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JP4246982B2 - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents
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JP4246982B2 - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルト式無段変速機の制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来のベルト式無段変速機の制御装置は、プライマリプーリにプライマリ回転数センサ、セカンダリプーリにセカンダリ回転数センサが設けられ、両プーリの周部に設けられた外歯をセンサで読み取ることにより、プライマリ回転数とセカンダリ回転数を検出し、これらの値から実変速比を算出している。そして、実変速比または変速速度が機構上取り得ない値となったとき、ベルト滑りであると判断し、ライン圧を増圧補正してプーリクランプ圧を高める制御を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開昭62−68142号公報(1,2ページ)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のベルト式無段変速機の制御装置にあっては、下記の理由により、ベルト滑りが発生していないときでも瞬間的に機構上取り得る最大変速比より大きな変速比が検出されることがあるため、ベルト滑りの発生を誤判断する虞がある。
(1) 実変速比の算出時に、検出パルスのフィルタリング等、複数の処理が必要であるため、検出遅れが生じる。
(2) 発進時のような低回転時には、センサの検出誤差が大きくなる。
【0004】
その結果、上述のようにベルト滑りの発生を誤判断した状況でエンジントルク出力制限を行った場合、発進性が低下するという問題がある。また、ライン圧を増圧補正した場合には、プーリクランプ圧が過剰に高くなり、ベルト耐久性の低下を招くという問題がある。
【0005】
一方、上記のようにして算出された変速比から変速速度を算出し、この変速速度からベルト滑りを検出しようとしても、上記問題は解決されない。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ベルト滑り判断の精度を高めてベルト耐久性の向上を図ることができるベルト式無段変速機の制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明請求項1に記載の発明では、エンジン側の主軸にプーリ間隔可変のプライマリプーリが設けられ、前記主軸に並行配置される車輪側の副軸にプーリ間隔可変のセカンダリプーリが設けられ、両プーリの間に駆動ベルトが巻回され、両プーリの油圧を制御し両プーリに対する駆動ベルトの巻き付け径の比を変化させることにより無段階に変速する無段変速機において、プライマリプーリ回転数とセカンダリプーリ回転数に基づいて変速比を算出する変速比算出手段と、変速比の値が機構上の変速比領域から所定時間継続して外れているとき、ベルト滑りが発生していると判断するベルト滑り判断手段と、車両の加速度を検出する加速度検出手段と、を設け、前記ベルト滑り判断手段は、検出された加速度が大きいほど前記所定時間を長く設定することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、前記ベルト滑り判断手段によりベルト滑りが発生していると判断されたときに、ベルト保護制御を行うベルト保護制御手段を更に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、前記ベルト保護制御は、エンジントルクの上限を規制する制御であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、前記ベルト保護制御は、アップシフトであることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、前記ベルト保護制御は、エンジン回転数の上限を規制する制御であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明では、請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、前記ベルト保護制御は、車両停車時のエンジンアイドル回転数を所定回転数上昇させる制御であることを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明では、ベルト滑り判断手段は、変速比算出手段により算出された変速比の値が所定時間継続して機構上の変速比領域から外れたとき、ベルト滑りが発生していると判断する。よって、ベルト滑りが発生していないにも関わらず、センサの検出誤差等により瞬間的に最大変速比が機構上取り得ない値となった場合にベルト滑りと誤判断することがなく、ベルト滑り判断精度を高めることができる。
