この発明は、複数のプーリにベルトを巻き掛けたベルト式無段変速機の油圧制御装置に関するものである。
従来、エンジンの出力側に無段変速機を設けるとともに、無段変速機の変速比を無段階に制御することにより、エンジンの運転状態を最適な状態に近づける制御が知られている。このような無段変速機としては、ベルト式無段変速機およびトロイダル式無段変速機が知られており、ベルト式無段変速機の一例が、下記の特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されているベルト式無段変速機は、ベルトが巻き掛けられる駆動側プーリおよび従動側プーリを有している。また、駆動側プーリおよび従動側プーリにおけるベルトの巻き掛け径を可変とする油圧サーボ装置が、それぞれ設けられている。各油圧サーボ装置は、それぞれ油室を有しており、第1のオイルポンプから吐出された圧油を、各油室に供給する油圧回路が形成されている。また第1のオイルポンプの吐出圧を調圧する調圧弁が設けられており、この調圧弁によりライン圧に調圧された圧油が、それぞれ一方弁を経由して、駆動側プーリの油室および従動側プーリの油室に供給される構成となっている。
さらに、第1のオイルポンプから各油室に圧油を供給する方向において、各一方弁の下流側に、各油室同士の間を結ぶ油路が設けられており、この油路には可逆的に油を吐出する第2のオイルポンプが設けられている。そして、第2のオイルポンプを駆動することにより、駆動側プーリの油室と従動側プーリの油室との間で、相互に油圧を給排する構成となっている。具体的には、駆動側プーリの油室の圧油を、従動側プーリの油室に供給すると、駆動側プーリの油室の油圧が低下し、従動側プーリの油室の油圧が上昇して、低速比(ロー)へ変速される一方、従動側プーリの油室の圧油を、駆動側プーリの油室に供給すると、駆動側プーリの油室の油圧が上昇し、従動側プーリの油室の油圧が低下して、高速比(ハイ)へ変速されるとされている。なお、ベルト式無段変速機の油圧制御装置は、下記の特許文献2にも記載されている。
特許第2975082号公報
特表2002−523711号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載されたベルト式無段変速機の油圧制御装置においては、第2のオイルポンプによる圧油の供給特性のばらつき、および、各プーリの油室からオイル漏れなどにより、ベルト式無段変速機の変速制御が難しいという問題があった。
この発明は、上記の事情を背景にしてなされたものであり、プライマリプーリおよびセカンダリプーリの各油圧室における圧油の供給および排出の制御精度を向上することの可能なベルト式無段変速機の油圧制御装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ベルトが巻き掛けられるプライマリプーリおよびセカンダリプーリと、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリにおける前記ベルトの巻き掛け状態を制御するプライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室と、前記プライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室に圧油を供給する第1の油ポンプと、この第1の油ポンプから前記プライマリ油圧室に圧油を供給する経路に設けられた第1の逆止弁と、前記第1の油ポンプから前記セカンダリ油圧室に圧油を供給する経路に設けられた第2の逆止弁と、前記プライマリ油圧室と前記セカンダリ油圧室との間で、相互に圧油の給排をおこなわせる第2の油ポンプとを有するベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記第1の油ポンプから前記プライマリ油圧室に供給される圧油の油圧を制御する第1の圧力制御弁と、前記第1の油ポンプから前記セカンダリ油圧室に供給される圧油の油圧を制御する第2の圧力制御弁とが、別々に設けられているとともに、前記第1の油ポンプを駆動するエンジンと、前記第2の油ポンプを駆動する電動機と、前記エンジンが停止している場合は、前記プライマリ油圧室と前記セカンダリ油圧室との間で相互に圧油を給排する制御を停止させるとともに、オイル保持部のオイルを前記第2の油ポンプで吸引させ、この第2の油ポンプから吐出される圧油を、前記第1の圧力制御弁の入力側および第2の圧力制御弁の入力側に供給する切換装置とが設けられていることを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1の油ポンプまたは前記第2の油ポンプのいずれか一方の油ポンプの機能が低下したか否かを判断する判断手段と、いずれか一方の油ポンプの機能が低下した場合は、正常な方の油ポンプの機能により、前記プライマリ油圧室および前記セカンダリ油圧室における圧油の供給および排出を制御する油ポンプ選択手段とを備えていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、車両の走行状態に基づいて、前記プライマリ油圧室と前記セカンダリ油圧室との間で行き来する圧油の運動エネルギを電気エネルギに変換し、その電気エネルギを回収するエネルギ回収手段を有していることを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記エネルギ回収手段は、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとの間における変速比が緩やかに変化する場合は、前記電気エネルギを回収する制御を実行する一方、前記プライマリプーリと前記セカンダリプーリとの間における変速比が急激に変化する場合は、前記電気エネルギを回収する制御を禁止する機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、ベルトが巻き掛けられるプライマリプーリおよびセカンダリプーリと、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリにおける前記ベルトの巻き掛け状態を制御するプライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室と、前記プライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室に圧油を供給する第1の油ポンプと、この第1の油ポンプから前記プライマリ油圧室に圧油を供給する経路に設けられた第1の逆止弁と、前記第1の油ポンプから前記セカンダリ油圧室に圧油を供給する経路に設けられた第2の逆止弁と、前記プライマリ油圧室と前記セカンダリ油圧室との間で、相互に圧油の給排をおこなわせる第2の油ポンプとを有するベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記第1の油ポンプから前記プライマリ油圧室に供給される圧油の油圧を制御する第1の圧力制御弁と、前記第1の油ポンプから前記セカンダリ油圧室に供給される圧油の油圧を制御する第2の圧力制御弁とが、別々に設けられており、前記第1の油ポンプから前記第1の圧力制御弁および第2の圧力制御弁に至る経路の圧油を、前記第2の油ポンプを経由させて低圧部に排出する第1の制御モードと、前記プライマリ油圧室とセカンダリ油圧室との間で、前記第2の油ポンプを経由して圧油の行き来をおこなわせる第2の制御モードとを選択的に切り換え可能であるとともに、前記第1の制御モードを選択した場合における前記第2の油ポンプの仕事量と、前記第2の制御モードを選択した場合における前記第2の油ポンプの仕事量とを比較して、前記第2の油ポンプの仕事量が少なくなる方の制御モードを選択する制御モード選択手段を有していることを特徴とするものである。
各請求項の発明において、「プライマリプーリおよびセカンダリプーリにおけるベルトの巻き掛け状態」には、各プーリからベルトに加えられる挟圧力、各プーリにおける溝幅、各プーリにおけるベルトの巻き掛け半径、ベルトを経由して伝達されるトルクの容量、ベルトの張力、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間における変速比などが含まれる。また、請求項3において、オイル保持部は、プライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室とは別に設けられている。
