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JP4254872B2 - 表面処理装置 - Google Patents
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Description

本発明は、プラズマを利用して被処理材の表面を処理するための装置に関し、例えば半導体の製造において被処理材の表面をエッチングし、アッシングし、又は表面改質や薄膜形成のために使用される。
このようにプラズマを用いて被処理材の表面を様々に処理するための技術が、従来より様々な分野で利用されている。従来のプラズマ表面処理方法は、一般に減圧された環境下でプラズマ放電をさせるために、真空チャンバ等の特別な装置・設備が必要であり、処理能力が低くかつ大面積の処理が困難で、製造コストが高くなるという問題があった。そこで、最近では、例えば特許文献1に記載されるように、大気圧付近の圧力下でプラズマ放電させることにより、真空設備を必要とせず、装置を簡単かつ小型化することができ、しかも低コストで大面積の処理を可能にした表面処理技術が提案されている。
特開平6−2149号公報
このように大気圧プラズマを用いて一度に大面積を表面処理するための従来装置の一例が図12に概略的に示されている。この表面処理装置1は、ハウジング2の内部に一定の離隔距離をもって平行に配設された円板状の上部電極3と下部電極6とを有する。下部電極6は接地され、かつその上に誘電体5を介して被処理材4が載置される。上部電極3は電源7に接続され、かつその下面に多孔質の誘電体8が、異常放電の解消及び放電ガスの均一分布のために配置されている。電源7から上部電極3に所定の電圧を印加することによって、前記両電極間に放電が発生する。
上部電極3は、図示されない多数の通気孔が誘電体8側に向けて開設されており、その上部に画定されるチャンバ9内に外部のガス供給源10から供給されるガスが、前記通気孔から誘電体8を通過してハウジング2内の放電領域11に導入される。前記ガスは、多孔質誘電体8によって放電領域全体に分散して均一に供給され、放電領域11内にプラズマが均一に作られる。このプラズマにより生成された前記ガスの励起活性種を曝露することにより、被処理材4の表面を処理する。前記ガスは、図12に矢印で示すように、放電領域11の周囲から下部電極6の裏側へ流れ、ハウジング2の底部中央に設けられたガス排出口12から外部に排出される。
図13には、別の従来の表面処理装置13が概略的に示されている。この表面処理装置13は、上述した面タイプの表面処理装置と異なり、そのすぐ下側を相対的に移動する被処理材の表面を走査しながら処理する所謂ラインタイプであって、図中矢印Aで示す被処理材の移動方向に直交する向きに細長い電極14を有する。電極14の下面には、その全長に亘って平行に延長する同一寸法・形状の2本の放電発生部15、16が下向きに突設されている。電極14の下部には、前記両放電発生部の間に電極14の全長に亘って中間チャンバ17を画定するように、誘電体18が装着されている。誘電体18には、中間チャンバ17から下向きに開口するガス噴出口19が、電極14の全長に亘って直線状に形成されている。また、中間チャンバ17には、電極14の上面に開口するガス導入口20が連通している。
電極14に所定の電圧を印加すると、両放電発生部15、16とその下側を通過する被処理材との間で放電が発生する。外部のガス供給源からガス導入口20を介して中間チャンバ17内に供給されたガスは、ガス噴出口19から下向きに被処理材表面に向けて噴出し、前記放電により発生したプラズマ内に導入されて励起活性種を生成し、前記被処理材表面を処理する。
しかしながら、図12及び図13に示す装置では、下記のような問題が生じている。
まず、図12に示す従来の表面処理装置では、多孔質誘電体8が、ハウジング側にねじ21等の固定手段によって直接固定されているため、その局部応力と、プラズマ放電の高温により生じる熱応力とによって誘電体8に割れや反りが生じる虞がある。多孔質誘電体8に、割れや反りが生ずると、放電領域にガスを均一に分布させるという所望の機能を発揮できなくなる虞がある。逆に、過度に高温にならないように電源の出力を抑えると、十分な放電が得られず、表面処理能力が低下して、処理速度が遅くなったり十分に処理できなくなる虞がある。さらには、誘電体8に割れが生ずると、誘電体8の本来の機能である異常放電の防止機能が損なわれてしまう。
また、この従来装置では、多孔質誘電体を用いて放電領域へのガスの分布を均一化しているにも拘わらず、上述したように排気が、下部電極の裏側に設けた1カ所のガス排出口のみから行われるので、装置の組付誤差等のため誘電体8と被処理材4との間に一定のギャップが維持されないと、ガスの流れに偏りが生じ、放電領域11におけるガス分布に粗密や不均一が生じて、被処理材全体を均一に処理できなくなる虞がある。また、被処理材から除去された有機物質等が、放電領域から排出される途中で再付着して、被処理材を汚染したり装置のメンテナンスを困難にする虞がある。
更に、上部電極3には、多数の通気孔を設ける代わりに、多孔質板を使用するとガスの分布の均一化に好都合であるが、カーボン材料やSUS系の材料を用いた場合には、O、CF等のガスと反応して酸化や腐食を生じ易い。このため欠損した電極材料がごみとなって、被処理材表面や装置内部を汚染する虞があり、特に被処理材がシリコンウエハの場合には、Fe等の金属汚染が問題となる。また、これらの電極材料は、消耗品であるから定期的に交換する必要が生じ、ランニングコストが増えて最終的にコストが高くなる。
また、図13に示す従来の表面処理装置の場合、真空での放電と異なり大気圧付近の圧力下では、放電発生部の幅を一定にしても、電極の長手方向に沿って均一に放電させることが困難である。また、放電させる出力には異常放電の問題から限界があり、放電発生部の幅に依存する放電面積によって放電領域が一定範囲に固定されるから、処理条件に応じて放電領域を拡大したり、処理能力を調整・向上させることができない。このため、特に大面積を処理する場合には、均一な処理が困難であると共に、高速処理が望めない。
