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JP4242914B2 - クロム検出用試薬 - Google Patents
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本発明は、廃木材等建設資材の表面に付着している人体に有害な重金属類を検出する試薬に関し、特にCrを発色反応により検出可能なジフェニルカルバジドの溶解性、発色性を高め、かつ安定度、保存性を高めて市販可能なものとしたクロム検出用試薬に関する。
近年、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化に関する法律)が施行され、建設資材廃棄物の分別解体と再資源化が義務付けられている。建設資材廃棄物の例としては、石材、コンクリート、アスファルト、プラスチック類、そして木材類があるが、とりわけ廃木材の再資源化には問題点がある。即ち、廃木材は、家屋に使用されている板材、柱材の他に床下に敷設されている束や梁が存在し、これらに防腐剤や防蟻剤が散布されている関係で有害な6価クロムや銅等重金属類が含まれていることがあるからである。
これら問題点を有するがため、解体分別を諦めて木材チップ化し発電に利用しようという考え方もある。しかし、廃木材中には樹齢百年を超す高強度木材や欅類など高級材が含まれるものであり、これらは是非再利用したい所である。
そこで、廃木材に関して解体分別を行うと共に、主要廃木材に関してはクロム、銅、ヒ素化合物系薬剤(以下、CCA薬剤と略称する)の付着を検出し、重金属類が付着していない木材のみを再利用することが考えられている。
CCA薬剤の有無を判定する手法としては、JAS(日本農林規格)の枠組壁工法構造用製材規格が定められている。これは、ジフェニルカルバジドをイソプロピルアルコールで溶解し、これに水を加えて検出薬とし、これを被検査品の表面に塗布して発色反応によりCCAの有無を知るというものである。同様に、JIS(日本工業規格)K0102では、ジフェニルカルバジドを水とアセトンに溶解し、水中に投与して水質検査する方法が示されているので、これを木材表面に塗布することによりCCA薬剤を検出することが可能である。しかしながら、これら試薬はCCA薬剤を検出可能ではあるものの、試験室内での利用のみ可能で現場利用ができなかった。保存性が極めて悪く、調合後、例えばその日の内に使用せねばならぬからである。再資源化可能か否かの判定の必要性は解体現場で生ずるものであり、長さ3〜4mの分別品を一々試験場に持ち込むことは不可能である。
特開2003−270137号公報に示される光学式方法は、廃木材の表面に光を照射し、その反射光をフィルタを介して反射強度を計測し、Cu、Cr、Asを検出しようというものである。この手法は、近赤外分光光度法を用い、クロム、銅、ヒ素を同時に検出できるため、非常に信頼性の高い手法であるが、装置が高価であり、手軽に購入するのが難しい。
又、北海道立林産試験場が公開している非特許文献1には、クロムアズロールSを含む検出試薬により、CCA木材を検出する方法が紹介されている。クロムアズロールSは銅の検出試薬であり、銅を検出する事によりCCAを含有する木材を分別可能だとしている。しかし、銅はCCA以外の現行の銅系防腐・防蟻剤にも含まれているため、この方法ではCCAを検出する試薬として不十分である。
一方、ヒ素を検出する方法としてはJISK0102で紹介されているが、繁雑な操作を必要とするもので、簡便な試薬とする事は不可能である。又、ヒ素を検出する方法としては、酸化モリブデン青比色法が知られている。これは、モリブデン酸塩とヒ素化合物が反応し、青色に呈色する事を利用する方法であるが、モリブデン酸塩は、リン酸塩及びシリカの検出法にも用いられている。従って、リンを多量に含む生物由来で、シリカを主成分とする岩石や土壌に触れている木材にこの方法を適用する事はできない。なお、CCA以外に、クロムとヒ素を両方含む木材用防蟻・防腐剤としてPF剤が知られており、クロムを検出すればヒ素を含むCCA及びPF剤の両者を検出することができる。
これら問題点を解決すべく特開2004−257871号公報(廃木材の薬剤含有判定方法)が紹介されている。これは、発色試薬を用いる方法で、廃木材の表面に試薬を塗布し、その発色によってCCA薬剤の含有を知るというものであり、解体業者等現場での適用が可能であり実用性が高いとされている。しかしながら、この発色試薬は、溶媒に多量の酢酸を用いているために特異な酢酸臭があり、製造上の衛生管理の問題点と、試薬を使用する作業者に著しい不快感を与えてしまうという問題点があった。また、試薬製造時におけるジフェニルカルバジドの溶解時間が約5分程度かかり、製造に手間がかかる。さらに、溶解力が十分でなく析出量が多くて早期に品質劣化し、実用化に多くの問題点を残していた。
