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JP4201680B2 - ガラスクロスの加工方法 - Google Patents
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Description

本発明は電子・電気分野で使用されるプリント配線板に用いられるガラスクロスの加工方法に関するものである。
チップサイズパッケージ(以下、CSPという。)やボールグリッドアレイ(以下、BGAという。)の開発と、それらをプリント配線板上に積載可能にするビルドアッププリント配線板技術の開発とがあいまって、デジタル携帯機器の小型化・軽量化は近年急速に進行している。しかしながら、CSPやBGAのパッケージは、素子と基板とのリード接続部分が非常に短いため、素子と基板との熱膨張率の差に起因する熱ストレスの影響を大きく受けやすい。特にパッケージのXY面方向で熱膨張率の差異が大きい場合、上述の接続部分にかかる熱ストレスは大きくなり、接続信頼性に悪影響を及ぼすことが知られている。
パッケージのXY面方向で熱膨張率の差異が発生する原因の一つとして、基板を構成するガラスクロスのタテ方向及びヨコ方向のガラス量及び形状の違いに起因する、基板の熱膨張率のXY面内での差異の存在が挙げられる。この問題を解決するために、ガラスクロスについては、XY面内において異方性が少ないもの、つまりタテ方向及びヨコ方向のガラス量の均一化、糸のうねりの均一化、糸の拡幅状態の均一化されたものが求められている。具体的にはガラス量に関しては織り密度の最適化、糸のうねり・拡幅状態に関してはガラスクロスへの加工による異方性の改善、によって上述の均一化を達成しようとする試みが成されている(以下、物理的な外力の印加により糸のうねり状態・拡幅状態に変化を与える加工を「物理加工」というものとする。)。
上述の物理加工としては、水中に配設され且つ周面に液体圧出口が並設された構造の回転筒体を設け、該回転筒体にガラスクロスを押圧させて、前記液体圧出口から圧出された液体と回転筒体への押圧とによってガラスクロスを物理加工するバイブロウオッシャー法(特許文献1参照)や、単に回転筒体にガラスクロスを押圧する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしこれらの物理加工法を用いた場合は、ヨコ糸は十分拡幅されるが、物理加工時にガラスクロスのタテ糸方向に作用する張力の為、タテ糸は拡幅不十分となり、タテ糸とヨコ糸の拡幅状態の不均一が発生するという問題があった。
このような問題に鑑み、タテ糸方向に可及的に張力が作用しない条件で上述の物理加工を施す方法が提案されている(特許文献3参照)。特許文献3には実際に張力をどの範囲に設定すべきかの記載はないが、実施例で開示されているタテ糸の開繊率が61.0〜73.4%、ヨコ糸の開繊率が97.2〜99.8%にという記載から、タテ糸がヨコ糸に比して拡幅不十分のものしか得られていない。即ち、タテ糸方向の張力が大きすぎるものであることがうかがわれる。
ベルトコンベア上にガラスクロスを面で保持して搬送することにより、タテ糸・ヨコ糸ともに張力がかからない状態を実現することも可能であるが、完全に無張力の状態が存在する場合は、物理加工によりガラスクロスの目ずれ・目曲がり等の品質低下が発生するという別の問題が発生する。
また、物理加工方法の一つとして、超音波振動子を用いて物理加工を施す方法が知られている(特許文献4参照)。しかしながら、特許文献4記載の方法はガラスクロスの表面処理方法であり、記載された条件では十分な拡幅効果は得られない。又超音波振動子がガラスクロスに接触するために品質の低下が懸念される。
特許第2511322号公報 特開平11−330612号公報 特開2002−038367号公報 特公平07−084703号公報
本発明の目的は、目曲がり等の発生が少なく、かつタテ糸及びヨコ糸を十分拡幅することができるガラスクロスの加工方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、一定の低張力下で物理加工することにより上記課題を解決できることを見いだした。
即ち本発明は以下のガラスクロスの加工方法の発明である。
(1)ガラスクロスの加工方法であって、製織されたガラスクロスを、該ガラスクロスを構成するタテ糸1本あたりにかかる張力が1.5×10 -4 〜6×10 -3 の範囲で、水流による圧力による加工、液体を媒体とした高周波の振動による加工、ロールによる加圧での加工、及び超音波による加工からなる群から選択される少なくとも1つの物理加工を施しかつ乾燥させることを特徴とするガラスクロスの加工方法。
(2)物理加工が10N/cm2 〜1000N/cm2 の範囲の圧力を有する水流による
物理加工であることを特徴とする上記(1)記載のガラスクロスの加工方法。
(3)物理加工が10kHz〜100kHzの範囲の振動数で振動する超音波振動子によって発生させられた超音波による物理加工であることを特徴とする上記(1)記載のガラスクロスの加工方法。