請求項1の発明によれば、第1の油ポンプからプライマリ油圧室に供給される圧油の油圧が、第1の圧力制御弁により制御され、第1の油ポンプからセカンダリ油圧室に供給される圧油の油圧が、第2の圧力制御弁により制御される。また、プライマリ油圧室に供給される圧油の流量、およびセカンダリ油圧室に供給される圧油の流量が、第2の油ポンプにより制御される。つまり、各油圧室に供給される圧油の油圧制御と流量制御とを、第1の油ポンプと第2の油ポンプとで分担することが可能であり、プライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室における圧油の供給および排出の制御精度が向上する。また、請求項1の発明によれば、第1の油ポンプはエンジンにより駆動され、第2の油ポンプは電動機により駆動される。また、エンジンが停止している場合は、プライマリ油圧室とセカンダリ油圧室との間で相互に圧油の給排がおこなわれないとともに、オイル保持部のオイルが第2の油ポンプにより吸引され、この第2の油ポンプから吐出される圧油が、第1の圧力制御弁の入力側および第2の圧力制御弁の入力側に供給される。したがって、エンジンが停止している場合でも、プライマリ油圧室に供給される圧油の油圧を第1の圧力制御弁により制御し、セカンダリ油圧室に供給される圧油の油圧を、第2の圧力制御弁により制御することが可能である。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる他に、いずれか一方の油ポンプの機能が低下した場合でも、正常な方の油ポンプにより、油圧室に圧油を供給、または油圧室から圧油を排出して、ベルト式無段変速機の変速制御を実行することが可能である。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明と同様の効果を得ることができる他に、車両の走行状態に基づいて、プライマリ油圧室とセカンダリ油圧室との間で行き来するオイルの運動エネルギを電気エネルギに変換し、その電気エネルギを回収することができる。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果に加えて、急変速時には、プライマリ油圧室とセカンダリ油圧室との間における圧油の行き来が迅速におこなわれて、変速応答性の低下を抑制できる。したがって、電気エネルギの回収性と、変速応答性とのバランスを図ることが可能である。
請求項5の発明によれば、第1の油ポンプからプライマリ油圧室に供給される圧油の油圧が、第1の圧力制御弁により制御され、第1の油ポンプからセカンダリ油圧室に供給される圧油の油圧が、第2の圧力制御弁により制御される。また、プライマリ油圧室に供給される圧油の流量、およびセカンダリ油圧室に供給される圧油の流量が、第2の油ポンプにより制御される。つまり、各油圧室に供給される圧油の油圧制御と流量制御とを、第1の油ポンプと第2の油ポンプとで分担することが可能であり、プライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室における圧油の供給および排出の制御精度が向上する。また、請求項5の発明によれば、第1の制御モードを選択した場合における第2の油ポンプの仕事量と、第2の制御モードを選択した場合における第2の油ポンプの仕事量とを比較して、第2の油ポンプの仕事量が少ない方の制御モードを選択することができる。したがって、第2の油ポンプの効率が向上する。
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。図2には、この発明の対象例である車両Veのパワートレーンおよび制御系統の一例が、模式的に示されている。ここに示すパワートレーンにおいては、エンジン1のトルクが、流体伝動装置9および前後進切換装置8を介してベルト式無段変速機4に伝達されるように構成されている。エンジン1はクランクシャフト70を有しており、クランクシャフト70に連結される流体伝動装置9として、図2の実施例ではトルクコンバータが用いられている。以下、流体伝動装置9を“トルクコンバータ9”と記す。
このトルクコンバータ9は、ポンプインペラ11とタービンランナ12とを有している。フロントカバー10には円筒部71が連続されており、円筒部71であって、フロントカバー10とは反対側の端部に、ポンプインペラ11が形成されている。タービンランナ12は円筒部71の内部に配置されており、ポンプインペラ11とタービンランナ12とが対向して設けられている。タービンランナ12はシャフト50と一体回転するように連結されている。これらのポンプインペラ11とタービンランナ12とには、多数のブレード(図示せず)が設けられており、ポンプインペラ11とタービンランナ12との間で、オイルの運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。
また、ポンプインペラ11とタービンランナ12との内周側の部分には、タービンランナ12から送り出されたフルードの流動方向を選択的に変化させてポンプインペラ11に流入させるステータ13が配置されている。このステータ13は、一方向クラッチ14を介して、所定の固定部(ケーシング)15に連結されている。
このトルクコンバータ9は、ロックアップクラッチ16を備えている。ロックアップクラッチ16は、円筒部71の内部に設けられており、フロントカバー10からシャフト50に至る動力伝達経路に対して並列に配置されたものである。また、円筒部71の内部には第1の油圧室72と第2の油圧室73とが形成されている。ロックアップクラッチ16は、シャフト50と一体回転するように取り付けられているとともに、シャフト50の軸線方向に移動可能に構成されている。そして、第1の油圧室72の油圧と、第2の油圧室73の油圧との対応関係に基づいて、シャフト50の軸線方向におけるロックアップクラッチ16の動作が制御される。さらにまた、第1の油圧室72および第2の油圧室73に供給されるオイルの圧力を制御する機能を有する油圧制御装置59が設けられている。
前後進切換装置8は、エンジン1の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、前後進切換装置8は、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を切り換える機能を備えている。また、前後進切換装置8は、シャフト50とプライマリシャフト51とを、動力伝達可能な状態に連結する機能と、シャフト50とプライマリシャフト51との間における動力伝達を遮断する機能とを有している。
図2に示す例では、前後進切換装置8としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、シャフト50と一体回転するサンギヤ17と、サンギヤ17と同心状に配置されたリングギヤ18とが設けられ、これらのサンギヤ17とリングギヤ18との間に、サンギヤ17に噛合したピニオンギヤ19と、ピニオンギヤ19およびリングギヤ18に噛合した他のピニオンギヤ20とが配置され、ピニオンギヤ19,20がキャリヤ21によって、自転かつ公転自在に保持されている。
さらに、サンギヤ17およびシャフト50と、キャリヤ21とを一体回転可能に連結する前進用クラッチ22が設けられている。またリングギヤ18を選択的に固定することにより、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を反転する後進用ブレーキ23が設けられている。上記前進用クラッチ22および後進用ブレーキ23の係合・解放を制御する油圧サーボ機構(図示せず)が設けられており、油圧サーボ機構の油圧は油圧制御装置59により制御される。なお、プライマリシャフト51とキャリヤ21とが一体回転するように連結されている。
前記ベルト式無段変速機4は、互いに平行に配置されたプライマリプーリ24とセカンダリプーリ25とを有する。まず、プライマリプーリ24は、プライマリシャフト51と一体回転するように構成されており、プライマリプーリ24は、固定シーブ52と、ピストン(図示せず)に連結された可動シーブ53とを有している。そして、可動シーブ53を、プライマリシャフト51の軸線方向に動作させる油圧式のアクチュエータ(油圧サーボ機構)26が設けられている。
