JP4239566B2 - ウォータージェット用ホースの破損防止方法、および同装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォータージェット工法を併用しつつ、継杭方式で杭打工事を行なう場合、ウォータージェット用の圧力水を給水する高圧ホースの破損を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、杭打作業の1例を説明するために示したもので、(A)は鋼矢板を地中に打ち込んでいる状態を描いた模式的な正面図、(B)は多数の鋼矢板を並べて打ち込んだ状態を描いた正面図、(C)は多数の鋼矢板が相互に結合された状態を描いた2面図である。
(図4(A)参照)、鋼製杭には鋼矢板や鋼管杭などが有る。本例は鋼矢板1を杭打機2によって地中に打ち込みつつあるところが描かれており、上記の鋼矢板1の両端の縁には杭継手1aが設けられている。
多数の鋼矢板1を並べて打ち込むと本図(B)のようになり、隣接する鋼矢板1が相互に杭継手1aで連結される。上記杭継手1aの形状および組み合わせ状態は本図(C)のごとくである。
【0003】
前記の杭継手1aが互いに組み合わされるので、2本の鋼矢板1が相互に平行となり、多数の鋼矢板を平面状に配列し、もしくは円柱面状に並べることができる。その反面、この杭継手1aをスライドさせながら杭を打つ場合、該杭継手1a相互の摩擦が杭打込みの抵抗として働く。
作業条件によって異なるが、特に、一度打ち込んだ鋼矢板を抜き取って回収し、再度使用する場合、該鋼矢板に若干の歪みを生じていることが珍しくない。このような場合、杭継手1aのスライド抵抗は無視できない。
本図4は、鋼製杭の1例としての鋼矢板を示したが、鋼管杭の場合にも杭継手が設けられていて、同様の作用が有る。
上述のように杭の打込み抵抗が大きいときは、打ち下げを中断して該杭を少し引き上げた後、再度打ち下げを行ない、この操作を繰り返す工法が公知であり、広く行なわれている。
【0004】
図5は、本発明が適用の対象とするウォータージェット工法、および継杭工法を説明するために示したもので、(A)はウォータージェット工法の要部を描いた概念図、(B)は継杭工法を説明するための模式図であり、(C)はウォータージェット工法と継杭工法とを併用して長尺の杭を打設している状態を描いた模式的な正面図である。
(図5(A)参照)比較的硬質の地盤中に杭を打ち込む場合、ウォータージェット工法が用いられる。
杭3の下端にノズルホルダ4が固着され、このノズルホルダ4に対してジェットノズル5が嵌め込まれる。この嵌め込みについては各種の技術が公知であり、ノズルホルダ4から引き抜いて回収できるようになっている。
上記ジェットノズル5に接続された高圧ホース6から高圧の水が噴射され、噴射水流は杭3の下方の土砂を撹拌する。撹拌された土砂の中には、杭3が貫入し易い。このため、ウォータージェット工法は硬質地盤内への杭の打ち込みを促進し得るという効果がある。
前記高圧ホース6は、杭3と平行に配置されて該杭3の上端部にホース保持具7で取り付けられ、その端は図外の水ポンプに接続されている。
上記高圧ホースは高価な部材であるから、杭3を所定の位置まで打ち込んだ後に、地上から引き抜いて回収される。この際、前記のジェットノズル5は、引抜力によってノズルホルダ4から抜け出せる構造(公知技術)になっている。
【0005】
前掲の図4(A)から容易に理解されるように、杭を打ち込む地点の上方に、背の高い空間を必要とし、この作業用の空間の高さは少なくとも杭の長さ寸法よりも大きくなければならない。
例えば橋梁下の工事などで、杭打設地点の上方の作業空間が制限されている場合は、図5(B)に示した継杭工法(公知技術)が適用される。
打設されるべき杭は、下側の杭8と上側の杭9とに分割されている。先ず、下側となる杭8を先行させて地中に打ち込み、その上端が地表に近づいたとき、該下側の先行の杭8の打ち込みを一旦停止する。そして、上側となる後続の杭9を搬入して矢印bのように既設の先行杭8の上に立て(鎖線で描いて符号9Bを付したように)2本の杭8,9を上下に1直線状に並べ、該2本の杭を溶接して一体的に連結する。
本図5(B)は2本構成の継杭の例であるが、作業条件によって3本以上の杭を継続として用いられる場合も有る。
【0006】
地盤が比較的硬く、しかも杭打設地点の上方に障害物が有って作業空間の高さが制約されている場合、長尺の杭を打設するには、図5(C)に示されたようにして、ウォータージェット工法と継杭工法とが併用される。
先ず下側の杭8を先行させて打ち込み、その上に後続の杭9を継ぎ足して一体的に連結するということは、先に(B)図を参照して説明したところと同様である。
下側の杭8の下端部にノズルホルダ4を固着しておき、高圧ホース6の先端に接続されているジェットノズル5を該ノズルホルダ4に嵌め合わせるということは、先に(A)図を参照して説明したところと同様ないし類似である。
ただし、下側となる先行の杭8を打ち込みつつある状態において、上側となる後続の杭9の上端に対して高圧ホース6を取り付けることはできない。
(注)継杭工法を併用しない単純なウォータージェット工法においては(A)図に示したようにホース保持具7によって高圧ホース6を杭の上端部に取り付けておくことができた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
杭を打ち込む場合、打ち下げ操作を一旦停止して、若干寸法の引き上げ操作を行なった後、再度打ち下げ操作を行なうことが有る旨、図4を参照して先に述べた。このように前,後進を繰り返すか否かは作業条件によって決まってくるが、
要するに、杭の沈下に対する抵抗力が、杭打機の打込力に比して大きい場合、先に述べた前,後進の手法を用いざるを得ない。
一方、現在実用されている杭打機のほとんどは、圧入式または振動式である。
圧入式杭打機は振動式杭打機に比して打込力が小さいので、多くの場合に、前記の「押下げ・引上げ繰返し方式」が用いられる。
振動式杭打機は圧入式杭打機に比して打込力が大きいので、途中で一旦停止することなく、1本の杭を一気に打ち込む場合の方が多い。しかし、打込みに対する抵抗が大きいときは「押下げ・引上げ繰返し方式」が用いられる。
【0008】
杭打設地点の上方に、打設すべき杭の長さ寸法よりも低く位置して障害物が有る場合は、先に述べた継杭工法を用いざるを得ない。
こうした事情を総合的に勘案すると、ウォータージェット工法と継杭工法とを併用し、かつ「押下げ・引上げ繰返し方式」で杭を打つ工事は少なくない。
