JP4240893B2 - 有機elディスプレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセント(EL)層への水分の影響を低下させた、改良された有機ELディスプレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセント(有機EL)素子を用いた有機ELカラー画像表示装置(以降、「有機ELディスプレイ」と言う。)には、(1)三原色の各々の色に発光する有機EL素子を配列した有機ELディスプレイ、および(2)白色に発光する有機EL素子と、配列された三原色のカラーフィルターを組み合わせた有機ELディスプレイ以外に、(3)有機EL素子としては青色発光のもののみを使用し、青→緑、および青→赤に、それぞれカラー変換する蛍光体からなるカラー変換物質(CCM;Color Changing Media)層を組み合わせたCCM方式の有機ELディスプレイがある。
【0003】
CCM方式の有機ELディスプレイは、有機EL素子としては、青色に発光するもののみを使用するので、(1)の有機ELディスプレイにおけるように、各色の有機EL素子の特性を揃える必要が無く、また、(2)の有機ELディスプレイにおけるように、三原色のカラーフィルターで色分解する際の白色光の利用率が低い欠点が解消され、CCMの変換効率を高めることにより、ディスプレイの輝度を向上させることが可能で注目されている。
【0004】
図7は、CCM方式の有機ELディスプレイの構造例を示す断面図である。有機ELディスプレイ101は、透明基材102の上面側に、色変換部103および発光部104が順に積層されたものである。なお、以降も含め、有機ELディスプレイの観察面側を下面と称し、背面側を上面と称する。
【0005】
色変換部103は、透明基材102側から、開孔部を有する格子状等のブラックマトリックス105、ブラックマトリックス105の開孔部の各々に対応する補正用カラーフィルター層(図では補正用CF層と表示。)106およびCCM層(もしくは色変換蛍光体層)107が順に積層され、CCM層107上、並びに、補正用カラーフィルター層106上を一様に覆う、オーバーコート層(図ではOC層と表示。)108およびパッシベーション層109が順に積層された積層構造からなる。CCM層107は、ブラックマトリックス105の開孔部毎に、異なる色変換を受け持ち、青色光→赤色光のカラー変換、もしくは青色光→緑色光のカラー変換を受け持つ。青色を表示すべき部分では、カラー変換の必要がないので、本来的には何もなくてもよいが、通常は、透明層からなるダミー層が設けられている。補正用カラーフィルター層106の各部分も、上層の対応するCCM層107の各部分と同じように、赤色光、緑色光、および青色光の色補正を受け持つ。
【0006】
発光部104は、オーバーコート層108上の透明電極層110、透明電極層110上にあって下層のブラックマトリックス105に対応する絶縁層111、透明電極層1110上にあって下層の補正用カラーフィルター層106およびCCM層107に対応して透明電極層110側から積層された、有機EL素子層112および背面電極層113の両層、並びに、絶縁層111上に積層された隔壁114等からなる。
【0007】
以上のような、図3に示す有機ELディスプレイ101の、透明電極層110と背面電極層113との間に電圧をかけると、その間の有機EL素子層112が青色光を発光する。青色光はCCM層107の部分により、青色光が赤色光に変換され、もしくは青色光が緑色光に変換され、または青色光がそのまま透過する。CCM層107を出た各色の光は、下層の補正用カラーフィルター層106を透過し、最終的には、ブラックマトリックス105の各開孔部より、下方に向かって、色補正された赤色光、緑色光、および青色光が出光する。従って、有機EL素子層112の、各画素を構成すべき赤色、緑色、および青色の各部分を、映像信号に応じた強度で発光させることにより、カラー映像を得ることができる。
【0008】
ところで、有機EL素子層112を構成する種々の材料は、物理的もしくは化学的に見て不安定なもので、特に、水分に対して、非常に敏感であり、両側を他の層で被覆された構造においても、依然としてデリケートであることに変わりがない。特に、CCM方式の有機ELディスプレイにおいては、補正用CF層106、CCM層107、およびOC層108に、これらの層を構成する素材に起因して微量な水分が残留しているために、水分が徐々に有機EL素子層112に移行して、有機EL素子層112が劣化することを回避しにくい。
【0009】
これら各層の形成の際には、フォトリソグラフィーによるパターン形成が利用されるが、現像およびそれに伴なうウェット処理が避けられず、また、形成後も大気中の湿気を吸うことが避けれないため、各層中の水分もしくは吸着水分を完全には除去しきれないからである。また、絶縁層111および隔壁114も、製造の手順上、有機EL素子層よりも先に形成されているので、それら各層が含有する、もしくは吸着した水分により、有機EL素子層112が劣化することを回避しにくい。
【0010】
もちろん、従来においても、補正用CF層106、CCM層107、およびOC層108の形成後には、クリーンオーブン等の手段により加熱乾燥を施しており、また、OC層の形成後、パッシベーション層を109を形成して、水分の拡散を防止することも試みられ、さらには、絶縁層111および隔壁114の形成後も、加熱乾燥を施す必要があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明においては、上記のようなCCM方式の有機ELディスプレイにおいて、補正用CF層106、CCM層107、OC層108、絶縁層111、および隔壁114等に由来する水分により、有機EL素子層112が劣化することを抑制する、さらに有効な手段を講じることを課題とする。
【0012】
【課題を解決する手段】
発明者の検討によれば、OC層108上(パッシベーション層109を伴なうときはパッシベーション層109上)、もしくは透明電極層110上、または隔壁114上、絶縁層111が露出している場合には、その露出部分等に水分を吸収する機能を有する層を付与することにより、各層から発生する水分を除去でき、有機EL層への水分の拡散を防止し得ることが見出され、これに基づいてさらに検討した結果、本発明に到達することができた。
【0013】