【0016】
た、請求項に記載の発明では、加速度が大きいほど最大変速比を超えた状態を判断する所定時間を長く設定することで、誤検知の防止とベルトの耐久性の向上を両立することができる。
請求項に記載の発明では、ベルト保護制御手段は、ベルト滑り判断手段によりベルト滑りが発生していると判断されたとき、ベルト保護制御を行う。一方、ベルト滑りが発生していると判断されない場合には、ベルト保護制御を行わない。よって、ベルト滑りを抑制してベルトの耐久性向上を図ることができる。
【0017】
請求項に記載の発明では、エンジントルクの上限を規制することにより、プライマリプーリへの入力トルクの上限が規制されるため、入力トルクを確実に抑制してベルト滑りを防止することができる。
【0018】
請求項に記載の発明では、アップシフトを行うことにより、伝達可能な入力トルクを大きくすることが可能となり、ベルト滑りを防止することができる。
【0019】
請求項に記載の発明では、エンジン回転数の上限を制限することにより、エンジントルクの上限が制限されるとみなすことができる。よって、プライマリプーリへの入力トルクを確実に抑制してベルト滑りを防止することができる。
【0020】
請求項に記載の発明では、車両停車時にエンジンアイドル回転数を所定回転数上昇させることにより、車両停車時にエンジンにより駆動されるオイルポンプの吐出量を確保することができる。よって、プーリに大きな負荷がかかる発進時においても十分なプーリクランプ圧を確保することが可能となり、ベルト滑りを防止することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は実施の形態におけるエンジンとベルト式無段変速機3(以下、CVTと略記する。)の制御系を表す図である。
【0023】
1はトルクコンバータ、2はロックアップクラッチ、3はCVT、4はプライマリ回転数センサ、5はセカンダリ回転数センサ、6は油圧コントロールバルブユニット、8はエンジンにより駆動されるオイルポンプ、9はCVTコントロールユニット、10はアクセル開度センサ、11は油温センサ、18はエンジン、19はエンジンコントロールユニット(以下、ECUと略記する。)、16はエンジン回転数センサ、17はスロットル開度センサである。
【0024】
エンジン18には、燃料を噴射する複数のインジェクタと、電動アクチュエータにより作動する電子制御スロットルが設けられている。各インジェクタの燃料噴射指令及び電子制御スロットル開度指令は、ECU19により行われる。
【0025】
ECU19は、基本的にはエンジン回転数Neを検出するエンジン回転数センサ16からの信号、運転者のアクセルペダル操作量APSを検出するアクセル開度センサ10からの信号及びエンジン負荷に相当するスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ17からの信号が入力され、出力トルク制御指令,停車時のエンジンのアイドリング回転数制御指令や、減速時に所定回転数に減少するまで燃料噴射をカットして燃費の向上を図るフューエルカット制御指令等を出力する。
【0026】
エンジン出力軸には回転伝達機構としてトルクコンバータ1が連結されるとともに、エンジンとCVT3を直結するロックアップクラッチ2が備えられている。トルクコンバータ1の出力側は前後進切換機構20のリングギア21と連結されている。前後進切換機構20は、エンジン出力軸12と連結したリングギア21,ピニオンキャリア22,変速機入力軸13と連結したサンギア23からなる遊星歯車機構から構成されている。ピニオンキャリア22には、変速機ケースにピニオンキャリア22を固定する後進ブレーキ24と、変速機入力軸13とピニオンキャリア22を一体に連結する前進クラッチ25が設けられている。
【0027】
変速機入力軸13の端部にはCVT3のプライマリプーリ30aが設けられている。CVT3は、上記プライマリプーリ30aとセカンダリプーリ30bと、プライマリプーリ30aの回転力をセカンダリプーリ30bに伝達するベルト34等からなっている。プライマリプーリ30aは、変速機入力軸13と一体に回転する固定円錐板31と、固定円錐板31に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共にプライマリプーリシリンダ室33に作用する油圧によって変速機入力軸13の軸方向に移動可能である可動円錐板32からなっている。
