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JP4200766B2 - 車両の衝突安全構造 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の衝突安全構造に係り、特に、駆動装置が車室内に突き出すことを簡便な手段で防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車室の前方にダッシュボードを挟んでエンジンやトランスミッションなどの駆動装置が配設されている車両が広く知られているが、このような車両においては、正面衝突時に駆動装置が車室側へ押されると、その駆動装置の端部等の角部がダッシュボードその他のボディ部材に食い込み、ダッシュボードを変形させて車室内に突き出すことがある。図5は、このような車両の一例で、エンジンルーム10を上方から見た概略平面図であり、ダッシュボード12の下側が運転席等を有する車室である。駆動装置としてのパワーユニット14は、ハイブリッド車両用のもので、エンジン16およびモータジェネレータ18等を一体的に備えているとともに、左右のマウント20、22やトルクロッド24などを介してサイドメンバ26、28、クロスメンバ30などのボディ部材によって支持されている。そして、例えば図6の(a) に示すように対向車32と正面衝突、特にオフセット衝突した場合には、一方のサイドメンバ28が座屈して折れ曲がるとともにパワーユニット14が車室側(図の下側)へ押され、そのパワーユニット14に例えば図7に示すように車室側へ向かって突き出す矩形の突出部34が存在すると、その突出部34の角部36が折れ曲がったサイドメンバ28に食い込むとともに、図6(b) に示すようにパワーユニット14が更に車室側へ押されると、そのままダッシュボード12を変形させて車室内に突き出すことがある。図7の突出部34は、モータジェネレータ18にパワーケーブル38を接続するために外周側へ突出して設けられた電源接続部で、正面衝突時に矢印Aで示すようにパワーユニット14全体が回転しながら車室側へ変位させられると、その突出部34の角部36がサイドメンバ28などに食い込むとともに、この食い込みによりパワーユニット14の回転が規制されてそのまま車室内に突き出すのである。
【0003】
一方、このように駆動装置が車室側へ突き出すことを防止するため、例えば特許文献1では、衝突時に車高調整器により車体を持ち上げて高くし、リンク体を介して駆動装置を車体の下方へ移動させることが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−245668号公報
【特許文献2】
特開平8−332858号公報
【特許文献3】
特開2002−200924号公報
【特許文献4】
特開2002−211249号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように車高調整器により車体を持ち上げて駆動装置を車体の下方へ移動させる場合、油圧装置などの大掛かりな装置が必要でコストが高くなるだけでなく、車高調整器などを配置するためにボディの大幅な設計変更が必要であった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、大掛かりな装置や大幅な設計変更を必要とすることなく、簡便な手段で駆動装置が車室内に突き出すことを防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、車室の前方にダッシュボードを挟んで配設された駆動装置の角部が、車両の正面衝突時にそのダッシュボードその他のボディ部材に食い込み、そのダッシュボードを変形させて車室内に突き出すことを抑制する車両の衝突安全構造であって、前記角部よりも大きい曲率半径で湾曲する部分円筒形状の円筒部を一体的に備えているガード部材が、その円筒部の外周面が前記ボディ部材に当接させられるように前記角部に一体的に設けられていることを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明の車両の衝突安全構造において、前記ガード部材は、オフセット衝突時に前記円筒部が前記ボディ部材に当接させられた時に、平面視において前記駆動装置が回転変位させられるようにその円筒部がそのボディ部材上を横滑りするように設けられていることを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第1発明または第2発明の車両の衝突安全構造において、前記ガード部材は、前記円筒部の中心線付近において回動可能に前記角部に取り付けられる取付部を有し、前記円筒部が前記ボディ部材に当接させられた際に、その角部に対してその取付部まわりに相対回動させられることにより、その円筒部がそのボディ部材の表面上を転動しながらその角部をそのボディ部材に沿って移動させることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
