方向において該ストッパゴムの該最小面積の断面部分を該拘束板が全体に亘って覆うようにし、更に、(iv)該ストッパゴムの突出先端部分に固着した該拘束板が当接せしめられる該インナ軸部材と該アウタ筒部材の他方の側に緩衝ゴム層を形成したことを、特徴とする。
【0011】
このような本発明に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置においては、ストッパゴム自体が全体としてゴム弾性体で形成されていることから、当接に伴う衝撃や打音を低減すると共に、当接後の急激なばね特性の変化を抑えるのに充分な弾性変形が許容され得る。一方、ストッパゴムの先端部には硬質の拘束板が被着されて変形拘束されていることから、ストッパゴムの当接後にはばね特性が非線形的になだらかに増大せしめられて有効なストッパ機能が発揮され得ることとなる。
【0012】
しかも、拘束板が直接に当接せしめられることがなく、拘束板の表面側に突設された当接ゴムが当接せしめられることから、当接に伴う打音が一層有利に抑えられると共に、当接ゴムの当接面における変形量も小さく抑えられて、スティックスリップに伴う異音の発生も低減され得る。
【0013】
なお、拘束板は、アルミニウム合金や鉄鋼等の金属材や硬質の合成樹脂材で形成されたものが望ましく、少なくともストッパゴム弾性体よりも硬質とされる。また、拘束板の形状は必ずしも限定されるものでないが、ストッパゴムの容積を充分に確保するために、薄肉板形状のものが好適に採用される。また、当接ゴムは、拘束板の外周縁部だけに形成することが望ましく、拘束板の中央部分には当接ゴムを設けないほうが良い。蓋し、当接ゴムの体積が大きくなると、その分だけ当接時の弾性変形に伴うエネルギの貯蔵が大きくなってスティックスリップに伴う異音の発生が問題となり易いからである。
また、本態様に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置においては、当接ゴムを通じて拘束板に及ぼされた外力が、該拘束板を介して、ストッパゴムの有効断面積の実質的に全体に対して及ぼされ得ることとなる。それ故、ストッパゴムの全体を有効に利用してス トッパ機能を得ることが出来るのであり、一層優れた緩衝効果や耐久性が発揮され得る。
さらに、本態様に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置においては、ストッパゴムの当接に伴う打音や衝撃の発生が緩衝ゴム層によっても吸収低減されて一層有利に抑えられ得る。なお、緩衝ゴム層をインナ軸部材側に設ける場合には、緩衝ゴム層を本体ゴム弾性体と一体成形することが望ましい。
【0014】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る流体封入式筒形防振装置において、前記拘束板が前記インナ軸部材側または前記アウタ筒部材側の被当接面に沿って周方向に湾曲した略矩形板形状とされていることを、特徴とする。
【0015】
本態様に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置においては、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に各種方向の外力が及ぼされてこじり方向の変位が生ぜしめられた場合でも、ストッパゴムが始めに当接することとなって、拘束板の直接の当接が効果的に回避され得る。なお、本態様においては、拘束板の外周縁部の全周に亘って延びる形態の当接ゴムが採用されていることによって、拘束板の直接の当接が安定して防止され得る。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様1又は2に係る流体封入式筒形防振装置において、振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の流体室を周方向で相互に離隔して形成すると共にそれら複数の流体室をオリフィス通路で連通せしめることにより前記流体封入領域を形成する一方、前記本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を設けて該ポケット部を前記アウタ筒部材で流体密に覆蓋することで該流体室の少なくとも一つを形成すると共に、該ポケット部の開口部を周方向に跨いで延びるオリフィス部材を配設して、該オリフィス部材と該アウタ筒部材の重ね合わせ面間を延びるようにして前記オリフィス通路を形成し、更に該オリフィス部材の内周面に前記ストッパゴムを固着せしめて該流体室内において該ストッパゴムを該オリフィス部材から前記インナ軸部材に向かって突出形成したことを、特徴とする。
【0021】
本態様に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置においては、オリフィス通路が外周部分に形成されてその通路長さの設定自由度が大きく確保され得ると共に、ストッパゴムが本体ゴム弾性体と別体形成されることから、ストッパゴムの材料を本体ゴム弾性体の材料に拘わらずに自由に設定することが出来て設計自由度が一層有利に確保され得ると共に、ストッパゴムのアウタ筒部材に対する組付支持が、オリフィス部材を利用して容易に実現され得る。