また、中間チャンバ17は、限られた数のガス導入口20から供給されるガスの圧力を電極の長手方向に均一化して、ガス噴出口19の全長からガスを均一に噴出させるためのものである。ところが、ガス噴出口19及びガス導入口20が中間チャンバ17の中央に同一直線上に配置されているため、ガス導入口20から導入した前記ガスの多くの部分が、その直下にあるガス噴出口19に直接そのまま流れ込む。このため、電極の長手方向に沿って噴出するガスの分布が不均一になり、均一に表面処理できなくなる虞があり、処理能力の向上が図れない。
更に、この従来装置では、ガス噴出口19から放電領域に供給されたガスが、被処理材の移動方向に関して電極の前後から、容易に大気中に拡散して排気される。前記ガスには、放電を安定化させるために比較的高価なヘリウムを反応ガスに混合する。しかし、前記ガスの拡散に対応してヘリウムの流量を増やしていくと、処理コストが大幅に高くなるという問題がある。また、前記ガスが拡散する際に放電領域に大気が混入して、放電を不安定にし、または一旦除去した有機物質等が大気中の不純物と反応して被処理材表面に再付着する虞がある。これを有効に予防して放電を安定化させるために、放電領域における大気不純物のガス濃度を低くするべく、適当な排気機構を設ける必要がある。更に、環境保全の観点から、プラズマ放電によって発生するオゾン等を含む排気を適切に処理する必要がある。
また、この種の表面処理装置では、電極構造によらず、電極を保護する誘電体を設けた場合でも、電極に印加する電源の出力を上げていくと、アーク放電等の異常放電を発生して、被処理材やそれを載せるステージを損傷する虞がある。このため、出力が制限されて処理能力を十分に高めることができず、高速処理やコストの低減を図れないという問題がある。
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大気圧付近の圧力下で発生させたプラズマを用いて表面処理するために、放電領域に供給されるガスが平板状の電極を通過するようにした所謂面タイプの表面処理装置において、放電領域におけるガスの分布を均一化させることによってプラズマを均一に発生させ、それにより大面積を均一に処理することができ、処理能力の向上及びコストの低減を図ることができる表面処理装置を提供することにある。これに加え、特に本発明は、多孔質体を前記平板状電極の放電を発生させる側の面に配置した表面処理装置において、電極に印加される電源の出力を高くした場合でも、多孔質体に破損等を生じることなく常にガスの均一な分布を図り、それにより表面処理の高速化、処理能力の向上を図ることを目的とする。
更に、本発明の目的は、このように放電領域に供給されるガスが電極を通過するようにした表面処理装置に使用され、放電領域におけるガス分布の均一化を図ることができ、かつ耐久性が高く、使用するガス種によって酸化、腐食等することにより被処理材を汚染する虞がなく、ランニングコストを低減させることができる多孔質体の電極を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、直線状に延長する細長い電極を、その長手方向に直交する向きに相対移動する被処理材に対して走査させながら、大気圧付近の圧力下で発生させたプラズマを用いて表面処理する所謂ラインタイプの表面処理装置において、電極の長手方向に沿ってその放電面積を調整することができ、それにより処理条件に対応して電極の各部分の処理速度を調整することができ、またはその全長に亘って処理能力を向上させて、大面積の高速処理を可能にする表面処理装置を提供することにある。
また、本発明は、同じくラインタイプの表面処理装置において、電極の全長に亘って供給されるガスの分布を均一化することができ、それによりプラズマを均一にして処理能力を向上させ、より大きな面積を処理できるようにすることを目的とする。
本発明の更に別の目的は、同じくラインタイプの表面処理装置において、放電領域に供給されたガスの排気経路を制限することによって、ガスの大気中への拡散を抑制し、放電領域への大気の混入を防止して、プラズマ放電及びそれによる表面処理の安定化を図り、処理能力を向上させかつ処理コストを低減させることができる効率的でコンパクトな排気機構を提供することにある。
更に、本発明の目的は、上述した電極構造の如何に拘わらず、放電条件により電極と被処理材またはステージとの間にアーク放電等の異常放電が発生する虞を解消し、高出力化を図ることによって処理能力を向上させることができる、大気圧付近の圧力下でのプラズマを用いた表面処理装置を提供することにある。
本発明は、大気圧又はその近傍の圧力下の放電領域に、所定のガスにより放電を発生させ、前記放電により励起された活性種を被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記所定のガスを通過させる孔を有し、前記放電を発生させるための電極と、
前記電極が前記放電領域に臨む電極面と隣接して配置される多孔質誘電体と、
前記多孔質誘電体の外周縁部を支持する支持面を有し、前記支持面上にて、前記放電による昇温に伴う前記誘電体の熱膨張変形を許容する支持部材と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、放電による昇温により多孔質誘電体が熱膨張しても、この多孔質誘電体の外周縁部を支持する支持部材の支持面上で、多孔質体誘電体の熱膨張変形が許容される。このため、熱応力による多孔質誘電体の破損、反りが有効に防止される。従って、多孔質誘電体による電極の保護機能が確保されると共に、ガスの均一な拡散機能も確保される。
ここで、前記電極及び前記多孔質誘電体が水平に配置される場合、前記支持部材の前記支持面が上向きの傾斜面からなり、前記多孔質誘電体の前記外周縁部に、前記支持面に摺接する下向きの傾斜面が形成されることが好ましい。
こうすると、多孔質誘電体が熱膨張変形する際に、多孔質誘電体の外周縁部は支持部材の上向き傾斜面に沿ってその膨張変形が許容される。
この場合、前記支持部材を、前記多孔質誘電体の熱膨張変形に伴い、垂直方向に移動自在とすることもできる。
こうすると、多孔質誘電体の外周縁部が熱膨張変形する際に、その外周縁部に形成された下向きの傾斜面により、支持部材の上向きの傾斜面が垂直下方に押し下げられる。このため、多孔質誘電体の水平位置は変化せず、多孔質誘電体と被処理材との間のギャップを一定に維持できる。
