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JP4215158B2 - 電気泳動用のインク組成物ならびに該インク組成物を用いた電気泳動表示装置および電気泳動表示素子 - Google Patents
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JP4215158B2 - 電気泳動用のインク組成物ならびに該インク組成物を用いた電気泳動表示装置および電気泳動表示素子 - Google Patents

電気泳動用のインク組成物ならびに該インク組成物を用いた電気泳動表示装置および電気泳動表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分散媒中の帯電粒子を電界の作用下で泳動させることにより情報の表示が可能とされた電気泳動表示装置と電気泳動表示素子、ならびにこれらに用いられるインク組成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶媒(分散媒)と帯電粒子(泳動粒子)とを含んでなるインク組成物(電気泳動用インク組成物)を電極間に充填し、これに電圧を印加することにより帯電粒子を移動させて画像を形成できるようにした電気泳動表示装置や電気泳動表示素子(以下、単に電気泳動表示装置ともいう)が知られている。
【0003】
この種の装置としては、例えば、マイクロカプセルにインク組成物を封入したうえで電極間に配置したものや(特許文献1)、2枚の対向電極間にスペーサーを介装してセルを形成し、このセル内にインク組成物を封入したもの(特許文献2)などがある。
【0004】
電気泳動表示装置は帯電した泳動粒子を電界の作用下で泳動させることにより表示を行う仕組みであるので、泳動粒子の移動速度が速いほど応答性が良くなる。一定の電界の下で荷電粒子が受ける力はその電荷量に比例するので、泳動粒子の移動速度を高めるにはその帯電量を多くすればよい。すなわち、電気泳動表示装置において応答性の向上を図る場合、いかにして泳動粒子に安定した大きな帯電を付与するかが問題となる。
【0005】
そこで、従来においては、分散媒に界面活性剤やトナーに使用される電荷調整剤を添加して、泳動粒子を構成する顔料粒子の表面に付着させ、これにより泳動粒子の帯電量を向上・調整することが一般的に行われている。このような界面活性剤や電荷調整剤を用いた例としては、次のようなものがある。
【0006】
分散媒中における2種類の帯電粒子の一方において、粒子に4級アンモニウム塩化合物を特徴とする帯電制御剤を取り込ませて帯電させておき、さらに分散媒中に界面活性剤を添加することで、帯電の異なる2種類の粒子を得る(特許文献3)。
【0007】
分散媒100mlに界面活性剤を10g溶解ないし分散させ、これに着色粒子10gを加えた混合液をボールミル分散させて、電気泳動用表示液として用いる(特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−86117号公報
【特許文献2】
特開昭62−269124号公報
【特許文献3】
特開平11−119704号公報
【特許文献4】
特開2001−125147号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これまでの粒子分散媒中に界面活性剤や電荷調整剤を添加して粒子の帯電を得る方法では、顔料粒子表面からの電荷調製剤の脱離等、安定した帯電を得るには不十分であった。例えば前述した特許文献3に記載された方法では、分散媒に添加した界面活性剤の一部が帯電している粒子に吸着し、粒子の表面電位が低下することがあり、十分な帯電を得るとは言いがたい。
【0010】