第1の発明は、透明基材上に、ブラックマトリックス、色変換蛍光体層、およびオーバーコート層が順に積層された色変換部と、透明電極層、前記ブラックマトリックスに対応して積層された絶縁層、前記絶縁層上に積層された隔壁、少なくとも前記透明電極層上の前記絶縁層および前記隔壁以外の部分に、有機EL素子層、および背面電極層が積層された発光部とが、順に積層されており、前記隔壁の頂部および少なくとも片側の壁面に水分吸収層が積層されていることを特徴とする有機ELディスプレイに関するものである。
第2の発明は、透明基材上に、ブラックマトリックス、色変換蛍光体層、およびオーバーコート層が順に積層された色変換部と、透明電極層、前記ブラックマトリックスに対応して積層された絶縁層、前記絶縁層上に積層された隔壁、少なくとも前記透明電極層上の前記絶縁層および前記隔壁以外の部分に、有機EL素子層、および背面電極層が積層された発光部とが、順に積層されており、前記透明電極層上の前記絶縁層の間、並びに前記隔壁の頂部に水分吸収層が積層されていることを特徴とする有機ELディスプレイに関するものである。
第3の発明は、透明基材上に、ブラックマトリックス、色変換蛍光体層、およびオーバーコート層が順に積層された色変換部と、透明電極層、前記ブラックマトリックスに対応して積層された絶縁層、前記絶縁層上に積層された隔壁、少なくとも前記透明電極層上の前記絶縁層および前記隔壁以外の部分に、有機EL素子層、および背面電極層が積層された発光部とが、順に積層されており、前記透明電極層上の前記絶縁層の間、並びに前記隔壁の頂部および両壁面に水分吸収層が積層されていることを特徴とする有機ELディスプレイに関するものである。
第4の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、前記色変換部が、前記色変換蛍光体層と前記オーバーコート層との間に色補正用カラーフィルター層を有していることを特徴とする有機ELディスプレイに関するものである。
第5の発明は、第1〜第4いずれかの発明において、前記隔壁の頂部に、さらに有機EL素子層、および背面電極層が積層されていることを特徴とする有機ELディスプレイに関するものである。
第6の発明は、第1〜第5いずれかの発明において、前記オーバーコート層が上面にパッシベーション層が積層されたものであることを特徴とする有機ELディスプレイに関するものである。
第7の発明は、第1〜第6いずれかの発明において、前記水分吸収層が、酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、五酸化二リン、ゼオライト、シリカゲル、もしくは酸化アルミニウムから選択された水分吸収材からなるものであるか、または、前記水分吸収材を含有するバインダ樹脂からなるものであることを特徴とする有機ELディスプレイに関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に例示するように、本発明の有機ELディスプレイ1は、透明基材2の上面側に、色変換部3および発光部4が順に積層されたものである。色変換部3は、透明基材2側から、開孔部を有する格子状等のブラックマトリックス5、ブラックマトリックス5の開孔部の各々に対応する補正用カラーフィルター層7およびCCM層7が順に積層され、CCM層7上、並びに、補正用カラーフィルター層(図では補正用CF層と表示。)6上を一様に覆うオーバーコート層(図ではOC層と表示。)8およびパッシベーション層9が順に積層された積層構造からなる。また、発光部4は、パッシベーション層9側から、水分吸収層15、透明電極層10、透明電極層10上にあって下層のブラックマトリックス5に対応する絶縁層11、透明電極層11上にあって下層の補正用カラーフィルター層6およびCCM層7に対応して、絶縁層の間に、透明電極層10側から順に積層された、有機EL素子層12および背面電極層13の両層、並びに、絶縁層11上に積層された隔壁14等からなる。なお、水分吸収層15は、発光自体には寄与しないので、色変換部3および発光部4とは別のものであるが、以降の説明において、発光部に積層されていることがかなりあるので、便宜的に発光部の要素と見なして説明する。また、隔壁14上には、隔壁14の間に形成する各層と同様、有機EL素子層12および背面電極層13が順に積層されており、隔壁14上では、次に述べるように水分吸収層15が積層されることを除くと、本質的には、有機EL素子層12および背面電極層13等の積層を行なう必要は無いが、気相による薄膜形成時にマスクを使用しない限り、隔壁14間に積層する各層は、隔壁14上にも積層される。隔壁14上の有機EL素子層12および背面電極層13は、取り除く必要があれば、形成後、取り除いてもよく、以降においても、同様である。
【0015】
図1の構造を有する有機ELディスプレイ1においては、水分吸収層15がパッシベーション層9上(パッシベーション層9を欠くときは、オーバーコート層8上)の全面を覆っているので、下層の補正用カラーフィルター層7、色変換蛍光体層7、オーバーコート層8、およびパッシベーション層9に由来する含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層12に与える影響を回避することができる利点がある。なお、図示はしないが、水分吸収層15は、オーバーコート層8とパッシベーション層9との間に積層されていてもよく、同様に、下層の各層に由来する含有水分もしくは吸着水分の有機EL素子層12への影響を回避し得る。また、上記の構造における水分吸収層15の形成は、平面に対する一様な薄膜の形成であるので、方法上の制約がごく少ない。
【0016】
水分吸収層5を形成すべき重要な箇所として、隔壁14がある。図2は、隔壁14の頂部および左右両壁面に水分吸収層15が積層した構造を有する有機ELディスプレイ1を例示するもので、その他の点は、パッシベーション層9と透明電極層10との間に水分吸収層5が無い以外は、図1を引用して説明した有機ELディスプレイ1と同じである。なお、隔壁14は絶縁層11上に絶縁層11の余白を残して積層されていることが多く、隔壁14を覆う水分吸収層15は、絶縁層11の隔壁14の積層されていない部分も含めて積層されていることが好ましい。隔壁14に形成した水分吸収層15は、隔壁14に由来する含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層12に与える影響を回避する働きを有する以外に、色変換部3に由来する含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層12に与える影響をも回避する働きを有する。と言うのは、隔壁14に形成した水分吸収層15の水分吸収により、周囲の水分が減少するため、水分の濃度(または分圧)の勾配が生じ、隔壁14に形成した水分吸収層15への水分吸収が促進されるためと考えられる。特に、隔壁14の頂部および壁面にも水分吸収層15が形成される場合には、色変換部に由来する水分吸収の能力が増加するので、有機ELディスプレイ1全体における水分吸収の能力が増す。
