JP4244301B2 - 増設布基礎工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の増設布基礎工法に係り、詳しくは、連続一体に閉じた増設布基礎を既存布基礎の外側面に隣接して構築する増設布基礎工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既存建築物に新たな建築物を構築する際、図6に示すように、既存建築物の既存布基礎101と新たに構築する平面視でコの字型の増設布基礎102とを連結する。この場合、図7に示すように、既存布基礎101に差し筋アンカー103を打ち込み、増設側の鉄筋104と重ね継ぎ手を行う施工方法が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、既存建築物に新たな建築物を構築する場合に備えて予め既存布基礎の外側面に接続部材を埋設する施工方法も用いられる。この場合、既存布基礎の鉄筋の端部に接続された高ナットが既存布基礎の外側面に埋設され、該高ナットに増設側の鉄筋を接続し平面視でコの字型の増設布基礎を構築する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、図8に示すように、既存布基礎101のはつる部分を少なくし、平面視でロの字型の新たな増設布基礎105を構築する施工方法も用いられる。この場合、図9に示すように、既存布基礎101の斜線部106をはつり落とし、既存布基礎101のベース鉄筋107の上に増設側の立ち上り鉄筋108を載置する。既存布基礎101のはつり面にホールインアンカーや寸切ボルト等の連結部材109を打ち込む。その後、該連結部材109に金具を用いて型枠を設置し、増設布基礎105を構築する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−145164号公報(第1−3頁、図4−図9)
【特許文献2】
特開2000−248557号公報(第5−9頁、図6−図8)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の平面視でコの字型の増設布基礎102を差し筋アンカー103を打ち込み構築する施工方法においては、既存布基礎101と増設布基礎102との連結部は簡易な固定面となっており、既存布基礎101と増設布基礎102との連続一体性が殆ど考慮されていない。つまり、増設布基礎102が既存布基礎101と密着固定されず、既存布基礎101と連続一体に閉じていないので、風や地震等による水平力により作用する転倒モーメント等に対して充分な強度及び剛性が確保できず、増設布基礎102に浮き上がりや水平移動等の不具合が生じるおそれがあった。
【0007】
また、上記従来の予め既存布基礎の外側面に接続部材を埋設する施工方法においては、将来の増設を見越し接続部材を埋設した既存布基礎に対してのみ有効な施工方法であり、それ以外の既存布基礎に対して増設布基礎を連結することはできなかった。
【0008】
また、上記従来の既存布基礎101のはつる部分を少なくして平面視でロの字型の増設布基礎105を構築する施工方法においては、はつる部分を少なくしてはいるが、現場で既存布基礎101をはつる必要がある。そのため、騒音や粉塵等の発生により住人が居住したまま施工作業を行うことができなかった。また、はつる際に、既存布基礎101のベース鉄筋107等を傷つけたり、既存建築物に悪影響を及ぼすことがあった。
【0009】
本発明は、上記した事情や問題に鑑みてなされたものであり、予め増設に備えた構造を具備しない既存布基礎に対して、既存布基礎をはつることなく充分な強度と剛性を確保するとともに一体性を確保することができる新たな増設布基礎を構築する増設布基礎工法を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の増設布基礎工法は、既存建築物の布基礎に隣接して新たな建築物の増設布基礎を構築する増設布基礎工法において、前記既存建築物の布基礎の外側面に前記新たな増設布基礎を密着固定するための連結部材を打ち込み、該連結部材に取付けられる長穴を有する連結部材取付片と、該連結部材取付片の端部から前記外側面と反対方向へ直角方向に延出した格子状鉄筋を支持する鉄筋載置片と、該鉄筋載置片の端部から前記連結部材取付片と反対方向へ直角方向に延出し前記外側面と型枠との間の距離を調節