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JP4246262B2 - Pit―1遺伝子の多型及び動物の形質選択 - Google Patents
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JP4246262B2 - Pit―1遺伝子の多型及び動物の形質選択 - Google Patents

Pit―1遺伝子の多型及び動物の形質選択 Download PDF

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、様々なコンフォメーション形質に関連する遺伝マーカーに関する。より具体的には、本発明は、ミルクの産生及び筋肉性(muscularity)のような動物の形質を容易に決定するためにPit-1遺伝子の多型を用いる方法を記載する。
従来技術の記述
現在、哺乳動物のある形質を選別するには、きわめて多くのコスト及び時間を要する。通常、選別のプロセスには、長期にわたる哺乳類の来歴を系統学的に評価することが含まれる。この評価は、出産時の重量、成長時の体重、体格(build)、筋力、肉の堅さ(firmness)、霜降り、色等の哺乳類又は動物の様々な形質に基づく。
現在まで、動物のある形質の選別の多くは、ある時間枠の中で特異的な形質を視覚的に同定すること、又はある時点での動物の体重を測定することが含まれる。続いて、次世代又はその後の世代において、その形質が優性になると予想されるように、選別すべき品質の形質を有する動物を類似の動物と掛け合わせる。
哺乳類における形質選別のための現在の方法は、多くの場合手間がかかり、飼育家等のその分野の専門家の判断を待たねばならない。しかし、行われた選別が、次世代以降において確実に優性であるとは限らない。例えば、良いミルク産生動物である乳牛を選別するためには、このような選別に36〜48月かかり、選別が行われた後、多くの場合仮定及び飼育家の判断に基づくことになる。
現在の動物形質選別法に伴う不確実性、コスト、及び時間の見地から、選別プロセスを改善するであろう、より科学的なプロセスを利用する新規な方法が現在開発中である。
このような方法の一つには、特異的な遺伝子が動物のコンフォメーション形質に関連するかどうかを決定するための候補遺伝子の研究があり、それ故これらの遺伝子は、所望のある形質を選別するための分子マーカーとして用いることができる。該方法は、まず候補遺伝子の同定、又は所望の形質に関連する名称不明の遺伝マーカーの同定を必要とする。候補遺伝子アプローチは上手くいくこともあるが、所望の種で、最初の遺伝子を同定しなければならず、それが所望の形質に相関していなければならない。
ソマトトロピン系は、成長、乳分泌、生殖、及び免疫に関連しているので、動物の特定の形質を調節する役割を果たすかもしれない数個の遺伝子を有する。ソマトトロピン系は、きわめて複雑であり、視床下部レベルでは、ソマトクリニン及びソマトスタチン;下垂体レベルでは、哺乳動物での成長ホルモンの発現に必要な下垂体特異的転写因子(Pit-1;pituitary-specific transcriptionfactor);肝臓レベルでは、成長ホルモン受容体及び成長ホルモン成長ホルモン細胞質輸送タンパク質;細胞レベルでは、成長ホルモン受容体、インシュリン成長因子-1及びインシュリン成長因子輸送タンパク質が含まれる。
該システムは、下垂体から細胞レベルまで、多くの動物の様々な部分で様々な機能を有するので、動物のある形質に影響を与え得るソマトトロピン系からの遺伝子を選別することは、非常に複雑である。
本発明には、動物の特異的な形質を特定するための遺伝マーカーとして作用し得る下垂体特異的転写因子(以下Pit-1と記す)の遺伝子の選別に関する。
Pit-1は、ホメオドメイン転写因子のPOUファミリーのメンバーであり、成長過程において重要な役割を果たす。元々、POUドメインは、三つの哺乳類転写因子、Pit-1、Oct-1、Oct-2、及び線虫の遺伝子unc-86の産物(Herrら、Genes & Dev.2:1513(1988);Ruvkun及びFinnery、Cell 64:475(1991))に見られる150〜160アミノ酸の高度に保存されている領域として同定された。
Pit-1は、成長ホルモンを制御し、プロラクチンを活性化する下垂体特異的転写因子であり、下垂体細胞の分化及び増殖において役割を有する(Steinfelderら、P.N.A.S., USA 88:3130(1991))。Pit-1遺伝子の突然変異は、スネル&ジャクソンマウスの矮小表現型の原因となり、下垂体前葉の発育不全をもたらす(Liら、Nature 347:528(1992))。さらに、Pit-1合成の阻害は、プロラクチン及び成長ホルモン(GH)発現の減少、並びにGH及びプロラクチン産生細胞系の細胞増殖の劇的な減少を引き起こすことが示されている(McCormickら、Nature 345:829(1990))。
ヒトでは、家族性下垂体発育不全の患者(Pfaffleら、Science 257:1118(1992));及散発性複合下垂体ホルモン欠乏症の患者(Radovickら、Science 257:1115(1992);Tatusmiら、Nature Genetics 1:56(1992))でもPit-1遺伝子中の様々な突然変異が報告されている。
ウシPit-1のcDNA配列は、Bodner、M.ら、Cell 55(3):505-568(1988)によって公表され、図2に示されている。
ブタの成長及び死亡形質とPit-1多型との関連が、Yuら、J. Anim. Sci. 73:1282(1995)によって記載されている。上記のYuらは、Pit-1 POUドメインcDNAプローブ及び制限酵素BamHI及びMspIを用いる二つの制限断片長多型(以下RFLPと記載する)、RsaIを用いるPCR/RFLPに基づいてブタで3つのPit-1多型を記載した。