【0022】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに係る流体封入式筒形防振装置において、前記インナ軸部材の軸方向端部において軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出するインナ側傾斜部を設ける一方、前記アウタ筒部材の軸方向端部において、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出して該インナ側傾斜部に対して離隔して対向位置するアウタ側傾斜部を設けて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム弾性体を介在せしめたことを、特徴とする。
【0023】
本態様においては、流体封入式筒形防振装置としてのトーコレクト構造のサスペンションブッシュが実現され得るのであり、そこにおいて、特に軸直角方向荷重に際して、トーコレクト機構の分力作用でインナ軸部材とアウタ筒部材の間にこじり方向の相対変位が生ぜしめられることにより、ストッパゴムがインナ軸部材またはアウタ筒部材に対して傾斜して当接せしめられた場合でも、ストッパゴムの突出先端部分に固着された拘束板が、直接的に当接することなく、その外周縁部に突設された当接ゴムによる当接が実現されるのである。従って、インナ軸部材とアウタ筒部材がこじり方向に相対変位せしめられることの多いトーコレクト機構を備えた筒形防振装置においても、ストッパゴムの当接によるストッパ機能が安定して有利に発揮され得ることとなる。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0025】
先ず、図1〜図2には、本発明に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置の一実施形態としての自動車用トーコレクトブッシュ10が示されている。この流体封入式トーコレクトブッシュ10は、インナ軸部材としての内筒金具12と、金属スリーブ13と外周嵌着金具76とから成るアウタ筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に離隔して配されていると共に、それら内外筒金具12,14間に本体ゴム弾性体16が介装されて、両金具12,14が弾性的に連結された構造を有している。
【0026】
より詳細には、内筒金具12は、厚肉小径の円筒形状を有しており、軸方向一方(図2中の左方)の端部近くには、略湾曲板形状の固定プレート18が固着されている。この固定プレート18は、プレス金具等によって形成されており、略扇形の湾曲板形状を有していると共に、扇形の中心部分には、円弧形状の嵌着用切欠20が設けられている。そして、嵌着用切欠20に対して内筒金具12が嵌め込まれた状態で、固定プレート18が内筒金具12に溶着されている。
【0027】
かかる固定プレート18は、内筒金具12から離れるに従って幅広となる略扇形状を有しており、内筒金具12の中心軸24に対して、軸方向外方に傾斜して、径方向一方(図2中の上方)の側に向って突出せしめられており、かかる固定プレート18の傾斜外面が、中心軸24に対して略一定の傾斜角度で斜め外方に延び出す略平坦なインナ側傾斜部としての傾斜面19とされている。なお、固定プレート18の突出先端面(外周面)は、内筒金具12の中心軸24を略中心とする円弧形状とされている。
【0028】
さらに、内筒金具12の径方向外方には、薄肉大径円筒形状の金属スリーブ13が所定距離を隔てて、且つ、略同一中心軸上に配設されている。この金属スリーブ13の軸方向長さは、内筒金具12の軸方向長さよりも小さくされており、内筒金具12の軸方向両端部が、金属スリーブ13から軸方向外方に突出されている。
【0029】
また、金属スリーブ13の軸方向中央部分には、一対の開口窓26,27が径方向一方向に対向位置して形成されている。これらの開口窓26,27は、それぞれ、略矩形状を有しており、金属スリーブ13を貫通して形成されている。更に、一対の開口窓26,27における周方向両側の端縁部間には、それらの開口窓26,27の間に跨がって周方向に延びる周溝32,34が、金属スリーブ13の外周面に開口して形成されている。なお、これら周溝32,34の軸方向幅寸法は、開口窓26,27と略同じとされている。
【0030】
更にまた、金属スリーブ13の軸方向両端部分は、それぞれ、大径円筒形状を有する嵌着部36,38とされている。なお、各嵌着部36,38の軸方向内周縁部は、所定幅に亘って僅かに小径とされており、それによって、開口窓26,27を軸方向に挟んだ両側部分を周方向の全周に亘って連続して延びるシール用の環状凹部42,44が形成されている。
【0031】
