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JP4222500B2 - シリコン系薄膜光電変換装置 - Google Patents
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JP4222500B2 - シリコン系薄膜光電変換装置 - Google Patents

シリコン系薄膜光電変換装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜光電変換装置の変換効率の改善に関するもので、特に電極層または光電変換ユニット間に配置する光散乱層に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば多結晶シリコンや微結晶シリコンのような結晶質シリコンを含む薄膜を利用した光電変換装置の開発が精力的に行われている。これらの光電変換装置の開発では、安価な基板上に低温プロセスで良質の結晶質シリコン薄膜を形成することによる低コスト化と高効率化の両立が目的となっている。こうした光電変換装置は、太陽電池、光センサなど、さまざまな用途への応用が期待されている。
【0003】
光電変換装置の一例として、基板上に、透明電極と、一導電型層、結晶質シリコン系光電変換層および逆導電型層を含む光電変換ユニットと、光反射性金属層を含む裏面電極とを順次形成した構造を有するものが知られている。この光電変換装置では、光電変換層が薄いと光吸収係数の小さな長波長領域の光が十分に吸収されないため、光電変換量は本質的に光電変換層の膜厚によって制約を受ける。そこで、光電変換層を含む光電変換ユニットに入射した光をより有効に利用するために、光入射側の透明電極に表面凹凸(表面テクスチャ)構造を設けて光を光電変換ユニット内へ散乱させ、さらに金属電極で反射した光を乱反射させる工夫がなされている。
【0004】
また、薄膜光電変換装置の変換効率を高めるための他の手段として、裏面金属層と薄膜半導体層の間に適当な光学的性質を有する透明層を介在させ、多重干渉効果により裏面金属反射層の反射率を高める方法がある。例えば、薄膜半導体層と金属層との間に透明層として酸化亜鉛(ZnO)を介在させる場合がある。
【0005】
さらに、金属層と透明層の2層からなる裏面反射層に、テクスチャ構造を組み合わせることも知られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
入射した光を散乱させることを目的に、光入射側透明電極の表面凹凸の深さを大きくした場合、その上に形成する導電型層であるp層の膜厚に分布ができ、開放電圧(Voc)が低下する。また、光電変換層として結晶質シリコンを用いた薄膜光電変換装置の場合は、凹凸の深さが大きいと、凹部から結晶粒界が発生しやすくなり、光電変換層の膜質の低下や内部短絡を起こしやすくなってしまう等の問題点があった。
【0007】
また、裏面金属反射層の反射率を高めるために介在させる透明層についても表面凹凸が形成されていれば、光閉じ込め効果が得られる。しかし、基板上に直接形成する電極の場合とは異なり、薄膜光電変換ユニット上に形成する場合は、形成方法や温度条件等の制約から、所望の表面凹凸構造を高い精度で形成することは難しかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、光入射側から順に、透光性基板、透光性導電酸化物電極層、シリコン系光電変換ユニット、光散乱層、および光反射性金属電極層を含み、その光散乱層が第一の透明導電性薄膜と透明絶縁性薄膜と第二の透明導電性薄膜を含んで構成されており、第一の透明導電性薄膜および第二の透明導電性薄膜は透明導電性酸化物である酸化亜鉛を含んで形成されており、透明絶縁性薄膜は前記酸化亜鉛に比べて小さな屈折率を有する絶縁性材料である酸化珪素を含み、1nm以上50nm以下の範囲内の厚さを有するとともに30%以上70%以下の表面被覆率を生じるように分散させられている薄膜光電変換装置を見出した。
【0009】
また、光散乱層と光反射性金属電極層との間にもう一つの光電変換ユニットを含む膜光電変換装置を見出した。
【0010】
この様な構成によれば、光散乱層の必要な導電性と光散乱を両立させて、光電変換ユニットの光吸収量を増加させることが可能となり、より高い光電変換効率を有する光電変換装置を提供することが可能となる。
【0012】
