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JP4199563B2 - 電気式溶融炉制御装置 - Google Patents
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JP4199563B2 - 電気式溶融炉制御装置 - Google Patents

電気式溶融炉制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炉内に主電極と炉底電極とスタート電極とを備え、主電極と炉底電極間或いは主電極とスタート電極間に印加された高電圧によって発生する電流により炉底電極上にある被溶融物を溶融する電気式溶融炉に関し、より具体的には、各電極に対する運転制御を行う電気式溶融炉制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴミ焼却施設において発生する焼却灰や煤塵を溶融して無害化し、リサイクル可能なスラグを生成する溶融炉の実用化が進んでいる。溶融炉は種々の方式のものが開発実用化されているが、炉内に主電極(黒鉛電極)と炉底電極とスタート電極(黒鉛電極)とを備え、主電極と炉底電極間或いは主電極とスタート電極間に印加された高電圧によって発生する電流により炉底電極上にある被溶融物を溶融する電気式溶融炉が実用化されてまだ数年程度である。
【0003】
上記電気式溶融炉では、主電極と炉底電極の間に直流電圧を印加し、プラズマアークを発生させて溶融スラグを加熱し、順次供給される灰等の被溶融物を溶融する。また、スラグ中を電流が流れるためジュール熱も利用でき効率的な溶融が行われる。溶融した灰等はスラグとなって連続オーバーフロー出滓後冷却され、コンベヤにより排出される。
【0004】
上記電気式溶融炉の運転は、定常運転時は主電極と炉底電極間を流れる電流値を一定に調整しながら、主電極と炉底電極の間隔を調整しながら設定した制御電圧値となるよう主電極の昇降制御を行う。
【0005】
しかし、定常運転時は被溶融物が溶融スラグとなっているが、運転開始時には被溶融物は必ずしも溶融状態でなく、また、その組成もガラス質のものや金属質のもの、つまり、導電性物質と非導電性物質が混在しており、更に、その混在の仕方も一様に混在している場合と、下層部に重い金属質の導電性物質が集中し、上層部に軽いガラス質の非導電性物質が集中している場合があり得る。従って、被溶融物の状態に応じて、運転開始時に定常運転時と同様に主電極と炉底電極間で電流が流れて、主電極の制御だけで定常運転に移行できる場合や、運転開始時に主電極と炉底電極間で電流が流れず、スタート電極を用いて被溶融物を上層部から徐々に溶融していき、最終的に、主電極と炉底電極間に電流が流れる状態に持っていき、定常運転に移行できる場合があり、被溶融物の状態に応じた複雑な立ち上げ制御が要求される。
【0006】
また、電極は黒鉛でできているため、プラズマアークの発生により徐々に磨耗していくので、短くなった電極の電極棒に新たな電極棒を自動で継ぎ足す電極自動継足制御が必要となる。
【0007】
尚、炉内に主電極と炉底電極とスタート電極とを備えた電気式溶融炉に関しては、本願出願人による下記の特許文献1〜3がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−237018号公報
【特許文献2】
特開平09−156529号公報
【特許文献3】
特開平09−243267号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、電気式溶融炉の運転には、運転立ち上げ時の制御、定常運転時の制御、及び、電極自動継足制御が要求されるが、電気式溶融炉自体の基本的な構成は同じでも、使用される環境つまりゴミ焼却施設などの違いにより様々な製品仕様となるため、上記各制御は夫々別個独立した制御装置を用いて各別自動的に或いは手動操作によって行われていた経緯がある。また、数多くのプラントの電気式溶融炉で上記各制御の内容も画一化されていない現状があった。このため、ある程度熟練した操作員の経験に依存する場合もあった。このことは、上記電気式溶融炉が実用化されてまだ数年程度であるため、今までは、上記各制御を画一化して統合化するための十分な実地データがなかったという背景もある。
【0010】
ここで、本願発明者は、過去の電気式溶融炉の実用化経験に基づいて、上記各制御の画一化・統合化を図るべく本発明に至った。本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点を解消し、操作員の経験に影響されない安定した電気式溶融炉の操業が可能な電気式溶融炉制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る電気式溶融炉制御装置の第一の特徴構成は、炉内に主電極と炉底電極とスタート電極とを備え、前記主電極と前記炉底電極間或いは前記主電極と前記スタート電極間に印加された高電圧によって発生する電流により前記炉底電極上にある被溶融物を溶融する電気式溶融炉において、前記主電極と前記スタート電極の前記炉内での電極位置を移動させる電極昇降制御手段、及び、前記各電極間に電圧を印加する電源装置との間で、制御データの送信または送受信を行い、前記各電極に対する運転制御を行う電気式溶融炉制御装置であって、起動時に、前記被溶融物の状態に応じて前記主電極と前記スタート電極の自動運転制御を行い、前記主電極の自動運転制御だけで前記被溶融物を溶融する定常運転にまで立ち上げる起動制御部と、定常運転時に、前記主電極と前記スタート電極に印加される電圧を制御すべく、前記主電極の前記炉内での電極位置の移動制御を前記電極昇降制御手段に対して行う電極昇降制御部と、を備え、前記起動制御部が、前記主電極と前記炉底電極間の第1の電圧印加によって、前記被溶融物の状態を前記定常運転に移行可能な溶融状態とする前記主電極の自動運