JP4200669B2 - ハイブリッド自動車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、駆動軸への動力の出力により走行可能なハイブリッド自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、駆動軸への動力の出力により走行するハイブリッド自動車としては、エンジンの回転軸とモータの回転軸と他の回転軸の3軸に接続されたプラネタリギアを備え、モータの回転軸に第1クラッチを介して接続されると共に他の回転軸に第2クラッチとその回転軸の回転を止めるブレーキB1とを介して接続された駆動軸に要求動力を出力するものが提案されている。このハイブリッド自動車では、第1,第2クラッチおよびブレーキB1の切り替え制御により、エンジンとモータの組み合わせによる複数の走行モード、例えば、第1クラッチを係合するモータ単独の駆動によるモータ走行、第1および第2クラッチを係合するエンジンとモータの直結走行、第1クラッチおよびブレーキB1を係合するエンジンおよびモータの駆動による後進モードなどを形成することができる。したがって、走行中に第1,第2クラッチのいずれかに異常が生じて現在の走行モードを維持することができなくなった場合でも、正常な他方のクラッチを制御することにより形成可能な他の走行モードでの待避走行を行うことができる。
【0003】
しかし、こうしたハイブリッド自動車では、第1,第2クラッチの異常時に走行可能な他の走行モードに直接移行することができない場合がある。例えば、エンジンを停止させてモータ単独の駆動により走行しているときに、第2クラッチの係合故障によりエンジンの回転軸と駆動軸とが直結した場合には、エンジンの駆動による待避走行を行おうとしても、エンジンの回転は自動車の車速に依存するから、エンジンを始動することができない。また、ある走行モードからクラッチ故障により他の走行モードに移行する必要が生じた場合、他の走行モードに直接移行することが理論上可能であっても、クラッチの異常に対処するために複数の走行モードの中から待避走行を行うためのあらゆるパターンの走行モードの移行制御を別途形成するのは、徒に走行モードの移行パターンを増やすことになり走行モードの移行制御が複雑になってしまう。
【0004】
また、こうした従来のハイブリッド自動車において、走行モードの移行の便宜などから、他の回転軸の回転を止めるブレーキB1を作動させると、第1クラッチが強制的に係合するように油圧回路が形成されたものもある。このハイブリッド自動車では、エンジンを停止させてモータ単独の駆動により第1クラッチを介して後進走行しているときに、第1クラッチが解放故障した場合には、駆動軸への動力伝達が遮断され動力が駆動軸に出力されないままモータの回転数が上昇することになる。ここで、ドライバが駆動軸に駆動力を与えようとしてアクセルペダルを踏み込むと、ブレーキB1を作動させてエンジンの動力を追加する走行モードの選択が行われる。前述したように、ブレーキB1を作動させると、第1クラッチが強制的に係合の状態となるから、第1クラッチが係合したときに駆動軸への動力伝達が急激に行われて、第1クラッチが摩耗したり、係合ショックが発生したりしてハイブリッド自動車の乗り心地が悪化する場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明のハイブリッド自動車は、異常時の待避走行への移行をより簡易にすることを目的の一つとする。また、本発明のハイブリッド自動車は、異常時の待避走行への移行を滑らかに行なうことを目的の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明のハイブリッド自動車は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
あるハイブリッドユニットは、
駆動軸に動力を出力可能なハイブリッドユニットであって、
出力軸を有する内燃機関と、
回転軸を有する電動機と、
前記内燃機関の出力軸と前記電動機の回転軸と入出力軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2軸が独立して回転可能で他の1軸が該2軸に従属して回転する3軸式動力入出力手段と、
該3軸式動力入出力手段における少なくとも2軸と前記駆動軸との間の動力伝達を制御可能な複数の継断手段と、
前記複数の継断手段の各々の異常を検出する異常検出手段と、
該異常が検出されたとき、該異常に対応した前記複数の継断手段の制御を行なう前に、該複数の継断手段を解放する動作を行なう異常時継断制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
