JP4230672B2 - コリオリ質量流量計を用いた密度計測方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コリオリ質量流量計を用いた密度計測方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
未知の流体の密度を測定するために、コリオリ質量流量計を用いることが知られている。コリオリ質量流量計は、被測定流体の流通するフローチューブの両端を支持し、該支持点回りにフローチューブを該フローチューブの流れ方向と垂直な方向に振動したとき、フローチューブに作用するコリオリの力が質量流量に比例することを利用したものであって、それ自体従来周知である。
【0003】
一方、振動式密度計は、流体が流れるフローチューブの共振周波数が密度の変化によって変化することを利用して、被測定流体の密度を測定するものである。このような振動式密度計は、その主要構成が、コリオリ質量流量計と共通しているために、被測定流体の質量流量を測定するためのコリオリ質量流量計を用いて構成して、質量流量と同時に密度を計測することが従来より行われている。コリオリ質量流量計のフローチューブが共振振動する周期或いは周波数を測定することにより、流体の密度を計測することが可能となる。
【0004】
但し、フローチューブの共振周波数は、流れる流体のみの密度だけではなく、流体を含むフローチューブ全体の密度の変化によって変化し、さらには、フローチューブのばね常数が温度によって変化することから共振周波数が変化することを考慮すれば、未知の流体の密度を測定する準備として、測定に使用される装置毎に、測定された共振周波数と被測定流体の密度の関係を知ること、即ち校正が必要になる。
【0005】
特公平6−63958号公報は、このような技術を開示する。この技術は、コリオリ質量流量計の2つのフローチューブの一方内を未知の流体が流れるときに振動する周期を決定して、この周期を2乗する。つぎに、未知の流体の密度を2乗された周期と、校正時にコリオリ質量流量計を通って流れた2つの既知の流体、例えば、空気と水の周期の2乗との一次関数として決定する。
【0006】
しかしながら、コリオリ質量流量計を用いる密度計測装置は、工場で製造された後に出荷されて、客先で計測状態にあるとき、被測定流体の流れる配管に一体に組み付けられて、被測定流体の密度を測定する。このような状態で、水と空気を用いて校正する場合、配管より密度計測装置をはずして、流体を完全に取り除いて、十分に乾燥させた後に、始めに空気、それから水の順に校正することになる。このように、配管内に取り付けられている密度計測装置を、再校正するためには、大変な時間とコストがかかるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決して、工場より出荷されて客先で校正されるとき、客先での校正を簡単化して、取り扱いを容易にすると共に、客先での校正に要する時間及びコストを低減することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のコリオリ質量流量計を用いて密度計測する密度計測方法は、中央部に設けられた駆動装置によって共振駆動される少なくとも1つの被測定流体の流れるフローチューブを有し、一対の振動検出センサが、駆動装置の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置されて、コリオリの力に比例した位相差を検知することにより質量流量を測定するコリオリ質量流量計を用いて密度計測をする。被測定流体の密度は、被測定流体の流れるフローチューブの振動周期又は振動周波数を検出し、検出された振動周期又は振動周波数から、少なくとも2つの係数を有する関数を用いて求める。その際、1つのみの既知の校正流体を流して計測した振動周期又は振動周波数と、製品種類毎に共通に定められた値を用いて前記少なくとも2つの係数を求めると共に、この共通に定められた値を個々の製品に基づくバラツキ因子により補正する。
【0009】