上記Yuらの混合モデル分析の結果から、MspI CC遺伝子型を有するブタは、DD遺伝子型のブタに比べて出生率が高いことが明らかとなった。さらに、Pit-1のBamHI多型がある場合、高い出生率はBB遺伝子型と有意に関連していたが、著者らは、BB遺伝子型集団はきわめて小さいので、このような関連を結論づけるべきではないと注意している。
Woolardら、J. Anim. Sci. 72:3267 1994)は、ウシPit-1遺伝子座にHinfl多型を認めたが、これらの著者は、該突然変異が動物の選別形質に関連性を見出すことはできなかった。上記Woolardらに記載された結論は、観察された多型断片は、常染色性メンデル遺伝と一致していた。
Yuら、又はWoolardらの開示は、対立遺伝子パターンABとミルク産生にも、対立遺伝子パターンBBと動物の筋肉性との間にも何ら関連性を開示していない。
それ故、本発明は、遺伝マーカーの使用によって、形質の選別に対する科学的基礎を与えることにより、動物の形質選別における現在の方法の欠点を克服する。
さらに、本発明に記載した方法は、肉産生特性を有する動物から優れたミルク産生動物を特定するのに使用できる。
Pit-1遺伝子中の多型は、動物のミルク産生及び筋肉性のような形質を特定するのに用いることができるという驚くべき発見がなされた。プロラクチン及び成長ホルモン遺伝子発現の活性化に必要なPit-1遺伝子については、AとBという二つの対立遺伝子が区別された。AAパターンは、AB又はBBパターンに比べて頻度が低かった。ミルク、タンパク質、及び痩身度(angularity)について、BBパターンに比べてPit-1 ABパターン又はAAパターンが有意に勝っていることが観察された。同様に、BB遺伝子型パターンは、動物の筋肉性と関連していた。
この発見によって、動物のある形質を同定するために、Pit-1遺伝子中の変異を遺伝マーカーとして利用するという使用が可能となる。これらの形質が一旦同定されると、それらの優れた形質故に、その動物は、市場で高く売ることができる。
従って、動物における形質選別のための遺伝マーカーを提供することは、本発明の目的である。
別の側面では、本発明は、優れたミルク産生又は筋肉性形質を有する動物を特定する方法を提供する。
さらに別の側面では、本発明は、優れたミルク産生、痩身度、脂肪、タンパク質、又は筋肉性形質を有する、遺伝子工学により作出された動物を提供する。これら及びその他の目的は、発明の概要、好適な態様の記述、及び請求の範囲によって明示されている本発明によって達成される。
発明の概要
本発明は、このように哺乳類の形質選別に使用できる遺伝マーカーを提供する。
さらに、本発明は、Pit-1遺伝子に存在する多型を同定するための方法であって、その多型が、動物の優れた痩身度、脂肪、筋肉性、タンパク質、又はミルク産生形質を選別するために用いることができる方法を提供する。
従って、組成物の側面の一つでは、本発明は、動物の中から、ミルク産生能、又は肉産生能についての形質を識別するのに使用される遺伝マーカーであって、該遺伝マーカーは、Pit-1遺伝子の断片中の突然変異を具備し、三つの対立遺伝子パターンが観察され、完全に突然変異したパターンが指標となる遺伝マーカーに関する。
本願では、ミルク産生能の特徴となるマーカーは、ホモ接合状態の対立遺伝子に対してAAと表し、肉産生能の特徴となるマーカーは、ホモ接合状態の対してBBと表す。
例Bに示された実験によって、発明者らが実証したように、対立遺伝子AとBの配列は、図2の配列の1178位に存在するPit-1 AAのアデノシンが、Pit-1 BBではグアニンに転位しているところだけが異なる。
本発明の好ましい態様では、三つの対立遺伝子パターンは、変異したPit-1遺伝子断片を切断するが、非変異Pit-1遺伝子断片は切断しない制限エンドヌクレアーゼによる消化後に識別され、完全に消化されたパターンは、前記動物の筋肉性に対する形質の指標であるのに対して、中程度に消化された/非消化パターン、又は完全な非消化パターンは、前記動物のミルク産生形質の指標となる。
本発明のより好適な態様では、用いる制限エンドヌクレアーゼはHinfIである。
本発明の別の好適な態様では、前記Pit-1遺伝子中の変異した領域をカバーするプローブを用いて、三つの対立遺伝子パターンが識別され、一つのプローブは変異Pit-1遺伝子に特異的で、もう一つのプローブは非変異Pit-1遺伝子に特異的である。
別の側面では、本発明は、動物のある形質を検出するための方法に関し、前記プロセスが、
(1)動物からゲノムDNAを単離することと;
(2)Pit-1遺伝子の断片を具備する前記ゲノムDNAから、必要に応じて断片を単離することと;
(3)Pit-1遺伝子中の突然変異を検出することと;
(4)前記動物の形質を決定するために、前記突然変異を分析し、分析において、前記動物の筋肉性及び脂肪の形質がミルク産生形質と識別できること
というステップを具備する方法に関する。
本発明のある態様では、検出は、制限エンドヌクレアーゼを用いることによって達成される。
本発明の別の態様では、検出は、前記Pit-1遺伝子中の変異した遺伝子、より具体的には1178位をカバーするプローブを用いることによって達成される。
さらに別の側面では、本発明は、本発明で記載された特徴的な形質を有する遺伝子工学的に作出された動物に関する。
図面の簡単な記述
図1は、ホルスタイン−フリージアンとシンメンタール牛で観察された、Pit-1遺伝子に制限酵素HinfIを用いたPCR/RFLPパターンを示す電気泳動ゲルである。左が消化された断片のサイズであり、上がパターンである。断片長(キロベース)は、DNAサイズマーカーφ X174DNA/HaeIII断片との比較で推定した。