前記電極及び前記多孔質誘電体が水平に配置される場合、前記支持部材の前記支持面を、前記多孔質誘電体の前記外周縁部の下面に摺接する水平面とすることもできる。
この場合にも、水平な支持面上にて、多孔質誘電体の熱膨張変形が許容され、しかも、多孔質誘電体の水平位置は変化しない。
本発明の他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下の放電領域に、所定のガスにより放電を発生させ、前記放電により励起される活性種を被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記放電を発生させるための電極と、
前記電極を覆い、かつ、前記放電領域に臨んで配置される誘電体と、
前記誘電体を支持する支持部材と、
を有し、
前記支持部材は、前記放電による昇温に伴い前記誘電体が熱膨張変形する方向にて自由度をもって、前記誘電体を支持していることを特徴とする。
この発明でも、放電による昇温に起因した誘電体の熱膨張変形が許容されるので、その破損が防止され、それにより電極の保護機能を維持できる。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下の放電領域に、所定のガスにより放電を発生させ、前記放電により励起される活性種を被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記所定のガスを通過させる孔を有し、前記放電を発生させるための電極と、
前記電極が前記放電領域に臨む電極面と隣接して配置される多孔質誘電体と、
前記多孔質誘電体と前記被処理材との間の前記放電領域の周囲に、それぞれ独立して流量調整可能な複数のガス排気口を配設したことを特徴とする。
この発明によれば、各ガス排気口の流量を適当に調整することによって、多孔質誘電体と被処理材とのギャップが一定でなくても、その間から周囲に排気されるガスの流れを一様にすることができる。このため、放電領域におけるガスの分布をより均一にし、それにより放電領域全体に亘って放電状態及び処理の程度を均一化することができる。
ここで、前記複数のガス排気口が、前記放電領域の周囲の周方向に沿って等間隔で配置されていることが好ましい。
こうすると、排気されるガスの流れを一様にし易くすることができる。
さらには、前記ガス排気口は、前記放電領域が形成される高さ位置とは異なる高さ位置に開設されていることが好ましい。
放電領域と排気口の高さを上下にずらすことによって、排気されるガスの流れの方向が途中で変化され、放電領域の全周での排気速度を等しくし易くなる。このため、放電領域におけるガス濃度の分布をより均一にすることができる。
さらに、前記多孔質誘電体と前記被処理材との間のギャップより狭幅の排気通路を、前記ガス排気口の上流側に設けることもできる。
こうすると、幅狭の排気通路のコンダクタンスを利用して、放電領域の全周にてガスの流れをより均一にすることができる。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下の放電領域に、所定のガスにより放電を発生させ、前記放電により励起される活性種を被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
ガス排気孔を有し、前記放電を発生させるための電極と、
前記電極が前記放電領域に臨む第1の電極面と隣接して配置される多孔質誘電体と、
前記所定のガスを、前記多孔質誘電体と前記被処理材との間の前記放電領域に向けて、前記放電領域の周囲から導入する複数のガス導入口と、
を有し、
前記被処理材に暴露されたガスを、前記多孔質誘電体及び前記電極を通過させて排気させることを特徴とする。
この発明によれば、多孔質誘電体と被処理材との間に、その周囲の複数方向よりガスを供給することによって、放電領域におけるガスの分布を均一化できる。さらには、多孔質誘電体及び電極を介して排気することで、ガスの分布に影響を与えることなく排気できる。しかも、排気ガスが電極を通過した後には、一個所にて集中的に排気することができる。
前記複数のガス導入口は、それぞれ独立して流量調整可能な流量調整手段を有することができる。こうすると、放電領域に供給されるガスの分布を一様にすることができる。さらには、前記複数のガス導入口が、前記放電領域の周囲の周方向に沿って等間隔で配置されることが好ましい。各ガス導入口から供給されるガス流量を適当に調整することによって、放電領域におけるガスの分布を容易に制御することができる。
ここで、前記電極の前記第1の電極面とは反対側の第2の電極面に隣接して、排気処理用触媒を配設することができる。
こうすると、排気と同時に、放電により生成されたオゾンの除去等の排気処理を一個所で集中して行うことができる。これにより、装置及び大気の汚染を有効に防止することができる。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下の放電領域に、所定のガスにより放電を発生させ、前記放電により励起される活性種を被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記放電を発生させるための電極と、
前記電極が前記放電領域に臨む電極面と隣接して配置される多孔質誘電体と、
を有し、
前記電極が、前記所定のガスを通過させるアルミニウム多孔質材料から成ることを特徴とする。
この発明によれば、放電領域に導入されるガスの分布をより簡単に均一化できると共に、アルミニウムはフッ素系ガスとの反応が少ないので、導入される所定のガスがフッ素系ガスの中の反応性の高いガスであっても、これに電極が反応して腐食等を生じ、欠損した部分により被処理材や装置等を汚染する虞がない。
この場合、前記多孔質誘電体を、アルミナ多孔質材料にて形成することが好ましい。
こうすると、O、CF等のガスが導入されても、このガスと電極、多孔質誘電体が反応して酸化・腐食等を生ずることを防止でき、被処理材や装置等を汚染する虞を低減できる。
本発明に係る表面処理装置のさらに他の態様によれば、被処理材が載置される第1電極と、
前記第1の電極と対向して配置される第2の電極と、