ジフェニルカルバジドは、非常に不安定であるため、溶媒中に溶け込んでいる溶存酸素によって酸化され、試薬調合後、数時間乃至数日で淡桃色乃至濃赤色に変色、劣化してしまう。冷蔵庫などの冷暗所に保存しても保存期間は約1週間が限度である。このため、事実上、使用者がCCA廃木材を検査する現場で試薬を調合する必要があり、この点からも実用性に問題点が残っていた。
特開2003−270137号公報、第1頁、図1 特開2004−257871号公報、第1頁 家屋解体工事におけるCCA処理木材分別の手引き、平成16年11月、北海道立林産試験場
本発明は、上記背景技術に鑑みて、ジフェニルカルバジドの溶解度及び発色度の改善に加えて保存性を長くすることにより、容器充填できて現場に供給可能であり、解体、分別現場にて刷毛塗り又はスプレー仕様にて簡易に使用可能なクロム検出用試薬を提供することを目的とする。
本発明に係るクロム検出用試薬は、ジフェニルカルバジドをアセトン又は及びエタノールを含めた溶剤中に溶解すると共に、さらに、水と、酸化防止剤としてL(+)−アスコルビン酸、L(+)−アスコルビン酸ナトリウム、L(+)−アスコルビン酸2−グルコシド、L(+)−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L(+)−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、α(±)−トコフェロールから選ばれた1又は複数のビタミン類又は及びエリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムを含む化合物郡から1又は複数の化合物と、を含めたことを特徴とする。
本発明に係るクロム検出用試薬は、発色強化剤として、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸又は酒石酸の中から選ばれた1種以上の有機酸を含めたことを特徴とする。
ジフェニルカルバジドをアセトン又は及びエタノールを含めた溶剤中に溶解すると共に、発色強化剤として、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸又は酒石酸の中から選ばれた1種以上の有機酸を含める場合には、悪臭問題を発生することなく発色性を高めたクロム検出用試薬を衛生的に製造することができ、現場使用にも悪影響を出すことがない。
ジフェニルカルバジドを水及び有機溶剤中に溶解すると共に、発色強化剤として有機酸を加え、さらに酸化防止剤としてビタミン類を含めたクロム検出用試薬によれば、2、3分程度での高度の発色性を具現でき、しかも長期保存できるので、刷毛塗り又はスプレー仕様等により現場利用可能の商品とすることができる。
第1に、本発明に係るクロム検出用試薬は、ジフェニルカルバジドをアセトン及びエタノールを含む溶剤中に溶解させたことを特徴とする。ジフェニルカルバジドをアセトン及びエタノールを主成分とする溶剤に溶かすことにより、ジフェニルカルバジドの溶解度(溶解速度及び非析出度)を格別高くすることができる。
本発明者の鋭意研究によると、JAS、JISに規定のジフェニルカルバジドは、各種有機溶剤に可溶ではあるものの、溶剤種別によって溶解度に差があり、JAS規定のイソプロパノール、JIS規定のアセトンでは不十分である。また、特許文献2記載のエタノール及び酢酸との組合せによっても不十分であった。そこで、有害性の比較的少ない各種溶剤の組合せによる相乗効果を狙って配合テストを行った結果、アセトン及びエタノールの組合せにて最大溶解効果があることをつきとめた。ジフェニルカルバジドをアセトン及びエタノールの組合せ溶剤に溶解させることにより、溶解速度及び溶解量を従来例に比べ2倍、3倍に増加させることができ、これにより配合後の析出を防止できる。
第2に、本発明に係るクロム検出用試薬は、ジフェニルカルバジドをアセトン又は及びエタノールを含めた溶剤中に溶解すると共に、発色強化剤として、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸又は酒石酸の中から選ばれた1種以上の有機酸を含めたことを特徴とする。
特許文献2に示される酢酸は、溶解度を向上させる他発色強化剤として作用するものの、これを溶剤代わりに大量に使用する場合には悪臭が強く実用性に問題が生じる。この難点を解消すべく本発明者は、ジフェニルカルバジドの溶解は第1の発明としてのアセトン及びエタノールにまかせ、有機酸には発色強化の作用のみを担当させることとした。そしてまた、悪臭作用のある酢酸に代え、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、酒石酸の中から選ぶこととした。これら有機酸は酢酸と異なり常温にして固体であり、そもそも溶剤の役目を為すものではない。これにより、悪臭なく、発色性を2、3分程度で視認可能とし、かつ保存維持可能のクロム検出用試薬を完成するに至った。
