JP4231871B2 - 情報記録装置及び情報記録方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、情報記録媒体に光学的に情報を記録する方法に関する。
【0002】
【背景技術】
DVD−R(DVD-Recordable)、DVD−RW(DVD-Re-recordable)などの書き込み又は書き換え可能な光ディスクには、ディスクの記録面上にレーザ光を照射して情報を記録する。光ディスクの記録面上のレーザ光が照射された部分は、温度が上昇するために光ディスクを構成する光記録媒体に変化が生じ、これにより記録マークが記録面上に形成される。
【0003】
よって、記録すべき情報に応じたパルス波形(「ストラテジ」と呼ばれる。)でレーザ光を変調して光ディスクに照射することにより、記録すべき情報に応じた長さの記録マークを光ディスク上に形成することができる。
【0004】
DVD−RWなどの書き換え可能な光ディスクに情報を記録するためのストラテジとして、トップパルスと、記録マーク長に応じた数のマルチパルス(「パルストレイン」とも呼ばれる。)とから構成されるストラテジがよく知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
近年、記録速度向上のため、4倍速以上のより高速な記録に適応したストラテジが要求されている。しかし、上述のようなマルチパルスを利用するストラテジによれば、記録マーク長に応じて1T(「T」は記録信号の基準クロック周期を示す。)単位でマルチパルスの数が追加されていくので、パルスのオン/オフを1Tの時間内に行う必要がある。したがって高速記録に伴い基準クロックが早くなり、1Tの時間が短くなると、過渡応答によりマルチパルスの波形のなまりが大きくなり、正確な発光波形を得ることが難しくなる。そのため、記録装置間のレーザ光源や駆動回路の特性の違いによって、光ディスクの記録特性が影響されやすくなる。
【0006】
また、マルチパルス区間では1T以上の時間にわたってレーザ光による加熱及び冷却ができないので、光ディスクの特性によっては十分なマーク形成が行えず、信号変調度の低下など、記録特性が悪化することがある。本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが例として挙げられる。
【0007】
【特許文献1】
特許第2801510号公報
【0008】
【発明の開示】
本発明は、高速記録時においても、記録装置の特性に影響されにくく、十分な加熱及び冷却時間を与えることにより光ディスク上にピットを正しく形成することが可能な情報記録方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の1つの観点では、情報記録装置において、トップパルスと、記録データの記録マーク長に応じた必要数のマルチパルスとを含む光源駆動信号を生成する信号生成手段と、前記光源駆動信号に基づいて光源を駆動して記録光を光記録媒体上に照射し、当該光記録媒体上に記録マークを形成する記録手段と、を備え、前記信号生成手段は、前記記録マークの基準クロック周期Tの3倍の周期を有する前記マルチパルスを生成するマルチパルス生成手段と、前記記録マーク長が3nT(nは整数)であるときに同一形状の第1のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+1)Tであるときに同一形状の第2のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+2)Tであるときに同一形状の第3のトップパルスを生成するトップパルス生成手段と、を有し、前記第3のトップパルスは2つのパルスから構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の観点では、情報記録方法において、トップパルスと、記録データの記録マーク長に応じた必要数のマルチパルスとを含む光源駆動信号を生成する信号生成工程と、前記光源駆動信号に基づいて光源を駆動して記録光を光記録媒体上に照射し、当該光記録媒体上に記録マークを形成する記録工程と、を有し、前記信号生成工程は、前記記録マークの基準クロック周期Tの3倍の周期を有する前記マルチパルスを生成するマルチパルス生成工程と、前記記録マーク長が3nT(nは整数)であるときに同一形状の第1のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+1)Tであるときに同一形状の第2のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+2)Tであるときに同一形状の第3のトップパルスを生成するトップパルス生成工程と、を有し、前記第3のトップパルスは2つのパルスから構成されることを特徴とする。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【図1】 1T周期の基準クロックを使用した高速記録時のストラテジ及びレーザ駆動波形例を示す波形図である。