このような場合、次に述べるように高圧ホース(図5において符号6)の早期損傷という問題を生じる。
【0009】
図6は、ウォータージェット工法と継杭工法とを併用した場合に高圧ホースの早期損傷を生じるメカニズムを説明するために示したもので、(A)は先行の杭を打ち込んでいる状態の模式図、(B)は上記先行の杭を引き上げたところを描いた模式図である。
図5(C)を参照して先に述べたように、継杭工法における先行の杭を打ち込むとき、高圧ホース6を杭の上端に対して取り付けることができない。
図6(A)のように、先行の杭8を打ち込みつつ、ジェットノズル5から水を噴射している状態においては、格別の問題を生じない。
【0010】
先行の杭8の地中への貫入が抵抗によって阻止され、該先行の杭8を若干引き上げる場合(図6(B)参照)、高圧ホース6は、その先端がジェットノズル5を介して杭の下端部に取り付けられている以外に、該高圧ホース6の中間部は杭に対して取り付けられていない。
こうした状態で先行の杭8が引き上げられると、高圧ホース6は次のような力を受ける。
矢印aで示した部分は、周囲を土で取り巻かれて土圧を受け、地盤に対して拘束されている。
下側の先行の杭8が動力で上方に引き抜かれると、これに固着されたノズルホルダ4、および該ノズルホルダ4に嵌め合わされたジェットノズル5は強制的に上昇せしめられる。
(注)ジェットノズル5は、ノズルホルダ4に対して上方から差し込まれている。このため、該ジェットノズル5はノズルホルダ4に対して相対的に下方に引き抜くことはできない構造である(先行技術の総べてが、こうなっている)。
【0011】
矢印aで示した部分を拘束されている高圧給水ホース6の下端が、ジェットノズル5を介して強制的に垂直姿勢に保持されつつ、強制的に上昇せしめられると、矢印cで示した箇所に強大な折り曲げ力が掛かる。
高圧ホース6は、耐圧力を高めるためのラミネート構造をなしており、許容曲率半径が大きいので、矢印cの箇所は無理に折り曲げられて損傷を被る。
さらに、次の工程で先行の杭8が打ち込まれると、先刻損傷した矢印cの箇所に引張力が掛かる。
杭の押下げ・引上げ反復に伴って、高圧ホース6の矢印cで示した箇所は、無理な折り曲げと強い引張りとを交互に受けて、早期に損傷する。
【0012】
本発明は上述の事情に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、
ウォータージェット工法と継杭工法とを併用し、かつ、杭の打下げと引抜きとを交互に繰り返しても、ウォータージェット工法用の高圧ホースに損傷を生じさせないようにするにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために創作した本発明の基本的な原理について、その実施形態に対応する図1を参照して略述すると次のとおりである。すなわち、
ウォータージェット工法と継杭工法とを併用する場合、ウォータージェット用の圧力水をジェットノズル5に供給するホース12の損傷を防止するため、
下側の杭である先行の杭8の上端部に杭側係合具15を固着するとともに、前記ホース8の上端に接続される管継手14にホース側係合具16を取付け、上記の双方の係合具15,16を相互に係合させることにより前記ホース12にテンションを与えて弛ませない。
【0014】
上述の原理に基づいて請求項1に係る発明方法の構成は、(図1参照)複数本の杭を順次に打ち込み、先行の杭の上端に後続の杭の下端を接続する継杭打工法に、ウォータージェット工法を併用する場合、
下側の杭となる先行の杭(8)の上端付近に、杭側の係合具(15)を予め固着しておき、
該下側の杭(8)とほぼ等長の下部ホース(12)の1端に管継手(14)を予め装着するとともに、該管継手(14)に対してホース側の係合具(16)を取り付けておき、
前記のホース側係合具(16)を杭側係合具(15)に引っ掛けて、前記の下部ホース(12)を下側の杭(8)に対してほぼ平行に取り付けるとともに、
該下部ホース(12)にテンションを与え、少くとも弛みを取り除いて直線状に張り渡し、
この状態で、前記管継手(14)を介して下部ホース(12)に高圧水を送給することにより、ジェットノズル(5)から水を噴射させてウォータージェット工法を併用しつつ、
前記下側の杭(8)を、その上端が地表に接近するまで打ち込んでから、
該下側の杭(8)の上に、後続の杭である上側の杭(9)を一体的に接続するとともに、前記管継手(14)に上部ホース(13)を接続して杭打工事を続行し、
前記下側の杭および上側の杭が所定の位置まで打ち込まれた後、前記上部ホース(13)を介して管継手(14)に上向きの引抜き力を与え、
上記の引抜き力によって、ホース側係合具(16)を杭側係合具(15)から離脱させ、前記上部ホース(13)、管継手(14)、および下部ホース(12)を地上に引き抜くことを特徴とする。
【0015】
以上に説明した請求項1の発明方法によると、継杭の下側の杭である先行の杭に対応する下部ホースにテンションが与えられ、少なくとも弛みが取り除かれているとともに、該下部ホースの上端が管継手・ホース側係合具・杭側係合具を介して下側の杭の上端部に取り付けられているので、
該下側の杭の打ち下げを中断して若干寸法の引き上げを行なっても、前記下部ホースはその上端を下側の杭に引っ張られて上方に引き抜かれる。
該下部ホースの下端も当然に下側の杭と一緒に上昇するが、この下部ホースは上端と下端とが完全に同時に同速度で同寸法だけ上昇せしめられるので、該下部ホースに弛みを生じることも無く、まして無理に曲げられることも無いので、早期に損傷する虞れが無い。
その上、前記下部ホースの上端を下側(先行)の杭に取り付ける手段が「係合具を係合具に引っ掛ける」ことであるから、
(イ)取り付ける際は工具を必要とせず、迅速,容易に作業することができ、
(ロ)回収する際は管継手に上向きの力を与えることによって簡単,確実に離脱させることができる。
本請求項1の方法に用いる「下側の杭と等長な下部ホース」は、本発明に特有の部材であるが、その上端に管継手を取付けてあるので、先行する下側の杭のほぼ全長を地中へ打ち込んだ後、該下部ホースに対して上部ホースを迅速,容易に接続して、後続する上側の杭の打込み工程に進むことができる。