転制御を開始し、制御開始後に前記主電極の下降を開始するとともに、前記主電極と前記炉底電極間を流れる第1電流値を判定し、前記第1電流値が所定の第1閾値より小さい場合に、前記主電極を所定の下降位置まで下降させる前記主電極の下降制御を行い、前記第1電流値が前記所定の第1閾値以上の場合に、前記主電極の下降を停止する制御を行い、前記主電極の自動運転制御において、前記第1電流値が前記所定の第1閾値より小さく、且つ、前記主電極が前記所定の下降位置まで下降している場合に、前記第1の電圧印加では前記被溶融物の状態を前記定常運転に移行可能な溶融状態とすることができないと判定して、前記第1の電圧印加に対して前記主電極と前記スタート電極間の第2の電圧印加を追加した前記主電極と前記スタート電極の自動運転制御に移行し、前記スタート電極の下降を開始するとともに、前記主電極と前記スタート電極間を流れる第2電流値を判定し、前記第1電流値と前記第2電流値を合計した第3電流値が所定の第3閾値以上になると、前記スタート電極の下降を停止する前記スタート電極の下降制御を行い、前記主電極と前記スタート電極の下降停止位置のままで、前記主電極と前記スタート電極間に電流を流して前記被溶融物を溶融する点にある。
【0012】
尚、上記各電極間に高電圧を印加して発生する電流には、高電圧印加によって発生するプラズマアークの放電電流、被溶融物の導電物質中を流れる電流の少なくとも何れかが一方が含まれ、通常その両方が含まれる。
【0013】
上記第一の特徴構成によれば、起動制御部が、起動時の立ち上げ制御において、被溶融物の状態に応じて主電極とスタート電極の自動運転制御を行うので、同じ制御アルゴリズムを同じく主電極とスタート電極を用いた立ち上げを行う種々の電気式溶融炉に画一的に使用でき、且つ、起動制御部と電極昇降制御部の両制御部を備えているので、被溶融物の初期状態に拘わらず、立ち上げ制御から定常運転時の主電極の電極昇降制御が統合して行える。つまり、立ち上げ制御から定常運転時の主電極の電極昇降制御が自動的に行えるか、或いは、操作員による確認操作が介在するとしても操作員の経験に影響されない安定した操業が可能となる。
【0014】
更に、起動時の被溶融物の状態が、主電極と炉底電極間に十分な電流を流し得ない状態、つまり、固形状態(非溶融状態)にある場合に、主電極とスタート電極の両電極の下降停止位置が概ね被溶融物と接触する位置のまま、両電極間の通電を行う。一般的には(例えば、通常のアーク溶接などでは)溶融促進をねらい、電力をかせごうと高電圧を得るために被溶融物とは一定間隔を設けて放電を行うが、本特徴構成では、主電極とスタート電極の下降停止位置のままで被溶融物の表面に沿ってプラズマアークを発生させることにより、被溶融物の表面から内部に向けて被溶融物を溶融することで、効率的且つ比較的高速な溶融が可能となり、早期に定常運転に移行できる。
【0015】
同第の特徴構成は、前記起動制御部は、前記主電極と前記スタート電極を所定の下降停止位置で停止させた状態で、前記主電極と前記スタート電極間に電流を流して前記被溶融物を溶融した後、前記スタート電極を所定の上昇停止位置に戻す際に、前記スタート電極の上昇を、間に所定の停止期間を挟みながら複数回に分けて実行する点にある。
【0016】
上記第の特徴構成によれば、スタート電極の上昇を段階的に行うことで、スタート電極を冷却しながら上昇させることができるので、スタート電極に近接する炉壁の損傷を抑制することができる。
【0017】
同第の特徴構成は、前記電極昇降制御部は、前記主電極の電極位置の移動制御を、PID制御で行うPID制御部と、ステップ制御で行うステップ制御部と、リニア制御で行うリニア制御部を備えている点にある。
【0018】
上記第の特徴構成によれば、複数の制御部を備えていることで、万が一主電極の電極昇降制御を実施中の制御部が故障しても、直ぐに他の制御部がバックアップして当該制御を継続することができ、電気式溶融炉の運転停止を回避できる。
【0019】
同第の特徴構成は、前記電極昇降制御部は、制御開始直後は、前記ステップ制御部または前記リニア制御部による制御を行う点にある。
【0020】
上記第の特徴構成によれば、制御開始直後は被溶融物の状態が安定しておらず、変動が大きいため、制御に比較的時間の要するPID制御に対し、応答性の良いステップ制御部またはリニア制御部を用いることで、大きな変動に対してより安定した制御が可能となる。
【0021】
同第の特徴構成は、前記主電極または前記スタート電極に電極棒を継ぎ足すために、少なくとも、予備の電極棒を搬送する搬送手段、前記予備の電極棒を前記主電極または前記スタート電極に自動で継ぎ足す電極自動継足装置、及び、前記電極昇降制御手段との間で、制御データの送信または送受信を行い、前記予備の電極棒の保管場所から前記予備の電極棒を取り出し、前記予備の電極棒を前記主電極または前記スタート電極に自動で継ぎ足すまでの制御を行う電極自動継足制御部を、更に備えている点にある。
【0022】
上記第の特徴構成によれば、同じ電気式溶融炉制御装置が電極自動継足制御部を備えることで、起動制御部による立ち上げ制御と、電極昇降制御部による定常運転時の主電極の昇降制御と、電極自動継足制御部による電極自動継足制御の各制御を、従来の電気式溶融炉では夫々個別に行っていたものを、相互に連携させた画一的な制御が容易にできるようになる。
【0023】
同第の特徴構成は、前記電極自動継足制御部による電極自動継足が終了した後、前記起動制御部による立ち上げ制御が自動的に開始される点にある。
【0024】
上記第の特徴構成によれば、電極自動継足中に停止させた電気式溶融炉の運転を自動的に再開させることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に係る電気式溶融炉制御装置(以下、適宜「本発明装置」という。)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
【0026】