【図2】 1つのトップパルス及びクーリングパルスの組み合わせの波形図、及び、その波形により記録可能な記録マーク長の検討結果を示すグラフである。
【図3】 複数の周期のマルチパルス列の波形図、及び、その波形により形成される記録マークの信号変調度を示すグラフである。
【図4】 本発明の実施形態にかかるレーザ記録波形の基本構成を模式的に示す図である。
【図5】 本発明の実施例にかかる情報記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】 図5に示す記録制御部の構成を示すブロック図である。
【図7】 図6に示すLDドライバの構成を示す回路図、及び、レーザダイオードの特性を示すグラフである。
【図8】 本発明の基本実施例によるレーザ駆動波形(記録ストラテジ)を示す図である。
【図9】 本発明の変形例1によるレーザ駆動波形(記録ストラテジ)を示す図である。
【図10】 本発明の変形例2によるレーザ駆動波形(記録ストラテジ)を示す図である。
【図11】 本発明の変形例3によるレーザ駆動波形(記録ストラテジ)を示す図である。
【図12】 本発明の変形例4によるレーザ駆動波形(記録ストラテジ)を示す図である。
【図13】 変形例4におけるレーザ駆動波形のパルス幅及び各パワーレベルの設定例を示
す。
【図14】 本発明の変形例7によるレーザ駆動波形(記録ストラテジ)を示す図である。
【図15】 本発明の変形例8によるレーザ駆動波形(記録ストラテジ)を示す図である。
【0012】
【発明を実施するための裁量の形態の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0013】
図1に、周期が1Tのマルチパルスを使用するストラテジの例を示す。本例では、8Tの記録データと3Tの記録データのストラテジを例示している。図示のように、ストラテジは、トップパルスTPと、1T周期の複数のマルチパルスMPと、クーリングパルスCPとにより構成される。マルチパルスMPの数は記録データ長に応じて決まる。図1では、トップパルスTPの幅をTtop、マルチパルスMP幅をTmp、クーリングパルスCPの幅をTclで示している。
【0014】
トップパルスTP及びマルチパルスMPは、記録パワーレベルPrとバイアスパワーレベルPbとの間でレベルが変動する。クーリングパルスCPはバイアスパワーレベルPbであり、バイアスパワーレベルPbはゼロレベルP0から所定レベルだけ上昇したレベルである。
【0015】
このストラテジでは、周期が1Tのマルチパルスを使用しているため、マルチパルス区間においては、光ディスクに対して1T以上の時間にわたる加熱及び冷却を行うことができない。
【0016】
図1下段のレーザ発光波形60は、1Tの時間が10ns以下となるような高速記録時におけるレーザ発光波形を示している。1Tの時間が10ns以下となる場合、記録パルス幅が5ns以下となることがある。例えばレーザ光源の立ち上がり及び立ち下がり時間にそれぞれ2ns程度要すると仮定すれば、波形60に例示するように、過渡応答により本来は矩形に近いパルス波形がなまり、矩形を維持することができなくなる。このため、記録装置間のレーザ光源や駆動回路の特性の違いによってはディスク上に正しくピットを形成することができなくなる。
【0017】
以上の考察に基づき、本発明ではストラテジを構成する各パルスのパルス幅を1T以上に設定可能とすることにより、高速記録においても正確なピット形成を可能とすることとした。基本的には記録マーク長に応じたレーザ駆動波形(ストラテジ)を、1つのトップパルスと、記録マーク長に応じた必要数のマルチパルスと、1つのクーリングパルスにより構成する。よって、短い記録マークの場合にはレーザ駆動波形は1つのトップパルスと1つのクーリングパルスの組み合わせにより構成され、長い記録マークの場合はレーザ駆動波形は1つのトップパルスと、必要数のマルチパルスと、1つのクーリングパルスにより構成されることになる。
【0018】
さて、上記のようなレーザ駆動波形を用いる場合、高速記録に対応するためには、基本的にトップパルス及びマルチパルスの幅を適切に決定することが要求される。そこで、本発明では、以下のようにトップパルス及びマルチパルスの幅を決定する。
【0019】
