JP4236414B2 - 複合構造物作製用ノズル - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、微粒子を含むエアロゾルを基板に吹き付け、構造物を基板上に形成させることによって基板と構造物からなる複合構造物を作製するときに使用する複合物作製用ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上の膜の形成方法としては数μm以上の厚膜の場合、溶射法が一般に知られているが、その他ガスデポジション法(加集誠一郎:金属 1989年1月号)が提案されている。この方法は金属やセラミックスの超微粒子をガス攪拌にてエアロゾル化し、微少なノズルを通して加速せしめ、基材表面に超微粒子の圧粉体層を形成させ、これを加熱して焼成させることにより被膜を形成する。
【0003】
上記ガスデポジション法を改良した先行技術として微粒子ビーム堆積法あるいはエアロゾルデポジション法と呼ばれる脆性材料の膜あるいは構造物の形成方法がある。これは、脆性材料の微粒子を含むエアロゾルをノズルから高速で基板に向けて噴射し、基板に微粒子を衝突させて、その機械的衝撃力を利用して脆性材料の多結晶構造物を基板上にダイレクトに形成させる方法であり、特開平11−21677号公報、特開2000−212766号公報に開示されるものが知られている。
【0004】
特開平11−21677号公報に開示される技術は、前記した超微粒子を含むエアロゾルを運搬する際あるいはセラミックスなどを加熱蒸発させる際に、超微粒子同士が凝集して大きな粒子となるのを防止するために、中間の経路に分級装置を配置するようにしている。
【0005】
特開2000−212766号公報は、粒径が10nmから5μmの範囲にあるセラミックスなどの超微粒子をガスに分散させてエアロゾルとした後、ノズルより高速の超微粒子流として基板に向けて噴射して堆積物を形成させる。このときに超微粒子や基板に、イオン、原子、分子ビームや低温プラズマなどの高エネルギー原子などを照射して作製される構造物を強固なものにする工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来法においては、エアロゾルデポジション法によって構造物を作製する場合、矩形の開口の長辺方向が最大5mm程度の比較的小さな導出開口を備えたノズルを使用し、導出開口からエアロゾルを基材に噴射して構造物を作製していた。
従って、例えば、矩形の導出開口の長辺方向以上の被覆面積を持つ構造物を基材に作製させる場合、エアロゾルを基材に噴射している状態で、基材を固定しているステージを長辺方向に垂直な水平方向のみではなく、長辺方向に平行な水平方向にも作動させる必要があった。そのために以下のような問題を生じていた。
1)上記垂直方向から上記水平方向への切り替えがスムーズにいかないとその部分のみ厚膜になる。
2)一度塗布した部分に隣接する部分に構造物を形成する場合に重なり合って厚膜になりやすい。
3)大面積の構造物の形成に時間がかかる。
【0007】
上記1)〜3)の問題点を解消するために、単純に導出開口の矩形の長辺方向を長くして基材を固定しているステージを長辺方向に垂直な水平方向のみ移動させて複合構造物を形成する方法が考えられるが、この方法では導出開口の矩形の長辺方向の外縁部と中心部と比較した場合に、中心部の方がエアロゾルの濃度が高くなってしまい、エアロゾルの濃度が高い部分には厚く、またエアロゾルの濃度が低い部分には薄く構造物が成膜され、均一な膜厚である構造物を作製することが出来なかった。
【0008】
又は、特公平3−23218号で開示されている細いノズルを収束せしめた束状ノズルを用い、基材を固定しているステージを長辺方向に垂直な水平方向のみ移動させて複合構造物を形成する場合も短時間で大面積の複合構造物を形成することは可能であるが、ノズル間のクリアランス部分が存在するために、構造物表面に小さな凹凸が存在してしまい、均一な膜厚の構造物を得ることが出来なかった。
【0009】
本発明では、上記事情に鑑み、一定の比較的大きな面積の複合構造物を形成するに際し、均一な膜厚の構造物を短時間で作製するための複合構造物形成用ノズルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決しようとする手段】
ここで本発明のノズルを用いた複合構造物形成法であるエアロゾルデポジション法について説明する。
延展性を持たない脆性材料(セラミックス)に機械的衝撃力を付加すると、結晶子同士の界面などの劈開面に沿って結晶格子のずれを生じたり、あるいは破砕される。そして、これらの現象が起こると、ずれ面や破面には、もともと内部に存在し別の原子として結合していた原子が剥き出しの状態となった新生面が形成される。この新生面の原子一層の部分は、もともと安定した原子結合状態から外力により強制的に不安定な表面状態に晒され、表面エネルギーが高い状態となる。この活性面が隣接した脆性材料表面や同じく隣接した脆性材料の新生面或いは基板表面と接合して安定状態に移行する。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、この現象を継続的に発生させ、粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆性材料構造物が形成される。
【0011】