図2は、ウシPit-1 cDNAの配列である。
図3は、以下のプライマーによる増幅後に得られたPCR増幅産物を示す電気泳動パターンである。
1-3-5列 : Pit1 AAとPit 1B
2-4-6列 : Pit1 BBとPit 1B
発明の好適な態様の詳細の記述
本明細書で用いる「動物」には、乳牛(cow)、雄牛(bull)、ヤギ、ブタ、ヒツジ、ニワトリ等を含む全ての哺乳類、鳥類、魚類が含まれるが、これらに限定されない。種間でのPit-1遺伝子の高い保存度(>95%)のために、本発明は、ある種から別の種へ容易に転用することができる。また、本発明は、成長ホルモンを代謝する能力のような形質をヒトで決定するために使用し得る。
「多型」という語は、異なる表現型をもたらす対立遺伝子、又は制限パターンに影響を与えるDNA中の変化の何れかでみられるような対立遺伝子変異を示すゲノムが集団内で同時に発生することを意味する。
本明細書で用いる「形質;trait」という語には、任意の特性が含まれるが、特にある動物を別の動物と区別するものを示す。
本明細書で用いる「痩身度;angularity」という語は、動物の身体に対して行い得る特異的な測定に関して、動物の特異的な形質を同定するために用いられる客観的な基準を意味する。該測定は、動物のある形態的な特徴に対してなされる。
例えば、ミルク産生形質に対して痩身度を決定するためには、動物の骨盤骨と骨盤骨の周囲の筋肉を測定して、それらが突出しているかどうかを決定する。次に、スケールを確定することができる。骨がきわめて突出しているときには、周囲に筋肉が殆どなく、それ故、その動物はミルク産生である。反対に、骨が突出していないときには、その動物には、周囲の筋肉がたくさん存在しており、その動物は、よいミルク産生牛ではなく、むしろ肉産生牛であると考えられる。
本発明において、「筋肉性;muscularity」という語には、ミルク産生牛よりも、肉を得るために屠殺し得る肉産生牛に適した動物が含まれる。
より具体的には、本発明は、動物の遺伝的変異に対する潜在的マーカーとしてのPit-1遺伝子多型の使用に関する。Pit-1は、細胞中の転写因子をコードしており、該遺伝子の任意の変異は、減弱又は増強することによって、転写能力を変化させることができ、これにより動物に様々な形質を現出せしめる多型がもたらされる。
Pit-1遺伝子は、上記のWoolardらによって、13-kbウシゲノムライブラリー中に以前同定された。13-kbクローンは、ウシPit-1 cDNAをプローブとして(ラベルされている)用いることによってライブラリーから単離された。
Figure 0004246262
制限酵素消化による該13-kbインサートのXhoI、HinfI、及びEcoRIサブクローンの特性決定、及び配列決定によって、該クローンがウシPit-1ゲノム断片として同定された。
同様に、ウシ以外の様々なゲノムライブラリー中にPit-1遺伝子を同定するために、上記のWoolardらが教示する方法を用いることができる。これは、以下に記載するように、様々な動物から該配列を増幅するために用いることができるPit-1ゲノム断片内の特異的な配列の同定を可能にするであろう。
動物のPit-1遺伝子中の突然変異を同定する第一のステップは、動物から精液、血液、細胞、生検組織、糞などのサンプル(これらに限定されない)を得ることである。次に、Sambrookらの、「Molecular Cloning, A Laboratory Manual, second edition, 1989」に記載されているような、本分野で公知の方法を用いて得られた試料から、ゲノムDNAを抽出し得る。
しかし、精液についてはWalshの、Biotechniques, 10:506(1991)に記載されている操作、血液についてはLewin及びStewart-HaynesのBiotechniques, 13:522に記載されている操作を用いてゲノムDNAを抽出することが好ましい。
ゲノムDNAを抽出した後、本分野には、Pit-1遺伝子中の突然変異を検出するための公知の方法がいくつか存在する。任意の検出方法を、突然変異を検出するために利用することができる。これらの方法の例には、RFLP、SSCP、DGGE、CFLP、及びProsser、Trends Biotech 11:238-246(1993)、及び上記Sambrookらによって記載されているような一塩基変異が含まれるが、これに限定されない。これらの方法は、以下でさらに詳細に論述する。
例えば、RFLP法では、PCRプライマーは、標準的な操作によって、Pit-1遺伝子を含む断片を増幅するために使用される。Pit-1配列の増幅を可能にする任意のPCRプライマーを利用することができ、このようなプライマーを同定する特定のクローンを単離する方法を利用できる。
本発明の好適な態様では、PCRプライマーは、上記のWoolardらによって記載された451-bp断片のようなPit-1遺伝子の多型を含有する断片のイントロンVとエキソン6からデザインすることができる。さらに好適な本発明の態様では、PCRプライマーは以下のとおりである。
Figure 0004246262
Pit-1断片の増幅は、上記Sambrookらに記載されているような、標準的PCR操作を用いて行い得る。しかし、2mM MgCl2を含有する50μL反応容量の中でゲノムDNAを増幅することが好ましい。
本発明の好適な態様では、88〜98℃で10〜15分間、90〜100℃で約1分間の後、90〜100℃で20〜40秒間25〜50サイクル;40〜60℃で1〜5分間;68〜80℃で約1〜5分間というPCR反応条件を用いることができる。最後のステップには、68〜80℃で8〜12分間というサイクルが含まれ得る。