まず、1つのトップパルスと1つのクーリングパルスとの組み合わせで、どの程度の長さの記録マークが形成できるかを検討した。図2(a)はトップパルスTPの幅Ttopをパラメータとし、トップパルス幅Ttop=1.0T、1.5T、2.0Tと増加させた場合における、クーリングパルスCPの幅Tclと記録マーク長との関係を示したグラフである。なお、条件としては、DVDの4倍速相当の記録速度で、記録パワーPr=18mW、消去パワーPe=9mWとし、10回オーバーライトした状態で記録マークの測定を行った。クーリングパルス幅Tclはマークが正確に記録できなくなるまで変化させた。よって、グラフに示す範囲を超えると記録マークの形状が歪んでしまい、マークが正確に記録できなくなるため、クーリングパルス幅をこれ以上増加させることはできない。また、トップパルスTPの幅TtopとクーリングパルスCPの幅Tclは図2(b)に示すように規定した。
【0020】
図2(a)のグラフからは、トップパルス幅Ttop及びクーリングパルス幅Tclを増加させると、より長い記録マークを形成することができることがわかる。しかし、トップパルス幅TtopをTtop=2.0Tよりさらに増加させても効果は見込めず、また記録マークが歪まない範囲では、クーリングパルス幅Tclをいくら増加させても、5Tまでの記録マークしか形成できないことがわかる。つまり、6T以上の記録マークは、1つのトップパルスTPと1つのクーリングパルスCPの組み合わせでは形成できないことがわかる。
【0021】
次に、マルチパルスの適切な周期について検討した。レーザ駆動波形におけるマルチパルスの数は記録マーク長に依存するが、マルチパルスの周期をどの程度の長さにすれば信号を正確に記録できるかを調べるため、図3(a)に示すようにマルチパルスの周期を2T周期、3T周期及び4T周期の3種類として12Tの記録マークを記録した。図3(b)は、3種類のマルチパルス周期の記録マークについて、パルスデューティと信号変調度との関係を示すグラフである。ここで、パルスデューティは、マルチパルス周期におけるH(High)レベル期間とL(Low)レベル期間の比である。また、信号変調度は、形成された記録マークの振幅を示す値であり、正しい形状で記録マークが形成されているときには信号変調度の値は大きくなる。
【0022】
図3(b)に示すグラフより、マルチパルスの周期を2Tとした場合には、パルスデューティが0.4程度において信号変調度が最大となるが、パルスデューティが0.4からずれると信号変調度は比較的大きく低下することがわかる。これに対し、マルチパルスの周期を3T及び4Tとした場合には、2Tとした場合と比較して信号変調度が大きく、かつパルスデューティの変化に対して信号変調度は比較的フラットな特性を示している。よって、信号変調度に着目すると、マルチパルス周期は3T又は4Tのいずれかが好ましく、両者には大きな差は無いといえる。但し、一般的に、長いマークの記録において記録パルス数が少ない場合は、記録パルス数が多い場合と比較すると、形成される記録マークが歪み易いという傾向があることがわかっている。よって、この点を考慮すると、マルチパルス幅は3Tが最適であるということになる。
【0023】
以上の検討により、(1)少なくとも6Tマーク以上の記録マークはトップパルスと必要数のマルチパルスとクーリングパルスとの組み合わせにより形成すべきであること、及び、(2)マルチパルスの周期は3Tが最適であること、が見い出された。その結果、高速記録において好ましいレーザ駆動波形(ストラテジ)は、図4に模式的に示すように、3T〜5Tの記録マークについてはその記録マーク長に応じたパルス幅のトップパルス及びクーリングパルスを有し、6T以上の記録マークについては、トップパルスと、記録マーク長に応じた数の3T周期のマルチパルスと、クーリングパルスとを有するものであることがわかった。本発明では、そのようなストラテジを利用することにより、高速記録時においても正確に記録マークを形成することを可能としている。
【0024】
具体的には、本発明の1つの観点では、情報記録装置は、トップパルスと、記録データの記録マーク長に応じた必要数のマルチパルスとを含む光源駆動信号を生成する信号生成手段と、光源駆動信号に基づいて光源を駆動して記録光を光記録媒体上に照射し、当該光記録媒体上に記録マークを形成する記録手段と、を備え、信号生成手段は、記録マークの基準クロック周期Tの3倍の周期を有するマルチパルスを生成するマルチパルス生成手段と、記録マーク長が3nT(nは整数)であるときに同一形状の第1のトップパルスを出力し、記録マーク長が(3n+1)Tであるときに同一形状の第2のトップパルスを出力し、記録マーク長が(3n+2)Tであるときに同一形状の第3のトップパルスを生成するトップパルス生成手段と、を有する。この情報記録装置によれば、マルチパルスを記録マークの基準クロック周期Tの3倍としているので、高速記録時においても正しく記録を行うことができる。