【0017】
図2の構造を有する有機ELディスプレイ1においては、水分吸収層5が隔壁14を被覆しているので、隔壁14に由来する含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層12に与える影響を回避することができる利点がある。また、このような構造における水分吸収層15の形成は、例えば図中、左上方から、および右上方からの二方向からの薄膜形成法(斜方蒸着)によって行なうことが好ましい。
【0018】
水分吸収層15は、図3に示すように、隔壁14の頂部および左右いずれかの壁面に積層した構造であっても、有機ELディスプレイ1を構成し得る。その他の点は、図2を引用して説明した有機ELディスプレイ1と同じである。この構造のものは、隔壁14の片方の壁面が水分吸収層で被覆されていないが、隔壁14を形成した後に、水分吸収層15を一方向からの斜方蒸着により形成できるので、工程が図2に示す構造のものを製造するのにくらべ、簡素化できる利点がある。
【0019】
図4に示すように、有機ELディスプレイ1は、水分吸収層15が、透明電極層上の絶縁層の間に、透明電有機EL素子層12および背面電極層13の両層の下層として積層されると共に、隔壁14の頂部に積層された構造であり得る。その他の点については、パッシベーション層9と透明電極層10との間に水分吸収層5が無い以外は、図1を引用して説明した有機ELディスプレイ1と同じである。この構造のものは、隔壁14を形成した後に、透明基材の法線方向からの通常の蒸着法により製造するのに適する利点がある。
【0020】
有機ELディスプレイ1は、図5に示すように、水分吸収層15が、透明電極層上の絶縁層の間のすべて、および隔壁14の頂部および左右両壁面に積層された構造であり得る。従って、透明電有機EL素子層12および背面電極層13を形成する直前の構造の、左右両壁面を含む上側の露出面のすべてが水分吸収層15で被覆されているため、色変換部3および発光部の有機EL素子層12以外の各層の含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層12に与える影響をすべて回避することができる利点がある。この構造のものは、スパッタ成膜法等のエネルギー分布の広い成膜法で製造するのに適している。
【0021】
以上における各層について説明すると、まず、透明基材2は、有機ELディスプレイ1の観察側にあり、有機ディスプレイ1全体を支える支持体である。必要に応じて、さらに、観察側には、擦傷防止のためのハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、反射防止層、防眩層等が直接積層されるか、もしくは透明フィルム上に積層されて適用されていてもよく、あるいは、タッチパネルのような機能が付加されていてもよい。透明基材2は、大別すると、ガラスや石英ガラス等の無機質の板状透明基材、もしくはアクリル樹脂等の有機質の(=合成樹脂製の)板状透明基材、または、合成樹脂製の透明フィルム状基材である。厚みのごく薄いガラスも透明フィルム状基材として利用することができる。透明基材2としては、色変換部3や発光部4を形成する側の表面の平滑性が高いものが好ましい。
【0022】
透明基材2を構成する合成樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、または環状オレフィン樹脂もしくは環状オレフィン共重合樹脂等を挙げることができる。
【0023】
ブラックマトリックス5は、各画素毎に発光する区域を区画すると共に、発光する区域どうしの境界における外光の反射を防止し、映像のコントラストを高めるためのもので、通常、黒色の細線で構成された、縦横の格子状等、もしくは一方向のみの格子状等のパターン状に形成されたものであり、有機ELディスプレイの発光は、このブラックマトリックス5の開孔部を経由し、観察側に到達するものであって、以降の各層の形成は、このブラックマトリックス5を基準に行なわれる。なお、ブラックマトリックス5がなくても、有機ELディスプレイ1としての働きはなし得るが、上記のような観点で、ブラックマトリックス5を設けることが多い。
【0024】
ブラックマトリックス5を形成するには、まず、透明基材2を十分に洗浄したのち、クロム等の金属を使用して、蒸着、イオンプレーティング、もしくはスパッタリング等の各種の方法で金属薄膜を形成する。この場合、十分に遮光し得る光学濃度、耐洗浄性および加工特性等を考慮すると、クロムによる金属薄膜が最も好ましい。形成された金属薄膜からブラックマトリックス5を形成するためには、通常のフォトリソグラフィー法等を利用することができ、例えば、形成された金属薄膜の表面にフォトレジストを塗布し、パターンマスクで被覆して露光、現像、エッチング、および洗浄等の各工程を経て、ブラックマトリックス5を形成することができる。また、ブラックマトリックス5は、無電界メッキ法、もしくは黒色のインキ組成物を用いた印刷法等を利用しても形成することができる。ブラックマトリックス5の厚みは、薄膜で形成する場合には、0.2μm〜0.4μm程度であり、印刷法によるときは0.5μm〜2μm程度である。
【0025】
補正用カラーフィルター層6は、ブラックマトリックス5の開孔部に対応して設けられるもので、各画素に対応して、赤色光用、緑色光用、および青色光用の三種類が規則的に配列したものである。図1では明らかではないが、補正用カラーフィルター層6の各色の部分は、ブラックマトリックス5の開孔部毎に設けたものであってもよいが、便宜的には、図1における手前側から奥側の方向に帯状に設けたものであっても、ブラックマトリックス5の開孔部に対応したものである。CCM方式の有機ELディスプレイ1においては、有機EL素子層11から発した青色光が、CCM層7により変換されて赤色光、緑色光、および青色光の三原色の各光が生じるので、一応のカラー映像の再現は可能になるが、これらの光をさらに補正して、所定の帯域内の光を取り出し、ディスプレイの演色性を高める意味で、補正用カラーフィルター層6を設けることが好ましい。