第3に、本発明に係るクロム検出用試薬は、ジフェニルカルバジドを水及び有機溶剤中に溶解すると共に、発色強化剤として有機酸を加え、さらに酸化防止剤としてL(+)−アスコルビン酸類(ビタミンC類)、又は及びα(±)−トコフェロール(ビタミンE類)、又は及びL(+)−アスコルビン酸の構造異性体であるエソソルビン酸類を含めたことを特徴とする。ビタミンC類としては、純粋なビタミンCでなくとも、レモン、ミカン等柑橘類又は他の果実類又は野菜類等の汁等を加えることも可能である。
ビタミン類を含めることにより、酸化防止され、保存性が格別向上する。これを含めない場合は、せいぜい数日もするとジフェニルカルバジドの溶液が着色して使用不能となるのに対し、ビタミン類を少量添加すると、3ヶ月以上経っても何の変化もない。ただし、ビタミン類を余りに多く添加するとジフェニルカルバジドの発色性を阻害するので、その使用可能範囲はジフェニルカルバジド100重量%に対し1〜200重量%の範囲とする。好ましくは5〜30重量%、最適には10〜20重量%である。有機酸として酢酸を含めることは可能であるが、この場合は悪臭を発生しない量として、ジフェニルカルバジド1重量部に対し10重量部程度に制限すべきである。
〔実施例1〕
第1の発明に対する実施例配合を実施例1として表1、図1に示す。表1に示すように、ジフェニルカルバジド0.5gをアセトン10ml及びエタノール15mlの溶剤中に溶解させたものである。比較例1は、JASに規定のものとしてジフェニルカルバジド0.25gをイソプロパノール25mlに溶解させたものである。比較例2は、JISに規定のものとしてジフェニルカルバジド0.5gをアセトン25mlに溶解させたものである。比較例3は、特許文献2によるもので、ジフェニルカルバジド0.25gをエタノール12.5mlと酢酸12.5mlの混和液に溶解させたものである。
Figure 0004242914
表1中に溶解時間(秒)として示すように、本発明の実施例1のものは、低温(18℃)にて溶解時間60秒で、比較例1、2、3に対し容易、迅速に溶解している。比較例1に示したJAS規格の場合、ジフェニルカルバジド0.25gをイソプロパノール25mlに加え攪拌した結果、室温で10分経過しても溶解せず、改めて温湯中で64℃まで加熱して222秒でようやく溶解した。比較例2に示したJIS規格の場合、ジフェニルカルバジド0.5gをアセトン25mlに加え攪拌した結果、室温で75秒で溶解した。特許文献2のものを当社で確認した場合、ジフェニルカルバジド0.25gを12.5mlの酢酸と12.5mlのエタノールを混合した溶媒に加え攪拌した結果、83秒で溶解した。これらの結果から本発明の有効性が解る。しかも、本発明のものは表1に示すように、溶解したジフェニルカルバジドの量が、単位溶剤量に対して高く、アセトン及びエタノールの相乗効果が大きく出ている。溶解速度が速く、溶解度が高く、析出が低い。
〔実施例2〕
第2の発明に対する実施例を実施例2として表2及び図2に示した。表2中の実施例2は、実施例1に準じた配合にグリコール酸を加えたもので、1.5gのジフェニルカルバジドと5gのグリコール酸をアセトン30ml及びエタノール45ml、水25mlに溶解したものである。比較例4、5、6は、比較例1、2、3のものの2倍量に夫々水を50ml加えたものである。溶解性に関しては、先の実施例1で示したものと同様である。
Figure 0004242914
図2は、別に調製した2mg−Cr/Lの6価クロム溶液3mlに、各試薬0.3mlを加えたものを、分光光度計にて波長540nmの吸光度(発色度)を測定したものである。実施例2のものは、比較例5、6に対し発色度が高い。即ち、60秒で1.4の値を示している。比較例4に対しては略同等であるが、実施例1の方がより高い。
本発明の試薬は最も発色度が高く、しかも発色速度が早いことがわかる。このことは、木材表面に塗布したとき、2、3分程度で結果を知ることができることを意味し、実用性が高いことが解る。
〔実施例3〕
第3の発明に対する実施例を表3、図3に示す。表3の配合は、表2で示した実施例2の配合のグリコール酸をリンゴ酸とし、これに酸化防止剤としてのビタミンC0.2gを加えたものである。比較例7、8、9は、先に示した比較例4、5、6のものに故意にビタミンC0.2gを加えてみたものである。
Figure 0004242914
表3に示したように、溶解性については、実施例3及び比較例9のものは問題ないが、比較例7のものは著しく析出し、溶かした量の約半分が析出した。実施例8のものは溶かした量の約1/3から半分が析出した。
