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JP4200422B2 - ガラスブランク、情報記録媒体用基板および情報記録媒体それぞれの製造方法 - Google Patents
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JP4200422B2 - ガラスブランク、情報記録媒体用基板および情報記録媒体それぞれの製造方法 - Google Patents

ガラスブランク、情報記録媒体用基板および情報記録媒体それぞれの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスブランク、情報記録媒体用基板および情報記録媒体それぞれの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、情報記録媒体用基板の中間成形体として用いられ、かつ安定した外径、肉厚を有し、うねりなどの発生が抑制された精度の良好な薄板状のガラスブランクをダイレクトプレスによって製造する方法、このガラスブランクから情報記録媒体用基板を製造する方法、および該基板を用いて情報記録媒体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パソコン等に大容量記録手段として利用されているハードディスクの基板として、ガラス製あるいはガラスセラミックス製の基板が高性能かつ高信頼性を有するものとして広く使用されている。パソコンの普及、情報ネットワーク社会の発展に伴い、このようなガラス製あるいはガラスセラミックス製の情報記録媒体用基板及び情報記録媒体の需要は、近年急速に伸びてきており、そして、その需要に対応すべく、高生産性を有する基板製造技術が望まれている。そのような技術のうちで最も有力な方法としては、作製しようとする基板の形状に研削、研磨しろ等、あるいは結晶化時の体積変化等を見込んで基板に近似する形状を有するガラス製中間成形体を、成形型による溶融ガラスのプレス成形により作製する、いわゆるダイレクトプレス法と呼ばれる方法を挙げることができる。
【0003】
情報記録媒体用基板の中間成形体をダイレクトプレスによって生産する方法として、特開平12−53431号公報に開示されている方法が知られている。この方法においては、ハードディスク基板の内孔加工が容易になるよう、中間体成形の段階で内孔を開ける部分にノッチと呼ばれる溝を設けている。そして、供給される溶融ガラスの量が過剰であっても、中間成形体の周縁部が胴型などで規制されず、ガラスの余剰体積を周縁部に逃がすことによって供給されるガラスの体積にばらつきがあっても毎回、安定した厚みの中間成形体を得るようにしている。
【0004】
上記公報に記載されている中間成形体とは別に、ノッチが形成されていない円板状の中間体もオーソドックスなものとして知られている。この場合、中間成形体の周縁部は成形型によって規定されている。
【0005】
ところで、ダイレクトプレス法により成形された中間成形体は、基板を作製する際には研削、研磨加工が必須であるので、スラッジと呼ばれる研削、研磨くずが発生する。省資源、廃棄物削減による環境負荷の軽減、コストの低減などの面から、スラッジ削減の要求は強い。したがって、ダイレクトプレス法においては、基板に近い厚みを有する中間成形体の製造が求められている。
【0006】
このような事情のもとで、本件出願人は、先に、うねりなどの発生が抑制された精度の良好な情報記録媒体用基板の中間成形体であるガラスブランクの製造方法を提案した(特願2001−20379号)。この方法は、プレス成形においてガラスブランクの周縁部がプレス成形型に接触しないようにして、ガラスブランク周縁部から型への熱伝導による放熱を抑え、ガラスブランク面内における温度分布を低減し、ガラスブランクのうねりを低減しようとするものである。
【0007】
上記方法はガラスブランクの周縁部、つまり円板形状の側面部分がプレス成形型によって規定されない。したがって、プレス成形型に供給される軟化状態のガラスの量が微妙に変化すると、それに応じてガラスブランクの外径も変動することになる。ガラスブランクはアニールされた後、周縁部を機械加工して所望の外径に仕上げられる。