このハイブリッドユニットでは、3軸式動力入出力手段における少なくとも2軸(例えば、入出力軸を含む少なくとも2軸)と駆動軸との間の動力伝達を制御可能な複数の継断手段の各々の異常を検出する異常検出手段が異常を検出したとき、異常時継断制御手段が、異常に対応した複数の継断手段の制御を行なう前に、複数の継断手段を解放する動作を行なうから、複数の継断手段の一部に異常が生じた場合であっても、異常時における待避制御を行なうのに通常の継断制御を利用することにより、特別な処理を別途構成する必要をなくすことができる。この結果、異常時における待避制御をより簡易にすることができる。
【0009】
本発明の第1のハイブリッド自動車は、
駆動軸への動力の出力により走行可能なハイブリッド自動車であって、
出力軸を有する内燃機関と、
回転軸を有する電動機と、
前記内燃機関の出力軸と前記電動機の回転軸と入出力軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2軸が独立して回転可能で他の1軸が該2軸に従属して回転する3軸式動力入出力手段と、
前記電動機の回転軸と前記駆動軸とを接続および接続解除可能な第1接続解除手段と、
前記入出力軸と前記駆動軸とを接続および接続解除可能な第2接続解除手段と、
前記内燃機関および前記電動機の運転と、前記第1接続解除手段および前記第2接続解除手段による接続および接続解除とを制御して複数の走行モードを形成可能な走行モード形成手段と、
前記第1接続解除手段および前記第2接続解除手段の各々の異常を検出する異常検出手段と、
該異常が検出されたとき、前記走行モードの中から前記異常に対応して形成可能な走行モードへの移行を指令する前に、前記複数の走行モードの一つとしての、前記第1接続解除手段による接続解除および前記第2接続解除手段による接続解除を行なうニュートラルモードへの移行を前記走行モード形成手段に指令するニュートラルモード移行指令手段と、
該ニュートラルモードへの移行の指令がなされた後、前記複数の走行モードの中から前記異常に対応して形成可能な走行モードへの移行を前記走行モード形成手段に指令する移行指令手段と
を備えることを要旨とする。
【0010】
この本発明の第1のハイブリッド自動車では、第1接続解除手段および第2接続解除手段の各々の異常を検出する異常検出手段により異常が検出されたとき、ニュートラルモード移行指令手段が、複数の走行モードの一つとしての第1接続解除手段による接続解除および第2接続解除手段による接続解除を行なうニュートラルモードへの移行を走行モード形成手段に指令し、その指令がなされた後、移行指令手段が、複数の走行モードの中から異常に対応して形成可能な走行モードへの移行を走行モード形成手段に指令するから、車両がある走行モードにあるときに、第1接続解除手段または第2接続解除手段の異常により他の走行モードに移行する必要が生じた場合であっても、異常時における待避走行への移行のための特別な処理を別途構成する必要がない。この結果、走行モードの移行制御をより簡易にすることができる。
【0011】
あるハイブリッド自動車は、
駆動軸への動力の出力により走行可能なハイブリッド自動車であって、
出力軸を有する内燃機関と、
回転軸を有する電動機と、
前記内燃機関の出力軸と前記電動機の回転軸と入出力軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2軸が独立して回転可能で他の1軸が該2軸に従属して回転する3軸式動力入出力手段と、
前記電動機の回転軸と前記駆動軸とを接続および接続解除可能な第1接続解除手段と、
前記入出力軸と前記駆動軸とを接続および接続解除可能な第2接続解除手段と、
前記第1接続解除手段および前記第2接続解除手段の各々の異常を検出する異常検出手段と、
該異常検出手段により前記第1接続解除手段および前記第2接続解除手段のうちのいずれか一方の異常が検出されたときに該異常に対応して少なくとも前記内燃機関の運転により前記駆動軸に動力を出力する場合には、該内燃機関の出力軸の回転が独立となるよう前記第1接続解除手段および前記第2接続解除手段のうちの正常な他方を制御する回転独立制御手段と、
該回転独立制御手段により前記内燃機関の出力軸の回転が独立となったとき、前記内燃機関を運転する運転手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
このハイブリッド自動車は、第1接続解除手段および第2接続解除手段の各々の異常を検出する異常検出手段により、いずれか一方の異常が検出されたときに、その異常に対応して少なくとも内燃機関の運転により駆動軸に動力を出力する場合には、回転独立制御手段が、内燃機関の出力軸の回転が独立となるよう正常な他方を制御し、回転独立制御手段により内燃機関の出力軸の回転が独立となったとき、運転制御手段が、駆動軸に要求される動力に基づいて内燃機関を運転制御するから、第1接続解除手段および第2接続解除手段のうちいずれか一方に異常が生じたときであっても、その異常に基づいて少なくとも内燃機関の運転による待避走行が可能な場合には、正常な他方を制御して、スムーズに内燃機関の運転による待避走行に移行することができる。また、内燃機関の出力軸を独立とした状態で内燃機関の運転を行うから、より容易に内燃機関を運転することができる。