また、本発明のコリオリ質量流量計を用いて密度計測する密度計測装置は、被測定流体の流れるフローチューブの振動周期又は振動周波数を検出する回路と、検出された振動周期又は振動周波数から、少なくとも2つの係数を有する関数を用いて被測定流体の密度を求める密度演算部とを備えている。密度演算部において、少なくとも2つの係数を求める校正処理のために、1つのみの既知の校正流体を流して計測した振動周期又は振動周波数と、製品種類毎に共通に定められた値を用いて前記少なくとも2つの係数を求めると共に、この共通に定められた値を個々の製品に基づくバラツキ因子により補正する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を例示に基づき説明する。図1は、本発明のコリオリ質量流量計を用いた密度計測装置の概略全体構成を例示する図である。コリオリ質量流量計は、直管、湾曲管等の種々のフローチューブ形状、或いは1本管、2本並列管、内外2重管のような種々のフローチューブ構成のものが知られているが、いずれのコリオリ質量流量計であっても、本発明の密度計測装置として利用することができる。コリオリ質量流量計のフローチューブは、その中央部に設けられた駆動装置によって共振駆動され、一対の振動検出センサが、駆動装置の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置されて、コリオリの力に比例した位相差を検知する。
【0011】
図1に示したセンサA及びセンサBは、一対の振動検出センサを示している。そして、このセンサA及びセンサBで検出され、必要に応じて増幅された正弦波形状を有している信号A、及び信号Bは、位相差検出部1に入力される。ここでは、それ自体周知の方法を用いて、信号Aと信号Bの位相差が検出される。質量流量演算部2においては、またコリオリ質量流量計においては周知の方法で、検出された位相差から質量流量が演算される。
【0012】
一方、センサBからの信号B(或いはセンサAからの信号Aでもよい)は、周期又は周波数検出回路3に入力され、ここで、信号Bの周期又は周波数が検出される。これは、つぎに、密度演算部4に入力されて、ここで周期又は周波数を2乗したものから密度が演算されるが、その際、本発明の特徴に従い、出荷前に工場で確認されたバラツキ因子と、校正のために一液のみ、例えば水を用いて決定された係数に基づき、被測定流体の密度が求められる。
【0013】
以下、この被測定流体の密度の決定について、最初に湾曲管形のフローチューブを例にしてさらに詳細に説明する。湾曲管形のチューブ振動周期Tと、流体密度ρの関係は、密度計測装置固有の定数(使用される装置固有の値を有している)をA,Bとすると、
ρ=AT2 +B (1)
で表せることが知られている。要するに、装置固有のA,Bを知ることができれば、チューブ振動周期Tを測定することにより、流体密度ρを求めることができる。
【0014】
このA,Bは、従来技術の考え方に従い、流体密度ρが既知の流体、例えば空気と水、を流して振動周期Tを測定することにより求めることができる。空気(以下、添字aで表す)と水(以下、添字wで表す)の密度をそれぞれρa 、ρw とし、チューブ振動周期をそれぞれTa 、Tw とすると、
ρa =ATa 2 +B (2)
ρw =ATw 2 +B (3)
で表すことができる。そして、この2つの式から、A、Bを求めることができる。求めたA,Bを代入した式(1)を用いて、未知流体のチューブ振動周期Tを測定することにより、流体密度ρを求めることができる。これを言い換えると、式(1)〜(3)から、未知流体のチューブ振動周期Tと密度ρの関係式である次の式を導くことができる。
【0015】
ρ=(ρa −ρw )(T2 −Tw 2 )/(Ta 2 −Tw 2 )+ρw (4)
このように、チューブ振動周期Tを測定して密度ρを求めることができるが、その前提として、空気と水のそれぞれのチューブ振動周期Ta 、Tw と、密度ρa 、ρw との関係を知る必要がある。
【0016】
これを簡単化するために、式(4)をさらに発展させて、式(5)のように定義した密度ファクターKDを導入して、式(4)を式(6)のように書き直すことができる。
KD=Tw 2 /(Ta 2 −Tw 2 ) (5)
ρ=KDρw'(T2 /Tw 2 −1)+ρw 但しρw'=(ρa −ρw ) (6)
式(5)、式(6)をチューブ振動の周期Tより、f=1/Tの関係にある周波数fに書き改めると、式(5)’、式(6)’となる。
KD=fa 2 /(fw 2 −fa 2 ) (5)'
ρ=KDρw'(fw 2 /f2 −1)+ρw 但しρw'=(ρa −ρw )(6)'
このKDの値を、予め密度計測装置の形式(タイプ)毎に、実験値の平均値として定めることにより、製品個々の校正は、水を用いて測定した振動周波数fw (又は振動周期Tw )のみを用いて行うことが考えられる。
【0017】
