JP4206293B2 - 薄膜コンデンサおよびそれを用いたコンデンサ基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は支持基板上に形成された薄膜コンデンサおよびそれを用いたコンデンサ基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、電子機器の小型化に伴い、電子機器内に設置される電子部品にも小型化の要求があり、コンデンサとしては、積層セラミックコンデンサなどを用いて既にハンドリング可能な大きさ程度まで小型化が実現されている。
【0003】
一方、電子機器の小型化にも使いやすい大きさという点から、下限に達しつつあり、今後は、軽量化、薄型化、高機能化の要求が強くなると予想される。
【0004】
電子部品の薄型化、高機能化に適したコンデンサとして、薄膜コンデンサがあり、「金属基板」上に「誘電体」、「第2電極」、「絶縁膜」が順次形成された薄膜コンデンサ(特許文献1)や、支持基板に「有機フィルム」を用いて、「下部電極」、「誘電体薄膜」、「上部電極」、「絶縁カバー層」が順次に形成された薄膜コンデンサ(特許文献2)などが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−88318号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−83892号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
薄膜コンデンサでは、薄膜誘電体膜を複数の電極層で挟持させるため、パターン加工された電極層を薄膜誘電体膜で被覆する必要がある。また、薄膜コンデンサを実用するには、電極層及び薄膜誘電体膜を保護層で被覆する必要がある。保護層は、薄膜コンデンサを外的要因から守り、薄膜コンデンサの信頼性を確保するためには、必要不可欠なものであるからである。
【0008】
しかし、特許文献1、2で開示されている薄膜コンデンサでは、電極層の段差を、薄膜誘電体膜や保護層で完全に被覆することが難しい。また、保護層が電極層の段差を完全に被覆できたとしても、薄膜誘電体膜や保護層は無機物からなる場合が多く、薄膜誘電体膜や保護層と電極層の熱膨張係数の差から、電極層の段差に応力が集中し、極端には電極の段差部で、薄膜誘電体膜や保護層にクラックが生じ、長期信頼性を確保することが困難となる。また、薄膜誘電体膜下に形成された電極層を考慮した場合も、前記した保護層と電極層との関係と同じことが言え、電極層の段差部に薄膜誘電体膜が被覆する領域において、薄膜誘電体膜に応力が集中し、薄膜誘電体膜の絶縁性劣化に起因する恐れがあるため、長期信頼性を確保することが困難となりうる。
【0009】
電極層を被覆する薄膜誘電体膜や保護層の、電極層の段差部における応力集中を回避するために、電極層の膜厚を薄くする対策も考えられる。しかし、低インピーダンスを得るためには、電極層の膜厚を厚くして、抵抗値を低くすることが不可欠である。特に、高周波域では電極の膜厚が薄いほど、抵抗値が大きくなる傾向にある。そのため、前記のように、電極層の膜厚を薄くすると、薄膜コンデンサの電極抵抗が大きくなる恐れがある。
【0010】
本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、薄膜コンデンサが持つ電極層の抵抗を低く保ちつつ、各層での信頼性を確保できる薄膜コンデンサを提供し、更にはこの薄膜コンデンサを備えた基板を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜コンデンサは、支持基板上に、下部の電極層と上部の電極層との間に前記下部の電極層の端部を覆うように被着形成した薄膜誘電体膜を挟持して成る容量形成部を形成するとともに、前記上部の電極層の端部と前記容量形成部上を覆うように被着形成された保護層を有し、少なくとも一方の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ、前記段差部は前記電極層の端部から10μm以上100μm以下の範囲に形成される薄膜コンデンサである。
【0012】