また、粒子分散媒中に電荷調整剤を添加して粒子に帯電を得る従来の方法では、添加量がどうしても多くなってしまうという問題点があった。例えば先の特許文献4記載の方法は、帯電粒子を得るのに粒子1gに対し界面活性剤を1g添加するというものであるが、これでは非常に添加量が多くなるため、効果的な帯電付与とは言いがたい。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、分散媒中の泳動粒子を効率良く帯電させることのできる電気泳動用インク組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、このようなインク組成物を用いて応答性やコントラスト特性に優れた電気泳動表示装置および電気泳動用表示素子を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電界を印加することにより分散媒中の帯電粒子が応答して泳動する電気泳動用インク組成物において、前記分散媒として非プロトン性溶媒を用い、かつ、前記帯電粒子として、顔料と、樹脂化合物と、前記非プロトン性溶媒への溶解性が5重量%である電荷調製剤とを含んでなる帯電粒子を用いることで、溶媒中に分散させた粒子に対して電荷調整剤の添加量が少なくても効果的な帯電付与が行えるようにするものである。
【0013】
この場合、電荷調製剤としては、ニグロシン化合物や第4級アンモニウム化合物を用いるのが好ましく、分散媒としては、非プロトン性溶媒の一種であるシリコーン系分散媒を用いるのが好ましく、樹脂化合物としては、シリコーン含有ポリマーのグラフト鎖を含んだポリマーを用いるのが好ましい。これらは、後述するように、粒子に対する帯電付与が一層効果的に行われることを可能とするものだからである。
【0014】
このような電気泳動用インク組成物は、顔料と樹脂化合物と電荷調整剤とを、前記樹脂化合物および電荷調整剤を溶解することのできる良溶媒中に分散させ、得られた分散液と、前記樹脂化合物および電荷調製剤が溶解しにくい非プロトン性溶媒とを混合して、コアセルベーションにより前記顔料と樹脂化合物と電荷調製剤とを含んでなる帯電粒子を形成することにより製造することができる。ここで、「前記樹脂化合物および電荷調製剤が溶解しにくい」とは、具体的には、前記非プロトン性溶媒に対する溶解性が、樹脂化合物で5重量%以下、電荷調整剤で5重量%以下であることを意味する。
【0015】
本発明の電気泳動表示装置は、電気泳動用表示液の成分に上記インク組成物を用いたもので、少なくとも一方が透明電極とされた一対の電極間に、上記インク組成物を成分として含む電気泳動用表示液を封入してセルを形成し、このセル内の帯電粒子を電界の作用下で泳動させて表示動作を行う構成としたものである。これによれば、表示のコントラストが向上するだけでなく、応答性も向上する。
【0016】
また、本発明の電気泳動表示素子は、マイクロカプセル内に上記インク組成物を含んでなる電気泳動用表示液を封入し、このマイクロカプセル内の帯電粒子を電界の作用下で泳動させて表示動作を行う構成としたものである。この場合も、表示のコントラストが向上するだけでなく、応答性が向上する。
【0017】
【発明の実施の形態】
《電気泳動用インク組成物》
本発明の電気泳動用インク組成物は、先にも述べたように、顔料と樹脂化合物と電荷調整剤とを、当該樹脂化合物および電荷調整剤を溶解できる良溶媒中に分散させ、得られた顔料分散液を非プロトン性分散媒(非プロトン性溶媒)と混合して前記良溶媒を除去することにより得ることができるが、この場合に用いられる顔料としては、下記のような無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
【0018】
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカ等が挙げられる。
【0019】
有機顔料としては、例えば、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。
【0020】
本発明で使用する樹脂化合物は、顔料に吸着することで顔料どうしの凝集を抑え、その結果均一な分散状態を維持させるために用いられる。用いられる樹脂化合物としては、特に限定はされないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系、アミノ系樹脂化合物が挙げられる。これらの高分子系化合物は単独でも使用できるが、2種類以上の樹脂化合物を混合してもよい。これらの中でも、合成やグラフト化のしやすさ、極性基の導入のしやすさから、アクリル系樹脂化合物が特に好ましい。これらの樹脂化合物の添加量は、通常、前記顔料100重量部に対して1〜500重量部が好ましく、10〜200重量部の範囲がより好ましい。この範囲が好ましいのは、1重量部未満では樹脂の添加による顔料の分散効果が得られず、一方500重量部を超えると顔料に吸着しきれなかったフリーの樹脂化合物が電気泳動インク組成物内に多く存在することになり、泳動粒子の泳動を阻害することになるためである。