本発明の薄膜光電変換装置に用いられる光電変換ユニットとしては、少なくとも1つの結晶質シリコン系光電変換ユニットを含むことが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の一つの実施の形態による薄膜光電変換装置の模式的な断面図を図1に示す。以下、図1を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
図1に示す薄膜光電変換装置は、透明基板1上に第一の電極層2(通常、透明電極が使用される)、光電変換ユニット10、第二の電極層が形成されている。ここで、第二の電極層は、光散乱層3と光反射性金属層4から構成されており(必要に応じ他の層を介在させることも可能である)、特に図1においては光散乱層3は、更に第一の透明導電性薄膜3a、透明絶縁性薄膜3b、第二の透明導電性薄膜3cから形成されている。図1の薄膜光電変換装置は、透明基板1側から入射する光5を光電変換ユニット10により光電変換するものである。
【0017】
透明基板1は、ガラスやフィルム等が用いられるが、光電変換層へより多くの太陽光を透過し吸収させるために、できるだけ透明であることが好ましい。同様の意図から、太陽光が入射する基板表面での光反射ロスを低減させるために無反射コーティングを行うと高効率化が図れる。
【0018】
第一の電極層2としては、透明導電性酸化物(TCO)が用いられ、例えば酸化錫(SnO2)からなる平均粒径が200〜900nmの表面凹凸を有する導電性の膜が熱CVD法により形成される。TCOとしては、SnO2、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)などが用いられる。第一の電極層2は単層構造でも多層構造であってもよい。この第一の電極層2は光電変換装置の光入射側に位置することから、基板同様に透明であることが好ましく、例えば透明基板1と第一の電極層2をあわせた層の透過率は、500〜1100nmの波長の光に対して80%以上であることが好ましい。
【0019】
第一の電極層2上には、光電変換ユニット10が形成される(但し、必ずしも直接第一の電極層に接触している必要はない)。特に光電変換ユニット10としては、結晶質シリコン系光電変換ユニットであることが好ましい。光電変換ユニット10は図示したように1つでもよいが、2つ以上積層してもよい。なお、本願明細書における、「結晶質」,「微結晶」との用語は、部分的に非晶質を含むものも含むものとする。また、本願明細書における「結晶質シリコン系光電変換ユニット」との用語は、真性光電変換層102が結晶質であることを意味するものであり、一導電型層101、逆導電型層103が結晶質でもそうでなくてもよいものとする。
【0020】
図1に示す光電変換ユニット10は、一導電型層101、真性光電変換層102および逆導電型層103を有している。一導電型層101はp型層でもn型層でもよく、これに対応して逆導電型層103はn型層またはp型層になる。ただし、通常の光電変換装置では光の入射側にp型層が配置されるので、一般的に一導電型層101はp型層、逆導電型層103はn型層である。通常、p型層やn型層の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜光電変換装置の特性の一つである開放端電圧(Voc)が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は基本的に発電に寄与しない。従って、p層やn層の導電型層の膜厚は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。
【0021】
光電変換ユニット10として結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットが形成される場合は、pin型の順に基板温度を400℃以下とした低温のプラズマCVD法により各半導体層を積層して形成することが好ましい。具体的には、例えば導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%以上ドープされたp型微結晶シリコン系層101、光電変換層となる真性結晶質シリコン層102、および導電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ドープされたn型微結晶シリコン系層103をこの順に堆積すればよい。しかし、これら各層は上記に限定されず、例えばp型層として非晶質シリコン膜や、非晶質または微結晶のシリコンカーバイド、シリコンゲルマニウムなどの合金材料を用いてもよい。なお、導電型(p型、n型)微結晶シリコン系層の膜厚は3nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上50nm以下がさらに好ましい。