前記第1の電極に載置された前記被処理材の周囲にて、前記第2の電極に向けて、前記被処理材よりも突出する補助電極と、
を有し、
前記第1の電極と前記第2の電極との間と、前記第2の電極と前記補助電極との間にて、大気圧又はその近傍の圧力下でそれぞれ放電を発生させ、前記第1の電極と前記第2の電極との間の前記放電により励起される活性種を前記被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理することを特徴とする。
この発明によれば、電極に印加される電源出力を高くした場合にも、異常放電は先ず補助電極との間に発生するから、異常放電に起因した被処理材や第1の電極等の破壊や損傷を未然に防止することができる。
この場合、前記補助電極の突出高さが調節可能であることが好ましい。
こうすると、被処理材の表面状態等の処理条件に応じて、異常放電の発生限界を調整することができる。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下にて生成される放電領域に対して、被処理材を移動させながら、前記放電領域にて励起される活性種を、前記被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記被処理材を載置して移動する第1の電極と、
前記第1の電極の移動方向に沿った第1の幅を有し、前記移動方向と直交する方向を長手方向として延在形成され、前記第1の電極との間に前記放電領域を生成する第2の電極と、
前記第2の電極に着脱可能に取り付けられ、前記第1の電極の前記移動方向に沿った第2の幅を有する補助電極部分と、
を有し、
前記第2の電極の着脱により、前記放電領域の範囲が調整可能であることを特徴とする。
この発明によれば、補助電極部分を選択的に取り付けることによって、電極の幅を調整することができ、被処理材や処理条件の変更に応じて、放電領域の範囲即ち処理面積を調整することができる。
この場合、前記補助電極部分を、前記第2の電極の前記長手方向にて部分的に取り付けることができる。
こうすると、電極の長手方向に沿って各領域毎に処理速度を最適に設定することができる。
特に、前記補助電極部分を、前記第2の電極の前記長手方向の両端部分に取り付けると、処理速度の遅い前記両端部分での処理速度を向上させることができる。
あるいは、前記補助電極部分を、前記第2の電極の前記長手方向の全長に亘って取り付けることもできる。
こうすると、電極全体の処理面積を拡大させることができる。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下にて生成される放電領域に対して、被処理材を移動させながら、前記放電領域にて励起される活性種を、前記被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記被処理材を載置して移動する第1の電極と、
前記第1の電極の移動方向と直交する方向を長手方向として延在形成され、前記第1の電極との間に前記放電領域を生成する第2の電極と、
を有し、
前記第2の電極は、
前記放電領域に供給されるガスが導入される、前記長手方向に沿って形成される中間チャンバと、
前記中間チャンバに前記ガスを導入する少なくとも一つのガス導入口と、
前記中間チャンバ内の前記ガスを前記放電領域に向けて噴出する、前記長手方向に沿ってスリット状に形成されたガス噴出口と、
を有し、
前記少なくとも一つのガス導入口は、前記ガス噴出口の延長線上から外れた位置に開口していることを特徴とする。
この発明によれば、少なくとも一つのガス導入口から中間チャンバ内に導入されたガスは、そのまま直接ガス噴出口に流れる量が少なくなる。すなわち、中間チャンバ内で一旦ガスの流れの向きが変えられることによって、電極の長手方向に沿ってガス圧を均一化した後にガス噴出口に流れるので、放電領域におけるガスの分布を均一化することができる。
ここで、前記中間チャンバは、相対向する2つの側壁と、前記ガス噴出口が開口する底壁とを有し、前記少なくとも一つのガス導入口を、一方の前記側壁に開口させることができる。
こうすると、一方の側壁のガス導入口より導入されたガスは、他方の側壁にてガスの流れの向きが変えられ、中間チャンバ内に拡散した後にガス噴出口に導かれる。
この場合にも、前記第2の電極が前記放電領域に臨む電極面を覆う誘電体をさらに設けることができる。この場合、前記中間チャンバは、前記第2の電極と前記誘電体との間に形成され、前記ガス噴出口は、前記誘電体に形成される。
こうすると、誘電体の存在により異常放電の発生が低減され、第2の電極を保護することができる。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下にて生成される放電領域に対して、被処理材を移動させながら、前記放電領域にて励起される活性種を、前記被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記被処理材を載置して移動する第1の電極と、
前記第1の電極の移動方向と直交する方向を長手方向として延在形成され、前記長手方向に沿ってガスを噴出するガス噴出口を有し、前記第1の電極との間に前記放電領域を生成する第2の電極と、
前記第2の電極よりも前記移動方向の上流側に設けられ、前記第2電極と前記被処理材との間のギャップと実質的に同等のギャップを形成する第1の延長部材と、
を有することを特徴とする。
この発明によれば、被処理材の移動方向とは逆流するガスが、第1の延長部材により制限されて大気中に拡散せずに被処理材の表面に沿って流れるので、前記ガスに含ませるヘリウム等の放電用ガスの流量を従来より相当少なくしても、放電を安定させることができる。しかも、被処理材から除去された有機物質等が、放電領域から離れた位置で再付着しても、電極と被処理材とが相対的に移動し続けるので、その下流側において、被処理材の表面に沿って流れるガスに含まれる活性種によって再度処理することができる。
ここで、前記第2の電極よりも前記移動方向の下流側に、前記第2電極と前記被処理材との間のギャップと実質的に同等のギャップを形成する第2の延長部材をさらに設けることが好ましい。
