JP4228653B2 - ロッドレンズの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッドレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロッドレンズはその光軸方向に光束を収斂したり、発散光を平行化したりするために広く用いられている。ロッドレンズとして、屈折率分布を持たない均質な材質を用いた場合、その光線が入出射する両端面は鏡面に近い面粗さを有する平面や、凸球面、あるいは2次関数以上の高次関数によって決まる非球面形状であることが多く、少なくとも一方の面は凸面形状とすることが多い。従来、両端面の面精度や面粗さは、所定の設計仕様に従ってロッドレンズの端面を機械的な切削、研削、研磨等により直接加工したり、または適宜金型を用いたプレス法により加工したりしていた。
【0003】
機械的な切削、研削、研磨等で加工する方法は、生産性が悪いという欠点がある。また、ロッドレンズの少なくとも一方の面を凸面形状に加工する場合、端面が平面の円柱ロッド材を用いてプレス成型すると、成型工程において凹型金型面とロッド材面によってできる空間内に空気が閉じ込められて、成型後のレンズ表面に空気溜りの痕跡が残留してしまう現象が発生する問題があった。そして、これを避けるためには、金型に空気抜きを設けたり、真空成形機構造としたりして高価な構造を用いる必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決したロッドレンズの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、母材となるガラスロッドの曲面化したい端面を下に向けて治具により保持し、前記端面部の真下に適当な距離をおいて、熱風が放出される噴出し口を有する熱源を置き、前記端面部と前記熱源との間に設けた遮蔽板により前記熱風の径や風量を制御しつつ、熱電対により計測しながら所定の温度に制御された熱風を前記噴出し口から放出して前記端面部に当てて前記端面部を熱変形温度より高い温度とし、該温度で一定時間保持後、温度を下げて前記端面部を所定の球面または非球面形状とすることを特徴とするロッドレンズの製造方法を提供する。
【0006】
また、所定の球面または非球面形状とされた面を、さらに、プレス成型用金型でプレス成型する請求項1記載のロッドレンズの製造方法であって、プレス成型前における前記所定の球面または非球面形状の頂点の曲率が、同頂点に対応するプレス成型用金型の頂点の曲率よりも大きいことを特徴とするロッドレンズの製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるロッドレンズは、所定の長さに切り出されたロッド形状のガラス材(以下、ガラスロッドという)を母材とするものであり、その材料はガラスであればよい。本発明においては、このガラスロッドの端面を下(重力方向)に向け、火焔、熱風等の加熱手段と、熱電対等による温度状態を監視する温度監視手段と、その温度制御を行う温度制御手段により、ガラスロッドの端面形状を平面から所望の球面ないし非球面の凸面形状に変形させることで、屈折力を持たないガラスロッドを、屈折力を有するロッドレンズに変えることができる。
【0008】
本発明のロッドレンズ製造方法の一例を図1に示す。母材のガラスロッド1は曲面化したい端面2を下に向け、治具(図示せず)により保持される。この端面部の真下に適当な距離をおいて熱源3を置き、熱源の噴出し口4から所定の温度の熱風5が放出され、ガラスロッド1の端面2に一定時間当たるように配置されている。ここで、熱源3から噴出する熱風の径6や風量を、遮蔽板7を用いて制御し、かつ熱風5の温度を熱電対8で測定しながらガラス材の熱変形温度(ガラス転移温度、屈服点、軟化点など)より高い温度で一定時間制御しながら保つことにより、ガラスロッド1の端面2が徐々に軟化する。そして、端面2が表面張力と重力のバランスにより所定の球面または非球面形状になったときに熱源から噴出する熱風をカットしたりして、温度を下げるように調整することによって、目的とする球面形状または非球面形状に変形された曲面10を有するロッドレンズ9を得ることができる。
【0009】
また、さらに同様の操作をもう一方の端面について行えば、両端面のエッジ部が球面形状または非球面形状に変形されたロッドレンズを得ることもできる。
【0010】