また、前記上部の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ最も薄い部分の電極層の膜厚が、該上部の電極層上に形成される前記保護層の膜厚に対して、0.1以下(0を含まない)である。
【0013】
または、支持基板上に、下部の電極層と上部の電極層との間に前記下部の電極層の端部を覆うように被着形成した薄膜誘電体膜を挟持して成る容量形成部を形成するとともに、前記下部の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ、前記段差部で最も薄い部分の電極層の膜厚が、該下部の電極層上に形成される前記薄膜誘電体膜の膜厚に対して、0.1以下(0を含まない)であることを特徴とする薄膜コンデンサである。
【0014】
また、前記上部の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ最も薄い部分の電極層の膜厚が、該上部の電極層上に形成される前記保護層の膜厚に対して、0.1以下(0を含まない)である。
【0015】
さらに、基体の表面および/または内部に、上述の薄膜コンデンサを設けてなる基板である。
【0016】
【作用】
本発明の薄膜コンデンサは、前記少なくとも一方の電極層が、その端部で膜厚方向に複数の段差を有する段差部が有している。そして、段差部は、その膜厚が端部外周に向かうにつれて薄くなっている。このため、電極層が持つ段差を薄膜誘電体膜や保護層が被覆する際、電極層の端部に集中する応力が緩和されて、段差部が被覆されるため、薄膜誘電体膜や保護層の被着維持が安定し、長期信頼性を確保することが可能となる。
【0017】
また、本発明の薄膜コンデンサでは、電極層の膜厚と、電極層を被覆する薄膜誘電体膜や保護層の膜厚の関係を考慮することなく、低インピーダンスを示すために十分な電極膜厚を設計することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の薄膜コンデンサ及びそれを用いたコンデンサ基板について図面に基づいて詳説する。
【0019】
図1は、本発明の薄膜コンデンサの一例の断面構造図を示したものである。図1に示すように、支持基板1上に、一方極性の電極層である下部電極層2と薄膜誘電体膜3と他方極性の電極層である上部電極層4が順次形成されている。
【0020】
支持基板1は、耐熱性を有する絶縁基板であり、例えば、サファイア基板などが例示できる。この支持基板1上には、所定形状の下部電極層2が被着形成されている。
【0021】
下部電極層2は、この上部電極層4と接続する外部端子9aが形成される領域を除去するように、例えば環状にエッチングされてパターン化されている。
【0022】
また、上部電極層4は、薄膜誘電体膜3上において外部端子9bを取り囲むように環状にエッチングされている。
【0023】
また、下部電極層2上には、所定形状の薄膜誘電体膜3が被着形成されている。薄膜誘電体膜3は、外部端子9a、9bとなる領域を除いて、下部電極層2の端部を完全に覆うように形成されている。
【0024】
さらに、薄膜誘電体膜3上には、所定形状の上部電極層4が被着形成されている。上部電極層4は、下部電極層2に接続する外部端子9bとなる領域を除いて薄膜誘電体膜3上に形成されている。
【0025】
これにより、薄膜誘電体膜3を下部電極層と上部電極4とで挟持する領域が容量形成部となる。
【0026】
また、下部電極層2が形成されておらず、且つ上部電極層4が形成された外部端子9aとなる領域と、上部電極層4及び薄膜誘電体膜3から露出する下部電極層2の領域、即ち、外部端子9bとなる領域には、半田拡散防止層5a、5bがそれぞれ形成されており、この半田拡散防止層5a、5b上には、半田密着層6が形成されている。そして、この半田密着層6を介して外部端子9a、9bが形成さている。この外部端子9a、9bは、薄膜誘電体膜3が形成されていない領域に設けられている。
【0027】
保護層7は、外部端子9a、9bが露出するような貫通孔8a、8bが設けられ、上部電極層4及び薄膜誘電体膜3を被覆して形成される。
【0028】