このような衝突安全構造においては、駆動装置の角部よりも大きい曲率半径で湾曲する部分円筒形状の円筒部を一体的に備えているガード部材がその角部に一体的に設けられ、正面衝突時にはその円筒部がボディ部材に当接させられるようになっているため、角部に比較してボディ部材に対する係合(食い込みなど)が軽減され、そのボディ部材の表面上を滑るなどして駆動装置が移動させられることにより、車室内への突き出しが抑制される。この場合に、本発明では円筒部を有するガード部材を駆動装置の角部に設けるだけで良いため、駆動装置やボディ等の設計変更が不要であるとともに、追加する部品点数も少なく、簡単且つ安価に構成できる。
【0011】
第2発明では、オフセット衝突時に駆動装置が平面視において回転変位させられるように円筒部がボディ部材上を横滑りさせられることにより、駆動装置が車室内へ突き出すことが抑制される。
【0012】
第3発明のガード部材は、円筒部の中心線付近において回動可能に角部に取り付けられる取付部を有し、円筒部がボディ部材に当接させられた際に、その角部に対して取付部まわりに相対回動させられることにより、円筒部がボディ部材の表面上を転動しながら角部をボディ部材に沿って移動させるため、円筒部がボディ部材の表面上を滑り移動する場合に比較して引っ掛かりが少なく、車室側への突き出しが一層効果的に防止される。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、車室の前方に駆動装置が配置される種々の車両に適用され得る。駆動装置は、エンジンや電動モータなどの走行用駆動源の他、トルクコンバータや自動変速機などを一体的に備えているトランスアクスルなど、種々の態様が可能である。
【0014】
ガード部材を配設する駆動装置の角部は、正面衝突時(オフセット衝突を含む)に車室側へ突き出す可能性が高い部分で、駆動装置の形状や配置形態、マウント構造、種々の衝突態様などを考慮して適宜定められ、例えば前記電源接続部など車室側へ向かって突き出す突出部を有する場合は、その突出部の角部などが適当である。角部は、例えば略平坦な3つの面が互いに略直角に交差する頂点部分であるが、円柱形状の底面と外周面とが交差する円弧形状の稜線部分などでも良い。
【0015】
ガード部材の円筒部は、ボディ部材に食い込み難いように、所定の長さ寸法を有して構成することが望ましく、衝撃を吸収するために駆動装置との間に所定の隙間を設けることが望ましい。ガード部材は、ボルト等の固定手段により角部の側面などに一体的に取り付けられる取付部を有して構成され、円筒部は、例えばその取付部から略直角に折れ曲がるように片持ち状に延び出すように設けられるが、断面が円弧形状乃至はU字形状を成すように回曲させられた回曲部を介して取付部と円筒部とを接続することにより、その回曲部の円弧によりボディ部材に対する食い込みが一層効果的に抑制されるとともに、その回曲部の変形で衝突時の衝撃が一層効果的に吸収される。
【0016】
上記円筒部の部分円筒形状は、例えば中心線まわりに90°以上、或いは120°以上の角度範囲を有して構成される。ガード部材が当接するボディ部材は、車体を構成しているもので、ダッシュボードであっても良いし、クロスメンバやサイドメンバなどでも良い。
【0017】
第2発明では、オフセット衝突時に平面視において駆動装置を回転変位させることにより、その駆動装置が車室内へ突き出すことを抑制するようにガード部材が配設されるが、他の発明の実施に際しては必ずしもオフセット衝突が要件である必要はない。
【0018】
第3発明では、円筒部がボディ部材に当接させられた際に、円筒部がボディ部材の表面上を転動しながら角部をボディ部材に沿って移動させるが、この時の転動方向(角部の移動方向)はガード部材の配設形態によって適宜定められ、駆動装置の形状や配置形態、マウント構造などに応じて例えば駆動装置の自重により下方へ向かうように構成されるが、条件により車両の幅方向へ向かうように構成することもできる。