【0028】
セカンダリプーリ30bは、従動軸38上に設けられている。セカンダリプーリ30bは、従動軸38と一体に回転する固定円錐板35と、固定円錐板35に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共にセカンダリプーリシリンダ室37に作用する油圧によって従動軸38の軸方向に移動可能である可動円錐板36とからなっている。
【0029】
従動軸38には図示しない駆動ギアが固着されており、この駆動ギアはアイドラ軸に設けられたピニオン、ファイナルギア、差動装置を介して図外の従動輪と駆動輪とからなる車輪のうち、駆動輪に至るドライブシャフトを駆動する。
【0030】
CVT3にエンジン出力軸12から入力された回転力は、トルクコンバータ1及び前後進切換機構20を介してCVT13に伝達される。変速機入力軸13の回転力はプライマリプーリ30a,ベルト34,セカンダリプーリ30b,従動軸38,駆動ギア,アイドラギア,アイドラ軸,ピニオン,及びファイナルギアを介して差動装置に伝達される。
【0031】
上記のような動力伝達の際に、プライマリプーリ30aの可動円錐板32及びセカンダリプーリ30bの可動円錐板36を軸方向に移動させてベルト34との接触位置半径を変えることにより、プライマリプーリ30aとセカンダリプーリ30bとの間の回転比つまり変速比を変えることができる。このようなV字状のプーリ溝の幅を変化させる制御は、CVTコントロールユニット9を介してプライマリプーリシリンダ室33またはセカンダリプーリシリンダ室37への油圧制御により行われる。
【0032】
CVTコントロールユニット9には、プライマリ回転数センサ4からのプライマリ回転数Npri、セカンダリ回転数センサ5からのセカンダリ回転数Nsec、プライマリ圧センサ14からのプライマリプーリ圧Ppri、セカンダリ圧センサ15からのセカンダリプーリ圧Psec等が入力される。また、ECU19と通信により、例えば従動輪センサ17aから算出された車体の加速度や各センサ値等の情報を送受信しており、これら入力信号を元に制御信号を演算し、油圧コントロールバルブユニット6へ制御信号を出力する。
【0033】
油圧コントロールバルブユニット6へは、CVTコントロールユニット9により演算された制御信号に基づいて各電子制御バルブ及び後述するステップモータ54を駆動し、プライマリプーリシリンダ室33とセカンダリプーリシリンダ室37へ制御圧を供給することで変速制御を行う。
【0034】
図2は実施の形態におけるベルト式無段変速機の油圧回路を表す回路図である。
40は油路41から供給されたオイルポンプ8の吐出圧を、ライン圧(プーリクランプ圧)として調圧するプレッシャレギュレータバルブである。油路41には油路42が連通されている。油路42はCVT3のプライマリプーリシリンダ室33に制御油圧を供給する変速制御弁50に接続されると共に、セカンダリプーリシリンダ室37にベルト34をクランプするクランプ圧を供給するプーリ圧供給油路48に減圧弁49を介して接続されている。また、油路42に接続された油路43は、パイロットバルブ55の元圧を供給する。
【0035】
減圧弁49は、CVTコントロールユニット9からの制御信号によりソレノイドを駆動し、フィードバック制御(閉ループ制御)によりセカンダリプーリ圧Psecを制御する。
【0036】
変速制御弁50は、油路42と接続する吸入ポート50aと、プライマリプーリシリンダ室33に油圧を供給する供給ポート50bと、油圧をドレンするドレンポート50cと、CVTコントロールユニット9からの制御信号により作動するステップモータ54とがリンク52によって接続され、これにより機械的フィードバック機構を構成している。
【0037】
ステップモータ52の駆動によりスプール50dが移動し、プライマリプーリシリンダ室33に油圧が供給されると、変速比の変化によって可動プーリが移動し、この移動によって再度スプール50dをステップモータ54の駆動とは逆方向に駆動することで油圧の供給が停止することで所望の変速比を得ることができる。一方、ステップモータ52の駆動によりスプール50dが移動し、プライマリプーリシリンダ室33の油圧が排出されると、変速比の変化によって可動プーリが移動し、この移動によって再度スプール50dの駆動とは逆方向に駆動することで油圧の排出が停止し、所望の変速比を得ることができる。
【0038】
プレッシャレギュレータバルブ40からドレンされた油圧は、油路46を介してクラッチレギュレータバルブ60に供給される。このように、プレッシャレギュレータバルブ40の発生する油圧よりも低い油圧をクラッチレギュレータバルブ60により調圧することで、前進クラッチ25の締結圧として供給される油圧が、プーリクランプ圧よりも高くならない構成としている。