以上のような作用により、本請求項1を適用すると、管継手および下部ホースを介してジェットノズルに高圧水を送給して噴射させ、ウォータージェット工法を併用するとともに、先行する下側の杭の上に後続する上側の杭を接続して継杭工法を施工し、しかも、地盤の貫入抵抗が大きくて「杭の打下げと若干の引上げとを交互に繰り返す操作」を行なっても下部ホースに無理な曲げ力を及ぼして早期に損傷する虞れが無い。
下部ホース、管継手、およびホース側係合具は回収して再使用てきるので、1本の杭あたりランニングコストは低廉である。
【0016】
請求項2に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、(図3参照)前記下側の杭(8)に対して上側の杭を一体的に接続する手段として、溶接を用いるとともに、当て板状の補強板(11)を溶接し、
かつ、上記補強板(11)の下方に位置せしめて、案内具(18)を下側の杭(8)に溶接しておくことにより、
前記管継手(14)が地上に引き抜かれる際、該管継手に固着されているホース側係合具(17)を、前記の案内具(18)によって、下側の杭(8)から遠ざけるように案内し、
上記ホース側係合具(17)が前記補強板(11)と干渉して、その上昇を妨げられないようにすることを特徴とする。
【0017】
以上に説明した請求項2の発明によると、継杭工法を施工するために用いられる溶接機を利用して案内具を杭に溶接するので、杭打設工事用機材の稼働効率が高い。すなわち、本発明を実施するために新たな機材を追加設置することを必要としないので、機材コストを著しく上昇せしめる虞れが無い。
上記の案内具を杭に溶接しておくことにより、「ホース側係合具を取り付けられた管継手」を地上へ引き上げて回収する際、これらの部材が継杭の補強板に干渉して回収を妨げられる虞れが無い。
従って、本請求項2を請求項1の発明と併用することにより、本発明の実施に障害を与える心配せずに継杭の補強板を設けることができ、充分な継杭強度を維持することができる。
【0018】
請求項3に係る発明方法の構成は、前記請求項2の発明方法の構成要件に加えて、(図3(A)参照)前記ホース側係合具(17)が下側の杭(8)に対して取り付けられた状態において、該ホース側係合具(17)の上端の部分が該下側の杭(8)から離れるように、該上端部付近に「そり状の斜面(17a)」を形成することを特徴する。
【0019】
以上に説明した請求項3の発明を前記請求項2の発明方法に併せて適用すると、ホース側係合具に「そり状の斜面」が設けられるので、該ホース側係合具が杭側係合具から外れて上昇する際、前記の案内具(請求項2の必須要件)によって円滑に案内される。
上記の作用,効果の価値は、上述の動作が「目に見えない地盤の中」で行なわれることを勘案して初めて正しく評価することができる。すなわち、ホース側係合具が上昇する際に通り抜けねばならない「地盤」は、一般に均質ではなくて複雑な混合組成から成る。従って、きわめて複雑な物性を示し、ホース側係合具に及ぼす力学的影響は予測が困難である。すなわち、ホース側係合具が案内具や補強板の近くを通過して上昇するとき、どのような土塊や岩片にぶっつかって、案内具に向けて押しつけられるか、予測も観測もできず、いわゆる目を瞑って操作しなければならない。
こうした理由により、単に案内具を設ける(請求項2)だけでなく、ホース側係合具の上端部(上昇動作時における進行方向先端部)に「そり状の斜面」を形成して、円滑に案内具を乗り越えるための安全性を完全ならしめておくことの実用的価値は多大である。
【0020】
請求項4に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、(図2(A)参照)前記杭側係合具(15)を複数個構成し、これらをホース側係合具(16)と係合させた状態において、
該複数個の杭側係合具(15)の内の少なくとも2個を、
前記管継手(14)の中心線に関して対称となるように位置せしめて、下側の杭(8)に溶接することを特徴とする。
【0021】
以上に説明した請求項4の発明方法によると、「杭側係合具と係合した状態で下向き方向の引張力を受けるホース側係合具」が、管継手の中心線に関して左右対称に支持されるので、安定して支持され、偏った力を受けないので確実に動作して請求項1の作用を発揮させる。
また、上記のように左右対称に支持されて係合しているので、前記管継手に上向き方向の力を受けた際、左右の係合部が均等に離脱して、円滑かつ確実な管継手の引き抜き回収を可能ならしめる。
【0022】
請求項5に係る発明方法の構成は、前記請求項4の発明方法の構成要件に加えて、(図2(A)参照)前記ホース側係合具(16)を杭側係合具(15)に係合した状態において、
該ホース側係合具(16)の上側の縁を、上方に向かって凸なる形状に構成し、管継手(14)に近い方が高く、遠い方が低い斜面(16a)を形成して、
該ホース側係合具(16)を地上に引き抜く際の土砂による抵抗を軽減することを特徴とする。
【0023】
以上に説明した請求項5の発明方法を前記請求項4の発明方法に適用すると、ホース側係合具の上側の縁が凸形状をなしているので、該ホース側係合具を地上へ引き上げる際、土砂によって受ける抵抗が軽減される。引抜き抵抗が軽減されることによって引抜き所要力が軽減されるため作業が容易になるのみでなく、高圧ホースに掛かる引張力が少なくて済むので、該高圧ホースの耐久性が向上する。高圧ホースは高価な消耗性の部材であるから、その耐久性向上の経済的価値は少なくない。
【0024】
請求項6に係る発明方法の構成は、前記請求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記複数本の杭が3本以上である場合、
前記下側の杭(8)および上側の杭(9)が地中に打ち込まれて、該上側の杭(9)の上端が地表に近づいたとき、
上記上側の杭(9)に後続する「更に上側の杭」を、該上側の杭の上端に継ぎ足すとともに、
前記上部ホースの上端に、「更に上部のホース」を接続し、
前記「更に上側の杭」の上端部に杭側係合具を固着するとともに、前記「更に上部のホース」の上端に「ホース側係合具を取り付けた管継手」を固着し、これら双方の係合具を相互に係合させて、ウォータージェット工法を併用した杭打工事を続行して最上段の杭に至り、該最上段の杭を所定の位置まで打ち込んだ後、一連に接続されている「下部ホース〜最上部ホース」および複数個の「ホース側係合具を取付けられた管継手」を地上に引き抜いて回収することを特徴とする。
【0025】