しかし、プレス成形されたガラスブランクの外径が変動すると、上記外径加工によって加工すべき取り代が個々のブランクによってばらついてしまい、その結果、外径加工時の取り代を一律に設定することができにくいという問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、情報記録媒体用基板の中間成形体として用いられ、かつ安定した外径、肉厚を有し、うねりなどの発生が抑制された精度の良好な薄板状のガラスブランクをダイレクトプレスによって製造する方法、このガラスブランクから情報記録媒体用基板を製造する方法、および該基板を用いて情報記録媒体を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、上型および下型を備えた成形型を用い、所定量の溶融ガラスを、特定の方法によりプレス成形してガラスブランクを順次製造することにより、所望のうねりがなく、かつ良好な精度を有する薄板状のガラスブランクが得られ、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)所定量の溶融ガラスを下型上に供給し、該下型および下型と対向する上型を含むプレス成形型を用いてプレス成形する工程を繰り返して、所定の外径を有する情報記録媒体基板用のガラスブランクを順次成形するガラスブランクの製造方法において、
プレス時に前記ガラスの周縁部がプレス成形型に接触しないように、かつ上下型成形面の最小間隔を規制してガラスブランクを成形するとともに、成形されたガラスブランクの外径を前記下型上にて非接触式測定器により測定し、その測定結果に基づき溶融ガラスの供給量を調整することを特徴とするガラスブランクの製造方法、
【0011】
(2)プレス成形時において、上下型成形面の間隔を規制する手段を備えたプレス成形型を用いる上記(1)項に記載のガラスブランクの製造方法、
(3)複数の下型を順次、溶融ガラスを供給する位置、プレス成形する位置、ガラスブランクの外径を測定する位置および下型からガラスブランクを取り出す位置に循環移送してガラスブランクを順次成形する上記(1)または(2)項に記載のガラスブランクの製造方法 、
【0012】
(4)上記(1)、(2)または(3)項に記載の方法によりガラスブランクを作製し、得られたガラスブランクを機械加工して情報記録媒体用基板を作製することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法、及び
(5)上記(4)項に記載の方法により情報記録媒体用基板を作製し、得られた情報記録媒体用基板上に情報記録層を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法、
を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のガラスブランク(以下、単にブランクと略称することがある。)の製造方法においては、該ブランクは、軟化状態のガラス(以下、ゴブと称すことがある。)を、上型および下型を備えた成形型によってプレス成形することにより、製造される。薄板状のガラスブランクの両主表面は上型成形面と下型成形面によってそれぞれ転写成形される。なお、上型、下型とも必要に応じて、一つ又は複数の部材から構成される。
【0014】
本発明においては、ガラスブランクの素材であるゴブは、溶融ガラスの状態で、通常下型の上に供給され、ガラスブランクが所定形状になるよう重量管理されている。下型上へのゴブ供給(以下、キャストという)の際、下型との接触によりゴブが急激に冷却されてプレス成形不能にならないように下型温度は調整されているが、一般的に下型温度はゴブの温度よりも低いので、キャストからプレス成形、そして成形されたガラスがプレス成形型から取り出される(以下、テイクアウトという)まで、ガラスと下型の接触面からゴブ及びガラス成形品のもつ熱量が奪われて行く。さらに、プレス成形時においても、上型温度は調整されているものの、一般にゴブの温度よりも低いので、上型がゴブあるいは成形品に触れている間は、上型によっても、ゴブ及びガラス成形品のもつ熱量が奪われていく。
【0015】
成形品のうねりは、薄板状の成形品が冷却される過程で上下型による加圧方向に垂直な面内にできる大きな放熱の分布によって生じるものと考えられる。ダイレクトプレス法では、冷却過程で成形品内部と成形品表面、成形品の中心部と外周部、厚肉部と薄肉部で放熱分布ができる。この放熱分布をさらに大きくする要因として考えられるものは以下の通りである。
【0016】
(1) ゴブが上型と下型でプレスされ、上下型間のスペースに広がっていき、周縁部が胴型などに触れると、周縁部からの放熱が大きくなり、ガラス外周部の温度が急速に低下して放熱分布が大きくなる。
(2) 従来の技術として紹介した前記公報に記載されているノッチは、成形品の主表面に比べ極めて面積の小さい溝である。このような部分は、加圧方向に垂直な単位面積あたりの型接触面積が大きく、ノッチ周辺部と比較して、局所的にガラスからの放熱が大きくなり、放熱分布を大きくする要因となる。
また、ノッチをプレス成形によって周縁部近傍に形成する場合も、成形型のノッチ形成部との接触によって周縁部からの放熱が大きくなり、(1)に似た結果となる。
