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JP4249672B2 - ビデオ情報複数同時符号化装置 - Google Patents
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Description

本発明はビデオ情報複数同時符号化装置に関し、特に、様々なネットワークや再生環境への映像配信を行う場合に必要となる複数ストリームの同時符号化を、従来の方法より高速かつ画質劣化を抑えて行うことができるビデオ情報複数同時符号化装置に関する。
映像コンテンツを生成する場合、各種ネットワークや再生環境に応じたビットレートの異なる複数のコンテンツを生成する必要があるが、ビデオ情報を個々に符号化したのでは多くの時間や手間がかかる。そこで、同時に複数のストリームを高速に生成するトランスコード方式がいくつか考案されている。
その一例を、図24のブロック図を参照して簡単に説明する。図は、周知のMPEG2をベースとするビデオ情報複数同時符号化装置であるので、詳細な動作説明は省略し、要点のみを説明する。この従来装置は、低ビットレートと高ビットレートの2種類のストリームを生成して出力するものであり、低および高ビットレートそれぞれのループ、すなわちDCT−量子化部(Q)−逆量子化部(IQ)−逆DCT(IDCT)−フレームメモリ−動き補償部(MC)からなるループを有し、かつ前記量子化部Q,Q’をレート制御する2つのレート制御部11,12を有している。この従来装置では、動き探索処理部4を共通化することにより、処理を軽減している。
また、他の従来装置としては、例えば、情報研報、AVM33−5(2001)の「マルチレート出力機能実現のためのMPEG2トランスコーダ量子化制御方式の検討」に記されているような、量子化処理を部分的に共通化する方式がある。
情報研報、AVM33−5(2001)の「マルチレート出力機能実現のためのMPEG2トランスコーダ量子化制御方式の検討」
上記の従来技術は、それぞれ、低および高ビットレートにおける動きベクトルの探索を共通化する方式、量子化処理を部分的に共通化する方式により処理量を軽減して高速化を図るものであるが、各ビットレートのストリームを符号化する際に必要となるレート制御処理はレート制御部11,12により独立に行っていた。そして、該レート制御処理の処理量を軽減する配慮は何らなされていなかった。
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、レート制御の処理量を軽減して、高速かつ画質劣化を抑えて符号化処理を行うことができるビデオ情報複数同時符号化装置を提供することにある。
前記した目的を達成するために、本発明は、ビデオ情報を複数同時に符号化するビデオ情報複数同時符号化装置において、複数の異なるビットレートで量子化する複数の量子化器と、 該複数の量子化器の量子化パラメータを求めるレート制御部とを具備し、該レート制御部は、マスタレートで符号化された量子化パラメータを利用して、派生レートの映像を符号化し、該レート制御に用いる派生レートの量子化パラメータは、マスタレート符号化時の量子化パラメータQと、前記バッファ占有率を基に算出された重み付け係数rとの積で求められ、前記重み付け係数rのIピクチャとPピクチャの初期値rは、それぞれ下記の(1)、(2)式から求められるようにした点に特徴がある。
=A×(IピクチャのDCT係数のレート比)+B ・・・(1)
=C×(PピクチャのDCT係数のレート比)+D・・・(2)
ここに、A,B,CおよびDは、定数である。
請求項1〜の発明によれば、マスタレートの符号化に対して通常のレート制御を行い、派生レートでの符号化に対しては、前記マスタレートの符号化で得られた符号化パラメータを利用してレート制御するようにしているので、レート制御に要する処理量を低減でき、かつ複数同時符号化装置の処理を高速化することができるようになる。
また、ビットレート比が2以上であっても、重み付け係数rの初期値rは、入力画像条件に依存しない適切な値にすることができる。また、生成ファイル容量および平均PSNRが通常符号化の場合とほぼ同じになり、マスタレートとのビットレート比が2以上であっても、派生レートの符号化を、通常符号化とほぼ同じ精度、すなわち画質劣化を十分に抑えて行うことができるようになる。