【0039】
この油路46には、油路42に連通され、オリフィス45を有する油路44が連通されている。クラッチレギュレータバルブ60は油路46及び油路61の油圧を調圧する。この油路61の油圧はセレクトスイッチングバルブ80及びセレクトコントロールバルブ90へ供給される。
【0040】
55は油路56を介してロックアップソレノイド71及びセレクトスイッチングソレノイド70への一定供給圧を設定するパイロットバルブである。セレクトスイッチングソレノイド70の出力圧は油路73からセレクトスイッチングバルブ80に供給され、セレクトスイッチングバルブ80の作動を制御する。ロックアップソレノイド71の出力圧は油路72からセレクトスイッチングバルブ80に供給される。
【0041】
80はセレクトスイッチングバルブであり、セレクトスイッチングソレノイド70によって作動する。セレクトスイッチングバルブ80には、入力ポートとして、ロックアップソレノイド71からの信号圧を供給する油路72が接続され、クラッチレギュレータバルブ60により調圧された油路61が接続され、セレクトコントロールバルブ90により調圧された油路93が接続されている。更に、出力ポートとして、マニュアルバルブ100に前進クラッチ圧を供給する油路81が接続され、図外のロックアップクラッチコントロールバルブへ油圧を供給する油路82が接続され、セレクトコントロールバルブ90のスプール92を作動する油圧を供給する油路83が接続され、油圧をドレンするドレン油路84が接続されている。
【0042】
90はセレクトコントロールバルブであり、油路83から供給されるロックアップソレノイド71により作動する。セレクトコントロールバルブ90には、入力ポートとして、クラッチレギュレータバルブ60により調圧された油路62が接続され、ロックアップソレノイド71の信号圧を供給する油路83が接続されている。そして、油路62と油路93の連通状態を制御することで油圧を調圧する。
【0043】
次に、作用を説明する。
[ベルト滑り判断制御処理]
図3は、CVTコントロールユニット9におけるベルト滑り判断制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
ステップS101では、プライマリ回転数センサ4により検出されたプライマリ回転数Npriが所定値、例えば500rpm以上であるかどうかを判断する。500rpm以上である場合にはステップS102へ進み、500rpmよりも小さい場合にはステップS107へ進む。これは、プライマリ回転数Npriが500rpm以下になると、プライマリ回転数センサ4の検出ノイズが大きくなることから、その場合には滑り判断を行わないことにより、ベルト滑りの誤判断を低減するためである。
【0045】
ステップS102では、検出されたプライマリ回転数Npriが機構上(メカに)取り得る変速比であるかどうかを、プライマリ回転数Npriが最大変速比2.7にセカンダリ回転数Nsecを乗算した値以上であるかどうかにより判断する。プライマリ回転数Npriが最大変速比2.7にセカンダリ回転数Nsecを乗算した値以上である場合にはステップS103へ進み、プライマリ回転数Npriが最大変速比2.7にセカンダリ回転数Nsecを乗算した値よりも小さい場合にはステップS107へ進む。
【0046】
ステップS103では、オイルポンプ8が正常に動作していながらも、ベルト滑りが発生する状態であるかどうかを、エンジン回転数Neが所定値、例えば600rpm以上であるかどうかにより判断する。エンジン回転数Neが600rpm以上である場合にはステップS104へ進み、エンジン回転数Neが600rpmよりも小さい場合にはステップS107へ進む。
【0047】
ステップS104では、タイマをカウントダウンする。
【0048】
ステップS105では、プライマリ回転数Npriが機構上取り得る最大変速比を超えた状態が所定時間継続したかどうかを、タイマのカウントダウンが終了したかどうかから判断する。なお、この所定時間は、車両が通常取りうる加速度のときに発生する読みとりずれをベルト滑り判断から除外できる時間を設定しており、例えば0.2secに設定しているが、例えば、従動輪センサ17aから検出された加速度に基づいて、この所定時間を変更しても良い。この場合、図6に示すように加速度が大きいほど所定時間を長くし、小さいほど短く設定することによって、誤検知の防止とベルトの耐久性の向上を両立できるようになる。カウントダウンが終了している場合にはステップS106へ進み、カウントダウンが終了していない場合には本制御を終了する。
【0049】
ステップS106では、ベルト滑りが発生していると判断し、ベルト保護制御を行って本制御を終了する。
【0050】
ステップS107では、タイマをイニシャライズ処理して本制御を終了する。
