JP4211142B2 - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガスを吸気通路に還流させる排気還流通路および排気還流制御弁を有する排気還流制御手段を備えたエンジンの空燃比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平9−25852号公報に示されるように、排気通路と吸気通路とを結ぶ排気還流通路と、排気還流通路を運転状態に応じて開閉する排気還流制御弁とを備えるエンジンにおいて、排気還流制御弁が目標値よりも大きく開く開故障を診断する開故障診断手段と、この排気還流制御弁の開故障時にエンジン出力を制限するフェイルセーフ制御手段とを備えたエンジンのフェイル制御装置が知られている。
【0003】
また、例えば特公昭63−35820号公報に示されるように、排気ガス流通量が電子的に制御可能なアクチュエータ手段を有し、このアクチュエータ手段により排気ガス還流量を制御する方式の排気ガス還流システムを備えた電子制御型エンジン制御装置において、上記アクチュエータ手段が排気ガス流通量の最大位置近傍で停止したまま制御不能になったことを検出する故障検出手段と、エンジンがアイドル運転状態にあることを検出するアイドル検出手段と、エンジンのアイドル状態での回転数を制御するアイドル制御アクチュエータ手段とを設け、上記故障検出手段の故障検出データに応じて上記アイドル制御アクチュエータ手段の制御量を増加させることにより排気ガス還流システム故障時のアイドル回転数を補償するように構成した排気ガス還流システムのバックアップ装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記両公報に開示された従来技術では、それぞれ排気ガス還流制御手段の制御弁が開状態で固着した開故障の発生を検出し、この開故障の発生時に、エンジン出力を制限し、あるいはアイドル回転数を補償する制御を実行するように構成されており、上記開故障以外の故障、例えば排気還流通路の詰まり等に起因した故障の発生時に、これらの故障に起因して排気ガスの還流量が低減した場合に、NOxの排出量が増大するのを抑制することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、排気還流通路が詰まる等の故障が発生した場合においても、NOxの排出量が増大するのを効果的に抑制することができるエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、排気ガスを吸気通路に還流させる排気還流通路および排気還流制御弁を有する排気還流制御手段と、この排気還流制御手段による排気ガスの還流量が不足する傾向があることを検出する還流不足検出手段と、燃料フィードバック制御用の空燃比センサと、上記還流不足検出手段により排気ガスの還流量が不足した状態にあることが検出された場合に、空燃比をリッチ側に補正する第1空燃比補正手段と、上記空燃比センサに劣化が生じたことを検出するセンサ劣化検出手段と、このセンサ劣化検出手段によって空燃比センサの劣化が検出された場合に、この空燃比センサの出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を補正する第2空燃比補正手段とを備え、上記還流不足検出手段により排気還流量の不足が検出されるとともに、上記センサ劣化検出手段によって空燃比センサの劣化が検出された場合に、上記両空燃比補正手段の一方による空燃比の補正を制限するように構成したものである。
【0007】
上記構成によれば、排気還流通路が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態と、空燃比センサが劣化してその検出値に誤差が生じている状態とが同時に検出された場合に、空燃比をリッチ側に移行させる補正と、空燃比センサの劣化時に、この空燃比センサの出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を変化させる補正とが同時に実行されることが防止され、これによって空燃比を理論空燃比とするフィードバック制御時に制御振幅が顕著に増大することが抑制されることになる。
【0008】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記空燃比補正手段は、還流不足検出手段によって検出された排気還流量の不足度合いに応じて空燃比の補正量を変化させるように構成されたものである。
【0009】
上記構成によれば、排気還流通路が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態となった場合には、この排気還流の不足度合いに応じて空燃比をリッチ側に移行させる補正量が制御されることにより、排気ガスの還流量が適正に制御されてNOx排出量の増大が効果的に抑制されることになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2記載のエンジンの空燃比制御装置において、排気ガスを吸気通路に還流させるエンジンの運転領域で、上記空燃比補正手段によって空燃比をリッチ側に補正する制御を実行するように構成したものである。
【0013】
上記構成によれば、排気ガスを吸気通路に還流させるエンジンの運転領域で、排気ガスの還流量が不足することに起因したNOx排出量の増大が効果的に抑制されることになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3の何れかに記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段は、排気還流通路もしくは吸気通路に設けられた圧力センサにより検出された排気還流制御弁の開時と閉時とにおける排気還流圧力差に基づいて排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを検出するように構成されたものである。
【0015】
上記構成によれば、還流不足検出手段により排気還流制御弁の開時と閉時とにおける排気還流圧力差を検出して、この圧力差が一定値以下であることが確認された場合等に、排気還流通路が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態にあると判定されて、空燃比をリッチ側に移行させる補正が実行されることになる。
【0016】