(4)製織されたガラスクロスを、該ガラスクロスを構成するヨコ糸1本あたりにかかる張力が1.5×10 -4 〜6×10 -3 の範囲で、物理加工を施しかつ乾燥させることを特徴とする、上記(1)、(2)、または(3)のいずれか1つに記載のガラスクロスの加工方法。
本発明のガラスクロスの加工方法により、目曲がりの発生が少なく、かつタテ糸及びヨコ糸を十分拡幅することができるガラスクロスの加工方法を提供することができる。
本発明において使用するガラスクロスは、製織時にガラス糸に塗布される潤滑剤をつけたままの状態(以下、「生機」という。)で加工することが好ましい。該潤滑剤は、澱粉・樹脂等のガラス繊維の集束剤を必須成分とし、油剤、または柔軟剤等の成分を含んでいてもよい。潤滑剤の塗布量はガラスクロス全体の質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。
一般にガラスクロスを物理加工する場合には、該物理加工を行う装置の前後に搬送用のロールを介在させて連続的に行うため、タテ方向にガラスクロスを移動させるための張力が作用している。この張力が高い場合はタテ糸を構成するモノフィラメントの移動が制限され、十分なタテ糸の拡幅が達成できない。逆にヨコ糸は張力の影響が無いために十分に拡幅できる。そのためタテ糸とヨコ糸の拡幅状態が異なり、バランスの悪い織物構造となってしまう。この問題からタテ糸及びヨコ糸を十分に且つ均一に物理加工するためには、障害となる張力の影響を除去する必要がある。このため、物理加工時には無張力にすることが好ましい。
しかしながら、完全に無張力下で物理加工した場合は、加工されるガラスクロスにばたつきが発生する。また、ガラスクロス移行の際に斜めに移動してしまう等の問題が生じ、結果的に目ずれ、目曲がり、シワ等の品質面での性能低下が発生してしまうので、単純に無張力下での物理加工が実用上最適だとは言えない。
本発明者らは鋭意検討した結果、タテ糸及びヨコ糸が十分且つ均一に拡幅され、目曲がり等の品質面も問題無く保持される加工方法を見出した。
すなわち、タテ糸及びヨコ糸が十分且つ均一に開繊され、かつ目ずれ等の品質面も問題無く保持されるための物理加工時の張力は、ガラスクロスを構成するタテ糸1本あたりにかかる加工時の張力が2×10-5〜2×10-2Nの範囲内であることが好ましく、1.5×10-4〜6×10-3Nの範囲内であることがより好ましく、3×10-4〜3×10-3Nの範囲内であることが最も好ましい。2×10-5N未満の張力下での物理加工では、ガラスクロスにたるみ等が生じ品質面での特性悪化が発生する。また、2×10-2Nより高い張力下での物理加工では、タテ糸の拡幅状態が不十分となりタテ・ヨコのバランスの悪い織物構造となってしまう。ここで、「 拡幅状態が十分である」 とは、隣りあう糸同士の間隔が該糸を構成するモノフィラメントの平均直径の20倍以内であることをいうものとする。隣り合う糸同士の間隔がモノフィラメントの平均直径の10倍以内まで拡幅されていればさらに好ましい。
また、搬送のためにはヨコ糸に張力をかける必要はないので、従来技術においては、物理加工時にはヨコ糸には張力はかけられていなかった。しかしながら、タテ糸及びヨコ糸を十分かつ均一に拡幅するという目的を達成するためには、ヨコ糸にもタテ糸と同程度の張力を与えることが好ましい。従って、ガラスクロスを構成するヨコ糸1本あたりにかかる加工時の張力が2×10-5〜2×10-2Nの範囲内であることが好ましく、1.5×10-4〜6×10-3Nの範囲内であることがより好ましく、3×10-4〜3×10-3Nの範囲内であることが最も好ましい。また、加工時にタテ糸1本あたりにかかる張力とヨコ糸1本あたりにかかる張力の比は、0.25〜4.0が好ましく、0.5〜2.0がより好ましく、0.8〜1.2が特に好ましい。
物理加工時にガラスクロスにかかる張力の測定には、フィルム分野で一般的に使用される張力検出器を用いた張力検出方法によることが好ましい。該張力検出方法においては、ガイドロール2つと張力検出用ロールを左右対称になるように二等辺三角形の頂点に配置し、ガラスクロスがガイドロール1、張力検出用ロール、ガイドロール2の順に通るようにセットする。張力検出用ロールにおいてはガイドロール1側に働く張力、ガイドロール2側に働く張力、及び張力検出用ロールに働く重力の合力が荷重として張力検出用ロールの下方に働くので、張力検出用ロールの下にセットされた荷重センサーの測定値から計算によって張力を求めることができる。
物理加工時に上述の範囲の張力をガラスクロスのタテ糸に与える方法としては、上述の張力検出器で常時タテ糸方向の張力をモニターして加工工程の前後に配した駆動ロールの回転速度を張力制御装置により制御する方法が好ましく使用できる。該張力制御装置は、張力が高い場合は進行方向の前方の駆動ロールの回転を遅くし後方の駆動ロールの回転を早くするように動作し、張力が低い場合は進行方向の前方の駆動ロールの回転を速くし後方の駆動ロールの回転を遅くするように動作することで、タテ糸方向の張力を制御するものである。また、より低張力での搬送を要する場合は、ネット状のコンベアでガラスクロスを面で保持しつつ駆動ロールで低い張力をかけながら搬送する方法が好適に使用できる。