増幅後、続いて、様々な制限酵素又は本分野で公知のエンドヌクレアーゼを用いてPit-1中の特定の突然変異を切断する。これらの制限酵素には、BamHI、EcoRI、SmaI、HinfI等が含まれるが、これらに限定されない。例えば、上記のSamrookらに記載されている酵素を参照されたい。Pit-1遺伝子の突然変異した対立遺伝子を切断し、Pit-1遺伝子の突然変異していない対立遺伝子を切断しない制限エンドヌクレアーゼを用いることは、特に興味深い。本発明の好適な態様では、動物のミルク産生、脂肪、タンパク質、及び筋肉性形質の同定に関しては、HinfIが用いられる。
消化後、続いて、該サンプルをアガロースゲル上で電気泳動し、例えば臭化エチジウムのような染色剤(しかし、断片を同定する任意の染色剤を用いることができる)を用いて同定する。
SCCP(一本鎖DNA高次構造多型;single stranded conformation poly-morphism)も、単離されたゲノムPit-1断片中の一又は複数の突然変異を同定し得る、本分野で公知の方法である。該方法は、上述したプライマーと類似のプライマーを用いるPCR増幅に基づいている。次に、増幅された断片を32Pのような標識又は他の任意の適切な放射性標識でラベルする。次に、例えば加熱後急冷することによって、該放射性標識された断片を変性させる。冷却後、非変性技術を用いて該断片を電気泳動し、次にオートラジオグラフ(audioradiographed)にかける。
DGGE(denaturing gradient gel electrophoresis)は、Pit-1突然変異を検出するための、さらに別の方法である。該方法では、断片は、上述したような適切なプライマーを用いるPCRによって増幅され、変性グラジエントにかけられる。さらに、該サンプルを電気泳動して、突然変異を検出する。
突然変異を検出するのに使用し得るさらに別の方法は、CFLPである(切断断片長多型;cleavage fragment length polymorphism)。該方法は、野生型DNAと変異型DNAの二つの分子の間で、DNA配列中に唯一つの塩基が突然変異しているのを検出することができる。該方法は、現在ベーリンガー・マンハイムによって市販され、キットの形態で購入することができる。
Pit-1遺伝子中の突然変異を検出するために使用し得る別の方法は、Pit-1遺伝子の突然変異した領域をカバーするプライマーを利用する。
より好ましくは、二組のプライマー(突然変異したPit-1遺伝子をカバーし、これに特異的なプライマーを含有する組、突然変異していないPit-1遺伝子をカバーし、これに特異的なプライマーを含有する別の組)を用いて、抽出したゲノムDNAサンプルに対して、二つの別個の増幅反応を行う。より好ましくは、用いるプライマーは、増幅産物を容易に可視化し得るように標識されている。該方法によれば、テストしたゲノムDNAが、ホモ接合の突然変異Pit-1遺伝子(二つの突然変異した対立遺伝子)を含有するときには、突然変異領域に特異的なプローブを用いる増幅反応だけがシグナル(すなわち、増幅産物)を生じるであろう。テストしたゲノムDNAがヘテロ接合(すなわち、一つが突然変異対立遺伝子、一つが非突然変異対立遺伝子)である時には、二つの増殖反応がシグナル(増幅産物)を生じるであろう。同様に、テストしたゲノムDNAがホモ接合の非突然変異Pit-1遺伝子を含有する時には、非突然変異領域に特異的なプローブを用いる増幅反応だけがシグナルを生じるであろう。それ故、単一の増幅ステップで、テストしたDNAの対立遺伝子のパターンが明らかとなる。
別の態様では、WO 97/06276に記載されている技法の使用は、マーカーのホモ接合状態又はヘテロ接合状態を単一ステップで検出するのに特に適する。
これらの方法では、様々なパターンの中から識別するために、増幅された産物をさらに切断する必要がない。さらに、検出ステップの前に、特異的なPit-1遺伝子断片を増幅する必要もない。最後に、用いたラベルの性質によっては、可視化はきわめて容易であり得る。例えば、プローブが放射線ラベルされている場合には、プローブは電気泳動によって得られる。より興味深いことには、プローブを染色剤でラベルすると、直接可視化が得られる。
第一の態様では、テストは、プレートのような極めて単純な装置中で実施し得る。ゲノムDNAのサンプルを二つのウェル中(一方にはPit-1遺伝子の突然変異をカバーし、突然変異したPit-1遺伝子に特異的な一つのプローブを含有するラベルされたプローブの組が入っており、他方にはPit-1遺伝子突然変異をカバーし、非突然変異Pit-1遺伝子に特異的な一つのプローブを含有するプローブの組が入っている)に導入する。
増幅後、標識が直接プレート中に現れ、自動化された装置によって分析することができる。
該増幅法では、プローブの各組で用いられる第二のプライマーは、200〜400bp、さらに好ましくは320〜370bpを含有する産物の増幅を可能とするように選択する。このような第二のプライマーは、例えば以下のプライマーから選択することができる。
Figure 0004246262
各プライマーの長さは、好ましくは20〜40塩基、より好ましくは25〜35を具備する。
該戦略のための適切なプローブの選択は、発明者が、観察された多型の原因となるPit-1遺伝子中の突然変異を同定することによって可能となる。さらに特異的には、該突然変異は、Pit-1コード領域中、1178位のヌクレオチドに生じ、突然変異した該遺伝子中ではアデニンがグアニンに置き換わっている。該突然変異は、図2に示されている。
突然変異した領域(突然変異)をカバーするプローブの位置は、変わり得る。
さらに好ましくは、第一の態様では、プライマーの二組のプライマーは、ミルク産生能の特徴となるAA遺伝子型については、
Figure 0004246262
肉産生能の特徴となるBB遺伝子型については、