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。まず、通常のレート制御(MPEG-2 ISO/IEC13396-2 Test Model 5)処理を説明する。該通常のレート制御では、下記のステップ1〜ステップ3の処理が行われる。
(ステップ 1)
まず、各フレームの符号化に先立ち、次式で定義したI、P、Bピクチャの復雑さ指標Xi、Xp、Xbを更新する。Si、Sp、Sbを発生ビット数、Qi(ave)、Qp(ave)、Qb(ave)を平均的な量子化パラメータ(以下QP)(1フレーム中のすべてのMBのmquantの平均値、ただし1〜31の範囲に正規化されている)とする。この復雑さ指標は、符号化情報量が多く発生するような画像に対して大きくなり、高い圧縮率が得られる画像に対しては小さくなる。該指標は、これから符号化しようとする画像のタイプによってどの程度情報量が必要かを、ある数値で規格化して、相対的に見積もったものである。
Xi=SiQi(ave) 、 Xp=SpQp(ave) 、 Xb=SbQb(ave)
初期値Xi(init)、Xp(init)、Xb(init)は、次のように与えられる。
Xi(init) = 160×Bit-rate /115
Xp(init) = 60×Bit-rate /115
Xb(init) = 42×Bit-rate /115
ここに、Bit-rateはビットレート(ビット/秒)である。
GOPの中の次の画面の目標ビット数Ti、Tp、Tbは、次のようにGOPの残りのビット数を、I、P、Bの残りの枚数の自分のピクチャタイプに換算したもので割ることで得られる。これはGOP中のまだ符号化していない画像のすべてが、これから符号化しようとする画像タイプであるとみなしたとき、1フレームあたり何ビット与えることができるかの目安を与えるものである。
Ti = R/(1+NpXp/(XiKp)+NbXb/(XiKb))
Tp = R/(Np+NbKpXb/(KbXp))
Tb = R/(Nb+NpKbXp/(KpXb))
Kp、Kbは量子化マトリクスに依存する恒常な定数であり、Kp=1.0、Kb=1.4である。Np、NbはGOPの中の符号化順でP、Bピクチャの残った枚数、RはGOPに与えられた残りのビット数であり、画像の符号化の後では、R = R−Si あるいは R = R−Sp あるいは R = R−Sbである。
GOPの最初の画面では、次のように設定する。
R = G + R
G = Bit-rate × N /Picture-rate
N:GOPの中のピクチャの数
(ステップ2)
各フレームに含まれるMBを順次符号化しながら、量子化ステップを求める段階である。符号化しようとしているフレームに対する割り当て情報量と実際に発生した情報量の差をMBごとにフィードバックする。実際の発生情報量が、計画量より大きいと、発生情報量を減らすために量子化ステップは大きくなり、逆の場合には量子化ステップが小さくなる。
まず、j番目のMBの符号化の前にI、P、Bフレームに対する仮想的なバッファ(このバッファは量子化ステップの計算だけに用いるもので、後述する仮想バッファ検証器とは異なる)の充満度を計算する。初期バッファ状態をdi(0)、dp(0)、db(0)とする。
di(j) = di(0) + B(j−1)−Ti×(j−1)/MB-cnt
dp(j) = dp(0) + B(j−1)−Tp×(j−1)/MB-cnt
db(j) = db(0) + B(j−1)−Tb×(j−1)/MB-cnt
B(j)はjを含んでそれまでのすべてのMBの符号化発生ビット数、MB-cntはピクチャ内のMB数である。ピクチャ内の最後の充満度は次の同タイプのピクチャのdi(0)、dp(0)、db(0)とみなされる。マクロブロックjの仮の量子化ステップQ(j)は次のように与えられる。
Q(j) = d(j)×31 / r
r = 2×Bit-rate /Picture-rate
初期値は、次の通りである。
di(0) = 10×r/31
dp(0) = Kp×di(0)
db(0) = Kb×di(0)
(ステップS3)
QPの平均値を、MBごとのアクティビティによって変化させる。マクロブロックjの空間的アクティビティ測定act(j)として、入力画像の輝度ブロック(MB中に4個含まれる)の画素値を使って次式を計算する。sblkは輝度ブロックの番号を示す。