図3は、実施例3及び比較例7、8、9の発色試験の結果を示す。図示のように、本発明の実施例3以外は、著しく発色度が低下しているが、本発明のものは、発色度の低下が軽微であることがわかる。このことから、本発明の試薬は既存の試薬に対して優位性が高いことがわかる。即ち、ビタミンCを添加すると一般に発色度は低下するのであるが、溶解度を高くし、有機酸を加えた本発明のものは発色度の低下は軽微であることが解る。
〔実施例4〕
第3の発明に対するもう1つの実施例を表4及び図4に示す。実施例4はジフェニルカルバジド1.0gにビタミンCを0.2g、クエン酸5gを添加し、これをエタノール75ml、水25ml中に溶解したものである。比較例5、6は、表2に示した比較例5、6のものと同一である。実施例4の溶解性は実施例3のものと同様良好であった。
Figure 0004242914
図4は、各試薬をセルに入れ、分光光度計にて波長540nmの吸光度(劣化度)を測定したものである。図から理解されるように、ビタミンCの効果は覿面であり、実施例4のものは、84日経過後も何らの変化がなく、析出もない。本発明者は、この実験条件下で目視で着色が確認できた際の吸光度は約0.03程度であることを確認している。本発明のビタミンCを加えた試薬は、84日(=12週間=約3ヶ月)経過しても劣化度が0.01前後の値を維持している。これに対し、ビタミンCを加えていないものは、2〜3日で吸光度が0.03を超えており、速やかに劣化されているのを確認した。従来のJAS規格、JIS規格、特許文献2の試薬にビタミンCを加えたものは、発色性が著しく損なわれているのに対し、本発明試薬は、ビタミンCを加えてもさほど発色性が損なわれていない。
このように、本発明は、従来の試薬では、数日で劣化しており保存安定性が全く無かったところを、適切な溶媒と有機酸を加え配合することと、酸化防止剤を適量加えることにより、約3ヶ月以上の長期の保存を可能とし、実用化の道を開いたものである。
本発明の試薬は、ジフェニルカルバジドの溶解性、発色速度及び発色性、保存安定性の何れも既存の試薬に対し優位性が高く、総合的に見て非常に優れたものとなっており、実用性が格段に高くなった。
本発明のクロム検出用試薬は、塗料容器やスプレー缶に充填して建設、解体の業者等現場に提供することにより、例えば廃木材等に一寸一吹きするだけで迅速にクロムの検出を容易、安価、迅速に行うことができる。酢酸臭もなく衛生的に手軽に使用できる。
クロムを検出できなかった廃木材に対しては、これがクロムを検出できず、少なくとも6価クロムは含まれていないことの検出済みシールを貼付することを推奨する。これにより、有用再資源物の安心利用の道が開かれる。JISに準じた試薬として水質検査にも利用可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形して実施でき、各種態様で実施できる。適用分野も廃木材に限定されず、その他の廃材、その他の材料に広く適用できる。
本発明(第1の発明)の溶解性能を示すグラフで、横軸は時間(秒)を、縦軸は溶解量(g)を示す。 本発明(第2の発明)の発色性能を示すグラフで、横軸は時間(秒)を、縦軸は発色度を示す。 本発明(第3の発明)の発色度の非低減性能を示すグラフで、横軸は時間(秒)を、縦軸は発色度を示す。 本発明(第3の発明)の保存性能を示すグラフで、横軸は時間(日数)を、縦軸は発色度を観察しての劣化度合で示す。

Claims (2)

  1. ジフェニルカルバジドをアセトン又は及びエタノールを含めた溶剤中に溶解すると共に、さらに、水と、酸化防止剤としてL(+)−アスコルビン酸、L(+)−アスコルビン酸ナトリウム、L(+)−アスコルビン酸2−グルコシド、L(+)−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、L(+)−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、α(±)−トコフェロールから選ばれた1又は複数のビタミン類又は及びエリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムを含む化合物郡から1又は複数の化合物と、を含めたことを特徴とするクロム検出用試薬。
  2. 請求項1に記載のクロム検出用試薬であって、
    発色強化剤として、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸又は酒石酸の中から選ばれた1種以上の有機酸を含めたことを特徴とするクロム検出用試薬。
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