【0026】
補正用カラーフィルター層6の形成は、所定の色に着色した感光性樹脂組成物を一様に塗布し、乾燥させた後、所定のパターン露光を行ない、その後、現像するプロセスを、各色毎に繰返すことによって、行なうことができる。あるいは、所定の色に着色したインキ組成物を形成して用い、各色毎に印刷することによって行なってもよい。補正用カラーフィルタ層6の厚みは、1μm〜2μm程度である。
【0027】
CCM層7は、ブラックマトリックス5の開孔部、および補正用カラーフィルター層6に対応して設けられるもので、やはり、各画素毎に、赤色光用、緑色光用、および青色光用の三種類が規則的に配列したものであるが、このうち、青色光用「B」については、有機EL素子層11が、もともと青色光を発光するので、色変換を行なう必要がない。従って、何も設けなくてもよいが、何もないと凹部となるので、実際には、無色透明の素通しのパターン(ダミーパターン)を形成しておくとよい。また、CCM層7の各部分は、補正用カラーフィルター層6の各色の部分と同様、ブラックマトリックス5の開孔部のみに設けたものであってもよいが、図1における手前側から奥側の方向に帯状に設けたものであっても、ブラックマトリックス5の開孔部に対応したものである。
【0028】
CCM層7は、青色を赤色に変換する赤色変換蛍光体層、および青色を緑色に変換する緑色変換蛍光体層からなり、それぞれの色変換を行なう赤色変換蛍光色素もしくは緑色変換蛍光色素を樹脂中に溶解もしくは分散した組成物で構成される。赤色変換蛍光色素としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル-2-[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート等のピリジン系色素、ローダミンB、もしくはローダミン6G等のローダミン系色素、またはオキサジン系色素等を例示することができる。
【0029】
緑色変換蛍光色素としては、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、もしくは3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、または、ソルベントイエロー11、もしくはソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素等を例示することができる。
【0030】
赤色変換蛍光色素、緑色変換蛍光色素としては、さらに、直接染料、酸性染料、塩基性染料、もしくは分散染料等の各種染料のうちからも蛍光性のあるものを選択して使用することができ、赤色変換蛍光色素および緑色変換蛍光色素としては、一種、もしくは二種以上を併用することができる。
【0031】
赤色変換蛍光色素、もしくは緑色変換蛍光色素を溶解、もしくは分散させる樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、もしくはポリアミド樹脂等の透明樹脂を例示することができる。または、樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する電離放射線硬化性樹脂(実際には、電子線硬化性樹脂もしくは紫外線硬化性樹脂であって、後者であることが多い。)を使用することもできる。
【0032】
CCM層7の形成は、上記の赤色変換蛍光色素、もしくは緑色変換蛍光色素と樹脂とを、必要に応じ、溶剤、希釈剤、もしくはモノマー等、さらには、適宜な添加剤と共に混合して、赤色光用、緑色光用の各区域を形成するための感光性樹脂組成物とした後、これらの感光性樹脂組成物を一様に塗布し、乾燥させた後、所定のパターン露光を行ない、その後、現像するプロセスを、各色毎に繰返すことによって行なうことができる。あるいは、所定の色に着色したインキ組成物を形成して用い、各色毎に印刷することにより行なってもよい。CCM層7のうち、青色光用の区域の形成は、上記の感光性樹脂組成物もしくはインキ組成物から赤色変換蛍光色素、もしくは緑色変換蛍光色素を除いた組成物を用い、その他は、赤色光用、緑色光用の各区域を形成するのと同様な手法により行なうことができる。CCM層7における樹脂と、赤色変換蛍光色素、もしくは緑色変換蛍光色素の割合は、例えば、樹脂/蛍光色素=100/0.5〜100/5(質量基準)程度である。また、CCM層7の厚みは5μm〜20μm程度であることが好ましい。
【0033】
オーバーコート層8は、その上の各層が積層される対象であると共に、有機EL素子層12を、下層の各層、特に有機EL素子層12の寿命に悪影響を及ぼしやすいCCM層7から隔離する役割を有する。
【0034】
オーバーコート層8は透明樹脂で構成され、具体的な樹脂としては、CCM層7を構成する樹脂として前記したものと同様な樹脂を使用し、必要に応じ、溶剤、希釈剤、もしくはモノマー等、さらには、適宜な添加剤と共に混合して、感光性樹脂組成物とした後、この感光性樹脂組成物を、一様に塗布し、乾燥させた後、電離放射線を照射して硬化させることによるか、または、電離放射線硬化性ではない通常の塗料組成物とした後、適宜なコーティング手段により塗布を行なった後、乾燥させることによって形成することができる。オーバーコート層8の厚みとしては、下層の凹凸状態にもよるが1μm〜5μmであることが好ましい。本発明の有機ELディスプレイ1においては、オーバーコート層8の表面(図中の上面)の平滑性が非常に高いことがポイントである。このオーバーコート層8の上面は、平均粗さ(Ra)が30nm以下であることが好ましく、下限は0であることが好ましいが、製造法上の制約から、実際上、3nm以上であることがより好ましい。
【0035】
必要に応じて、オーバーコート層8上には、透明電極層10との間に、パッシベーション層(透明バリア層とも言う。)9が積層されていてもよい。パッシベーション層9は、無機酸化物の薄膜からなることが好ましく、パッシベーション層9を設けると、上層に設ける有機EL層への下方からの空気、特に、水蒸気が透過するのを遮断する効果が向上する。
【0036】
上記の無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化ナトリウム、酸化リチウム、もしくは酸化カリウム等を例示することができ、一種もしくは二種以上を用いることができるが、中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、もしくは酸化チタンを使用することが好ましい。また、窒化ケイ素も用いることができる。透明バリア層の厚みとしては、0.01μm〜0.5μm程度である。