Figure 0004249672
ここで
Figure 0004249672
(Pk:8×8ブロックの画素値)
アクティビティact(j)を、平均的なアクティビティの値からの偏りによって[2,1/2]の範囲に正規化した係数N-act(j)を計算する。
N-act(j)=(2×act(j)+avg-act)/(act(j)+2×avg-act)・・・(2)
avg-actは前の時刻の画像のact(j)の平均値、初期値は400である。この正規化した係数を用いて変調した量子化ステップは次式で得られる。
Mq(j)=Q(j)×N-act(j)
Mq(j)は[1,31]の範囲の整数にクリップされる。この変調により、視覚特性上ノイズに敏感なアクティビティの低い部分には細かな量子化ステップが割り当てされる。逆に、ノイズの目立ちにくい、変化の激しい部分には粗い量子化ステップが割り当てられる。
このように、通常のレート制御は、大きな処理量を必要とする。
この不具合に鑑みて、本発明者が先に特許出願した発明(2003−206482)を、まずその原理から説明する。本発明者は、ビットレートを制御するには、量子化処理における量子化パラメータ(以下、QP値)の設定と、その値により変動するVBV(Video Buffering Verifier)バッファの占有量の大きさが重要になることに着目し、次のような予備実験を行った。なお、前記VBVバッファは、仮想的なバッファ検証器を意味する。符号化により生成されるビットストリームは、該VBVが要求する条件を満たすことが義務付けられており、一定レートで符号化されたビットストリームは、VBVによって課せられた拘束条件に合っていなければならないという決まりがあるが、これは周知であるので説明を省略する。
さて、前記予備実験として、MPEG−4エンコーダで通常のレート制御(例えば、TM5符号化方式)を行ったとき、各フレーム毎のVBVバッファ占有量の推移と、フレーム単位での平均QP値の推移と、マクロブロック(以下、MB)単位でのQP値の推移が、各ビットレート(例えば、4Mbps,3Mbpsおよび2Mbps)においてどのようになっているかを検証した。実験に使用した入力および出力シーケンスの符号化条件を、図3(a)および(b)に示す。
また、前記実験により得た結果であるVBVバッファの占有量のフレーム数による推移を図4に、フレーム単位での平均QP値の推移の結果を図5に示す。また、第0フレームのIピクチャでのMB単位のQP値の推移を図6に、第1フレームのPピクチャでのMB単位のQP値の推移を図7に示す。
図4を見ると、各ビットレート(4Mbps,3Mbpsおよび2Mbps)におけるVBVバッファの推移特性が類似している、すなわち相関があることがわかる。また、図5を見ると、各ビットレートにおけるフレーム単位での平均QP値が類似していることがわかる。また、図6、図7を見ると、各ビットレートにおけるMB単位でのQP値の推移特性も類似していることがわかる。
つまり、この実験により、本発明者は、サイマルエンコーダを構築する際に、最高ビットレート(例えば、4Mbps)のQP値を低ビットレート(例えば、3Mbps,2Mbps)のQP値の算出に利用することにより、ビデオ情報複数同時符号化装置のレート制御のQP値の算出処理を削減し、処理の高速化を図ることができることを着想した。
本発明の原理は、最高ビットレートでのコンテンツ符号化には通常のエンコード処理、すなわち前記ステップ1〜3の処理を行い、低ビットレートのコンテンツには該最高ビットレートでのエンコード処理結果のVBVバッファ推移を参照して、低ビットレートのVBVバッファ推移をこの推移に追随させる制御をすることにある。なお、後述するように、上記の文中の「最高ビットレート」を「最低ビットレート」と、また「低ビットレート」を「高ビットレート」と置き換えても良いので、以降では、これらを総称するために、場合によっては、通常のエンコード処理を行うビットレートを「マスタレート」、該マスタレートのVBVバッファ推移を参照してエンコード処理を行うビットレートを「派生レート」と呼ぶことにする。
次に、マスタレートである高ビットレートのVBVバッファ占有量を初期バッファ占有量で正規化した参照バッファ占有率を、フレーム番号fnmを用いて、bhr(fnm)とする。しかし、高ビットレートと派生レートである低ビットレートでは、バッファサイズ指定やビットレート指定の違いにより、バッファ占有量を同一とすることはできない。このため、低ビットレートのシーケンスは、高ビットレートのバッファ推移を低ビットレートの理想推移に修正することで得るものとする。