ここで、熱源3としては、ニクロム線ヒータ等の抵抗発熱体や遠赤外線ヒータ等の電気熱源だけでなく、ブンゼンバーナー、酸素バーナー等の火焔熱源でもよく、対象とするロッドガラスのガラス転移点を超える熱を発する熱源であれば何でもよい。熱源は、ガラス材の屈服点または軟化点温度以上まで加熱可能なものが好ましい。火焔熱源を用いるときは、その炎が前述の熱風の効果を有するように熱源の位置を調整すればよい。
【0011】
また、熱源の熱風を噴出する噴出し口4は、噴出される熱風の径6が対象とするガラスロッド1の端面2を軟化させるサイズであれば充分である。また、熱風や火炎の温度は中央部と周辺部において温度差を生ずる場合があるが、これについては熱電対8や遮蔽板7の形状やサイズ等を変えることにより最適な温度分布とすることができる。また、熱源3やその噴出し口4の数も一つではなく、最適な熱風や炎の状態になるように複数とすることも可能であり、有効である。
【0012】
なお、ガラスロッドの材料は熱によって軟化、変形するものであれば何でもよく、ガラスの組成は問わない。しかし、PbO、Bi2O3等の還元され易い酸化物を含むガラス材に対して火焔法による加熱軟化を行う場合、火焔の炎によって還元されたPb、Bi等の黒化物が表面に析出して遮光部分を形成する場合がる。したがって、この場合は、前述のヒータ等の電気熱源による熱風で曲面化を行うほうが好ましい。
【0013】
また、ガラスロッド1の端面2は平面に限ることはない。さらに、端面2の面粗さは軟化した端面の表面張力によって滑らかな曲面となるため必ずしも鏡面でなくてもよいが、目的とする曲面の面粗さを良好な研磨面と同等にしたい場合は、ガラスロッド1の端面2はキズやクレーターなどの無い面で、かつできるだけ鏡面に近い面であることが好ましい。
【0014】
本発明では、凸型の曲面形状とされた面を、さらに、プレス成型用金型でプレス成型することができ、その場合は、凸型の曲面形状の頂点の曲率が、同頂点に対応するプレス成型用金型の頂点の曲率よりも大きいことが好ましい。そうすることにより、金型面とロッドレンズ面によってできる閉空間内の空気をレンズ面中央部に閉じ込めないで、レンズ面の有効径外の周辺部に逃がすことにより、空気溜りの無い精密な形状を有するロッドレンズが得られる。
【0015】
また、本発明では、ガラス材をそのガラス転移点を超えた温度に加熱して軟化させることにより、エッジ部に角を持たないロッドレンズまたはロッドレンズ用ガラス材を得ることができ、これにより、レンズのエッジ部にバリ、欠けの発生およびガラスカレットの飛散のない精密な形状を有するロッドレンズが得られる。
【0016】
【実施例】
(例1)
表1に示した組成(単位:モル%)のガラス材のうち、組成No.1の材料について、表1に示した外径、長さで円柱状のガラスロッドを製作し、両端面は平面研磨面仕上げを行った。次に、ニクロム線を用いた抵抗ヒータを熱源とし、ファンによって送られる熱風がガラスロッド端面の近傍に配置された熱電対の位置において、ガラス材の屈服点より高温となるように熱源の位置、温度を制御し、ガラスロッド端面が徐々に軟化してほぼ球面形状となる時間だけ保持した後、速やかに送風を停止することにより、ほぼ滑らかな球面形状を片面に有する平凸面ロッドレンズが得られた。
【0017】
さらに、同様の操作をもう一方の端面に行うことにより、両端面にほぼ滑らかな球面形状のエッジ部を有する両凸面ロッドレンズが得られた。
【0018】
さらに、表1の組成No.2〜4のガラス材についても、前記の組成No.1と同様に熱源の温度をそれぞれのガラス材の屈服点より高温となるように制御して、加熱軟化成型を行い端面がほぼ球面形状を有するロッドレンズが得られた。
【0019】
(例2)
表1に示した組成(単位:モル%)のガラス材のうち、組成No.5および6の材料について、表1に示した外径、長さで円柱状のガラスロッドを製作し、両端面は平面研磨面仕上げを行った。次に、図5で示すように、酸素バーナーを熱源とし、その火焔による熱がロッド材端面の近傍に配置された熱電対の位置において、ガラス材の屈服点より高温となるように熱源を制御し、ガラスロッド端面が徐々に軟化してほぼ球面形状となる時間だけ保持した後、速やかに火焔を遮断することにより、ほぼ滑らかな球面形状を有する平凸面ロッドレンズが得られた。さらに、同様に、同様の操作をもう一方の端面に行うことにより、両端面にほぼ滑らかな球面形状のエッジ部を有する両凸面ロッドレンズが得られた。なお、図5の中の番号は図1で用いているものと同じである。
【0020】
(例3)