【0025】
また、上記の情報記録装置では、第3のトップパルスが2つのパルスから構成される。これにより、記録対象となる光ディスクの記録特性に起因して1つのトップパルスでは記録マークを良好に形成できない場合でも、2つのパルスにより記録マークを良好に形成することが可能となる。なお、上記の情報記録装置は、後述の変形例1、変形例4及び変形例7に対応する。
【0026】
上記の情報記録装置の一態様においては、光源駆動信号は、前記記録マーク長が3T〜5Tであるときにはトップパルスのみを含むことができる。また、第2のトップパルスの幅は前記第1のトップパルスの幅よりも大きくすることができる。これらの態様は後述の基本実施例の記載に対応する。
【0027】
上記の情報記録装置の他の一態様では、マルチパルスの後端エッジ位置を前記基準クロック位置と一致させることにより、長い記録マークの後端位置を揃えやすくして記録再生ジッタの少ない記録が可能となる。この態様は後述の変形例2などに対応する。また、6T以上の記録マークに対応する光源駆動波形に含まれる最後の前記マルチパルスのクーリングパルス部の幅を同一とすることにより、さらに長い記録マークの後端位置を揃えやすくすることができる。この態様は後述の変形例3などに対応する。
【0028】
上記の情報記録装置では、好ましくは前記第3のトップパルスを構成する2つのパルスの後端エッジを、前記記録データの立ち上がりからそれぞれ3T及び5Tの位置と一致させてもよい。この態様は後述の変形例4に対応する。また、トップパルス及び前記マルチパルスの幅は0.5T以上としてもよい。この態様は後述の変形例5及び6に対応する。
【0029】
また、上記の情報記録装置では、記録データの立ち上がりから前記トップパルスの立ち上がりまでの時間を、前記記録マーク長にかかわらず一定としてもよい。これにより、記録マークの始端位置を揃えやすくなり、記録再生ジッタの少ない記録が可能となる。この態様は後述の変形例7に対応する。
【0030】
さらに、上記の情報記録装置では、第1乃至第3のトップパルスのパワーレベルをそれぞれ異ならせることにより、パルス幅に加えて記録パワーも調整することで、光ディスクの記録特性に適合した良好な記録が可能となる。この態様は後述の変形例8に対応する。
【0031】
次に、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[情報記録再生装置の構成]
図5に、本発明の一実施例にかかる情報記録再生装置の全体構成を概略的に示す。情報記録再生装置1は、光ディスクDに情報を記録し、また、光ディスクDから情報を再生するための装置である。光ディスクDとしては、例えば複数回にわたって消去及び記録が可能なCD−RW(Compact Disc-Rewritable)又はDVD−RWなどの光ディスクを使用することができる。
【0032】
情報記録再生装置1は、光ディスクDに対して記録ビーム及び再生ビームを照射する光ピックアップ2と、光ディスクDの回転を制御するスピンドルモータ3と、光ディスクDへの情報の記録を制御する記録制御部10と、光ディスクDに既に記録されている情報の再生を制御する再生制御部20と、スピンドルモータ3の回転を制御するスピンドルサーボ、並びに光ピックアップ2の光ディスクDに対する相対的位置制御であるフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを含む各種サーボ制御を行うためのサーボ制御部30と、を備える。
【0033】
記録制御部10は記録データを受け取り、後述の処理により光ピックアップ2内部のレーザダイオードを駆動するための駆動信号SDを生成して、これを光ピックアップ2へ供給する。
【0034】
再生制御部20は、光ピックアップ2から出力される読取RF信号Srfを受け取り、これに対して所定の復調処理、復号化処理などを施して再生データを生成して出力する。
【0035】
サーボ制御部30は、光ピックアップ2からの読取RF信号Srfを受け取り、これに基づいてトラッキングエラー信号及びフォーカス信号などのサーボ信号S1を光ピックアップ2へ供給するとともに、スピンドルサーボ信号S2をスピンドルモータ3へ供給する。これにより、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ、スピンドルサーボなどの各種サーボ処理が実行される。
【0036】
なお、本発明は主として記録制御部10における記録方法に関するものであり、再生制御及びサーボ制御については既知の種々の方法が適用できるので、それらについての詳細な説明は行わない。