この理想推移の修正法を以下に説明する。イントラ符号化VOP(以下、I−VOP)符号化時のVBVバッファ占有率の変動幅は、各エンコードビットレート、初期バッファ占有量、バッファサイズにより異なる。低ビットレート用理想バッファ占有率bhr’(fnm)に該bhr(fnm)をそのまま利用すると、この変動を考慮していないため、制御時の誤差量が定期的に増大する。そこで、I−VOPの出現位置に応じた、下記の式(3)による理想バッファ占有率の生成を行った。
bhr’(fnm)=bhr(fnm)−{(bhrI−pic−blrI−pic)×(fnmin−gop−fnmgop)/fnmin−gop} ・・・(3)
ここに、fnmはフレーム番号、bhr’(fnm)は派生レート用理想バッファ占有率、bhr(fnm)はマスタレートのバッファ占有率、bhrI−picはマスタレートのIピクチャ符号化後のバッファ占有率、blrI−picは派生レートのIピクチャ符号化後のバッファ占有率、fnmin−gopは1GOP内のフレーム枚数、fnmgopは直前のIピクチャからの経過フレーム枚数である。なお、この式(3)は、本発明により初めて示される新規性のある式である。
次に、マスタレートである最高ビットレートで通常のエンコード処理した際の量子化値QPを参照値Qとし、派生レートである低ビットレートコンテンツ生成に利用するQPをqとすると、該qはq=Q×rで求めるものとし、このrの値により低ビットレートの発生ビット量を制御する。このrは量子化パラメータの重み付け係数であり、フレーム単位で動的に変化させるものとし、以下のようにして決定する。
低ビットレートのバッファ占有率blr(fnm)がbhr’(fnm)となるように、rの初期値rを下記の式(4)により求め、下記の式(5)により、フレーム単位でrの更新(=r)を行う。
=high-bitrate(bps)/low-bitrate(bps) ・・・(4)
=マスタレート/派生レート
n+1=rn×[1+{(bhr’(fnm)−blr(fnm))/blr(fnm)}×p] (n≧0) ・・・(5)
ここに、pは、rの変動量のパラメータであり、{(bhr’(fnm)−blr(fnm))/blr(fnm)}の平均値と標準偏差値による評価により決定される。一例として、p=0.1とすることができる。
実際のqの算出に際して、MPEG−4規格での隣接MB間の変動制限±2以内を付加する。そして、前記(4)、(5)式で求められるrを用いて、低ビットレートを、q=Q×rでエンコードする。この時、qが小数の時は、小数第1位で四捨五入し、必ず整数になるようにする。
図1に、前記した処理がなされる符号化器の概略の構成を示す。
本実施形態は、図示されているように、マスタレート用、例えば高ビットレート用のレート制御部1と、派生レート用、例えば低ビットレート用のレート制御部2を設け、該レート制御部1は前記ステップ1〜3の通常の処理を行い、レート制御部2は該レート制御部の処理結果を利用して、低処理負荷のレート制御を行うようにした点に特徴がある。なお、高ビットレートの量子化器Qは前記レート制御部1により、低ビットレートの量子化器Q’は前記レート制御部2により制御される。本実施形態によれば、後述の説明から分かるように、レート制御の処理量を大きく低減することができる。前記仮想的なバッファ検証器であるVBVバッファは、該レート制御部1、2内に存在すると想定できる。
次に、該レート制御部2の機能および動作を、図2を参照して説明する。ステップS1では、マスタビットレートのコンテンツを前記した通常の方法で符号化する。ステップS2では、ステップS1の符号化結果から、派生ビットレートのコンテンツ用に、量子化パラメータQP(Q)とバッファ占有率bhr(fnm)とを取得する。ステップS3は、前記式(3)よりbhr’(fnm)を算出する。ステップS4では、最初のフレームか、またはGOPの最初のフレームか否かの判断がなされ、この判断が肯定の場合にはステップS5に進んで前記式(4)によりrを算出する。次にステップS6において、低ビットレートの量子化器Q’を量子化パラメータq(=Q×r)でエンコードする。次いでステップS7に進んでnm枚目の画像fnmを更新する。そして、ステップS2に戻って、ステップS1の符号化結果から、画像fnmの量子化パラメータQP(Q)とバッファ占有率bhr(fnm)とを取得する。ステップS3では、前記と同様に、式(3)よりbhr’(fnm)を算出する。