【0013】
また、あるハイブリッド自動車は、
駆動軸への動力の出力により走行可能なハイブリッド自動車であって、
出力軸を有する内燃機関と、
回転軸を有する電動機と、
前記内燃機関の出力軸と前記電動機の回転軸と入出力軸の3軸に接続され、該3軸のうち2軸が独立して動作可能で他の1軸が該2軸に従属して回転する3軸式動力入出力手段と、
前記電動機の回転軸と前記駆動軸とを接続および接続解除が可能な第1接続解除手段と、
前記入出力軸と前記駆動軸とを接続および接続解除が可能な第2接続解除手段と、
前記入出力軸の回転を規制する回転規制手段と、
該回転規制手段の規制に連動して前記1接続解除手段を強制的に接続の状態に作動させる連動作動機構と、
前記駆動軸に要求される動力に基づいて、前記回転規制手段を作動させて前記内燃機関と前記電動機とによる後進走行用の統合動力を前記駆動軸に出力する後進統合制御手段と、
前記第1接続解除手段を介して前記駆動軸に後進走行用の動力を出力している場合に、該第1接続解除手段が異常により接続解除の状態となったときには、前記後進統合制御手段による制御を制限する制限手段と
を備えることを要旨とする。
【0014】
このハイブリッド自動車は、第1接続解除手段を介して駆動軸に後進走行用の動力を出力している場合に、第1接続解除手段が異常により接続解除の状態となったときには、制限手段は、回転規制手段を作動させて内燃機関と電動機とによる後進走行用の統合動力を出力する後進統合制御手段による制御を制限(例えば、禁止)する。回転規制手段による規制が行なわれると、連動作動機構によって、第1接続解除手段は強制的に接続の状態となる。電動機単独による走行中に第1接続解除手段による動力伝達が異常により遮断されたときには、通常、ハイブリッド自動車の操作者は、駆動軸により大きな動力を要求する傾向にあるから、この要求に基づいてより大きな後進走行用の動力を出力するために後進統合制御手段により回転規制手段を作動させると、第1接続解除手段が急激に接続されて、第1接続解除手段の摩耗や接続ショックなどを招くことに基づいている。したがって、この場合に、後進統合制御手段による制御を制限することにより、第1接続解除手段の再係合による摩耗や接続ショックなどを抑制することができる。
【0015】
こうしたハイブリッド自動車において、前記第1接続解除手段を介して前記駆動軸に後進走行用の動力を出力している場合に、該第1接続解除手段が異常により接続解除の状態となったときには、前記内燃機関および/または前記電動機から出力される動力を制限する動力制限手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、第1接続解除手段が異常解放の状態にあるときでも内燃機関や電動機が高回転となるのを抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、スタータインバータ22により駆動制御されるスターターモータ24によって始動されエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)26により運転制御されるエンジン28と、エンジン28のクランクシャフト30とサンギヤ42が接続された遊星歯車40と、遊星歯車40のキャリア45に接続されフロント駆動用インバータ32により駆動制御されるフロント駆動用モータ34と、入力軸50に入力された回転数を無段階変速して前輪12の駆動軸14に出力するCVT60と、遊星歯車40のキャリア45とCVT60の入力軸50とを接続および接続解除可能なクラッチC1と、遊星歯車40のリングギア46とCVT60の入力軸とを接続および接続解除可能なクラッチC2と、遊星歯車40のリングギア46の回転を停止するクラッチB1と、クラッチC1,C2やクラッチB1に対して油圧を供給可能な油圧回路54と、オイルポンプインバータ70により駆動制御されるオイルポンプモータ72の回転駆動により駆動して潤滑オイルをCVT60に供給するオイルポンプ74と、リヤ駆動用インバータ76により駆動制御され後輪16の駆動軸18にトルクを出力するリヤ駆動用モータ78と、各インバータ22,32,70,76に接続されバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)80により管理されるバッテリ82と、車輪速センサ84からの車輪速Vや舵角センサ86からの操舵角,加速度センサ88からの加速度に基づいてスリップ制御やブレーキ制御を行なうブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)90と、ハイブリッド自動車20全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)100とを備える。