先ず、本発明装置1の制御対象である電気式溶融炉30は、図2に示すように、炉壁天井部35aを貫通して炉内36に挿入される主電極31とスタート電極33が設けられ、夫々主電極31用の電極昇降装置23aとスタート電極33用の電極昇降装置23bによって各別に支持され、各電極の炉内36での先端位置を上下に移動可能な構成となっている。炉底部35bには炉底電極32が設けられ集電板34に接続されている。また、炉側壁部35cは被溶融物である灰の供給口37が設けられて、スクリューコンベア等の搬送手段によって炉内36に被溶融物が供給される。主電極31は主電極31を支持する支持アームを介して高電圧を発生する直流電源装置22aの負極に接続されている。スタート電極33はスタート電極33を支持する支持アームを介して直流電源装置22aの一方の正極に接続されている。炉底電極32は集電板34を介して直流電源装置22aの他方の正極に接続されている。直流電源装置22aには、高圧配電盤に設けられたVCB(真空遮断器)22bを経由して特高電圧が供給される。
【0027】
上記構成の電気式溶融炉30では、主電極31と炉底電極32間に直流高電圧を印加し、プラズマアークを発生させて炉底電極32上の溶融スラグ40を加熱し、順次供給される灰等の被溶融物を溶融する。また、スラグ中を電流が流れるためジュール熱も利用でき効率的な溶融が行われる。溶融した灰等はスラグとなって、炉側壁部35cに設けられた出滓口38から連続オーバーフロー出滓後冷却され、コンベヤにより排出される。
【0028】
図1に示すように、本発明装置1は、制御演算処理部2と、制御演算処理部2と電気式溶融炉30の電極昇降装置23a、23bの電極昇降装置制御盤23、直流電源装置22a、VCB22b等との間で制御用の入出力データの授受を行うためのI/Oインターフェース3と、各種データを表示する表示器4とを備えて構成され、一つの制御盤として、電気式溶融炉30の立ち上げ制御と定常運転時の主電極昇降制御と電極自動継足制御の3つの制御機能を発揮する。
【0029】
制御演算処理部2は汎用コンピュータで構成される中央演算処理部5と専用コントローラで構成されるPID制御部12からなり、更に、中央演算処理部5は、前記立ち上げ制御を専ら行う起動制御部6と、前記定常運転時の主電極昇降制御を専ら行う電極昇降制御部7と、前記電極自動継足制御を専ら行う電極自動継足制御部8と、制御監視用に用いる分散型制御システム(DCS)20とコンピュータネットワークの一種であるデータリンク21を介して入出力データの授受を行うためのDCSインターフェース9を備えている。尚、PID制御部12は、電極昇降制御部7の電極昇降制御をPID制御によって実行するPID制御機能を専用コントローラで実現したもので、電極昇降制御部7の一部を成す。また、中央演算処理部5の起動制御部6、PID制御部12を除く電極昇降制御部7、及び、電極自動継足制御部8は、中央演算処理部5を構成する汎用コンピュータによるプログラムの実行によりソフトウェア処理により実現される。更に、中央演算処理部5内の電極昇降制御部7は、電極昇降制御部7の電極昇降制御をソフトウェア処理によるステップ制御によって実行するステップ制御部10と、電極昇降制御部7の電極昇降制御をソフトウェア処理によるリニア制御によって実行するリニア制御部11を備えるとともに、ステップ制御部10、リニア制御部11、PID制御部12の何れの制御部によって電極昇降制御を行うかの管理や、各制御部間で制御が引き継がれた場合の管理等も行う。
【0030】
I/Oインターフェース3は、電極昇降装置制御盤23、直流電源装置22a、VCB22b、電極自動継足装置24aを直接制御する電極自動継足装置制御盤24、及び、電極置台装置25aを直接制御する電極置台装置制御盤25との間で、個別の通信線またはデータリンク等を介して制御用の入出力データの入出力を行う。
【0031】
本実施形態では、電極自動継足制御において新電極(予備の電極棒)を電極置台装置25aから、現在使用中の旧電極の上方まで搬送する炉頂クレーン26との制御用の入出力データの授受は、DCS20を経由して行う構成となっている。
【0032】
次に、本発明装置1の起動制御部6による電気式溶融炉30の立ち上げ制御の処理手順につき、図3〜図5のフローチャートを用いて説明する。以下の説明では、特に断らない限り各処理は起動制御部6によって実行される。
【0033】
操作員によるスタート指令(#0)をDCS20から受信すると、各機器状態(警報の有無等)の確認とそれに応じたアラーム表示等の前処理とタイミングタイマによる時間遅延処理を行い(#1)、VCB22bに対してVCB入指令を出力する(#2)。VCB22bはVCB入指令によりオンし、直流電源装置22aに特高電圧が供給される。引き続き、DCS20のVCB入状態入力を受信後、電極昇降装置制御盤23に対し、主電極下降指令を出力する(#3)。電極昇降装置制御盤23は主電極下降指令により主電極31用の電極昇降装置23aに対し下降制御を開始する。主電極31が下降するに従い、被溶融物の状態に応じた主電極31と炉底電極32間を流れる第1電流値Iの変化を検出すべく、直流電源装置22aから第1電流値I(データ)を受け取り(#4)、第1電流値Iが所定の第1閾値I1A以上かを判定する(#5:初期電流オーバー判定)。第1電流値Iが第1閾値I1Aより小さい場合は、電極昇降装置制御盤23から主電極ワイヤー緩みデータを受け取り(#6)、主電極ワイヤー緩みの有無を判定する(#7)。主電極ワイヤー緩み判定により、ワイヤー緩みが無い場合は、主電極31の下端が下まで下降しきっていないと判定し、ステップ#4及び#5に戻る。ここで、ステップ#7の判定で、ワイヤー緩みがある場合は、主電極31が下まで下降しているのでそれ以上は下降できず、しかも、第1電流値Iが第1閾値I1Aより小さいので、被溶融物が固形(非溶融)状態であると判断して、後述するスタート電極33を用いる第2パターンの立ち上げ制御(ステップ#20〜#46)に移行する。