以上に説明した請求項6の発明方法によると、3本もしくはそれ以上の杭を順次に継ぎ杭して一体の長尺の杭を形成する場合にも、請求項1に係る操作手順を繰り返すことにより、ウォータージェット用ホースを損傷させること無く、継杭工法とウォータージェット工法とを併用することができる。
これにより、作業空間の高さ寸法を制約されている打設地点に、上記の制約された高さ寸法の2倍を超える長さ寸法の杭を、ウォータージェット工法併用で打設することができる。
【0026】
請求項7に係る発明装置の構成は、(図1参照)継杭として相互に接続可能な複数本の鋼製杭(8,9)と、
上記複数本の鋼製杭のそれぞれに対応して、対応する鋼製杭の長さとほぼ等しい長さを有し、両端に継手部(12a,13a)を設けられたホース(12,13)と、
上記継手部(12a,13a)に接続し得る管継手(14)、および該管継手に固着されたホース側係合具(16)と、
上記ホース側係合具(16)に対して係脱自在に係合する杭側係合具(15)と、の組合せから成ることを特徴とする。
【0027】
以上に説明した請求項7の発明装置によると、継杭として用いられる鋼製杭とほぼ等長のホースを具備していて
上記のホースに対して着脱可能な管継手にホース側係合具が取り付けられており、
かつ、上記ホース側係合具に対して係脱自在な杭側係合具が組み合わされているので、
上記の杭側係合具を杭に対して固着して、これにホース側係合具を引っ掛けて前記のホースにテンションを与えることができ、該ホースが弛むことなく杭に装着される。このホースで圧力水を送給してウォータージェット工法を併用した継杭打設が可能である。
しかも、前記のようにホースがテンションを与えられていると、杭を打ち下げる操作を一時的に中断して該杭を若干引き上げても、上記のホースに弛みを生じることが無く、無理に曲げられる虞れが無い。このため、ウォータージェット用の圧力水を送給するホースが早期に損傷することなく、耐久性が向上される。このホースは高価な消耗性の部材であるから、その耐久性向上による経済的メリットは多大である。
【0028】
請求項8に係る発明装置の構成は、前記請求項7の発明装置の構成要件に加えて、(図2参照)前記のホース側係合具(16)は平板状の部材であって、
管継手の中心線に関してほぼ対称な形状をなしていることを特徴とする。
【0029】
以上に説明した請求項8の発明装置によると、ホース側係合具が平板状をなしているので、このホース側係合具がホースを介して杭と一緒に下方に引き込まれる場合も、ホースを介して杭と一緒に若干寸法引き上げられる場合も、ホースと一緒に地上へ引き抜いて回収される場合も、土砂の中を通過するために被る抵抗力が比較的小さい。
前記ホース側係合具が土砂の中を通過するときに受ける抵抗力が小さいということは、杭の打ち下げや引き上げを妨げる力が小さくて済むのもさることながら、ホースに加わる引張力が小さくて、該ホースに過大な引張応力を与えないことの実用的意義が大きい。
その上、前記ホース側係合具が管継手に対して線対称の形状であるから、該ホース側係合具が土砂から受ける力が左右バランスを保ち易い。このため、ホースに対して無理な力を及ぼさない。
【0030】
請求項9に係る発明装置の構成は、前記請求項8の発明装置の構成要件に加えて、(図2参照)前記の杭側係合具(15)は、前記の鋼製杭に溶接し得る鋼製の部材であり、
かつ、前記ホース側係合具(16)を、「杭に溶接された杭側係合具(15)に係合させた状態において、
ホース側係合具(16)の上側の縁が上方に向けて凸なる形状をなしていて、中央が高く、両端が低い形状の1対の傾斜(16a)が形成されていることを特徴とする。
【0031】
以上に説明した請求項9の発明装置を前記請求項8の発明装置に適用すると、杭側の係合具が鋼製の杭に対して溶接可能な部材であるから、継杭工法に用いる溶接機によって杭側係合具を杭に溶接することができ、杭側係合具の固着作業に専用の機械設備を必要としない。
その上、ホース側係合具の上側の縁が凸形をなすように斜面が形成されているので、このホース側係合具を引き上げる場合、土砂の中を通って上昇する運動に対する抵抗がいっそう小さくなる。
【0032】
請求項10に係る発明装置の構成は、前記請求項9の発明装置の構成要件に加えて、(図3参照)前記のホース側係合具(16)を杭側係合具(15)に係合させた状態において、
該ホース側係合具の上端付近に、杭(8)から離れる形の「そり状の斜面(17a)」が形成されていることを特徴とする。
【0033】
以上に説明した請求項10の発明装置を請求項9の発明装置に適用すると、
ホース側係合具の上端付近が、杭から離れる形の「そり状」に形成されて、斜面になっているので、
このホース側係合部材はホースによって上方へ引き抜かれて継杭の継目付近を通過する際、継目の補強板に引っ掛かる虞れ無く、円滑に該補強板を乗り越えることができる。
万一引っ掛かったときはホースに過大な引張力が加わって該ホースを損傷させる虞れが有るので、ホース側係合具が円滑かつ確実に補強板を乗り越えることの実用的価値は多大である。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るウォータージェット用ホース破損防止装置の1実施形態を示し、中央部を破断して描いた下側の杭と、上側の杭との継目付近に設けられている破損防止装置の正面図である。
符号8を付して示した下側の先行の杭、および符号9を付して示した上側の後続の杭とは継杭を構成する部材であって、図5(A),(B)に示した従来技術における下側・先行の杭8および上側・後続の杭9に対応する、同様ないし類似の部材である。
上記双方の杭は相互に溶接されていて、10は溶接継目である。
上記の溶接継目を覆って、補強板11が溶接されている。
【0035】
前記下側の先行の杭8の下端部付近にノズルホルダ4が溶接されており、このノズルホルダ4の中にノズル5が嵌め込まれている。これらのノズル周りの構造は、図5(A)を参照して説明した従来例のウォータージェット装置におけると同様ないし類似のものである。
下部ホース12は本発明を適用して構成した部材であって、前記下側の先行の杭8とほぼ同じ長さ(厳密には若干短く構成されている)である。
上記下部ホース12の両端には継手部12aが接続されている。この継手部は、広く用いられている袋ナット形の部材である。
両端の継手部12aの片方は前記のジェットノズル5に接続(螺着)されており、他方は管継手14に接続(螺着)されている。
【0036】
符号13を付して示したのは上部ホースであって、上側・後続の杭9に対応している。本図においては該上部ホース13の下端付近が現れており、継手部13aが接続されている。