【0022】
また、「シリコン系」の材料には、非晶質または結晶質のシリコンに加え、非晶質または結晶質のシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなど、シリコンを50%以上含む半導体材料も該当するものとする。
【0023】
真性光電変換層102である結晶質シリコン光電変換層は、一般的に400℃以下の低温で形成することにより、結晶粒界や粒内における欠陥を終端させて不活性化させる水素原子を多く含む。この観点から、光電変換層102の水素含有量は1〜30原子%の範囲内にあることが好ましい。この層は、導電型決定不純物原子の密度が1×1018cm-3以下で、実質的に真性半導体薄膜として形成される。さらに、真性結晶質シリコン層に含まれる結晶粒の多くは、第一の電極層側から柱状に延びて成長し、その膜面に平行に(110)の優先配向面を有することが好ましい。なぜなら、このような結晶配向を有する結晶質シリコン薄膜は、第一の電極層(透明電極)2の表面が実質的に平坦である場合でも、その上に堆積される光電変換ユニットの表面は微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を示す。更に、第一の電極層(透明電極)2の表面が凹凸を含む表面テクスチャ構造を有する場合、光電変換ユニットの表面は、第一の電極層(透明電極)2の表面に比べて凹凸の粒径の小さなテクスチャ構造が生じるため、広範囲の波長領域の光を反射させるのに適した光閉じ込め効果の大きな構造となり好ましい。また、真性結晶質シリコン層の膜厚は0.1μm以上10μm以下が好ましい。ただし、薄膜光電変換ユニット10としては、太陽光の主波長域(400〜1200nm)に吸収を有するものが好ましいため、真性結晶質シリコン層に代えて、合金材料である非晶質シリコンカーバイド層(例えば10原子%以下の炭素を含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコンカーバイド層)や非晶質シリコンゲルマニウム層(例えば30原子%以下のゲルマニウムを含有する非晶質シリコンからなる非晶質シリコンゲルマニウム層)を形成してもよい。
【0024】
図1では、以上のようにして光電変換ユニット10を形成した後、本発明の特徴となる光散乱層3が形成されており、更に光散乱層3は、第一の透明導電性薄膜3aと透明絶縁性薄膜3bと第二の透明導電性薄膜3cから形成されている。光電変換ユニットにおける光吸収を高めるためには、光散乱層において効率よく光散乱が行われることが重要である。この為には光散乱層に、光電変換ユニット構成材料の屈折率に対し、よりかけ離れた値の屈折率を有する材料を配置することが好ましく、特に屈折率1.7以下の材料を用いることが好ましい。具体的には、SiO2、MgF2、CaF2等を積層するのが好ましく、この中でも、屈折率が小さく、かつ太陽光の主波長領域で光吸収が少ない透明材料であるSiO2(屈折率約1.5)が好適である。また、これらの光散乱性の高い材料は、光が光電変換ユニットを透過してから、光散乱を受けて再度光電変換ユニットに入射するまでの間に光が吸収されてしまう割合を低くする為、より光電変換ユニットに近い側、特に界面に近い位置に配置することが有利である。
【0025】
一方、電極の一部である光散乱層には、膜厚方向に電流を流す必要があるため、上記の屈折率1.7以下の材料が比較的絶縁性の高い材料、即ち透明絶縁性薄膜3bである場合には、これら材料に特定の配置を取らせる必要があり、例えば表面被覆率を制御することで、膜厚方向の電流の流れを確保することができる。特に、膜厚方向の電流の流れの確保と光散乱の程度の関係から、表面被覆率は30〜70%、より好ましくは50〜70%であることが好ましい。この様な方法は、屈折率1.7以下の材料として、SiO2を使用する際に有効である。また、同様の理由、更に生産性の点から、例えばSiO2の様な透明絶縁性薄膜の膜厚は1〜50nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。
【0026】