可能に所定距離を開けて該型枠を支持するための型枠受金具を取付ける型枠受金具取付片と、からなる鉄筋受金具を、前記連結部材に取付け、該鉄筋受金具で前記格子状鉄筋を支持するとともに前記外側面と所定距離を開けて前記型枠受金具で前記型枠を支持した後、当該外側面と当該型枠との間にコンクリートモルタルを打設して形成して前記既存建築物の布基礎の外側面に隣接する新たな増設布基礎を当該外側面と密着固定して一体となるように構築し、更に当該新たな増設布基礎を含む連続一体に閉じた新たな増設布基礎を構築することを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の増設布基礎工法は、前記既設建築物の布基礎と前記鉄筋受金具との間にモルタルを敷き込むことを特徴としている。
【0012】
請求項3記載の増設布基礎工法は、前記連結部材がホールインアンカーとボルトであることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る増設布基礎工法について、図面に基づいて説明する。該増設布基礎工法は、図1に示すように、既存布基礎1の外側面3に隣接させ連続一体に閉じた新たな増設布基礎2を構築する工法である。
【0015】
既存布基礎1の増設側のベース部分の根伐り、底均、遣方等の準備作業の後、図2に示すように、既存布基礎1の立ち上がり部の外側面3にホールインアンカー4を所定の間隔で打ち込み埋設する。該ホールインアンカー4にそれぞれ長寸のボルト5を取付ける。ホールインアンカー4とボルト5とが、既存布基礎1と増設布基礎2との連結部材となる。
【0016】
なお、前記ボルト5をホールインアンカー4に取付けるとき、図2および図3に示すように、所定のボルト5には予めナット6と鉄筋受金具7とを仮取付けする。該鉄筋受金具7は、一片の金属板からなり孔開け加工及び折曲げ加工により形成される。鉄筋受金具7は、図4に示すように、前記ボルト5に取付けられる連結部材取付片71と、該連結部材取付片71の端部から既存布基礎1の外側面3と反対方向へ直角方向に延出した鉄筋載置片72と、該鉄筋載置片72の端部から連結部材取付片71と反対方向へ直角方向に延出した型枠受金具取付片73とからなる。連結部材取付片71にはボルト5を挿通するための長孔74が貫設され、型枠受金具取付片73には孔75が貫設される。
【0017】
既存布基礎1に隣接する増設布基礎2の骨組となる格子状鉄筋11を、前記鉄筋載置片72に載置し支持する。格子状鉄筋11を所定高さに設置するため、該格子状鉄筋11が載置される鉄筋載置片72の上面が既存布基礎1の基準天端面から所定の高さ位置となるように、前記鉄筋受金具7の取付け高さを長孔74により調節し、連結部材取付片71を既存布基礎1の外側面3に接面させ、前記ナット6により鉄筋受金具7を前記ボルト5に取付ける。既存布基礎1に隣接しない増設布基礎2の骨組となる格子状鉄筋12、および格子状鉄筋11と格子状鉄筋12とを連結し補強するL字状やU字状の補強鉄筋13を、図3に示すように設置する。格子状鉄筋12が既存布基礎1のベース部と干渉する場合には、格子状鉄筋12を切断し干渉を避ける。
【0018】
配筋後もしくは配筋前に、前記鉄筋受金具7に型枠受金具8を取付ける。該型枠受金具8は、図5に示すように、雄ねじが形成された長寸の丸棒81と、該丸棒81の端面に固着する型枠受部82とからなる。丸棒81にナット9を1つ仮取付けした後、鉄筋受金具7の型枠受金具取付片73の孔75に、型枠受金具8の丸棒81を挿通する。型枠受部82は、既存布基礎1に隣接する増設布基礎2のためのメタルフォームからなる型枠14の下側面を支持するため、上側が開口したコの字型の断面を有する。なお、型枠受部82の断面は、図5に示すように、上側および下側が開口したH字型でもよい。支持する型枠14と既存布基礎1の外側面3とのなす距離が、所望の増設布基礎2の厚みとなるように調整した後、型枠受金具取付片73の両側から前記ナット9と新たなナット9とにより固定し、鉄筋受金具7に型枠受金具8を取付ける。なお、型枠14の重量により鉄筋受金具7が変形し、型枠受金具8の設置位置が所定位置から下がることを防止するために、例えば図2に示すように、鉄筋受金具7の下側にモルタル10を敷き込む。また、鉄筋受金具7と既存布基礎1のベース部との間に支持棒を入れて、もしくは鉄筋受金具7をボルト5を介して針金等により拘束して、鉄筋受金具7を支持することにより型枠受金具8の下がりを防止してもよい。