【0017】
(3) 上記ノッチは内径加工や外径加工時に利用されるので、ノッチ部分の厚みは前記公報に記載されてはないが、前記加工を行う上から目的とする基板の厚みよりも薄いほうが有利と推察される。その一方で、内径加工を施す場合、当然のことながら前記公報の本体部の厚みは目的とする基板の厚みよりも厚い。このようにノッチ部分の肉厚が目的とする基板の厚みの最大値よりも薄いと、本体部や内孔部からノッチ部分への熱伝導がノッチ部分から型への放熱スピードに追いつかず、上記放熱分布がさらに大きくなる。
【0018】
(4) ガラスブランクが厚肉部と厚さが最も薄い薄肉部を有する場合、薄肉部の面積が厚肉部の面積より小さくなると、薄肉部が上記ノッチと同様、局所的な温度低下部分となり、放熱分布がより大きくなる。
(5) ガラスブランクの厚みを薄くしていくと、上記(1)〜(4)の要因により上記放熱分布が大きくなるとともに、放熱分布によるうねりの影響も大きくなる。
【0019】
このような要因を取り除くために、本発明のブランクの製造方法においては、ゴブを、形成されるブランクの周縁部が成形型に接触しないようにプレス成形し、少なくともノッチ部を有しないブランクを作製するのがよい。この本発明の製造方法においては、好ましい態様として、例えば下記の3種のガラスブランクを作製する方法を挙げることができる。
【0020】
まず、第1の態様は、平坦な表裏面と周縁部からなる表面を有するガラスブランクを作製する方法である。ここで平坦な面とは微小な反りや不可避的に形成される微妙な凹凸などは別にして、意図的な凹凸が設けられていない面を意味する。この場合、ガラスブランクの表裏面、すなわち両主表面は互いに平行であることが望ましい。
【0021】
次に、第2の態様は、ガラスブランクの厚みの最小値、すなわち肉厚の最も薄い箇所の厚みが、目的とするガラス基板の最も厚肉の箇所の厚み(基板の厚みの最大値)よりも厚いガラスブランクを作製する方法である。このような成形として、本件出願人が先に出願した特開平10−194760号公報で開示した平坦性の優れた板状ガラスの作製に好適なガラスブランクのように、厚肉部と薄肉部を有するガラスブランクの成形を例示することができる。
【0022】
さらに、第3の態様としては、厚肉部と厚みの最も薄い薄肉部を有し、かつ上記薄肉部の面積が厚肉部の面積よりも大きなガラスブランクを作製する方法である。このような成形として、上記特開平10−194760号公報で開示した平坦性の優れた板状ガラスの作製に好適なガラスブランクの成形を例示することができる。
【0023】
このようにしてうねりの発生を抑制したダイレクトプレス成形が可能になる。この際、ガラスブランクの周縁部はプレス成形型と接触しない。そのため、ガラスブランク周縁部からプレス成形型への熱伝導による放熱量が低減されるものの、ガラスブランクの外径がプレス成形型によって規定されないので、成形条件の変動がガラスブランク外径の変化として現れることになる。特に、本発明はプレス時の上下型成形面の最小間隔を規制している。つまり、プレス成形型を型締めした際の上下型成形面の間隔が常に一定になるように規制されている。なお、この規制は、上下型成形面の間隔を規制する手段を備えたプレス成形型を用いて行うことができる。このように、上下型成形面の間隔が常に一定になるように規制されているので、下型上に供給される溶融ガラスの量が変動すると、その変動分はガラスブランクの厚みではなく、外径の変動となって現れる。
【0024】
そこで、本発明においては、ガラスブランクの外径を前記下型上に非接触式測定器により測定し、その測定結果が目的とするガラスブランクの外径からズレていれば、そのズレ量に応じて下型上に供給する溶融ガラスの量を制御している機構にフィードバックをかける。つまり、ガラスブランク外径が所要の値よりも大きい場合は溶融ガラスの供給量を減少させる制御を行い、ガラスブランク外径が所要の値より小さい場合は溶融ガラスの供給量を増加させる制御を行う。所要の外径が得られている場合は溶融ガラスの供給量を現状に保つ。なお、この溶融ガラスの供給量は次のようにして制御することができる。
【0025】
〈手法1〉
均質な溶融ガラスを用意し、一定の流出速度でフィーダーと呼ばれるパイプから溶融ガラスを流下させる。この溶融ガラス流を溶融ガラスが融着しない温度に保たれた切断刃を用いて切断し、切断した溶融ガラス流の先端部を下型上に受ける。この際、切断刃による切断の時間間隔を制御することにより、溶融ガラスの供給量を調整することができる。すなわち、上記時間間隔を長くすれば溶融ガラスの供給量が増加し、時間間隔を短くすれば溶融ガラスの供給量が減少する。この際、フィーダーの温度は流出する溶融ガラスの粘度が一定に保たれるよう制御することが望ましい。
【0026】
〈手法2〉