これに対して、セカンダリプーリ25は、セカンダリシャフト55と一体回転するように構成されており、セカンダリプーリ25は、固定シーブ54と、ピストン(図示せず)に連結された可動シーブ56とを有している。さらに、可動シーブ56をセカンダリシャフト55の軸線方向に動作させる油圧式のアクチュエータ(油圧サーボ機構)27が設けられている。さらに、プライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25には環状のベルト28が巻き掛けられている。さらに、上記アクチュエータ26の油圧室(後述)およびアクチュエータ27の油圧室(後述)における圧油の供給および排出は、油圧制御装置59により制御される。なお、セカンダリシャフト55には歯車伝動装置29を経由してデファレンシャル6が連結されており、デファレンシャル6には車輪(前輪)2が連結されている。
つぎに、図2に示された車両Veの制御系統を説明する。まず、電子制御装置(ECU)34が設けられており、この電子制御装置34は、演算処理装置(CPUまたはMPU)と、記憶装置(RAMおよびROM)と、入出力インターフェースとを有するマイクロコンピュータにより構成されている。この電子制御装置34には、エンジン回転速度センサ30の信号、タービンランナ12の回転速度を検出するタービン回転速度センサ31の信号、プライマリシャフト51の回転速度を検出する入力回転速度センサ32の信号、セカンダリシャフト55の回転速度を検出する出力回転速度センサ33の信号、アクセル開度センサ57の信号、シフトポジションセンサ60の信号、ブレーキスイッチ74の信号、イグニッションスイッチ58の信号などが入力される。そして、入力回転速度センサ32の信号および出力回転速度センサ33の信号に基づいて、ベルト式無段変速機4の変速比が算出されるとともに、出力回転速度センサ33の信号に基づいて車速が算出される。
前記シフトポジションセンサ60は、車両Veの乗員が操作するシフトポジション選択装置(図示せず)の操作状態を検知するものである。このシフトポジションセンサ60により、例えば、パーキングポジション、リバースポジション、ニュートラルポジション、ドライブポジション、ローポジションなどが検知される。これに対して、電子制御装置34からは、エンジン1を制御する信号、油圧制御装置59を制御する信号、ベルト式無段変速機4を制御する信号、ロックアップクラッチ16を制御する信号、前後進切換装置8を制御する信号、電動機(後述)および切換ソレノイドバルブ(後述)を制御する信号などが出力される。
上記のように構成された車両Veにおいて、エンジン1が運転されると、エンジン1から出力されたトルクが、トルクコンバータ9、前後進切換装置8、ベルト式無段変速機4を経由して車輪2に伝達される。また、電子制御装置34にはロックアップクラッチ制御マップが記憶されており、ロックアップクラッチ制御マップに基づいて、ロックアップクラッチ16の伝達トルク容量(言い換えれば、係合油圧、係合圧、係合状態)が制御され、ロックアップクラッチ16が解放(具体的には完全解放)またはスリップまたは係合(具体的には完全係合)される。
つぎに、前後進切換装置8の制御について説明する。前記シフトポジションセンサ60により、ローポジションまたはドライブポジションが検知された場合は、前後進切換装置8の前進用クラッチ22が係合され、かつ、後進用ブレーキ23が解放される。すると、シャフト50とキャリヤ21とが一体回転し、シャフト50のトルクがプライマリシャフト51に伝達されるとともに、プライマリシャフト51のトルクが車輪2に伝達されて、車両Veを前進させる向きの駆動力が発生する。このとき、シャフト50およびプライマリシャフト51が同方向に回転する。
これに対して、シフトポジションセンサ60により、リバースポジションが検知された場合は、前進用クラッチ22が解放され、かつ、後進用ブレーキ23が係合される。すると、エンジントルクがサンギヤ17に伝達された場合は、リングギヤ18が反力要素となって、サンギヤ17のトルクがキャリヤ21を経由してプライマリシャフト51に伝達される。プライマリシャフト51のトルクが車輪2に伝達されると、車両Veを後進させる向きの駆動力が発生する。この場合、シャフト50とプライマリシャフト51とは逆方向に回転する。なお、ニュートラルポジションまたはパーキングポジションが選択された場合は、前進用クラッチ22および後進用ブレーキ23が解放されて、シャフト50とプライマリシャフト51との間における動力伝達が遮断される。
つぎに、ベルト式無段変速機4の制御を説明する。前記のように、エンジントルクがプライマリシャフト51に伝達されるとともに、電子制御装置34に入力される各種の信号、および電子制御装置34に予め記憶されているデータに基づいて、ベルト式無段変速機4が制御される。すなわち、可動シーブ53に加えられる軸線方向の推力、および可動シーブ56に加えられる軸線方向の推力が制御され、プライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25におけるベルト28の巻掛け状態が制御される。具体的には、アクチュエータ26の油圧室の油圧が上昇した場合は、ピストンを経由して可動シーブ53に加えられる推力が増加し、アクチュエータ26の油圧室の油圧が低下した場合は、可動シーブ53に加えられる推力が低下する。また、アクチュエータ27の油圧室の油圧が上昇した場合は、ピストンを経由して可動シーブ56に加えられる推力が増加し、アクチュエータ27の油圧室の油圧が低下した場合は、可動シーブ56に加えられる推力が低下する。
そして、可動シーブ53の推力に応じて、プライマリプーリ24からベルト28に加えられる挟圧力と、可動シーブ56の推力に応じて、セカンダリプーリ25からベルト28に加えられる挟圧力との相対関係に応じて、プライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25におけるベルト28の巻き掛け半径が制御され、かつ、ベルト28のトルク容量が制御される。上記ベルト28の巻き掛け半径に応じて、ベルト式無段変速機4の変速比が決定される。ベルト式無段変速機4の変速比とは、プライマリプーリ24の回転速度と、セカンダリプーリ25の回転速度との比である。すなわち、プライマリプーリ24におけるベルト28の巻き掛け半径が大きくなるとともに、セカンダリプーリ25におけるベルト28の巻き掛け半径が小さくなる変速が、増速変速である。これに対して、プライマリプーリ24におけるベルト28の巻き掛け半径が小さくなるとともに、セカンダリプーリ25におけるベルト28の巻き掛け半径が大きくなる変速が、減速変速である。さらに、プライマリプーリ24におけるベルト28の巻き掛け半径、およびセカンダリプーリ25におけるベルト28の巻き掛け半径が共に変化しない場合は、変速比が略一定に制御されていることになる。
前記のような減速変速を実行する場合は、可動シーブ53に加えられる推力を上昇させ、かつ、可動シーブ56に加えられる推力を上昇させる第1の制御、または、可動シーブ53に加えられる推力を低下させ、かつ、可動シーブ56に加えられる推力を低下させる第2の制御、または、可動シーブ53に加えられる推力を低下させ、かつ、可動シーブ56に加えられる推力を上昇させる第3の制御のいずれかを選択可能である。また、増速変速を実行する場合は、可動シーブ53に加えられる推力を上昇させ、かつ、可動シーブ56に加えられる推力を上昇させる第1の制御、または、可動シーブ53に加えられる推力を低下させ、かつ、可動シーブ56に加えられる推力を低下させる第2の制御、または、可動シーブ53に加えられる推力を上昇させ、かつ、可動シーブ56に加えられる推力を低下させる第3の制御のいずれかを選択可能である。変速比を略一定に制御する場合は、可動シーブ53,56に加えられる推力を略一定にする制御が実行される。
つぎに、前述した油圧制御装置59の一部を構成する油圧回路の構成例を、図1に基づいて説明する。この実施例1は、請求項1および請求項2の発明に対応する実施例である。図1に示された油圧回路80は、主としてベルト式無段変速機4を制御する部分を示している。まず、前記アクチュエータ26はプライマリ油圧室81を有し、アクチュエータ27はセカンダリ油圧室82を有している。また、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82に供給される圧油を吐出する油ポンプ83が設けられている。この油ポンプ83はエンジン1の動力により駆動されて、オイルパン84のオイルを吸い込む構成となっており、油ポンプ83から吐出された圧油が供給される油路85が設けられている。この油路85の圧油が、前後進切換装置8の油圧サーボ機構およびトルクコンバータ9に供給される構成となっている。