次に、ステップS4の判断が否定になると、ステップS8に進み、前記式(5)より、r(=rfnm)を算出する。ステップS9では、派生ビットレートの量子化器Q’を量子化パラメータq(=Q×rfnm)でエンコードする。ステップS10では、入力映像が終了したか否かの判断がなされ、この判断が否定の時にはステップS7に進んでfnmが更新され、前記した処理が続行される。一方、ステップS10が肯定になると、派生ビットレートの符号化処理は終了する。
次に、前記実施形態を用いた実験結果の一例を、図8〜図12に示す。図8はVBVバッファの推移を、図9はVBVバッファ占有率の推移を、図10はVBVバッファ占有率の平均絶対誤差を、図11はフレーム単位でのPSNRの推移を、さらに図12は処理時間を示す。また、図中のnormalは通常の符号化を示し、proposalは本実施形態による符号化を示す。
図8からは、2.5MbpsのVBVバッファの推移(proposal)が、normalのそれとほぼ同じであることが分かる。また、図9、図10から、低ビットレート用理想バッファ占有率bhr’(fnm)がnormalのバッファ占有率nml(fnm)と近似し、また|nml(fnm)−blr(fnm)|が小さいことが分かる。また、図11から、本実施形態により符号化した場合の平均PSNRが、通常の符号化による場合の平均PSNRより向上していることが分かる。さらに、図12から、本実施形態を用いると、レート制御処理時間が3.75m秒となり、本実施形態を用いない場合の138.889m秒に比べて、大きく短縮できることが分かる。
なお、前記実施形態では、最高ビットレートでのエンコード処理結果のVBVバッファ推移を参照したが、本発明はこれに限定されず、最低ビットレートでのエンコード処理結果のVBVバッファ推移を参照して、高ビットレートのVBVバッファ推移をこの推移に追随させる制御をするようにしてもよい。
次に、前記した処理では、符号化ストリームにおいて、量子化パラメータの重み付け係数の初期値rを、前記(4)式のように、マスタレートと派生レートの単純な比から求めたのに対して、下記の実験により得られた測定結果から、量子化パラメータの重み付け係数の初期値rをマスタレート値と派生レート値の比率を変数とする関数から求めることを、先の特許出願で提案した。
この実験では、図13に示されているように、マスタレートと派生レートを設定した。実験1では、マスタレート2Mbps、派生レート1.5Mbps、1Mbps、500Kbpsと設定した。実験2では、マスタレート3Mbps、派生レート2Mbps、1.5Mbps、1Mbps、500Kbpsと設定した。また、実験3では、マスタレート4Mbps、派生レート3Mbps、2Mbps、1.5Mbps、1Mbps、500Kbpsと設定した。
図14、図15および図16は、それぞれマスタレートを2Mbps、3Mbps、4Mbpsとした時の図13の実験1,2および3に対応する測定結果を示し、横軸はレート比(マスタレート/派生レート)、縦軸は平均QP比、すなわち(派生レートの平均qp)/(マスタレートの平均QP)を示す。例えば、図14の実験1では、横軸のレート比は、それぞれ2/1.5,2/1,2/0.5となり、図15の実験2では該レート比は、3/2,3/1.5,3/1,3/0.5となる。
図14、図15および図16のグラフから、平均QP比は、レート比を変数とする直線またはそれに近い曲線に近似できることが分かった。
そこで、本実施形態では、前記(4)式に代えて、レート比を変数とする下記(6)式を使用する。
=f(レート比) ・・・(6)
上記のfは関数を表す。
以上が、先の特許出願で提案されている発明である。次に、本発明の一実施形態を説明する。この実施形態は、前記した発明では、図14〜図16の関係から明らかなように、レート比が2程度までは入力画像条件(テスト画像など)に依存せずに、ほぼ等しい平均QP比が得られ、一意の近似により適切な初期値rが得られるが、該レート比が2以上になると、平均QP比の入力画像条件による違いが大きくなり、一意の近似により適切な初期値rが得られなくなるという不具合があるのを、改善しようとするものである。