【0034】
ステップ#5の初期電流オーバー判定で、第1電流値Iが第1閾値I1A以上である場合は、被溶融物がある程度導通状態(溶融状態)にあるので、主電極31と炉底電極32間に直流電圧を印加するだけでスタート電極33を用いずに立ち上げ制御を完了できる。(第1パターンの立ち上げ制御)
【0035】
第1パターンの立ち上げ制御では、第1電流値Iが第1閾値I1A以上になると主電極31の下降を停止すべく、電極昇降装置制御盤23に対し主電極下降停止指令を出力する(#8)。電極昇降装置制御盤23は主電極下降停止指令により電極昇降装置23aに対し主電極31の下降を停止させる。引き続き、メインアーク起動タイマによる時間遅延処理を行い(#9)、第1電流値Iが第1閾値I1Aより大きい第2閾値I1B以上になるまで、主電極31と炉底電極32間の直流電圧印加を主電極31の下降停止位置のままで継続させる(#10〜#12)。詳細には、直流電源装置22aから第1電流値I(データ)を受け取り(#10)、第1電流値Iが第2閾値I1B以上かを判定し(#11:第2初期電流オーバー判定)、第1電流値Iが第2閾値I1B以上になるまでステップ#10と#11を繰り返すとともに、並行して初期電流オーバータイマによる時間遅延処理を行う(#12)。尚、当該時間遅延処理の間も第2初期電流オーバー判定(#10、#11)を行い、第1電流値Iが第2閾値I1B以上であることを確実にする。
【0036】
第1電流値Iが第2閾値I1B以上になり、初期電流オーバータイマによる時間遅延処理も完了した後に、主電極31と炉底電極32間の電圧Vが定常運転を開始するのに適切な電圧値となるように、主電極31の下端位置を上昇させるべく、電極昇降装置制御盤23に対し主電極上昇指令を出力する(#13)。電極昇降装置制御盤23は主電極上昇指令により電極昇降装置23aに対し主電極31の上昇制御を開始する。
【0037】
主電極31と炉底電極32間の電圧値V(データ)を直流電源装置22aから受け取り(#14)、電圧値Vが所定の第1閾値電圧V1A以上かを判定し(#15)、VがV1A以上となるまで、ステップ#14と#15を繰り返すとともに、VがV1A以上となると、電極昇降装置制御盤23に対し、主電極上昇停止指令を出力する(#16)。第1電流値Iが所定電流値以上あるかの確認や、定常運転開始時の条件設定等の所定の後処理(#17)を経て定常運転に移行する。
【0038】
次に、第2パターンの立ち上げ制御について説明する。ステップ#7の判定で、ワイヤー緩みがある場合、スタート電極起動タイマによる時間遅延処理を行い(#20)、DCS20で操作員がスタート電極の使用を選択していることを条件に、電極昇降装置制御盤23に対し、スタート電極下降指令を出力する(#21)。電極昇降装置制御盤23はスタート電極下降指令によりスタート電極33用の電極昇降装置23bに対し下降制御を開始する。スタート電極33が下降し被溶融物の表面に近接するに従い、被溶融物の状態に応じた主電極31とスタート電極33間を流れる第2電流値Iの変化を検出すべく、直流電源装置22aから第1電流値Iと第2電流値Iの合計である第3電流値I(データ)を受け取り(#22)、第3電流値Iが所定の第3閾値I3A以上かを判定する(#23:第3初期電流オーバー判定)。第3電流値Iが第3閾値I3Aより小さい場合は、電極昇降装置制御盤23からスタート電極ワイヤー緩みデータを受け取り(#24)、スタート電極ワイヤー緩みの有無を判定する(#25)。スタート電極ワイヤー緩み判定により、ワイヤー緩みが無い場合は、スタート電極33の下端が下まで下降しきっていないと判定し、ステップ#22及び#23に戻る。
【0039】
ここで、第3電流値Iが第3閾値I3Aより小さく、しかもワイヤー緩みがある場合は、被溶融物の表面近傍に非導電性物質が集中し固形状態(非溶融状態)にあるため、一旦立ち上げ制御を中断し、被溶融物の表面近傍に導電性物質を供給する処置を施すべく、DCS20に対しアラームを発生する。
【0040】
ステップ#23の第3初期電流オーバー判定で、第3電流値Iが所定の第3閾値I3A以上である場合は、スタート電極33のその下降位置で主電極31とスタート電極33間で被溶融物の表面に沿ってプラズマアークを発生して被溶融物を溶融可能と判定して、スタート電極の下降を停止すべく、電極昇降装置制御盤23に対し、スタート電極下降停止指令を出力する(#26)。電極昇降装置制御盤23はスタート電極下降停止指令により電極昇降装置23bに対し下降を停止させる。主電極31とスタート電極33は、夫々の電極の停止位置を維持したまま、被溶融物の表面に沿って両電極間にプラズマアークを発生し続けて、プラズマアーク及びプラズマアークによる下方への熱伝導により被溶融物を表面から徐々に溶融する(#27〜#30)。詳細には、主電極31とスタート電極33間に高電圧が印加された状態で、タイミングタイマによる時間遅延処理を行い(#27)、直流電源装置22aから第1電流値I(データ)を受け取り(#28)、第1電流値Iが第2閾値I1B以上かを判定し(#29:第2初期電流オーバー判定)、第1電流値Iが第2閾値I1B以上になるまでステップ#28と#29を繰り返すとともに、並行して初期電流オーバータイマによる時間遅延処理を行う(#30)。尚、当該時間遅延処理(#30)の間も第2初期電流オーバー判定(#28、#29)を行い、第1電流値Iが第2閾値I1B以上であることを確実にする。これにより被溶融物は十分に定常運転に移行可能な状態になったので、第2パターンの立ち上げ制御を終了すべく終了工程(#31〜#46)に入る。
【0041】
第1電流値Iが第2閾値I1B以上になり、初期電流オーバータイマによる時間遅延処理も完了した後に、先ず、VCB22bに対してVCB切指令を出力する(#31)。VCB22bはVCB切指令によりオフし、直流電源装置22aへの特高電圧供給が遮断され、主電極31と炉底電極32間、及び、主電極31とスタート電極33間での高電圧の印加が解除される。
【0042】