また、油路85はプライマリシーブ圧制御弁(減圧弁)86に接続されているとともに、油路85には油ポンプ用逆止弁87および第1の逆止弁88が設けられている。ここで、油ポンプ83から吐出された圧油が、油路85を経由してプライマリシーブ圧制御弁86に供給される圧油の流れ方向において、油ポンプ用逆止弁87の方が第1の逆止弁88よりも上流に配置されている。また、油路85であって、油ポンプ用逆止弁87と第1の逆止弁88との間から分岐する油路89が設けられており、この油路89にはライン圧制御弁90およびセカンダリシーブ圧制御弁(減圧弁)91が接続されている。
前記油ポンプ用逆止弁87は、油ポンプ83から油路85に圧油が吐出されることを許容し、油路85であって、油路89との接続部分付近の圧油が油ポンプ83に逆流することを防止する機能を有している。さらに、第1の逆止弁88は、油路85であって、油路89との接続部分付近の圧油がプライマリシーブ圧制御弁86側に供給されることを許容し、プライマリシーブ圧制御弁86側の圧油が、油路85であって、油路89との接続部分付近に逆流することを防止する機能を有している。
前記ライン圧制御弁90は、入力ポート92およびドレーンポート93およびフィードバックポート94を有しており、油路85,89の油圧に応じて、油路95からドレーンポート93に排出される圧油の流量が制御される。そして、入力ポート92が油路95を経由して油路89に接続されている。また、ドレーンポート93はオイルパン84に接続されている。前記油路89には第2の逆止弁96が設けられている。なお、油路95は、油路89であって、第2の逆止弁96と油路85との間に接続されている。
さらに、第2の逆止弁96は、油路89であって、油路95との接続部分付近の圧油がセカンダリシーブ圧制御弁91側に供給されることを許容し、セカンダリシーブ圧制御弁91側の圧油が、油路89であって、油路95との接続部分付近に逆流することを防止する機能を有している。
前記プライマリシーブ圧制御弁86の構成を、図3に基づいて説明する。プライマリシーブ圧制御弁86は、直線状に往復移動可能なスプール97と、スプール97を所定の向きに付勢する弾性部材98とを有している。スプール97には、ランド部99,100が形成されている。また、プライマリシーブ圧制御弁86は、入力ポート101および出力ポート102およびドレーンポート103およびフィードバックポート104および信号圧ポート105を有しており、油路85が入力ポート101に接続されている。
また、出力ポート102には油路106が接続されており、油路106の油圧がフィードバックポート104に入力される。このフィードバックポート104の油圧に応じて、弾性部材98の付勢力とは逆向きにスプール97を付勢する力が生じる。さらに、ドレーンポート103はオイルパン84に接続されている。さらにまた、信号圧ポート105には、リニアソレノイドバルブ(図示せず)から出力される信号圧が入力される。信号圧ポート105の油圧により、弾性部材98と同じ向きにスプール97を付勢する力が生じる。そして、油路106が、アクチュエータ26のプライマリ油圧室81に接続されている。そして、プライマリ油圧室81の油圧がピストン(図示せず)に伝達される構成となっている。
つぎに、前記セカンダリシーブ圧制御弁91の構成を、図4に基づいて説明する。セカンダリシーブ圧制御弁91は、直線状に往復移動可能なスプール107と、スプール107を所定の向きに付勢する弾性部材108とを有している。スプール107には、ランド部109,110が形成されている。また、セカンダリシーブ圧制御弁91は、入力ポート111および出力ポート112およびドレーンポート113およびフィードバックポート114および信号圧ポート115を有しており、油路89が入力ポート111に接続されている。
また、出力ポート112には油路116が接続されており、油路116の油圧がフィードバックポート114に入力される。このフィードバックポート114の油圧に応じて、弾性部材108の付勢力とは逆向きにスプール107を付勢する力が生じる。さらに、ドレーンポート113はオイルパン84に接続されている。さらにまた、信号圧ポート115には、リニアソレノイドバルブ(図示せず)から出力される信号圧が入力される。信号圧ポート115の油圧により、弾性部材108と同じ向きにスプール107を付勢する力が生じる。そして、油路116が、アクチュエータ27のセカンダリ油圧室82に接続されている。そして、セカンダリ油圧室82の油圧がピストン(図示せず)に伝達される構成となっている。
ところで、前記油路106と油路116とを接続する油路117が設けられており、油路117には可逆・可変ポンプ118が設けられている。また、可逆・可変ポンプ118を駆動する電動機119が設けられているとともに、電動機119との間で電力の授受をおこなう蓄電装置120およびインバータ121が設けられている。ここで、電動機119は、車両Veの駆動力源としての機能を有するもの、車両Veの駆動力源としての機能を有していないもの、のいずれでもよい。さらに、電動機119は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた発電・電動機である。なお、蓄電装置120としては、バッテリまたはキャパシタのいずれを用いてもよい。
そして、電動機119により可逆・可変ポンプ118を駆動することにより、圧油の吐出方向および流量を制御可能である。すなわち、可逆・可変ポンプ118の回転方向を正逆に切り換えることにより、油路106のオイルを吸引して油路116に吐出するモードと、油路116のオイルを吸引して油路116に吐出するモードとを選択的に切替可能である。また、可逆・可変ポンプ118は、油路106と油路116との間で、相互に吸引および吐出するオイル量を変更可能である。
つぎに、図1に示された油圧回路80の作用を説明する。まず、エンジン1が運転されて、油ポンプ83が駆動されると、油路85に圧油が供給される。油路85に供給された圧油は、油路89,95にも供給されて、油路85,89,95の油圧が所定油圧以下である場合は、ライン圧制御弁90の入力ポート92とドレーンポート93とが遮断され、油路85,89,95の油圧が上昇する。油路85,89,95の油圧が所定油圧を越えた場合は、ライン圧制御弁90の入力ポート92とドレーンポート93とが連通される。このため、油路85,89,95のオイルが、ドレーンポート93を経由してオイルパン84に排出されて、油路85,89,95の油圧の上昇が抑制される。なお、ライン圧制御弁90の入力ポート92とドレーンポート93とが連通している場合に、油路85,89,95の油圧が所定油圧以下に低下した場合は、油路95からドレーンポート93に排出される圧油の流量が減少して、油路85,89,95の油圧の低下が抑制される。このように、ライン圧制御弁90の機能により、油路85,89,95の油圧、すなわちライン圧が調圧される。
このようにして調圧された圧油が、プライマリシーブ圧制御弁86の入力ポート101およびセカンダリシーブ圧制御弁91の入力ポート111に供給される。まず、プライマリプーリ24のプライマリ油圧室81の油圧制御について説明する。プライマリ油圧室81の油圧を高める条件が成立した場合は、プライマリシーブ圧制御弁86の信号圧ポート105に入力される信号圧が上昇される。すると、信号圧ポート105の油圧に応じた付勢力により、スプール97が図3において上向きに動作し、油路85から油路106に供給される圧油の流量が増加するとともに、ドレーンポート103が遮断される。このため、プライマリシーブ圧制御弁86の出力ポート102から、油路106を経由してプライマリ油圧室81に供給される圧油の油圧が上昇する。
これに対して、プライマリ油圧室81の油圧を低下させる条件が成立した場合は、プライマリシーブ圧制御弁86の信号圧ポート105に入力される信号圧が低下される。すると、フィードバックポート104の油圧に応じた付勢力により、スプール97が図3において下向きに動作し、油路106からドレーンポート103に排出される圧油の流量が増加するとともに、入力ポート101が遮断されて、油路85から油路106に圧油が供給されなくなる。このようにして、プライマリ油圧室81の油圧が低下する。