図2は、異なるタイプの湾曲管形コリオリ質量流量計について、空気の密度を計算した結果を示している。横軸は、大きさの異なる湾曲管形コリオリ質量流量計のタイプを示しており、その数字は、流量計が取り付けられる配管の口径(mm)を表している。縦軸は、上記のKDを用いて、水のみの校正により密度を計測するように構成した方法で、この計算により求めた空気の密度の誤差を表示したものである。誤差は、図2に見られるように、-0.06 から+0.06 の範囲にあって、十分な精度が得られているとはいえない。
【0018】
十分な精度を得ることができなかった大きな要因は、平均値として求めたKDの値が、実際には一定値ではなく、製品個々にバラツキがあり、このバラツキが無視できないために起こるものである。そこで、本発明は、以上の認識に基づき、製品個々の校正は、水を用いて測定したfw (又はTw )のみを用いて行うこと、及び予め密度計測装置の形式(タイプ)毎に実験値の平均値として定めたKDの値を用いる点では、上記したように行うものであるが、本発明は、それに加えて、この平均値として求められたKDの値を、製品個々に求めたバラツキに基づき補正することを特徴とする。
【0019】
以下、これについてさらに説明する。KDの値のバラツキは、式(5)’に見られるように、fa 、fw にバラツキがあることにより生じたものである。そこで、各々のバラツキ係数としてK、Mを導入すると、製品個々の振動周波数は、Kfakd 、Mfwkd と表すことができる。なお、添字として付加したkdは、fa 、fw が、実験値の平均により求められたことを示している。これを用いて、式(5)’は、式(7)のように書き直すことができる。
【0020】
KD’=(Kfakd )2 /{(Mfwkd )2 −(Kfakd )2 } (7)
これは、さらに、式(8)のように書き直すことができる。
KD’=fakd 2 /{(( M/K) ・ fwkd )2 −fakd 2 } (8)
M/K=ηと置くと、KD’は、式(5)’に示すKDとηの二次式との積で近似することができる。勿論、この近似で、n次式を活用しても良い。
【0021】
KD’=KD×(Pη2 +Qη+R) (9)
これは、言うなれば、予め密度計測装置の形式(タイプ)毎に実験値の平均値として定めたKDの値を、製品個々に求めたバラツキ因子(Pη2 +Qη+R)に基づき補正するものに相当する。
【0022】
バラツキ因子(Pη2 +Qη+R)は、係数P、Q、Rと、ηを求めることにより計算することができる。まず、ηであるが、前述したように、η=M/Kと定義したものであり、さらに、fakd 、fwkd の各々のバラツキ係数としてK、Mを導入したものである。例えば、Kの値は、製品個々の完成組み立て時に、ドライブ周波数を測定して、K=製品個々のドライブ周波数の実測値/平均値、として決定することができる。また、Mの値は、水を用いて校正を行う際に、M=製品個々のドライブ周波数の実測値/平均値、として決定することができる。
【0023】
次に、係数P、Q、Rの決定について説明する。式(9)より、(Pη2 +Qη+R)は、KD’/KDの演算により求められることが分かる。そこで、式(7)のKD’を、式(5)’のKDにより除算すると共に、M/K=ηと置くと、式(10)が得られる。
【0024】
この式(10)は、ηの関数であり、これが、(Pη2 +Qη+R)に等しいものとして、係数P、Q、Rを決定することができる。この決定は、通常、コンピュータソフトによる周知の方法で、式(10)において、ηを1.000の前後の領域で、変化させて、二次回帰により求めることができる。
【0025】
このようにして、製品個々のバラツキ因子、即ち、(Pη2 +Qη+R)の値を、決定することができる。
【0026】
図3は、バラツキ因子を考慮したこと以外においては、図2と同様な条件で計算した結果を示している。横軸には、湾曲管形コリオリ質量流量計のタイプを示し、縦軸は、上記のバラツキ係数を考慮したKD’を用いて、水のみの校正により密度を計測するように構成した方法で、この計算により求めた空気の密度の誤差を表示したものである。この誤差は、図2に示した場合と比較すれば分かるように、非常に良好な精度が得られることを示している。
【0027】
また、流管の温度による影響を考慮すると、振動周期Tは、温度tの関数であるから、k(=√(1+αt、α:ヤング率の温度補正係数)、kw (=√(1+αtw )とすると、式(6)は以下のように書き直すことができる。
ρ=KDρw'(k2 T2 /kw 2 Tw 2 −1)+ρw (11)
これによって、振動周期Tから密度ρを演算する際に、温度により補正することができる。さらに、KDの値自体が温度の影響を受けるから、例えば、20℃のような一定温度でのKDの値を決定することが望ましい。
【0028】