こうすると、電極の上流及び下流側において、ガスの拡散をより効果的に制限することができる。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下にて生成される放電領域に対して、被処理材を移動させながら、前記放電領域にて励起される活性種を、前記被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記被処理材を載置して水平移動する第1の電極と、
前記第1の電極の移動方向と直交する水平方向を長手方向として延在形成され、前記長手方向に沿ってガスを噴出するガス噴出口を有し、前記第1の電極との間に前記放電領域を生成する第2の電極と、
前記第2の電極に対して前記移動方向の下流側及び上流側にそれぞれ配置され、前記第2の電極との間に間隙を介して垂直に配置される2つの第1の仕切り壁と、
を有し、
前記被処理材に暴露されたガスを、2つの前記第1の仕切り壁と前記第2の電極との間の前記間隙を介して排気することを特徴とする。
この発明においては、ガス噴出口より放電領域に供給されたガスは、大気に直ちに拡散されることなく、第2の電極の両側に配置された2つの第1の仕切り壁の内側を辿って排気される。従って、放電領域への大気の混入が低減され、放電を安定して維持できる。
ここで、2つの前記第1の仕切り壁の外側に、該第1の仕切り壁と平行に2つの第2の仕切り壁をさらに設けることができる。そして、相対向する第1、第2の仕切り壁間にガスを導入することで、その導入ガスにより、前記放電領域を挟んだ両側に、前記放電領域を大気と仕切るガスカーテンを形成することができる。これにより、放電領域への大気の混入がさらに低減する。
本発明のさらに他の態様によれば、大気圧又はその近傍の圧力下にて生成される放電領域に対して、被処理材を移動させながら、前記放電領域にて励起される活性種を、前記被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
前記被処理材を載置して水平移動する第1の電極と、
前記第1の電極の移動経路と対向する位置に垂直に配置され、前記第1の電極との間に前記放電領域を生成する第2の電極と、
前記第2の電極に対して前記移動方向の上流側にて垂直に配置され、前記第2の電極との間に、前記放電領域にガス導入する空間を形成する第1の仕切り壁と、
前記第2の電極に対して前記移動方向の下流側にて垂直に配置され、前記第2の電極との間に、前記放電領域からのガスを排気する空間を形成する第2の仕切り壁と、
を有することを特徴とする。
この発明によれば、被処理材の移動方向にて第2の電極よりも下流側から放電領域にガスが供給され、電極よりも上流側にて排気される。このようにして、放電領域への大気の混入を防止でき、放電を安定化させることができる。しかも、万一放電領域の上流側にて被処理材表面に不純物が再付着しても、被処理材が移動することで再付着物は放電領域にて除去することができる。また、放電処理に使用したガスを放電領域の近傍から排気することができるので、排気を大気中に放出させることなく効率的に処理することができ、かつ排気構造を小型化することができる。
以下、本発明を図面に示す実施例に従って詳細に説明する。
(第1実施例)
図1には、本発明による面対向型の表面処理装置の好適な実施例が示されている。表面処理装置30は、円形ハウジング31の内部に水平に配置された円板状の電極32を有する。電極32は、例えばアルミニウム材料からなる多孔質体であり、交流電源33に接続されている。電極32の上部に画成されるチャンバ34は、ガス導入口35を介して外部のガス供給源36に接続されている。電極32の下面には、セラミック材料等の多孔質材料、例えばアルミナ(Al)等からなる円板状の誘電体37が配置されている。
誘電体37の下方には、円形のステージ38上に被処理材即ち表面処理しようとするウエハ等のワーク39が、誘電体37との間に1〜2mm程度の一定のギャップcを有するように載置されている。ステージ38には、ワーク39の下側に接地電極38Aが配置され、また必要に応じてステージとワークとの間に誘電体を設けることができる。ステージ38の周囲には、ハウジング31内周面との間に、ギャップcより狭い隙間bを設けて排気通路40が形成され、かつ多数のガス排出口41が、ハウジング31の下端に周方向に等間隔で、かつ誘電体37とワーク39との間の中心高さより相当高さaだけ下方へずらした位置に配設されている。各ガス排出口41には、例えばニードルバルブからなる流量制御手段42が設けられている。
図2Aには、誘電体37の取付構造が示されている。誘電体37の外周縁には、その全周に亘って下向きの傾斜面43が形成されている。電極32とハウジング31との間に配設されたセラミック等の誘電体からなる取付部44の下面には、同じくセラミック等の誘電体からなる薄いリング状の支持部材45が、皿子ねじ46等の取付具によって固定されている。支持部材45の内周縁には、その全周に亘って上向きの傾斜面からなる支持面47が形成されている。支持面47は、誘電体37の傾斜面43と同じ傾斜角度をもって、かつ該傾斜面43よりもさらに斜め上方に延びて形成されている。誘電体37は、図示されるように、その傾斜面43を支持部材45の支持面47に摺接させて、該支持面に沿って半径方向に相対変位可能に支持されている。このような支持により、誘電体37の位置を芯出しする機能もある。
図2B及び図2Cには、誘電体37の取付構造の別の実施例がそれぞれ示されている。図2Bの取付構造は、誘電体37外周縁に下向きの段部48を形成し、他方、支持部材45の内周縁には、その全周に亘って誘電体37の外周より大きい上向きの段部49を設け、その肩部を水平な支持面として、その上に誘電体37の段部48に載せて支持している。図2Cの実施例では、支持部材45の内周端部が取付部44より内方へ張り出して肩部50を形成し、これを水平な支持面とし、その上に誘電体37の外周縁が、取付部44の内周面との間に或程度の隙間を有するように支持されている。このように図2B及び図2Cのいずれの実施例も、図2Aの取付構造と同様に、誘電体37の外周縁が支持部材45の支持面に沿って半径方向に相対変位可能に支持されている。
