JP4204376B2 - Alcパネルの表面加工具およびそれを用いた表面加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネルの表面加工具およびそれを用いた表面加工装置に関する。更に詳しくはALCパネルの表面に所望の凹凸模様等を形成するための表面加工具およびそれを用いた表面加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れており、特に建築物の外壁材、間仕切材として広く使用されている。しかしながら、ALCパネルは、一般に原料スラリーを型枠内で半硬化させたのち脱型し、ピアノ線などでパネル状に切断する製法が用いられているため、得られるパネル表面は平滑で、意匠性に乏しいという問題がある。そのため、近年意匠性に優れるALCパネルの要求が高まっており、従来よりパネル表面に模様をつける様々な方法が提案されている。
【0003】
それらの方法のうち、オートクレープ養生後のALCパネル表面に模様をつける従来の方法としては、例えば以下のようなものがある。
(1)下記特許文献1に記載のように、オートクレーブ養生済みのALCパネルの表面を、回転する刃物で切削して凹凸模様を付ける方法。
(2)下記特許文献2に記載のように、エンペラーユニットを使用して小鋼球のような投射材をパネル表面に衝突させて凹凸のある素面を形成する方法。
(3)下記特許文献3に記載のように、ALCパネルの表面に加工された溝部の片側または両側を剥離用工具を用いて欠落剥離させて剥離体を形成する方法。
(4)下記特許文献4に記載のように、ALCパネルの表面をニードル等で打撃して多数の窪みを形成する方法。
【0004】
ところが、上記(1)の方法はALCパネルの加工において通常用いられる方法であるが、得られる意匠が機械的に画一的なものに限定される。(2)の方法は、使用する小鋼球等の投射回収、及びALCパネルの気泡内に残った小鋼球の除去作業が面倒である等の問題がある。また(3)の方法は、予めパネル溝加工を施す必要があり、しかもその溝部に剥離用工具を挿入して該溝部の片側もしくは両側を剥離させるものであるから、溝部に対する剥離用工具の位置合わせが面倒であると共に、溝部周辺に加工が限定され、広い面積の加工が難しい。さらに(4)のようにニードル等で打撃するものは、1回の打撃で加工される面積が狭く、ニードル等の本数を増やしても加工効率を上げることが難しい等の問題がある。また、上記の方法に用いられている治具は、治具単独では単一動作であるため、任意(手作業に近い)意匠を得るためには、複雑な装置構成(例えば、NC装置等)が必要であった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−160106号公報
【特許文献2】
特開昭63−25284号公報
【特許文献3】
特開平11−148198号公報
【特許文献4】
特開2000−272983号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の目的に鑑みて提案されたもので、パネル表面の加工の自由度が高く、かつ経済的で任意(手作業に近い)の表面テクスチャを得ることのできるALCパネルの表面加工具およびそれを用いた表面加工装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるALCパネルの表面加工具およびそれを用いた表面加工装置は、以下の構成としたものである。
【0008】
即ち、本発明によるALCパネルの表面加工具は、回転体の周方向に支軸を複数個設け、その各支軸に偏心ドラムを介して加工部材を揺動可能に取付け、上記各支軸に対する偏心ドラムの取付穴を、支軸の外径よりも20〜50%大きく形成すると共に、上記回転体の周方向に隣り合う偏心ドラム間に、各偏心ドラムの揺動範囲を規制するとともに加工時に上記各加工部材に掻き上げ力を付与する掻き上げバーを設けたことを特徴とする。
【0009】
また本発明によるALCパネルの表面加工装置は、上記の表面加工具を可動フレーム上に配置する、或いはハンドドリルに取付けたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるALCパネルの表面加工具および表面加工装置を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0011】
図1は本発明によるALCパネルの表面加工具の一実施形態を示すもので、同図(a)は正面図、同図(b)は(a)におけるb−b線断面図である。本実施形態の表面加工具1は、互いに対向させて設けた回転体としての一対の回転円板2・2の外側の面の中央部に、回転駆動軸3を一体的に設けると共に、上記回転円板2・2間に、周方向に複数本、図の場合は3本の支軸4を取付け、その各支軸4に偏心ドラム5を介して加工部材としての加工爪6を取付けたものである。
【0012】
その加工爪6としては、本実施形態においては図2に示すように多数の丸棒材を用いたもので、その丸棒材よりなる加工爪6を支持基板7に植設し、その支持基板7を偏心ドラム5の欠円部5bにボルト7aで脱着可能に取付けた構成である。なお前記3つの偏心ドラム5に支持基板7を介して取付けられる上記加工爪6の形状や本数および配置構成等は適宜であるが、本実施形態においては加工爪6の形状や本数および配置構成がほぼ同様で配置位置のみが図3(a)〜(c)のように異なるように構成されている。