Figure 0004246262
である。
別の態様では、WO 97/06276を用いる時には、
種々のサイズの増幅された断片を産生せしめる二組のプライマーは、
ミルク産生脳の特徴となるAA遺伝子型については、
Figure 0004246262
であり、第二のプライマーPit-1 C’は、肉産生脳の特徴であるBB遺伝子型が、Pit-1 AA及びPit-1Bを用いて得られたものに比べて少なくとも10bp以上短く又は長く増幅されるように選択する。
多くの突然変異検出法が利用できるが、本発明は上記で論じた方法に限定されず、突然変異を検出する全ての方法が含まれる。
続いて、対立遺伝子及び対立遺伝子パターンを同定し、次に対立遺伝子を同定することによって明らかとなる特異的な形質を決定するために統計的な分析を行う。さらに具体的には、娘収量偏差(DYD;daughter yield deviation)及び脱回帰プルーフ(DRP;deregressed proof)を同定し得る任意の統計プログラムを利用し得る。SASのMIXED操作を用いて統計分析を行うことが好ましい(ユーザー用ガイド、Statistics, Version 6,4th ed. SAS Inst., Inc. Cary, N.C.(1990))。Technical Report P 229 SAS Inst., Inc., Cary, N.C.(1992)。本発明で用いた統計分析は、以下の例で詳述する。
本発明には、ゲノムDNAの抽出用材料、配列番号1及び2(上述)を有するPCRプライマー、電気泳動ゲル等の突然変異を可視化するのに必要な材料を含有するキットも含まれる。キットの内容は、用いる検出法に応じて変わってもよく、これについては詳しく先述する。
Pit-1遺伝子中の突然変異をカバーするプライマーも本発明に含まれる。
より具体的には、本発明は、一つの突然変異を有するPit-1遺伝子の領域と相補的な20〜40塩基を具備するプライマーにも関する。
本発明には、Pit-1遺伝子中の200〜400塩基の領域の増幅を可能とするプライマーの組も含まれ、前記領域は一つの突然変異を含有している。
以下のプライマーが本発明に含まれる。
Figure 0004246262
本発明及びその利点をさらに説明するために、以下の具体例を挙げるが、単なる例示であって、決して限定を加えるものではないことを理解されたい。
例A
1.DNAの抽出とPCR
Lucyら、Domest. Anim. Endocrinol. 10:325(1993)によって記載されているように、市販の登録された89匹のイタリアンホルスタイン−フリージアン牛のゲノムDNAを精液から抽出した。
HinfI制限酵素を用いたPit-1遺伝子のRFLPが、上記のWoolardらに適合させたPCR分析によって明らかとなった。
PCRプライマーをイントロンVとエキソン6からデザインした。用いたプライマーの配列は、5’-AAACCATCATCTCCCTTCTT-3’(配列番号1)及び5’-AATGTACAATGTGCCTTCTGAG-3’(配列番号2)であった。これらのプライマーは、標準的操作によって、2mM MgCl2を含有する50μL反応量中のゲノムDNAから451bp断片を増幅するのに用いた。条件は、94.5℃で10分、94℃で1分の後、95℃で30秒、56℃で1分、72℃で2分を35サイクルであった。最後のステップは、72℃10分であった。PCR産物をHinfIで消化し、1μg/mLの臭化エチジウムを用いて、2%のアガロースゲル上で電気泳動した(図1)。
1996年3月に算出した娘収量偏差(DYD)は、イタリアンホルスタイン−フリージアン・ブリーダー協会ANAFI(Associazione Nazionale Allevatori Frison Italiana, Cremona, Italy)から入手したホルスタイン−フリージアン牛から得た。DYD値は、脂肪とタンパク質のパーセンテージについては算出しない。これらの形質は、収量形質用の解及びこれらの形質に対する平均集団値から間接的に評価し得るにすぎないからである。それ故、DYD値は、パーセンテージ形質に対する遺伝子価(genetic value)の計算法と同一のアプローチを用いて算出した。
同様のDYDは、タイプ形質(type trait)についても利用できなかった。それ故、遺伝子価は、脱回帰プルーフに転換した(Banosら、Interbull Annual Meeting, Aarhus, Denmark, Bulletin No.8, 1993, sigbjornら、J. Dairy Sci, 78:2047(1995))が、これはDYDを近似していると考え得る。
ウシのサンプルのミルク産生形質に対するDYD及び/又はコンフォメーション形質のDRPの平均及び標準偏差を表1に示す。収量形質(yield trait)に対しては、有効数の娘(分布について調整した群中の娘の数の測定値)が得られたが、タイプ形質に対しては得られなかった。それ故、以下の式:
「有効数」=「真の数」×「群れの数と娘の数の比の平方根」
を用いて近似した。
Figure 0004246262
2.統計分析
上記SASのMIXED操作を用いて、統計分析を行った。用いた混合モデルは、
y=Xb+Zu+e
ここで、y=ウシのDYD又はDRPのベクトル;b=Pit-1パターンに伴う固定された効果のベクトル;u=ウシのランダム相加的ポリジーン効果のベクトル、及びe=これ以外のランダムな効果のベクトルであった。該モデルは、以下の混合モデル式を用いて解いた。
Figure 0004246262