【0017】
油圧回路54は、例えば、ソレノイドバルブと、このソレノイドバルブとクラッチC1,C2やクラッチB1との間に形成された油圧ラインとから構成されている。この油圧回路54では、クラッチC1,C2に対しては、各々独立した油圧ラインが形成されており、各々単独で作動させることができるようになっている。一方、クラッチB1に対しては、クラッチB1に作用する油圧が同時にクラッチC1に対しても作用するように油圧ラインが形成されており、クラッチB1に対して油圧を供給すると、クラッチC1の係合状態に拘わらずクラッチB1の係合動作に連動してクラッチC1も強制的に係合動作が行なわれるようになっている。
【0018】
図2は、実施例のハイブリッド自動車20の前輪12の動力システムの構成の概略を示す構成図である。遊星歯車40は、図2に示すように、サンギア42とリングギア46とその間に設けられた複数のプラネタリピニオンギア44とから構成されている。この遊星歯車40は、2個直列に配置されたプラネタリピニオンギア44を一組とする、いわゆるダブルピニオンタイプの遊星歯車機構であり、これら一組のプラネタリピニオンギア44の相対関係を維持しつつ自転を許容するようキャリア45に支持されている。遊星歯車40のサンギア42には、サンギア軸43を介してエンジン28のクランクシャフト30が接続されており、遊星歯車40の複数のプラネタリピニオンギア44を連結するキャリア45には、フロント駆動用モータ34の回転軸48が接続されている。
【0019】
CVT60は、図2に示すように、略円錐面を有する一対のシーブをその略円錐面を向かい合わせて配置され、各々入力軸50と出力軸52とが接続された一対のプーリ62,64にベルト66を掛け渡して構成されている。このCVT60は、シーブの間隔を調節することにより、プーリ62,64に対するベルト66の巻き掛かり半径が変更され、これに伴って変速比を連続的に調節することができるようになっている。なお、CVT60の出力軸52は、減速機68を介して前輪12の駆動軸14に接続されている。
【0020】
HVECU100は、図1に示すように、CPU102を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM104と、一時的にデータを記憶するRAM106と、入出力ポート(図示せず)と、通信ポート(図示せず)を備える。このHVECU100には、シフトポジションセンサ92からのシフトレバーのポジション、アクセル開度センサ94からのアクセル開度APなどを入力ポートを介して入力することができるようになっている。また、HVECU100は、エンジンECU26やバッテリECU80,ブレーキECU90と通信ポートを介して通信しており、バッテリECU80からのバッテリ82の蓄電状態SOCなどが通信ポートを介して入力され、アクセル開度APやシフトレバーのポジション、ブレーキECU90からの車輪速Vなどに基づいてエンジンECU26に向けて出力されるエンジン28の出力指令に基づいてエンジンECU26によるエンジン28の運転制御がなされるようになっている。
【0021】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、クラッチC1,C2やクラッチB1の係合状態の切り替えにより種々の走行モードで走行することができる。例えば、クラッチC1を係合すると共にクラッチC2,B1を解放して、フロント駆動用モータ34単独(エンジン28停止)の駆動により前輪12の駆動軸14に正のトルクまたは負のトルクを出力して前進または後進走行を行なうモータ走行モードや、クラッチC1,C2を係合すると共にクラッチB1を解放して、エンジン28のクランクシャフト30とフロント駆動用モータ34の回転軸48とCVT60の入力軸50とを直結させて(遊星歯車40の3軸を一体的に回転させて)エンジン28またはフロント駆動用モータ34から前輪12の駆動軸14にトルクを出力して前進走行を行なう直結走行モード、クラッチC2を係合すると共にクラッチC1,B1を解放して、エンジン28から出力されるトルクによりフロント駆動用モータ34に作用する反力トルクをキャンセルしながらエンジン28のトルクを増幅して前輪12の駆動軸14に出力するトルク増幅走行モード、クラッチC1,B1を係合すると共にクラッチC2を解放して、エンジン28およびフロント駆動用モータ34の駆動により前輪12の駆動軸14に負のトルクを出力して後進走行を行なうエンジンモータ後進走行モード、クラッチC1,C2を解放して前輪12の駆動軸14へのトルクの伝達を遮断するニュートラルモードなどがある。これらの各走行モードの選択は、シフトポジションセンサ92からのシフトレバーのポジションやアクセル開度センサ94からのアクセル開度AP、ブレーキECU90からの車輪速Vなどに基づいてHVECU100により行なわれる。