【0037】
透明電極層10は、背面電極層13との間にはさんだ有機EL素子層12に電圧をかけ、所定の位置で発光を起こさせるためのものである。図1は、有機ELディスプレイ1の断面図であるため、透明電極層10の平面形状が表れていないが、実際には、ブラックマトリックス5の開孔部に相当する幅の帯状の形状を有する各電極が図の左右方向に配置され、図の手前から奥に向かう方向に、間隔をあけて配列しており、その配列のピッチはブラックマトリックス5の開孔部の配列ピッチと同じであり、ブラックマトリックス5の開孔部上には、必ず、透明電極層10が位置している。
【0038】
透明電極層10は、透明性および導電性を有する金属酸化物の薄膜で構成されるのが普通である。具体的には、金属酸化物として、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、もしくは酸化第2錫を例示することができ、層のシート抵抗が数百Ω/cm以下であることが好ましく、厚みとしては、10nm〜0.5μm程度であることが好ましい。透明電極層10は、上記のような金属酸化物の一様な薄膜を形成後に、フォトエッチングにより不要部を除去することにより形成することが好ましい。
【0039】
透明電極層10上には、下層のブラックマトリックス5に対応して、絶縁層11が設けられている。絶縁層11は、ブラックマトリックス5と同様、一方向のみの格子状のパターン状に形成されたものであってもよいが、縦横の格子状に形成されたものであることが好ましい。
【0040】
絶縁層11は、例えば、既に説明したオーバーコート層8と同様な素材で構成することができる。絶縁層11をパターン状に形成するには、フォトリソグラフィー、もしくは印刷法等による。
【0041】
絶縁層上には、隔壁14が設けられている。この隔壁14は、透明電極層10上に有機EL素子層12および背面電極層13を蒸着法等の気相法で形成する際のマスクの役割を果たすものである。隔壁14は、図の手前から奥に向かう方向に平行に設けられたもので、感光性樹脂のパターン露光および現像によって設けることができる。図1において、隔壁14は下すぼまりの逆台形状の断面を有しているが、このように、隔壁14を下すぼまり、もしくは上すぼまりの形状とするには、所定の厚みに設けたポジ型もしくはネガ型の感光性樹脂層を露光方向を変えて多重露光する、パターンをずらして異なる方向から多重露光する等により、実現することができる。各図に示すように、隔壁14が下すぼまりの場合には、法線方向からの蒸着の際に、隔壁14が下層から立ち上がる、立ち上がり部分の周辺への薄膜の付着を避けることができる。なお、隔壁14の絶縁層11と接する部分では、図1に示すように、隔壁14の左右方向の厚みが絶縁層11の左右方向の寸法よりも小さくしておくと、後記する有機EL素子層12および背面電極層13を十分大きく形成することができる。
【0042】
水分吸収層15は、ゼオライト、シリカゲル、金属塩化物、金属硫化物、金属酸化物、もしくは五酸化二リン等の水分吸収材からなる層、またはこれらの水分吸収材とバインダ樹脂を含有する組成物からなる層であってよいが、次に述べるような水分吸収材を含有する層、具体的には、物理的水分吸収材または/および化学的水分吸収材から基本的になる層、または、物理的水分吸収材または/および化学的水分吸収材、並びにバインダ樹脂を基本的に含有する組成物からなる層であることが好ましい。
【0043】
物理的水分吸収材とは、主にファンデルワールス力により水分を可逆的に吸着するものであり、吸着量は少ないが、吸着速度が大きい特徴を有し、具体的には、シリカゲル、酸化アルミニウム、モレキュラーシーブスに代表される合成ゼオライト、モルデナイトやエリオナイト等の天然ゼオライト、パーライト、酸性白土や活性白土等の粘土鉱物、多孔質ガラス、珪酸マグネウム、珪酸アルミニウム、高分子吸着剤、活性炭、活性炭素繊維、モレキュラーシービングカーボン、骨炭等を挙げることができるが、中でも、ゼオライト(天然ゼオライト、合成ゼオライト)、シリカゲル、もしくは酸化アルミニウムが好ましく、さらにゼオライトがより好ましい。これらの物理的水分吸収材は二種以上を併用してもよい。
【0044】
化学的水分吸収材とは、水分との化学反応により、その化学構造中に水分を取り込む物質のことであり、水分吸収後、分解しない限り、水分の再放出がなく、また、吸収速度は小さいが、吸収量が多い特徴を有し、具体的には、酸化カルシウム、酸化バリウム、塩化カルシウム、臭化バリウム、臭化カルシウム、臭化亜鉛、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩化亜鉛、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸バリウム、過塩素酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができるが、中でも、酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、もしくは五酸化二リンが好ましい。これらの化学的水分吸収材は二種以上を併用してもよい。
【0045】
上記の物理的水分吸収材に属するもの、および化学的水分吸収材に属するものは、いずれか一方の部類に属するもののみを使用してもよいが、両方の部類のものを併用することにより、物理的水分吸収材が脱着する水分を、化学的水分吸収材で吸収することが可能になるので、併用することが好ましい。物理的水分吸収材と化学的水分吸収材を併用する際の両者の質量比は、物理的水分吸収材100に対し、化学的水分吸収材が1〜1000であり、好ましくは5〜500、さらに好ましくは10〜300である。化学的水分吸収材が少ないと、物理的水分吸収材中の除去すべき水分を吸収しきれず、また化学的水分吸収材が過剰な場合、物理的水分吸収材中の除去すべき水分を吸収する効果の向上が見込めない。
【0046】
水分吸収層15は、水分吸収層14は厚い方が効果があるが、形成法上の制約から、蒸着等の薄膜形成法によるときは0.05μm〜0.5μm、水分吸収材とバインダ樹脂とからなる厚膜のものをコーティング法等によって形成するときは、0.5μm〜5μm程度であることが好ましい。
【0047】