ワーク39を表面処理するために、所定の放電ガスをガス供給源36からガス導入口35を介して供給して、チャンバ34内を該放電ガスで置換する。前記放電ガスは、実施しようとする表面処理に応じて適当に選択され、かつ放電の開始を容易にしかつ安定させるためにヘリウムを混合すると好都合である。前記放電ガスはチャンバ34内に連続的に供給され、多孔質体の電極32及び誘電体37を通過することによって、誘電体37とワーク39との間の放電領域51に略均一に供給される。同時に電源33から電極32に所定の電圧を印加すると、電極32と前記接地電極38Aとの間で放電が発生する。誘電体37とワーク39との間の放電領域51内には、プラズマによる前記放電ガスの解離、電離、励起等によって前記ガスの励起種、イオン等の活性種が生成される。これらの励起活性種がワーク39に曝露されることによって、ワーク39表面は、前記放電ガスの種類に応じた所望の処理が行われる。上述したように、電極32がアルミニウム多孔質体で形成され、かつアルミニウム材料は、良く知られているようにフッ素との反応が少なく、前記放電ガスにOやCF等のガスを用いた場合でも、酸化や腐食等により欠損してワーク表面や装置内部を汚染する虞が無いので有利である。同様に、誘電体37をアルミナ(Al)にて形成しているので、誘電体37が酸化や腐蝕することもない。
放電領域51内に供給された前記放電ガスは、その周囲に放射方向外向きに流れ、ハウジング31の内周面に沿って下向きに方向を変え、排気通路40を通過して各ガス排出口41から外部に排出される。各ガス排出口41は、図示されるように放電領域51の中心位置から距離aだけ低い位置に開設されているので、排気ガスの流れが一定の方向に集中することを防止できる。更に、排気通路40の幅bが、c>bの関係に設けられているので、そのコンダクタンスを利用して前記ガスを放電領域51の周囲からより均一に排気することができる。また、表面処理装置30の組付誤差等により誘電体37とワーク39との間に一定のギャップが確保されず、排気ガスの流れが一定の方向にかたよる場合には、流量調整手段42により各ガス排出口41の流量を制御することによって、前記ガスの流れを均一にすることができる。
また、第1実施例によれば、誘電体37は、前記放電による昇温により半径方向に熱膨張するが、上述したように別個の支持部材45により、その外周縁において相対変位可能に取り付けられているので、支持面47に沿って半径方向外向きに、例えば図2Aに想像線52で示される位置に移動する。従って、誘電体37は、従来のように取付具により拘束されて、熱応力により割れを生じたりする虞がない。このため、電極32への出力を相当程度高くすることができ、それによってプラズマがより高密度に生成され、処理速度が高くすることができる。
なお、支持部材45は、必ずしも取付部44に固定されるものに限らない。例えば、図14に示すように、フランジ101を有する軸部100に沿って垂直に移動自在とすることもできる。このとき、支持部材45の下面とフランジ101との間にスプリング103を配置し、支持部材45の上面と取付部44の下面との間にOリングなどの気密シール材104を配置するのが好ましい。
図14にて、誘電体37が図示の鎖線の通り熱膨張変形すると、誘電体37の傾斜面43が、支持部材45の傾斜面47を押し下げる。支持部材45はスプリングの付勢力に抗して図示の鎖線の通り垂直下方に移動する。これにより、誘電体37の熱膨張変形が許容される。
図14の実施例では、誘電体37が熱膨張しても、図2Aのように誘電体37の水平高さが変化することはない。この点は、図2B、図2Cの実施例も同様である。従って、図2B、図2C及び図14の実施例では、誘電体37と被処理材39との間のギャップを一定に維持できる点で優れている。さらに、図14の実施例では、誘電体37の芯出しができる効果もある。
(第2実施例)
図3は、本発明による面タイプの表面処理装置の第2実施例を示している。本実施例の表面処理装置52は、図1の表面処理装置30と略同様の構成を有するが、ハウジング31に多数のガス導入口53が、誘電体37とワーク39間の1〜2mm程度のギャップの放電領域51にその周囲から、多方向から放電ガスを均等に供給するように、周方向に等間隔で開設されている。各ガス導入口53には、それぞれ流量調整手段54が設けられている。これによって、表面処理装置52の組付誤差等のために誘電体37とワーク39との間にギャップが均一に形成されない場合でも、放電領域51にガスの分布を均一に調整して供給することができる。更に電極32の上部には、オゾン吸収用の触媒55が配置されている。 各ガス供給口53から放電ガスを供給して、ハウジング31内部を該放電ガスで置換する。同時に、電極32に所定の電圧を印加して、該電極と接地電極との間で放電を発生させる。前記放電ガスは、放電領域51に連続的に供給され、誘電体37、電極32及び触媒55を通過してチャンバ34内に入り、ガス排出口56を介して外部に排出される。ワーク39の表面は、放電領域51中に生成される前記ガスの励起活性種によって処理される。この放電時に生成されたオゾン及びアッシング等においてワーク39表面から除去された有機物質等は、電極32側から排気される際に触媒55によって除去されるので、オゾンが大気を汚染したり、有機物質がワーク39や装置内部に再付着する虞がなく有利である。このように第2実施例によれば、排気と同時に排気処理を行うことができるので、別個に排気処理装置を設ける必要がなく、装置全体の構成を簡単にし、小型化及び低コスト化を図ることができる。
(第3実施例)
図4は、本発明による面対向型の表面処理装置の第3実施例を示している。本実施例では、異常放電処理用の補助接地電極57がステージ(第1の電極)38の上面に、ステージ38のワーク39より外側かつ電極32の下側の位置に突設されている。補助接地電極57は、ステージ38からの突出量をねじ等により変化させて、その先端と電極(第2の電極)32とのギャップを適当に調整することができる。即ち、前記ギャップを、表面処理するワークの異常放電発生限界のプラズマインピーダンスより、電極32と補助接地電極57との対向間のインピーダンスが局所的に低インピーダンスになるように調整する。これによって、その表面に突起や金属部分が形成されて異常放電を発生し易いワークの場合でも、アーク放電等がワーク表面に対してではなく補助接地電極57に対して発生する。このため、補助接地電極57は、異常放電により容易に溶融しないように、高融点金属で形成すると好都合である。このように第3実施例によれば、ワーク表面やステージへの異常放電を回避できるので、放電の出力をワークの異常放電発生限界より高くすることができ、処理速度を高めると共に、異常放電によるワークやステージの破壊又は損傷を有効に防止することができる。