物理加工時に上述の範囲の張力をガラスクロスのヨコ糸に与える方法としては、テンター方式が好適に使用できる。テンター方式は、テンタークリップによりヨコ糸方向の両端を挟むことで一定の張力をヨコ糸方向にかけるものである。加工工程の前でテンタークリップをガラスクロスに取り付け、加工工程の後でガラスクロスから取り外すようにすることで物理加工時にヨコ糸方向に一定の張力を与えることができる。しかしながら、ヨコ糸方向の張力を常時モニターすることは困難であるので、該テンタークリップによってガラスクロスに与えられる張力をオフラインにて測定しておく必要がある。
ガラスクロスの物理加工については、例えば、水流による圧力による加工、液体を媒体とした高周波の振動による加工、ロールによる加圧での加工、超音波による加工等が挙げられる。本発明者らが一定の低張力下での物理加工に適する加工方法について鋭意検討した結果、10N/cm2 〜1000N/cm2 の範囲の圧力を有する水流による物理加工、または、10kHz〜100kHzの範囲の振動数で振動する超音波振動子によって発生させられた超音波による物理加工が好ましいことを見いだした。
上述の水流による物理加工方法としては、スプレイ加工または柱状流加工が好ましい。
スプレイ加工とは、広がり角を持ったノズルから噴射される高圧散水流によって行う物理加工である。スプレイ加工に使用するノズルとしては、大別して扇形ノズル、均等扇形ノズル、充円錐ノズル、空円錐ノズルがあるが、糸束中のフィラメント及び織り交点の拡幅には、扇形ノズルもしくは均等扇形ノズルが好ましい。充円錐ノズルを使用した場合は、ノズル直下部と散水流広がり端部ではガラスクロスに対して噴射される水量が著しく異なるので、ノズル直下部に集中した高圧水によって該ガラスクロスに目ずれが発生する恐れがある。また、空円錐ノズルを使用した場合は、噴射水量に対する衝撃力が扇形ノズルに比較し著しく低下することから物理加工の効率が低下する。
スプレイ加工には広がり角が10〜150°の範囲のノズルが好ましいが、より好ましくは広がり角が50°〜110°の範囲のノズルである。広がり角が10°未満のノズルでは、糸束中のフィラメント及び織り交点の拡幅程度が小さく、150°より大きいノズルではノズル中心部から散水流広がり端部までの距離が著しく長くなり、水流がガラスクロスに衝突する際の衝撃力がノズル中心部と散水流広がり端部で著しく異なることになる。
スプレイ加工に使用するノズルの配列は、千鳥配列等の階段状の配列、変則千鳥の配列、千鳥配列と一定角傾け配列の組み合わせが好ましい。またノズルの配置はガラスクロスの幅方向に対して一定角度、例えばガラスクロスに対して鉛直の方向から5〜10°程度、傾けガラスクロス幅方向と平行に配列することが好ましい。
ノズルの配列ピッチは高圧散水流の広がり幅、ノズルからガラスクロスまでの距離、及び隣接する高圧散水流のオーバーラップ程度等により適宜調整される。
柱状流加工とは、直径0.1〜0.5mmの細孔を有するノズル群より噴射される柱状流高圧水によって行う物理加工法である。柱状流加工に使用するノズルとしては、個々独立に多数配列した直進ノズル、プレート状ノズルが好適に使用されるが、一般に直進ノズルと呼ばれる水流の広がり角が0°のノズルであって独立して細孔を有するノズルを多数本配列することもできる。これらのノズルを1列に配置した場合には柱状流高圧水をガラスクロス全面に均一に噴射することが困難になるので、ノズル群は複数列に渡って幅方向の位置をずらして配置することが好ましい。また、ガラスクロスに対して噴射水の衝撃力の局在化を防ぐことを目的に、上記のノズル群自体を揺動もしくは円運動させることが好ましい。
上述のスプレイ加工、または柱状流加工時に使用する水の圧力は、10N/cm2 〜1000N/cm2 が好ましく、50N/cm2 〜800N/cm2 がより好ましく、50N/cm2 〜500N/cm2 が最も好ましい。物理加工時に使用する水の圧力が10N/cm2 未満の場合はガラスクロスの糸束及び織り交点部分を拡幅する効果が得られず、1000N/cm2 より大きい場合は拡幅力によりガラスクロスを構成するタテ糸及びヨコ糸の織り目がずれる恐れがある。 超音波による加工については、特定の振動数で振動する超音波振動子によって、液体又は気体のいずれかからなる媒体を介してガラスクロスに超音波を与えることにより加工される。超音波を伝達する媒体は、物理加工の効果が達成される範囲で適宜選択されるが、加工の効果をより得るためには液体であることが好ましい。かかる液体としては、例えば水、アルコール等の有機溶剤、有機溶剤を分散させた水等が挙げられる。
本発明における超音波振動子の振動数は10〜100kHzが好ましく、15〜70kHzがより好ましく、20〜50kHzが最も好ましい。振動数が10kHz未満の場合は拡幅状態の均一性が悪くなり、100kHzより高い場合は拡幅状態が低くなる。