【0051】
[ベルト滑り判定時ベルト保護制御処理]
図4は、CVTコントロールユニット9におけるベルト滑り判定時ベルト保護制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
ステップS201では、ステップモータ54の目標位置を、オーバードライブ側操作限界に設定する。
【0053】
ステップS202では、ステップモータ54の駆動速度を所定値に設定する。
【0054】
ステップS203では、エンジン回転数Neを所定値以下に制限する指令をECU19へ出力する。
【0055】
ステップS204では、アイドル回転数を所定値まで増加させる指令をECU19へ出力する。
【0056】
ステップS205では、ステップモータ54の実位置がオーバードライブ側操作限界に達したかどうかを判定し、操作限界である場合にはステップS206へ進み、操作限界ではない場合にはステップS209へ進む。
【0057】
ステップS206では、タイマをカウントダウンする。
【0058】
ステップS207では、ステップモータ54の実位置がオーバードライブ側操作限界に達してから所定時間経過したかどうか、すなわち、変速比を最Hiにする指示を出力してからプーリがオーバードライブ側操作限界へ移動したかどうかを、タイマのカウントダウンが終了したかどうかから判断する。カウントダウンが終了している場合にはステップS208へ進み、カウントダウンが終了していない場合にはステップS209へ進む。
【0059】
ステップS208では、エンジン20のトルク制限量を70Nmとする指令をECU19へ出力して本制御を終了する。
【0060】
ステップS209では、エンジン20のトルク制限量を50Nmとする指令をECU19へ出力して本制御を終了する。
【0061】
[ベルト滑り判定時ベルト保護制御]
図5は、ベルト滑り判定時ベルト保護制御作用を示すタイムチャートである。
【0062】
t1では、プーリ比(変速比)が機構上の最大変速比を超える。このとき、図3のフローチャートにおいて、ステップS101→ステップS102→ステップS103→ステップS104→ステップS105へと進む流れとなる。
【0063】
すなわち、ステップS101によりプライマリ回転数Npriが500rpm以上であると判断され、ステップS102によりプライマリ回転数Npriが機構上取り得る最大変速比2.7以上であると判断される。続いて、ステップS103によりエンジン回転数Neが600rpm以上であると判断され、ステップS104によりタイマがカウントダウンされ、ステップS105によりカウントダウンが終了していないと判断される。
【0064】
t2では、変速比が機構上の最大変速比を超えてから所定時間である0.2sec経過したため、図3のフローチャートにおいて、ステップS101→ステップS102→ステップS103→ステップS104→ステップS105→ステップS106へと進む流れとなる。
【0065】
すなわち、ステップS105によりカウントダウンが終了したと判断され、ステップS106によりベルト滑りが発生していると判断されてベルト保持制御が実施される。ベルト保持制御では、図4のフローチャートにおいて、ステップS201→ステップS202→ステップS203→ステップS204→ステップS205→ステップS209へと進む流れとなる。
【0066】
すなわち、ステップS201によりステップモータ54の目標位置がオーバードライブ側操作限界に設定され、ステップS202によりステップモータ54の駆動速度が所定値に設定される。続いて、ステップS203によりエンジン回転数Neを所定値以下に制限する指令がECU19へ出力され、ステップS204によりアイドル回転数を所定値まで増加する指令がECU19へ出力される。次に、ステップS205により、ステップモータ54の実位置がオーバードライブ側操作限界に達していないと判断され、ステップS209によりエンジン20のトルク制限量を50Nmとする指令がECU19へ出力される。
【0067】
ここで、オーバードライブ側操作限界とは、変速比でいうところの最小変速比の位置よりも、さらにステップモータ54をアップシフト側へ動かした位置をいう。この位置に動かす理由としては、セカンダリプーリ30bに油圧を供給するプーリ圧供給油路48がフェール(例えば、減圧弁49がロックし、ライン圧は発生しているがセカンダリプーリ圧Psecが低い状態のとき)しているときでも、プーリ位置を最小変速比側にすることでプライマリプーリとセカンダリプーリのメカニカルストッパによりトルク容量を確保可能となり、ベルト滑りを防止することができるためである。また、一般的に、プーリの伝達可能な入力トルクは変速比が小さくなるほど大きくなる。
【0068】