請求項5に係る発明は、上記請求項4記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段により、排気還流制御弁の開時と閉時とにおける排気還流圧力差の平均値に基づいて排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを検出するように構成したものである。
【0017】
上記構成によれば、還流不足検出手段により排気還流制御弁の開時と閉時とにおける排気還流圧力差の平均値に基づいて、排気還流通路が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かが適正に判定されることになる。
【0018】
請求項6に係る発明は、上記請求項1〜5の何れかに記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段により検出された排気還流量が、予め設定された基準値よりも不足していることが確認された場合に、排気還流制御手段が異常であることを報知する報知手段を備えたものである。
【0019】
上記構成によれば、排気還流通路が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態にあることが、還流不足検出手段において検出された場合には、空燃比をリッチ側に移行させる補正が実行されることにより、排気ガスの還流量が不足することに起因したNOx排出量の増大が抑制されるとともに、上記報知手段によって排気還流制御手段が異常であることが乗員に報知されることになる。
【0022】
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜6の何れかに記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段により排気ガスの還流量が不足した状態にあることが検出されるとともに、上記センサ劣化検出手段によって空燃比センサに劣化が生じたことが検出された場合に、上記第1空燃比補正手段による空燃比の補正を制限するように構成したものである。
【0023】
上記構成によれば、排気還流通路が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態と、空燃比センサが劣化してその検出値に誤差が生じていることが同時に検出された場合には、上記第1空燃比補正手段による空燃比の補正が制限され、上記第2空燃比補正手段による空燃比の補正が通常通りに実行されることになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態に係るエンジンの空燃比制御装置を有するエンジンの概略構成を示している。このエンジンは、エンジン本体1と、吸気通路2と、排気通路3とを有している。上記吸気通路2には、その上流側から順に、エアクリーナ4と、エアフローメータ5と、スロットル弁6と、サージタンク8と、燃料噴射手段9とが設けられ、上記エアクリーナ4には、吸気温センサ21が配設されている。
【0025】
上記スロットル弁6の下流側に位置する吸気通路2、例えばサージタンク8には、排気通路3に連通する排気還流通路10が接続され、この排気還流通路10には、排気還流制御弁11が設けられている。そして、上記排気還流通路10と排気還流制御弁11とにより、排気ガスを吸気通路2に還流させる排気還流制御手段7が構成されている。
【0026】
また、上記排気還流制御弁11の設置部と、吸気通路2との間に配設された上記排気還流通路10の下流部には、排気還流圧力を検出する圧力センサ12の設置部に連通する連通路13が接続されている。この連通路13には、上記圧力センサ12の検出部を大気側に切り換える切換弁(図示せず)が設置され、この圧力センサ12により排気還流圧力が検出されるようになっている。
【0027】
上記圧力センサ12は、連通路に設けられた切換弁の切換に応じて上記排気還流通圧力と大気圧との両方を検出するように構成されている。なお、上記圧力センサ12に代え、インレットマニホールドの内部圧力を検出するインマニ圧力センサによって上記排気還流圧力を検出するように構成してもよい。
【0028】
上記排気還流制御弁11は、エンジンコントロールユニット(ECU)14から出力される制御信号に応じて作動するアクチュエータと、このアクチュエータによって開閉駆動される弁体とを有し、この弁体が上記排気還流通路10の全閉位置から全開位置に至る範囲に亘って駆動されることにより、エンジンの運転状態に対応して排気通路3から吸気通路2に還流される排気ガスの還流量が制御されるようになっている。
【0029】
一方、上記排気通路3には、三元触媒等からなる排気ガス浄化用触媒15,16が配設されるとともに、これらの排気ガス浄化用触媒15,16の上流側には、燃料フィードバック制御用の第1空燃比センサ17が配設され、一方の排気ガス浄化用触媒15の下流側で他方の排気ガス浄化用触媒16の上流側には、触媒モニタ用の第2空燃比センサ18が配設されている。
【0030】
上記両空燃比センサ17,18は、所定の活性化温度以上にある場合において、空燃比がリーンのときに低出力状態となるとともに、空燃比がリッチのときに高出力状態となることにより、理論空燃比に相当する酸素濃度で出力電圧が急変するように構成されたいわゆるλO2センサ等からなっている。
【0031】
上記エンジンコントロールユニット14には、図2に示すように、上流側の第1空燃比センサ17から出力された空燃比の検出信号と、エンジン回転数を検出する回転数センサ19およびエンジンの冷却水温を検出する水温センサ20等から出力される検出信号と、上記エアフローメータ5によって検出された吸入空気量の検出信号とに基づいて燃料噴射量を制御するとともに、所定のフィードバック制御条件が成立したときに、上記第1空燃比センサ17の出力に応じて空燃比を理論空燃比とするように燃料噴射量をフィードバック制御する燃料噴射量制御手段22が設けられている。
【0032】
また、上記エンジンコントロールユニット14には、排気還流圧力を検出する上記圧力センサ12の検出信号に応じて排気ガスの還流量が不足する傾向にあるか否かを検出する還流不足検出手段23と、上記排気還流不足が検出された場合に、空燃比をリッチ側に補正する第1空燃比補正手段24と、上記第1空燃比センサ17に劣化が生じたことを検出するセンサ劣化検出手段25と、第1空燃比センサ17の劣化検出時に、この第1空燃比センサ17の出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を補正する第2空燃比補正手段26とが設けられている。
