JP4247404B2 - フォトニック結晶及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトニック結晶とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光エレクトロニクスの分野において、光学素子の小型化及び集積化のためにフォトニック結晶が開発されている。
従来より一般的に知られているフォトニック結晶は、二次元フォトニック結晶であり、ピラー(円柱)型の構造体を厚み方向に各々平行に延在させ平面的に所定周期で配列した周期構造となっている。周期構造の側面からの入射波に対して屈折率が周期的に変化するため、電磁波に対する干渉作用を示し、特定の周波数領域の電磁波の通過を禁止する。このことは特定の波長の光を遮蔽することができることも意味する。この場合の禁止帯(遮蔽帯)はフォトニックバンドギャップと呼ばれる。また、特定の波長の電磁波や光を遮蔽する効果はフォトニックバンドギャップ効果と呼ばれる。
この二次元フォトニック結晶は高効率半導体レーザー素子や光導波路等として平面光回路への応用が期待されている。
【0003】
このような二次元フォトニック結晶は概略、次のように製造される。
シリコンなどの基板上に光感応性官能基を含む原料を所定膜厚にコーティングして乾燥し、次いで該コーティング膜表面にレーザー光などの光ビームを照射する。照射後該コーティング膜の光ビーム照射部分(耐エッチング性部分)を除く非照射部分をエッチングする。この結果図7、図8に示すように、基板01上に直立したピラー型構造体03が周期的に並列配列した周期構造体030が得られる。この周期構造体は二次元フォトニック結晶として用いられる。必要に応じ、さらに基板01もエッチングしピラー型構造体03の延長上にピラーを形成した、二次元フォトニック結晶も製造される。
【0004】
他の二次元フォトニック結晶として例えば、特開2002−277659号公報には、光ビーム照射部分をエッチングして細孔化し、この細孔内に選択的に充填材料を導入して屈折率を変化させたり、他の機能性を持たせたりして、応用性を高める方法が紹介されている。
【特許文献1】
特開2002−277659号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような二次元フォトニック結晶では、フォトニック結晶材料とピラー型構造体又は細孔を配列する周期が決まってしまうと、そのフォトニックバンドギャップを示す波長域は狭い範囲に限定されてしまう問題がある。本発明の目的は、フォトニックバンドギャップを示す波長域を広範囲に連続可変にしたフォトニック結晶を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、検討を重ねた結果、フォトニック結晶を製造するに当たり、格別の工夫を施すことにより、特定の周期構造から成る新しいタイプのフォトニック結晶が得られることを発見し、本発明を導き出した。
かくして、本発明は、複数本のピラー型構造体の頂部が集束して形成された(三次元的な)錐型複合構造体が、二次元周期で配列された周期構造から成ることを特徴とするフォトニック結晶を提供するものである。
【0007】
本発明に従えば、さらに上記のフォトニック結晶を製造する方法であって、光感応性官能基を含む原料液を光透過性基板上に所定膜厚にコーティングして乾燥した後、光ビームを照射し、次いで照射部分を除く非照射部分をエッチングして光透過性基板上に周期構造体を残存成形するフォトニック結晶の製造において、光透過性基板上のピラー型構造体底面の単位格子あたり占有面積比を30〜45%にすることを特徴とする方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に従えば、フォトニック結晶を製造するための光ビーム照射に際して、図1、図2、および図3に示すように、光透過性基板1上の単位格子2におけるピラー型構造体3の底面4の占有面積比を30〜45%にすることにより、複数本のピラー型構造体3の頂部3Pが集束した(寄せ合った)形状の三次元的な錐型複合構造体3Gが、前記基板上に二次元周期で配列した周期構造体30が確実に得られる。
【0009】
この周期構造体30を用いれば、その側面からの光挿入箇所をz方向に任意に変えることによってフォトニックバンドギャップを示す波長域が連続的に変化させることができる。