【0019】
なお、型枠14を支持する手段は、鉄筋受金具7に取付けた型枠受金具8によることに限定されず、既存布基礎1の外側面3と所定距離を開けて型枠14を支持することができる手段であればよい。例えば、鉄筋受金具7の型枠受金具取付片73の端部から連結部材取付片71と反対方向へ直角方向に延出する型枠受片を設け、該型枠受片の上面に型枠14を支持するための平行な突起片を設け、型枠14を支持してもよい。
【0020】
型枠受金具8の型枠受部82により型枠14を支持し設置するとともに、既存布基礎1に隣接しない増設布基礎2のための型枠を設置し、これら型枠の中にコンクリートモルタルを打設して増設布基礎2を形成する。なお、錆を防ぐためにコンクリートモルタルと直接接触しないよう、露出する前記ボルト5のねじ部にビニールテープを巻き付ける。また、既存布基礎1の外側面3に隣接する増設布基礎2の天端レベルが、既存布基礎1の天端から100mm程低くなるように施工すれば、納まりがよい。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態の増設布基礎工法によれば、連続一体に閉じた新たな増設布基礎2を構築する。よって、増設布基礎2が連続一体に閉じているので、風や地震等による水平力により作用する転倒モーメント等に対して充分な強度及び剛性を確保でき、増設用布基礎2に浮き上がりや水平移動等の不具合が生じるおそれを解消することができる。なお、連続一体に閉じた新たな増設布基礎2は、図1に示すような、既存布基礎1の外側面3に隣接させ構築した新たな増設布基礎を一辺とする平面視でロの字型の新たな増接布基礎に限定されない。既存布基礎1の外側面3に隣接させ構築した新たな増設布基礎を含む連続一体に閉じた新たな増設布基礎2であればよく、例えば、平面視で隅部に斜部や凹部を有する新たな増設布基礎を構築してもよい。
【0022】
また、連続一体に閉じた新たな増設布基礎2を既存布基礎1の外側面3に隣接させ構築するので、既存布基礎1をはつることなく増設布基礎2を構築することができる。よって、騒音や粉塵等の発生を防止できるため住人が居住したまま施工を行うことができ、基礎工事中に外壁や床の解体を必要とせず内装に影響を与えないので、施工が簡易化し施工コストを削減できる。また、既存建築物に悪影響を及ぼすことがないとともに、既存布基礎1の鉄筋のはつり出しがないので、顧客に不安を与えないようにすることができる。
【0023】
また、既存布基礎1の外側面3に連結部材を打ち込み、連続一体に閉じた増設布基礎2を連結し既存布基礎1の外側面3に密着固定する。よって、従来平面視でコの字型の新たな増設布基礎102を構築する場合の固定面に比較して固定面が連続しているため広くなり、連結部材を広範囲に渡って設けることができるので、必要強度に応じた所望の連結部材を設置することができる。従って、既存布基礎1と増設布基礎2との固定面に既存布基礎1と同等の強度を与えることができ、既存布基礎1と増設用布基礎2との連続一体性を向上できる。また、既存布基礎1に連結部材を増設時に設けることができるので、既存布基礎1が予め増設に備えた構造を具備する必要がないため、増設可能な既存布基礎1の対象を広げることができる。
【0024】
また、既存布基礎1の外側面3にホールインアンカー4を打ち込み、それにボルト5を取付けることにより連結部材を構成しているので、所望の位置に連結部材を容易に設けることができ、施工コストを削減できる。
【0025】
また、連結部材であるボルト5に取付けた鉄筋受金具7が、格子状鉄筋11を支持する役割と型枠14を支持する型枠受金具8を取付ける役割とを兼用するので、施工が簡易化し施工コストを削減できる。
【0026】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、請求項1の増設布基礎工法によれば、連続一体に閉じた新たな増設布基礎を構築するので、風や地震等による水平力によって作用する転倒モーメント等に対して充分な強度及び剛性を確保でき、新たな増設布基礎に浮き上がりや水平移動等の不具合が生じるおそれを解消することができる。また、新たな増設布基礎を既存建築物の布基礎の外側面に隣接させ構築するので、既存建築物の布基礎をはつる必要がないため、騒音や粉塵等の発生を防止し住人が居住したまま施工を行うことができ、基礎工事中に外壁や床の解体を必要とせず内装に影響を与えないので、施工が簡易化し施工コストを削減できる。また、既存建築物に悪影響を及ぼすことがないとともに、既存建築物の布基礎の鉄筋のはつり出しがないので、顧客に不安を与えないようにすることができる。さらに、既存建築物の布基礎の外側面に隣接する新たな増設布基礎を外側面と密着固定して一体となるように構築するので、既存建築物の布基礎と新たな増設布基礎との連続一体性を確保できる。