【0033】
上記還流不足検出手段23は、各センサの検出信号に応じてエンジンが外乱のない安定した運転状態にあることが確認された場合に、排気還流通路10に設けられた排気還流制御弁11を開閉して、この排気還流制御弁11の開時と閉時とにおける排気還流圧力差を上記圧力センサ12の検出信号に応じて求めるように構成されている。
【0034】
そして、上記排気還流制御弁11の開時と閉時とにおける排気還流圧力差に基づいて排気ガスの還流量が不足する傾向にあるか否かを上記還流不足検出手段23により検出し、この検出信号を上記第1空燃比補正手段24に出力するとともに、表示ランプまたはブザー等からなる警報手段27に作動指令信号を出力するように構成されている。
【0035】
上記第1空燃比補正手段24は、還流不足検出手段23から出力される検出信号に応じ、上記排気還流制御弁11の開時と閉時とにおける排気還流圧力差の平均値を求め、この値に基づいて上記排気還流制御手段7を介して吸気通路2に還流される排気ガスの還流量が不足する傾向にあることが検出された場合に、上記第1空燃比センサ17の出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を補正することにより、空燃比をリッチ側に補正するように構成されている。
【0036】
すなわち、上記燃料噴射量制御手段22により燃料噴射量をフィードバック制御して空燃比を理論空燃比とする制御が実行されることにより、図3に示すように、理論空燃比を境にしてリーン側とリッチ側とに交互に切り替わる空燃比を、上記第1空燃比センサ17により検出する。そして、通常時には、上記空燃比がリーン領域からリッチ領域に切り替わった時点T1から、図3の実線で示すように、ディレイタイマーのカウント値が、リッチ切替時におけるディレイ時間設定用の基本量Dbs1に対応した値となった時点T2で、空燃比判定がリーン判定からリッチ判定に切り替わったことを示す制御フラグをセットすることにより、上記時点T1から上記基本量Dbs1に対応したディレイ時間Dlrの経過後に、燃料噴射の制御量を増量補正状態から減量補正状態に変化させるようになっている。
【0037】
一方、上記還流不足検出手段23において排気ガスの還流量が不足する傾向があることが検出された場合には、図3の破線で示すように、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1に、上記排気還流量の不足度合いに対応した補正量Dtk3が加算されることにより、空燃比がリーン領域からリッチ領域に切り替わる際のディレイ時間Dlrが補正される。この結果、空燃比判定がリーン判定からリッチ判定に切り替わった時点でセットされる上記制御フラグのセット時点T3が、通常のセット時点T2に比べて遅延され、燃料噴射量が通常時よりも増量されることになって空燃比がリーン側に補正される。
【0038】
また、センサ劣化検出手段25は、上記燃料噴射量制御手段22により実行される燃料噴射量のフィードバック制御時に、上記第1空燃比センサ17により検出された排気ガス中の酸素濃度に対応する空燃比が、リーン側またはリッチ側の一方に偏る傾向が生じているか否かを判別することにより、上記第1空燃比センサ17に劣化が生じたか否かを検出し、この検出信号を上記第2空燃比補正手段26等に出力するように構成されている。
【0039】
すなわち、上記センサ劣化検出手段25は、図4に示すように、燃料噴射量のフィードバック制御時に、理論空燃比を境にしてリーン側とリッチ側とに交互に切り替わる空燃比の変化時間を測定し、所定のリッチ領域からリーン領域に切り替わるまでのリッチ時間Res2と、所定のリーン領域からリッチ領域に切り替わるまでのリーン時間Res1とを比較することにより、空燃比がリーン側またはリッチ側の一方に偏る傾向が生じたことを検出するように構成されている。
【0040】
そして、例えば図4の破線で示すように、上記第1空燃比センサ17の検出値がリーン側に偏ってリーン時間Res1がリッチ時間Res2よりも大きいことが検出された場合に、上記第1空燃比センサ17の検出値がリーン側に偏る劣化が生じたと判定して、この劣化状態の検出信号を上記第2空燃比補正手段26に出力するとともに、表示ランプまたはブザー等からなる警報手段27に作動指令信号を出力するように構成されている。
【0041】
上記第2空燃比補正手段26は、センサ劣化検出手段25により第1空燃比センサ17の検出値がリーン側に偏る劣化が生じたことが検出された場合に、図4の破線で示すように、リッチ領域からリーン領域に切り替わる際、つまりリーン切替時におけるディレイ時間設定用の基本量Dbs2に、センサの劣化度合いに対応したリーン補正量Dtk2を加算することにより、リッチ領域からリーン領域に切り替わる際のディレイ時間Drlを補正するように構成されている。
【0042】
この結果、図4の破線で示すように、空燃比判定がリッチ判定からリーン判定に切り替わったことを示す制御フラグのリセット時点T5が、通常のリセット時点T4に比べて遅延され、ディレイ時間Drlの補正を行わない場合に比べて燃料噴射量が減量されることにより、空燃比がリーン側に補正されて上記空燃比のリッチ化傾向が是正されることになる。
【0043】
なお、上記図4の例とは逆に第1空燃比センサ17の検出値がリッチ側に偏る劣化が生じたことがセンサ劣化検出手段25において検出された場合には、図3に示すリッチ補正量Dtk3に代えてセンサの劣化度合いに対応したディレイ時間Dlrの補正量Dtk1が設定され、このリッチ補正量Dtk1が上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1に加算されることにより、リーン領域からリッチ領域に切り替わる際のディレイ時間Dlrが補正される。
【0044】
上記構成の空燃比制御によって実行される制御の基本制御動作を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずエンジンの運転状態を検出する上記回転数センサ19および水温センサ20等から出力された各検出信号を入力した後(ステップS1)、回転数センサ19によって検出されたエンジン回転数Neと、エアフローメータ5によって検出された吸入空気量Gaとに基づいて燃料の基本噴射量Teを演算するとともに(ステップS2)、上記水温センサ20によって検出されたエンジンの冷却水温Ectに基づいて燃料噴射の水温補正増量Cwを演算する(ステップS3)。