手法1と同様に均質な溶融ガラスをフィーダーから流出し、切断刃によって切断する。この際、切断刃による切断の時間間隔も一定に設定する。また用意する溶融ガラスの粘度も一定に保つ。そして、フィーダーの温度を制御することによって溶融ガラス流の流出速度を変化させる。フィーダーの温度を上昇させることにより、溶融ガラスの粘度が低下して流出速度が増加するから溶融ガラスの供給量が増加する。逆にフィーダーの温度を低下させることにより、溶融ガラスの粘度が上昇して流出速度が減少するから溶融ガラスの供給量が減少する。このようにフィーダーの温度を変化させることにより溶融ガラスの供給量を増減することができる。
具体的な例としては、フィーダーの周囲にヒーターを設け、このヒーターに流す電流値を変化あるいは一定に保つことにより、フィーダーの温度を制御する。
【0027】
〈手法3〉
切断刃の切断時間間隔、フィーダー温度の両方を変化させることにより溶融ガラスの供給量を制御する。(手法1と2の組合せ)
ただし、フィーダーの温度を変化させる場合、流出するガラスに脈理や失透が発生しないよう十分注意する必要がある。
【0028】
また、プレス時の上下型成形面の最小間隔の規制の手法としては、次の手法を例示することができる。好ましい手法は、下型成形面および上型成形面の周囲にプレス時に互いに当接する当接部を設け、型締め状態で前記上下型の当接部が当接して上下型成形面の間隔がこの状態よりも狭くならないよう規制する手段である。この場合、当接部はガラスブランクに接触しない位置に設ける。下型当接部は下型成形面と同じ高さにしてもよいし、下方に設けてもよく、また上方に設けてもよい。ただし、後述するガラスブランクの外径測定の容易性を考慮すると、下型成形面上のガラスブランクが置かれた状態でガラスブランクの周縁部が下型当接部よりも高い位置になるようにすることが望ましい。このようにすることにより、下型当接部によってガラスブランク周縁部が隠れることなく、外径測定を容易することができる。
【0029】
別の手法としては、後述の図2に示されているような構造の成形型を用いて、上下型成形面の間隔を所定の値に制御する方法を挙げることができる。この成形型は、下型3、上型4、胴型5および上部胴型6から構成されており、上型4は上部胴型6の内部で摺動可能となっている。なお、2はゴブである。下型3を収容する胴型5と上型4を収容する胴型6を用い、プレス時に上記2つの胴型を当接する。それから上下型の成形面間隔を狭めて行きゴブをプレスする。この際、上下型のストロークが制御され、上下型成形面の間隔を所定の値に制御する。
【0030】
第1の手法はプレス成形型の形状を設定すれば、成形面の最小間隔は機械的手段によって常に一定に保たれるので、好ましい。
第2の手法では、ガラスブランクの外径測定時、胴型内の下型をガラスブランクとともに上昇させて、胴型の上端よりもガラスブランク周縁部が上になるような操作を行うことが望ましい。
【0031】
次に、ガラスブランクの外径測定法について説明する。成形直後のガラスブランクは高温であり、接触式測定を行うと接触箇所が変形するおそれがある。また接触式測定は測定対象が静止している間に行う必要があるため、溶融ガラスの供給、プレス成形を繰り返す本発明に適用すると生産効率を低下させてしまう。さらに非接触方式の測定は接触方式の測定よりも高速に測定できるので、ガラスブランクの外径変動を速やかに溶融ガラスの供給量調整にフィードバックすることができる。
【0032】
非接触式測定方法としてはレーザビームを用いた光学式測定法が最も好適であるが、その他に金型とガラスの温度差を利用した測定方法などの方法を例示することができる。
【0033】
外径の測定結果を速やかにフィードバックするという観点から、プレス成形直後のガラスブランクの外径を測定することが好ましい。また、複数の下型を溶融ガラスを供給する位置、プレス成形する位置、ガラスブランクの外径を測定する位置および下型からガラスブランクを取り出す位置に循環移送してガラスブランクを順次成形する場合、プレス成形する位置の近くにガラスブランクの外径を測定する位置を設定することが好ましい。特に複数の下型をターンテーブル上に配置し、ターンテーブルをインデックス回転させることによって上記循環移送を行う場合、プレス成形のセクション(停止位置)の次のセクションで外径測定を行うことが好ましい。なお、プレス成形後、ガラスブランクの反りを修正したり、ガラスブランクの冷却を促進するために、下型上のガラスブランク上面を押圧部材で押圧する場合には、前記押圧後にガラスブランクの外径測定を行うことが好ましい。
なおガラスブランクの外径測定は一箇所だけで行ってもよいが、複数の箇所で行ってもよいし、それぞれ異なった場所における測定結果に基づいて上記供給量の制御を行ってもよい。
【0034】