また、光散乱層3に適度な導電性を持たせるために、前記透明絶縁性薄膜3b以外に、透明導電性薄膜を配置させることが好ましい。透明導電性薄膜自体にも光散乱層としての機能を持たせるには、屈折率が2程度の透明導電性酸化物薄膜、例えばZnO、SnO2、ITO等により形成するのが好ましく、透明絶縁性薄膜(例えばSiO2)を透明導電性酸化物層で挟む構造とすることがより好ましい。光散乱層3全体としては、30〜150nmの範囲内の厚さであることが好ましく、50〜110nmがより好ましい。これよりも薄すぎれば、十分な光散乱効果と多重干渉効果が得られず、逆に厚すぎれば光散乱層内での吸収ロスによる影響が発生する。良好な導電性を確保するために光電変換ユニット10と透明絶縁性薄膜3bとの間に透明導電性薄膜3aを形成する場合、透明導電性薄膜3aの厚さは5nm以上が好ましいが、無くてもよい。
【0027】
光散乱層3を光電変換ユニット10上に形成させる方法は特に限定されないが、下地となる光電変換ユニット10にダメージが少なく低温で形成できる方法が望ましい。例えば、200℃以下の条件でスパッタ法やMOCVD法により形成することが好ましい。特に、光電変換ユニット10上に直接形成する透明導電性薄膜3aは、MOCVD法によって形成することが好適である。
【0028】
光反射性金属層4としては、Al、Ag、Au、Cu、PtおよびCrから選ばれる少なくとも一つの材料からなる少なくとも一層を配置することが好ましく、その形成方法としてはスパッタ法または蒸着法が利用できる。
【0029】
本発明のもう一つの実施の形態によるハイブリッド型薄膜光電変換装置の模式的な断面図を図2に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
図2に示す薄膜光電変換装置は、透明基板1上に、第一の電極層(通常、透明電極が使用される)2、第一の光電変換ユニット20、透明導電性薄膜6a、透明絶縁性薄膜6b、透明導電性薄膜6cからなる光散乱層6、第二の光電変換ユニット21、透明導電層7、及び光反射性金属層4が順次積層された構造を有している。
【0031】
光電変換ユニットは図示したように2つでもよいが、3つ以上積層してもよい。また、3つ以上の光電変換ユニットを積層した場合、光散乱層6は各光電変換ユニット間に形成されてもよいが、1層でもよい。
【0032】
2つ以上の光電変換ユニットを積層した薄膜光電変換装置(通常、タンデム型薄膜光電変換装置と呼ばれる)では、光電変換装置の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換ユニットを配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する(例えばSi−Ge合金の)光電変換ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって装置全体としての変換効率の向上が図られる。タンデム型薄膜光電変換装置の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットを積層したものはハイブリッド型薄膜光電変換装置と称されるが、この場合には、上記の理由から、第一の光電変換ユニットとして非晶質光電変換ユニットを配置し、第二の光電変換ユニットとして結晶質光電変換ユニットを配置することが好ましい。
【0033】
図2の第一の光電変換ユニット20として非晶質シリコン系光電変換ユニットを形成し、第二の光電変換ユニット21として結晶質シリコン系薄膜光電変換ユニットを形成する場合には、いずれもpin型の順に基板温度を400℃以下とした低温のプラズマCVD法により形成することが好ましい。
【0034】
中間層として用いられる光散乱層6は、光散乱層6に到達した光の一部を光散乱層6よりも光入射側に位置する光電変換ユニット(例えば第一の光電変換ユニット20)へ反射させ、残りの光を後方に位置する光電変換ユニット(例えば第二の光電変換ユニット21)へ透過させる役割を果たす。光散乱層において効率よく光散乱させる為には光散乱層に、光電変換ユニット構成材料の屈折率に対し、よりかけ離れた値の屈折率を有する材料を配置することが好ましく、特に屈折率1.7以下の材料を用いることが好ましい。具体的には、SiO2、MgF2、CaF2等を積層するのが好ましく、この中でも、屈折率が小さく、かつ太陽光の主波長領域で光吸収が少ない透明材料であるSiO2(屈折率約1.5)が好適である。
【0035】