【0022】
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、クラッチC2に異常が生じた際の待避走行の動作について説明する。図3は、HVECU100のCPU102により実行される待避走行制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、例えば、現在の走行モードとしてエンジン28が停止状態にあるモータ走行モードで走行している場合に所定時間毎に繰り返し実行される。
【0023】
待避走行制御ルーチンが実行されると、HVECU100のCPU102は、まず、アクセル開度APや車輪速V、蓄電量SOC、クラッチC2の係合状態などを読み込み(ステップS100)、読み込んだクラッチC2の係合状態からクラッチC2が異常係合しているか否かを判定する(ステップS102)。この判定では、現在の走行モードがモータ走行モードである場合には、クラッチC2は解放しているはずであるから、クラッチC2が係合しているときは異常係合であると判定する。この判定の結果、クラッチC2は異常係合していないと判定されると、現在のモータ走行モードは適正に維持でき待避走行を行なう必要はないと判断して本ルーチンを終了する。
【0024】
一方、クラッチC2は異常係合していると判定されると、現在のモータ走行モードによる走行は維持できず、クラッチC2が異常係合した状態でも形成可能な走行モードへ移行して待避走行を行なう必要があると判断して以下の処理を行なう。即ち、まず、現在の走行モードからクラッチC1,C2を解放するニュートラルモードへの移行を指令する処理を行なう(ステップS104)。これにより、ニュートラルモードへの移行処理が行なわれるが、クラッチC2は異常係合しているから、移行指令に基づくニュートラルモードへの移行処理によっても、クラッチC2は解放せずにクラッチC1のみが解放されることになる。そして、この状態(クラッチC2は異常係合の状態にあるが走行モードとしてはニュートラルモードの状態)からクラッチC2が異常係合した状態でも形成可能な走行モード、例えば、前述のトルク増幅走行モードへの移行を指令して(ステップS106)本ルーチンを終了する。ここで、ステップS104で一旦ニュートラルモードへの移行指令を行なった後ステップS106で待避のための走行モードへの移行指令を行なうのは、通常の状態(クラッチC1,C2正常時)での走行モードの移行処理として、ニュートラルモード以外の他の走行モードからニュートラルモードへの移行処理とニュートラルモードから他の走行モードへの移行処理とが構成されているから、こうした通常状態の移行処理を最大限利用することより、異常状態における待避走行用の移行処理を別途構成する必要をなくし、走行モードの移行処理を簡易にするためである。なお、ステップS106において、ニュートラルモードからトルク増幅走行モードへの移行を指令するのは、クラッチC1が係合している状態では、エンジン28のクランクシャフト30とフロント駆動用モータ34の回転軸48とCVT60の入力軸50(前輪12の駆動軸14)とが直結した状態となるから、停止しているエンジン28が引きずられてしまい、エンジン28を始動することができないが、クラッチC1が解放している状態では、エンジン28のクランクシャフト30は独立して回転可能な状態となるから、エンジン28を始動することができるからである。エンジン28が始動されると、読み込んだアクセル開度APや車輪速V、蓄電量SOCに基づいてエンジンECU26に運転指令を出力したり、フロント駆動用モータ34の運転制御(ハイブリッド自動車20の運転制御)が行なわれることになる。
【0025】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、クラッチC1を係合すると共にクラッチC2,B1を解放するエンジン28停止状態のモータ走行モードにより走行しているときに、クラッチC2が異常係合した場合には、ニュートラルモードへの移行指令を行なうことにより正常なクラッチC1を解放してエンジン28のクランクシャフト30を独立して回転自在な状態にしてから、クラッチC2が異常係合した状態で待避走行可能なトルク増幅走行モードへの移行指令を行なうことによりエンジン28を始動してエンジン28の運転による待避走行に移行するから、クラッチ異常状態における特別な待避走行用の処理を構成する必要がない。この結果、走行モードの移行制御をより簡易にすることができる。