次に、電極昇降装置制御盤23から主電極支腕位置データを受け取り(#32)、当該主電極支腕位置を記憶し(#33)、電極昇降装置制御盤23に対し、主電極上昇指令を出力する(#34)。電極昇降装置制御盤23は主電極上昇指令により主電極31用の電極昇降装置23aに対し上昇制御を開始する。
【0043】
主電極31の上昇中、電極昇降装置制御盤23から主電極支腕位置データを受け取り(#35)、ステップ#33で記憶した主電極支腕位置と現在の主電極支腕位置から上昇距離の判定を行いながら(#36)、所定距離を上昇する。主電極31が所定距離を上昇したと判定した後、電極昇降装置制御盤23に対し主電極上昇停止指令を出力する(#37)。電極昇降装置制御盤23は主電極上昇停止指令により電極昇降装置23aに対し主電極31の上昇を停止させる。
【0044】
引き続き、スタート電極の段階的な上昇制御(#38〜#46)を実行する。詳細には、電極昇降装置制御盤23に対し、スタート電極上昇指令を出力する(#38)。電極昇降装置制御盤23はスタート電極上昇指令によりスタート電極33用の電極昇降装置23bに対し上昇制御を開始する。タイミングタイマによる時間遅延処理を行い(#39)、電極昇降装置制御盤23に対し、スタート電極上昇停止指令を出力する(#40)。電極昇降装置制御盤23はスタート電極上昇停止指令により電極昇降装置23bに対し上昇を停止させる。更に、再度タイミングタイマによる時間遅延処理を行い(#41)、電極昇降装置制御盤23に対し、スタート電極上昇指令を出力する(#42)。電極昇降装置制御盤23は再びスタート電極上昇指令によりスタート電極33用の電極昇降装置23bに対し上昇制御を開始する。再々度タイミングタイマによる時間遅延処理を行い(#43)、電極昇降装置制御盤23に対し、再度スタート電極上昇停止指令を出力する(#44)。電極昇降装置制御盤23はスタート電極上昇停止指令により電極昇降装置23bに対し上昇を停止させる。電極昇降装置制御盤23からスタート電極支腕位置データを受け取り(#45)、スタート電極支腕位置が所定高さ以上であるかを判定し(#46)、所定高さに到達していない場合は、所定高さに到達するまで、ステップ#38〜#46の処理を繰り返し、第2パターンの立ち上げ制御を終了する。
【0045】
次に、本発明装置1の電極昇降制御部7による主電極31の電極昇降制御について説明する。
【0046】
電極昇降制御部7は、ステップ制御部10、リニア制御部11、PID制御部12の何れか一つの制御部を用いて、電極昇降装置制御盤23に対し種々の制御指令を出力し、主電極31用の電極昇降装置23aに対し昇降制御を行う。直流電源装置22aに対し、主電極31と炉底電極32間を流れる第1電流値Iが定電流となるよう定電流制御しながら、主電極31の昇降制御により、主電極31と炉底電極32間の距離を調整することで、両電極間に掛かるプラズマ電圧(V)の制御を行う。
【0047】
電極昇降制御部7に対する第1電流値I及び電圧値Vの各設定値は、DCS20から入力される。また、DCS20から電流・電圧の設定値を変更した場合、変化率設定により実設定値が徐々に変化するように構成されている。尚、変化率設定は、電極昇降制御の制御モード毎に切り替わる。制御モードには、ステップ制御部10によるステップ制御モード、リニア制御部11によるリニア制御モード、PID制御部12によるPID制御モード、更に、手動による手動モードの4制御モードがあり、制御モード毎に、電圧設定値と電流設定値に対する増加率と減少率が予め設定されテーブル化されている。
【0048】
次に、PID制御部12によるPID制御モードの電極昇降制御の概略を説明する。PID制御部12は、直流電源装置22aから受け取った電圧Vと電圧設定値に基づき、図6に示す処理手順で演算処理を行う。
【0049】
先ず、電圧Vと電圧設定値の偏差DVを求め、その偏差DVに対して、図7に示すギャップ演算特性に基づき、偏差DV’を出力するギャップ演算を行い、次に、その偏差DV’を補償する逆動作を誘引するPID演算を実行し、主電極昇降速度を出力する。そのPID出力に対し出力リミッタ処理を施し、所定の出力上限値及び出力下限値の範囲内で主電極昇降速度を出力する。尚、ギャップ演算のギャップ幅GW、PID演算の比例、積分、微分の各設定値、出力リミッタ処理の出力上限値及び出力下限値は、夫々設定値として設定されている。
【0050】
また、他の制御モードからPID制御モードに移行した場合は、移行前の出力からの動作となる。逆に、PID制御中にPID制御部12が故障した場合は、予めPID制御故障時の制御モードで設定された制御モード(ステップ制御モードまたはリニア制御モード)に自動的に移行する。
【0051】
次に、ステップ制御部10によるステップ制御モードの電極昇降制御の概略を説明する。ステップ制御部10は、直流電源装置22aから受け取った電圧Vと電圧設定値に基づき、図8に示す処理手順で演算処理を行う。
【0052】
先ず、電圧Vと電圧設定値の偏差DVを求め、その偏差DVが、図8に示す6つの領域の何れに該当するかを判定し、電極昇降装置制御盤23に対し、5通りの電極昇降制御を実行する。つまり、ΔV1、ΔV2、−ΔV1、−ΔV2の4つの偏差判定閾値を設定しておき(但し、ΔV2>ΔV1)、DV≧ΔV2の場合に第1下降動作を、ΔV2>DV≧ΔV1の場合に第2下降動作を、DV≦−ΔV2の場合に第1上昇動作を、−ΔV2<DV≦−ΔV1の場合に第2上昇動作を実行し、−ΔV1<DV<ΔV1の場合は何れの昇降動作も実行しない。
【0053】
第1下降動作と第1上昇動作、第2下降動作と第2上昇動作は、夫々電極の移動方向が逆であるだけで、各制御中の動作時間と停止時間の設定値は同じである。これに対し、第1下降動作と第2下降動作、第1上昇動作と第2上昇動作は、夫々電極の移動方向は同じであるが、各制御中の動作時間と停止時間の設定値が異なり、各第1動作の方が、大きな下降または上昇を行うように設定されている。
【0054】