【0037】
また、図5には本発明の1つの実施例として情報記録再生装置を例示しているが、本発明は記録専用の情報記録装置に適用することも可能である。
【0038】
図6に、光ピックアップ2及び記録制御部10の内部構成を示す。図6に示すように、光ピックアップ2は、光ディスクDに対して情報を記録するための記録ビーム及び光ディスクDから情報を再生するための再生ビームを生成するレーザダイオードLDを備える。
【0039】
なお、光ピックアップ2は、この他に再生ビームの光ディスクDによる反射ビームを受光して読取RF信号Srfを生成するための光検出器や、記録ビーム及び再生ビーム並びに反射ビームを適切な方向に案内する光学系などの既知の構成要素を備えるが、それらの図示及び詳細な説明は省略する。
【0040】
一方、記録制御部10は、レーザダイオード(LD)ドライバ12と、コントローラ15とを備える。LDドライバ12は、記録信号に応じた電流をレーザダイオードLDに供給して、光ディスクDへ情報の記録を行う。
【0041】
図7(a)にLDドライバ12の詳細構成を示す。図示のように、LDドライバ12は、バイアスパワーレベル用の電流源17b、消去パワーレベル用の電流源17e、記録パワーレベル用の電流源17r、スイッチ18b、18e及び18rを備える。
【0042】
バイアスパワーレベル用の電流源17bは、レーザダイオードLDにバイアスパワーPbでレーザ光を出射させるための駆動電流Ibを流す電流源であり、駆動電流Ibはスイッチ18bを介してレーザダイオードLDに供給される。よって、スイッチ18bをオンにするとレーザダイオードLDにバイアスパワーの駆動電流Ibが供給され、スイッチ18bをオフにすると駆動電流Ibの供給は停止される。
【0043】
消去パワーレベル用の電流源17eは、レーザダイオードLDに消去パワーPeでレーザ光を出射させるための駆動電流I1を流す電流源である。駆動電流I1はスイッチ18eを介してレーザダイオードLDに供給される。バイアスパワーの駆動電流Ibに駆動電流I1が加算され、消去パワーの駆動電流Ieがスイッチ18eを介してレーザダイオードLDに供給される。
【0044】
記録パワーレベル用の電流源17rは、レーザダイオードLDに記録パワーPrでレーザ光を出射させるための駆動電流I2を流す電流源である。駆動電流I2はスイッチ18rを介してレーザダイオードLDに供給される。バイアスパワーの駆動電流Ibに駆動電流I2が加算され、記録パワーの駆動電流Irがスイッチ18rを介してレーザダイオードLDに供給される。
【0045】
よって、スイッチ18b、18e及び18rのオン/オフを制御することにより、レーザ光源であるレーザダイオードLDをバイアスパワーPb、消去パワーPe及び記録パワーPrのいずれかで駆動することができる。
【0046】
図7(b)に、レーザダイオードLDに供給される駆動電流と、レーザダイオードLDから出射されるレーザ光の出力パワーとの関係を示す。図7(b)からわかるように、レーザダイオードLDに駆動電流Ibを供給すると、バイアスパワーPbでレーザ光が出射される。その状態でさらに駆動電流I1を加えると、消去パワーPeでレーザ光が出射される。また、駆動電流I1の代わりに駆動電流I2を加えると、記録パワーPrでレーザ光が出射される。
【0047】
[ストラテジの実施例]
次に、本発明による高速記録用ストラテジの実施例を説明する。
【0048】
(基本実施例)
図8に基本実施例によるストラテジを示す。記録データに対応してディスク上に記録されるべき記録マークは、3T〜11T及び14Tが存在し、図8には各記録マーク長に対するレーザ駆動波形が示されている。本発明の実施例では、3T〜11T及び14Tの記録マーク長を3つのグループに分ける。具体的には、図8に示されるように、記録マーク長=3nTのグループG1と、記録マーク長=(3n+1)TのグループG2と、記録マーク長=(3n+2)TのグループG3とに分類する。なお、nは1〜4の正の整数である。
【0049】
即ち、グループG1には記録マーク長3T、6T及び9Tが属し、それらのレーザ駆動波形が図8(a)に示されている。グループG2には記録マーク長4T、7T及び10Tが属し、それらのレーザ駆動波形が図8(b)に示されている。また、グループG3には記録マーク長5T、8T、11T及び14Tが属し、それらのレーザ駆動波形が図8(c)に示されている。なお、各図の最上段には、記録データの基準クロック(1T周期)が示されている。
【0050】