【0045】
次いで、上記センサ劣化検出手段25による第1空燃比センサ17の劣化検出が既に行われたことを示す完了フラグF2が1にセットされているか否かを判定し(ステップS4)、NOと判定された場合には、上記各センサの検出信号に応じて上記第1空燃比センサ17の劣化検出条件が成立したか否かを判定する(ステップS5)。
【0046】
例えば、エンジン回転および吸気の充填効率が所定範囲内で、車速およびエンジンの冷却水温が所定値以上であるとともに、単位時間当たりにおけるエンジン回転数の変化量、同充填効率の変化量および同スロットル開度の変化量が所定値以下であり、かつアイドル運転領域および失火状態のいずれでもないとともに、各種の故障モニターの実行中でなく、エバポモニタの実行中および排気ガス還流モニタの実行中のいずれでもなく、さらに各種センサに故障が発生していないことが検出されることにより、エンジンが外乱のない安定した運転状態にあることが確認された場合に、上記第1空燃比センサ17の劣化検出条件が成立したと判定されるようになっている。
【0047】
上記ステップS5でYESと判定されて第1空燃比センサ17の劣化検出条件が成立したことが確認された場合には、後述する第1空燃比センサ17の劣化検出制御を実行するとともに(ステップS6)、上記第1空燃比センサ17の出力反転に対する制御量変化のディレイ時間Dlr,Drlを補正するための補正量Dtk1,Dtk2を、上記ステップS6で求めた平均偏差Def2,Def1に基づいて算出する(ステップS7)。
【0048】
なお、上記ステップS5でNOと判定されて第1空燃比センサ17の劣化検出条件が成立していないことが確認された場合には、前回の劣化検出時における制御データ(Def1,Def2)が記憶されているか否かを判定し(ステップS8)、YESと判定された場合には、上記ステップS6に移行して前回の制御データに基いて上記ディレイ時間設定用の補正量Dtk1,Dtk2を算出し、NOと判定された場合には、下記のステップS9に移行する。
【0049】
次いで、上記還流不足検出手段23による排気還流不足の検出が既に行われたことを示す完了フラグF1が1にセットされているか否かを判定し(ステップS9)、NOと判定された場合には、上記各センサの検出信号に応じて上記排気還流不足の検出条件が成立したか否かを判定する(ステップS10)。
【0050】
例えばエンジン回転、スロットル開度および吸気の充填効率が所定範囲内で、車速、吸入空気温度および排気還流制御弁11のリフト量が所定値以上であるとともに、単位時間当たりにおけるエンジン回転数の変化量および同充填効率の変化量が所定値以下であり、燃料噴射故障のモニタの実行中でないとともに、負荷変化がない状態で、圧力センサ12が凍結した状態にないことが確認されることにより、エンジンが外乱のない安定した運転状態にあることが確認された場合に、上記排気還流不足の検出条件が成立したと判定されるようになっている。
【0051】
上記ステップS10でYESと判定されて排気還流不足の検出条件が成立したことが確認された場合には、後述する排気還流不足の検出制御を実行するとともに(ステップS11)、上記第1空燃比センサ17の出力反転に対する制御量変化のディレイ時間Dlrを補正するための補正量Dtk3を、上記ステップS11で求めた排気還流圧力差の平均値Paveに基づいて算出する(ステップS12)。このようして図7に示すように排気還流圧力差の平均値Paveが小さい程、大きな値の補正量Dtk3が設定されることになる。
【0052】
なお、上記ステップS10でNOと判定されて排気還流不足の検出条件が成立していないことが確認された場合には、前回の還流不足検出時における制御データ(Pave)が記憶されているか否かを判定し(ステップS13)、YESと判定された場合には、上記ステップS12に移行して前回の制御データに基づいて上記ディレイ時間Dlr設定用の補正量Dtk3を演算し、NOと判定された場合には、下記のステップS14に移行する。
【0053】
次いで、フィードバック補正値の演算制御を実行することにより(ステップS14)、後述するように、燃料噴射制御時におけるフィードバック補正値Cfbを求めた後、燃料噴射制御の学習条件が成立したか否かを判定し(ステップS15)、YESと判定された場合には、上記ステップS14で求めたフィードバック補正値Cfbに基づき、フィードバック制御用の学習値Clmを更新するとともに(ステップS16)、この更新値に基づいて上記フィードバック補正値Cfbを修正する(ステップS17)。
【0054】
そして、上記ステップS2で求めた燃料の基本噴射量Teと、ステップS3で求めた水温補正量Cwと、ステップS14で求めたフィードバック補正量Cfbと、ステップS16で求めた学習値Clmとに基づき、燃料の最終噴射量Tiを演算した後(ステップS18)、この最終噴射量Tiに対応した噴射量となるように燃料の噴射制御を実行する(ステップS19)。
【0055】
次に、上記基本制御動作のステップS6において実行される劣化検出制御の制御動作を図8に示すフローチャートに基づいて説明する。上記第1空燃比センサ17の検出信号に応じて所定のリーン領域からリッチ領域に切り替わるまでのリーン時間Res1を測定するとともに、このリーン時間Res1の測定値を前回の積算値に加算することにより、リーン時間Res1の積算値Sum1を算出し(ステップS21)、かつ所定のリッチ領域からリーン領域に切り替わるまでのリッチ時間Res2を測定するとともに、このリッチ時間Res2の積算値Sum2を算出する(ステップS22)。
【0056】
なお、本実施形態では、図4に示すように、上記第1空燃比センサ17の出力が、例えば0.35V程度のリーン判定値V1以下となってから、0.55V程度のリッチ判定値V2に上昇するまでの間をリーン時間Res1とし、このリッチ判定値V2以上となってから、上記リーン判定値V1に低下するまでの間をリッチ時間Res2としている。
【0057】
また、上記リーン時間Res1およびリッチ時間Res2の積算回数Cftが、予め10回程度に設定された基準回数C以上となったか否かを判定し(ステップS23)、YESと判定された場合には、上記リーン時間Res1の積算値Sum1と、積算回数Cftとに基づいて上記リーン時間Res1の平均値Ave1を算出するとともに(ステップS24)、上記リッチ時間Res2の積算値Sum2と、積算回数Cftとに基づいて上記リッチ時間Res2の平均値Ave2を算出する(ステップS25)。