また、金属スリーブ13の軸方向一方(図2中の左方)の開口周縁部には、径方向外方に突出して周方向に連続して延びるフランジ状部40が一体的に形成されている。このフランジ状部40の周上の一部分(図2中の上側部分)が、軸方向に傾斜して径方向斜め外方に延長されており、それによって、内筒金具12に突設された固定プレート18に対して軸方向に傾斜した径方向外方に離隔し、固定プレート18に対して略平行に対向位置するアウタ側傾斜部としての傾斜板対向部28が形成されており、傾斜板対向部28によって、金属スリーブ13の中心軸24に対して略一定の角度で傾斜した傾斜面が構成されている。ここにおいて、傾斜板対向部28が突出する径方向と一対の開口窓26,27が形成されている径方向は、図2中の上下方向で一致している。
【0032】
なお、傾斜板対向部28は、その突出先端面30が、固定プレート18よりも大径の円弧状面とされていると共に、その周方向長さが、固定プレート18よりも十分に大きくされており、固定プレート18の周方向両側に張り出して位置せしめられている。また、本実施形態では、固定プレート18と傾斜板対向部28の各対向面46,48によって、相互に対向位置する傾斜面が形成されており、各対向面46,48は、互いに略平行とされている。
【0033】
さらに、内筒金具12と金属スリーブ13の径方向対向面間には、本体ゴム弾性体16が配設されている。かかる本体ゴム弾性体16は、全体として厚肉円筒形状を有しており、内筒金具12と金属スリーブ13の径方向対向面間の略全体に亘って介在せしめられている。そして、本体ゴム弾性体16の外周面が金属スリーブ13の内周面に加硫接着されていると共に、その内周面が内筒金具12の外周面に加硫接着されていることにより、図3に示されているように、本体ゴム弾性体16が、それら内筒金具12と金属スリーブ13を有する一体加硫成形品50として形成されている。
【0034】
また、本体ゴム弾性体16は、固定プレート18と傾斜板対向部28との対向面間にも延び出しており、それら固定プレート18と傾斜板対向部28との各対向面間の全体に亘って充填されたトーコレクトゴム弾性体22が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されている。更に、本体ゴム弾性体16は、固定プレート18と傾斜板対向部28との対向面46,48間のトーコレクトゴム弾性体22に対して、連続的に接続されている。
【0035】
また、本体ゴム弾性体16の軸方向中央部分には、固定プレート18や傾斜板対向部28が突出する径方向で内筒金具12を挟んだ両側において、一対のポケット部52,54が形成されている。この一対のポケット部52,54は、それぞれ、本体ゴム弾性体16の外周面に開口して形成されている。各ポケット部52,54の深さ寸法は、内筒金具12までは僅かに至らない大きさとされていると共に、各ポケット部52,54の周方向寸法は、本体ゴム弾性体16の周方向長さの半周以下(本実施形態では、略1/3周)とされている。そして、各ポケット部52,54の底部には、内筒金具12に被着されて広がる薄肉の緩衝ゴム層56が形成されている。また、これら一対のポケット部52,54は、それぞれ、金属スリーブ13における一対の開口窓26,27を通じて、金属スリーブ13の外周面に開口せしめられている。
【0036】
また、金属スリーブ13に形成された周溝32,34は、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉の被覆ゴム層58で全体が覆われている。更に、一方の周溝32には、シール隔壁60が形成されている。このシール隔壁60は、本体ゴム弾性体16で一体形成されており、周溝32の周方向中央部分に位置せしめられており、周溝32がシール隔壁60で実質的に分断されている。なお、金属スリーブ13に形成された一対の環状凹部42,44には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたシールゴム層62が被着形成されている。
【0037】
また、かくの如き本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品50には、一対のオリフィス金具70,72が外周面上に組み付けられていると共に、それらオリフィス金具70,72の外周面上に、更に、外周嵌着金具76が組み付けられて金属スリーブ13に対して外嵌状態で組み付けられており、該金属スリーブ13と該外周嵌着金具76によって外筒金具14が構成されている。
【0038】
一対のオリフィス金具70,72は、互いに同一構造とされており、それぞれ、図5に示されているように、略半円環形のブロック形状を有している。そして、かかる一対のオリフィス金具70,72は、一体加硫成形品50に対して、一対のポケット部52,54が対向位置する径方向両側から組み付けられており、それぞれ、金属スリーブ13における各開口窓26,27を周方向に跨いで配設されている。また、各オリフィス金具70,72は、その周方向両端部分が金属スリーブ13に設けられた一対の周溝32,34に嵌め込まれて、周方向および軸方向に位置決め固定されている。
【0039】
ここにおいて、各オリフィス金具70,72は、図5に示されているように、金属スリーブ13の略半周の周方向長さを有しており、外周面上には、一方の端部近くから他方の端部まで連続して延びる凹溝78が形成されている。この凹溝78は、オリフィス金具70の一方の周方向端面に開口せしめられていると共に、周方向他方の端部(行き止まり端)には、底壁部を貫通してオリフィス金具