尚、外部端子9a、9bは、形状はバンプ状、箔状、板状、線状、ペースト状などがあり、特に限定されるものではなく、複数の形状を組み合わせても良い。また、その材質は、Pb、Sn、Au、Pt、Pd、Al、Ni、Ag、In、Cu、Bi、SbおよびZnなどがあり、導電性のものであれば良く、複数の材料を組み合わせても良い。
【0029】
そして、本発明の薄膜コンデンサでは、図1に示した例では、上部電極層4の端部が、膜厚方向に段差が複数個設けられた段差部Xを有している。ここで、上部電極層4の端部とは、図2で示すように、上部電極層4の外形を決定する4辺部分の端部と、外部端子9bの形成領域となるように除去した領域の端部とをいう。
【0030】
図2及び図3は、図1に示す薄膜コンデンサの上部電極層4において、上部電極層4が平面上に形成されたときの、上部電極層4のみを示している。図2は、上部電極層4の平面図であり、図3は、図2で示した破線P−P‘での断面構造図である。図3に示すように、上部電極層4の端部の段差部Xは、その電極層4の膜厚方向に、段差S1、S2、S3(総じて段差S)が設けられて構成されている。また、上部電極層4の端部に形成された段差部Xを構成する段差Sは、同一段差部Xにおいて、膜厚T1、T2、T3(総じて膜厚T)を有している。即ち、膜厚が異なる段差領域(平面視した時)R1、R2、R3(総じて領域R)が存在している。尚、図2、3において、段差S1は、領域R1部分であり、膜厚T1を有し、段差幅L2を有している。段差S2は、領域R2部分であり、膜厚T2を有し、段差幅L1を有している。また、段差S3は領域R3であり、その上面が上部電極層4の上面と同一平面となっており、支持基板1からの膜厚T3を有している。
【0031】
そして、段差部Xの全体の膜厚は、上部電極層4の端部外周に向かうほど、領域R3から領域R2、領域R2から領域R1となるにつれて、膜厚が薄くなっている。すなわち、T1<T2<T3の順で膜厚が薄くなっている。
【0032】
図2及び図3では、段差部は、3つの段差Sを有して、それぞれ膜厚がT1〜T3となっているが、図1や図2及び図3により制限されるものではない。
【0033】
また、図1では、上部電極層4の端部の段差部Xについて記述したが、これに制限されるものではない。
【0034】
図5には、他の実施例を示す薄膜コンデンサの断面図である。この実施例では、下部電極層12に、その電極形成領域の外周部(端部)に段差部Yを形成している。尚、下部電極層12の端部に形成した段差部Yは、2つの段差で構成されている。これは、下部電極層12の膜厚が、一般に上部電極層14の膜厚に比較して薄いためである。
【0035】
これにより、上記に示したような上部電極層4や下部電極層12のように、段差部X、Yを有する電極層上に、保護膜7や薄膜誘電体膜13を形成しても、上部電極層4や下部電極層12の段差部X、Yで、厚みが徐々に薄くなるため、この上部電極層4の端部と保護膜との間で発生する、また、下部電極層12の端部と薄膜誘電体膜13との間で発生する両者の熱膨張係数の差による応力が緩和され、薄膜誘電体膜3や保護層7にクラックが入ることや保護層7や薄膜誘電体膜13が剥離したりすることを防ぐことができ、また、長期信頼性を確保することができる。また、低インピーダンスを示すために、上部電極層4や下部電極層12に十分な膜厚を持たせることもでき、保護層7や薄膜誘電体膜3の段差被覆性向上のためや応力緩和のために上部電極層4や下部電極層12の容量形成部での膜厚を薄くする必要もなくなる。
【0036】
また、下部電極層12または上部電極層4の膜厚Tは、その上部側に被着される薄膜誘電体膜13若しくは保護層7の膜厚に対して、0.1以下(0を含まない)であることが望ましい。これにより、上述した段差被覆性や応力緩和の効果を高めることができ、更なる長期信頼性を確保することができる。
【0037】
また、下部電極層12または上部電極層4の段差S及び最も薄い膜厚T1との距離、すなわち、図2におけるL1、L2(総じて距離L)は、10μm以上100μm以下であることが望ましい。距離Lが10μmよりも小さい場合、段差被覆性や応力緩和の効果が小さく、十分な長期信頼性を確保することが困難になるためである。また、距離Lが100μmよりも大きくなると、膜厚が薄い領域、すなわち、図2中で示した、領域R1や領域R2の面積が大きくなるため、電極層の抵抗が大きくなり、低インピーダンスを確保することが困難になるためである。