【0013】
また上記偏心ドラム5は、上記支軸4に対する取付穴5aを、支軸4の外径よりも20〜50%程度大きく形成すると共に、略筒状をなす上記ドラム5の中心位置に対して偏心させて設け、その取付穴5aに上記支軸4を挿通することによって、該支軸4に対して上記偏心ドラム5を揺動可能に保持させた構成である。
【0014】
さらに前記回転円板2の周方向に隣り合う偏心ドラム5・5間には、各偏心ドラム5の揺動範囲を規制すると共に、加工時に偏心ドラム5に掻き上げ力を付与する掻き上げバー8が設けられ、その各掻き上げバー8は、本実施形態においてはスリーブ状に形成され、回転円板2・2間に取付けた支持棒9の周面に嵌合保持させた構成である。
【0015】
なお、前記の支軸4および支持棒9は、図に省略したボルト等によって回転円板2に脱着可能に取付けられ、それによって上記偏心ドラム5や加工爪6を交換したり、掻き上げバー8の太さを容易に変更できるように構成されている。
【0016】
図4は上記の表面加工具1を用いた表面加工装置の一例を示すもので、本例は上記表面加工具1を可動フレーム10上に設けたものである。
【0017】
その可動フレーム10は、図に省略した支持部材によって上下動可能に保持され、水平面内において回動可能に且つ水平方向に移動可能に構成されている。また可動フレーム1の下部には、一対の軸受部材11・11が設けられ、その軸受部材11・11に前記の回転駆動軸3を介して上記表面加工具1が回転可能に取付け支持されている。
【0018】
上記の回転駆動軸3には、従動プーリ12が設けられ、図に省略したモータ等の駆動源によって回転駆動される駆動プーリ(不図示)から上記従動プーリ12にベルト13を介して動力を伝達することによって、上記回転駆動軸3および回転円板2・2を所定の速度で回転駆動するように構成されている。
【0019】
上記のように構成された表面加工装置によって、ALCパネルPの表面に加工を施すに当たっては、図5に示すようにパネルPの加工すべき表面を上にして図に省略した台座等の上に載置し、その上方に表面加工具1を配置する。そして図に省略したモータ等の駆動源によって回転駆動される駆動プーリ(不図示)から前記のベルト13および従動プーリ12を介して回転駆動軸3と回転円板2とを例えば図5(b)の矢印の方向に所定の速度で回転させた状態で、加工爪6をパネル表面に接触させながら表面加工具1をパネルPに対して例えば図5(a)の矢印方向に相対移動させればよい。
【0020】
その際、上記表面加工具1は、パネル表面に接触する前の自由回転状態においては、加工爪6が遠心力によって図6(a)のように放射方向外方に向いた状態で回転し、その状態で表面加工具1を下降させると、いずれかの偏心ドラム5上の加工爪6の先端部が、同図(b)のようにパネル表面に衝突する。そのとき回転円板2の回転速度と、表面加工具1とパネルPとの相対移動速度によっては、加工爪6がパネル表面を複数回叩くようにしてパネル表面に複数個の打撃痕が形成される。
【0021】
引き続き、回転円板2が回転すると、加工爪6の先端部は図6(c)〜(d)のようにパネルP内に次第に食い込みながら回転円板2の略接線方向に移動して略水平方向の引っ掻き痕が形成される。その際、加工爪6および偏心ドラム5はパネルPの抵抗で、図のように回転円板2の放射方向よりも回転方向後ろ側に徐々に後退回動しながら回転すると同時に、偏心ドラム5の取付穴5aと支軸4との隙間の範囲内で僅かに上方に移動する。
【0022】
そして加工爪6および偏心ドラム5が回転方向後ろ側に更に後退回動すると、図7(a)のように偏心ドラム5がその回転方向後ろ側に位置する掻き上げバー8に当接して、それよりも後方への後退回動が阻止されると同時に、引き続く回転円板2の回転で上記の掻き上げバー8が加工爪6を前上方に掻き上げるように作用する。それによって、同図(b)のように上記加工爪6よりも前方のパネルの一部が剥がれるようにして取り除かれ、パネル表面に剥離痕が形成される。
【0023】
以上の動作を繰り返すことによって、ALCパネル表面には、加工爪6の衝突による打撃痕、加工爪6の略水平方向の移動による引っ掻き痕、および掻き上げバー8による剥離痕が順次形成され、従来には無い新規な表面テクスチャーを得ることができるものである。
【0024】
上記の打撃痕や引っ掻き痕および剥離痕等の加工痕Sの性状や形成範囲等は、回転円板2の回転速度や、表面加工具1とパネルPとの相対移動速度を調整することによって適宜変更可能であり、また上記加工痕の深さは、前記可動フレームの高さを変更することによって任意に調整することができる。さらに加工中に可動フレームを上下動させれば、上記の加工痕を波状もしくは段階状その他任意に高低差をもたせることもできる。
【0025】
また上記の加工痕は、パネルPの表面の一部もしくは全面に設けるようにしてもよく、例えば前記図5のような構成のものにあっては表面加工具1をパネル長手方向に2回移動走査すれば、パネルPの表面全面に加工痕を形成することができる。また表面加工具1の長さ寸法をパネルPの幅と同等もしくはそれよりも長く形成すれば1回の移動走査でパネルPの表面全面に加工痕Sを形成することができる。
【0026】