表1の組成No.1のガラス材について、例1で得られたロッドレンズを母材とし、さらに、精密な平凸非球面ロッドレンズを得るため、図2で示すように、例1で得られた平凸面ロッドレンズ10の頂点曲率11よりも小さい頂点曲率12をベースとする凹非球面形状金型13を加工し、一方で平面形状14を有する金型15を用意して、これらの金型を精密ガラスプレス成型機のコア型として組み立て、その凹非球面形状金型の面には平凸面ロッド球面レンズの球面側を向けて置き(図2では下に向けているが、逆でもよい)、表1の組成No.1の欄に示す屈服点温度を超える温度領域まで両金型を加熱し、約10秒間200Nの加圧を行った後、約10分間の自然冷却を行い、金型からロッドレンズを取り出した。このロッドレンズのプレス成型面の非球面形状は、空気溜りの跡のような凹みの全く無いきれいな外観を示し、その非球面形状を3次元形状測定機で測定すると、精密に非球面形状加工された金型面とほぼ一致した良好な非球面形状となっていることが判った。また、他端の平面形状は、エッジ部にバリ、欠けやガラスカレットの飛散がなく、その平面形状を3次元形状測定機で測定すると、ほぼ金型と一致した良好な平面形状となっていることが判った。
【0021】
(例4)
一方、図3に示すように、例3で作製した凹非球面金型13と平面金型15の同じ金型の組合せに対し、両端面が平面のガラスロッド16を前記金型内に置き、例3と同様の成型条件で成型を行い、金型からレンズを取り出した。このレンズの平面金型側の平面14はきれいに成型後のレンズ面に転写されていたが、エッジ部には欠け21や飛散したガラスカレット22が見られた。これは、成型の際において、図3の平面金型側壁面14とリング金型内壁面とによってできる空間内に閉じ込められたガラスがバリを発生させ、それが破壊し、欠け、そのカレットがレンズ表面に付着したためと推測される。
【0022】
さらに非球面金型側のレンズ面は、図4に示すように、中央部付近に大きな真円状のへこみ18が見られ、非球面形状の転写性は不充分であった。
【0023】
これは、成型の際において、図3の凹非球面金型13の非球面12とガラスロッドの平面17によってできる空間内に閉じ込められた空気が圧縮され、周辺部に逃げることができずに非球面レンズ面の一部に真円状の凹み跡18を形成してしまったためと推定される。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、ロッドレンズの少なくとも一方の面を、凸型の球面または非球面形状の鏡面に加工する場合に、従来のような機械的切削、研削、研磨による高価な方法を用いずに安価な方法で製作することが可能となる。
【0026】
また、ロッドレンズをプレス成型で製造する場合にも、金型面とロッドレンズ面によってできる閉空間内の空気を、レンズ面中央部に閉じ込めないで、レンズ面の有効径外の周辺部に逃がすことにより、空気溜りの無い精密な端面形状を有するロッドレンズを、高価な空気抜き構造や真空成形法を用いずに製造することが可能となる。さらに、レンズのエッジ部にバリ、欠けの発生およびガラスカレットの飛散のない精密な形状を有するロッドレンズを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1例を示す概念図
【図2】本発明の1例を示す概念図
【図3】比較例を示す概念図
【図4】比較例により製造されたロッドレンズを示す側面図
【図5】本発明の別の例を示す概念図
【符号の説明】
1:ガラスロッド
2:端面
3:熱源
4:噴出し口
5:熱風
7:遮蔽板
8:熱電対
9:ロッドレンズ
Claims (2)
- 母材となるガラスロッドの曲面化したい端面を下に向けて治具により保持し、前記端面部の真下に適当な距離をおいて、熱風が放出される噴出し口を有する熱源を置き、前記端面部と前記熱源との間に設けた遮蔽板により前記熱風の径や風量を制御しつつ、熱電対により計測しながら所定の温度に制御された熱風を前記噴出し口から放出して前記端面部に当てて前記端面部を熱変形温度より高い温度とし、該温度で一定時間保持後、温度を下げて前記端面部を所定の球面または非球面形状とすることを特徴とするロッドレンズの製造方法。
- 所定の球面または非球面形状とされた面を、さらに、プレス成型用金型でプレス成型する請求項1記載のロッドレンズの製造方法であって、プレス成型前における前記所定の球面または非球面形状の頂点の曲率が、同頂点に対応するプレス成型用金型の頂点の曲率よりも大きいことを特徴とするロッドレンズの製造方法。
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