さらに、プライマリ油圧室81の油圧を略一定に維持する条件が成立した場合は、フィードバックポート104の油圧に応じた付勢力と、信号圧ポート105の信号圧に応じた付勢力および弾性部材98の付勢力との対応関係によりスプール97が動作して、入力ポート101およびドレーンポート103が共に遮断されるように、信号圧ポート105に入力される信号圧が制御される。
つぎに、セカンダリプーリ25のセカンダリ油圧室82の油圧制御について説明する。セカンダリ油圧室82の油圧を高める条件が成立した場合は、セカンダリシーブ圧制御弁91の信号圧ポート115に入力される信号圧が上昇される。すると、信号圧ポート115の油圧に応じた付勢力により、スプール107が図4において上向きに動作し、油路89から油路116に供給される圧油の流量が増加するとともに、ドレーンポート113が遮断される。このため、セカンダリシーブ圧制御弁91から、油路106を経由してセカンダリ油圧室82に供給される圧油の油圧が高められる。
これに対して、セカンダリ油圧室82の油圧を低下させる条件が成立した場合は、セカンダリシーブ圧制御弁91の信号圧ポート115に入力される信号圧が低下される。すると、フィードバックポート114の油圧に応じた付勢力により、スプール107が図4において下向きに動作し、油路116からドレーンポート113に排出される圧油の流量が増加するとともに、入力ポート111が遮断されて、油路89から油路116に圧油が供給されなくなる。したがって、セカンダリ油圧室82の油圧が低下する。
さらに、セカンダリ油圧室82の油圧を略一定に維持する条件が成立した場合は、フィードバックポート114の油圧に応じた付勢力と、信号圧ポート115の信号圧に応じた付勢力および弾性部材108の付勢力との対応関係によりスプール107が動作して、入力ポート111およびドレーンポート113が共に遮断されるように、信号圧ポート115に入力される信号圧が制御される。
ところで、油圧回路80においては、プライマリシーブ圧制御弁86によりプライマリ油圧室81の油圧を制御し、かつ、セカンダリシーブ圧制御弁91によりセカンダリ油圧室82の油圧を制御することに並行して、可逆・可変ポンプ118を制御することにより、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との間で、相互にオイルを行き来させることが可能である。例えば、プライマリ油圧室81の油圧を高めて急増速を実行する場合に、電動機119により可逆・可変ポンプ118を駆動させて、セカンダリ油圧室82のオイルを、油路116を経由して汲み上げるとともに、汲み上げたオイルを油路106を経由させてプライマリ油圧室81に供給して、プライマリ油圧室81の油圧を高める制御を実行することが可能である。
これとは逆に、セカンダリ油圧室82の油圧を高めて急減速を実行する場合に、電動機119により可逆・可変ポンプ118を駆動させて、プライマリ油圧室81のオイルを、油路106を経由して汲み上げるとともに、汲み上げたオイルを油路116を経由させてセカンダリ油圧室82に供給して、セカンダリ油圧室82の油圧を高める制御を実行することが可能である。なお、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との間で相互にオイルを行き来させる必要がない場合、例えば、ベルト式無段変速機4の変速比を略一定に維持させる条件が成立した場合、または、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82に供給される圧油の全てを、油ポンプ83から吐出される圧油で賄う場合は、可逆・可変ポンプ118を停止させる制御が実行される。
このように、実施例1においては、油ポンプ83からプライマリ油圧室81に供給される圧油の油圧が、プライマリシーブ圧制御弁86により制御され、油ポンプ83からセカンダリ油圧室82に供給される圧油の油圧が、セカンダリシーブ圧制御弁91により制御される。また、プライマリ油圧室81に供給される圧油の流量、およびセカンダリ油圧室82に供給される圧油の流量を、可逆・可変ポンプ118により制御することが可能である。つまり、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82に供給される圧油の油圧制御と流量制御とを、油ポンプ83と可逆・可変ポンプ118とで分担することが可能であり、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82における圧油の供給および排出の制御精度が向上する。
このため、可逆・可変ポンプ118の回転数のバラツキ、または、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82からのオイル漏れのバラツキなどの条件によることなく、プライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25において、必要最少の挟圧力をベルト28に加えることが可能である。ここで、必要最小の挟圧力とは、ベルト28の滑りを回避できる程度の挟圧力を意味する。したがって、プライマリプーリ24とセカンダリプーリ25との間における動力伝達効率の向上、および耐久性・信頼性の向上を図ることが可能であるとともに、安定した変速特性を確保可能である。
以上のように、実施例1においては、ベルト式無段変速機4の変速比を変更する場合に、可逆・可変オイルポンプ118を駆動する制御を実行することにより、油ポンプ83で汲み上げるべきオイル量を低減することが可能である。したがって、油ポンプ83の容量を低減化することが可能である。
ところで、実施例1においては、油ポンプ83または可逆・可変ポンプ118のいずれか一方により、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82における圧油の供給および排出を制御することが可能であり、その制御例を、図5のフローチャートに基づいて説明する。まず、油ポンプ83または可逆・可変ポンプ118のいずれか一方の機能が低下しているか否かが判断される(ステップS1)。
例えば、油ポンプ83または可逆・可変ポンプ118のいずれか一方がフェールして、圧油を吐出できないか、または吐出油圧(吐出オイル量)を制御できない場合は、ステップS1で肯定的に判断されて、正常な方の油ポンプにより、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82における圧油の供給および排出が制御され(ステップS2)、図5の制御ルーチンを終了する。これに対して、ステップS1で否定的に判断された場合は、図5に示す制御ルーチンを終了する。このように、いずれか一方の油ポンプがフェールした場合でも、図5に示す制御例を実行することにより、ベルト式無段変速機4の変速比を制御することが可能であり、車両Veのリンプフォーム走行に寄与できる。
ここで、実施例1の構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、油ポンプ83が、この発明の第1の油ポンプに相当し、可逆・可変ポンプ118が、この発明の第2の油ポンプに相当し、プライマリシーブ圧制御弁86が、この発明の第1の圧力制御弁に相当し、セカンダリシーブ圧制御弁91が、この発明の第2の圧力制御弁に相当する。また、図5に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1がこの発明の判断手段に相当し、ステップS2が、この発明の油ポンプ選択手段に相当する。