表1は、上記技術条件つまり光透過性基板上のピラー型構造体底面の単位格子あたり占有面積比を30〜45%にすることにより、本発明が対象とする錐型構造体(錐型複合構造体)が得られることを示す実験データをまとめたものである。
【0010】
【表1】
【0011】
ここで、表1において、膜厚はコーティング膜の厚さであり同時にピラー型構造体の高さに相当する。また、ピラー直径はピラー型構造体の直径の平均値であり、*に限ってはピラー型構造体が楕円柱であるため、楕円の短径と長径を示した。
面積比はピラー型構造体底面の単位格子あたり占有面積比を次のように算出したものである:すなわち、電子顕微鏡により観察される図2の(a)に示されるような上方からの配列形状(後述の図10参照)から単位格子の長さ(図2の(a)のハッチング部分は単位格子4つ分を示す)とピラー直径を知ることができるので、これを用い、図2の(b)に示されるように底面においてピラー構造体の断面が占める単位格子当たり(図2の(b)のハッチング部分は単位格子1つ分を示す)の面積比を算出した。
【0012】
構造体の種類には、図1、図2、および図3に示す錐型、図5に示すようにピラー型構造体3が不規則な本数でかつ頂部3Pがずれて錐型に集まって構成される変形錐型、図6に示されるように隣接するピラー型構造体が密着し塊団子状となった構造体、図7、図8に示す従来並列型がある。これらの構造は電子顕微鏡による観察によっても確認することができる。図10および図11には、本発明に従う錐型複合構造体の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示している。
【0013】
表1に示す評価においては、図1、図2、および図3に示される錐型複合構造体となるものが図4に示すように(後述する)光挿入箇所をz方向によってL1,L2と変えることで、フォトニックバンドギャップを示す波長域が連続的に変化することから◎、変形錐型は条件を少し改善することによって錐型複合構造体となることが期待できることから○、従来並列型については通常の二次元フォトニック結晶としてフォトニックバンドギャップを示すことからから△、塊団子状においてはフォトニック結晶としての効果が期待できないことから×と判断した。
【0014】
表1に示す例においては、フォトミック結晶作製における光ビーム照射の条件として、膜厚1〜30μm、レーザー強度4〜25μJ、照射時間1〜15min、ピラー直径0.5〜20μmの範囲で変化させているが、驚くべきことに、いずれの場合においても、面積比(光透過性基板上におけるピラー型構造体底面の単位格子当たり占有面積比)を30〜45%にすることによって、錐型構造体が確実に形成される。これに対して、該占有面積比を30%未満にすると、錐型複合構造体を形成する各ピラーが細く、変形錐型あるいは並列従来型となってしまう等の問題があり好ましくない。
また、該面積比が45%を越えると並列従来型の二次元フォトニック結晶構造となるか、あるいは塊団子状となってしまう等の問題があり好ましくない。
【0015】
かくして、本発明においては、コーティング膜への光ビーム照射の条件を適宜調整して、該占有面積比が30〜45%になるように光ビーム照射を行なった後、化学エッチングにより非照射部を取り除く。ここで、本発明における光ビーム照射には、レーザー干渉法を用いることが好ましく、図1に示すxy平面に対して図9のような周期的な光学強度分布を有するレーザー光をコーティング膜に照射する。
【0016】
なお、このレーザー干渉法において、コーティング膜内に、あらかじめ光増感剤を入れておく場合は、光増感剤の吸収波長域に対応するレーザー光を用いることが必要である。特に空間コヒーレンスの優れたレーザーを用いることが図9に示す照射域と非照射域との境界が明確である光学強度分布を持つ光を照射するために重要である。
【0017】
これによりピラー型構造体底面の単位格子あたり占有面積比を30〜45%の範囲に調整することを容易にして、この結果ピラー型構造体の自己組織化を起こさせ、図1および図3に示すように複数本のピラー構造体3がビーム照射側で倒れ寄り集まったように接合した錐型複合構造体3Gが形成される。なお、図3には4本単位の錐型複合構造体が図示されているが、本発明によって得られる錐型複合構造体はこれに限られず、2〜10数本単位、特にn2(nは2,3または4)本単位で寄り集まった錐型構造体を得ることができる。