【0021】
前記樹脂化合物および電荷調整剤を溶解できる良溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メタノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、イソブチルメチルケトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0022】
一般に分散系に使用される非プロトン性溶媒は、上記良溶媒に混合させることで樹脂化合物や電荷調整剤を顔料表面に析出させるためにも用いられ、具体的には脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、各種エステル類、アルコール系溶媒等が挙げられる。本発明のインク組成物を得るにあたっては、非プロトン性溶媒としてこれらのいずれも使用することができる。これらは、単独で使用してもよいし混合して使用してもよい。また、乳化剤、界面活性剤、金属石鹸などを適宜添加したものを使用してもよい。
【0023】
本発明で用いる電荷調整剤は帯電付与剤を意味し、粒子に電荷を付与するためのものである。具体的には、正帯電用として、ニグロシン系染料などの電子供与性染料、アルコキシ化アミン、第4級アンモニウム塩、アルキルアミド、リン及びタングステンの単体および化合物、モリブデン酸キレート顔料、疎水性シリカなどを用いることができる。また、負帯電用としては、モノアゾ染料の金属錯塩等の電子受容性染料、電子受容性有機錯体、塩素化ポリオレフィン、塩素化ポリエステル、酸基過剰のポリエステル、銅フタロシアニンのスルホニルアミンなどを用いることができる。
【0024】
樹脂化合物と共に添加する電荷調整剤としては前述した良溶媒に溶解することが好ましい。このような目的に好適な電荷調整剤としては、ニグロシン系化合物、第4級アンモニウム化合物であることが好ましいが、特にこれらに限定されない。
【0025】
これらの電荷調整剤の添加量は、帯電効果を示す最低限の量でよく、通常は、顔料100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲が好ましい。
【0026】
本発明の電気泳動用インク組成物は、分散媒としての非プロトン性溶媒と、少なくとも1種類の帯電粒子とを含んでなり、さらに当該帯電粒子が、顔料と、樹脂化合物と、前記非プロトン性溶媒に対する溶解性が5重量%以下の電荷調整剤とを含んだ構成とされているものである。非プロトン性溶媒(分散媒)に対する電荷調整剤の溶解性が5重量%を超えると、電気泳動用インク側切物中の電荷調整剤の含有量が減少し、帯電量が低下するので効果的な帯電が得られなくなる。前記溶解性は2重量%以下が好ましく、最も好ましいのは0重量%である。分散媒に対する電荷調整剤の溶解量が少なければ少ないほど、粒子の帯電を良好な状態に保つ、つまり安定維持することができるからである。
【0027】
本発明で用いる分散媒、つまり非プロトン性溶媒としては、ケトン化合物、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。具体的には例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭化水素化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の複素環式化合物等である。なかでも、ヘキサン、ミネラルスピリット、イソパラフィン系炭化水素(例えばエクソン化学製の商品であるアイソパーシリーズ)、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素系、ジアルキルポリシロキサンや環状ポリジアルキルシロキサン等のシリコーンオイル等、非プロトン性有機溶媒でさらに電気抵抗率が109 Ω・cm以上である非極性有機溶媒がより好ましい。非プロトン性有機溶媒は帯電粒子の電気分解を起こしにくく、さらに電気抵抗率が高いために帯電粒子に電荷が効果的にかかるためである。
【0028】
《電気泳動用インク組成物の製造方法》