さらに、直管形のチューブについて検討する。直管形のチューブ振動周期Tと、流体密度ρの関係は、密度計測装置固有の定数をa,cとし、さらに密度計測装置の形式(タイプ)毎の固定値をβ(その数値は試験により求めた平均値)とすると、
ρ=a+c/(1/T+β)2 (12)
で表せることが知られている。基本的には、湾曲管形の場合と同様であるので、詳細な説明は省略するが、式(5)(6)に相当する以下の式を得ることができる。
ρ=KDρw'{(1+βTw) 2T2 /(1+βT) 2Tw 2 −1}+ρw (14)
ρw'=(ρa −ρw ) (15)
このように、流管の温度影響がある場合、又は流管が直管形の場合でも基本的には式(5)、式(6)に帰着するので、式(5)’、式(6)’を誘導すれば十分に表現することが可能である。即ち、前記の式(5)’、式(6)’に基づき整理すると、本発明は、KDの値を、予め密度計測装置の形式(タイプ)毎に、実験値の平均値として定め、この定めたKDの値を、製品個々に求めたバラツキ因子(Pη2 +Qη+R)に基づき補正する。製品個々の校正は、水を用いて測定したfw (又はTw )のみを用いて行う。これによって、未知流体の振動周波数f(又は周期T)を測定することにより、密度ρを求めることができる。
【0029】
以上述べたように、本発明は、校正のために一液、例えば水のみを用いるものであり、校正は簡単化される。その精度も、図3に示されるように良好なものである。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、工場より出荷されて客先で校正されるとき、水のみを用いて校正することができる。従来のように、校正のために空気を用いる必要が無く、そのため、配管内を乾燥させる必要がない。配管内流体を、使用中の流体から水に切り換えるのみで、校正を行うことができる。このように、客先での校正を簡単化して、取り扱いを容易にすると共に、客先での校正に要する時間及びコストを低減することが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコリオリ質量流量計を用いた密度計測装置の概略全体構成を例示する図である。
【図2】比較のために、空気の密度を計測した比較例を示す図である。
【図3】本発明に基づき、空気の密度を計測した試験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 位相差検出部
2 質量流量演算部
3 周期又は周波数検出回路
4 密度演算部
Claims (2)
- 中央部に設けられた駆動装置によって共振駆動される少なくとも1つの被測定流体の流れるフローチューブを有し、一対の振動検出センサが、駆動装置の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置されて、コリオリの力に比例した位相差を検知することにより質量流量を測定するコリオリ質量流量計を用いて密度計測する密度計測方法において、
被測定流体の流れるフローチューブの振動周期又は振動周波数を検出し、
検出された振動周期又は振動周波数から、少なくとも2つの係数を有する関数を用いて被測定流体の密度を求めるために、1つのみの既知の校正流体を流して計測した振動周期又は振動周波数と、製品種類毎に共通に定められた値を用いて前記少なくとも2つの係数を求めると共に、この共通に定められた値を個々の製品に基づくバラツキ因子により補正する、
ことから成るコリオリ質量流量計を用いた密度計測方法。 - 中央部に設けられた駆動装置によって共振駆動される少なくとも1つの被測定流体の流れるフローチューブを有し、一対の振動検出センサが、駆動装置の取付位置に対して左右両側の対称位置に設置されて、コリオリの力に比例した位相差を検知することにより質量流量を測定するコリオリ質量流量計を用いて密度計測する密度計測装置において、
被測定流体の流れるフローチューブの振動周期又は振動周波数を検出する回路と、
検出された振動周期又は振動周波数から、少なくとも2つの係数を有する関数を用いて被測定流体の密度を求める密度演算部と、
を備え、該密度演算部において、前記少なくとも2つの係数を求める校正処理のために、1つのみの既知の校正流体を流して計測した振動周期又は振動周波数と、製品種類毎に共通に定められた値を用いて前記少なくとも2つの係数を求めると共に、この共通に定められた値を個々の製品に基づくバラツキ因子により補正することから成るコリオリ質量流量計を用いた密度計測装置。
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