【0038】
上記のような薄膜コンデンサ32は、図4に示すように、基体30の表面に形成された表面電極31a、31bに、外部端子9a、9bを位置決めした後、リフロー処理することにより接合し、実装され、コンデンサ基板として用いることができる。
【0039】
図1に示す薄膜コンデンサの場合には、例えば、外部端子9a、9bを半田ボールより構成する場合、公知の技術であるスクリーン印刷やボールマウンターを用いて、半田密着層6上に外部端子9a、9bを設けた後、リフロー処理することにより基体30の表面電極31a、31bに接合され、実装される。
【0040】
【実施例】
先ず、サファイアからなる支持基板上にTiO2からなる30nmの密着層を形成し、この密着層の上面に、60nmのPtを形成し、下部電極層とした。尚、下部電極層の形成はDCスパッタ法にて作製した。
【0041】
フォトリソグラフィ技術を用いて、下部電極層をパターン加工した。加工された下部電極層に、RFスパッタ法にて膜厚0.3μmのBa0.5Sr0.5TiO3からなる薄膜誘電体膜を形成した。その後フォトリソグラフィ技術を用いて、薄膜誘電体膜に貫通孔を形成した。
【0042】
次に、薄膜誘電体膜の上面及び貫通孔の内面に、膜厚100nmのAuの形成と、フォトリソグラフィ技術を用いたパターン加工を繰り返して、段差数3、S=100nm、各段差及び上部電極形成領域外周部間の距離L=30μm、膜厚Tそれぞれ、T3=300nm、T2=200nm、T1=100nmの3つの異なる膜厚を持つ上部電極層を得た。尚、上部電極層の形成はDCスパッタ法にて作製した。
【0043】
次に、この上に、膜厚1.0μmのNiからなる半田拡散防止層と、膜厚0.1umのAuからなる半田密着層を順次形成した。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて、先ず、半田密着層を直径100μmの形状に加工し、その後半田拡散防止層を直径200μmの形状に加工した。
【0044】
この後、CVD法を用いて、厚さ1.5μmのSiO2を形成し、Auからなる半田密着層が露出するように、直径120μm、深さ1.5μmの貫通孔を有する保護層を形成した。
【0045】
この後、光感光性BCBを塗布し、露光、現像を行い、支持基板の導電体が形成された位置に、Auからなる半田密着層が露出するように、直径80μm、深さ2μmの貫通孔を有する、樹脂層を形成した。
【0046】
最後に、スクリーン印刷を用いて、貫通孔内の半田密着層の上に、Snが96.5質量%、Agが3.0質量%、Cuが0.5質量%からなる鉛フリー半田ペーストを転写し、リフローを行い、半田バンプを形成し、図1に示したような薄膜コンデンサを得た。
【0047】
得られた薄膜コンデンサの有効電極面積は1.89mm2であり、周波数1kHzでの静電容量は約33nFであった。
【0048】
また、SiO2からなる保護層の膜厚に対する、上部電極層の段差S及び最も薄い膜厚T1の比率の上限値を求めるために下記のような比較の薄膜コンデンサを作製し、評価を行った。
【0049】
また、上部電極層の最も厚い膜厚はT3=300nmに統一し、1回毎の上部電極層の形成膜厚を変化させ、段階的に30μmずつ外周方向に大きいパターンで加工することによって、SiO2からなる保護層の膜厚に対して、上部電極層の段差及び最も薄い膜厚の比率をのみを変更し、その他は上記と同様に作製した数種の薄膜コンデンサを作製した。尚、前記比較の薄膜コンデンサの、上部電極層の段差S及び最も薄い膜厚T1は、S=T1=100nmと均一にした。更に、図6に示すように、段差を持たない上部電極層を作製し、その他は上記と同様に作製した薄膜コンデンサを作製した。尚、前記上部電極層に段差の無い薄膜コンデンサにおいては、保護層の膜厚に対する上部電極層の膜厚を比較パラメータとして用いた(SiO2保護層1.5μm、Au上部電極層0.3μm、比率0.2)。
【0050】