図2および図3を引用して説明したように、水分吸収層15を、隔壁14の頂部および左右両壁面、または頂部および左右いずれかの壁面に選択的に設けるには、水分吸収材を斜方蒸着することによるか、水分吸収材および感光性バインダ樹脂を含有する感光性組成物を用いた塗布、乾燥、露光および現像等の工程からなるフォトリソグラフィー方式により行なうことが好ましい。なお、物理的水分吸収材に属するもの、および化学的水分吸収材に属するものを併用する場合、水分吸収層15を単一の層として形成してもよいが、物理的水分吸収材を用いた層、および化学的水分吸収材を用いた層の二層に別けてもよい。
【0048】
斜方蒸着は、図6に示すように、蒸着対象物21の法線方向からの蒸着ではなく、蒸着対象物の法線方向とは角度を持った位置に蒸発源22を有する蒸着であり、蒸着対象物21が蒸着源22側に突起部21aを有していると、突起部21aの蒸着源22を向いた面、即ち、図6の場合であれば、突起部21aの頂部および向かって右側の壁面には蒸着が施され、蒸着源22から見て影21bになる向かって左側の壁面、および突起部21aの下部近傍には蒸着が施されないが、蒸着対象物21を逆方向に傾ければ、影になる部分が反対側になるので、最初に蒸着が施されなかった部分に蒸着を施すことができる。従って、突起部21aの高さ、蒸着対象物21の蒸着源22に対する角度等を調製することにより、選択的に蒸着を行なうことができる。図2を引用して説明した例における隔壁14に対する水分吸収層15の形成は、上記のような角度を変えて二度、蒸着を行なう例であり、図3を引用して説明した例における隔壁14に対する水分吸収層15の形成が、いずれかの角度から一度、蒸着を行なう例である。
【0049】
有機EL素子層12は、この有機ELディスプレイ1においては青色発光の有機EL素子層であり、代表的には、(1)発光層単独からなるもの、(2)発光層の透明電極層側に正孔注入層を設けたもの、(3)発光層の背面電極層側に電子注入層を設けたもの、(4)発光層の透明電極層側に正孔注入層を設け、背面電極層側に電子注入層を設けたもの等の種々の構造のものがあり得るが、青色発光が得られる限り、これら以外の構造のものであってもよい。
【0050】
青色発光の有機EL素子層12は、いずれの構造を有するものであるにせよ、(a)注入機能、(b)輸送機能、および(c)発光機能の各機能を併せ持つものである。(a)の注入機能は、電界を印加した際に、陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することが出来る機能であり、(b)の輸送機能は、注入した電荷(電子および正孔)を電界の力で異動させる機能であり、(c)の発光機能は、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能である。
【0051】
青色発光する発光層を構成する発光材料としては、青色から青緑色の発光を得ることが可能なものとして、特開平8−279394号公報に例示されている、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、特開昭63−295695号公報に開示されている金属キレート化オキシノイド化合物、欧州特許第0319881号明細書や欧州特許第0373582号明細書に開示されたスチリルベンゼン系化合物、特開平2−252793号公報に開示されているジスチリルピラジン誘導体、もしくは欧州特許第0388768号明細書や特開平3−231970号公報に開示された芳香族ジメチリディン系化合等物を例示することができる。
【0052】
具体的には、ベンゾチアゾール系としては、2−2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等、ベンゾイミダゾール系としては、2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、もしくは2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等、ベンゾオキサゾール系としては、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、もしくは2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等を例示することができる。
【0053】
金属キレート化オキシノイド化合物としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ[f]−8−キノリノール)亜鉛等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体、もしくはジリチウムエピントリジオン等、スチリルベンゼン系化合物としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、もしくは1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等を例示することができる。
【0054】
ジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル))ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、もしくは2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等、並びに、芳香族ジメチリディン系化合物としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4−フェニレンジメチリディン、2,5−キシレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジルメチリディン、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、もしくはそれらの誘導体を例示することができる。
【0055】