【0027】
また、既存建築物の布基礎の外側面に新たな増設布基礎を密着固定するための連結部材を打ち込み、連続一体に閉じた新たな増設布基礎と連結するので、従来平面視でコの字型の増設布基礎における連結に比べて固定部が連続するため、連結部材を広範囲に渡って設けることができるため、固定部に必要な強度を与えられる。よって、既存建築物の布基礎と新たな増設布基礎との固定部に既存建築物の布基礎と同等の強度を与えることができ、既存建築物の布基礎と新たな増設布基礎との連続一体性を確保できる。また、既存建築物の布基礎に連結部材を増設時に設けることができるので、既存建築物が予め増設に備えた構造を具備する必要がないため、増設可能な既存建築物の対象を広げることができる。また、連結部材に鉄筋受金具を取付け、該鉄筋受金具が格子状鉄筋を支持する役割と型枠を支持する役割とを兼用するので、施工が簡易化し施工コストを削減できる。さらに、鉄筋受金具が連結部材取付片と鉄筋載置片と型枠受金具取付片とから一体になるので、施工作業を簡易化でき、施工コストを削減できる。
【0028】
請求項2の増設布基礎工法によれば、前記既設建築物の布基礎と前記鉄筋受金具との間にモルタルを敷き込むので、型枠の重量により鉄筋受金具が変形し、型枠受金具の設置位置が所定位置から下がることを防止することができる。
【0029】
請求項3の増設布基礎工法によれば、連結部材がホールインアンカーとボルトであるので、所望の位置に連結部材を容易に設けることができ、施工コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る増設布基礎の設置を説明する図である。
【図2】既存布基礎に格子状鉄筋及び型枠を設置した状態を示す図である。
【図3】増設布基礎工法における配筋を示す図である。
【図4】鉄筋受金具の斜視図である。
【図5】型枠受金具の斜視図である。
【図6】従来例に係る増設布基礎の設置を説明する図である。
【図7】従来例に係る既存布基礎と増設布基礎の鉄筋との連結状態を説明する図である。
【図8】従来例に係る増設布基礎の設置を説明する図である。
【図9】従来例に係る既存布基礎と増設側の鉄筋との連結状態を説明する図である。
【符号の説明】
1 既存布基礎
2 増設布基礎
3 外側面
4 ホールインアンカー(連結部材)
5 ボルト(連結部材)
6 ナット
7 鉄筋受金具
8 型枠受金具
9 ナット
10 モルタル
11 格子状鉄筋
12 格子状鉄筋
13 補強鉄筋
14 型枠
Claims (3)
- 既存建築物の布基礎に隣接して新たな建築物の増設布基礎を構築する増設布基礎工法において、
前記既存建築物の布基礎の外側面に前記新たな増設布基礎を密着固定するための連結部材を打ち込み、
該連結部材に取付けられる長穴を有する連結部材取付片と、該連結部材取付片の端部から前記外側面と反対方向へ直角方向に延出した格子状鉄筋を支持する鉄筋載置片と、該鉄筋載置片の端部から前記連結部材取付片と反対方向へ直角方向に延出し前記外側面と型枠との間の距離を調節可能に所定距離を開けて該型枠を支持するための型枠受金具を取付ける型枠受金具取付片と、からなる鉄筋受金具を、前記連結部材に取付け、
該鉄筋受金具で前記格子状鉄筋を支持するとともに前記外側面と所定距離を開けて前記型枠受金具で前記型枠を支持した後、
当該外側面と当該型枠との間にコンクリートモルタルを打設して形成して前記既存建築物の布基礎の外側面に隣接する新たな増設布基礎を当該外側面と密着固定して一体となるように構築し、
更に当該新たな増設布基礎を含む連続一体に閉じた新たな増設布基礎を構築することを特徴とする増設布基礎工法。 - 前記既設建築物の布基礎と前記鉄筋受金具との間にモルタルを敷き込むことを特徴とする請求項1記載の増設布基礎工法。
- 前記連結部材がホールインアンカーとボルトであることを特徴とする請求項1又は2に記載の増設布基礎工法。
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