以上のように作製したサンプルの、段差S、最も薄い膜厚T1、SiO2膜厚、SiO2膜厚に対する段差S及び最も薄い膜厚の比率(表1には「比率」と表現している)を表1にまとめる。
【0051】
【表1】
【0052】
これらの薄膜コンデンサと、本発明の薄膜コンデンサを槽内温度85℃、槽内相対湿度85%R.H.の試験槽内にて、印加電圧2.5Vを連続負荷したときの絶縁抵抗値の時間変化を比較観測した。試験投入前の絶縁抵抗値を1として、図7に得られた絶縁抵抗値の時間変化率を示した。図7によると、試験時間が1000時間に近づくにつれて、絶縁抵抗値が劣化しているのがわかる。
【0053】
更に、SiO2からなる保護層の膜厚に対する、上部電極層の、段差及び最も薄い膜厚の比率が大きくなるほど、絶縁抵抗値の劣化はひどく、前記比率が0.1を上回ると、試験時間1000時間後には、試験前の絶縁抵抗値と比較して、1桁の劣化が見られた。これにより、SiO2からなる保護層の膜厚に対する、上部電極層の段差及び最も薄い膜厚の比率は0.1以下が望ましいことがわかる。
【0054】
また、上部電極層の、段差及び上部電極層形成領域の外周との距離の上限を求めるために、図1に示した薄膜コンデンサにおいて、下記に示すような比較の薄膜コンデンサを作製し、評価を行った。
【0055】
上部電極層の最も厚い膜厚は300nmに統一し、1回毎の形成膜厚を100nmとして、3回形成し、段階的に外周方向にパターンを広げて上部電極層を加工するのだが、前記広がりを変化させることで、上部電極層の段差及び上部電極層形成領域の外周との距離L1及びL2を変更し、作製した数種の薄膜コンデンサを作製した。尚、距離L1とL2は同一とした。これらの薄膜コンデンサと、前記した本発明の薄膜コンデンサのインピーダンスの周波数特性を測定し、等価直列抵抗値を求めた。図8に得られた等価直列抵抗の変化率を示した。尚、上部電極層に段差を設けない、すなわち、L1=L2=0、すなわち、上部電極層の膜厚が均一に300nmからなる薄膜コンデンサの等価直列抵抗を基準とした。図8によれば、距離Lが大きくなるほど、すなわち、上部電極の膜厚が薄い領域が増加するほど、等価直列抵抗は大きくなる傾向にある。等価直列抵抗の上限値を100mΩ付近とすると、距離Lの上限は約100μmであることがわかる。
【0056】
また、上部電極層の、段差及び上部電極層形成領域の外周との距離の下限を求めるために、比較の薄膜コンデンサを作製し、評価を行った。尚、比較用薄膜コンデンサの形成方法は、前述した上部電極層の段差及び上部電極層形成領域の外周との距離の上限を求めるために作製した比較用薄膜コンデンサと同様であり、上部電極層の段差及び上部電極層形成領域の外周との距離L1及びL2は、L1=L2=0μm、5μm、10μm、50μm、100μmとした。
【0057】
これらの薄膜コンデンサと、前記した本発明の薄膜コンデンサを槽内温度85℃、槽内相対湿度85%R.H.の試験槽内にて、印加電圧2.5Vを連続負荷したときの絶縁抵抗値の時間変化を比較観測した。試験投入前の絶縁抵抗値を1として、図9に得られた絶縁抵抗値の時間変化率を示した。試験時間が1000時間に近づくにつれて、絶縁抵抗値が劣化しているのがわかる。更に、上部電極層の段差及び上部電極形成領域の外周との距離Lが短くなるほど、絶縁抵抗値の劣化はひどく、距離10μmを下回ると、試験時間1000時間後には、試験前の絶縁抵抗値と比較して、1桁の劣化が見られた。これにより、上部電極層の、段差及び上部電極形成領域の外周との距離Lの下限値は10μmであることがわかる。
【0058】
尚、上述の実験では、端部に段差部を有する上部電極層とその上部に形成された保護層との関係で説明したが、端部に段差部を有する下部電極層とその上部に形成された薄膜誘電体膜との関係においても同様の結果であることを確認した。
【0059】
さらに、上述の実施例では、一方極性の電極層が下部電極層であり、他方極性の電極層が上部電極層であり、いずれかの電極層の端部に段差部を形成しているが、下部電極層及び上部電極層の両方にもその端部に段差部を形成しても構わない。
【0060】