70の内周面に開口する連通孔80が形成されている。なお、各オリフィス金具70,72における一方の周方向端部(上記「行き止まり端」側の端部)は、金属スリーブ13に設けられたシール隔壁60の両側に当接されており、それによって周方向に位置決めされている。
【0040】
そして、各オリフィス金具70,72は、上述の如き一体加硫成形品50への組付状態下において、その凹溝78の周方向一方の端部が、連通孔80を通じて各一方のポケット部52,54に開口,連通されるようになっている。また、各オリフィス金具70,72における凹溝78の他方の端部は、相互に接続されている。
【0041】
また、各オリフィス金具70,72には、周方向中央部分において内周面上に突出するストッパゴム82が設けられている。このストッパゴム82は、本体ゴム弾性体16に形成されたポケット部52,54よりも小さい略矩形のブロック形状を有しており、オリフィス金具70,72の内周面から略一定の高さ寸法で径方向内方に向かって突設されている。
【0042】
このストッパゴム82は、本体ゴム弾性体16と別体形成されており、その基端側においてオリフィス金具70,72に加硫接着された一体加硫成形品にて構成されている。なお、オリフィス金具70,72のストッパゴム82が加硫接着される部分には、貫通孔84,86が凹溝78の底壁部を貫通して設けられている。そして、ストッパゴム82が貫通孔84,86を通じて凹溝78の内面までまわされて被着されていることにより、ストッパゴム82のオリフィス金具70に対する接着面積が充分に大きくされている。なお、オリフィス金具70の凹溝78の内周面に被着されたゴム層88は、凹溝78の開口部分においてオリフィス金具70,72の外周側に突出するシールリップ89を形成している。
【0043】
また、ストッパゴム82の突出先端部分には、拘束板としての拘束金具90が重ね合わされて固着されている。この拘束金具90は、オリフィス金具70の内周面と略平行に湾曲した略矩形板形状を有しており、ストッパゴム82の突出方向に対して直交する断面積の最小面積よりも大きな面積を持って形成されている。そして、ストッパゴム82の突出先端部分に対して、該拘束金具90の一方の面が外部に露出する形で、ストッパゴム82のかかる最小面積断面部分を全体に亘って覆うように加硫接着せしめられている。ここにおいて、拘束金具90の外部に露出する面の外周縁部には、ストッパゴム82が外周面から回り込むように、該拘束金具90の外周縁部を周方向の全周に亘って略一定の厚さ寸法で被覆せしめられており、これによって、当接ゴム100が形成されている。
【0044】
また一方、外周嵌着金具76は、図1に示されるように、薄肉の大径円筒形状を有しており、本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品50に対して、オリフィス金具70,72を組み付けた後に外挿されて、八方絞り等で縮径されることにより、金属スリーブ13とオリフィス金具70,72の外周面に嵌着固定されている。即ち、オリフィス金具70,72は、外周嵌着金具76により、金属スリーブ13に対して固定的に組み付けられている。そして、外周嵌着金具76によって、金属スリーブ13の周溝32,34に形成されたシールゴム層62と、オリフィス金具70,72に形成されたシールリップ89がそれぞれ挟圧せしめられて、該金属スリーブ13と外周嵌着金具76の嵌着面間およびオリフィス金具70,72と外周嵌着金具76の嵌着面間が、それぞれ、流体密にシールされている。
【0045】
そして、このように本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品50に対して、オリフィス金具70,72と外周嵌着金具76が組み付けられることにより、一対のポケット部52,54の開口部が、それぞれ流体密に覆蓋されている。これにより、一対のポケット部52,54において、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された流体封入領域としての一対の流体室94,96が形成されている。さらに、これら一対の流体室94,96には、それぞれ、非圧縮性流体が封入されている。かかる非圧縮性流体としては、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用されるが、後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、本実施形態では、粘度が0.1Pa・s以下の低粘性流体が好適に採用される。即ち、これら一対の流体室94,96は、それらが対向位置する径方向の振動入力に際して、本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて相対的な内圧変動が生ぜしめられるようになっている。
【0046】