該超音波振動子を駆動する超音波発振器の出力は、物理加工を受けるガラスクロスにより適宜選択されるが、20〜5000W、好ましくは100〜1500W、さらに200〜1000Wが最も好ましい。このような装置としては、例えば株式会社カイジョー製フェニックスシリーズの超音波発振器が挙げられる。
本発明の好ましい態様においては、ガラスクロスと超音波振動子とを共に液体を入れた槽の中に浸漬し、超音波発振器により超音波振動子から超音波を発生させることにより該ガラスクロスを物理加工する。物理加工時においては、ガラスクロスと超音波振動子が接触しないように配置される。
すなわち本発明におけるガラスクロスに対する超音波の伝達は、ガラスクロスと超音波振動子との直接接触によってなされるものではなく、媒体を介してなされるものである。ガラスクロスと超音波振動子との間隔は1〜30cmの範囲が好ましく、1〜10cmの範囲がより好ましい。ガラスクロスと超音波振動子との間隔が1cm未満の場合はガラスクロスの加工状態が局部的に変形して外観不良となる場合がある。また、該間隔が30cmより大きい場合は超音波振動子のエネルギーがガラスクロスに伝わるまでの間の損失が大きくなる。ガラスクロスと超音波振動子との間隔はガラスクロスの種類、液体の種類、超音波振動子の振動数、超音波発振器の出力、超音波の伝達方向等の条件を考慮して定めることが好ましい。また、超音波振動子の振動面とガラスクロスとの間隔がほぼ一定になるように設置できればよいので、該超音波振動子の数は1つであっても複数であってもよい。
また、上述のガラスクロスの加工方法は連続式、バッチ式のいずれでも行うことができる。連続式で加工を行う場合には、例えば液体を入れた槽の中に超音波振動子を固定しておき、槽内を通過するようにガラスクロスを走行させるといった方法が採用される。ガラスクロスの走行速度は本発明の加工効果が達成される範囲で適宜設定されるが、0.1〜100m/minが好ましい。
超音波振動子とガラスクロスとの配置は、通常、ガラスクロスの走行方向に対する振動子の幅方向が直角となすように設定されるが、数十度の角をなすように設定しても良い。 ガラスクロスの液体中の浸漬時間は本発明の効果が達成される範囲の条件で適宜設定されるが、0.01〜30秒程度が好ましい。
上述の物理加工を施されたガラスクロスは、赤外線ヒーター、熱風ドライヤー等によって乾燥させる。乾燥条件は、100〜200℃で10秒〜2分程度が好ましい。乾燥時にタテ糸、あるいはタテ糸及びヨコ糸にかかる張力が大きい場合には、物理加工によって十分に拡幅したタテ糸、あるいはタテ糸及びヨコ糸が張力によって戻ってしまう可能性があるので、乾燥においても物理加工と同じ範囲のタテ糸、あるいはタテ糸及びヨコ糸の張力条件下で行うことが好ましい。
なお、本発明の方法によって物理加工しかつ乾燥させたガラスクロスをロールに巻き取るに当っては、タテ糸方向にタテ糸1 本あたりにかけられる張力が1.5×10-4〜6×10-3Nの範囲内であることが好ましく、6×10-4〜4.5×10-3Nの範囲内であることがより好ましく、1.5×10-3〜3×10-3Nの範囲内であることが最も好ましい。1.5×10-4N未満の張力で巻き取る場合は巻き崩れの発生を防ぐことが困難になるので好ましくない。また、6×10-3Nより大きい張力で巻き取る場合は、本発明の加工方法によって十分に拡幅したタテ糸が張力によって戻ってしまう可能性があるので好ましくない。
ロールに巻き取られたガラスクロスは高温脱糊により表面に塗布された集束剤等の潤滑剤を除去し、シランカップリング剤を塗布して製品となる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例、比較例中のガラスクロスの物性及び試験方法は以下の方法により測定した。
1.ガラスクロスの物性測定方法:JIS R3420に従い測定した。
2.ガラスクロスの目曲がり量測定方法:100m長のガラスクロスにおいて、10mごとに10箇所の目曲がり量(クロス幅方向に平行に定規を配置して、等間隔に糸が並んだと仮定した場合の糸の位置と実際の糸の位置との間のずれの最大量をいう。)を測定し、その平均目曲がり量を求めた。
尚、実施例5以外の実施例1〜4、比較例1〜3では、ヨコ糸方向には張力をかけないで物理加工を行った。