一方、光散乱層6には、膜厚方向に電流を流す必要があるため、上記の屈折率1.7以下の材料が比較的絶縁性の高い材料、即ち透明絶縁性薄膜6bである場合には、これら材料に特定の配置を取らせる必要があり、例えば表面被覆率を制御することで、膜厚方向の電流の流れを確保することができる。特に、膜厚方向の電流の流れの確保と光散乱の程度の関係から、表面被覆率は30〜70%、より好ましくは50〜70%であることが好ましい。この様な方法は、屈折率1.7以下の材料として、SiO2を使用する際に有効である。
【0036】
また、光散乱層6に適度な導電性を持たせるために、前記透明絶縁性薄膜6b以外に、透明導電性薄膜を配置させることが好ましい。透明導電性薄膜自体にも光散乱層としての機能を持たせるには、屈折率が2程度の透明導電性酸化物薄膜、例えばZnO、SnO2、ITO等により形成するのが好ましく、透明絶縁性薄膜(例えばSiO2)を透明導電性酸化物層で挟む構造とすることがより好ましい。光散乱層6全体としては、第二の電極層の一部として用いる場合よりも薄い10〜100nmの範囲30〜150nmの範囲内の厚さであることが好ましく、20〜70nmがより好ましい。これよりも薄すぎれば、十分な光散乱効果と多重干渉効果が得られず、逆に厚すぎれば光散乱層内での吸収ロスによる影響が発生する。
【0037】
第二の光電変換ユニット21上には、透明導電層7と光反射性金属層4からなる第二の電極層が形成される。透明導電層7の代わりに、図1で用いた光散乱層を適用しても構わない。
【0038】
本説明では、基板側から光を入射する構造を採用しているが、逆に基板上に第二の電極層、光電変換ユニットを形成した後に第一の電極層を形成するような構造であってもよい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を比較例とともにいくつかの実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り以下の記載例に限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
実施例1として、図1に示される薄膜光電変換装置で、特に光電変換ユニットが結晶質シリコン系光電変換ユニットであるものを作製した。
【0041】
厚み1.1mm、127mm角のガラス基板1上に、第一の電極層(透明電極)2として厚さ800nmのピラミッド状SnO2膜を熱CVD法にて形成した。得られた第一の電極層(透明電極)2のシート抵抗は約9Ω/□であった。この第一の電極層(透明電極)2の上に、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層101、厚さ2.0μmの真性結晶質シリコン光電変換層102、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層103からなる結晶質シリコン光電変換ユニット10を順次プラズマCVD法で形成した。結晶質シリコン光電変換ユニットを形成した後、基板を大気中に取り出し、光散乱層3の第一の透明導電性薄膜3aとしてMOCVD法により150℃の温度で厚さ5nmのZnO膜を形成した。MOCVD法にて形成する際、ドーパントとしてB26ガスを用いた。続いて、透明絶縁性薄膜3bとしてスパッタ法により150℃の温度で厚さ4nmのSiO2膜を形成した。この時、表面被覆率を制御するために、直径2mmの穴を多数あけたメタルマスクを用いた。SiO2の被覆率は、50%であった。その後、第二の透明導電性薄膜3cとして、3aと同様に厚さ80nmのZnO膜を形成した。
【0042】
最後に、第二の電極層4として厚さ300nmのAgをスパッタ法にて形成した。
【0043】
以上のようにして得られた結晶質シリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して出力特性を測定したところ、開放電圧(Voc)が0.52V、短絡電流密度(Jsc)が24.7mA/cm2、曲線因子(F.F.)が70.4%、そして変換効率が9.04%であった。
【0044】
(実施例2〜8)
実施例2〜8においても、実施例1と同様に結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を作製した。ただし、実施例1と異なるのは、光散乱層3の透明導電性薄膜3a及び透明絶縁性薄膜3bの膜厚、透明絶縁性薄膜3bの表面被覆率である。
【0045】