従って、ステップ制御部10は、上記要領で第1下降動作、第2下降動作、第1上昇動作、または、第2上昇動作の何れかが選択された場合、各動作の動作時間と停止時間の設定値に基づき、主電極31用の電極昇降装置23aに対し、電極下降指令及び電極下降停止指令、または、電極上昇指令及び電極上昇停止指令を出力する。また、何れの動作も選択されなかった場合は、何れの昇降制御指令も出力しない。
【0055】
次に、リニア制御部11によるリニア制御モードの電極昇降制御の概略を説明する。リニア制御部11は、直流電源装置22aから受け取った電圧Vと電圧設定値に基づき、図9に示す処理手順で演算処理を行う。
【0056】
先ず、電圧Vと電圧設定値の偏差DVを求め、その偏差DVに対して、図7に示すギャップ演算特性に基づき、偏差DV’を出力するギャップ演算を行い、次に、その偏差DV’を補償する逆動作を誘引する比率演算(数1の比率演算式参照)を実行し、主電極昇降速度Rを出力する。
【0057】
【数1】
R=GA・DV’+BI
【0058】
その比率演算出力Rに対し出力リミッタ処理を施し、所定の出力上限値及び出力下限値の範囲内で主電極昇降速度を出力する。ここで、ギャップ演算のギャップ幅GW、比率演算式のゲインGAとバイアスBI、出力リミッタ処理の出力上限値及び出力下限値が、夫々設定値として設定されている。ギャップ演算のギャップ幅GWはPID制御モード時と同じ設定でも異なる設定の何れでもよい。
【0059】
電極昇降制御部7は、主電極31の電極昇降制御の開始時点で、予め設定されたステップ制御モードまたはリニア制御モードを選択して、対応するステップ制御部10、リニア制御部11を起動し、電圧変動が安定してきた時点で、実行中の制御モードからPID制御モードに移行するようにするのも好ましい。
【0060】
次に、本発明装置1の電極自動継足制御部8による主電極31の電極自動継足制御における処理手順の概略につき、図10のフローチャートを用いて説明する。尚、本実施形態では、複数の電気式溶融炉30に対して、電極自動継足に必要な電極自動継足装置24aと電極自動継足装置制御盤24、電極置台装置25aと電極置台装置制御盤25、及び、炉頂クレーン26を共用する場合の電極自動継足制御について説明する。但し、本実施形態では、本発明装置1は電気式溶融炉30毎に各別に設けられており、電極自動継足制御部8も制御対象である電気式溶融炉30(以下、適宜「自炉」と称す。)に対して電極自動継足制御を実行する。以下の説明では、特に断らない限り各工程における各処理は電極自動継足制御部8によって実行される。
【0061】
先ず、継足準備工程(#100)につき説明する。電極昇降装置制御盤23から主電極昇降装置位置データを受け取り、自炉の主電極31が電極自動継足可能か否かの判定をし、可能である場合にDCS20に対し、その旨のメッセージを出力する。DCS20からの操作員による継足準備開始指令を受け取ると、自炉を運転対象とする炉頂クレーン26に対し、電極自動継足制御のために選択された旨の選択指令を出力するとともに、関連する各装置23〜26から異常の有無を確認するための各状態データを取得し、更に、電極昇降装置制御盤23からスタート電極支腕位置データを受け取り、電極自動継足操作可能かを判定する。何れも異常が無ければ、電極自動継足装置制御盤24と炉頂クレーン26に対し、継足準備指令を出力する。電極自動継足装置制御盤24と炉頂クレーン26は、夫々継足準備指令を受け取ると所定の継足準備動作を実行し、終了するとその旨を電極自動継足制御部8に出力する。電極自動継足装置制御盤24と炉頂クレーン26の両方から継足準備動作終了データを受け取ると、その旨のメッセージをDCS20に対し出力する。
【0062】
次に、自動継足工程(#110)につき説明する。DCS20の継足準備動作終了メッセージに基づき、操作員がDCS20上で自動継足開始指令を発し、当該指令をDCS20から受け取ると、自動継足開始指令を各関連装置に発信する。自動継足工程(#110)では、先ず、電極払出工程(#111)が実行される。
【0063】
電極払出工程(#111)では、電極置台装置制御盤25が自動継足開始指令を受け取ると、電極置台装置25aが所定の電極払出動作を行い、新しい電極を取り出し可能な状態にする。電極置台装置制御盤25から電極取出可能データを受け取ると、電極自動継足装置制御盤24に対し、新電極準備指令を発信する。
【0064】
電極払出工程(#111)に引き続き、灰供給運転中の場合にこれを停止させる灰供給停止工程(#112)と新電極つかみ工程(#113)が並行して実行される。新電極つかみ工程(#113)では、電極自動継足装置制御盤24が新電極準備指令を受け取ると、電極自動継足装置24aが新電極をつかむ動作を行う。この動作において、同時に、旧電極の上端部の雌ねじ部に螺合する雄ねじ接合部材を新電極の先端部(下端部)の雌ねじ部に取り付ける。
【0065】
新電極つかみ工程(#113)に引き続き、クレーン中間点移動工程(#114)において、クレーン中間点移動指令が、炉頂クレーン26に対し出力され、炉頂クレーン26が当該指令を受け取り、クレーンを中間点まで移動させる。
【0066】
引き続き、電極動作停止工程(#115)を実行する。詳細には、炉頂クレーン26が中間点まで移動し、灰供給運転の停止を確認した後、VCB22bがオン状態である場合、つまり、直流電源装置22aに特高電圧が供給され各電極間に高電圧が印加されている場合に、電極昇降装置制御盤23に対し、電極自動昇降運転を停止させ、VCB22bをオフする指令を出力する。主電極31に対する高電圧の印加と昇降制御が解除された後、所定秒経過後、電極昇降装置制御盤23に対し、電極待機位置昇降指令を出力し、電極昇降装置制御盤23は当該指令を受け取り、主電極31を所定の待機位置まで上昇または下降させる。
【0067】