外径の測定データはコンピュータ、シーケンサなどによって処理され、そのデータに基づき上記手法などによって溶融ガラスの供給量を随時調整する。
なお、上記制御はガラスブランクの外径に対し、前記外径の変化が0.05〜0.1%の範囲におさまるように行うことが望ましい。
【0035】
本発明のガラスブランクの製造方法においては、前記したように、プレス成形時に形成されるガラスブランクの周縁部を成形型に接触しないようにする、すなわち前記周縁部を規制しないようにすると、周縁部は自由表面となる。自由表面は成形型の成形面が転写されていないので、成形面に存在する加工痕が転写されることがない。また粉末状離型剤を成形面に塗布して成形を行う場合、自由表面は粉末が塗布された成形面により加圧されないので、離型剤による荒れがこの部分にはできない。
【0036】
また周縁部は、プレス成形過程で従来と比較して比較的低粘度を保つことができ、成形品のヒケが生じる時点でも周縁部の塑性変形は可能である。それに対して、上下型成形面によって転写成形された面は冷却が進んで高粘度化するので、ヒケを周縁部に分散させることができ、ヒケによるブランクの形状精度低下を低減することもできる。
【0037】
ゴブの量を毎回、厳密に等しくしたり、前記公報のように外周から余剰ガラスをはみ出させるだけでは、ヒケによって成形品の最大厚みに相当する全高のばらつきが大きくなる。一方、本発明のように、ヒケを成形品の周縁部に分散させる方法では、成形毎の全高を±5〜10μm以内に収めることができる。
【0038】
ブランクに厚肉部と薄肉部を設ける場合、該厚肉部は、ブランクの両主表面側からの圧力をこの厚肉部が受け止めるように成形することが望ましい。そのためには、ブランク外周部に厚肉部を、外周部に囲まれた部分に薄肉部を形成するか、ブランク中心部に厚肉部を、その周囲に薄肉部を形成するか、又はブランク外周部と中心部に厚肉部を、外周部と中心部の間に薄肉部を形成することが好ましい。そして、薄肉部の肉厚、厚肉部の肉厚をそれぞれ均一にすることが好ましい。
ブランクの形状としては、磁気ディスク用基板のように加圧方向に対称な形状、すなわち円板形状が好ましい。円板状のブランクでは、円板の側面が周縁部となる。
【0039】
本発明は、厚みが0.8〜2.2mmのガラスブランク作製に好適である。厚肉部、薄肉部を有するブランクでもブランクの厚みの最大値と最小値がともに、上記範囲にあるガラスブランクの作製に好適である。
【0040】
図1(a)〜(d)は、本発明の方法で得られる円板状ガラスブランクの形状の異なる例を示す主表面に対する垂直断面概略図であって、符号1はガラスブランクを示す。
【0041】
図1における(a)は、厚肉部、薄肉部がなく、均一な厚みの円板状ガラスブランクを示し、厚みとしては0.8〜1.8mmが好ましく、0.9〜1.7mmが特に好ましい。また上記厚さを有し、かつ外径が60〜100mmのブランクが好適である。(b)は、ガラスブランク1の外周部に厚肉部11を、外周部に囲まれた部分に薄肉部12を有するガラスブランクを示し、(c)は、ガラスブランク1の外周部と中心部に、それぞれ厚肉部11および11′、外周部と中心部の間に薄肉部12を有するガラスブランクを示す。また、(d)ガラスはブランク1の中心部に厚肉部11′を、厚肉部11′の周囲に薄肉部12を有するガラスブランクを示す。このように、厚肉部11および/または11′、薄肉部12を有する円板状ブランクの場合、厚肉部の厚みは1.0〜2.2mm、薄肉部の厚みは0.8〜2.0mmとすることが好ましい。また上記の厚みの範囲にあって、外径が60〜100mmのガラスブランクが好適である。なお、符号13は、周縁部を示す。
【0042】
本発明のガラスブランクの製造方法に従って、プレス成形を行うことにより、ゴブが広がりやすくなり、成形品の薄板化に対してもプレス圧力を過度に高める必要がなくなる。その結果、プレス不良を低減するとともに、粉末状離型剤が不要になり、離型剤による成形品の表面荒れが低減される。また、ノッチ形成部における成形品の損傷を防ぐためにも、ノッチのような局所的な薄肉部を形成しないことが有利である。
本発明のガラスブランクの製造方法は、情報記録媒体用ガラスブランクの作製に適用される。
【0043】
次に、成形型の構造とプレス成形の流れについて説明する。