ここで、Aは既知の全血縁関係を用いて構築した89匹のウシの間の相加関係行列(既知の祖先1842匹)、R-1=D/δ2 e(ここで、Dは、対角上に存在する全てのウシに対する有効娘数の対角行列とする)である。次に、残差の分散(residual variance)δ2 eの推定値で該行列を除する。これは、推定されたREMLであり(Patterson and Thompson, Biometrika 58:545 91971)、1ラウンドで収束が起こるので、これは非相互作用性最少分散二次非バイアス化推定(non-interactive minimum variance quadratic unbiased estimation)(Rao, J. Mult. Anal. 1:445(1971))と同一である。得られた推定値は、サンプリングの分散を最少にする二次形態の特性を有する。遺伝率が0.50であると仮定した脂肪とタンパク質のパーセンテージ以外は、DYD又はDRPとDYD又はDRPの遺伝率(h2)の残差共分散は全て遺伝的評価に用いた遺伝率と等しくないという、二つの仮定が立てられた(表2)。
モデル中にPit-1パターンが存在するために、種牛による分散が減少しないので、該方法は、相加的遺伝率(additive heritability)を過大評価する傾向にあるが、この過大評価は、さほど重要ではないはずである。
Figure 0004246262
パターン解間の差として、線形コントラスト(linear contrast)を構築した。コントラストのテストは、以下の統計を用いて行った。
F=b’l-l’Cbbl)-1l’b
ここでl’bはパターン解間の差を表し、Iは線形コントラストベクトルであり、Cbbはパターン効果に関する係数行列の一般化された逆行列のブロックの推定であり、(l’bbl)-1は線形コントラストの標準誤差の二乗の逆数であり、分子の自由度は階数(I)=1を用いて近似した。分母は、n-階数(X)=86とした(ここで、nは観察数である)。
あるパターンの存在が唯一つの主要な効果のみを有するかどうかは確実ではない。それ故、該仮定をテストするために、Wellerらの、J. Dairy Sci. 73:2525(1990)に基づく以下の戦略を用いた。
1.パターン間に単一形質の有意なコントラストを示す形質をグルーピングし、最終的な関連形質も含めた。
2.これらの形質間の重み付けした相関V及び共分散Pの行列を得た。
3.カノニカル変換はV=QEQ’(ここでEは固有値の対角行列、及びQは固有ベクトルの行列)として定義した。
4.変換行列(transformation matrix)Tは、Q-1S(ここでSは、元の形質の標準偏差の逆数の対角行列、それ故TPT’=Eである)
5.変換行列は、関連形質を非関連カノニカル形質に変換するために用いた。
6.カノニカル形質のおよその遺伝率及び重みは、最初の形質に対する値の重み付けした平均として得、重み付け係数は、Q-1の平方値であった。
7.カノニカル形質は、最初の形質について、上述の方法を用いて分析した。低い相対固有値を示すカノニカル形質は、観察された分散が小さいことを意味する。
8.元の効果に対する多形質線形コントラストは、有意なカノニカルコントラストの逆変換(back transformation)を用いて算定することができる。
9.これらの新規形質に対する結果は、Pit-1パターンの効果が唯一つ観察され得るか、一より多い有意な効果が存在するかどうかを決定するのに有用である。逆変換コントラストは、カノニカル形質に対するPit-1の影響に基づく元の形質間の有意な相違を反映している。
3.結果
PCR/RFLP
PCR産物は、451bp長であった。HinfIによるPCR産物の消化によって、二つの対立遺伝子が明らかとなった。対立遺伝子AはHinfIで消化されず、451bp断片を産出し、B対立遺伝子は一つの制限部位で切断され、上記のWoollardによって記載されたように、長さ244及び207bpの二つの断片を生成する(図1)。
PCR/RFLPとミルク産生の関係
三つのパターンAA、AB、及びBBの頻度は、2.2%、31.5%、及び66.3%であった。A対立遺伝子とB対立遺伝子の頻度は、最大確率アプローチ(maximum likelihood approach)によって、、Aが18.8%、Bが81.2%であると推定された。
表3は、3つのPit-1パターン間の線形コントラスト及び標準誤差を示す。それ故、後脚に観察された高度に有意なコントラスト(P<0.01)は、真に生物的な理由よりも、タイプAA動物がこの形質について極端であるという事実によるのかもしれない。ABとBBパターン間の高度に有意なコントラストが、ミルクとタンパク質収量(P<0.01)について見出された。有意なコントラストが、脂肪のパーセンテージと痩身度(P<0.05)に観察された。ABパターン又はAAパターンは、ミルク、タンパク質収量、及び痩身度が高く、脂肪パーセンテージが低かった。これらの結果は、ミルク産生に対するヘテロ接合体AB又はAAの単一の正の作用から生じるものと解釈することができ、それによりタンパク質収量に正の影響を及ぼし、脂肪収量には及ぼさず、脂肪パーセンテージに観察された負の影響を与える。該線形形質(linear trait)は、ミルク収量と強く関連しているので、痩身度に対するPit-1の影響は、この意味で、さして驚くべきものではない。
Figure 0004246262
単一作用の仮定をテストするために、我々は、ミルク、脂肪とタンパク質収量のカノニカル変換を行った。パーセンテージDYDが収量の関数として得られたので、収量を分析し、それ故、この結果は新しい情報を全くもたらさない。痩身度を加えた。表現型相関行列を算出した。観察結果は、有効娘数を用いて重み付けした。これらの数は、収量及びタイプ形質について異なっていたので、重み付けした有効娘数の平均としておよその重量を得た。表4は、相関を示している。収量形質間の相関は、及び脂肪と他の形質の一つとの間の相関に比べて、高い相関を有する期待値を示した。痩身度は、収量形質と0.42〜0.51の相関を示した。