【0019】
第3発明のガード部材は、取付部まわりに相対回動させられることにより円筒部がボディ部材の表面上を転動させられるが、他の発明の実施に際しては、取付部まわりに回動不能に一体的にガード部材を駆動装置に固設するようにしても良いし、円筒部を積極的に座屈、変形させて衝撃を吸収するようにしても良いなど、種々の態様が可能である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例では、本発明が前記図5乃至図7に示すパワーユニット14に適用された場合について説明する。
【0021】
図1において、前記パワーユニット14の電源接続部である突出部34の角部36、すなわち略平坦な3つの面が互いに略直角に交差する頂点であって、オフセット衝突時に前記図6に示すようにサイドメンバ28に食い込む部分には、ガード部材40が配設されている。パワーユニット14のモータジェネレータ18側の端部には、多数のボルト42によってカバー44が一体的に固設されるようになっており、ガード部材40は、そのうちの1本のボルト42によりカバー44と供締めされてパワーユニット14に取り付けられている。
【0022】
図2は、上記ガード部材40の配設部を拡大して示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) におけるB−B断面に相当する図であり、このガード部材40は、1枚の金属板材をプレスによる絞り加工によって成形したもので、部分円筒形状の円筒部50、固定手段としての前記ボルト42によって突出部34の側面に固定される平坦な取付部52、およびそれ等の円筒部50および取付部52を接続する回曲部54を一体に備えている。円筒部50は、角部36で交わっている3つの稜線部のうち車両の幅方向と略平行な稜線部56と略平行になるように、取付部52から略直角方向に曲げられて片持ち状に延び出している。また、その稜線部56よりも大きい曲率半径で中心線まわりに120°以上の角度範囲を有して、その稜線部56から所定の隙間を隔ててその稜線部56を覆蓋するように設けられており、サイドメンバ28に食い込み難いように所定の長さ寸法(例えば30〜50mm程度)を有している。
【0023】
円筒部50と取付部52とを接続する回曲部54は、断面が略半円弧形状を成すように外側(図2(b) の下側)へ膨出するように回曲させられており、その回曲部54の円弧によりサイドメンバ28に対する食い込みが一層効果的に抑制されるとともに、その回曲部54の変形で衝突時の衝撃が吸収される。
【0024】
また、取付部52は、円筒部50の略中心線上においてボルト42により所定の締付トルクで突出部34の側面に固定されており、通常はガード部材40が図2(a) に示すようにボルト42の右まわり方向の回動端の近傍に位置決めされるが、ガード部材40に所定の回動力が作用すると、突出部34に対してボルト42の左まわりに相対回動することが許容される。すなわち、オフセット衝突時にパワーユニット14が図1に矢印Aで示すように回動しながら車室側へ移動し、図3に示すように円筒部50の外周面がサイドメンバ28に当接させられると、ガード部材40が突出部34に対して相対的にボルト42の左まわりに回動させられ、図3の(b) に示すように円筒部50がサイドメンバ28の表面上を下方へ転動しながら突出部34をサイドメンバ28に沿って下方へ移動させる。
【0025】
このように突出部34が下方へ移動させられることにより、その角部36がサイドメンバ28に食い込んでそのまま車室側へ突き出すことが抑制される。また、突出部34の角部36がサイドメンバ28に食い込むことが抑制されることから、突出部34はサイドメンバ28やクロスメンバ30上を横滑りさせられ、図4に示すように対向車32によってモータジェネレータ18側が更に押されても、パワーユニット14は全体として矢印Bで示すようにエンジン16側が車両前側へ変位するように回転させられ、車室側へ突き出すことが抑制される。
【0026】
このように本実施例では、角部36の稜線部56よりも大きい曲率半径で湾曲する部分円筒形状の円筒部50を一体的に備えているガード部材40がその角部36に一体的に設けられ、オフセット衝突時にはその円筒部50がサイドメンバ28に当接させられるようになっているため、角部36に比較してサイドメンバ28に対する係合(食い込みなど)が軽減され、そのサイドメンバ28に沿って角部36が移動させられることにより、パワーユニット14が車室内へ突き出すことが抑制される。
