JP4211920B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子(発光素子またはEL素子)に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、種々の表示素子に関する研究開発が活発であり、中でも有機電界発光(EL)素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な表示素子として注目されている。
【0003】
近年、有機EL素子をカラーディスプレイ、白色光源等へ適用することが活発に検討されているが、高性能カラーディスプレイおよび白色光源を開発するためには青・緑・赤、それぞれの発光素子の特性を向上させる必要がある。また、青色発光する素子としてはテトラフェニルブタジエン等のブタジエン誘導体を含有する素子が知られているが(特許文献1)、最高輝度および発光効率が低いため改良が求められている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5-94875号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発光特性が良好な多色発光素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的は下記の手段によって達成された。
1.一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(1):
【化5】
(一般式(1)中、R11は置換基を表し、X11、X12、X13およびX14はそれぞれ窒素原子、あるいは置換または無置換の炭素原子を表し、M11は金属イオンを表し、n11およびn12はそれぞれ0または1を表し、n11が1のときn12は0である。)で表される化合物を有機層中に少なくとも一つ含有することを特徴とする。
2.前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2):
【化6】
(一般式(2)中、R21、R22およびR23はそれぞれ置換基を表し、X 22 および X 23 はそれぞれ無置換の炭素原子を表す。)で表される化合物であることを特徴とする1に記載の有機電界発光素子。
3.前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3):
【化7】
(一般式(3)中、R31、R32およびR33はそれぞれ置換基を表し、X32およびX33はそれぞれ窒素原子、あるいは置換または無置換の炭素原子を表す。)で表される化合物であることを特徴とする1に記載の有機電界発光素子。
4.前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(4):
【化8】
(一般式(4)中、R41、R42およびR43はそれぞれ置換基を表し、X42およびX43はそれぞれ窒素原子、あるいは置換または無置換の炭素原子を表し、M41は金属イオンを表し、L41は配位子を表し、m41は1〜7の整数を表す。)で表される化合物であることを特徴とする1に記載の有機電界発光素子。
【0007】
【発明の実施の形態】
[1] 一般式(1)〜(4)で表される化合物
一般式(1)について説明する。X11、X12、X13およびX14はそれぞれ窒素原子、あるいは置換または無置換の炭素原子を表す。X11、X12、X13およびX14は可能な場合は互いに連結して環構造(例えばベンゾ縮環等)を形成しても良い。
【0008】
炭素原子上の置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル基、エチル基、iso-プロピル基、tert-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ペンテニル基等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル基、3-ペンチニル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p-メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2-エチルヘキシロキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ基、ピラジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、キノリルオキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基等)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ基、2-ベンズイミダゾリルチオ基、2-ベンズオキサゾリルチオ基、2-ベンズチアゾリルチオ基等)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基等)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基等)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基等)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含み、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基等)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基等)等が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0009】
X11およびX14はそれぞれ置換または無置換の炭素原子が好ましく、置換炭素原子がより好ましく、アリール基置換炭素原子がさらに好ましい。X12およびX13はそれぞれ置換または無置換の炭素原子が好ましく、無置換炭素原子がより好ましい。X11およびX14がそれぞれ置換炭素原子であり、かつX12およびX13がそれぞれ置換または無置換の炭素原子であるのが好ましく、X11およびX14がそれぞれアリール基置換炭素原子であり、かつX12およびX13がそれぞれ無置換の炭素原子であるのがより好ましい。
【0010】
R11は置換基を表す。置換基は特に限定されないが、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基等が好ましく、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、アリール基がさらに好ましい。
【0011】
M11は金属イオンを表し、好ましくは遷移金属イオンである。遷移金属イオンは特に限定されないが、イリジウムイオン、白金イオン、レニウムイオン、ルテニウムイオン等が好ましく、イリジウムイオンまたは白金イオンがより好ましく、イリジウムイオンが特に好ましい。
【0012】
n11およびn22はそれぞれ0または1を表す。n11が1のときn12は0である。n11は1が好ましく、n12は0が好ましい。