次に、本発明の電気泳動用インク組成物を製造する方法について説明する。図1に示すように、本発明方法では、顔料と樹脂化合物と電荷調整剤とを、前記樹脂化合物および電荷調整剤を溶解することのできる良溶媒中に分散させる工程(A)と、得られた分散液と、前記樹脂化合物および電荷調製剤が溶解しにくい非プロトン性溶媒とを混合して、コアセルベーションにより前記顔料と樹脂化合物と電荷調製剤とを含んでなる帯電粒子を形成する工程(B)とを経ることによって、上記インク組成物を製造する。
【0029】
具体的には、顔料と樹脂化合物と電荷調整剤とを、当該樹脂化合物および電荷調整剤を溶解できる良溶媒中に分散させる工程(1)と、得られた分散液と、前記樹脂化合物および電荷調製剤が溶解しにくい分散媒とを混合して、コアセルベーションにより樹脂化合物を析出させて顔料に吸着させる工程(2)と、前記良溶媒を蒸留し除去する工程(3)とを経ることによって、上記インク組成物を製造する。
【0030】
工程(1)では、樹脂化合物、電荷調整剤を適切な良溶媒で溶解した後、顔料を添加し、分散を行う。また、この時点で、界面活性剤、顔料分散剤、顔料誘導体等の各種添加剤を添加してもかまわない。
【0031】
工程(2)では、前記樹脂化合物および電荷調整剤が溶解しにくい分散媒を、工程(1)で得られた分散溶液中に、あるいは工程(1)で得られた分散液を、前記樹脂化合物および電荷調整剤が溶解しにくい分散媒に、ゆっくり滴下し混合する。
【0032】
工程(3)では、工程(2)で得られた混合系から良溶媒を除去する。この場合、デカンテーション、エバポレーション等の方法により良溶媒を除去するのが好ましい。例えば、シリコーン系溶媒を分散媒として利用する場合、一般に沸点が、樹脂化合物および電荷調整剤を溶解する良溶媒の方がシリコーン系溶媒よりも低いため、この沸点の差を利用して常圧あるいは減圧蒸留により良溶媒を除去することで、工程(2)で得られた混合系を濃縮する。すなわち、沸点が高く蒸発しにくいシリコーン系溶媒と沸点が低く蒸発しやすい良溶媒との混合系から、沸点が低い良溶媒の混合系を除去することで、樹脂化合物と電荷調整剤をシリコーン溶媒中に濃縮し、最終的にこれを顔料に吸着させるのである。
【0033】
《電気泳動表示装置、電気泳動表示素子》
本発明の電気泳動表示装置は、少なくとも一方が透明電極とされた一対の電極間に、前述のインク組成物を成分として含む電気泳動用表示液を封入したセルを有し、このセル内の帯電粒子を電界の作用下で泳動させることにより情報の表示を可能としたものである。また、本発明の電気泳動表示素子は、マイクロカプセル内に、前述のインク組成物を含んでなる電気泳動用表示液を封入した構造を有し、このマイクロカプセル内の帯電粒子を電界の作用下で泳動させることにより情報の表示を可能としたものである。前述の電気泳動用インク組成物を充填した密閉空間(セル、マイクロカプセル)に電界を与え、電界の極性を変えることにより表示を変える構造を有していれば、その他の点は特に限定されない。
【0034】
上記の電極材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金等の良導電性の材料を使用するのが好ましい。また、透明電極材料としては、酸化スズ、酸化インジウム等を用いるのが好ましい。
【0035】
上記マイクロカプセルの製法としては、例えばコアセルベーション法、insitu法、界面重合法、液中乾燥法等を用いることができる。マイクロカプセルの材料としては、光を十分透過させることが必要であり、例えばゼラチン、アラビアゴム、でんぷん、ポリウレタン、ポリエチレン、メラミン−アルデヒド樹脂等を用いるのが好ましい。
【0036】
電気泳動分散媒層(上記表示装置においてはインク組成物を含む電気泳動用表示液を封入した層、上記表示素子においてはマイクロカプセルを塗布してなる層または挟持もしくは保持する層)の厚さは特に限定されるものではないが、電圧印加時の応答速度の点から、できるだけ薄い方が好ましく、具体的には50〜200μmの範囲が好ましい。
【0037】
本発明の電気泳動表示装置(上記の電気泳動表示素子を備えた表示装置の場合も同様)の駆動電圧としては、通常1〜300V程度であることが好ましい。さらに好ましくは5〜150V程度である。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。下記の実施例および比較例において、「部」および「%」は、特に断らない限り『重量部』および『重量%』をそれぞれ意味する。また、使用した試薬で製造会社名が併記されていないものは、全て和光純薬社製のものである。