【0058】
次いで、上記ステップS24,S25で求めたリーン時間Res1の平均値Ave1と、リッチ時間Res2の平均値Ave2とに基づき、上記センサの劣化度合いに応じたディレイ時間設定用の補正量Dtk2,Dtk1を演算するための平均偏差Def1(=Ave1−Ave2)またはDef2(=Ave2−Ave1)を算出する(ステップS26)。
【0059】
つまり、図4の破線で示すように、上記リーン時間Res1がリッチ時間Res2よりも長くなる傾向が生じ、上記リーン時間Res1の平均値Ave1が、リッチ時間Res2の平均値Ave2よりも大きいことが検出された場合には、上記空燃比がリッチ領域からリーン領域に切り替わる際のディレイ時間Drlの補正量Dtk2を演算するための平均値偏差Def1が算出される。
【0060】
また、逆に上記リッチ時間Res2がリーン時間Res1よりも長くなる傾向が生じ、上記リッチ時間Res2の平均時間Ave2が、リーン時間Res1の平均値Ave1よりも大きいことが検出された場合には、上記空燃比がリーン領域からリッチ領域に切り替わる際のディレイ時間Dlrの補正量Dtk1を演算するための平均偏差Def2が算出される。
【0061】
そして、上記第1空燃比センサ17の劣化検出が既に行われたことを示す完了フラグF2を1にセットした後(ステップS27)、上記基本制御動作にリターンする。なお、上記ステップS23でNOと判定されてリーン時間Res1およびリッチ時間Res2の積算回数Cftが、基準回数C未満であることが確認された場合には、この時点で上記基本制御動作のステップS8に移行する。
【0062】
次に、上記基本制御動作のステップS11において実行される検出制御の制御動作を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。この検出制御がスタートすると、まず上記排気還流制御弁11を開放して、この弁開時に上記圧力センサ12よって排気還流圧力EGPonを検出した後(ステップS31)、上記排気還流制御弁11を閉止して、この弁閉時に上記圧力センサ12よって排気還流圧力EGPoffを検出する(ステップS32)。
【0063】
次いで、上記弁開時の排気還流圧力EGPonと、弁閉時の排気還流圧力EGPoffとの圧力差(EGPon−EGPoff)を算出した後、この圧力差の算出値を、前回の積算値に加算することにより、排気還流圧力差の積算値Psumを算出する(ステップS33)。
【0064】
次に、上記排気還流圧力差の積算回数Pcftが、予め設定された基準回数B以上となったか否かを判定し(ステップS34)、YESと判定された場合には、上記排気還流圧力差の積算値Psumと、その積算回数Pcftとに基づいて、上記排気還流量の不足度合いに応じたディレイ時間Dlrの補正量Dtk3を算出するための排気還流圧力差の平均値Paveを算出する(ステップS36)。
【0065】
そして、上記排気還流不足の検出が既に行われたことを示す完了フラグF1を1にセットした後(ステップS37)、上記基本制御動作にリターンする。なお、上記ステップS34でNOと判定されて排気還流圧力差の積算回数Pcftが、基準回数B未満であることが確認された場合には、この時点で上記基本制御動作のステップS13に移行する。
【0066】
次に、上記基本制御動作のステップS14において実行されるフィードバック補正値の演算制御動作を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御動作がスタートすると、空燃比がリッチ状態であることを示す制御フラグF3が1にセットされているか否かを判定し(ステップS41)、NOと判定されて空燃比がリーン状態にあることが確認された場合には、エンジン回転数Neおよびスロットル開度Tvo等に基づき、リッチ切替時におけるディレイ時間設定用の基本量Dbs1を算出する(ステップS42)。
【0067】
そして、上記第2空燃比補正手段26による補正条件が成立したか否かを判定し(ステップS43)、YESと判定された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1と、上記基本制御のステップS7で算出されたリッチ切替時における補正量Dtk1とに基づいて、リーン領域からリッチ領域に切り替わる際のディレイ時間Dlrを算出する(ステップS44)。
【0068】
すなわち、上記ステップS43で、エンジンがアイドル運転状態にないとともに、第2空燃比センサ18の故障モニタを行っていない状態で、リーン切替時における平均偏差Def2が所定値以上であり、かつ上記リーン時間Res1の平均値Ave1が所定値以上であることが確認されることにより、上記第2補正条件が成立したと判定された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1に、上記補正量Dtk1を加算することにより、リッチ切替時におけるディレイ時間Dlrを算出する。
【0069】
また、上記ステップS43でNOと判定されて第2空燃比補正手段26による補正条件が成立していないことが確認された場合には、上記第1空燃比補正手段24による補正条件が成立しているか否かを判定し(ステップS45)、YESと判定された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1と、上記基本制御のステップS12で算出したディレイ時間Dlrの補正量Dtk3とに基づいて、リーン領域からリッチ領域に切り替わる際のディレイ時間Dlrを算出する(ステップS46)。
【0070】
すなわち、上記ステップS45でエンジンがアイドル運転状態にないとともに、第2空燃比センサ18の故障モニタを行っていない状態、つまり排気ガスを吸気通路2に還流させるエンジンの運転領域にあることが確認されることにより、上記第1補正条件が成立したと判定された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1に、上記補正量Dtk3を加算することにより、リッチ切替時におけるディレイ時間Dlrを算出する(ステップS46)。
【0071】
また、上記ステップS45でNOと判定されて第1補正条件が成立していないことが確認された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1のみに基づいてリッチ切替時におけるディレイ時間Dlrを算出する(ステップS47)。次いで、燃料噴射のフィードバック制御条件が成立しているか否かを判定し(ステップS48)、NOと判定された場合には、燃料噴射のフィードバック補正値Cfbを0に設定した後に上記基本制御にリターンする(ステップS49)。