(実施例1)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度70本/inch、ヨコ糸密度70本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下(タテ糸1本あたりにかかる張力は2.8×10-4Nである。糸一本あたりにかかる張力は、生機のタテ糸方向にかかる張力をタテ糸密度(本/inch)とクロス幅(mm)との積で割ったものに25.4をかけることにより求めることができる。)で、高圧散水流による物理加工(加工圧力300N/cm2 )を行い、タテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)の水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥させた。その結果、重量30g/m2 、厚さ0.028mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.95、タテ糸方向糸−糸間隔0.056mm、ヨコ方向糸−糸間隔0.040mm、通気度38cm3 /cm2 /sec、目曲がり量4mmのガラスクロスを得た。
(実施例2)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度70本/inch、ヨコ糸密度70本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下(タテ糸1本あたりにかかる張力2.8×10-4N)で、超音波による物理加工(振動数38kHz、出力600W)方法を行い、タテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)の水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥させた。その結果、重量30g/m2 、厚さ0.027mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.97、タテ糸方向糸−糸間隔0.049m、ヨコ方向糸−糸間隔0.039mm、通気度32cm3 /cm2 /sec、目曲がり量3mmのガラスクロスを得た。
(実施例3)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度60本/inch、ヨコ糸密度60本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下(タテ糸1本あたりにかかる張力3.3×10-4N)で高圧散水流による物理加工(加工圧力300N/cm2 )を行い、タテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)の水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥した。その結果、重量53g/m2 、厚さ0.048mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.95、タテ糸方向糸−糸間隔0.058mm、ヨコ方向糸−糸間隔0.039mm、通気度11cm3 /cm2 /sec、目曲がり量3mmのガラスクロスを得た。
(実施例4)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度60本/inch、ヨコ糸密度60本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下(タテ糸1本あたりにかかる張力3.3×10-4N)で超音波による物理加工(振動数38kHz、出力600W)を行い、タテ糸方向に1Nの張力を与えた条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)の水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥した。その結果、重量53g/m2 、厚さ0.046mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.97、タテ糸方向糸−糸間隔0.046mm、ヨコ方向糸−糸間隔0.035mm、通気度9cm3 /cm2 /sec、目曲がり量2mmのガラスクロスを得た。
(実施例5)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度60本/inch、ヨコ糸密度60本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に1Nの張力(タテ糸1本あたりにかかる張力は3.3×10-4N)、ヨコ糸方向にテンターによりヨコ糸1本に3.3×10-4Nとなる張力を与えた条件下で高圧散水流による物理加工(加工圧力300N/cm2 )を行い、タテ糸方向に1Nの張力、ヨコ糸方向にテンターによりヨコ糸1本に3.3×10-4Nとなる張力を与えた条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)の水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥した。その結果、重量53g/m2 、厚さ0.048mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.93、タテ糸方向糸−糸間隔0.068mm、ヨコ方向糸−糸間隔0.042mm、通気度10cm3 /cm2 /sec、目曲がり量2mmのガラスクロスを得た。