【0013】
一般式(2)について説明する。R 21 は上記R 11 と同義であり、好ましい範囲も同じである。X 22 およびX 23 はそれぞれ無置換の炭素原子を表す。R22およびR23はそれぞれ置換基を表す。R22およびR23で表される置換基としては上記X11〜X14で表される炭素原子上の置換基として挙げた基が挙げられる。R22およびR23はアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が好ましく、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、アリール基がさらに好ましい。
【0014】
一般式(3)について説明する。R31、R32、R33、X32およびX33はそれぞれ上記R21、R22、R23、X 12 およびX 13 と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0015】
一般式(4)について説明する。R41、R42、R43、X42、X43およびM41はそれぞれ上記R21、R22、R23、X 12 、X 13 およびM11と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0016】
L41は配位子を表す。配位子としては、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」, Springer-Verlag社, H.Yersin著, 1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」, 裳華房社, 山本明夫著, 1982年発行等に記載の配位子が挙げられ、好ましくはハロゲン配位子(塩素配位子、フッ素配位子等)、含窒素ヘテロ環配位子(ビピリジル配位子、フェナントロリン配位子、フェニルピリジン配位子、ピラゾリルピリジン配位子、ベンズイミダゾリルピリジン配位子、ピコリン酸配位子、チエニルピリジン配位子、ピラゾリルピリジン配位子、イミダゾリルピリジン配位子、トリアゾリルピリジン配位子、ピラゾリルベンゾオキサゾール配位子、それらの縮環体(フェニルキノリン配位子、ベンゾチエニルピリジン配位子、ビキノリン配位子等)等)、ジケトン配位子(アセチルアセトン配位子等)、ニトリル配位子(アセトニトリル配位子等)、CO配位子、イソニトリル配位子(t-ブチルイソニトリル配位子等)、りん配位子(ホスフィン誘導体、亜りん酸エステル誘導体、ホスフィニン誘導体等)、カルボン酸配位子(酢酸配位子等)等であり、より好ましくはジケトン配位子または2座の含窒素ヘテロ環配位子であり、さらに好ましくはアセチルアセトン配位子、フェニルピリジン配位子、ピコリン酸配位子またはそれらの縮環体であり、特に好ましくはフェニルピリジン配位子またはそれらの縮環体である。
【0017】
L41はR41、R42またはR43と結合して多座の配位子(フェニルホスホール配位子、ピリジルホスホール配位子等)を形成しても良い。m41は1〜7の整数を表す。m41が複数の場合はL41は同じであっても異なっても良い。m41は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0018】
一般式(1)〜(4)で表される化合物は低分子化合物であっても良いし、オリゴマー化合物、ポリマー化合物(重量平均分子量(ポリスチレン換算)は好ましくは1000〜5000000、より好ましくは2000〜1000000、さらに好ましくは3000〜100000である。)等であっても良い。ポリマー化合物の場合、一般式(1)で表される構造がポリマー主鎖中に含まれていても良いし、ポリマー側鎖に含まれていても良い。ポリマー化合物の場合、ホモポリマー化合物であっても良いし、共重合体であっても良い。一般式(1)〜(4)で表される化合物は低分子化合物が好ましい。
【0019】
一般式(1)〜(4)で表される化合物はJ. Org. Chem., 1982, 47, 2376−2379に記載の合成方法を参考にして合成可能である。
【0020】
一般式(1)〜(4)で表される化合物は、有機電界発光素子の有機層中に含有される。ここで有機層とは一対の電極間に存在する層を意味し、詳しくは有機化合物および無機化合物の少なくとも一つを含有する層である。
【0021】
次に有機電界発光素子に含まれる一般式(1)〜(4)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
【化13】
【0027】
一般式(1)〜(4)で表される化合物は種々の公知の手法で合成することができる。例えば、ジエン誘導体とジクロロホスフィン誘導体を加熱することによりホスホール誘導体を合成することができ、ホスホール誘導体を酸化処理(例えば過酸化水素水、m-クロロ過安息香酸等を用いる)することによりホスホールオキサイド誘導体を合成することができ、ホスホール誘導体と錯体化合物を反応させることによりホスホール配位子を有する金属錯体を合成することができる。
【0028】
[2] 有機電界発光素子
本発明の有機電界発光素子は、一般式(2)又は(3)で表される化合物を利用する素子であればシステム、駆動方法、利用形態等は特に問わないが、一般式(2)又は(3)で表される化合物を発光材料(蛍光材料であってもりん光材料であっても良い)またはホール輸送材料として利用する素子が好ましく、発光材料として利用する素子がより好ましい。代表的な発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子を挙げることができる。
【0029】
一般式(2)又は(3)で表される化合物の発光層中の含有量は0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましい。一般式(2)又は(3)で表される化合物のホール輸送層中の含有量は50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%が特に好ましい。
【0030】
本発明の有機電界発光素子は陰極と発光層の間にイオン化ポテンシャル5.9 eV以上(より好ましくは6.0 eV以上)の化合物を含有する層を有するのが好ましく、イオン化ポテンシャル5.9 eV以上の電子輸送層を有するのがより好ましい。
【0031】
一般式(1)で表される化合物を含有する有機層の形成方法は特に限定されないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スプレーコート法、ディップコート法、含浸法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、フローコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、エアードクターコート、ブレードコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、キスコート法、キャストコート法、エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーンコート法等)、インクジェット法、印刷法、転写法等の方法を用いることができる。特性面および製造面の観点からは抵抗加熱蒸着、コーティング法または転写法が好ましい。