電極動作停止工程(#115)の開始時に、電極昇降制御部7が電極昇降装置制御盤23、直流電源装置22a、VCB22bに対し、主電極31の電極昇降制御を実行中であれば、電極自動継足制御部8の制御が、電極昇降制御部7の電極昇降制御に優先して実行され、電極昇降制御部7による電極昇降制御は中断される。
【0068】
電極動作停止工程(#115)に引き続き、クレーン継足点移動工程(#116)において、先ず、炉頂クレーン26の移動の障害となる、手すり通行ゲートを開放する指令をDCS20に出力するとともに、手すり通行ゲート開状態データをDCS20から受け取り、炉頂クレーン26に対し、クレーン継足点移動指令を出力する。炉頂クレーン26は当該指令を受け取り、クレーンを継足点へ移動する。引き続き、電極昇降装置制御盤23に対し、N2脱着装置開放指令を出力し、電極昇降装置23aのN2脱着装置開放の確認データを電極昇降装置制御盤23から受け取る。
【0069】
次に、炉頂クレーン26が継足点へ移動後、電極自動継足装置カバー下降工程(#117)において、電極自動継足装置制御盤24に対し、電極自動継足装置カバー下降指令を出力し、電極自動継足装置24aがカバー下降処理を実行する。
【0070】
引き続き、クレーン継足点移動工程(#116)において、電極昇降装置制御盤23から電極昇降装置23aのN2脱着装置開放の確認データを受け取り、クレーン巻下・主電極上昇工程(#118)において、電極自動継足装置24aによるカバー下降処理が終了した後、炉頂クレーン26に対し、クレーン巻下指令を出力し、炉頂クレーン26が巻き下げ動作を開始する。炉頂クレーン26から継足高さに到達したか、クレーン巻下が完了したかの確認を行った後、電極昇降装置制御盤23に対し、主電極上昇指令を出力する。電極昇降装置23aが主電極31の上昇を開始するとともに、電極自動継足装置制御盤24から旧電極上端位置検知データを受け取り、当該位置検知データに基づき、電極昇降装置制御盤23に対し、主電極上昇停止指令を出力し、主電極31は上昇を停止する。
【0071】
引き続き、電極継足工程(#119)において、電極昇降装置制御盤23に対し、電極継足指令を出力し、電極昇降装置制御盤23は当該指令により、旧電極に新電極を継ぎ足す継足動作を実行する。継足動作終了後、その旨の終了通知を受け取り、DCS20に継足動作終了メッセージを出力する。
【0072】
引き続き、電極掴み替え工程(#120)が実行される。電極継足工程(#119)終了時点では、旧電極は電極昇降装置23aの電極支持アームに支持され、新電極は電極自動継足装置24aに支持されている。そこで、新電極が電極自動継足装置24aに支持されている状態で、電極昇降装置制御盤23に対し、電極掴み替え指令を出力し、電極昇降装置23aが支持個所を旧電極から新電極に移動する。電極掴み替えが完了すると、電極自動継足装置制御盤24に対し、新電極放し指令を出力し、電極自動継足装置24aに対し、新電極の支持を解除させる。
【0073】
電極自動継足装置24aが新電極放し動作を終了すると、クレーン退避工程(#121)が実行され、炉頂クレーン26がクレーン巻上動作、中間点移動動作等を実行する。引き続き、後処理工程(#122)において、手すり通行デートを閉鎖する指令をDCS20に出力するとともに、手すり通行ゲート閉状態データをDCS20から受け取り、電極昇降装置制御盤23に対し、N2脱着装置装着指令を出力し、電極昇降装置23aのN2脱着装置装着の確認データを電極昇降装置制御盤23から受け取る。
【0074】
後処理工程(#122)の完了を確認すると、電極自動継足制御部8は、起動制御部6に対し、電気式溶融炉30の立ち上げ制御を指示する(#123)。起動制御部6による立ち上げ制御終了後に、電極昇降制御部7による定常運転に移行すると、灰供給装置に対し、灰供給運転開始指令を出力する(#124)。灰供給装置からの灰供給運転中である旨の確認データを受け取り、クレーン退避工程(#121)における炉頂クレーン26の退避動作の完了を確認すると、終了工程(#125)において、DCS20に対し、自動継足完了メッセージを出力するとともに、DSC20から操作員による自動継足完了確認指令を受け取って、炉頂クレーン26に対し、自動継足制御完了指示を出力し、主電極31の電極自動継足制御を終了する。
【0075】
上記の如く、本発明装置1が、起動制御部6と電極昇降制御部7と電極自動継足制御部8を統合して備えていることで、主電極31の電極自動継足制御において、電気式溶融炉30の立ち上げ制御と定常運転時の主電極31の自動昇降制御が自動的に円滑に実行させて、主電極31の電極自動継足制御を終了させることができる。
【0076】
以下に、別の実施形態につき説明する。
上記実施の形態では、本発明装置1は電気式溶融炉30毎に各別に設けられている構成を前提に説明したが、1台の本発明装置1が、複数の電気式溶融炉30を同時に制御する形態であっても構わない。
【0077】
また、本発明装置1の起動制御部6、電極昇降制御部7、電極自動継足制御部8の各制御部の具体的な動作・処理手順及び構成は、上記実施形態の動作・処理手順及び構成に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内において適宜変更可能である。
【0078】
例えば、電極昇降制御部7のPID制御部12を専用コントローラで構成せずに、ステップ制御部10及びリニア制御部11と同様にソフトウェア処理により実現しても構わない。更に、電極自動継足制御部8による電極自動継足制御はスタート電極33に対して実行しても構わない。
【0079】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、操作員の経験に影響されない安定した電気式溶融炉の立ち上げ制御、定常運転時の主電極の自動昇降制御、更に、主電極の電極自動継足制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気式溶融炉制御装置の一実施の形態を示すブロック構成図
【図2】本発明に係る電気式溶融炉制御装置が制御対象とする電気式溶融炉の構成概念図