前述のように、記録マーク長3T〜5Tに対応するレーザ駆動波形はトップパルスTPとクーリングパルスCPの組み合わせで構成され、マルチパルスは含まない。また、記録マーク長3T〜5Tのレーザ駆動波形においては、トップパルス幅Ttopとクーリングパルス幅Tclはその記録マーク長に応じて決定される。つまり、トップパルス幅Ttop及びクーリングパルス幅Tclは、3Tが最も短く、次に4Tが短く、5Tが最も長い。
【0051】
記録マーク長6T〜8Tのレーザ駆動波形は、トップパルスとクーリングパルスと1つのマルチパルスとにより構成される。記録マーク長9T〜11Tのレーザ駆動波形はトップパルスとクーリングパルスと2つのマルチパルスとにより構成される。また、記録マーク長14Tのレーザ駆動波形は、トップパルスとクーリングパルスと3つのマルチパルスとにより構成される。
【0052】
そして、図から理解されるように、各グループに属する記録マーク長では、トップパルスの形状は同一であり、規則的な構成になっている。即ち、グループG1に属する記録マーク長3T、6T及び9Tのレーザ駆動波形は同一形状のトップパルスを有し、グループG2に属する記録マーク4T、7T及び10Tのレーザ駆動波形は同一形状のトップパルスを有する。また、グループG3に属する記録マーク長5T、8T、11T及び14Tのレーザ駆動波形は同一形状のトップパルスを有する。
【0053】
さらに、1つ以上のマルチパルスを含む6T以上の記録マーク長のレーザ駆動波形では、マルチパルスの形状は全て同一であり、3T周期となっている。これは、先に述べた、マルチパルス周期は3Tが最適であるとの結論を反映したものである。
【0054】
以上のように、本実施例では、前述の検討結果に基づいて、5T以下の記録マークについてはトップパルスとクーリングパルスの組み合わせでレーザ駆動波形を構成し、トップパルス幅及びクーリングパルス幅はその記録マーク長に応じて決定している。また、6T以上の記録マークについては、トップパルスと、その記録マーク長に応じた数の3T周期のマルチパルスと、クーリングパルスによりレーザ駆動波形を構成している。これにより、高速記録時においても、正しい形状のピットを形成することが可能となる。
【0055】
(変形例1)
次に、変形例1によるストラテジについて説明する。変形例1による各記録マーク長のレーザ駆動波形を図9に示す。変形例1では、グループG3に属する記録マークについて、トップパルスTPを2つのパルスにより構成している点が基本実施例と異なる。そして、変形例1では、グループG1及びG2に属する記録マーク長のレーザ駆動波形は図8に示した基本実施例の場合と同様である。
【0056】
グループG3に属する記録マーク(即ち、5T、8T、11T及び14T)について、トップパルスTPを図8に示す基本実施例のように1つとするか、変形例1のように2つにするかは、記録の対象となる光ディスクの記録特性に応じて決定される。即ち、基本実施例のようにトップパルスTPとクーリングパルスCPの1組では5Tマークが良好に形成できない場合や、トップパルスTPが一つだけだと8T、11及び14Tマークに歪みが生じてしまう場合に変形例1が有効である。
【0057】
(変形例2)
次に、変形例2によるストラテジについて説明する。変形例2による各記録マークのレーザ駆動波形を図10に示す。図示のように、変形例2では、6T以上の記録マークに対するマルチパルス列の後端エッジを1T周期の基準クロックと一致させている。これにより、長い記録マークの後端位置が相互に揃いやすくなるので、記録再生ジッタの少ない記録が可能となる。
【0058】
(変形例3)
次に、変形例3によるストラテジについて説明する。変形例3による各記録マークのレーザ駆動波形を図11に示す。変形例3では、図8に示す基本実施例に対して、まず、図10に示す変形例2と同様に6T以上の記録マークに対するマルチパルス列の後端エッジを1T周期の基準クロックと一致させた上、さらに6T以上の記録マークに対するレーザ駆動波形中の最後のマルチパルスのクーリングパルス部の幅を同一とする。即ち、図11に示すように、6T以上の記録マーク全てについて、最後のマルチパルスのクーリングパルス部の幅を“W”とする。
【0059】
この変形例3によれば、トップパルスとクーリングパルスの組み合わせにより記録を行う短い記録マークの位置を調整可能としたまま、長い記録マークの後端位置が変形例2に比べてさらに揃えやすくなり、記録再生ジッタの少ない良好な記録が可能となる。
【0060】
(変形例4)