【0032】
一般式(2)又は(3)で表される化合物を含有する有機層の形成方法は特に限定されないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法(スプレーコート法、ディップコート法、含浸法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、スピンコート法、フローコート法、バーコート法、マイクログラビアコート法、エアードクターコート、ブレードコート法、スクイズコート法、トランスファーロールコート法、キスコート法、キャストコート法、エクストルージョンコート法、ワイヤーバーコート法、スクリーンコート法等)、インクジェット法、印刷法、転写法等の方法を用いることができる。特性面および製造面の観点からは抵抗加熱蒸着、コーティング法または転写法が好ましい。
【0033】
陽極は正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給するものである。陽極の材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等を用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料を用いる。具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、これらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物等が挙げられる。好ましくは導電性金属酸化物であり、特に生産性、高導電性、透明性等の観点からITOが好ましい。陽極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10 nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは50 nm〜1μmであり、更に好ましくは100 nm〜500 nmである。
【0034】
陽極としては、通常ソーダライムガラス、無アルカリガラス、透明樹脂基板等の上に上記陽極材料を層形成したものを用いる。ガラスを用いる場合、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いるのが好ましい。ソーダライムガラスを用いる場合は、シリカ等のバリアコートを施したものを使用するのが好ましい。基板の厚さは、機械的強度を保つのに十分であれば特に制限はないが、ガラスを用いる場合には通常0.2 mm以上、好ましくは0.7 mm以上である。
【0035】
陽極の作製には材料によって種々の方法を用いるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法等)、酸化インジウムスズの分散物の塗布等の方法を用いる。陽極は洗浄その他の処理により素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV-オゾン処理、プラズマ処理等が効果的である。
【0036】
陰極は電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給するものであり、電子注入層、電子輸送層、発光層等の負極と隣接する層との密着性やイオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選択する。陰極の材料としては金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物を用いることができる。具体例としてはアルカリ金属(Li、Na、K等)およびそのフッ化物または酸化物、アルカリ土類金属(Mg、Ca等)およびそのフッ化物または酸化物、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金またはそれらの混合金属、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属、インジウム、イッテリビウム等の希土類金属等が挙げられる。好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金またはそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金またはそれらの混合金属等である。陰極は、上記化合物および混合物の単層構造だけでなく、上記化合物および混合物を含む積層構造とすることもできる。例えば、アルミニウム/フッ化リチウム、アルミニウム/酸化リチウム等の積層構造が好ましい。陰極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10 nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは50 nm〜1μmであり、更に好ましくは100 nm〜1μmである。
【0037】
陰極の作製には電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、コーティング法、転写法等を用いることができ、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。さらに、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。陽極および陰極のシート抵抗は低い方が好ましく、数百Ω/□以下が好ましい。
【0038】
発光層の材料は、電界印加時に陽極または正孔注入層、正孔輸送層等から正孔を注入することができると共に陰極または電子注入層、電子輸送層等から電子を注入することができる機能や、注入された電荷を移動させる機能、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよく、一般式(1)で表される化合物のほか、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ペリレン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、8-キノリノールの金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、イリジウムトリスフェニルピリジン錯体、白金ポルフィリン錯体に代表される遷移金属錯体、それらの誘導体等が挙げられる。発光層の膜厚は特に限定されないが、通常1nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10 nm〜500 nmである。
【0039】
発光層の形成方法は特に限定されないが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム、スパッタリング、分子積層法、コーティング法、インクジェット法、印刷法、LB法、転写法等を用いることができ、好ましくは抵抗加熱蒸着またはコーティング法を用いる。
【0040】