【0039】
《電気泳動用インク組成物の実施例》
(実施例1)
〈樹脂化合物の合成例〉
まず、下記の成分を混合し、溶液を調整した。
・ブチルメタクリレート 16.0部
・ラウリルメタクリレート 10.0部
・スチレン 35.0部
・メタクリル酸 7.0部
・グリシジルメタクリレート 12.0部
・X−22−174DX(信越化学社製) 20.0部
・パーブチルO(日本油脂社製) 8.0部
【0040】
次に、窒素導入管を備えつけた反応容器にメチルエチルケトン100部を計り込み、窒素シールをしながら温度を80℃に固定し、上記溶液を2時間にわたって滴下し、滴下終了後還流しながら6時間反応させた。こうして、不揮発分50.7%、数平均分子量7300の高分子樹脂化合物(カルボキシル基含有シリコーングラフトアクリル樹脂化合物)を合成した。
【0041】
100ccのプラスチック製ビンに、下記の〈成分(I)〉を計り取り、これをペイントシェーカー(東洋精機製)で2時間分散した後、これに下記の〈成分(II)〉を追加して混合し、分散スラリーを得た。
【0042】
〈成分(I)〉
・カルボキシル基含有シリコーングラフトアクリル樹脂化合物 12.0部
(上記で合成した数平均分子量7300の高分子樹脂化合物)
・カーボンブラック(顔料) 6.0部
(デグサヒュルス社製;Printex85)
・分散剤(ゼネカ社製;ソルスパース5000) 0.3部
・ニグロシン化合物(電荷調整剤) 0.3部
(中央化学社製;CHUO CCA−2)
・メチルエチルケトン(MEK:良溶媒) 12.0部
【0043】
〈成分(II)〉
・メチルエチルケトン(良溶媒) 15.0部
・シリコーンオイル(分散媒) 15.0部
(商品名:KF−96L−1)
【0044】
次に、分散媒としてのシリコーンオイル(商品名;KF−96L−1)中に、前記分散スラリーをゆっくりと滴下し、顔料表面に樹脂化合物を析出させた。
【0045】
滴下後、メチルエチルケトンを減圧蒸留にて除去し、電気泳動用インク組成物Aを得た。
【0046】
(実施例2)
実施例1において、電荷調整剤であるニグロシン化合物に代えて、電荷調整剤であるアンモニウム化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、電気泳動用インク組成物Bを得た。
【0047】
(実施例3)
実施例2において、顔料であるカーボンブラックに代えて、顔料である酸化チタン(石原産業社製:タイペークA−220)を用いた以外は、実施例2と同様にして、電気泳動用インク組成物Cを得た。
【0048】
(比較例1)
100ccのプラスチック製ビンに、下記の〈成分(III)〉を計り取り、これをペイントシェーカー(東洋精機社製)で2時間分散した後、これに下記の〈成分(II)〉を追加して混合し、分散スラリーを得た。
【0049】
〈成分(III)〉
・カルボキシル基含有シリコーングラフトアクリル樹脂化合物 12.0部
(実施例1で用いたものと同様の数平均分子量7300の高分子化合物)
・カーボンブラック(顔料) 6.0部
(デグサヒュルス社製;Printex85)
・分散剤(ゼネカ社製;ソルスパース5000) 0.3部
・メチルエチルケトン(MEK:良溶媒) 12.0部
【0050】
〈成分(II)〉
・メチルエチルケトン(良溶媒) 15.0部
・シリコーンオイル(分散媒) 15.0部
(商品名:KF−96L−1)
【0051】
次に、分散媒としてのシリコーンオイル(商品名;KF−96L−1)中に、前記分散スラリーをゆっくりと滴下し、顔料表面に樹脂化合物を析出させた。
【0052】
滴下後、メチルエチルケトンを減圧蒸留にて除去し、電気泳動用インク組成物Dを得た。
【0053】
(比較例2)
比較例1において、電気泳動用インク組成物Dを得る際に、その顔料濃度が2%になるように、分散媒であるシリコーンオイル(KF−96L−1)で調整し、その中に金属石鹸であるオクチル酸ジルコニウム(電荷調整剤)をインク組成物に対して0.05%(シリコーンオイルに対して8.6%に相当)添加した以外は、比較例1と同様にして、電気泳動用インク組成物Eを得た。
【0054】
〔評価方法〕
上記実施例および比較例で得られた各電気泳動用インク組成物について、以下の測定を行って特性を評価した。