この実施例1に示された特徴的な構成を記載すれば以下のとおりである。すなわち、ベルトが巻き掛けられるプライマリプーリおよびセカンダリプーリと、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリにおける前記ベルトの巻き掛け状態を制御するプライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室と、前記プライマリ油圧室およびセカンダリ油圧室に圧油を供給する第1の油ポンプと、この第1の油ポンプから前記プライマリ油圧室に圧油を供給する経路に設けられた第1の逆止弁と、前記第1の油ポンプから前記セカンダリ油圧室に圧油を供給する経路に設けられた第2の逆止弁と、前記プライマリ油圧室と前記セカンダリ油圧室との間で、相互に圧油の給排をおこなわせる第2の油ポンプとを有するベルト式無段変速機の油圧制御装置において、前記第1の油ポンプから前記プライマリ油圧室に供給される圧油の油圧を制御する第1の圧力制御弁と、前記第1の油ポンプから前記セカンダリ油圧室に供給される圧油の油圧を制御する第2の圧力制御弁とが、別々に設けられているとともに、前記第1の逆止弁からプライマリ油圧室に至る経路に第1の圧力制御弁が配置され、前記第2の逆止弁からセカンダリ油圧室に至る経路に第2の圧力制御弁が配置されていることを特徴とするベルト式無段変速機の油圧制御装置である。
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された判断手段を、判断器または判断用コントローラと読み替え、油ポンプ選択手段を、油ポンプ選択器または油ポンプ選択用コントローラと読み替えることも可能である。この場合、電子制御装置34が、判断器、判断用コントローラ、油ポンプ選択器、油ポンプ選択用コントローラに相当する。更にまた、請求項2に記載された判断手段を、判断ステップと読み替え、油ポンプ選択手段を、油ポンプ選択ステップと読み替え、ベルト式無段変速機の油圧制御装置をベルト式無段変速機の油圧制御方法と読み替えることも可能である。この場合、図5のステップS1が、判断ステップに相当し、ステップS2が油ポンプ選択ステップに相当する。
前記油圧制御装置59の一部を構成する油圧回路の他の構成例を、図6に基づいて説明する。この実施例2は、請求項3の発明に対応する実施例である。図6の構成において、図1,図3,図4の構成と同じ構成については、図1,図3,図4と同じ符号を付して、その構成の説明を省略する。
前記可逆・可変ポンプ118はポート122,123を有しており、ポート122,123が切換弁124に接続されている。切換弁124は、直線状に動作可能なスプール125と、スプール125を所定の向きに付勢する弾性部材126と、ポート127,128,129,130,131,132と、信号圧ポート133とを有している。そして、ポート127とポート122とが油路134により接続され、ポート128と油路89とが油路135により接続され、ポート129とポート123とが油路136により接続され、ポート130とオイルパン84とが油路137により接続され、ポート131と油路106とが油路138により接続され、ポート132と油路116とが油路139により接続されている。
また、切換弁124の信号圧ポート133に信号圧を入力する切換ソレノイドバルブ140が設けられており、信号圧ポート133の信号圧に応じて、スプール125を弾性部材126とは逆向きに付勢する力が生じる。ここで、切換ソレノイドバルブ140としては、非通電状態で信号圧が最低圧となるノーマルクローズ形式のソレノイドバルブを用いることが可能である。この切換ソレノイドバルブ140は電子制御装置34により制御される。
つぎに、図6に示す油圧回路80の作用を説明する。図6に示す油圧回路80において、図1,図3,図4と同じ構成部分については、図1,図3,図4と同じ作用効果を得ることが可能である。ところで、図6に示す油圧回路80においては、可逆・可変ポンプ118の制御と並行して、切換弁124の制御を実行することが可能である。具体的には、切換弁124の信号圧ポート133に入力される信号圧の制御により、スプール125が動作する。
例えば、切換弁124の制御モードとして、第1の制御モードが選択された場合は、ポート127とポート128とが連通され、かつ、ポート129とポート130とが連通され、かつ、ポート131,132が遮断される。このように、第1の制御モードが選択され、かつ、可逆・可変ポンプ118が電動機119により駆動された場合は、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との間でオイルが行き来することはないとともに、オイルパン84のオイルが、油路137および油路136を経由して、可逆・可変ポンプ118のポート123に吸引される。そして、可逆・可変ポンプ118のポート122から油路134に吐出された圧油が、油路135および油路89を経由して、プライマリシーブ圧制御弁86の入力ポート101、およびセカンダリシーブ圧制御弁91の入力ポート111に供給される。そして、プライマリシーブ圧制御弁86により調圧された圧油が、プライマリ油圧室81に供給され、かつ、セカンダリシーブ圧制御弁91により調圧された圧油が、セカンダリ油圧室82に供給される。
これに対して、切換弁124の制御モードとして、第2の制御モードが選択された場合は、ポート127とポート131とが連通され、かつ、ポート129とポート132とが連通され、かつ、ポート128,130が遮断される。このように、第2の制御モードが選択された場合は、電動機119により可逆・可変ポンプ118の回転方向を制御することにより、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との間で、油路138,139および切換弁124を経由してオイルの行き来がおこなわれる。すなわち、プライマリ油圧室81のオイルを、油路138,134および可逆・可変ポンプ118および油路136,139を経由させてセカンダリ油圧室82に供給することにより、プライマリ油圧室81の油圧を低下させ、かつ、セカンダリ油圧室82の油圧を上昇させる制御を実行可能である。また、セカンダリ油圧室82のオイルを、油路139,136および可逆・可変ポンプ118および油路134,138を経由させてプライマリ油圧室81に供給することにより、プライマリ油圧室81の油圧を上昇させ、かつ、セカンダリ油圧室82の油圧を低下させる制御を実行可能である。
つぎに、車両Veにおける駆動力源の種類と、切換弁24の制御モードとの対応関係を説明する。まず、車両Veが、エンジン1のトルクに加えて、電動機119のトルクを車輪に伝達することの可能な車両、すなわち、ハイブリッド車である場合について説明する。ここで、エンジン1のトルクが伝達される車輪と、電動機119のトルクが伝達される車輪とは、同じでもよいし異なっていてもよい。このようなハイブリッド車において、エンジン1が停止され、かつ、電動機119が駆動される場合に、前記第1の制御モードを選択することが可能である。このため、エンジン1が停止している場合でも、可逆・可変ポンプ118の吐出圧を元圧として、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82の油圧を、各々独立して制御することが可能である。また、このハイブリッド車において、エンジン1および電動機119が共に駆動され、かつ、ベルト式無段変速機4の変速比を変更する場合に、第2の制御モードを選択することが可能である。
つぎに、電動機119が、車輪にトルクを伝達する機能を有していない車両である場合について説明する。このような車両においては、イグニッションスイッチ58がオンされ、かつ、エンジン1が運転されている場合において、イグニッションスイッチ58以外のエンジン停止条件が成立した場合に、エンジン1を停止するとともに、エンジン1の停止後に、イグニッションスイッチ58以外のエンジン停止条件が解除されて、エンジン1を運転状態に復帰する「エンジンの停止・復帰制御」を実行することが可能である。
そして、エンジン停止条件が成立してエンジン1が停止している場合、または、エンジン停止条件が成立してエンジン1が停止している状態から、エンジン1が運転状態に復帰する際に、エンジン回転数が所定回転数以下である場合に、前記第1の制御モードを選択することが可能である。このような制御を実行することにより、エンジン1を運転状態に復帰する場合に、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82の油圧の上昇応答性を向上することができる。特に、セカンダリ油圧室82の油圧の上昇により、ベルト28の滑りを回避することができる。さらに、エンジン1が運転中であり、かつ、ベルト式無段変速機4の変速比を略一定に維持する条件が成立している場合に、第1の制御モードを選択することも可能である。