ちなみに、プレッシャレギュレータバルブ40がフェールし、プライマリプーリ圧Ppriとセカンダリプーリ圧Psecが共に低い場合には、ステップモータ54をオーバードライブ側操作限界に移動させても、油圧不足によりプーリ比は中間プーリ位置に留まる。
【0069】
t3では、ステップモータ54の実位置がオーバードライブ側操作限界へ達したため、図4のフローチャートにおいて、ステップS201→ステップS202→ステップS203→ステップS204→ステップS205→ステップS206→ステップS207→ステップS209へと進む流れとなる。
【0070】
すなわち、ステップS205によりステップモータ54の実位置がオーバードライブ側操作限界に達していると判断され、ステップS206によりタイマがカウントダウンされる。続いて、ステップS207によりカウントダウンが終了していないと判断され、ステップS209によりエンジン20のトルク制限量を50Nmとする指令が継続して出力される。
【0071】
これは、セカンダリプーリ圧Psecが低い場合には、ステップモータ54の位置がオーバードライブ側操作限界に達していないとトルク伝達不可能なため、エンジン20のトルク制限量を低く抑えるためである。また、上述したように、プレッシャレギュレータバルブ40がフェールした場合には、プーリ比が中間プーリ位置に留まるため、ベルト滑りを抑えるためにトルク制限量を低くしておく必要もある。
【0072】
t4では、ステップモータ54の実位置がオーバードライブ側操作限界に達してから所定時間経過したため、図4のフローチャートにおいて、ステップS201→ステップS202→ステップS203→ステップS204→ステップS205→ステップS206→ステップS207→ステップS208へと進む流れとなる。
【0073】
すなわち、ステップS207によりカウントダウン終了と判断され、ステップS208によりエンジン20のトルク制限量を70Nmとする指令がECU19へ出力される。
【0074】
次に、効果を説明する。
(1) プライマリ回転数Npriが機構上取り得る最大変速比2.7にセカンダリ回転数Nsecを乗算した値以上となった状態が所定時間継続したとき、ベルト滑りが発生していると判断するため、プライマリおよびセカンダリ回転数センサ4,5の検出誤差等により瞬間的に最大変速比が機構上取り得ない値となった場合のベルト滑り誤判断を防止することができ、ベルト滑り判断精度を高めることができる。
【0075】
(2) エンジン回転数Neが600rpm以上である場合、すなわち、十分なライン圧が発生していると推定されるとき、上記条件によりベルト滑りが発生していると判断するため、油圧回路の故障、例えば電子油圧制御弁のスティック等によるベルト滑りを発生から短時間で確実に検出すること可能となり、ベルトの耐久性の向上を図ることができる。一方、エンジン回転数Neが600rpm未満である場合、エンジン回転が不安定な状態で生じるベルト滑りについては、過剰にベルト保護制御が行われることが無く、走行性の悪化を防止することができる。
【0076】
(3) ベルト滑りが発生していると判断されたとき、エンジン回転数Neを所定値以下に制限し、ステップモータ54の目標位置をオーバードライブ側操作限界に設定するとともに、エンジン20のトルク制限量を50Nmに抑えるため、セカンダリプーリ30bに油圧を供給する減圧弁49がロックし、ライン圧は発生しているがセカンダリプーリ圧Psecが低い状態のときでも、プーリ位置を最オーバードライブ側にすることでプライマリプーリとセカンダリプーリのメカニカルストッパによりトルク容量を確保可能となり、ベルト滑りを防止することができる。さらに、プレッシャレギュレータバルブ40がフェールし、油圧不足によりプーリ比は中間プーリ位置に留まっているような場合でも、ベルト滑りを防止することができる。
【0077】
(4) ベルト滑りが発生していると判断されたとき、車両停車時のアイドル回転数を上昇させるため、車両停車時にオイルポンプ8の吐出量を確保して発進時のベルト滑りを防止することができる。
【0078】
(5) 目標油圧と実油圧との乖離が大きいことを条件としてベルト滑りを判定することも可能であるが、経時変化によりベルトとプーリの表面が劣化し、摩擦係数μが低下することによって、油圧は発生しているがベルトが滑る場合には、ベルト滑りを検出することができない。一方、本実施の形態の方法でベルト滑りを検出することにより、実油圧が目標油圧に達しているにも拘わらずベルト滑りが発生するという状況においても、確実にベルト滑りを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるベルト式無段変速機を備えた車両の主要ユニットの構成を示す図である。
【図2】実施の形態における油圧回路の構成を表す回路図である。