さらに、外周嵌着金具76の組付けによって、オリフィス金具70,72に形成された凹溝78が流体密に覆蓋されており、一対の流体室94,96を相互に連通するオリフィス通路98,99が形成されている。かかるオリフィス通路98,99は、一対の流体室94,96の壁ばね剛性等の他、封入された非圧縮性流体の密度等を考慮して通路長さや通路断面積が適当に設定されることにより、内部を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、目的とする周波数域の振動に対して有効に発揮されるようにチューニングされている。
【0047】
而して、このような構造とされたトーコレクトブッシュ10は、良く知られているように、例えば、トーションビーム式サスペンション機構に対して、その左右両側のトレーリングアームの装着孔に対して外周嵌着金具76を圧入固定する一方、内筒金具12をロッドなどを介して車両ボデーに固定することにより自動車に装着される。そして、かかる装着状態下において車両前後方向となる径方向に振動が入力されて本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられることにより、一対の流体室94,96の間に相対的な圧力変化が生ぜしめられて、それら両流体室94,96の間で、オリフィス通路98,99を通じての流体流動が惹起されることとなる。その結果、オリフィス通路98,99を流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、例えばハーシュネス等に対して有効な防振性能を得ることが出来るのである。
【0048】
また、一対の流体室94,96内では、それぞれ、オリフィス金具70,72に突設されたストッパゴム82が、外筒金具14側から内筒金具12側に突設されており、その突出先端面が、径方向に所定距離を隔てて内筒金具12に対向位置せしめられている。そして、径方向に大きな振動荷重が及ぼされた際、かかるストッパゴム82の突出先端部分が、緩衝ゴム層56を介して、内筒金具12に対して当接せしめられることとなり、それによって、内筒金具12と外筒金具14の軸直角方向での相対的変位量が緩衝的に制限されるようになっている。
【0049】
ここにおいて、かかるストッパゴム82は、その突出先端面において当接ゴム100が拘束金具90の外周縁部において、該拘束金具90の緩衝ゴム層56側に回り込むように被覆せしめられていることから、径方向に大きな振動荷重が及ぼされた際でも、該拘束金具90が直接に該緩衝ゴム層56に打ち当たることがなく、該当接ゴム100が該緩衝ゴム層56に当接することとなる。これにより、当接に伴う衝撃や打音が軽減せしめられて、耐久性の向上や、異音の発生の軽減が図られるのである。さらに、硬質の拘束金具90が当接ゴム100に加硫接着されていることによって、該当接ゴム100の当接の際の変形量も小さく抑えられ、スティックスリップに伴う異音の発生も軽減されて、該当接ゴム100の耐久性も向上され得るのである。
【0050】
さらにまた、拘束金具90によって、ストッパゴム82への荷重入力の際に、より広い範囲に亘って入力荷重が及ぼされることによって、該ストッパゴム82の圧縮変形が安定して行なわれることとなる。即ち、荷重入力の初期においては柔らかく、入力荷重が大きくなるに従って非線形的に硬くなるストッパとして好適なばね特性が有利に実現されるのであって、当接初期の段階では衝撃が有利に吸収され、内外筒金具12,14の相対変位量が大きくなり、ストッパゴム82に及ぼされる荷重が極めて大きくなった際には、大きなばね剛性が発揮されて、該内外筒金具12,14の過大な相対変位が確実に制限され得るのである。
【0051】
なお、本実施形態では、拘束金具90がストッパゴム82の径方向圧縮面よりも大きな面積寸法を持って固着せしめられていることから、当接時には該ストッパゴム82の全体に亘って有効な圧縮力が及ぼされるのであり、例えば該ストッパゴム82に対してこじり方向入力等で偏心荷重が及ぼされた場合においても、該拘束金具90によって荷重が分散されて、該ストッパゴム82の全体に荷重を及ぼすことが可能となり、より有効なストッパ作用が発揮されるのである。
【0052】
さらに、本実施形態のブッシュでは、特に前述のトーコレクト機構に採用されることによって、軸直角方向の荷重入力に伴う内外筒金具12,14のこじり方向の相対変位が生ぜしめられ易いのであるが、本実施形態に従う構造とされたトーコレクトブッシュ10においては、前述のようにこじり方向の偏心入力荷重が及ぼされた際にも、拘束金具90によってストッパゴム82のストッパ作用が有効に発現せしめられることとなるのである。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0054】
例えば、インナ軸部材とアウタ筒部材は、装着状態下に及ぼされる静的荷重等を考慮して、装着前の非荷重入力状態下で軸直角方向で偏心位置せしめられていても良い。
【0055】
【0056】
さらにまた、ストッパゴムは、一つの流体室に一つのみである必要はなく、一つの流体室に複数個形成しても良い。形成位置についても、当業者の判断において任意に配置することが可能であり、例えば、内筒金具を挟んで非対称となる位置に配置すること等も可能である。