そして、上記機械的衝撃を搬送ガスにて脆性材料を基板に衝突させるようにした方法がエアロゾルデポジション法である。
この方法は、ガスデポジション法により発展してきた手法であり、脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを運搬し、高速で基板表面に噴射して衝突させ、微粒子を破砕・変形せしめ、基板との界面にアンカー層を形成して接合させるとともに、破砕した断片粒子同士を接合させることにより、基材との密着性が良好で強度の大きい脆性材料構造物を基板状にダイレクトに形成させることが出来る。
【0012】
本発明はエアロゾルデポジション法に都合が良いばかりではなく、ガスデポジション法などの微粒子を噴射させる方法などにも利用できる。
【0013】
ここで、図面を使用して複合構造物作製装置の一般的な装置構成を説明する。
図1は、複合構造物作製装置の装置図であり、窒素を内蔵するガスボンベ11は、ホース状の搬送管12を介してエアロゾル発生器13に連結され、さらに搬送管を通じて構造物形成室14内に円形の導入部と矩形の開口を持つ開口部を備えたノズル15が設置される。コンピュータにより上下(Z)、前後左右(XY)に制動できる基板ホルダ17に基材16がノズルに対向して配置される。構造物形成室14は排気ポンプ18に接続している。
【0014】
また、ノズル15と基材16の間にエアロゾル濃度を測定するためのセンサ装置21を配置し、センサ装置21から出力される信号は、フィードバック制御回路22へ送られ、そして処理され、エアロゾル発生器13やガスボンベ11それぞれの制御部へ配線23を通って送られ、エアロゾル濃度を制御するように、また、基材に衝突するエアロゾルの量を任意量供給するように制御を行う。
【0015】
ノズル15の導入部形状は、ホース状の搬送管12でエアロゾルが搬送されてくるため、導入部形状はホース径にあわせた形状が望ましい。また、ホース径は大きいとエアロゾルを運搬するためにガス量を多くしなければならないので、数mm程度が妥当である。また開口部形状は、基材に作製させる複合構造物の大きさに合わせて矩形の長辺方向と短辺方向の長さを決定する。
【0016】
本発明におけるノズルの一態様としては、微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材に衝突させ、前記基材表面に前記微粒子の構成材料からなる構造物を形成させる複合構造物形成装置に用いられるノズルにおいて、前記ノズルが、前記エアロゾルが通過するエアロゾル通過空間を有するノズル本体と、前記エアロゾルを導入するための導入開口と、前記エアロゾルを噴射させるための矩形の導出開口とを具備し、前記導入開口を複数有し、且つ前記導出開口は1つとする。
【0017】
本発明においては、前記導出開口の長辺方向長さを拡大すると、前記導入開口と前記導出開口の距離が短い場合、前記導出開口長辺方向の外縁部まで微粒子が広がらず、前記導出開口から噴射するエアロゾルの濃度に、例えば中央部のエアロゾル濃度が高く、外縁部のエアロゾル濃度が低くなる等のばらつきが生じるが、前記導入開口を複数ヶ備えることによって、例えば、前記導出開口が従来の導出開口を長辺方向に複数個並べた状態と同様の寸法の場合、前記導出開口の長辺方向のエアロゾル濃度は中央部から外縁部まで均一な濃度のエアロゾルを基材に照射することができ、均一な膜厚の構造物を短時間で作製することが可能である。
【0018】
又、複数の導入開口に対し、1ヶの導出開口のみを持ち合わせ、前記エアロゾル通過空間を構成する前記ノズルに形成された溝は、前記導入開口に通じる複数の上流側部分と、前記上流側部分が合流して前記導出開口に通じる下流側部分からなり、前記導出開口の矩形の短辺方向の上流側部分の寸法が下流側に向かって徐々に小さくなり、前記導出開口の矩形の長辺方向の上流側部分の寸法が下流側に向かって徐々に大きくなるとともに、前記上流側部分では前記エアロゾル通過空間の断面積が下流側に向かって徐々に狭くなるようにしているため、特公平3−23218号で開示されたノズルのように、構造物表面に前記導入開口に対応した小さな凹凸は存在しないので、均一な膜厚の構造物を短時間で作製することが可能である。
【0019】
又、前記導出開口の長辺寸法を同じにした場合、前記導入開口から前記導出開口までの距離を、前記導入開口を1ヶのみ備えるものに比べて短くすることが出来るため、前記ノズルの大きさを小さくすることが可能となり、複合構造物作製装置の構造物形成室の大きさを小さくすることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面により詳細に説明する。
図2は、本発明の一態様としての脆性材料構造物作製装置で使用するノズル31であり、図3はノズルを構成する一方の板状部材の斜視図である。
ノズル31は金属或いはセラミックからなる2枚の板状部材311、312を貼り合わせてなり、一方の板状部材312の表面には一端が1個の導出開口32で他端が3個の導入開口33となる溝313が形成され、他方の板状部材311には溝を形成していない。尚、両方の板状部材に溝を形成してもよい。
前記溝313は3本に分岐した上流側部分313aと1本に合流した下流側部分313bからなり、上流側部分313aについては、下流側に向かって(Z方向に沿って)、短辺方向(X方向)の寸法が徐々に小さくなり、長辺方向(Y方向)の寸法が徐々に大きくなるようにし、しかも、上流側部分313aではエアロゾル通過空間の断面積が下流側に向かって徐々に狭くなるようにしている。また下流側部分313bについては短辺方向及び長辺方向の寸法を変化させずに略等しくしている。