次に、変形例4によるストラテジについて説明する。変形例4による各記録マークのレーザ駆動波形を図12に示す。変形例4では、まず図9に示す変形例1と同様にグループG3に属する記録マーク5T、8T、11T及び14Tについてトップパルスを2つのパルスにより構成する。また、そのグループG3に属する記録マークのレーザ駆動波形における2つのトップパルスの後端エッジをそれぞれ記録データの立ち上がりから3T及び5Tの位置に合わせる。さらに、変形例3と同様に6T以上の記録マークに対するマルチパルス列の後端エッジを1Tの基準クロックと一致させたうえ、5T以上の記録マークに対するレーザ駆動波形中の最後のマルチパルスのクーリングパルス部の幅(“W”)を同一にする。
【0061】
この変形例4によれば、トップパルスとクーリングパルスの組み合わせにより記録を行う3T及び4Tの記録マークの位置を調整可能としたまま、長い記録マークの後端位置が変形例2に比べてさらに揃えやすくなり、記録再生ジッタの少ない良好な記録が可能となる。
【0062】
変形例4におけるレーザ駆動波形中の各値の例を図13の図表に示す。図13では、DVD4倍速相当の記録速度における2つの例が示されている。なお、3nTdtop、(3n+1)Tdtopの符号は、トップパルス後端エッジが基準クロックに対して進んだ(左側にずれた)場合を正、遅れた(右側にずれた)場合を負としている。
【0063】
(変形例5)
次に、変形例5について説明する。変形例5は、図8に示す基本実施例においてトップパルスTP及びマルチパルスMPのパルス幅に制限を設けたものである。具体的には、
グループG1のトップパルス幅:0.5T ≦3nTtop ≦3T
グループG2のトップパルス幅:0.5T ≦(3n+1)Ttop ≦3T
グループG3のトップパルス幅:0.5T ≦(3n+2)Ttop ≦3T
各グループのマルチパルス幅:0.5T ≦Tmp ≦2.5T
とする。
【0064】
ここで、各トップパルス幅及びマルチパルス幅を0.5T以上としたのは、前述のように例えばDVDの4倍速記録では1Tが10ns程度となり、0.5Tは5ns程度となるが、パルス幅が5ns以下だと図1に示すようにパルスが細くなり、正しく記録マークを形成することができないからである。また、マルチパルス幅を2.5T以下としたのは、2.5T以上とするとマルチパルスのLレベルの期間が0.5T以下となってしまうからである。
【0065】
このように、レーザ駆動波形の各部のパルス幅に制限を設けることにより、正確なレーザ発光波形が得られる領域で記録が行われるようにすることができる。
【0066】
(変形例6)
次に、変形例6について説明する。変形例6は、図9に示す変形例1においてトップパルスTP及びマルチパルスMPのパルス幅に制限を設けたものである。
具体的には、
グループG1のトップパルス幅:0.5T ≦3nTtop ≦3T
グループG2のトップパルス幅:0.5T ≦(3n+1)Ttop ≦3T
グループG3の1つ目のトップパルス幅:0.5T ≦(3n+2)Ttop1 ≦2T
グループG3の2つ目のトップパルス幅:0.5T ≦(3n+2)Ttop2 ≦1.5T
各グループのマルチパルス幅:0.5T ≦Tmp ≦2.5T
とする。
【0067】
ここで、各トップパルス幅及びマルチパルス幅を0.5T以上とした理由は変形例5で述べた理由と同じである。また、図7をみるとわかるように、変形例1ではグループG3のトップパルスは2つのパルスにより構成されているので、各パルス毎にパルス幅の範囲を設定している。これにより、変形例6においても、レーザ駆動波形の各部のパルス幅に制限を設けることにより、正確なレーザ発光波形が得られる領域で記録が行われるようにすることができることになる。
【0068】
(変形例7)
次に、変形例7について説明する。変形例7は、上述の基本実施例及び変形例1〜6において、記録データの立ち上がりからトップパルスの立ち上がりまでの時間(Td)を、記録マーク長にかかわらず一定とするものである。一例として、図12に示す変形例4に対して本変形例を適用した場合のレーザ記録波形を図14に示す。図14に示すように、記録マーク長にかかわらず、全てのレーザ記録波形において、記録データの立ち上がりからトップパルスの立ち上がりまでの時間Tdが一定となっている。このように、変形例7では、全ての記録マークについてトップパルスの立ち上がり位置を揃えたので、各記録マークの始端位置を相互に揃えやすくなり、記録再生ジッタの少ない良好な記録が可能となる。
【0069】
(変形例8)
次に、変形例8について説明する。変形例8は、上述の基本実施例及び変形例1〜7に対して、3つのグループG1〜G3のそれぞれのトップパルス部分の記録パワーレベルを相互に異ならせたものである。図15は、図8に示す基本実施例に対して本変形例を適用した場合のレーザ駆動波形を示す。図15からわかるように、各グループG1〜G3のトップパルスの記録パワーレベルは、グループG1のトップパルスの記録パワーレベルを3nTPw、グループG2のトップパルスの記録パワーレベルを(3n+1)TPw、グループG3のトップパルスの記録パワーレベルを(3n+2)TPwで示すとすると、