前記上部ホース13の継手部13aと、下部ホース12の継手部12aとは管継手14を介して相互に連結されている。
本発明において管継手とは、2本のホースを連結する機能を備えた管状の部材をいう。ただし、相当の力を伝達しなければならないので鋼管であることが望ましい。
【0037】
前記下部ホース12と上部ホース13とは、継杭として連結された2本の杭8,9の中心線に沿って真直に張り渡される。従って前記の管継手14はほぼ垂直な姿勢に保たれる。
上記のように垂直姿勢となっている管継手14に対して、左右対称な垂直板状のホース側係合具16が取り付けられている。
一方、1対の杭側係合具15が、下側の杭8の中心線に関して対称に配置されて該下側の杭8に溶接され、前記ホース側係合具16を下から支える形に、係脱自在に係合している。
本例においては、ジェットノズル5に下部ホース12の1端を装着し、該ジェットノズル4をノズルホルダ4に嵌め込んで抜け止め(図示省略)を施し、
上記下部ホース12の他端に「ホース側係合具16を取り付けられた管継手14」を装着し、
上記ホース側係合具16を上方に引っ張って下部ホース12をピンと張り、
さらに該下部ホース12を僅かに引き伸ばした状態で、ホース側係合具16を杭側係合具15に引っ掛けて留め付ける。ただし、本実施形態の変形例として、下部ホース12をピンと張った状態で杭側係合具15を杭8に溶接することもでき、このように工程順序を変えても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0038】
上述のようにして、下部ホース12はテンションを与えられ、弛み無く下側の杭8に装着され、その下端はジェットノズル5およびノズルホルダ4を介して杭に取り付けられ、上端はホース側係合具16および杭側係合具15を介して杭に取り付けられている。
このため、下側の杭8が地中に打ち込まれるとき、下部ホース12はノズルホルダ4およびジェットノズル5を介して下向きに引っ張られ、地中に引き込まれてゆく。
また、下側の杭が打ち下げを中断して一時的に引き上げられるとき、下部ホース12はホース側係合具8および杭側係合具15を介して上向きに引っ張られ、上方に引き抜かれる。
【0039】
上述のように、下部ホース12が下側の杭8の下降に伴って下降する場合は、該下部ホース12の下端を下方に引っ張られ、
下部ホース12が下側の杭8の上昇に伴って上昇する場合は、該下部ホース12の上端を上方に引っ張られる。
従って、上昇,下降、いずれの場合にも下部ホース12にはテンションが掛かる。すなわち、上下に押し縮めるような力を受けて撓屈(挫屈)する形に変形せしめられる虞れは全く無い。
ウォータージェット用のホースが早期に損傷するのは、前掲の図6(B)を参照して説明したように、ホースが上下に押し縮められる形の力によって無理に曲げられるからである。従って、下部ホース12が常に引張力しか受けない本実施形態(図1)においては、該下部ホース12が無理に曲げられて損傷する虞れが全く無い。
【0040】
所定の位置まで杭を打ち込んだ後、ホースを地上から引っ張り抜いて、ジェットノズル5と一緒に回収する場合、上部ホース13が上向きの力を受けて上昇すると、これに伴って管継手14、および、これに取り付けられたホース側係合具16が上昇しようとする。
前記杭側係合具15の構造は図2を参照して後に詳しく述べるが、既述のとおりホース側係合具16を下から支えているので、該ホース側係合具16の上昇を妨げない。ホース側係合具16は杭側係合具15から離脱し、管継手14と一緒に上昇して回収される。
【0041】
図1に示した本実施形態は、下側になる先行の杭8と上側になる後続の杭9との2本の杭から成る継杭に本発明を適用した例であるが、上記上側の後続の杭9の上方に、更に後続する杭を継ぎ足す構造の3本の杭を継杭の場合にも、本発明を同様にして適用することができる。また、3本以上の継杭にも、前記の構成を適用して対応できる。
すなわち、図示の上部ホース13の上端に、図示の管継手14と同様の部材を介して更に上部のホース(図示せず)を接続するとともに、
該管継手14と同様の部材に予めホース側係合具15と同様の部材を取り付けておき、
上側・後続の杭9の上端部(図外)に固着されている杭側係合具15と同様の部材に係合することにより、上部ホース13にテンションを与えて弛まなくすると、該上部ホース13が無理に曲げられなくなり、早期に破損する虞れが無くなる。
この場合、3本以上の継杭を所定の位置に打ち込んだ後、最上部のホースを上方へ引っ張ると、3本以上のホースと、これらを相互に接続している管継手とが数珠つなぎになって、ホース側係合具やジェットノズルと一緒に引き抜かれて回収される。
【0042】
図2は、前掲の図1に示した実施形態の詳細を説明するために示したもので、(A)は上,下2本の杭の溶接接続部および管継手付近を描いた正面図、(B)は同側面図である。
説明の便宜上、図1および図2(A)における上下,左右を基準として、上下,左右と呼称する。
杭側係合具は、本図2(B)に表されているように、上方に向かって凹なる空間を形成するよう、下側の杭8に溶接されていて、上記の凹部にホース側係合具16が嵌め込まれた形に係合している。
【0043】
上記杭側係合具16が管継手14を介して下部ホース12に連結されていることに着目すると、該下部ホース12が、ホース側係合具16を介して、杭側係合具15に引っ掛けられている形である。
ホース側係合具16は、本図(B)に表されているように平板状を為している。
平板状であるということは、このホース係合具16が地中に貫入してゆくとき、および、地中から引き抜かれるとき、地盤(土砂)から受ける抵抗が少ないという効果を生じる。さらに、平板状であることは該部材を工業的に生産するに適していて、製造コストが低廉である。本実施形態においては、鋼板を切り抜いて構成した。
【0044】
前記のホース側係合具16は、本図2(A)に表されているように、管継手14の中心線に関して左右対称形をなしている。このように左右対称形であると、地中へ貫入するときも、地上へ引き抜かれるときも、土砂の抵抗を左右バランスして受ける。このため、管継手14を介して上部ホース13および下部ホース12に無理な曲げ力を与えない。
さらに、前記ホース側係合具16の上側の縁は、上方に向かって凸なる形状をなしていて、左右が肩下がり形の傾斜16aが形成されている。このように構成すると、土砂の中を通って地上へ引き抜かれるとき、該土砂から受ける抵抗が小さい。