青色発光する発光層を構成する発光材料としては、特開平5−258862号公報等に記載されている一般式(Rs−Q)2 −AL−O−Lであらわされる化合物を例示することができる(一般式中、Lはベンゼン環を含む炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェニラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子であり、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個以上結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表す。)。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、もしくはビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等を例示することができる。
【0056】
以上に例示したような材料からなり、青色発光する発光層の厚みとしては、特に制限はないが、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0057】
正孔注入層を構成する材料としては、従来より非伝導材料の正孔注入材料として使用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知の物の中から任意に選択して使用することができ、正孔の注入、もしくは電子の障壁性のいずれかを有するものであって、有機物、もしくは無機物のいずれであってもよい。
【0058】
具体的に正孔注入層を構成する材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、もしくはチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマー等を例示することができる。さらに正孔注入層の材料としては、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、もしくはスチリルアミン化合物等を例示することができる。
【0059】
具体的には、ポルフィリン化合物としては、ポルフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、アルミニウムフタロシアニンクロリド、もしくは銅オクタメチルフタロシアニン等、芳香族第三級アミン化合物としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、もしくは4,4’,4”−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等、を例示することができる。
【0060】
以上に例示したような材料からなる正孔注入層の厚みとしては、特に制限はないが、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0061】
電子注入層を構成する材料としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、もしくはオキサジアゾール誘導体のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、もしくはジスチリルピラジン誘導体等を例示することができる。
【0062】
以上に例示したような材料からなる電子注入層の厚みとしては、特に制限はないが、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0063】
背面電極層13は、有機EL素子層12を発光させるための一方の電極(カソード)をなすものである。背面電極層13は、仕事関数が4eV以下程度と小さい金属、合金、もしくはそれらの混合物から構成される。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、もしくはリチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等を例示することができる。これらのうちでも、電子注入性および電極としての酸化等に対する耐久性を考慮すると、電子注入型金属と、これより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物が好ましく、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、もしくはリチウム/アルミニウム混合物を用いることがより好ましい。
【0064】
このような背面電極層13は、シート抵抗が数百Ω/cm以下であることが好ましく、厚みとしては、10nm〜1μm程度が好ましく、より好ましくは、50〜200nm程度である。
【0065】
本発明の有機ELディスプレイ1は、図1に示したような断面構造のものを下側から順に積層して製造してもよいが、オーバーコート層8を設ける対象となる面に存在する凹凸、オーバーコート層8を通常のコーティング法により形成する際に生じる塗膜の凹凸の問題があり、用いる塗料組成物の改良等により、多少の改善を行なえても、オーバーコート層8の上面の平滑性が万全とは言えない。
【0066】
オーバーコート層8をコーティング法により形成する際には、塗膜の被塗布対象物とは反対側の面(塗膜の表面と称する。)が空気中に露出していて、何ら規制を受けないため、このような問題が生じるのであるが、この面を被覆して規制することにより、上記のような問題が解消し得る。例えば、塗膜の表面を平滑面を有するフィルムで被覆したまま硬化させ、硬化後、フィルムを剥離する方法を採れば、フィルムの平滑面の形状が転写して、硬化した塗膜の表面が得られるが、この方法では、溶剤等の大気中への飛散が不可能なので、用いる塗料組成物は、無溶剤型の電離放射線硬化性のものが好ましい。この場合、電離放射線の照射は下層のCCM層7内の発光材料を劣化させないよう、過度にならないことが必要である。
【0067】
あるいは、オーバーコート層8を、研摩した金属板や金属板等の板状物に金属メッキを施して形成した平滑面を有する仮基材上に形成した転写体を作成して、オーバーコート層8を転写すると、オーバーコート層8の上面の平滑性が向上するので好ましく、好ましくは、オーバーコート層8、CCM層7、およびブラックマトリックス5の各層を転写層とするか、もしくは、オーバーコート層8、CCM層7、補正用カラーフィルター層6、およびブラックマトリックス5の各層を転写層とする色変換部転写体であることがより好ましい。パッシベーション層9を上記仮基材上に最初に形成しておけば、パッシベーション層9も共に転写することができる。なお、転写の際には、転写体または/および被転写体に透明接着剤を適用して行なうとよい。