【0018】
本発明において、フォトニック結晶用の光感応性官能基を有する原料としては、例えばC=C二重結合部などのように光により耐薬品性の高い結合形態に変化する所謂光感応性有機物と高屈折率の無機物としてチタニアのような原料となる金属アルコキシドとの複合材料が好適である。また、このような有機−無機複合材料に限定されず、その他、有機材料や有機高分子などでも製造することが可能である。有機−無機複合材料を用いる場合には、熱処理条件によっては、有機成分を燃焼し、無機成分のみを残して作製することも可能である。
【0019】
更に本発明において、光透過性板上へのコーティング膜を形成する方法としては、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、キャスト法などで行うことが可能である。
また化学エッチング剤としては、特別限定するものでなくプロパノールやエトキシエタノールなどのアルコール、酸、アルカリ等材料の種類に応じた一般公知の化学エッチング剤で良い。
【0020】
【実施例】
本発明の実施例を図1〜図4に基づいて説明する。
<実施例1>
この実施例1は、表1のNo.16に記載したもので、レーザー干渉法により有機−無機複合材料から錐型複合構造体を製造するものであり、以下にそのステップ毎に説明する。
第1ステップ:
メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランの混合溶液に0.75等量の希薄酸性水溶液を加え、攪拌する(溶液A)。別の容器に、チタニウムブトキサイドと1/4等量のメタクリル酸、同体積のプロパノールを加え攪拌する(溶液B)。このB溶液をA溶液に加え、混合した後、水と光重合開始剤を加え、さらに24時間攪拌しゾル溶液を調製した。ゾル溶液をガラス基板上にスピンコーティングし膜を作製した。
第2ステップ:
膜中の有機溶媒が揮発する100℃で30分間乾燥行って光感応性有機−無機複合膜を固化させた後、再度コーティングを行った。このように3回コーティングを繰り返してゲル膜を作製した。
第3ステップ:
このようにして得られた上記光感応性有機−無機複合膜に対して、波長800nmで1ビームあたり照射強度10μJのフェムト秒レーザー光を4本干渉させ、約3μmの周期となる光を2分間照射する。
第4ステップ:
レーザー光を照射した後の膜をプロパノールで5分間化学エッチングし、その後、乾燥窒素を吹き付けて乾かした。
この結果、光透過性基板1上において4本のピラー型構造体3底面4の単位格子2あたり占有面積比が35%の錐型複合構造体3Gとなって、図3に示すようなガラス基板上に規則的に周期配列した周期構造体30が得られた。
三次元的な錐型複合構造体3Gが二次元周期で配列した周期構造体30は、後述のようにフォトニックバンドギャップを示す波長域が連続的に変化する。
第5ステップ:
エッチング後残った膜つまり周期構造体30を熱処理する。このときの温度は構造体中の有機物が残存する温度、例えば150℃で行った。
【0021】
<比較例>
表1のNo.21を比較例として示す。実施例1の第1ステップと第2ステップを経て作製したコーティング膜(厚さ10μm)に対して、第3ステップと同様のレーザーを10μJで10分間照射した後。同様に第4ステップ及び第5ステップを行った。この結果、錐型複合構造体を作製することはできず、図7にしめすような塊団子状の構造体となった。このとき、光透過性基板1上におけるピラー型構造体3底面4の単位格子あたりの占有面積比を求めたところ、70%であった。
【0022】
<実施例2>
次に表1のNo.6を本発明に従う第2の実施例として示す。
原材料となるアルコキシドとして溶液Aにはメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを、溶液Bにはジルコニウムプロポキシドを用いた場合には25μJのビームを1分間露光することで、光透過性基板1上において4本のピラー型構造体3底面4の単位格子2あたり占有面積比を35%にした錐型複合構造体3Gで構成した図3に示す周期構造体30が作製できた。
上記の実施例1及び2で作製した周期構造体30は、例えば異なる波長域にフォトニックバンドギャップを示すフォトニック結晶として用いることができる。