上記の抵抗が小さいということは、(イ)引き抜き所要力を軽減させ、かつ、(ロ)上部ホース13に掛かる引抜力を軽減させて該上部ホースの損耗進行を軽減させる。
【0045】
前記ホース側係合具16が左右対称であるのに対応させて、2個の杭側係合具15も左右対称に配置され、下側に位置する先行の杭8の上端付近に溶接されている。
上記杭側の係合具15の固着手段は溶接に限らないが、溶接を用いることのメリットは次のとおりである。
継杭工法を施工する際は、杭相互の溶接および補強板の溶接のため、溶接機を準備し、使用することが必要である。
本実施例に係る杭側係合具15は、上記の準備された溶接機を利用して溶接した。
【0046】
図3は、前掲の図3と異なる実施形態の3例を示し、(A)は1実施形態における要部断面側面図、(B)は上記と異なる実施形態の要部断面側面図、(C)は更に異なる実施形態の要部断面側面図である。
(A)図に示した17は本実施形態におけるホース側係合具であって、貫継手14に固着されている。
上部ホース13、および、これに連結されている管継手14、並びにホース側係合具17を引き上げて回収する際、前記ホース側係合具17が補強板11に引っ掛かると、回収作業が妨げられる。引っ掛かったままで、上部ホース13を無理に上方へ引き抜こうとすると、該上部ホース13に過大な引張り応力を生じて早期に損傷させてしまう。
【0047】
そこで本実施形態においては、ホース側係合具17が補強板11に引っ掛かることを防止するため、(イ)案内具18を設け、さらに安全を期するため(ロ)ホース側係合具17を特殊な形状に形成した。以下、順次に説明する。
案内具18は、断面が「丸味を帯びたL字」ないし「縦割りされたU字形」をなす樋状の部材であり、補強板11の下端を半ば覆う形に、下側・先行の杭8に溶接されている。
さらに本例のホース側係合具17は、その上端部が杭から離れる形の「そり状」に形成されている。17aはそり状の斜面である。
前記ホース側係合具17の上縁をそり状に湾曲させると管継手14に干渉するので、この干渉を避けるように切欠17bを設けてある。
【0048】
前記の案内板18の代りに、図3(B)に示した平板状の案内板19を設けても同様の効果が得られる。
また、図3(C)に示したように溶接肉盛20で案内面を形成しても良い。
要するに、ホース側係合具17が補強板11の下端に引っ掛からないように、「ホース側係合具の当接を受けて上向きの押圧力を被ったとき、該ホース側係合具を補強板から押し離す方向の分力を有する反力」を生ぜしめる姿勢の斜面を形成すれば良い。
【0049】
図3(A)の実施形態における案内具18は補強板11から離れているので、図3(B),(C)に比して構成・作用が迂遠なように感じられるが、該案内具18と補強板11との間に間隔が設けられていることによって次のような長所が得られる。
すなわち、図3(B)における案内板19や図3(C)に示した溶接肉盛20は、補強板11を杭8に溶接した後でないと設置することができない。
これに比して図3(A)の案内具18は、補強板11を溶接する以前に、すなわち、下側の先行の杭8の上に、後続の杭(本図3外)を溶接して継杭する以前に、予め案内具18を下側の先行の杭8に溶接しておくことができる。
【0050】
【発明の効果】
以上に本発明の実施形態を挙げてその作用・効果を明らかならしめたように、請求項1の発明方法によると、継杭の下側の杭である先行の杭に対応する下部ホースにテンションが与えられ、少なくとも弛みが取り除かれているとともに、該下部ホースの上端が管継手・ホース側係合具・杭側係合具を介して下側の杭の上端部に取り付けられているので、
該下側の杭の打ち下げを中断して若干寸法の引き上げを行なっても、前記下部ホースはその上端を下側の杭に引っ張られて上方に引き抜かれる。
該下部ホースの下端も当然に下側の杭と一緒に上昇するが、この下部ホースは上端と下端とが完全に同時に同速度で同寸法だけ上昇せしめられるので、該下部ホースに弛みを生じることも無く、まして無理に曲げられることも無いので、早期に損傷する虞れが無い。
その上、前記下部ホースの上端を下側(先行)の杭に取り付ける手段が「係合具を係合具に引っ掛ける」ことであるから、
(イ)取り付ける際は工具を必要とせず、迅速,容易に作業することができ、
(ロ)回収する際は管継手に上向きの力を与えることによって簡単,確実に離脱させることができる。
本請求項1の方法に用いる「下側の杭と等長な下部ホース」は、本発明に特有の部材であるが、その上端に管継手を取付けてあるので、先行する下側の杭のほぼ全長を地中へ打ち込んだ後、該下部ホースに対して上部ホースを迅速,容易に接続して、後続する上側の杭の打込み工程に進むことができる。
以上のような作用により、本請求項1を適用すると、管継手および下部ホースを介してジェットノズルに高圧水を送給して噴射させ、ウォータージェット工法を併用するとともに、先行する下側の杭の上に後続する上側の杭を接続して継杭工法を施工し、しかも、地盤の貫入抵抗が大きくて「杭の打下げと若干の引上げとを交互に繰り返す操作」を行なっても下部ホースに無理な曲げ力を及ぼして早期に損傷する虞れが無い。
下部ホース、管継手、およびホース側係合具は回収して再使用てきるので、1本の杭あたりランニングコストは低廉である。
【0051】
請求項2の発明によると、継杭工法を施工するために用いられる溶接機を利用して案内具を杭に溶接するので、杭打設工事用機材の稼働効率が高い。すなわち、本発明を実施するために新たな機材を追加設置することを必要としないので、機材コストを著しく上昇せしめる虞れが無い。
上記の案内具を杭に溶接しておくことにより、「ホース側係合具を取り付けられた管継手」を地上へ引き上げて回収する際、これらの部材が継杭の補強板に干渉して回収を妨げられる虞れが無い。
従って、本請求項2を請求項1の発明と併用することにより、本発明の実施に障害を与える心配せずに継杭の補強板を設けることができ、充分な継杭強度を維持することができる。
【0052】
請求項3の発明を前記請求項2の発明方法に併せて適用すると、ホース側係合具に「そり状の斜面」が設けられるので、該ホース側係合具が杭側係合具から外れて上昇する際、前記の案内具(請求項2の必須要件)によって円滑に案内される。