Figure 0004246262
相関行列のカノニカル分析の結果が、表5に示されている。第一及び第二のカノニカル形質が、全分散の90%を説明する。特に、最後のカノニカル形質は、あまり情報を与えなかった。表5は、固有ベクトル及び各固有ベクトル中の様々な形質の相対的な重要性も示している。第一のカノニカル形質は、痩身度について15%、タンパク質について30%の間の相対的な影響を有する4つの形質を全て組み合わせたものである。しかし、第二のカノニカル形質は、該形質に81%の相対的重要性を有する痩身度と、より特異的に連関している。第三のカノニカル形質は、脂肪と関連し、ミルクと関連はこれより弱く、第四のカノニカル形質は、ミルクとタンパク質のみと関連している。
Figure 0004246262
表6は、四つのカノニカル形質にみられた線形コントラスト及び標準誤差を示している。予期に反して、AB及びBBパターンとのコントラストに対して、第一及び第二のカノニカル形質は極めて有意であり(P<0.001)、第四のカノニカル形質は若干有意であった(P<0.05)。この結果は、Pit-1が一より多くの作用を有し得ることを示していた。第一のカノニカル形質は、痩身度に対してより特異的に連関する。最後の形質は、ミルクとタンパク質収量間の平衡を反映していた。これらのコントラストをよりよく理解できるように、表7には、元のスケールで表したコントラストの値と標準誤差を掲げてある。我々は、第一のカノニカルコントラストのために、逆変換したコントラストがミルク、脂肪とタンパク質に極めて重要であることを観察した。AB動物では全てが正であり、BB動物より勝っていた。第二のカノニカル形質については、ABがミルク、脂肪とタンパク質で劣っており、痩身度では勝っていた。このこともまた、第一に収量と痩身度の関連を通じて、さらには収量に対して僅かに負の影響を与えながら直接痩身度に影響を与えることによって、痩身度に対するPit-1の影響が重要であるらしいということを示す。三番目のカノニカル形質は有意なコントラストを示さず、四番目のカノニカル形質は、有意ではあったが、分散全体のごく僅かしか説明しなかった。有意なカノニカル形質を全て集めると、単一形質の場合のように、より高い群を成すコントラストが観察された。これは、脂肪収量及び痩身度の場合に特に明確であったが、ミルク及びタンパク質についても明確であった。複数形質コントラストには、相関した形質、特に脂肪及び痩身度からの情報を含むことがその理由と思われ、このことは該相違を説明し得るかもしれない。コントラストの標準誤差は、さほど増加せず、ミルクと脂肪収量についてはむしろ減少していた。
Figure 0004246262
Figure 0004246262
例B
Pit-1遺伝子の配列決定及び突然変異の特定
該方法は、定まった点から始まり、決まった残基又は残基の組み合わせでランダムに終わる放射線ラベルされたオリゴヌクレオチドの独立した群を生成する。DNA中の全ての塩基は、可変的な末端となる機会が等しいので、各群は、元のDNAの長さに沿ったある塩基の位置によって長さが決まる、オリゴヌクレオチドの混合物からなる。これらのオリゴヌクレオチド群は、一ヌクレオチドしか長さが違わない各DNAが識別され得る条件下で電気泳動を行うことによって分離される。配列決定ゲルの隣接したレーン中に該群をロードすると、ゲルのオートラジオグラフィー像から直接、DNA中のヌクレオチドの順番を読み取ることができる。
参照文献:Sanger, F., S. Nicklen, & A.R. Coulson 1977,チェーン−ターミネーション阻害剤によるDNA配列決定、Proc. Natl. Acad. Sci. 74:5463
例C
プライマーを用いた検出実験
1)リガーゼ連鎖反応
オリゴヌクレオチドプローブとDNAリガーゼのみを利用するリガーゼ連鎖反応(LCR;ligase chain reaction)は、大過剰の他のDNA配列情報の存在下で特定の標的DNA配列の約1000コピーを検出することができる。1989年に最初に記載されて以来(Backman & Wang, 1989,欧州特許出願第0,320,308号;Royerら、1989、欧州特許出願第0,324,616号;Wallace, 1989,欧州特許出願第0,336,731号;Wu&Wallace, 1989, Genomics 4:560-569;Orgel, 1989;Richards&Jones, 1989),非放射性検出とともに熱安定性DNAリガーゼを利用することによって、LCRは改良されてきた(Bondら、1990)。
Figure 0004246262
2)HinfI制限酵素を用いるPit-1遺伝子のFLPは、上記Woolardらに適合させたPCR分析によって明らかとなった。
上記のSangerらによって記載された方法を用いて、我々は、記録した(reproted)RFLPに付随する1178位のヌクレオチドの点変異(aからg)を同定した。また、HinfI制限酵素を用いず、該突然変異をカバーするプライマーを用いる新規PCR法も開発した。
ポリメラーゼ連鎖反応法
Pit-1遺伝子のRFLPは、PCRによって明らかとなった。簡潔に述べれば、第三のプライマー(プライマーB=5’-GACAGGGAAAGTGATATAGAAAGGGAGATAGA-3’)とともに、突然遺伝子を内包する二つのPCRプライマー(プライマーAA=5’-CAGAGAGAAAAACGGGTGAAGACAAGCATA-3’及びプライマーBB=5’-CAGAGAGAAAAACGGGTGAAGACAAGCATG-3’)を用いて、2mM MgCl2を含有する50μLの反応量のゲノムDNAから360bp断片を増幅した。条件は、95℃で3分の後、95℃で1分、65.2℃で1分、及び72℃で1分を35サイクルであった。最終ステップは、72℃10分であった。1μg/mLの臭化エチジウムを用いて、2%のアガロースゲル上でPCR産物を電気泳動した(図3。)