発光層は単一化合物で形成されても良いし、複数の化合物で形成されても良い。また、発光層は一つであっても複数であっても良く、例えば、それぞれの層が異なる発光色で発光し、白色を発光しても良いし、単一の発光層から白色を発光しても良い。発光層が複数の場合は、それぞれの発光層は単一材料で形成されていても良いし、複数の化合物で形成されていても良い。
【0041】
正孔注入層および正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、および陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、一般式(1)で表される化合物、それらの誘導体等が挙げられる。正孔注入層および正孔輸送層の膜厚は特に限定されないが、通常1nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10 nm〜500 nmである。正孔注入層および正孔輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0042】
正孔注入層および正孔輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、上記正孔注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法等を用いる。コーティング法の場合、正孔注入輸送材料を樹脂成分と共に溶解または分散させることができる。樹脂成分としては例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N-ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
【0043】
電子注入層および電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、および陽極から注入された正孔を障壁する機能のいずれか有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8-キノリノールの金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン、それらの誘導体等が挙げられる。電子注入層および電子輸送層の膜厚は特に限定されないが、通常1nm〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは5nm〜1μmであり、更に好ましくは10 nm〜500 nmである。電子注入層および電子輸送層は上述した材料の1種または2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0044】
電子注入層および電子輸送層の形成方法としては、真空蒸着法やLB法、上記電子注入輸送材料を溶媒に溶解または分散させてコーティングする方法、インクジェット法、印刷法、転写法等が用いられる。コーティング法の場合、電子注入輸送材料を樹脂成分と共に溶解または分散させることができる。樹脂成分としては例えば、正孔注入輸送層の場合に例示したものが適用できる。
【0045】
保護層の材料は、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、SiNx、SiOxNy 等の窒化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
【0046】
保護層の形成方法は特に限定されず、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法等を適用できる。
【0047】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0048】
実施例1
洗浄したITO基板を蒸着装置に入れ、NPD(N,N'-ジフェニル-N,N'-ジ(1-ナフチル)-ベンジジン)を50 nmの厚さに蒸着し、その上に下記構造の化合物Aと上記化合物(1-2)を化合物A:化合物(1-2)=17:1(質量比)の比率で36 nmの厚さに共蒸着し、その上に下記構造の化合物Bを36 nmの厚さに蒸着した。有機薄膜上にパターニングしたマスク(発光面積が4mm×5mmとなるマスク)を設置し、蒸着装置内でフッ化リチウムを3nmの厚さに蒸着し、その上にアルミニウムを200 nmの厚さに蒸着した。東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧をEL素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社の輝度計BM-8を用いて測定した。その結果、外部量子効率1.7%、最高輝度6500 cd/m2の青色発光を得た。
【0049】
【化14】
【0050】
実施例2
化合物(1-2)の代わりに上記化合物(1-22)を用いた以外、実施例1と同様にして発光素子を作製し評価した。その結果、外部量子効率3.2%、最高輝度9800 cd/m2の青色発光を得た。
【0051】
同様に上記の他の化合物を用いても、外部量子効率および最高輝度の高い、発光特性の良好な発光素子を得ることができた。
【0052】
比較例1
化合物(1-2)の代わりに、本発明の化合物に類似した下記構造の化合物C(テトラフェニルブタジエン 特開平5-94875号に記載の化合物)を用いた以外、実施例1と同様にして発光素子を作製し評価した。その結果、外部量子効率0.6%、最高輝度2300 cd/m2の青色発光を得た。
【0053】
【化15】
【0054】
【発明の効果】
本発明の有機電界発光素子は高輝度で、かつ高効率発光が可能である。そのため、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等の分野に好適に使用できる。
Claims (4)
- 一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(2):
(一般式(2)中、R21、R22およびR23はそれぞれ置換基を表し、X 22 および X 23 はそれぞれ無置換の炭素原子を表す。)で表される化合物を有機層中に少なくとも一つ含有することを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項1に記載の有機電界発光素子において、前記一般式 (2) 中、 R 22 および R 23 はそれぞれアリール基であることを特徴とする有機電界発光素子。
- 一対の電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する有機電界発光素子であって、下記一般式(3):
(一般式(3)中、R31、R32およびR33はそれぞれ置換基を表し、X32およびX33はそれぞれ窒素原子、あるいは置換または無置換の炭素原子を表す。)で表される化合物を有機層中に少なくとも一つ含有することを特徴とする有機電界発光素子。 - 請求項3に記載の有機電界発光素子において、前記一般式 (3) 中、 R 32 および R 33 はそれぞれアリール基であることを特徴とする有機電界発光素子。
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