【0055】
・帯電粒子の平均粒子径:
得られた電気泳動用インク組成物における帯電粒子の平均粒子径は、コールター社製のレーザードップラー方式の粒度分布計N4 PLUSで測定した。
【0056】
・ゼータ電位:
得られた電気泳動用インク組成物においては、これを構成している分散媒と帯電粒子との界面に電位差、つまりゼータ電位が生じ、帯電粒子の帯電量(電気量)が多いほどゼータ電位の値も大きくなる。このゼータ電位は、PEN KEM社のレーザー・回転プリズム方式コロイド粒子ゼータ電位測定装置LAZER
ZEE METER Model 501で測定した。
【0057】
・溶媒に対する電荷調整剤の溶解度:
電荷調整剤の各溶媒に対する溶解度は、次のようにして求めた。電荷調整剤を、所定の不揮発分濃度に調整後、超音波処理を30分行い、溶解させる。その後、得られた分散液について、遠心分離機(コクサン社製;H−9R)を用い、回転数18000rpmで、30分間、遠心分離を行い、上澄み液を一定量採取した。採取した上澄み液中の不揮発分濃度を測定して、その値から溶解度を求めた。
【0058】
以上の結果を表1および表2に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0004215158
【0060】
【表2】
Figure 0004215158
【0061】
表1および表2から、本発明の実施例1〜3で得られた電気泳動用インク組成物は、電荷調整剤を添加しなかった電気泳動用インク組成物(比較例1)や、従来の方法で作製した電気泳動用インク組成物(比較例2)に比べて、高いゼータ電位を示すことが分かる。こうして、本発明実施例に係る電気泳動用インク組成物によれば、比較例1・2の電気泳動用インク組成物に比べて、粒子(泳動粒子)に対する帯電付与が効果的に行われたことが確認できた。
【0062】
《電気泳動表示装置の実施例》
(実施例4)
前記実施例1で得られた電気泳動用インク組成物Aを4部、シリコーンオイル(KF−96L−1)を94部混合し、さらに、酸化チタン(石原産業社製;タイペークA−220)を2部加え分散し電気泳動用表示液Fを作製した。なお、この場合の酸化チタンは、白色表示用の顔料として添加するもので、電気泳動用インク組成物A等に用いられている黒色表示用の顔料であるカーボンブラックと合わせて、白黒のコントラストを呈する表示を可能とするためのものである。
【0063】
次に、図2に示すように、表面4にITO(スズ含有酸化インジウム)の導電膜を形成したガラス基板(ITOガラス基板)3を、スペーサー5を介して対向配置して、約200μmの厚さをもつセル7を作製した。このセル7に電気泳動用表示液Fを注入し、セル7の周縁部をエポキシ系接着剤で封止をして電気泳動表示装置8を作製した。図2中の符号6は、前記エポキシ系接着剤による封止部を示す。
【0064】
この表示装置に直流電源を接続し、電圧を反転させながら印加することで、黒と白の非常にはっきりした表示を得ることができた。反射濃度を測定したところ、黒と白のコントラスト比が7.4であった。
【0065】
(実施例5)
ゼラチン水溶液(ゼラチン濃度10%)とアラビアゴム水溶液(アラビアゴム濃度10%)とを混合し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを5.5に調整した。この水溶液中に前記実施例4で作製した電気泳動用表示液Fを加え、攪拌を行い乳化させた。そして、pHを4まで下げ、さらに温度を徐々に下げていくことでゼラチン/アラビアゴム皮膜をゲル化させた。そこにホルムアルデヒド水溶液を加えて硬化させ、ゼラチンを壁材とするマイクロカプセルのスラリーを作製した。得られたマイクロカプセル(本発明の電気泳動表示素子を構成する)の模式図を図3に示す。図中の符号1は分散媒、符号2は顔料と樹脂化合物と電荷調整剤とからなる帯電粒子(泳動粒子)、符号9はマイクロカプセルの周面を形成しているゼラチンである。なお、得られたマイクロカプセルの粒子径は50〜200μmであった。
【0066】
次に、上記方法で作製したスラリーの中で粒子径75〜125μmのものを篩い分けし、ギャップ250μmのアプリケーターでITOガラス基板上に塗布し、乾燥させた後に電極で挟み、電気泳動表示装置を作製した。
【0067】