図4には上記の周期構造体30の横断面的説明図を示す。光が周期構造体30の側面から表面に対して平行に表面側L2を通る場合、この光通過ラインL2に掛かる錐型複合構造体3G部分は、周期T2で配列しているのに対し、光が周期構造体30の側面から基板側L1を平行に通る場合にはこの光通過ラインL1に掛かる錐型複合構造体3G部分は、周期T1となっている。この周期の違いによって、フォトニックバンドギャップが形成される波長域はL1を通る光とL2を通る光で大きく異なる。
実施例1及び2で得られた4本のピラー型構造体が寄り集まって作られた錐型複合構造体からなる周期構造体に関してはT1/T2=2となり、L1を通る光に対して現れるバンドギャップの約2倍の波長域にL2を通る場合のバンドギャップが現れた。
【0023】
本発明に従えば、光透過性基板上においてピラー構造体の底面の単位格子あたり占有面積比を30〜45%にすることにより、複数本のピラー型構造体の頂部が集束した三次元的な錐型複合構造体が形成され、これが光透過性基板上に二次元周期で配列した周期構造体が確実に得られる。
この周期構造体は、その側面からの光挿入箇所を厚み方向に任意に変えることによってフォトニックバンドギャップを示す波長域が連続的に変化する。例えば、4本のピラー型構造体からなる場合は実施例1及び2で述べたが、9本のピラー型構造体が集まった場合には3倍、16本の場合には4倍の波長域においてバンドギャップが現れる。
このような特定の周期構造体から成る本発明のフォトニック結晶は、平面光回路に幅広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフォトニック結晶の1実施例を示す基板上の周期構造体の横断面的説明図である。
【図2】 本発明のフォトニック結晶の平面図である。(a)は上面からのものであり、(b)は基板側(底面)から見た場合を示す。
【図3】 本発明のフォトニック結晶の立体図である。
【図4】 本発明のフォトニック結晶の横断面図と光通過ラインの説明図である。
【図5】 ピラー型構造体が不規則な本数で錐型に集まって構成された変形錐型構造体の立体図である。
【図6】 隣接するピラー型構造体が密着して作られる塊団子状構造体の平面図である。
【図7】 従来方法により作製される並列従来型二次元フォトニック結晶の断面図である。
【図8】 従来方法により作製される並列従来型二次元フォトニック結晶の立体図である。
【図9】 本発明で用いたレーザー光の図1及び図3におけるxy平面での光強度分布を表す図である。
【図10】 本発明のフォトニック結晶のSEM写真であり、上面からの状態が明示されている。
【図11】 本発明のフォトニック結晶のSEM写真であり、錐型構造体が形成されていることが示されている。
【符号の説明】
1 基板
2 単位格子
2(4) 単位格子4つ分
2(1) 単位格子1つ分
3 ピラー型構造体
3P ピラー型構造体の頂部
3B ピラー型構造体の底部
3G 錐型複合構造体
30 周期構造体
T,t 構造体の周期
L 光通過ライン
I 光の強度
Claims (2)
- 複数本のピラー型構造体の頂部が集束して形成された錐型複合構造体が、二次元周期で配列された周期構造から成ることを特徴とするフォトニック結晶。
- 請求項1に記載のフォトニック結晶を製造する方法であって、光感応性官能基を含む原料液を光透過性基板上に所定膜厚にコーティングして乾燥した後、光ビームを照射し、次いで照射部分を除く非照射部分をエッチングして光透過性基板上に周期構造体を残存成形するフォトニック結晶の製造において、光透過性基板上におけるピラー型構造体底面の単位格子あたり占有面積比を30〜45%にすることを特徴とする方法。
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| JP2003050614A JP4247404B2 (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | フォトニック結晶及びその製造方法 |
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| JP2003050614A JP4247404B2 (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | フォトニック結晶及びその製造方法 |
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