【0057】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施形態が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式筒形防振装置においては、流体封入領域内にストッパゴムを設けて、該ストッパゴムの突出先端部分に硬質の拘束板を固着すると共に、該ストッパゴムを該拘束板の表面側に回りこませたことにより、当接に伴う衝撃や打音が低減せしめられて、耐久性の向上と異音の低減が実現されると共に、有効なストッパ機能が実現され得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態としての流体封入式筒形防振装置の縦断面図であって、図2におけるI−I断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態としての流体封入式筒形防振装置の縦断面図である。
【図3】 第一の一体加硫成形品を示す縦断面図である。
【図4】 第一の一体加硫成形品を示す横断面図であって、図3におけるIV−IV断面である。
【図5】 オリフィス金具を示す縦断面図である。
【図6】 オリフィス金具を示す縦断面図であって、図5におけるVI−VI断面である。
【符号の説明】
10 トーコレクトブッシュ
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
70,72 オリフィス金具
82 ストッパゴム
90 拘束金具
94,96 流体室
100 当接ゴム
Claims (4)
- インナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の間に非圧縮性流体が封入された流体封入領域を形成して、振動入力時に該流体封入領域で流動せしめられる非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにした流体封入式筒形防振装置において、
前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の一方の側から他方の側に向かって突出するストッパゴムを前記流体封入領域内に設けて、該ストッパゴムの外周面を全周に亘って自由表面として残した状態で該ストッパゴムの突出先端部分だけに硬質の拘束板を固着すると共に、該ストッパゴムを該拘束板の表面側にまわりこませて該拘束板の外周縁部の全周において表面側に突出する当接ゴムを設け、且つ該拘束板の中央部分には該当接ゴムを設けないで該拘束板を直接に露出させ、
該拘束板の面積をそれらインナ軸部材とアウタ筒部材のうちの他方の側の当接面の面積よりも小さくして、該当接ゴムを設けた外周縁部を含む該拘束板の全体が該インナ軸部材と該アウタ筒部材の他方の側に当接せしめられるようにすると共に、
該拘束板の面積を該ストッパゴムにおける突出方向に対して直交する断面の最小面積よりも大きくすることにより、該ストッパゴムの全周に亘って該拘束板の外周縁部を外方に張り出させて、該ストッパゴムの突出方向において該ストッパゴムの該最小面積の断面部分を該拘束板が全体に亘って覆うようにし、更に、
該ストッパゴムの突出先端部分に固着した該拘束板が当接せしめられる該インナ軸部材と該アウタ筒部材の他方の側に緩衝ゴム層を形成したことを特徴とする流体封入式筒形防振装置。 - 前記拘束板が前記インナ軸部材側または前記アウタ筒部材側の被当接面に沿って周方向に湾曲した略矩形板形状とされている請求項1に記載の流体封入式筒形防振装置。
- 振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の流体室を周方向で相互に離隔して形成すると共にそれら複数の流体室をオリフィス通路で連通せしめることにより前記流体封入領域を形成する一方、前記本体ゴム弾性体の外周面に開口するポケット部を設けて該ポケット部を前記アウタ筒部材で流体密に覆蓋することで該流体室の少なくとも一つを形成すると共に、該ポケット部の開口部を周方向に跨いで延びるオリフィス部材を配設して、該オリフィス部材と該アウタ筒部材の重ね合わせ面間を延びるようにして前記オリフィス通路を形成し、更に該オリフィス部材の内周面に前記ストッパゴムを固着せしめて該流体室内において該ストッパゴムを該オリフィス部材から前記インナ軸部材に向かって突出形成した請求項1又は2に記載の流体封入式筒形防振装置。
- 前記インナ軸部材の軸方向端部において軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出するインナ側傾斜部を設ける一方、前記アウタ筒部材の軸方向端部において、軸方向外方に傾いて径方向斜め外方に向かって突出して該インナ側傾斜部に対して離隔して対向位置するアウタ側傾斜部を設けて、それらインナ側傾斜部とアウタ側傾斜部の対向面間にトーコレクトゴム弾性体を介在せしめた請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式筒形防振装置。
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