さらに、上述の薄膜コンデンサは、下部電極層と上部電極層とで薄膜誘電体膜を挟持した構造の薄膜コンデンサで説明したが、例えば、一方極性の電極層と他方極性の電極層とを平面的に配置して、この両電極層に跨ぐように薄膜誘電体膜を形成した薄膜コンデンサにおいて、各電極層の端部に段差部を形成しても構わない。この場合、1つの電極層の段差部には、薄膜誘電体膜が被着される端部と保護層が被着される端部の2つが存在するが、本発明の技術範囲を逸脱するものではない。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、電極層がその端部で膜厚方向に複数の段差からなる段差部を有し、前記段差部の膜厚は、端部外周方向に向かうにつれて、膜厚が薄くなるため、前記電極層の端部において、前記電極層上に形成する薄膜誘電体膜または保護層の段差被覆性が改善され、また、電極層と薄膜誘電体膜若しくは保護層との間で発生する熱膨張係数の差による応力が緩和されるため、長期信頼性を改善することができる。また、容量形成部及び外部端子の形成領域では、電極層の膜厚を厚くすることができるため、低インピーダンス性を満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜コンデンサの一例の断面構造図である。
【図2】本発明の上部電極層側から平面図である。
【図3】図2における電極層の断面構造図である。
【図4】本発明の薄膜コンデンサを具備したコンデンサ基板の断面構造図である。
【図5】本発明の他の薄膜コンデンサの断面構造図である。
【図6】比較例の薄膜コンデンサの断面構造図である。
【図7】試験槽温度85℃、槽内相対湿度85%R.H.の試験環境における2.5V連続負荷したときの、初期値に対する絶縁抵抗値の時間変化を示した特性図である。
【図8】上部電極層が有する段差及び上部電極層形成領域の外周との距離Lを変更した場合の等価直列抵抗の変化を示した特性図である。
【図9】試験槽温度85℃、槽内相対湿度85%R.H.の試験環境における2.5V連続負荷したときの、初期値に対する絶縁抵抗値の時間変化を示した特性図である。
【符号の説明】
1・・・支持基板
2・・・下部電極層
3・・・薄膜誘電体膜
4・・・上部電極層
5a、5b・・・半田拡散防止層
6・・・半田密着層
7・・・保護層
8a、8b・・・貫通孔
9a、9b・・・外部端子
段差部・・・X、Y
Claims (5)
- 支持基板上に、下部の電極層と上部の電極層との間に前記下部の電極層の端部を覆うように被着形成した薄膜誘電体膜を挟持して成る容量形成部を形成するとともに、前記上部の電極層の端部と前記容量形成部上を覆うように被着形成された保護層を有し、少なくとも一方の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ、前記段差部は前記電極層の端部から10μm以上100μm以下の範囲に形成されることを特徴とする薄膜コンデンサ。
- 前記上部の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ前記段差部で最も薄い部分の電極層の膜厚が、該上部の電極層上に形成される前記保護層の膜厚に対して、0.1以下(0を含まない)であることを特徴とする請求項1記載の薄膜コンデンサ。
- 支持基板上に、下部の電極層と上部の電極層との間に前記下部の電極層の端部を覆うように被着形成した薄膜誘電体膜を挟持して成る容量形成部を形成するとともに、前記下部の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ、前記段差部で最も薄い部分の電極層の膜厚が、該下部の電極層上に形成される前記薄膜誘電体膜の膜厚に対して、0.1以下(0を含まない)であることを特徴とする薄膜コンデンサ。
- 前記上部の電極層は、その端部が端部外周に向かうにつれて膜厚が薄くなる段差部を有し、且つ前記段差部で最も薄い部分の電極層の膜厚が、該上部の電極層上に形成される前記保護層の膜厚に対して、0.1以下(0を含まない)であることを特徴とする、請求項3記載の薄膜コンデンサ。
- 基体の表面および/または内部に、請求項1乃至4のうちいずれかに記載の薄膜コンデンサを設けてなることを特徴とするコンデンサ基板。
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