実施例1と同様に、それぞれの実施例にて得られた結晶質シリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)の各出力特性を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0046】
(比較例1)
比較例1として、図1における光散乱層3の代わりに単一の透明導電層を形成した結晶質シリコン系薄膜光電変換装置を作製した。単一の透明導電層として、MOCVD法により150℃の温度で厚さ100nmのZnO膜を形成した。MOCVD法にて形成する際、ドーパントとしてB26ガスを用いた。その他の構成については、実施例1と同様にして作製し、同様の出力特性測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004222500
【0048】
表1の結果より、実施例1〜8はいずれも比較例1に比べ、JscおよびEff.ともに向上している。
【0049】
実施例1〜4は、透明絶縁性薄膜3bの膜厚を変化させているが、膜厚が厚くなるにつれてJscの値も増加している。透明絶縁性薄膜3bは厚いほど光散乱効果が大きくなることから、入射光は光電変換ユニットとの界面近傍にある屈折率の最も小さな透明絶縁性薄膜3bで反射、散乱されていると考えられる。そのため、透明導電性薄膜と光反射性金属層の界面での反射が主である比較例1に比べて、透明導電性薄膜内での吸収ロスも減少していると考えられる。一方、透明絶縁性薄膜3bの膜厚は厚くなるにつれて、若干ではあるがF.F.が低下する傾向が見られる。これは透明絶縁性薄膜3bが厚くなったことにより、光散乱層の導電性が低下したと考えられる。従って、実施例1〜4の場合は、透明絶縁性薄膜3bの膜厚が10nmのときにJscとF.F.のバランスがとれ、最もEff.が高くなっている。
【0050】
実施例5は、光電変換ユニット上に形成される透明導電性薄膜3aの膜厚を薄くしたものである。実施例6は、透明導電性薄膜3aを挿入せず、更に透明絶縁性薄膜3bの表面被覆率を30%にしたものである。表1には示していないが、透明絶縁性薄膜3bの表面被覆率が50%のままで、透明導電性薄膜3aを挿入しないものは、F.F.が大幅に低下し、比較例1よりもEff.が低いものとなった。従って、透明導電性薄膜3aの膜厚は5nm以上が好ましい。実施例6より、透明導電性薄膜3aを挿入しない場合は、透明絶縁性薄膜3bの膜厚を薄くし、更に表面被覆率を低下させることにより、F.F.は維持できるる。しかし、光散乱効果を得るためには、表面被覆率30%以上が好ましい。
【0051】
実施例3、7および8の比較から、透明絶縁性薄膜3bでの光反射効果を有効に得るためには、透明絶縁性薄膜3bの表面被覆率が50%以上であることが好ましい。また、屈折率が最も小さな透明絶縁性薄膜3bの不連続性が光散乱効果を高めているとも考えられるので、50〜70%の表面被覆率が好ましい。
【0052】
(実施例9)
実施例9としては、図2に示されるようなハイブリッド型薄膜光電変換装置を作製した。実施例1で用いた第一の電極層(透明電極)2付きガラス基板上に、厚さ15nmのp型非晶質シリコンカーバイド層201、厚さ0.25μmの真性非晶質シリコン光電変換層202、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層203を順次プラズマCVD法で形成した。続いて、光散乱層6を実施例1と同様の方法にて形成した。ただし、ZnOからなる透明導電性薄膜6aは10nm、SiO2からなる透明絶縁性薄膜6bは10nm、ZnOからなる透明導電性薄膜6cは10nmの膜厚とした。引き続き、プラズマCVD法にて、厚さ15nmのp型微結晶シリコン層211、厚さ2.0μmの真性結晶質シリコン光電変換層212、及び厚さ15nmのn型微結晶シリコン層213を順次形成した。その後、透明導電層7として厚さ90nmのZnOと、光反射性金属層4として厚さ300nmのAgをスパッタ法にて順次形成した。
【0053】
実施例1と同様の方法にて、得られたハイブリッド型薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)の出力特性を測定したところ、Vocが1.34V、Jscが12.1mA/cm2、F.F.が72.4%、そして変換効率が11.7%であった。
【0054】
(比較例2)
比較例2においては、実施例9と同様の手順にて非晶質シリコン光電変換ユニットを形成した後、基板を大気中に取り出し、光散乱層6の代わりにスパッタ法にて150℃の温度で厚さ30nmのZnO膜を形成した以外は同じ方法でハイブリッド型薄膜光電変換装置を作製した。