【0072】
また、上記ステップS48でYESと判定されて燃料噴射のフィードバック制御条件が成立していることが確認された場合には、上記第1空燃比センサ17の出力電圧Oxyを読み込んだ後(ステップS50)、この出力電圧Oxyが0.45V程度に予め設定された基準電圧V0よりも高いか否かを判定することにより、空燃比がリッチ状態であるか否かを確認する(ステップS51)。
【0073】
上記ステップS51でNOと判定されて現在の空燃比がリーン状態であることが確認された場合には、上記ディレイ時間Dlrを計測するためのディレイタイマーのカウント値Toxdlyをリセットするとともに(ステップS52)、上記空燃比がリッチ状態であることを示す制御フラグF3を0にリセットする(ステップS53)。次いで、現時点における燃料噴射のフィードバック補正値Cfbに所定値A(比例項もしくは積分項)を加算することにより燃料噴射の増量補正を行った後(ステップS54)、上記基本制御にリターンする。
【0074】
一方、上記ステップS51でYESと判定されて現在の空燃比がリッチ状態であることが確認された場合には、上記ディレイタイマーのカウント値Toxdlyに1を加算してディレイタイマーのカウントを行った後(ステップS55)、上記カウント値ToxdlyがステップS44,S46,S47の何れかにおいて算出されたディレイ時間Dlrとなったか否かを判定し(ステップS56)、NOと判定された場合には、上記ステップS53に移行してリーン状態のフィードバック制御を継続して実行する
また、上記ステップS56でYES判定されてディレイタイマーにより設定されたディレイ時間Dlrが経過したことが確認された場合には、上記空燃比がリッチ状態であることを示す制御フラグF3を1にセットする(ステップS57)。次いで、現時点における燃料噴射のフィードバック補正値Cfbから所定値Aを減算することにより燃料噴射の減量補正を行った後(ステップS58)、上記基本制御にリターンする。
【0075】
また、上記ステップS41でYESと判定されて空燃比がリッチ状態であることを示す制御フラグF30にリセットされていることが確認された場合には、エンジン回転数Neおよびスロットル開度Tvo等に基づき、リッチ状態からリーン状態への切替時におけるディレイ時間設定用の基本量Dbs2を算出する(ステップS59)。
【0076】
そして、上記第2空燃比補正手段26による補正条件が成立したか否かを判定し(ステップS60)、YESと判定された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs2と、上記基本制御のステップS7で算出されたリーン切替時における補正量Dtk2とに基づいて、リッチ領域からリーン領域に切り替わる際のディレイ時間Drlを算出する(ステップS61)。
【0077】
すなわち、上記ステップS60で、エンジンがアイドル運転状態にないとともに、第2空燃比センサ18の故障モニタを行っていない状態で、リッチ切替時における平均偏差Def1が所定値以上であるか、または上記リッチ時間Res2の平均値Ave2が所定値以上であることが確認されることにより、上記第2補正条件が成立したと判定された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs2に、上記補正量Dtk2を加算することにより、リーン切替時におけるディレイ時間Drlを算出する。
【0078】
また、上記ステップS60でNOと判定されて第2空燃比補正手段26による補正条件が成立していないことが確認された場合には、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs2のみに基づいてリーン切替時におけるディレイ時間Drlを算出する(ステップS62)。次いで、燃料噴射のフィードバック条件が成立しているか否かを判定し(ステップS63)、NOと判定された場合には、燃料噴射のフィードバック補正値Cfbを0に設定した後に上記基本制御にリターンする(ステップS49)。
【0079】
また、上記ステップS63でYESと判定されて燃料噴射のフィードバック条件が成立していることが確認された場合には、上記第1空燃比センサ17の出力電圧Oxyを読み込んだ後(ステップS64)、この出力電圧Oxyが予め0.45V程度に設定された基準電圧V0よりも低いか否かを判定することにより、空燃比がリーン状態であるか否かを確認する(ステップS65)。
【0080】
上記ステップS65でNOと判定されて現在の空燃比がリッチ状態であることが確認された場合には、上記ディレイ時間Drlを計測するためのディレイタイマーのカウント値Toxdlyをリセットするとともに(ステップS66)、上記ステップS57に移行して空燃比がリッチ状態であることを示す制御フラグF3を1にセットする(ステップS53)。
【0081】
一方、上記ステップS65でYESと判定されて現在の空燃比がリーン状態であることが確認された場合には、上記ディレイタイマーのカウント値Toxdlyに1を加算してディレイタイマーのカウントを行った後(ステップS67)、上記カウント値ToxdlyがステップS61またはS62において算出されたディレイ時間Drlとなったか否かを判定し(ステップS68)、NOと判定された場合には、上記ステップS57に移行してリッチ状態のフィードバック制御を継続して実行する。
【0082】
また、上記ステップS68でYES判定されてディレイタイマーにより設定されたディレイ時間Drlが経過したことが確認された場合には、上記ステップS53に移行して空燃比がリッチ状態であることを示す制御フラグF3を0にリセットした後、現時点における燃料噴射のフィードバック補正値Cfbに所定値Aを加算することにより燃料噴射の増量補正を行った後(ステップS54)、上記基本制御にリターンする。
【0083】