【0027】
特に本実施例のガード部材40は、円筒部50の略中心線上においてボルト42により所定の締付トルクで突出部34の側面に取り付けられており、円筒部50がサイドメンバ28に当接させられた際に、その突出部34に対してガード部材40が相対回動させられることにより、円筒部50がサイドメンバ28の表面上を下方へ転動しながら角部36をサイドメンバ28に沿って下方へ移動させるため、円筒部50がサイドメンバ28の表面上を滑り移動する場合に比較して引っ掛かりが少なく、車室側への突き出しが一層効果的に防止される。
【0028】
一方、本実施例では円筒部50を有するガード部材40を突出部34の角部36に設けるだけで良いため、パワーユニット14や車体等の設計変更が不要であるとともに、追加する部品点数も少なく、簡単且つ安価に構成できる。本実施例では、カバー44を固定するボルト42を利用してガード部材40を突出部34に取り付けるようになっているため、一層簡単且つ安価に構成される。
【0029】
なお、上記実施例では、ガード部材40に所定の回動力が作用すると突出部34に対してボルト42の左まわりに相対回動するように、ボルト42の締付トルクが定められていたが、ガード部材40をボルト42により回動不能に一体的に突出部34に固設することも可能で、その場合は図4に示すようにガード部材40の横滑りによるパワーユニット14の回転変位Bを中心に車室内への突き出しが抑制される。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたパワーユニットの要部を示す斜視図である。
【図2】図1のパワーユニットに配設されたガード部材を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) におけるB−B断面図である。
【図3】図2のガード部材の車両衝突時における挙動を説明する図で、(a) はサイドメンバに当接した状態、(b) はサイドメンバに沿って下方へ転動した状態を示す図である。
【図4】図1のパワーユニットの車両衝突時における挙動を説明する図である。
【図5】従来のパワーユニットの車両に対する配設状態を説明する概略平面図である。
【図6】図5の車両のオフセット衝突時におけるパワーユニットの挙動を説明する図で、(a) は衝突初期段階の状態、(b) は衝突が進行してパワーユニットの一部が車室内に突き出した状態である。
【図7】図5のパワーユニットの具体例で、図1に対応する図である。
【符号の説明】
12:ダッシュボード 14:パワーユニット(駆動装置) 26、28:サイドメンバ(ボディ部材) 30:クロスメンバ(ボディ部材) 36:角部 40:ガード部材 50:円筒部 52:取付部 B:回転変位

Claims (3)

  1. 車室の前方にダッシュボードを挟んで配設された駆動装置の角部が、車両の正面衝突時に該ダッシュボードその他のボディ部材に食い込み、該ダッシュボードを変形させて車室内に突き出すことを抑制する車両の衝突安全構造であって、
    前記角部よりも大きい曲率半径で湾曲する部分円筒形状の円筒部を一体的に備えているガード部材が、該円筒部の外周面が前記ボディ部材に当接させられるように前記角部に一体的に設けられている
    ことを特徴とする車両の衝突安全構造。
  2. 前記ガード部材は、オフセット衝突時に前記円筒部が前記ボディ部材に当接させられた時に、平面視において前記駆動装置が回転変位させられるように該円筒部が該ボディ部材上を横滑りするように設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の衝突安全構造。
  3. 前記ガード部材は、前記円筒部の中心線付近において回動可能に前記角部に取り付けられる取付部を有し、前記円筒部が前記ボディ部材に当接させられた際に、該角部に対して該取付部まわりに相対回動させられることにより、該円筒部が該ボディ部材の表面上を転動しながら該角部を該ボディ部材に沿って移動させる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の衝突安全構造。
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