【0026】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン28を停止した状態で走行するモータ走行モードによる走行を行なっている場合の走行モードの移行処理について適用したが、これに限られずモータ走行モードとは異なる他の走行モードのときにクラッチC1,C2のいずれかに異常が発生して現在の走行モードが維持できなくなったときに、その異常の状態に基づいて形成可能な他の走行モードに移行する場合にも適用可能である。
【0027】
次に、第2実施例のハイブリッド自動車20Bについて説明する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bは、HVECU100Bにおける処理を除いて図1に示す第1実施例のハイブリッド自動車20と同一の構成をしている。したがって、第1実施例のハイブリッド自動車20と同一部分については同一の符号を付しその説明を省略する。
【0028】
図4は、ハイブリッド自動車20BのHVECU100Bにより実行される後進制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、現在の走行モードがモータ走行モードによる後進走行である場合に、所定時間毎に繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、HVECU100BのCPU102Bは、まず、クラッチC1の係合状態を読み込み(ステップS200)、読み込んだクラッチC1の係合状態からクラッチC1が異常解放しているか否かを判定する(ステップS202)。この判定では、現在の走行モードがモータ走行モードである場合には、クラッチC1は係合の状態にあるはずであるから、クラッチC1が解放しているときはクラッチC1の異常解放であると判定する。この判定で、クラッチC1が係合していると判定されたときには、クラッチC1に異常はないと判断して、アクセル開度APと車輪速Vと蓄電量SOCとに基づいて、複数の走行モードの中から効率的に走行可能な走行モードを選択して(ステップS206)、本ルーチンを終了する。これにより、選択された走行モードでのハイブリッド自動車20Bの走行が行なわれる。
【0029】
一方、クラッチC1が異常解放していると判定されると、エンジン28およびフロント駆動用モータ34の駆動により後進走行するエンジンモータ後進走行モードへの選択を禁止し(ステップS204)、エンジンモータ後進走行モードを除く複数の走行モードの中からクラッチC1が異常解放している状態で形成可能な走行モードを選択して(ステップS206)、本ルーチンを終了する。モータ走行モードにより後進走行をしているときに、クラッチC1が異常解放した場合には、フロント駆動用モータ34の回転軸48から前輪12の駆動軸14への動力伝達が遮断される。このとき、ハイブリッド自動車20の操作者は、前輪12の駆動軸14への駆動力が不足している判断して駆動軸14により大きな駆動力を出力させようとしてアクセルペダルを大きく踏み込む傾向にあるため、かかるアクセルペダルの開度に対応してフロント駆動用モータ34の駆動力に加えてエンジン28の駆動力を付加するエンジンモータ後進走行モードが選択される。ここで、エンジンモータ後進走行モードが選択されると、前述したようにクラッチB1が係合されると共にクラッチB1の係合に連動して強制的にクラッチC1が再係合されるから、エンジン28およびフロント駆動用モータ34からより大きな駆動力が出力された状態で急激にクラッチC1が再係合される。この結果、クラッチC1の摩耗や係合ショックが生じる。そこで、こうした、エンジンモータ後進走行モードの選択を禁止することにより、クラッチC1の急激な係合による摩耗や係合ショックなどの発生を抑制するのである。
【0030】
以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車20Bによれば、モータ走行モードにより後進走行しているときに、クラッチC1が異常解放したときには、アクセルペダルの開度に拘わらずエンジンモータ後進走行モードの選択を禁止するから、エンジン28およびフロント駆動用モータ34の駆動により、より大きな駆動力が出力されている状態で、クラッチB1の係合に連動したクラッチC1の再係合に基づくクラッチC1の摩耗や係合ショックの発生を抑制することができる。
【0031】
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、アクセルペダルの開度などの要求出力に応じてエンジン28やフロント駆動用モータ34から出力されるトルクを制限するものとしてもよい。こうすれば、クラッチC1の異常解放中にエンジン28のクランクシャフト30やフロント駆動用モータ34の回転軸48が高回転となるのを抑制することができる。
【0032】