結論
HinfIにによって認識される制限部位を用いて、Pit-1遺伝子(プロラクチン及びGH遺伝子発現を活性化するのに必要な成長ホルモン因子-1/下垂体特異的転写因子)では二つの対立遺伝子が区別された。消化されないA、及び該部位を示すBという二つの対立遺伝子が観察された。AAパターンは、AB又はBBパターンに比べて頻度が小さい。ミルク、タンパク質、及び痩身度は、Pit-1AB又はAAパターンが、BBに比べて有意に勝っていることが観察された。このことは、ヘテロ接合の動物の方が、生産性が高く、よりよい乳牛であることを示している。脂肪のパーセンテージは、BB動物よりもABの方が低く、ほぼ一定の脂肪収量で、より多くのミルクが産生された結果である。
これらの結果は、Pit-1の一つの作用を示している。しかし、カノニカル変換アプローチを用いることによって、Pit-1の少なくとも二つの作用が観察された。一つは収量及び痩身度に対してであり、もう一つは痩身度だけに対してである。これらの結果は、プロラクチン及びGH遺伝子発現の活性化を通じて、Pit-1が一以上の役割を有していることを説明できる。第一の役割は、ミルク、タンパク質(及び脂肪)収量であり、第二の役割は、動物の筋肉の成長に関連し、ABの存在によって、痩身度が増大して筋肉性が減少することを意味している。
非常に興味深いことに、これらの発見は、関連形質に対する作用を識別するのに、カノニカル変換が有用であることを示している。オリジナルに対してPit-1多型と乳牛のミルク形質との関連が示されたが、変換されたスケールに対しても示された。痩身度を除くコンフォメーション形質(ミルク収量と関係する形質)では、関係の重要性は低かった。また、カノニカル変換は、痩身度に対する効果は、その一部が、ミルク形質に対するPit-1の直接的な影響の結果によるものにすぎないことを示した。
さらに、Pit-1遺伝子中の特異的な突然変異の同定は、様々な対立遺伝子と対応する形質とを識別するために実施する迅速且つ高感度の方法を可能にする。

Claims (10)

  1. ウシの中からミルク産生能又は肉産生能に対する形質を識別するための遺伝マーカーの使用であって、該遺伝マーカーが、Pit-1遺伝子の断片中に配列番号7の配列のヌクレオチド位置1178でのAからGへの変化である突然変異を具備し、かつAA、ABまたはBB対立遺伝子パターンが前記Pit-1遺伝子について観察され(対立遺伝子Aは配列番号7の配列のヌクレオチド位置1178のアデニンであり、かつ対立遺伝子Bは前記同じ位置のグアニンである)BB対立遺伝子パターンは前記ウシの筋肉性形質の指標となり、AB対立遺伝子パターンおよびAA対立遺伝子パターンは前記ウシのミルク産生形質の指標となる遺伝マーカーの使用。
  2. 請求項1に記載の使用であって、電気泳動ゲルを介して観察が行われる使用。
  3. 配列番号7の配列のヌクレオチド位置1178でのPit-1遺伝子の遺伝子多型と関係したウシのミルク産生能又は肉産生能に対する形質を検出する方法であって、
    (1)ウシからゲノムDNAを単離することと;
    (2)必要に応じてPit-1遺伝子の断片を具備する前記ゲノムDNAから断片を単離することと;
    (3)Pit-1遺伝子のAA、ABまたはBB対立遺伝子パターンを検出することと(対立遺伝子Aは配列番号7の配列のヌクレオチド位置1178のアデニンであり、かつ対立遺伝子Bは前記同じ位置のグアニンであり、BB対立遺伝子パターンは前記ウシの筋肉性形質の指標となり、AB対立遺伝子パターンおよびAA対立遺伝子パターンは前記ウシのミルク産生形質の指標となる)
    (4)前記ウシの形質を決定するために前記AA、ABまたはBB対立遺伝子パターンを分析し、前記AA、ABまたはBB対立遺伝子パターンの分析により、前記ウシの筋肉性及び脂肪の形質が、ミルク産生形質から識別されることというステップを具備する方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、ステップ(3)において、Pit-1遺伝子中の対立遺伝子パターンの検出が、制限エンドヌクレアーゼを用いて行われる方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記制限酵素がHinfIである方法。
  6. 請求項3又は4に記載の方法であって、Pit-1遺伝子の前記断片が、PCRプライマーを用いて単離される方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記PCRプライマーが、
    Figure 0004246262
    である方法。
  8. 請求項4に記載の方法であって、検出ステップが、消化後に、RFLP又はCFLP又はSSCP又はDGGEによる分析をさらに具備する方法。
  9. 請求項3に記載の方法であって、ステップ(3)において、前記Pit-1遺伝子中の遺伝子多型の突然変異を検出することが、前記Pit-1遺伝子中の突然変異をカバーするプライマーを用いて行われる方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、PCRプライマーが、
    ミルク産生能の特徴となるAA遺伝子型については、
    Figure 0004246262
    肉産生能の特徴となるBB遺伝子型については、
    Figure 0004246262
    (ここで、対立遺伝子Aは配列番号7の配列のヌクレオチド位置1178のアデニンであり、かつ対立遺伝子Bは前記同じ位置のグアニンである)
    である方法。
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