図2は、前記図1(a)に示される円板状ガラスブランクをプレス成形により作製する様子の1例を示す模式図である。成形型は、下型3、上型4から構成されている。上型4には、成形面を囲むように型締め時に下型3に当接して上下型成形面の間隔を規制するためのストッパーが設けられている。図2のようにキャスト工程では、流出パイプ5から溶融ガラス流6を流出し、下型成形面の中央に供給する。なお、図2に示すように、下型3の成形面が形成されている上面は、平坦になっている(ガラスブランクの肉厚部を成形する部分を除く。)。次の切断工程では、溶融ガラス流を切断刃7で切断し、下型成形面上に所定重量のゴブ2を得る。続いて、このゴブを上型4と下型3でプレスするが、型締め時には上記ストッパーによって上下型成形面の間隔が規制される。ゴブ2は上下型により加圧されて、上下型によって形成されるキャビティ内に押し広げられて、プレス成形品1に成形される。成形品の周縁部は、上型4、下型3のいずれにも接触せず、自由表面として成形品1に残る。プレス成形後、上型4は下型3上のプレス成形品1から離されて上方へ退避する。プレス成形品1の外径は、成形品が上型4から離型され、下型3上にある時点で測定される。図2に成形品の外径測定の一例を示す。この例では、非接触式測定法として光学的手段を用いている。すなわち、プレス成形品1を載せた下型3の移送経路を挟むように、外径測定用センサーの投光側8と受光側9を配置する。投光側8から受光側9へ向けてセンサー光が出射している。下型3が前記投光側8と受光側9の間に停止した時、センサー光の一部はプレス成形品1によって遮られ、受光側9に到達しない。この到達しない幅を測定することにより、プレス成形品1の外径を速やかに測定することができる。外径の測定データは上記のように、流出パイプ5から流出するガラスの流量、ガラスの切断サイクルにフィードバックされる。外径測定後、プレス成形品1が取り出しのための力を加えても変形しない温度まで冷却されてから、下型3からプレス成形品を取り出す(テイクアウト)。
【0044】
図1(b)、(c)、(d)で図示されたガラスブランクの作製も成形型の転写成形面の形状を該ブランクの形状に合わせて変更するだけで、概ね上記と同様に行われ、周縁部13に自由表面を有するガラスブランクが得られる。
【0045】
次に上記成形型を用いたガラスブランクの作製について説明する。
情報記録媒体用基板の材料としては、例えば化学強化可能なアルカリ金属酸化物を含むガラス、高速回転時にたわみの少ない高ヤング率のガラス、結晶化させることによってヤング率を高めることができるとともに、研削、研磨仕上げによって平坦かつ平滑な結晶化ガラス基板表面が得られるガラス、あるいは基板自体又は表面に光学薄膜を設けることにより光学フィルターとなる基板材料に適したガラスなどが用いられる。このようなガラスとしては、アルカリ金属酸化物、特に酸化リチウムを含むアルミノシリケートガラス、さらに酸化ジルコニウムを加えたアルミノシリケートガラス、酸化マグネシウムなどの二価成分を含むアルミノシリケートガラスなどが挙げられる。
【0046】
ガラスブランクの作製は、次に示す方法により、行うことができる。まず、溶解、清澄、攪拌均一化されたこれらガラス材料からなる溶融ガラスを、流出ノズルから一定の流出速度で連続して排出させ、この溶融ガラス流をシアと呼ばれる切断機によって、常に一定重量のゴブが得られるように周期的に切断する。切断されたゴブは流出ノズル直下で待機している下型により受け取られる。流出ノズルから排出される溶融ガラスの粘度は0.3〜100Pa・s程度であり、下型の温度はゴブの温度よりも低温ではあるが、ゴブ温度が急降下してプレス不能とならない温度に加熱調温される。
【0047】
上記キャストが終わってゴブを載置した下型は上型が待機しているプレス位置に移送されて、上型及び下型によりプレス成形される。この際の上下型温度、プレス圧力、プレス時間は、形成される成形品の周縁部が成形型に触れないような条件で適宜設定する。例えば、上型の温度を250〜550℃、下型の温度を350〜650℃とし、上型温度を前記範囲内で下型温度ないし[下型温度−100℃]の範囲に設定することができる。プレス時の加圧力については数GPa程度を目安にできるが、特にこの範囲に限定されるものではなく、適宜調整すればよい。
【0048】
本発明においては、このガラスブランクの成形において、上下型成形面の最小間隔を規制すると共に、成形されたガラスブランクの外径を、前記下型上にて非接触式測定器により測定し、その測定結果に基づき、溶融ガラスの供給量が調整される。
【0049】
プレス成形が終わると成形品上面が上型から離型され、成形品を載置した下型はテイクアウトを行う位置に移送される。なお、プレス位置とテイクアウト位置の間で下型を停留させて、下型上の成形品の上面を押し型で押圧し、成形品の反りを修正してからテイクアウト位置に下型ごとを移送してもよい。成形品はテイクアウト位置に移送されるまでの間にガラス転移温度付近あるいはガラス転移温度より低い温度にまで冷却される。これはテイクアウトの際に加わる力によって、成形品が変形してしまうのを防ぐためである。テイクアウトは成形品の上面を吸着手段で吸着保持して行われる。テイクアウトされた成形品は、大気中で急冷されたのち、アニール炉に入れられてアニールされる。アニールによって除歪されたガラスブランクは、研削工程、あるいは内径外径加工、または結晶化のための熱処理工程へと移される。