なお上記実施形態は、加工爪6として丸棒材の先端部を軸線方向と略直角に裁断したものを用いたが、先端部を斜めに裁断したものでもよく、また丸棒状に限らず断面多角形状のもの、もしくは先端部を鉤状に屈曲形成したもの、あるいは板状のものでもよく、加工爪6の形状や配置構成は適宜である。例えば丸棒または角棒等のピン状のものであれば幅が狭く深い加工形状が得られ、加工爪6の間隔が広ければより深い加工形状となる。
【0027】
また上記実施形態の表面加工装置は、表面加工具1をパネルPの長手方向に相対移動させて加工を施したが、上記表面加工装置の可動フレーム10は前記のように水平面内で回動可能であり、パネルPの幅方向に相対移動させて加工を施してもよく、また例えば図8に示すようにパネルPに対して自由な角度で適宜に向きを変えた状態で加工を施すこともできる。さらに回転体としての回転円板2の回転方向は、前記図5〜図7とは反対方向に回転させることも可能であり、それぞれ求める加工形状により、表面加工具1の向きや、回転方向、回転速度等を適宜設定すればよい。
【0028】
さらに上記実施形態の表面加工装置は、表面加工具1を可動フレーム10上に配置したが、例えば図9に示すように表面加工具1をハンドドリルD等に装着して使用することもできる。その場合、ハンドドリルDの回転速度やパネルPに対する相対移動速度およびパネルPに対する高さ位置を適宜調整すれば、前記の加工装置と同様に所望の加工痕を形成することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるALCパネルの表面加工具および表面加工装置は、上記の構成であるから、打撃痕や引っ掻き痕および剥離痕等の加工痕をALCパネルの表面に任意に且つ容易・安価に形成することが可能となり、ALCパネルの表面形状の選択の自由度を大幅に増大させることができる。また上記のようなALCパネルを例えば建築物の外壁に用いれば、外観の優れた壁面を構成することができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明による表面加工治具の一実施形態を示す正面図。
(b)は(a)におけるb−b断面図。
【図2】(a)は偏心ドラムに対する加工爪の取付構造の一例を示す正面図。
(b)はその右側面図。
(c)は底面図。
【図3】(a)〜(c)は加工爪の配置構成を示す説明図。
【図4】(a)は本発明による表面加工装置の一実施形態を示す正面図。
(b)は(a)におけるb−b断面図。
【図5】(a)は上記の表面加工装置による加工状態の一例を示す平面図。
(b)はその正面図。
【図6】(a)〜(d)は上記の表面加工装置による加工プロセスの説明図。
【図7】(a)〜(d)は上記の表面加工装置による加工プロセスの説明図。
【図8】表面加工装置による加工状態の他の例を示す平面図。
【図9】本発明による表面加工装置の他の実施形態を示す側面図。
【符号の説明】
1 表面加工具
2 回転円板(回転体)
3 回転駆動軸
4 支軸
5 偏心ドラム
6 加工爪(加工部材)
7 支持基板
8 掻き上げバー
9 支持棒
10 可動フレーム
11 軸受部材
12 従動プーリ
13 ベルト
D ハンドドリル
Claims (3)
- 回転体の周方向に支軸を複数個設け、その各支軸に偏心ドラムを介して加工部材を揺動可能に取付け、上記各支軸に対する偏心ドラムの取付穴を、支軸の外径よりも20〜50%大きく形成すると共に、上記回転体の周方向に隣り合う偏心ドラム間に、各偏心ドラムの揺動範囲を規制するとともに加工時に上記各加工部材に掻き上げ力を付与する掻き上げバーを設けたことを特徴とするALCパネルの表面加工具。
- 前記請求項1に記載の表面加工具を可動フレーム上に配置してなるALCパネルの表面加工装置。
- 前記請求項1に記載の表面加工具をハンドドリルに取付けてなるALCパネルの表面加工装置。
Priority Applications (1)
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| JP2003128197A JP4204376B2 (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | Alcパネルの表面加工具およびそれを用いた表面加工装置 |
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| JP2003128197A JP4204376B2 (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | Alcパネルの表面加工具およびそれを用いた表面加工装置 |
Publications (2)
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| JP2004330561A JP2004330561A (ja) | 2004-11-25 |
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| JP2003128197A Expired - Lifetime JP4204376B2 (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | Alcパネルの表面加工具およびそれを用いた表面加工装置 |
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