【0055】
以上のようにして得られたシリコン系薄膜光電変換装置(受光面積1cm2)を、実施例1と同様の方法にて出力特性したところ、Vocが1.32V、Jscが11.7mA/cm2、F.F.が71.8%、そして変換効率が11.1%であった。
【0056】
実施例9は比較例2に比べ、Jscが上昇している。これは中間層として、光散乱層を挿入したことにより、入射光が光散乱層内で不連続に介在する低屈折率層にて一部光入射側に位置する光電変換ユニットに反射され光入射側に位置する光電変換ユニットの感度が上昇したこと、および光散乱層よりも後方に位置する光電変換ユニットにも光散乱層で吸収されること無く透過した光が光散乱層と裏面電極間で散乱し、効率よく吸収されたことによると考えられる。また、実施例9では、光散乱層形成時に光電変換ユニットへのダメージが少ないMOCVD法を使用したため、VocおよびF.F.が向上したと考えられる。
【0057】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明薄膜光電変換装置によれば、光電変換ユニットと光反射性金属電極層との間に光散乱層を挿入することにより、変換効率を改善することができる。光散乱層は、第一の透明導電性薄膜と透明絶縁性薄膜と第二の透明導電性薄膜を含んで構成されており、透明導電性薄膜は透明導電性酸化物である酸化亜鉛を含んで形成されているために、透明導電性薄膜自体にも光散乱層としての機能を持たせることができる。また、透明絶縁性薄膜は酸化亜鉛に比べて小さな屈折率を有する絶縁性材料である酸化珪素が、1nm以上50nm以下の範囲内の厚さを有するとともに、30%以上70%以下の表面被覆率を生じるように分散させられているために、必要な導電性と光散乱を両立することが可能となる。この様な構成によれば、光電変換ユニットの光吸収量を増加させることが可能となり、より高い光電変換効率を有する光電変換装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜光電変換装置の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係るハイブリッド型薄膜光電変換装置の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 透明基板
2 第一の電極層
10 光電変換ユニット
101 一導電型層
102 真性光電変換層
103 逆導電型層
3 光散乱層
3a 第一の透明導電性薄膜
3b 透明絶縁性薄膜
3c 第二の透明導電性薄膜
4 光反射性金属層
5 太陽光
20 第一の光電変換ユニット
201 一導電型層
202 真性光電変換層
203 逆導電型層
21 第二の光電変換ユニット
211 一導電型層
212 真性光電変換層
213 逆導電型層
6 光散乱層
6a 透明導電性酸化物層
6b 絶縁性酸化物層
6c 透明導電性酸化物層
7 透明導電層

Claims (4)

  1. 光入射側から順に、透光性基板、透光性導電酸化物電極層、シリコン系光電変換ユニット、光散乱層、および光反射性金属電極層を含み、
    前記光散乱層は、第一の透明導電性薄膜と透明絶縁性薄膜と第二の透明導電性薄膜を含んで構成されており、
    前記第一の透明導電性薄膜および第二の透明導電性薄膜は透明導電性酸化物である酸化亜鉛を含んで形成されており、
    前記透明絶縁性薄膜は前記酸化亜鉛に比べて小さな屈折率を有する絶縁性材料である酸化珪素を含んで形成されており、1nm以上50nm以下の範囲内の厚さを有するとともに、30%以上70%以下の表面被覆率を生じるように分散させられていることを特徴とする薄膜光電変換装置。
  2. 前記光散乱層と前記光反射性金属電極層との間にもう一つの光電変換ユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜光電変換装置。
  3. 前記光電変換ユニットとして、結晶質シリコン系光電変換ユニットを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置。
  4. 前記光散乱層の光入射側に非晶質光電変換ユニットを含み、前記光散乱層の光入射側と反対側に結晶質光電変換ユニットを含むことを特徴とする請求項2に記載の薄膜光電変換装置。
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