これに対して、エンジン1が運転され、かつ、ベルト式無段変速機4の変速比を変更する条件が成立した場合に、前記第2の制御モードを選択することが可能である。このように、実施例2においても電動機119により可逆・可変ポンプ118を駆動することにより、実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、図示しないが、第1の逆止弁88とプライマリシーブ圧制御弁86との間と、第2の逆止弁96とセカンダリシーブ圧制御弁91との間を油路89により接続し、油路95に第2の逆止弁96を設けた構成の油圧回路に、実施例2を適用することも可能である。さらに、実施例2の油圧回路80においても、図5の制御例を実行可能である。
この実施例2における構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、オイルパン84が、この発明のオイル保持部に相当し、切換弁124および切換ソレノイドバルブ140および油路134,136,137,138,139が、この発明の切換装置に相当し、入力ポート101が、この発明の第1の圧力制御弁の入力側に相当し、入力ポート111が、この発明の第2の圧力制御弁の入力側に相当する。実施例2におけるその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、実施例1の構成とこの発明の構成との対応関係と同じである。
この実施例3では、図1の油圧回路80または図6の油圧回路80において実行可能な制御例を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。この実施例3は、請求項4および請求項5に対応する実施例であり、プライマリシーブ圧制御弁86によりプライマリ油圧室81の油圧を制御し、かつ、セカンダリシーブ圧制御弁91によりセカンダリ油圧室82の油圧を制御することに加えて、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との間で圧油を行き来させる場合に、電動機119および可逆・可変ポンプ118で実行される制御の一例を提供するものである。具体的には、電動機119を電動機として駆動する場合と、発電機として起動させる場合とがある。
まず、ベルト式無段変速機4の目標変速比に基づいて、必要圧Pinおよび必要圧Pdが計算される(ステップS11)。ここで、必要圧Pinは、プライマリ油圧室81の油圧であり、必要圧Pdは、セカンダリ油圧室82の油圧である。ついで、必要圧Pinと必要圧Pdとの差の変化率である必要差圧ΔPが計算され(ステップS12)、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧82との間で、ステップS12の計算結果に応じたオイルの行き来がおこなわれるように、電動機119の必要トルクが計算される(ステップS13)。ついで、ステップS13の計算結果に基づいて、電動機119のトルクが制御され(ステップS14)、図7の制御ルーチンを終了する。
図7の制御ルーチンの具体例を、図8の線図に基づいて説明する。図8の線図は、プライマリ油圧室81およびセカンダリ油圧室82の油圧と、ベルト式無段変速機4の変速比γとの関係を示す線図である。Pinはプライマリ油圧室81の油圧であり、Pdはセカンダリ油圧室82の油圧である。図8においては、変速比が大きくなるほど、プライマリ油圧室81の油圧およびセカンダリ油圧室82の油圧が共に上昇され、変速比が小さくなるほど、プライマリ油圧室81の油圧およびセカンダリ油圧室82の油圧が共に低下される場合の油圧特性が示されている。図8においては、最小変速比γminから所定変速比γ1の範囲では、プライマリ油圧室81の油圧Pinの方が、セカンダリ油圧室82の油圧Pdよりも高圧に制御され、所定変速比γ1から最大変速比γmaxの範囲では、セカンダリ油圧室82の油圧Pdの方が、プライマリ油圧室81の油圧Pinよりも高圧に制御されている。なお、所定変速比γ1では、プライマリ油圧室81の油圧Pinとセカンダリ油圧室82の油圧Pdとが等しくなっている。
まず、ベルト式無段変速機4の変速比を変更する場合に、電動機119を発電機として起動させる回生制御の例を説明する。例えば、最小変速比γminから所定変速比γ1の範囲において、変速比を緩やかに大きくする制御(緩減速制御)を実行する場合は、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との差圧により、プライマリ油圧室81の圧油をセカンダリ油圧室82に供給することが可能である。ここで、プライマリ油圧室81の圧油がセカンダリ油圧室82に流れ込む場合に、圧油の運動エネルギにより可逆・可変ポンプ118が回転し、電動機119が発電機として起動される。電動機119で発生した電気エネルギは、インバータ121を経由して蓄電装置120に充電される。
一方、最大変速比γmaxから所定変速比γ1の範囲において、変速比を緩やかに小さくする制御(緩増速制御)を実行する場合は、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との差圧により、セカンダリ油圧室82の圧油をプライマリ油圧室81に供給することが可能である。ここで、セカンダリ油圧室82の圧油がプライマリ油圧室81に流れ込む場合に、圧油の運動エネルギが電動機119により電気エネルギに変換され、その電気エネルギが蓄電装置120に充電される。このように、圧油の運動エネルギを、電動機119により電気エネルギに変換する制御が、回生制御である。なお、図8においては、変速比γ3から変速比γ2に、緩やかに増速する例が示されている。
つぎに、ベルト式無段変速機4の変速比を変更する場合に、電動機119を電動機として駆動する力行制御の例を説明する。まず、最小変速比γminから所定変速比γ1の範囲において、変速比を緩やかに小さくする制御を実行する場合は、電動機119により可逆・可変ポンプ118を駆動させて、セカンダリ油圧室82の圧油をプライマリ油圧室81に強制的に供給することが可能である。なお、セカンダリ油圧室82およびプライマリ油圧室81の油圧を共に低下させて、ベルト式無段変速機4の変速比を小さくする場合において、セカンダリ油圧室82の圧油をプライマリ油圧室81に供給すると、セカンダリ油圧室82の油圧の低下にともない、ベルト28の張力が低下して、プライマリ油圧室81の油圧でピストンが動作してプライマリ油圧室81の容積が拡大されるため、セカンダリ油圧室82のオイルがプライマリ油圧室81に供給された場合でも、プライマリ油圧室81の油圧自体は低下する。
一方、最大変速比γmaxから所定変速比γ1の範囲において、変速比を緩やかに大きくする制御を実行する場合は、電動機119により可逆・可変ポンプ118を駆動させて、プライマリ油圧室81の圧油をセカンダリ油圧室82に強制的に供給することが可能である。このように、蓄電装置120の電力で電動機119を駆動することにより、可逆・可変ポンプ118を駆動する制御が力行制御である。
つまり、図7のステップS13で計算される必要トルクは、ベルト式無段変速機4の変速比の制御内容に応じて選択される、回生制御用の必要トルクまたは力行制御用の必要トルクである。さらに、ステップS14において、電動機119の制御として、回生制御または力行制御が選択される。このように、図7の制御例において、回生制御が選択された場合は、圧油の運動エネルギを電気エネルギに変換し、かつ電気エネルギを蓄電装置120に充電することができる。
ところで、ベルト式無段変速機4の変速比を、現在の変速比から他の目標変速比に変更する変速条件が成立した場合、特に、変速比の変化程度が所定値以下となる「緩変速」を実行する場合に、ステップS14で、回生制御が実行される。これに対して、ベルト式無段変速機4の変速比が急激に大きくなる変速制御を実行する場合、または急激に小さくする変速制御を実行する場合は、ステップS14において、回生制御を禁止することも可能である。このように、回生制御を禁止した場合は、プライマリ油圧室81とセカンダリ油圧室82との間で行き来する圧油の流動が阻害されることを抑制でき、変速応答性の低下を抑制することが可能である。そして、車両Veの走行状態、より具体的には、ベルト式無段変速機4の変速制御として、「変速比が緩やかに変化する変速制御」、または「変速比が急激に変化する変速制御」のいずれが実行されるかにより、回生制御の許可または禁止を判断することにより、電気エネルギの回収効率の向上と、変速応答性の向上とのバランスを図ることができる。