(比較例1)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度70本/inch、ヨコ糸密度70本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に張力を与えない条件下(タテ糸1本あたりにかかる張力0N)で高圧散水流による物理加工(加工圧力300N/cm2 )を行い、タテ糸方向に張力を与えない条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥した。その結果、重量30g/m2 、厚さ0.031mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.89、タテ糸方向糸−糸間隔0.077mm、ヨコ方向糸−糸間隔0.042mm、通気度80cm3 /cm2 /secのガラスクロスを得たが、目曲がり量は35mmと大きいものであった。
(比較例2)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度70本/inch、ヨコ糸密度70本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に100Nの張力を与えた条件下(タテ糸1本あたりにかかる張力0.028N)で高圧散水流による加工(加工圧力300N/cm2 )を行い、タテ糸方向に100Nの張力を与えた条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥した。その結果、重量30g/m2 、厚さ0.033mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.52、タテ糸方向糸−糸間隔0.176mm、ヨコ方向糸−糸間隔0.004mm、通気度50cm3 /cm2 /sec、目曲がり量12mmのガラスクロスを得た。タテ糸巾/ヨコ糸巾が0.52と小さいことからわかるように、タテ糸の開繊がヨコ糸に対して不十分なものであった。
(比較例3)
ガラスクロスとして、タテ糸及びヨコ糸に平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本で、撚り数が1.0ZのEガラス組成ガラス糸を使用し、エアージェットルームで、タテ糸密度60本/inch、ヨコ糸密度60本/inchの織り密度でガラスクロスを製織し、得られた生機(クロス幅1280mm)にタテ糸方向に100Nの張力を与えた条件下(タテ糸1本あたりにかかる張力0.033N)で高圧散水流による加工(加工圧力300N/cm2 )を行い、タテ糸方向に100Nの張力を与えた条件下で170℃で30秒乾燥させた。その後タテ糸1本あたりにかかる張力が2×10-3Nの条件下でロールに巻き取り、400℃で24時間高温脱糊した。
続いて、表面処理としてシランカップリング剤であるSZ6032(東レ・ダウコーニング株式会社製)水溶液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、170℃で1分乾燥した。その結果、重量53g/m2 、厚さ0.053mm、タテ糸巾とヨコ糸巾の比率(タテ糸巾/ヨコ糸巾)0.57、タテ糸方向糸−糸間隔0.185mm、ヨコ方向糸−糸間隔0.005mm、通気度23cm3 /cm2 /sec、目曲がり量10mmのガラスクロスを得た。タテ糸巾/ヨコ糸巾が0.57と小さいことからわかるように、タテ糸の開繊がヨコ糸に対して不十分なものであった。
本発明の加工方法は、プリント配線板に用いられるガラスクロスの製造の分野で好適に利用できる。

Claims (4)

  1. ガラスクロスの加工方法であって、製織されたガラスクロスを、該ガラスクロスを構成するタテ糸1本あたりにかかる張力が1.5×10 -4 〜6×10 -3 の範囲で、水流による圧力による加工、液体を媒体とした高周波の振動による加工、ロールによる加圧での加工、及び超音波による加工からなる群から選択される少なくとも1つの物理加工を施しかつ乾燥させることを特徴とするガラスクロスの加工方法。
  2. 物理加工が10N/cm2 〜1000N/cm2 の範囲の圧力を有する水流による物理加工であることを特徴とする請求項1記載のガラスクロスの加工方法。
  3. 物理加工が10kHz〜100kHzの範囲の振動数で振動する超音波振動子によって発生させられた超音波による物理加工であることを特徴とする請求項1記載のガラスクロスの加工方法。
  4. 製織されたガラスクロスを、該ガラスクロスを構成するヨコ糸1本あたりにかかる張力が1.5×10 -4 〜6×10 -3 の範囲で、物理加工を施しかつ乾燥させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスクロスの加工方法。
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