3nTPw ≦(3n+1)TPw ≦(3n+2)TPw
となる。
【0070】
このように、変形例8では、パルス幅に加え、記録対象となる光ディスクの記録特性に適合するように記録パワーを調整することにより、光ディスクの記録特性に適合した良好な記録が可能となる。
【0071】
なお、図15に示す例では、グループG1、G2、G3の順に記録パワーレベルが大きくなる例を示しているが、本変形例の適用はこれには限定されず、各グループのレーザ駆動波形における各部のパルス幅に応じて、適宜記録パワーレベルを決定することが可能である。
【0072】
【産業上の利用可能性】
本発明に係る情報記録装置及び情報記録方法は、レーザ光線などを利用して光ディスクの情報を記録する際に利用することができる。
Claims (10)
- トップパルスと、記録データの記録マーク長に応じた必要数のマルチパルスとを含む光源駆動信号を生成する信号生成手段と、
前記光源駆動信号に基づいて光源を駆動して記録光を光記録媒体上に照射し、
当該光記録媒体上に記録マークを形成する記録手段と、を備え、
前記信号生成手段は、
前記記録マークの基準クロック周期Tの3倍の周期を有する前記マルチパルスを生成するマルチパルス生成手段と、
前記記録マーク長が3nT(nは整数)であるときに同一形状の第1のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+1)Tであるときに同一形状の第2のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+2)Tであるときに同一形状の第3のトップパルスを生成するトップパルス生成手段と、を有し、
前記第3のトップパルスは2つのパルスから構成されることを特徴とする情報記録装置。 - 前記光源駆動信号は、前記記録マーク長が3T〜5Tであるときにはトップパルスのみを含むことを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- 前記第2のトップパルスの幅は前記第1のトップパルスの幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- 前記マルチパルスの後端エッジ位置は前記基準クロック位置と一致していることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- 前記マルチパルスはクーリングパルス部を含み、6T以上の記録マークに対応する光源駆動波形に含まれる最後の前記マルチパルスのクーリングパルス部の幅は同一であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- 前記第3のトップパルスを構成する2つのパルスの後端エッジは、前記記録データの立ち上がりからそれぞれ3T及び5Tの位置と一致することを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- 前記トップパルス及び前記マルチパルスの幅は0.5T以上であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- 前記記録データの立ち上がりから前記トップパルスの立ち上がりまでの時間は、前記記録マーク長にかかわらず一定であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- 前記第1乃至第3のトップパルスのパワーレベルはそれぞれ異なることを特徴とする請求項1に記載の情報記録装置。
- トップパルスと、記録データの記録マーク長に応じた必要数のマルチパルスとを含む光源駆動信号を生成する信号生成工程と、
前記光源駆動信号に基づいて光源を駆動して記録光を光記録媒体上に照射し、当該光記録媒体上に記録マークを形成する記録工程と、を有し、
前記信号生成工程は、
前記記録マークの基準クロック周期Tの3倍の周期を有する前記マルチパルスを生成するマルチパルス生成工程と、
前記記録マーク長が3nT(nは整数)であるときに同一形状の第1のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+1)Tであるときに同一形状の第2のトップパルスを生成し、前記記録マーク長が(3n+2)Tであるときに同一形状の第3のトップパルスを生成するトップパルス生成工程と、を有し、
前記第3のトップパルスは2つのパルスから構成されることを特徴とする情報記録方法。
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