このノズルの具体的な寸法としては、10mm×0.5mmの矩形の1個の導出開口32を持ち、3.0mm×3.0mmの矩形の3個の導入開口33を持つ。
尚、図示例はは実施の一例を示したものであり、ノズルの形状は上記に限るものではない。
【0021】
次に本発明のノズル31を図1で示した複合構造物製造装置のノズル15として使用し、30mm×30mmの面積で膜厚が10μmで均一の脆性材料構造物を得ようとした場合を述べる。
【0022】
ノズル31は導入開口を3ヶ持っているため、各々の導入開口53にエアロゾル発生器13を装着する。これにより、エアロゾル発生器13に負荷をかけることなく、脆性材料構造物を作製する時間を1/3に短縮できる。
【0023】
又、ノズル31は、上流側部分313aを複数本に分岐しているため、エアロゾルが溝内で十分に広がり、開口部32中央部と外縁部とでエアロゾルの濃度差を少なくすることが可能である。よって、研磨工程などの作業なしで30mm×30mmの凹凸の少ないセラミック構造物を作製することが可能であり、セラミック構造物作製時間を短縮することが可能である。
【0024】
又、ノズル31は、図3で示したように30mm×0.5mmの矩形の導出開口32を1カ所、3.0mm×3.0mmの導入開口33を3カ所持っているため、例えば幅10mmのノズルを3つ隙間無く並べた場合だと、作製する脆性材料構造物に凹凸部が3カ所出来てしまい、凹凸を平坦にするような研磨加工などの作業が必要になるが、ノズル31の場合、ノズル内部でエアロゾルの流路が3カ所から1カ所に合流しているため、作製される脆性材料構造物の凹凸が減少して研磨加工などの作業が不必要となるので脆性材料構造物作製時間を短縮することが可能である。
【0025】
又、上流側部分313aを複数本に分岐しているため、長辺方向の長さを急激に広げなくとも導出開口32の長辺方向の長さを広げることができ、ノズル31の導入開口33から導出開口32までの距離を従来のノズルに比べて短くすることが可能であり、小型化することが可能である。
【0026】
又、ノズル31は導入開口33に各々エアロゾル発生器13を備えているため、各々のエアロゾル発生器13から供給するエアロゾルの濃度をそれぞれ調節することによって、導出開口32から噴射するエアロゾル濃度に変化を与えることができ、作製される脆性材料構造物の形状を任意に制御することが可能である。
【0027】
図4は本発明のノズルの使用の一態様を示す斜視図であり、本発明のノズルを使用する場合には、マスクは必ずしも必要としないが、この例にあっては基板40の表面にマスク41を被せ、マスク41の開口42に倣った形状の脆性材料構造物を形成し、その後マスク41を剥離するようにしている。この手法は例えば表面に金属薄膜を形成した基板に、所定のパターンで誘電体層を形成して静電チャックとする場合や、同一形状の脆性材料構造物を多数個取りする場合などに応用可能である。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、一定の比較的大きな面積の複合構造物を形成するに際し、均一な膜厚の構造物を短時間で作製するための複合構造物形成用ノズルとして、充分な幅でしかも均一な濃度でエアロゾルを噴出するノズルを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来使用されている複合構造物作製装置の一般的な構成を示した図。
【図2】本発明のノズルの全体構成を示した図。
【図3】ノズルを構成する一方の板状部材の斜視図。
【図4】本発明のノズルの使用の一態様を示す斜視図
【符号の説明】
11…ガスボンベ、12…搬送管、13…エアロゾル発生器、14…構造物形成室、15…ノズル、16…基材、17…基材ホルダ、18…排気ポンプ、21…センサ装置、22…フィードバック制御回路、23…配線、31…ノズル、32…10mm×0.5mmの矩形の導出開口、33…3.0mm×3.0mmの矩形の導入開口、311、312…板状部材、313…溝、313a…溝の上流側部分、313b…溝の下流側部分。
Claims (1)
- 微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材に衝突させ、前記基材表面に前記微粒子の構成材料からなる構造物を形成させるエアロゾルデポジション法による複合構造物形成装置に用いられるノズルにおいて、前記ノズルが、前記エアロゾルが通過するエアロゾル通過空間を有するノズル本体と、前記エアロゾルを導入するための導入開口と、前記エアロゾルを噴射させるための矩形の導出開口とを具備し、前記導入開口を複数有し、且つ前記導出開口は1つであり、前記エアロゾル通過空間を構成する前記ノズルに形成された溝は、前記導入開口に通じる複数の上流側部分と、前記上流側部分が合流して前記導出開口に通じる下流側部分からなり、前記導出開口の矩形の短辺方向の上流側部分の寸法が下流側に向かって徐々に小さくなり、前記導出開口の矩形の長辺方向の上流側部分の寸法が下流側に向かって徐々に大きくなるとともに、前記上流側部分では前記エアロゾル通過空間の断面積が下流側に向かって徐々に狭くなることを特徴とする複合構造物形成用ノズル。
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