(第4実施例)
図5は、本発明によるラインタイプの表面処理装置の実施例を示している。表面処理装置60は、矢印Aで示すワークの移動方向に関して直交する向きに細長い概ね直方体の電極61を有する。なお、図5ではワークを載置して移動させる第1の電極は図示していない。電極61の下面には、その長手方向に沿って同一寸法・形状の2本の放電発生部(第2の電極)62、63が、一定の離隔距離をもって平行に全長に亘って下向きに突設されている。図6Aに示すように、両放電発生部62、63の長手方向の両端部には、その外側にそれぞれ補助電極64、65がボルト66によって一体的に固定されている。この補助電極64、65によって、電極61の放電発生部62、63は、その幅が長手方向の両端部においてそれぞれ外側に拡大されている。また、別の実施例では、図6Bに示すように、放電発生部62、63の全長に亘って補助電極67、68をボルト69で一体的に取り付け、その幅を全長に亘って拡大することができる。
図5及び図7Aに示すように、電極61の下部には、放電発生部62、63を完全に包み込むように誘電体70が装着されている。両放電発生部62、63の間には、電極61の長手方向に沿って延長する中間チャンバ71が画成される。誘電体70の中央には、中間チャンバ71に連通するガス噴出口72が、電極61の長手方向に沿って直線状にワーク73表面に向けて下向きに開口している。電極61の上面には、3個のガス導入口74が等間隔で開設され、それぞれ中間チャンバ71に連通している。図7Aに良く示されるように、ガス噴出口72が中間チャンバ71の中央位置に接続しているのに対して、ガス導入口74は、中間チャンバ71の端部に接続されている。換言すれば、ガス噴出口72の延長線上から外れた位置に、3個のガス導入口72が配置されている。このため、3個のガス導入口74から導入された放電ガスは、中間チャンバ71内で流れの向きを変えてガス噴出口72に向かう。即ち、図7Bに示すように、前記放電ガスは、中間チャンバ内で長手方向に沿ってガス圧が略均一化され、ガス噴出口72の全長に亘って概ね均一に噴出する。
また、別の実施例では、図15に示すように、中間チャンバ71を形成する相対向する2つの側壁61a、61bの一方の側壁61aに、ガス導入口74が開口している。この場合、ガス導入口74から導入された放電ガスは、他方の側壁61bにてその流れの向きが変えられ、中間チャンバ71内にて拡散される。この拡散後にガス噴出口72より放電ガスが噴出されるので、図7Aの場合と同様に、横方向から放電ガスを導入することができ、ガス噴出口72の全長に亘って概ね均一にガスを噴出させることができる。
更に別の実施例では、中間チャンバ71内にガス噴出口72の上に多孔質体を配設することができる。これによって、放電ガスをガス噴出口72の全長に亘ってより均一に分布させることができる。
このようにして所定の放電ガスをガス噴出口72からワーク表面に向けて噴出させつつ、電極61に所定の電圧を印加すると、ガス噴出口72の両側で各放電発生部62、63と、図示しない第1の電極上に載置されて移動するワーク73との間で放電が発生する。ガス噴出口72から噴出された前記放電ガスは、放電領域75、76においてプラズマによる励起活性種を生成し、それによってワーク73の表面が処理される。
この第4実施例によれば、両放電発生部62、63の両端部に補助電極64、65を取り付けてその幅を拡大したことによって、図6Aに示すように、符号77で示す従来の楕円形状の放電領域が、その長手方向の両端部において符号78で示す領域に拡大される。従って、電極61の長手方向の両端部における処理能力を中央部と同程度に向上させ、より大型のワークを処理することができる。また、図6Bに示すように放電発生部62、63の幅を全長に亘って拡大した場合には、放電領域全体が拡大される。
(第5実施例)
図8には、図5に示すラインタイプの表面処理装置の変形例が示されている。この第5実施例では、図示しない第1の電極上に載置されたワーク73の移動方向Aに沿って、その移動方向にて電極(第2の電極)61の上流側に第1の延長部材80が、下流側に第2の延長部材79が、電極61に一体的にそれぞれ取り付けられている。延長部材79、80によって、誘電体70とワーク73表面とのギャップと同程度の狭い排気通路が、各放電領域75、76から電極61の上流、下流側に形成される。従って、放電ガスは、放電領域75、76から前記排気通路を通過した後に大気中に排出される。
このように、放電ガスをすぐに大気中に拡散させることなく、電極とワークとの間により長い時間閉じこめることによって、前記放電ガスに含まれるヘリウムの流量を従来の毎分20リットル程度から毎分5リットル程度まで大幅に低減させても、安定した放電を得ることができた。また、前記延長部材によって放電領域75、76への大気の巻き込みが防止されるので、ワークから一旦除去した有機物等の再付着を防止することができた。特に、電極61よりも上流側では、排気ガスがワークの移動方向に対して逆流するため、乱流になりやすく大気を巻き込み易いが、ここでの大気の巻き込みを防止することができる。
なお、別の実施例では、電極61の上流、下流に延長部材を設ける代わりに、表面処理されるワークを電極61の下方へ案内する通路を、同様に狭いトンネル状に形成することによっても、同様の作用効果を得ることができる。
(第6実施例)
図9には、本発明によるラインタイプの表面処理装置のための排気機構の別の実施例が示されている。この実施例では、図示しない第1の電極に載置されたワーク73の移動方向Aに沿って電極(第2の電極)61の下流及び上流側に、ワークとある間隔をもって垂直な2枚の第1の仕切壁81、82が、その間にそれぞれ全長に亘って上向きの排気通路を画成するように配置されている。両仕切壁81、82は、その下端とワーク73表面との間が、誘電体70とワーク表面とのギャップより狭く形成されている。従って、放電領域75、76から出た排気が大気中に流出することなく前記排気通路内に案内されると共に、外部から大気が侵入し難いようになっている。このように放電領域の近傍から排気するように構成することによって、排気機構を小型化できると共に、放電により生成されるオゾンが大気中に放出されることを防止することができ、かつ放電領域への大気の混入を防止して、放電の安定性を高めることができる。また、図9の構造において、仕切壁81、82の下端とワーク73表面との間隙から生じる大気の巻き込みが実質的に無ければ、放電ガスの吸気・排気の方向を逆にすることもできる。