【図3】 CVTコントロールユニットにおけるベルト滑り判断制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】 CVTコントロールユニットにおけるベルト滑り判定時ベルト保護制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ベルト滑り判定時ベルト保護制御作用を示すタイムチャートである。
【図6】加速度に応じて設定される所定時間を表すマップである。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ
2 ロックアップクラッチ
3 ベルト式無段変速機
4 プライマリ回転数センサ
5 セカンダリ回転数センサ
6 油圧コントロールバルブユニット
8 オイルポンプ
9 コントロールユニット
10 アクセル開度センサ
11 油温センサ
12 エンジン出力軸
13 変速機入力軸
14 プライマリ圧センサ
15 セカンダリ圧センサ
16 エンジン回転数センサ
17 スロットル開度センサ
17a 従動輪センサ
18 エンジン
19 エンジンコントロールユニット(ECU)
20 前後進切り換え機構
31 固定円錐板
32 可動円錐板
33 プライマリプーリシリンダ室
34 ベルト
35 固定円錐板
36 可動円錐板
37 セカンダリプーリシリンダ室
38 従動軸
40 プレッシャレギュレータバルブ
41,42,43,44,46 油路
45 オリフィス
49 減圧弁
50 パイロットバルブ
51 油路
60 クラッチレギュレータバルブ
61 油路
70 セレクトスイッチングソレノイド
71 ロックアップソレノイド
72,73 油路
80 セレクトスイッチングバルブ
81,82,83,84 油路
90 セレクトコントロールバルブ
91 スプールバルブ
92 スプリング
93 油路
100 マニュアルバルブ
101 油路
102 オリフィス

Claims (6)

  1. エンジン側の主軸にプーリ間隔可変のプライマリプーリが設けられ、前記主軸に並行配置される車輪側の副軸にプーリ間隔可変のセカンダリプーリが設けられ、両プーリの間に駆動ベルトが巻回され、両プーリの油圧を制御し両プーリに対する駆動ベルトの巻き付け径の比を変化させることにより無段階に変速する無段変速機において、
    プライマリプーリ回転数とセカンダリプーリ回転数に基づいて変速比を算出する変速比算出手段と、
    変速比の値が機構上の変速比領域から所定時間継続して外れているとき、ベルト滑りが発生していると判断するベルト滑り判断手段と、
    車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
    を設け、
    前記ベルト滑り判断手段は、検出された加速度が大きいほど前記所定時間を長く設定することを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  2. 請求項1に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記ベルト滑り判断手段によりベルト滑りが発生していると判断されたときに、ベルト保護制御を行うベルト保護制御手段を更に設けたことを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  3. 請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記ベルト保護制御は、エンジントルクの上限を規制する制御であることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  4. 請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記ベルト保護制御は、アップシフトであることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  5. 請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記ベルト保護制御は、エンジン回転数の上限を規制する制御であることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
  6. 請求項に記載のベルト式無段変速機の制御装置において、
    前記ベルト保護制御は、車両停車時のエンジンアイドル回転数を所定回転数上昇させる制御であることを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
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