本発明者は、マクロブロック(以下、MBと記す)全体の使用ビット量が、符号化レートで制御される、すなわちQP値で制御されるビット量(以下、QP値依存ビット量;例えば、DCT係数)、符号化レートで制御されない、すなわちQP値で制御されないビット量(以下、QP値非依存ビット量;例えば、MBタイプ、動きベクトルMV等)からなることに着目し、前記QP値依存ビット量のみを用いて、前記図14〜図16と同様の、レート比と平均QP比との関係を求めた。
図17は、Iピクチャにおいて、マスタレートを6,8,10Mbps、派生レートを3〜10Mbpsとした場合の、QP値依存ビット量のみを用いて求めたレート比(横軸)と平均QP比(縦軸)との関係を示す。また、図18は、Pピクチャにおいて、マスタレートを6,8,10Mbps、派生レートを3〜10Mbpsとした場合の、QP値依存ビット量のみを用いて求めたレート比(横軸)と平均QP比(縦軸)との関係を示す。
図17、図18の関係から、IおよびPピクチャの両方において、レート比が2以上になっても、入力画像条件に無関係にほぼ等しい平均QP値が得られ、かつ(DCT係数のレート比)を変数とする次の一次式((7)式、(8)式)で表せることを発見した。
I0=A×DCTbit比I+B ・・・(7)
P0=C×DCTbit比P+D ・・・(8)
ここに、A,B,C,およびDは、定数である。
さらに、図17、図18のグラフから、例えば、A=0.8、B=0.2、C=0.55、D=0.45が好適であることを発見した。
次に、A=0.8、B=0.2、C=0.55、D=0.45を用いた前記(7)、(8)式を用い、符号化条件を図19(a)、(b)として、図20の方法でシミュレーション実験を行った。そして、通常符号化および該実施形態による符号化の場合で、VBVバッファ占有率、PSNR、および処理時間について、比較検討した。なお、図19(b)のマスタレートは10Mbps、派生レートは4Mbpsであるので、レート比は2.5となる。
ここで、図20の方法を説明すると、ステップS11では、マスタビットレートのコンテンツを前記した通常の方法で符号化する。ステップS12では、ステップS11の符号化結果から、派生ビットレートのコンテンツ用に、量子化パラメータQP(Q)とバッファ占有率bhr(fnm)とを取得する。ステップS13では、前記式(3)よりbhr’(fnm)を算出する。ステップS14では、入力画像が最初のIピクチャであるか否かの判断がなされ、肯定の時にはステップS15に進んで、前記式(7)よりrI0を算出する。ステップS16では、q=Q×rI0でエンコードする。次に、ステップS17に進んで、フレーム番号fnmが更新される。
ステップS12とS13で前記と同様の処理が行われ、ステップS14の判断が否定になると、ステップS18に進んで、入力画像が前記最初のIピクチャの次のPピクチャであるか否かの判断がなされる。この判断が肯定であるとステップS19に進んで、前記式(8)よりrP0を算出する。ステップS20では、q=Q×rP0でエンコードする。次に、ステップS17に進んで、フレーム番号fnmが更新される。
次に、前記ステップS18の判断が否定になると、すなわち入力画像が前記最初のIピクチャから2番目以降のPまたはIピクチャになるとステップS21に進み、前記式(5)により量子化パラメータの重み付け係数rfnmを算出する。次いでステップS22に進み、q=Q×rfnmでエンコードする。ステップS23では、入力画像が終了したか否かの判断がなされ、否定の場合には、前記した各処理が繰り返される。ステップS23の判断が肯定になると、図20の処理は終了する。
図20のシミュレーション実験で得られたVBVバッファ占有率は図21に示すようになり、派生レートのバッファ占有率[提案方式](曲線a)は、派生レートのバッファ占有率[通常符号化](曲線b)と良く一致し、QP値依存ビット量の比を用いた近似を、量子化パラメータの重み付け係数rの初期値rとして利用しても制御可能であることが確認できた。よって、本実施形態は、レート比が2以上であっても、適用可能であることが確認できた。また、図22より、生成ファイル容量および平均PSNRが、通常符号化とほぼ同じであることも確認できた。