上記のように排気還流制御手段7による排気ガスの還流量が不足する傾向があることを検出する還流不足検出手段23と、この還流不足検出手段23により排気ガスの還流量が不足する傾向があることが検出された場合に、上記第1空燃比補正手段24により空燃比をリッチ側に補正するように構成したため、排気還流制御弁11が故障した場合に限られず、排気還流通路10が詰まる等の故障が発生した場合においても、空燃比をリッチ側に移行させる補正を実行することにより、排気ガスの還流量が不足することに起因したNOx排出量の増大を抑制することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、還流不足検出手段23によって検出された排気還流量の不足度合いに応じて空燃比の補正量を変化させるように構成したため、上記排気還流通路10が詰まる等の故障が発生した場合に、上記還流不足検出手段23によって検出された排気還流量の不足度合いに応じて空燃比をリッチ側に移行させる補正量を制御することにより、空燃比がオーバリッチになるという事態の発生を防止しつつ、上記排気ガスの還流量を適正に制御してNOx排出量の増大を効果的に抑制することができる。
【0085】
なお、上記還流不足検出手段23により排気ガスの還流量が不足する傾向があることが検出された場合に、空燃比を検出する第1空燃比センサ17の検出信号に応じて燃料噴射量を制御する際の制御ゲインを変化させることにより空燃比をリッチ側に補正することも可能であるが、上記実施形態に示すように、上記第1空燃比補正手段24により、第1空燃比センサ17の出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を補正することにより、空燃比をリッチ側に補正するように構成した場合には、簡単な構成で、空燃比をリッチ側に移行させる補正を適正に実行して排気ガスの還流量が不足することに起因したNOx排出量の増大を効果的に抑制できるという利点がある。
【0086】
また、上記実施形態では、排気ガスを吸気通路2に還流させるエンジンの運転領域で、上記第1空燃比補正手段24によって空燃比をリッチ側に補正する制御を実行し、アイドル運転時等の排気ガスを還流させる運転領域にない場合に、上記ディレイ時間設定用の基本量Dbs1のみに基づいてリッチ切替時におけるディレイ時間Dlrを算出して上記補正を行わないように構成したため、上記第1空燃比補正手段24により空燃比をリッチ側に補正する制御が不必要時に実行されるのを防止しつつ、排気ガスを吸気通路に還流させるエンジンの運転領域で、排気ガスの還流量が不足することに起因してNOx排出量が増大するのを効果的に抑制することができる。
【0087】
また、上記実施形態では、排気還流通路10に設けられた圧力センサ12により検出された排気還流制御弁11の開時と閉時とにおける排気還流圧力差を上記還流不足検出手段23により検出し、この排気還流圧力差の検出値に基づいて排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを検出するように構成したため、上記排気還流通路10の詰まり等に起因した還流制御手段7の故障を正確に検出して上記第1空燃比補正手段24による補正を適正に実行することができる。
【0088】
すなわち、上記排気還流通路10の詰まりが発生した場合には、上記排気還流制御弁を閉状態から開状態に移行させた場合においても、上記排気還流通路10内の圧力がそれ程著しい変化が生じないため、上記圧力センサ12の検出値に基づいて上記排気還流通路10の詰まり等に起因した還流制御手段7の故障が発生したか否かを正確に検出することができる。
【0089】
なお、吸気通路2に設けられた圧力センサにより検出された吸気圧力に基づいて上記排気還流圧力差を類推し、この排気還流圧力差の類推値に基づいて上記排気還流通路10の詰まり等に起因した還流制御手段7の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを検出するように構成してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、還流不足検出手段23により、排気還流制御弁11の開時と閉時とにおける排気還流圧力差の平均値Paveに基づいて排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを検出するように構成したため、ノイズの発生に起因した誤検出を生じることなく、上記排気還流圧力差の平均値Paveに基づいて、排気還流通路10が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを適正に検出することができる。
【0091】
さらに、上記実施形態では、上記還流不足検出手段23により検出された排気還流量が、予め設定された基準値よりも不足していることが確認された場合に、排気還流制御手段7が異常であることを報知する警報手段27を設けたため、この警報手段27により排気還流制御手段7が異常であることを乗員に報知してその修理を促すことができる。
【0092】
また、上記実施形態のように、還流不足検出手段23により排気ガスの還流量が不足した状態にあることが検出された場合に、空燃比をリッチ側に補正する第1空燃比補正手段24と、センサ劣化検出手段25によって第1空燃比センサ17の劣化が検出された場合に、この第1空燃比センサ17の出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を補正する第2空燃比補正手段26とを備えた空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段23により排気還流量の不足が検出されるとともに、上記センサ劣化検出手段25によって第1空燃比センサ17の劣化が検出された場合に、上記両空燃比補正手段24,26の一方による空燃比の補正を制限するように構成した場合には、排気還流通路10が詰まる等の故障が発生して排気ガスの還流量が不足した状態と、空燃比センサ17が劣化してその検出値に誤差が生じている状態とが同時に検出された場合に、上記両空燃比補正手段24,26による空燃比の補正が同時に実行されることに起因して空燃比を理論空燃比とするフィードバック制御時に制御振幅が顕著に増大するという事態の発生を防止することができる。
【0093】