【0050】
このようにして作製されたガラスブランクの平行度、平坦度はともに、ディスク状ブランクの最小肉厚が2.2mm以下、外径が100mm程度であっても10μm以内の範囲に入っており、冷却過程における大きなうねりの発生が解消されている。この平行度、平坦度は、外径95mm、厚さ1mmの基板を得るためにブランクの最小肉厚を1.2mm程度にまで低減しても、また外径65mm、厚さ0.63mmの基板を得るためにガラスブランクの最小肉厚を1.0mmにまで低減しても維持されており、本発明の方法がいかに有効であるかが分かる。
【0051】
ガラスブランクが円板状の場合、直径が60〜100mmの範囲のもの、四角形などの多角形の場合においては、一辺の長さが60〜100mmの範囲のものに本発明の方法は好適であるが、加圧方向に対して回転対称な円板状ガラスブランクの作製に対して特に好適である。
【0052】
次に、上記ガラスブランクを用いて情報記録媒体用基板を作製する工程を例に挙げ、ガラス基板の製造方法について説明する。上記ガラスブランクに内径外径加工を施した後、研削、研磨加工を施すことにより、基板形状に整えられるとともに平坦かつ平滑な主表面を付与されて基板となる。アルカリ金属酸化物を含むガラスからなる基板の場合、基板をアルカリ金属溶融塩に浸漬させてイオン交換による化学強化を行ってもよい。上記各工程において、適宜、洗浄などの工程を加えることができる。
【0053】
結晶化ガラス基板を得る場合、適宜、研削や内径外径加工などの加工を施したブランクを熱処理し、結晶相をアモルファス相中に析出させる結晶化を行い、これに研削、研磨加工を施して、あるいは内径外径加工を加えて基板を得る。上記各工程においても、適宜、洗浄などの工程を加えることができる。
【0054】
いずれの場合も、ガラスブランクの厚みを薄くできるとともに、安定した外径、肉厚を有し、うねりの小さなブランクを使用できるので、研削、研磨しろを、ほぼ一律に40%程度低減することができ、省資源、環境負荷の低減、コスト低減、研削、研磨加工時間の短縮化などのメリットが得られる。
【0055】
このようにして得られた情報記録媒体用基板の主表面に、情報記録層、例えば磁気記録層などを形成して磁気記録媒体を得る。磁気記録媒体の他、同様にして記録層を設けて、光磁気記録媒体、光メモリなどの情報記録媒体を得ることもできる。
また、情報記録媒体の他、光学フィルター基板、この基板表面に光学薄膜(多層膜を含む)を設けた光学素子なども得ることができる。
【0056】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0057】
実施例1
図2に示す成形型を用いて、酸化リチウム及び酸化ジルコニウムを含むアルミノシリケートガラスからなるゴブをプレス成形し、磁気ディスク用基板のガラスブランクを作製した。
【0058】
ただし、プレス成形後、上型より離型されたガラスブランクが下型成形面上に載置された状態で、ガラスブランク外周が露出するよう、成形面を含む上面が平坦な下型を用いた。下型はインデックス回転するターンテーブル上に配置され、ガラスブランクとともに移送されるが、移送方向に対してガラスブランクの最前部と最後部の距離をガラスブランクの外径とした。最前部と最後部の距離測定はレーザビームを用いた測定装置により対象物に接触せずに行った。外径の測定データ信号に基づき、溶融ガラスの供給量を制御し、以下の結果を得た。
【0059】
すなわち、外径目標値96mm、肉厚目標値1.6mmのガラスブランクを成形するに際し、外径変化が0.05〜0.1%以内になるように上記制御を行った結果、外径96.0mm、肉厚1.6mm、外径変動0.1mm以下のガラスブランクを量産することができた。
【0060】
これらのガラスブランクに中心穴開け加工、外径加工、面取り加工、ラッピング加工、ポリッシング加工などを施し、直径95.0mm、厚さ1.0mmの磁気ディスク用基板を作製した。上記機械加工はガラスブランクの外径、肉厚が揃っているので円滑に行うことができた。なお、このガラス基板には必要に応じて化学強化を施してもよい。
さらに、上記基板の主表面上に磁性薄膜等の情報記録層を含む多層膜を形成して磁気記録媒体を作製した。
【0061】
比較例1
実施例1と同様の目標値のガラスブランクを成形したが、外径測定に基づく溶融ガラスの供給量へのフィードバックは行わなかった。その結果、ガラスブランク外径の変動は0.4mmであった。
【0062】
実施例2