それにも拘わらず、本発明による処理時間は、図23に示されているように、レート制御部では、通常の符号化に比べて、約87%削減することができ、本発明の有効性が確認できた。
本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。 図1の要部の動作を示すフローチャートである。 予備実験の入力シーケンス条件と出力シーケンス条件とを示す図である。 高ビットレートと低ビットレートのVBVバッファ占有量の推移を示す図である。 高ビットレートと低ビットレートのフレーム単位における平均QP値の推移を示す図である。 IピクチャのMB単位のQP値の推移を示す図である。 PピクチャのMB単位のQP値の推移を示す図である。 実験結果であるVBVバッファの推移を示す図である。 実験結果であるVBVバッファ占有率の推移を示す図である。 VBVバッファ占有率の平均絶対誤差を示す図である。 実験結果であるフレーム単位でのPSNRの推移を示す図である。 処理時間の低減を示す図である。 マスタレートと派生レートの設定の説明図である。 レート比と平均QP値の比(実験1)の関係を示す図である。 レート比と平均QP値の比(実験2)の関係を示す図である。 レート比と平均QP値の比(実験3)の関係を示す図である。 平均QP値比とQP値依存ビット量比(Iピクチャ)の関係を示す図である。 平均QP値比とQP値依存ビット量比(Pピクチャ)の関係を示す図である。 シミュレーション実験の符号化条件を示す図である。 シミュレーション実験の方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による符号化[提案方式]と通常符号化を行った場合とにおける、派生レートのバッファ占有率を示す図である。 本発明の一実施形態による符号化[提案方式]と通常符号化を行った場合とにおける、PSNRと生成ファイル容量とを示す図である。 派生レートが4Mbpsの場合の、本発明の一実施形態による符号化[提案方式]と通常符号化を行った場合とにおける処理時間を示す図である。 従来の異符号化方式の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1・・・レート制御部、2・・・低処理負荷レート制御部。


Claims (4)

  1. ビデオ情報を複数同時に符号化するビデオ情報複数同時符号化装置において、
    複数の異なるビットレートで量子化する複数の量子化器と、
    該複数の量子化器の量子化パラメータを求めるレート制御部とを具備し、
    該レート制御部は、マスタレートで符号化された量子化パラメータを利用して、派生レートの映像を符号化し、該レート制御に用いる派生レートの量子化パラメータは、マスタレート符号化時の量子化パラメータQと、前記バッファ占有率を基に算出された重み付け係数rとの積で求められ、
    前記重み付け係数rのIピクチャとPピクチャの初期値rは、それぞれ下記の(1)、(2)式から求められることを特徴とするビデオ情報複数同時符号化装置。
    =A×(IピクチャのDCT係数のレート比)+B ・・・(1)
    =C×(PピクチャのDCT係数のレート比)+D・・・(2)
    ここに、A,B,CおよびDは、定数である。
  2. 請求項に記載のビデオ情報複数同時符号化装置において、
    前記定数A,B,CおよびDは、A=0.8、B=0.2、C=0.55、D=0.45あるいはそれらに近似する値であることを特徴とするビデオ情報複数同時符号化装置。
  3. 請求項1に記載のビデオ情報複数同時符号化装置において、
    前記量子化パラメータで制御されるビット量は、DCT係数のビット量であることを特徴とするビデオ情報複数同時符号化装置。
  4. 請求項1ないしのいずれかに記載のビデオ情報複数同時符号化装置において、
    前記派生レートの理想バッファ占有率をbhr’(fnm)とし、前記派生レートのバッファ占有率をblr(fnm)とする時(fnmはフレーム番号)、前記重み付け係数rfnmは次式により求められることを特徴とするビデオ情報複数同時符号化装置。
    fnm+1=rfnm×[1+{(bhr’(fnm)−blr(fnm))/blr(fnm)}×p] (n≧0の整数)
    ここに、pは、rの変動量のパラメータである。
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