この表示装置に直流電源を接続し、電圧を反転させながら印加することで、黒と白の非常にはっきりした表示を得ることができた。反射濃度を測定したところ、黒と白のコントラスト比が5.0であった。
【0068】
(比較例3)
実施例4において、電気泳動用インク組成物Aの代わりに電気泳動用インク組成物Eを用いた以外は、実施例4と同様にして、電気泳動用表示液Gを作製した。そして、この電気泳動用表示液Gを用いて実施例4と同様にして電気泳動表示装置を作製した。
【0069】
この表示装置に直流電源を接続し、電圧を反転させながら印加したところ、白と黒が反転表示されず、反射濃度を測定したところ1.9であった。これは、カーボンブラックと酸化チタンが両方ともオクチル酸ジルコニウムによって正帯電になったため、表示性が低下したことによるものと思われる。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電気泳動用インク組成物を構成する分散媒中において、帯電粒子が、これまでのものに比べて高いゼータ電位を示すようになる。こうして、粒子が効率良く帯電された応答性に優れた電気泳動用インク組成物が得られる。また、このインク組成物を用いた本発明の電気泳動表示装置および電気泳動表示素子によれば、これまでの電気泳動表示装置や電気泳動表示素子似比べて高いコントラストを示す表示が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動用インク組成物の製造方法を説明するために使用した工程図である。
【図2】本発明の実施例4で作製した電気泳動表示装置を構成を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例5で作製したマイクロカプセル(電気泳動表示素子)の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 分散媒
2 帯電粒子(泳動粒子)
3 ガラス基板
4 ITO(スズ含有酸化インジウム)導電膜
5 スペーサ
6 エポキシ系接着剤による封止部
7 電気泳動セル
8 電気泳動表示装置
9 マイクロカプセル壁

Claims (6)

  1. 分散媒と、少なくとも1種類の帯電粒子とを含んでなり、電界を印加することにより帯電粒子が応答して泳動する電気泳動用インク組成物であって、
    前記分散媒が非プロトン性溶媒からなり、
    前記帯電粒子が、顔料と、樹脂化合物と、前記非プロトン性溶媒に対して溶解しない電荷調整剤とを含んでなるものであり、
    顔料と樹脂化合物と電荷調整剤とを、前記樹脂化合物および電荷調整剤を溶解することのできる良溶媒中に分散させる工程と、
    得られた分散液と、前記樹脂化合物および電荷調製剤が溶解しない非プロトン性溶媒とを混合して、コアセルベーションにより前記顔料と樹脂化合物と電荷調製剤とを含んでなる帯電粒子を形成する工程とを経て形成されることを特徴とする電気泳動用インク組成物。
  2. 電荷調整剤がニグロシン化合物である、請求項1記載の電気泳動用インク組成物。
  3. 電荷調整剤が第4級アンモニウム化合物である、請求項1記載の電気泳動用インク組成物。
  4. 分散媒が、非プロトン性溶媒の一種であるシリコーン系分散媒からなり、樹脂化合物が、シリコーン含有ポリマーのグラフト鎖を含んでなる、請求項1ないし3のいずれかに記載の電気泳動用インク組成物。
  5. 少なくとも一方が透明電極とされた一対の電極間に、分散媒と少なくとも1種類の帯電粒子とを含んでなる電気泳動用表示液を封入したセルを有し、
    このセル内の帯電粒子を電界の作用下で泳動させることにより情報の表示が可能とされた電気泳動表示装置であって、
    前記電気泳動用表示液が、請求項1ないし4のいずれかに記載の電気泳動用インク組成物を含んでなることを特徴とする電気泳動表示装置。
  6. 分散媒と少なくとも1種類の帯電粒子とを含んでなる電気泳動用表示液がマイクロカプセル内に封入されており、
    このマイクロカプセル内の帯電粒子を電界の作用下で泳動させることにより情報の表示が可能とされた電気泳動表示素子であって、
    前記電気泳動用表示液が、請求項1ないし4のいずれかに記載の電気泳動用インク組成物を含んでなることを特徴とする電気泳動表示素子。
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