上記の作用,効果の価値は、上述の動作が「目に見えない地盤の中」で行なわれることを勘案して初めて正しく評価することができる。すなわち、ホース側係合具が上昇する際に通り抜けねばならない「地盤」は、一般に均質ではなくて複雑な混合組成から成る。従って、きわめて複雑な物性を示し、ホース側係合具に及ぼす力学的影響は予測が困難である。すなわち、ホース側係合具が案内具や補強板の近くを通過して上昇するとき、どのような土塊や岩片にぶっつかって、案内具に向けて押しつけられるか、予測も観測もできず、いわゆる目を瞑って操作しなければならない。
こうした理由により、単に案内具を設ける(請求項2)だけでなく、ホース側係合具の上端部(上昇動作時における進行方向先端部)に「そり状の斜面」を形成して、円滑に案内具を乗り越えるための安全性を完全ならしめておくことの実用的価値は多大である。
【0053】
請求項4の発明方法によると、「杭側係合具と係合した状態で下向き方向の引張力を受けるホース側係合具」が、管継手の中心線に関して左右対称に支持されるので、安定して支持され、偏った力を受けないので確実に動作して請求項1の作用を発揮させる。
また、上記のように左右対称に支持されて係合しているので、前記管継手に上向き方向の力を受けた際、左右の係合部が均等に離脱して、円滑かつ確実な管継手の引き抜き回収を可能ならしめる。
【0054】
請求項5の発明方法を前記請求項4の発明方法に適用すると、ホース側係合具の上側の縁が凸形状をなしているので、該ホース側係合具を地上へ引き上げる際、土砂によって受ける抵抗が軽減される。引抜き抵抗が軽減されることによって引抜き所要力が軽減されるため作業が容易になるのみでなく、高圧ホースに掛かる引張力が少なくて済むので、該高圧ホースの耐久性が向上する。高圧ホースは高価な消耗性の部材であるから、その耐久性向上の経済的価値は少なくない。
【0055】
請求項6の発明方法によると、3本もしくはそれ以上の杭を順次に継ぎ杭して一体の長尺の杭を形成する場合にも、請求項1に係る操作手順を繰り返すことにより、ウォータージェット用ホースを損傷させること無く、継杭工法とウォータージェット工法とを併用することができる。
これにより、作業空間の高さ寸法を制約されている打設地点に、上記の制約された高さ寸法の2倍を超える長さ寸法の杭を、ウォータージェット工法併用で打設することができる。
【0056】
請求項7の発明装置によると、継杭として用いられる鋼製杭とほぼ等長のホースを具備していて
上記のホースに対して着脱可能な管継手にホース側係合具が取り付けられており、
かつ、上記ホース側係合具に対して係脱自在な杭側係合具が組み合わされているので、
上記の杭側係合具を杭に対して固着して、これにホース側係合具を引っ掛けて前記のホースにテンションを与えることができ、該ホースが弛むことなく杭に装着される。このホースで圧力水を送給してウォータージェット工法を併用した継杭打設が可能である。
しかも、前記のようにホースがテンションを与えられていると、杭を打ち下げる操作を一時的に中断して該杭を若干引き上げても、上記のホースに弛みを生じることが無く、無理に曲げられる虞れが無い。このため、ウォータージェット用の圧力水を送給するホースが早期に損傷することなく、耐久性が向上される。このホースは高価な消耗性の部材であるから、その耐久性向上による経済的メリットは多大である。
【0057】
請求項8の発明装置によると、ホース側係合具が平板状をなしているので、このホース側係合具がホースを介して杭と一緒に下方に引き込まれる場合も、ホースを介して杭と一緒に若干寸法引き上げられる場合も、ホースと一緒に地上へ引き抜いて回収される場合も、土砂の中を通過するために被る抵抗力が比較的小さい。
前記ホース側係合具が土砂の中を通過するときに受ける抵抗力が小さいということは、杭の打ち下げや引き上げを妨げる力が小さくて済むのもさることながら、ホースに加わる引張力が小さくて、該ホースに過大な引張応力を与えないことの実用的意義が大きい。
その上、前記ホース側係合具が管継手に対して線対称の形状であるから、該ホース側係合具が土砂から受ける力が左右バランスを保ち易い。このため、ホースに対して無理な力を及ぼさない。
【0058】
請求項9の発明装置を前記請求項8の発明装置に適用すると、杭側の係合具が鋼製の杭に対して溶接可能な部材であるから、継杭工法に用いる溶接機によって杭側係合具を杭に溶接することができ、杭側係合具の固着作業に専用の機械設備を必要としない。
その上、ホース側係合具の上側の縁が凸形をなすように斜面が形成されているので、このホース側係合具を引き上げる場合、土砂の中を通って上昇する運動に対する抵抗がいっそう小さくなる。
【0059】
請求項10の発明装置を請求項9の発明装置に適用すると、
ホース側係合具の上端付近が、杭から離れる形の「そり状」に形成されて、斜面になっているので、
このホース側係合部材はホースによって上方へ引き抜かれて継杭の継目付近を通過する際、継目の補強板に引っ掛かる虞れ無く、円滑に該補強板を乗り越えることができる。
万一引っ掛かったときはホースに過大な引張力が加わって該ホースを損傷させる虞れが有るので、ホース側係合具が円滑かつ確実に補強板を乗り越えることの実用的価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウォータージェット用ホース破損防止装置の1実施形態を示し、中央部を破断して描いた下側の杭と、上側の杭との継目付近に設けられている破損防止装置の正面図である。
【図2】前掲の図1に示した実施形態の詳細を説明するために示したもので、(A)は上,下2本の杭の溶接接続部および管継手付近を描いた正面図、(B)は同側面図である。
【図3】前掲の図3と異なる実施形態の3例を示し、(A)は1実施形態における要部断面側面図、(B)は上記と異なる実施形態の要部断面側面図、(C)は更に異なる実施形態の要部断面側面図である。
【図4】杭打作業の1例を説明するために示したもので、(A)は鋼矢板を地中に打ち込んでいる状態を描いた模式的な正面図、(B)は多数の鋼矢板を並べて打ち込んだ状態を描いた正面図、(C)は多数の鋼矢板が相互に結合された状態を描いた2面図である。
【図5】本発明が適用の対象とするウォータージェット工法、および継杭工法を説明するために示したもので、(A)はウォータージェット工法の要部を描いた概念図、(B)は継杭工法を説明するための模式図であり、(C)はウォータージェット工法と継杭工法とを併用して長尺の杭を打設している状態を描いた模式的な正面図である。
【図6】ウォータージェット工法と継杭工法とを併用した場合に高圧ホースの早期損傷を生じるメカニズムを説明するために示したもので、(A)は先行の杭を打ち込んでいる状態の模式図、(B)は上記先行の杭を引き上げたところを描いた模式図である。