第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、クラッチC1が異常解放したときには、エンジンモータ後進走行モードの選択を禁止するものとしたが、クラッチC1前後の回転数差、即ち、フロント駆動用モータ34の回転軸48の回転数とCVT60の入力軸50の回転数との差が小さい場合には、クラッチC1の再係合による摩耗や係合ショックは生じないから、エンジンモータ後進走行モードの選択を禁止しないものとしてもよい。このクラッチC1前後の回転数差が小さいか否かの判定は、例えば、フロント駆動用モータ34の回転軸48に取り付けられた回転数センサにより検出された回転数とCVT60の入力軸50に取り付けられた回転数センサにより検出された回転数とを比較することにより行なうことができる。あるいは、クラッチC1が異常解放してからエンジンモータ後進走行モードの選択指令がなされるまでの時間を計測し、この計測時間が所定時間以上経過しているか否かにより行なうことができる。即ち、計測時間が短い場合には、クラッチC1前後の回転数差は小さいと判断するのである。
【0033】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】 実施例のハイブリッド自動車20の前輪12の駆動軸14の動力システムの構成の概略を示す構成図である。
【図3】 実施例のハイブリッド自動車20のHVECU100により実行される待避走行制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】 第2実施例のハイブリッド自動車20BのHVECU100Bにより実行される後進制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
12 前輪、14 駆動軸、16 後輪、18 駆動軸、20,20B ハイブリッド自動車、22 スタータインバータ、24 スタータモータ、26 エンジンECU、28 エンジン、30 クランクシャフト、32 フロント駆動用インバータ、34 フロント駆動用モータ、40 遊星歯車、42 サンギア、43 サンギア軸、44 プラネタリピニオンギア、45 キャリア、46 リングギア、47 リングギア軸、48 回転軸、50 入力軸、52 出力軸、54 油圧回路、60 CVT、62,64 プーリ、66 ベルト、68 減速機、70 オイルポンプインバータ、72 オイルポンプモータ、74 オイルポンプ、76 リア駆動用インバータ、78 リア駆動用モータ、80 バッテリECU、82 バッテリ、84 車輪速センサ、86 舵角センサ、88加速度センサ、90 ブレーキECU、92 シフトポジションセンサ、94アクセル開度センサ、100,100B HVECU、102,102B CPU、104 ROM、106 RAM。
Claims (3)
- 駆動軸への動力の出力により走行可能なハイブリッド自動車であって、
出力軸を有する内燃機関と、
回転軸を有する電動機と、
前記内燃機関の出力軸と前記電動機の回転軸と入出力軸の3軸に接続され、該3軸のうちの2軸が独立して回転可能で他の1軸が該2軸に従属して回転する3軸式動力入出力手段と、
前記電動機の回転軸と前記駆動軸とを接続および接続解除可能な第1接続解除手段と、
前記入出力軸と前記駆動軸とを接続および接続解除可能な第2接続解除手段と、
前記内燃機関および前記電動機の運転と、前記第1接続解除手段および前記第2接続解除手段による接続および接続解除とを制御して複数の走行モードを形成可能な走行モード形成手段と、
前記第1接続解除手段および前記第2接続解除手段の各々の異常を検出する異常検出手段と、
該異常が検出されたとき、前記複数の走行モードの中から前記異常に対応して形成可能な走行モードへの移行を指令する前に、前記複数の走行モードの一つとしての、前記第1接続解除手段による接続解除および前記第2接続解除手段による接続解除を行なうニュートラルモードへの移行を前記走行モード形成手段に指令する接続解除指令手段と、
該接続解除の指令がなされた後、前記複数の走行モードの中から前記異常に対応して形成可能な走行モードへの移行を前記走行モード形成手段に指令する移行指令手段と
を備えるハイブリッド自動車。 - 請求項1に記載のハイブリッド自動車であって、
前記複数の走行モードは、いずれも、異常が検出されていない場合にも選択され得るモードであることを特徴とするハイブリッド自動車。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド自動車であって、
前記異常に対応して形成可能な走行モードは、前記駆動軸にトルク出力するモードであることを特徴とするハイブリッド自動車。
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