特に、上記実施形態では、還流不足検出手段23により排気ガスの還流量が不足した状態にあることが検出されるとともに、センサ劣化検出手段25によって第1空燃比センサ17に劣化が生じたことが検出された場合に、第1空燃比補正手段24による空燃比の補正を制限するように構成したため、劣化が生じた第1空燃比センサ17の検出値に基づいて、不正確な空燃比の補正制御が実行されるという事態の発生を防止することができる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、排気ガスを吸気通路に還流させる排気還流通路および排気還流制御弁を有する排気還流制御手段と、この排気還流制御手段による排気ガスの還流量が不足する傾向があることを検出する還流不足検出手段と、燃料フィードバック制御用の空燃比センサと、上記還流不足検出手段により排気ガスの還流量が不足した状態にあることが検出された場合に、空燃比をリッチ側に補正する第1空燃比補正手段と、上記空燃比センサに劣化が生じたことを検出するセンサ劣化検出手段と、このセンサ劣化検出手段によって空燃比センサの劣化が検出された場合に、この空燃比センサの出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を補正する第2空燃比補正手段とを備え、上記還流不足検出手段により排気還流量の不足が検出されるとともに、上記センサ劣化検出手段によって空燃比センサの劣化が検出された場合に、上記両空燃比補正手段の一方による空燃比の補正を制限するように構成したため、排気還流制御弁が故障した場合に限られず、排気還流通路が詰まる等の故障が発生した場合においても、空燃比をリッチ側に移行させる補正を実行することにより、排気ガスの還流量が不足することに起因したNOx排出量の増大を抑制できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンの空燃比制御装置を備えたエンジンの概略図である。
【図2】本発明に係るエンジンの空燃比制御装置の実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る空燃比制御装置の制御動作を示すタイムチャートである。
【図4】空燃比センサの劣化時における制御動作を示すタイムチャートである。
【図5】空燃比制御装置による基本制御動作の前半部を示すフローチャートである。
【図6】空燃比制御装置による基本制御動作の後半部を示すフローチャートである。
【図7】排気還流圧力差とディレイ時間の補正量との対応関係を示すグラフである。
【図8】空燃比センサの劣化検出制御動作を示すフローチャートである。
【図9】排気還流制御手段の故障検出制御動作を示すフローチャートである。
【図10】フィードバック補正値の演算制御動作の前半部を示すフローチャートである。
【図11】フィードバック補正値の演算制御動作の後半部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 吸気通路
10 排気還流通路
11 排気還流制御弁
12 圧力センサ
17 空燃比センサ
23 還流不足検出手段
24 第1空燃比補正手段
25 劣化検出手段
26 第2空燃比補正手段
27 警報手段
Claims (7)
- 排気ガスを吸気通路に還流させる排気還流通路および排気還流制御弁を有する排気還流制御手段と、この排気還流制御手段による排気ガスの還流量が不足する傾向があることを検出する還流不足検出手段と、燃料フィードバック制御用の空燃比センサと、上記還流不足検出手段により排気ガスの還流量が不足した状態にあることが検出された場合に、空燃比をリッチ側に補正する第1空燃比補正手段と、上記空燃比センサに劣化が生じたことを検出するセンサ劣化検出手段と、このセンサ劣化検出手段によって空燃比センサの劣化が検出された場合に、この空燃比センサの出力反転に対する制御量変化のディレイ時間を補正する第2空燃比補正手段とを備え、上記還流不足検出手段により排気還流量の不足が検出されるとともに、上記センサ劣化検出手段によって空燃比センサの劣化が検出された場合に、上記両空燃比補正手段の一方による空燃比の補正を制限するように構成したことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 請求項1記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記空燃比補正手段は、還流不足検出手段によって検出された排気還流量の不足度合いに応じて空燃比の補正量を変化させるように構成されたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 請求項1または2記載のエンジンの空燃比制御装置において、排気ガスを吸気通路に還流させるエンジンの運転領域で、上記空燃比補正手段によって空燃比をリッチ側に補正する制御を実行するように構成したことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 請求項1〜3の何れかに記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段は、排気還流通路もしくは吸気通路に設けられた圧力センサにより検出された排気還流制御弁の開時と閉時とにおける排気還流圧力差に基づいて排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを検出するように構成されたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 請求項4記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段により、排気還流制御弁の開時と閉時とにおける排気還流圧力差の平均値に基づいて排気ガスの還流量が不足した状態にあるか否かを検出するように構成したことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 請求項1〜5の何れかに記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段により検出された排気還流量が、予め設定された基準値よりも不足していることが確認された場合に、排気還流制御手段が異常であることを報知する報知手段を備えたことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
- 請求項1〜6の何れかに記載のエンジンの空燃比制御装置において、上記還流不足検出手段により排気ガスの還流量が不足した状態にあることが検出されるとともに、上記センサ劣化検出手段によって空燃比センサに劣化が生じたことが検出された場合に、上記第1空燃比補正手段による空燃比の補正を制限するように構成したことを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
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