図10は、図9に示す排気機構の変形例を示している。この実施例では、2枚の第1の仕切壁81、82の外側に更に、2枚の第2の仕切壁83、84が、一定の距離をもって離隔して配置されている。第1の仕切壁81、82と隣接する第2の仕切壁83、84との間には、上方からワーク表面に向けてヘリウムを含むガスが供給されるようになっている。このように電極61の上流、下流の両側に、排気通路と、その外側での例えばヘリウムガスによるガスカーテンとを設けることによって、放電領域75、76への大気の混入をより確実に防止することができる。
図9及び図10に関連して説明した排気機構は、図11のように相対的に移動する電極85とワーク73表面との間で直接放電させることにより表面処理する場合にも、適用することができる。この場合には、ワーク73の移動方向Aに沿って電極85の上流、下流側に仕切壁86、87が、それぞれガス供給通路及びガス排気通路を画成するように、かつその下端とワーク表面との間が電極85とワーク73とのギャップより狭くなるように配置されている。このとき、ワーク73の移動方向Aに関して下流側がガス供給通路となり、かつ上流側がガス排気通路となる。即ち、放電ガスは、前記下流側から放電領域88に供給され、上流側から排出される。従って、放電領域88より上流側のワーク73表面には、ガス排気通路の仕切壁87との隙間から大気が混入し、一旦除去された有機物等が再付着する虞があるが、再付着した有機物89は、ワーク73が移動して放電領域88を通過する際に再度処理される。また、本実施例において、電極85の下方をワーク73を往復させて表面処理する場合には、その移動方向によって前記放電ガスを供給する向きを変更すればよい。
以上、本発明の好適な実施例について添付図面を参照しつつ詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記実施例に様々な変形・変更を加えて実施することができる。例えば、図4に示す異常放電によるワーク等の損傷を防止するための補助接地電極構造は、面対向タイプの表面処理装置だけでなく、図5に示すラインタイプの表面処理装置や他の電極構造を有する様々な表面処理装置についても同様に適用することができる。
また、図1に示すワーク39の載置電極部を、図16に示す構成とすることもできる。図16において、接地電極110上には誘電体111が配置される。この誘電体111には、ワーク39を収容できる凹部112が形成されている。この凹部112によって、誘電体111の表面からワーク39の表面に至る段差距離dを、ワーク39の板厚よりも小さくできる。
こうすると、ワーク39の外縁部に生じやすい異常放電を低減することができた。なお、凹部112の深さを、ワーク39の板厚とほぼ同じとし、上記の段差距離dをほぼゼロにしても良い。
本発明による第1実施例の面対向型の表面処理装置を示す断面図である。 図2A〜図2Cは、それぞれ異なる多孔質誘電体の取付構造を示す部分拡大図である。 本発明による第2実施例の表面処理装置を概略的に示す断面図である。 本発明による第3実施例の表面処理装置を部分的に示す図である。 本発明による第4実施例のライン型の表面処理装置を示す部分断面斜視図である。 図6A及び図6Bは、それぞれ図5の表面処理装置に使用する電極の異なる実施例を示す底面図である。 図7Aは、図5の表面処理装置の拡大部分断面図、図7Bは、図5の表面処理装置の縦断面図である。 本発明による第5実施例の表面処理装置の排気構造を示す断面図である。 本発明による第6実施例の表面処理装置の排気構造を示す断面図である。 図9に示す排気構造の変形例を示す断面図である。 図9に示す排気構造の別の変形例を示す断面図である。 従来の面対向型の表面処理装置を示す断面図である。 従来のライン型の表面処理装置を示す断面図である。 図2A〜図2Cとは異なる誘電体の支持構造を示す概略断面図である。 図7Aとは異なるガス導入構造を示す概略断面図である。 図1のワークを載置する電極の変形例を示す概略断面図である。
符号の説明
32 電極、34 チャンバ、37 多孔質誘電体、39 被処理体、
43 上向き傾斜面、44 取付部、45 支持部材、46 皿ねじ、
47 支持面(下向き傾斜面)、48,49 段部、100 軸部、
101 フランジ、103 スプリング、104 気密シール部材

Claims (2)

  1. 大気圧又はその近傍の圧力下の放電領域に、所定のガスにより放電を発生させ、前記放電により励起された活性種を被処理材に曝露させて、前記被処理材の表面を処理する表面処理装置であって、
    前記所定のガスを通過させる孔を有し、前記放電を発生させるための電極と、
    前記電極が前記放電領域に臨む電極面と隣接して配置される多孔質誘電体と、
    前記多孔質誘電体の外周縁部を支持する支持面を有し、前記支持面上にて、前記放電による昇温に伴う前記誘電体の熱膨張変形を許容する支持部材と、
    を有し、
    前記電極及び前記多孔質誘電体は水平に配置され、
    前記支持部材の前記支持面が上向きの傾斜面からなり、
    前記多孔質誘電体の前記外周縁部に、前記支持面に摺接する下向きの傾斜面が形成され、
    前記支持部材は、前記多孔質誘電体の熱膨張変形に伴い、垂直方向に移動自在であることを特徴とする表面処理装置。
  2. 前記支持部材を取り付ける取付部材と、
    前記支持部材に設けた孔に挿通されて前記取付部材に一端が螺合される軸部と、前記軸部の他端に設けられたフランジとを有する固定部材と、
    前記支持部材と前記フランジとの間に配置されるスプリングと、
    をさらに有することを特徴とする請求項1記載の表面処理装置。
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