【符号の説明】
1…鋼矢板
1a…杭継手
2…杭打機
3…杭
4…ノズルホルダ
5…ジェットノズル
6…高圧ホース
7…ホース保持具
8…下側になる先行の杭
9…上側になる後続の杭
10…溶接継目
11…補強板
12…下部ホース
12a…継手部
13…上部ホース
13a…継手部
14…管継手
15…杭側係合具
16…ホース側係合具
16a…傾斜
17…ホース側係合具
17a…そり状斜面
17b…切欠
18…案内具
19…案内板
20…溶接肉盛
a…ホースが土砂で拘束される箇所
b…ホースが損傷する箇所
Claims (10)
- 複数本の杭を順次に打ち込み、先行の杭の上端に後続の杭の下端を接続する継杭打工法に、ウォータージェット工法を併用する場合、
下側の杭となる先行の杭(8)の上端付近に、杭側の係合具(15)を予め固着しておき、
該下側の杭(8)とほぼ等長の下部ホース(12)の1端に管継手(14)を予め装着するとともに、該管継手(14)に対してホース側の係合具(16)を固着しておき、
前記のホース側係合具(16)を杭側係合具(15)に引っ掛けて、前記の下部ホース(12)を下側の杭(8)に対してほぼ平行に取り付けるとともに、
該下部ホース(12)にテンションを与え、少なくとも弛みを取り除いて直線状に張り渡し、
この状態で、前記管継手(14)を介して下部ホース(12)に高圧水を送給することにより、ジェットノズル(5)から水を噴射させてウォータージェット工法を併用しつつ、
前記下側の杭(8)を、その上端が地表に接近するまで打ち込んでから、
該下側の杭(8)の上に、後続の杭である上側の杭(9)を一体的に接続するとともに、前記管継手(14)に上部ホース(13)を接続して杭打工事を続行し、
前記下側の杭および上側の杭が所定の位置まで打ち込まれた後、前記上部ホース(13)を介して管継手(14)に上向きの引抜き力を与え、
上記の引抜き力によって、ホース側係合具(16)を杭側係合具(15)から離脱させ、前記上部ホース(13)、管継手(14)、および下部ホース(12)を地上に引き抜くことを特徴とする、ウォータージェット用ホースの破損防止方法。 - 前記下側の杭(8)に対して上側の杭を一体的に接続する手段として、溶接を用いるとともに、当て板状の補強板(11)を溶接し、
かつ、上記補強板(11)の下方に位置せしめて、案内具(18)を下側の杭(8)に溶接しておくことにより、
前記管継手(14)が地上に引き抜かれる際、該管継手に固着されているホース側係合具(17)を、前記の案内具(18)によって、下側の杭(8)から遠ざけるように案内し、
上記ホース側係合具(17)が前記補強板(11)と干渉して、その上昇を妨げられないようにすることを特徴とする、請求項1に記載したウォータージェット用ホースの破損防止方法。 - 前記ホース側係合具(17)が下側の杭(8)に対して取り付けられた状態において、該ホース側係合具(17)の上端の部分が該下側の杭(8)から離れるように、該上端部付近に「そり状の斜面(17a)」を形成することを特徴する、請求項2に記載したウォータージェット用ホースの破損防止方法。
- 前記杭側係合具(15)を複数個構成し、これらをホース側係合具(16)と係合させた状態において、
該複数個の杭側係合具(15)の内の少なくとも2個を、
前記管継手(14)の中心線に関して対称となるように位置せしめて、下側の杭(8)に溶接することを特徴とする、請求項1に記載したウォータージェット用ホースの破損防止方法。 - 前記ホース側係合具(16)を杭側係合具(15)に係合した状態において、
該ホース側係合具(16)の上側の縁を、上方に向かって凸なる形状に構成し、管継手(14)に近い方が高く、遠い方が低い斜面(16a)を形成して、
該ホース側係合具(16)を地上に引き抜く際の土砂による抵抗を軽減することを特徴とする、請求項4に記載したウォータージェット用ホースの破損防止方法。 - 前記複数本の杭が3本以上である場合、
前記下側の杭(8)および上側の杭(9)が地中に打ち込まれて、該上側の杭(9)の上端が地表に近づいたとき、
上記上側の杭(9)に後続する「更に上側の杭」を、該上側の杭の上端に継ぎ足すとともに、
前記上部ホースの上端に、「更に上部のホース」を接続し、
前記「更に上側の杭」の上端部に杭側係合具を固着するとともに、前記「更に上部のホース」の上端に「ホース側係合具を取り付けた管継手」を固着し、これら双方の係合具を相互に係合させて、ウォータージェット工法を併用した杭打工事を続行して最上段の杭に至り、該最上段の杭を所定の位置まで打ち込んだ後、一連に接続されている「下部ホース〜最上部ホース」および複数個の「ホース側係合具を取付けられた管継手」を地上に引き抜いて回収することを特徴とする、請求項1に記載したウォータージェット用ホースの破損防止方法。 - 継杭として相互に接続可能な複数本の鋼製杭(8,9)と、
上記複数本の鋼製杭のそれぞれに対応して、対応する鋼製杭の長さとほぼ等しい長さを有し、両端に継手部(12a,13a)を設けられたホース(12,13)と、
上記継手部(12a,13a)に接続し得る管継手(14)、および該管継手に固着されたホース側係合具(16)と、
上記ホース側係合具(16)に対して係脱自在に係合する杭側係合具(15)と、の組合せから成ることを特徴とする、ウォータージェット用ホースの破損防止装置。 - 前記のホース側係合具(16)は平板状の部材であって、
管継手の中心線に関してほぼ対称な形状をなしていることを特徴とする、請求項7に記載したウォータージェット用ホースの破損防止装置。 - 前記の杭側係合具(15)は、前記の鋼製杭に溶接し得る鋼製の部材であり、
かつ、前記ホース側係合具(16)を、「杭に溶接された杭側係合具(15)に係合させた状態において、
ホース側係合具(16)の上側の縁が上方に向けて凸なる形状をなしていて、中央が高く、両端が低い形状の1対の傾斜(16a)が形成されていることを特徴とする、請求項8に記載したウォータージェット用ホースの破損防止装置。 - 前記のホース側係合具(16)を杭側係合具(15)に係合させた状態において、
該ホース側係合具の上端付近に、杭(8)から離れる形の「そり状の斜面(17a)」が形成されていることを特徴とする、請求項9に記載したウォータージェット用ホースの破損防止装置。
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