実施例1と同様にして、外径目標値85mm、肉厚目標値1.3mmのガラスブランクを成形するに際し、外径変化が0.05〜0.1%以内になるように制御を行った結果、外径85.0mm、肉厚1.3mm、外径変動0.075mm以下のガラスブランクを量産することができた。
【0063】
これらのガラスブランクに中心穴開け加工、外径加工、面取り加工、ラッピング加工、ポリッシング加工などを施し、磁気ディスク用基板を作製した。上記機械加工はガラスブランクの外径、肉厚が揃っているので円滑に行うことができた。なお、このガラス基板には必要に応じて化学強化を施してもよい。
さらに、上記基板の主表面上に磁性薄膜等の情報記録層を含む多層膜を形成して磁気記録媒体を作製した。
【0064】
比較例2
実施例2と同様の目標値のガラスブランクを成形したが、外径測定に基づく溶融ガラスの供給量へのフィードバックは行わなかった。その結果、ガラスブランク外径の変動は0.4mmであった。
【0065】
実施例3
実施例1と同様にして、外径目標値66mm、肉厚目標値0.9mmのガラスブランクを成形するに際し、外径変化が0.05〜0.1%以内になるように制御を行った結果、外径66.0mm、肉厚0.9mm、外径変動0.05mm以下のガラスブランクを量産することができた。
【0066】
これらのガラスブランクに中心穴開け加工、外径加工、面取り加工、ラッピング加工、ポリッシング加工などを施し、直径65.0mm、厚さ0.635mmの磁気ディスク用基板を作製した。上記機械加工はガラスブランクの外径、肉厚が揃っているので円滑に行うことができた。なお、このガラス基板には必要に応じて化学強化を施してもよい。
さらに、上記基板の主表面上に磁性薄膜等の情報記録層を含む多層膜を形成して磁気記録媒体を作製した。
【0067】
比較例3
実施例3と同様の目標値のガラスブランクを成形したが、外径測定に基づく溶融ガラスの供給量へのフィードバックは行わなかった。その結果、ガラスブランク外径の変動は0.4mmであった。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、安定した外径、肉厚を有し、うねりなどの発生が抑制された精度の良好な薄板状のガラスブランクをダイレクトプレスによって作製することができる。
したがって、均一な外径を有する良好なガラスブランクを量産できるので、これらのガラスブランクの外径加工を含む機械加工が容易になり、生産性よく情報記録媒体用基板を作製することができ、ひいては情報記録媒体も生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円板状ガラスブランクの形状の異なる例を示す主表面に対する垂直断面概略図である。
【図2】円板状ガラスブランクをプレス成形により作製する様子の1例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ガラスブランク(プレス成形品)
2 ゴブ
3 下型
4 上型
5 流出パイプ
6 溶融ガラス流
7 切断刃
8 外径測定用センサーの投光側
9 外径測定用センサーの受光側
11,11′ 肉厚部
12 薄肉部
13 周縁部

Claims (5)

  1. 所定量の溶融ガラスを下型上に供給し、該下型および下型と対向する上型を含むプレス成形型を用いてプレス成形する工程を繰り返して、所定の外径を有する情報記録媒体基板用のガラスブランクを順次成形するガラスブランクの製造方法において、
    プレス時に前記ガラスの周縁部がプレス成形型に接触しないように、かつ上下型成形面の最小間隔を規制してガラスブランクを成形するとともに、成形されたガラスブランクの外径を前記下型上にて非接触式測定器により測定し、その測定結果に基づき溶融ガラスの供給量を調整することを特徴とするガラスブランクの製造方法。
  2. プレス成形時において、上下型成形面の間隔を規制する手段を備えたプレス成形型を用いる請求項1に記載のガラスブランクの製造方法。
  3. 複数の下型を順次、溶融ガラスを供給する位置、プレス成形する位置、ガラスブランクの外径を測定する位置および下型からガラスブランクを取り出す位置に循環移送してガラスブランクを順次成形する請求項1または2に記載のガラスブランクの製造方法。
  4. 請求項1、2または3に記載の方法によりガラスブランクを作製し、得られたガラスブランクを機械加工して情報記録媒体用基板を作製することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
  5. 請求項4に記載の方法により情報記録媒体用基板を作製し、得られた情報記録媒体用基板上に情報記録層を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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