【図3】電気式溶融炉の立ち上げ制御の処理手順を示すフローチャート
【図4】電気式溶融炉の立ち上げ制御の処理手順を示すフローチャート
【図5】電気式溶融炉の立ち上げ制御の処理手順を示すフローチャート
【図6】PID制御部によるPID制御の処理手順を説明する工程図
【図7】ギャップ演算に用いる入出力特性を示す図
【図8】ステップ制御部によるステップ制御の処理手順を説明する説明図
【図9】リニア制御部によるリニア制御の処理手順を説明する工程図
【図10】電極自動継足制御の処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
1: 本発明に係る電気式溶融炉制御装置
2: 制御演算処理部
3: I/Oインターフェース
4: 表示器
5: 中央演算処理部
6: 起動制御部
7: 電極昇降制御部
8: 電極自動継足制御部
9: DCSインターフェース
10: ステップ制御部
11: リニア制御部
12: PID制御部
20: 分散型制御システム(DCS)
21: データリンク
22a:直流電源装置
22b:VCB(真空遮断器)
23: 電極昇降装置制御盤
23a:主電極用の電極昇降装置
23b:スタート電極用の電極昇降装置
24: 電極自動継足装置制御盤
24a:電極自動継足装置
25: 電極置台装置制御盤
25a:電極置台装置
26: 炉頂クレーン
30: 電気式溶融炉
31: 主電極
32: 炉底電極
33: スタート電極
34: 集電板
35a:炉壁天井部
35b:炉底部
35c:炉側壁部
36: 炉内
37: 灰供給口
38: 出滓口
40: 溶融スラグ

Claims (6)

  1. 炉内に主電極と炉底電極とスタート電極とを備え、前記主電極と前記炉底電極間或いは前記主電極と前記スタート電極間に印加された高電圧によって発生する電流により前記炉底電極上にある被溶融物を溶融する電気式溶融炉において、
    前記主電極と前記スタート電極の前記炉内での電極位置を移動させる電極昇降制御手段、及び、前記各電極間に電圧を印加する電源装置との間で、制御データの送信または送受信を行い、前記各電極に対する運転制御を行う電気式溶融炉制御装置であって、
    起動時に、前記被溶融物の状態に応じて前記主電極と前記スタート電極の自動運転制御を行い、前記主電極の自動運転制御だけで前記被溶融物を溶融する定常運転にまで立ち上げる起動制御部と、
    定常運転時に、前記主電極と前記炉底電極間に印加される電圧を制御すべく、前記主電極の前記炉内での電極位置の移動制御を前記電極昇降制御手段に対して行う電極昇降制御部と、を備え、
    前記起動制御部が、前記主電極と前記炉底電極間の第1の電圧印加によって、前記被溶融物の状態を前記定常運転に移行可能な溶融状態とする前記主電極の自動運転制御を開始し、制御開始後に前記主電極の下降を開始するとともに、前記主電極と前記炉底電極間を流れる第1電流値を判定し、前記第1電流値が所定の第1閾値より小さい場合に、前記主電極を所定の下降位置まで下降させる前記主電極の下降制御を行い、前記第1電流値が前記所定の第1閾値以上の場合に、前記主電極の下降を停止する制御を行い、
    前記主電極の自動運転制御において、前記第1電流値が前記所定の第1閾値より小さく、且つ、前記主電極が前記所定の下降位置まで下降している場合に、前記第1の電圧印加では前記被溶融物の状態を前記定常運転に移行可能な溶融状態とすることができないと判定して、前記第1の電圧印加に対して前記主電極と前記スタート電極間の第2の電圧印加を追加した前記主電極と前記スタート電極の自動運転制御に移行し、前記スタート電極の下降を開始するとともに、前記主電極と前記スタート電極間を流れる第2電流値を判定し、前記第1電流値と前記第2電流値を合計した第3電流値が所定の第3閾値以上になると、前記スタート電極の下降を停止する前記スタート電極の下降制御を行い、前記主電極と前記スタート電極の下降停止位置のままで、前記主電極と前記スタート電極間に電流を流して前記被溶融物を溶融することを特徴とする電気式溶融炉制御装置。
  2. 前記起動制御部は、前記主電極と前記スタート電極を所定の下降停止位置で停止させた状態で、前記主電極と前記スタート電極間に電流を流して前記被溶融物を溶融した後、前記スタート電極を所定の上昇停止位置に戻す際に、前記スタート電極の上昇を、間に所定の停止期間を挟みながら複数回に分けて実行することを特徴とする請求項1に記載の電気式溶融炉制御装置。
  3. 前記電極昇降制御部は、前記主電極の電極位置の移動制御を、PID制御で行うPID制御部と、ステップ制御で行うステップ制御部と、リニア制御で行うリニア制御部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気式溶融炉制御装置。
  4. 前記電極昇降制御部は、制御開始直後は、前記ステップ制御部または前記リニア制御部による制御を行うことを特徴とする請求項に記載の電気式溶融炉制御装置。
  5. 前記主電極または前記スタート電極に電極棒を継ぎ足すために、少なくとも、予備の電極棒を搬送する搬送手段、前記予備の電極棒を前記主電極または前記スタート電極に自動で継ぎ足す電極自動継足装置、及び、前記電極昇降制御手段との間で、制御データの送信または送受信を行い、前記予備の電極棒の保管場所から前記予備の電極棒を取り出し、前記予備の電極棒を前記主電極または前記スタート電極に自動で継ぎ足すまでの制御を行う電極自動継足制御部を、更に備えていることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電気式溶融炉制御装置。
  6. 前記電極自動継足制御部による電極自動継足が終了した後、前記起動制御部による立ち上げ制御が自動的に開始されることを特徴とする請求項に記載の電気式溶融炉制御装置。
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