ここで、図7に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS11ないしステップS14が、この発明のエネルギ回収手段に相当し、ベルト式無段変速機4の変速制御の内容が、この発明における「車両の走行状態」に相当する。
つぎに、図6に示された油圧回路80において実行可能な他の制御例を、図9に基づいて説明する。まず、ベルト式無段変速機4の変速比を略一定に制御する条件が成立した場合(ステップS21)は、切換弁124の制御モードとして第1の制御モードを選択するとともに、油ポンプ83から吐出された圧油のうち、油路85,89,95における過剰流量分の圧油を、可逆・可変ポンプ118を経由させて油路137に戻すとともに、電動機119を発電機として起動させて電力を回収し(ステップS22)、この制御ルーチンを終了する。すなわち、油路134,135と、油路136,137との差圧により、油路134,135の圧油が、油路136,137に流れ込む場合の運動エネルギにより、可逆・可変ポンプ118を回転させるとともに、電動機119を発電機として起動させて、その電気エネルギを蓄電装置120に充電する。なお、油路85,89,95に過剰流量分の圧油がない場合は、図5に示す制御は実行されない。
つぎに、前記図6の油圧回路80で実行可能な制御例を、図10のフローチャートに基づいて説明する。この実施例4は、請求項6の発明に対応する実施例である。前述のように、切換弁124の制御モードとして、第1の制御モードまたは第2の制御モードを選択可能であり、この図10の制御例は、可逆・可変ポンプ118および電動機119の仕事量に応じて、切換弁124の制御モードを選択する制御例である。まず、エンジン1が運転されているか否かが判断される(ステップS31)。このステップS31で肯定的に判断された場合は、仕事量W1,W2を算出する(ステップS32)。
ここで、仕事量W1は、切換弁124の制御モードとして第1の制御モードを選択し、かつ、油路85,89の余剰分の圧油を、油路134,135と油路136,137との差圧により、可逆・可変ポンプ118を経由させて、オイルパン84または油ポンプ83の吸入側に排出する制御を実行する場合を想定した時の電動機119および可逆・可変ポンプ118の仕事量である。ここで、電動機119では回生制御が実行される。この仕事量W1は、次式で算出することが可能である。
W1=Ps・Qe−Ps(Qe−QL−Qs)ηm ・・・(1)
これに対して、仕事量W2は、切換弁124の制御モードとして第2の制御モードを選択し、かつ、プライマリ油圧室81の圧油を、可逆・可変ポンプ118を経由させてセカンダリ油圧室82に供給する制御を実行する場合を想定した時の電動機119および可逆・可変ポンプ118の仕事量である。ここで、電動機119では回生制御が実行される。この仕事量W2は、次式で算出することが可能である。
W1=PL・Qe+(Ps−PL)・Qs・ηm ・・・(2)
上記の2つの式において、PLは、油路85,89の油圧、つまりライン圧であり、Psは、セカンダリ油圧室82の油圧であり、Qeは、油ポンプ83から吐出される圧油の流量であり、QLは、前後進切換装置8およびトルクコンバータ9に供給される圧油の流量であり、Qsは、セカンダリ油圧室82に供給される圧油の流量であり、ηmは、可逆・可変ポンプ118の効率と電動機119の効率とを乗算した値である。
上記のステップS32の処理は、制御モードを実際に選択する前の段階で、制御モードを選択した場合を想定しておこなわれる処理である。このステップS32についで、仕事量W1が仕事量W2を越えるか否かが判断され(ステップS33)、ステップS33で肯定的に判断された場合は、少ない方の仕事量W2に対応する第2の制御モードが、切換弁124の制御モードとして選択される(ステップS34)。このステップS34についで、ステップS35ないしステップS38を経由して、図10の制御ルーチンを終了する。ここで、ステップS35の処理は、図7のステップS11の処理と同じであり、ステップS36の処理は、図7のステップS12の処理と同じである。また、ステップS37においては、可逆・可変ポンプ118を通過する圧油の運動エネルギを電気エネルギに変換するために、電動機119を発電機として起動させる場合の必要トルク(回生トルク)が算出され、ステップS38において回生制御が実行される。
一方、前記ステップS33で否定的に判断された場合は、少ない方の仕事量W1に対応する第1の制御モードが、切換弁124の制御モードとして選択される(ステップS39)。このステップS39についで、必要ライン圧が算出され(ステップS40)、ステップS37およびステップS38の処理を実行し、この制御ルーチンを終了する。ステップS40において、必要ライン圧は、エンジン1からベルト式無段変速機4に入力されるトルク、ベルト式無段変速機4の変速比に応じてセカンダリ油圧室82で確保するべき油圧、前後進切換装置8およびトルクコンバータ9に供給される圧油の油圧などに基づいて算出される。また、ステップS33で否定的に判断されてステップS37に進んだ場合は、余剰分の圧油の運動エネルギを電気エネルギに変換するために、電動機119を発電機として駆動するための必要トルク(回生トルク)を、このステップS37で算出し、ステップS38で回生制御が実行される。
これに対して、前記ステップS31で否定的に判断された場合は、油ポンプ83が停止されるため、電動機119により可逆・可変ポンプ118を駆動して、オイルパン84のオイルを可逆・可変ポンプ118で汲み上げて油路89に供給するために、ステップS39およびステップS40、ステップS37およびステップS38の制御が実行される。具体的には、ステップS37で計算される必要トルクは、可逆・可変ポンプ118から吐出される圧油により、必要ライン圧を確保するための電動機119の必要トルク(力行トルク)であり、ステップS38において力行制御が実行される。
このように、図10の制御例によれば、切換弁124の制御モードとして、第1の制御モードを選択することを想定して算出される仕事量W1と、切換弁124の制御モードとして、第2の制御モードを選択することを想定して算出される仕事量W2とを比較して、仕事量が少ない方の制御モードを選択している。したがって、電動機119および可逆・可変ポンプ118の効率が向上する。
ここで、図10に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS32,S33,S34,S39が、この発明の制御モード選択手段に相当する。また、図6に示す油圧回路80のオイルパン84、または油ポンプ83の吸い込み側が、この発明の低圧部に相当する。なお、図6に示す油圧回路80のその他の構成と、この発明の構成との対応関係は、他の実施例で説明した対応関係と同じである。
この発明におけるベルト式無段変速機の油圧制御装置に用いられる油圧回路の実施例1を示す概念図である。
この発明のベルト式無段変速機の油圧制御装置を有する車両のパワートレーンおよび制御系統を示す概念図である。
図1に示されたプライマリシーブ圧制御弁の構成例を示す図である。
図1に示されたセカンダリシーブ圧制御弁の構成例を示す図である。
図1に示す油圧回路を有する車両で実行可能な制御例を示すフローチャートである。
この発明におけるベルト式無段変速機の油圧制御装置に用いられる油圧回路の実施例2を示す概念図である。
図1の油圧回路および図6の油圧回路で実行可能な制御例を示すフローチャートである。
図7の制御例に対応する線図であり、油圧と変速比との関係を示す線図である。
図6に示す油圧回路を有する車両で実行可能な他の制御例を示すフローチャートである。
図6に示す油圧回路を有する車両で実行可能な他の制御例を示すフローチャートである。
符号の説明
4…ベルト式無段変速機、 24…プライマリプーリ、 25…セカンダリプーリ、 28…ベルト、 59…油圧制御装置、 81…プライマリ油圧室、 82…セカンダリ油圧室、 83…油ポンプ、 84…オイルパン、 86…プライマリシーブ圧制御弁、 87…第1の逆止弁、 91…セカンダリシーブ圧制御弁、 96…第2の逆止弁、 101,111…入力ポート、 118…可逆・可変ポンプ、 124…切換弁、 140…切換ソレノイドバルブ、 Ve…車両。