【0068】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、発光部の隔壁の頂部および少なくとも片側の壁面に水分吸収層が積層されているので、隔壁のみならず、色変換部に由来する含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層に与える影響を回避することが可能な有機ELディスプレイを提供することができる。 請求項2の発明によれば、透明電極層上の前記絶縁層の間、並びに前記隔壁の頂部に水分吸収層が積層されているので、色変換部および隔壁に由来する含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層に与える影響を回避することが可能であり、しかも、水分吸収層を通常の蒸着により形成するのに適した有機ELディスプレイを提供することができる。
請求項3の発明によれば、透明電極層の絶縁層が形成されていない部分および隔壁の頂部および両壁面に水分吸収層が積層されているので、色変換部および隔壁に由来する含有水分もしくは吸着水分が有機EL素子層に与える影響をいずれも回避することが可能であり、しかも、水分吸収層をスパッタ成膜法等のエネルギー分布の広い成膜法により形成するのに適した有機ELディスプレイを提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3いずれかの発明の効果に加え、色変換部に色補正用カラーフィルター層が加わったことにより、色変換蛍光体層により変換された光をさらに補正して、所定の帯域内の光を取り出し、ディスプレイの演色性を高めることが可能な有機ELディスプレイを提供することができる。
請求項5の発明によれば、請求項1〜請求項4いずれかの発明の効果に加え、発光部の有機EL素子層および背面電極層が隔壁の頂部に形成された構造としてので、隔壁上のこれらの層を除去する工程を省くことが可能な有機ELディスプレイを提供することができる。
請求項6の発明によれば、請求項1〜請求項5いずれかの発明の効果に加え、オーバーコート層の上面にパッシベーション層が積層された構造を有するので、有機EL素子層への下方の各層の含有水分もしくは吸着水分が透過するのを遮断する性能が向上した有機ELディスプレイを提供することができる。
請求項7の発明によれば、請求項1〜請求項6いずれかの発明の効果に加え、水分吸収層が具体的な水分吸収材で構成されているか、もしくは水分吸収材を含有するバインダ樹脂から構成されているので、水分吸収層の機能を確実に発し得る有機ELディスプレイを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色変換部側に水分吸収層を有する例を示す断面図である。
【図2】隔壁表面に水分吸収層を有する有機ELディスプレイの断面図である。
【図3】隔壁頂部および片側壁面に水分吸収層を有する例を示す断面図である。
【図4】隔壁頂部および隔壁の間に水分吸収層を有する例を示す断面図である。
【図5】隔壁表面および隔壁の間に水分吸収層を有する例を示す断面図である。
【図6】斜方蒸着法を示す概念図である。
【図7】従来のCCM方式の有機ELディスプレイを示す断面図である。
【符号の説明】
1 有機ELディスプレイ
2 透明基材
3 発光部
4 色変換部
5 ブラックマトリックス
6 補正用カラーフィルター層
7 CCM(色変換蛍光体)層
8 OC(オーバーコート)層
9 パッシベーション層
10 透明電極層
11 絶縁層
12 有機EL素子層
13 背面電極層
14 隔壁
15 水分吸収層
Claims (7)
- 透明基材上に、ブラックマトリックス、色変換蛍光体層、およびオーバーコート層が順に積層された色変換部と、透明電極層、前記ブラックマトリックスに対応して積層された絶縁層、前記絶縁層上に積層された隔壁、少なくとも前記透明電極層上の前記絶縁層および前記隔壁以外の部分に、有機EL素子層、および背面電極層が積層された発光部とが、順に積層されており、前記隔壁の頂部および少なくとも片側の壁面に水分吸収層が積層されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
- 透明基材上に、ブラックマトリックス、色変換蛍光体層、およびオーバーコート層が順に積層された色変換部と、透明電極層、前記ブラックマトリックスに対応して積層された絶縁層、前記絶縁層上に積層された隔壁、少なくとも前記透明電極層上の前記絶縁層および前記隔壁以外の部分に、有機EL素子層、および背面電極層が積層された発光部とが、順に積層されており、前記透明電極層上の前記絶縁層の間、並びに前記隔壁の頂部に水分吸収層が積層されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
- 透明基材上に、ブラックマトリックス、色変換蛍光体層、およびオーバーコート層が順に積層された色変換部と、透明電極層、前記ブラックマトリックスに対応して積層された絶縁層、前記絶縁層上に積層された隔壁、少なくとも前記透明電極層上の前記絶縁層および前記隔壁以外の部分に、有機EL素子層、および背面電極層が積層された発光部とが、順に積層されており、前記透明電極層上の前記絶縁層の間、並びに前記隔壁の頂部および両壁面に水分吸収層が積層されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
- 前記色変換部が、前記色変換蛍光体層と前記オーバーコート層との間に色補正用カラーフィルター層を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれか記載の有機ELディスプレイ。
- 前記隔壁の頂部に、さらに有機EL素子層、および背面電極層が積層されていることを特徴とする請求項1〜請求項4いずれか記載の有機ELディスプレイ。
- 前記オーバーコート層が上面にパッシベーション層が積層されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項5いずれか記載の有機ELディスプレイ。
- 前記水分吸収層が、酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、五酸化二リン、ゼオライト、シリカゲル、もしくは酸化アルミニウムから選択された水分吸収材からなるものであるか、または、前記水分吸収材を含有するバインダ樹脂からなるものであることを特徴とする請求項1〜請求項6いずれか記載の有機ELディスプレイ。
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